著者
尼岡 邦夫 阿部 晃治
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.185-191, 1977-03-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
9

襟裳岬沖500-1000mの深みから採集された3個体のセキトリイワシ科魚類を調査した.1個体は下顎が著しく突出し, その縫合部に前向の1突起を具えることなどから本邦から未報告のBajacaliforniaウチグチイワシ属(新称)に含まれる種類であった.本属には世界各地から4種類が知られているが, 本個体は体が細長いこと, 横列鱗数が少ないこと, 口が著しく大きいことおよび吻が短いことなどから, これらのいずれの種類にも同定されず夢新種ウケグチイワシBajacalifornia erimoensisとして記載した.他の2個体はコンニャクイワシに同定された.本種は1914年青森から得られた標本にもとついてJordan and Thompsonによって記載されて以来報告がなく, 第2番目の記録である.

1 0 0 0 OA 気管支喘息 II

著者
谷口 英喜 岡本 凉子 上島 順子 阿部 咲子 岡本 葉子 牛込 恵子 石井 良昌
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.733-740, 2014 (Released:2014-05-15)
参考文献数
15

【目的】非脱水症の高齢者における、長期間の経口補水療法(ORT)の安全性および有効性を検証する。【対象および方法】対象者は、高齢者介護施設に入所している非脱水症の高齢者とした。研究デザインは、複数施設におけるランダム化割り付け比較試験とした。ORTによる介入を実施しないコントロール群(CN群、41名)と、介入を実施する介入群(OS群、41名)とした。OS群では、30日間継続的に経口補水液を1日当たり500~1,000mL摂取させた。【結果】OS群における安全性は、(1)合併症、(2) vital signおよび喫食率への影響、(3)血液学的所見の異常、が認められなかったことより証明された。有効性に関しては、ナトリウム部分排泄率の上昇、BUN/Cr比および血漿浸透圧の低下が認められたことより体液増加効果ありと判断された。しかし、CN群において脱水の発生が認められなかったことから、脱水予防の証明には至らなかった。【結論】非脱水症の高齢者における、長期間の ORTの安全性が証明され脱水予防の効果に関する有効性が示唆された。
著者
阿部 誠
出版者
Japan Institute of Marketing Science
雑誌
マーケティング・サイエンス (ISSN:21874220)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-5, 2013

ITの発達により大量のデータを容易に収集できるようになった。たとえば,バーコードのスキャン技術によって,商品の売り上げは,バラエティー,色,フレーバーなども区別した品番単位(これはSKU,stock keeping unitと呼ばれる)で,日別,店舗別に蓄積される。Eコマースでは,消費者の購買履歴が世帯別にレシート単位で自動的に記録されており,通常のデータベースでも何百万,何千万ものレコードが含まれている。しかし,これだけ大量になると,生データのままでは処理の収拾がつかない。そこで第 1 のステップは,まずデータをある程度,集計し,その上で記述統計(平均や分散)を分析したり因果関係をモデル分析したりすることであろう。たとえば個々の顧客の購買や各店舗での販売を集計して,「売上」という指標を作って,それを分析する。しかし,このような集計データの分析はいくつかの難しさを抱えている。本稿の目的はそれを研究者や実務家に知ってもらうことである。
著者
阿部 郁朗
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.509-511, 2014 (Released:2016-07-02)
参考文献数
5

今後の医薬資源の開発について考えた場合,多様性に富む化合物群をいかに効率よく生産し,創薬シードとして提供できるかが鍵になる.学生時代,モルヒネやペニシリンなどの薬用天然物に魅せられて以来30年,一貫して天然物の生合成研究に取り組んできた.生物がどのようにしてあの複雑で多様な二次代謝産物の構造を作り上げるのか? 生物のものづくりの仕組みを解き明かし,更に利用,改変することで創薬に生かすことができれば,との思いからである.
著者
阿部 英彦 谷口 紀久 稲葉 紀明 中島 章典 佐藤 良一 INABA Noriaki TANIGUCHI Norihisa
出版者
宇都宮大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

道路や鉄道が互いに鋭い斜角で交差する場合、門型の中間橋脚とそれに載る桁高の小さい橋桁を必要とするが、これらに綱部材とコンクリートを適宜合成して建造することにより、力学的挙動が良く、工事がし易く、環境に適し、かつ、経済性が優れた構造物が実現すると考え、その開発の為に2年に亘り種々、実験的研究を行った。実験は主として綱部材とコンクリート部材の結合、あるいは両者の一体化について試験した。(1)鋼部材同志をコンクリートと鋼材を介して結合し、これに引張外力を加え、その性状を調べた。コンクリート継手部の中にスタッド付き鋼板を埋込んだものと異形鉄筋を埋込んだものを試みた。鋼部材とコンクリートの重なり部の長さ、フープ筋の量、スタッドの配置等を変えて挙動を調べ、適当なプロポーションを見出した。(2)コンクリート部材に鋼梁の先端部を埋込んだ試験体に曲げを加えた。鋼梁の埋込み長さ、スターラップの量、スタッドの量等を種々変えて、それらが継手部にどの様に影響するかを調べた。埋込み長が短いと、そこのコンクリートに大きなせん断力が作用するので、スターラップを増さなければならないが、鋼梁にスタッドを設けると作用するせん断力を減少する効果がある。(3)H形鋼をコンクリート中に埋込んだ橋桁で、両者の一体化のためのずれ止めをフランジでなく、ウエブに設けても有効であるならば、桁高を減少できて有利である。そこで鋼梁の種々の位置に量を変えてスタッドを設け、また、スターラップの量も変えて曲げ試験を行った。スタッドもスターラップも少ないと充分な曲げ耐力を発揮する前にせん断破壊することがわかり、また、ウエブに設けたスタッドも充分有効であることがわかった。更に鋼梁のウエブに適当な穴をあけるだけでもずれ止めの作用を表すことが確められた。以上により、現場での施工許容誤差が緩く、工事の安全性の高い構造物の可能性の目途が見究められた。
著者
菅野 敬 阿部 祐子 奥田 一雄 高橋 正征
出版者
海洋深層水利用学会
雑誌
海洋深層水研究 (ISSN:13458477)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.3-13, 2008-07-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
14

海洋深層水 (以下, 深層水) の清浄性の評価の一部として, 懸濁物質の量と質に着目し高知県海洋深層水研究所で取水している深度320mの深層水と深度5mの表層水について, 2005年7月から月1回の調査を16ヶ月実施した.本研究では孔径0.45μm HAミリポア濾紙に捕集された懸濁物質を主対象とした.同一時期の採取試料の懸濁物質量は常に深層水で表層水よりも少なく平均では表層水の14%以下で, 深層水と表層水ともに懸濁物質量の季節的な変動は確認できなかった.深層水の懸濁物質量の変動範囲は0.195~0.993mg/L (平均0.550mg/L) と1mg/L以下であった.濾紙に捕集した懸濁物質粒子の走査型電子顕微鏡観察により, 深層水の粒子は表層水に比べ小型であるが有機物集塊並びに有機物由来と思われる膜状物や完全なプランクトン藻類細胞は極めて少なかった.しかし深層水の懸濁物質から表層水の4%以下の微量のクロロフィルaが検出されプランクトン藻類のシードストック存在の可能性が示唆された.
著者
小林 由希 湯本 幸子 青木 君代 西尾 由美子 藤沢 敏子 千葉 あかね 関 夏恵 保科 知子 阿部 かおり 高田 定男 宮澤 耕次 加藤 憲之 社浦 康三
出版者
JAPAN SOCIETY OF NINGEN DOCK
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.318-321, 2002
被引用文献数
3

2000年下半期人間ドックでPWV検査を受けた869名を対象とした。年代別,性別の比較では,女性に対して男性のPWV高値が示された。年齢とPWV,拡張期血圧と収縮期血圧のそれぞれとPWVとの間にも男女共に相関がみられた。治療中を含む高血圧者群と血圧正常者群では有意に高血圧者群のPWVが高い結果となった。血清総コレステロール値とPWVでは男女共に有意な相関はみられなかった。動脈硬化予防には高血圧予防に対する働きかけが重要である。
著者
大石 正夫 宮尾 益也 阿部 達也
出版者
Japanese Society of Environmental Infections
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.255-257, 1998-11-30 (Released:2010-07-21)
参考文献数
5

最近経験されたmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 眼感染症の7症例について報告した.症例は全眼球炎1例, 眼窩蜂巣炎2例, 角膜炎1例, 眼瞼結膜炎1例および慢性結膜炎2例である.全例に脳疾患, 糖尿病, 腎不全, 気道感染症など全身合併症を有しており, compromisedhostであった.分離されたMRSA7株はvancomycin, arbekacinには全株が感受性で, ペニシリン剤, セフェム剤, 他のアミノグリコシッド系薬剤には耐性であった.治療はVCM点滴静注, ニユーキノロン点眼剤が投与されて症状の改善をみた.MRSA眼感染症の現況と対策につき言及した.
著者
齋藤 寿広 壽 和夫 澤村 豊 阿部 和幸 寺井 理治 正田 守幸 高田 教臣 佐藤 義彦 平林 利郎 佐藤 明彦 西端 豊英 樫村 芳記 小園 照雄 福田 博之 木原 武士 鈴木 勝征 内田 誠
出版者
農業技術研究機構果樹研究所
巻号頁・発行日
pp.1-9, 2009 (Released:2011-05-24)

1. ‘ぽろたん’は、1991年に農林水産省果樹試験場(現農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所)において‘550-40’に‘丹沢’を交雑し、育成した実生から選抜した渋皮剥皮性が優れる早生のニホングリ品種である。1999年に一次選抜し、2000年からクリ第6回系統適応性検定試験に供試した。その結果2006年10月4日付で‘ぽろたん’と命名され、‘くり農林8号’として登録、公表された。2007年10月22日付けで種苗法に基づき第15658号として品種登録された。2. 樹勢はやや強く、樹姿はやや直立である。枝梢は密に発生し、太く、長い。雌花の着生は多く、結果性はやや多い。果実の成熟期は育成地では9月上~中旬で‘国見’と同時期である。3. きゅう果は扁球形で‘国見’と同程度の大きさで、果実の側果側面の形は帯円三角形、横面は尖円形である。平均果重は30g程度で‘国見’より若干小さいが、‘丹沢’よりやや大きく、揃いは中程度である。双子果の発生はやや多く、裂果の発生は少ない。果実の比重は‘丹沢’や‘国見’より高く、肉質はやや粉質である。果肉は黄色で甘味、香気ともに‘丹沢’や‘国見’より多く、食味は良好である。環境条件により、虫害果が多発する場合がある。蒸しグリでの渋皮剥皮性は易であり、焼きグリにした場合、チュウゴクグリ程度に容易に剥皮出来る。4. 試作を検討した関東地方以西の産地で特性を発揮できるが、東北地方での適応性は不明である。ニホングリで唯一渋皮剥皮性が優れる品種であり、家庭での消費増大はもとよりニホングリの新規加工需要の創出等多方面での利用が期待される。
著者
阿部 秀樹
出版者
鶴岡工業高等専門学校
雑誌
鶴岡工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02861232)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.27-38, 2006-12

他大学教授が発表した論文の一部が盗用され、著者自らの論文として本校の研究紀要に発表していたことが発覚したため。
著者
阿部 秀樹
出版者
鶴岡工業高等専門学校
雑誌
鶴岡工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02861232)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.15-26, 2006-12

他大学教授が発表した論文の一部が盗用され、著者自らの論文として本校の研究紀要に発表していたことが発覚したため。
著者
周東 智 市川 聡 阿部 洋 松田 彰
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.50-60, 2008-01-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
22
被引用文献数
2 4

Despite considerable progress and extensive effort, a general method for highly stereoselective glycosylation particularly for the 1, 2-cis-glycosylation has not yet been developed and therefore is required. The α/β-stereoselectivity in glycosylation can be affected by the steric and stereoelectronic (anomeric) effects around the anomeric center, which depend on the conformation of the glycosyl donor substrates. Therefore, we hypothesized that highly α- and β-selective glycosylation can be realized by employing conformationally restricted substrates. We showed that the α/β-stereoselectivity was significantly increased by the conformational restriction and was completely inverted by changing the substrate conformation from the 4C1-form into the 1C4-form in radical and nucleophilic C-glycosylation reactions as well as in O-glycosylation reactions. The conformational restriction of substrates also effectively facilitates the α- and β-selective radical cyclization reaction at the anomeric position. Using the method, C-glucoside trisphosphates designed as Ca2+-mobilizing agents were successfully synthesized.
著者
阿部 郁男 今村 文彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1705-I_1710, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
13

東日本大震災発生前より,リアルタイム津波予測の研究が行われている.それらの研究では,データベースによる予測とリアルタイムシミュレーションによる予測という2つの方法が検討されていた.そして大震災発生後には,リアルタイム測地データによる地盤変動の即時推定技術を津波予測に取り入れる研究も進められている.そこで,本研究では,これらの技術を併用することにより,PCなどの安価な計算機を利用した場合でも,避難に役立つ精度の高い津波浸水予測を得ることができる手法を検討した.東日本大震災での事例を用いて4つの研究対象地域を選択し,地震発生後10分で得られる浸水予測情報を具体的に示した.さらに,浸水範囲や浸水高の実測値と比較することにより,本研究で提案した予測手法の精度の確認を行うことができた.