著者
鈴木 重晴 嶋村 則人 関谷 徹治
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

聴覚神経系のなかでも、蝸牛神経(cochlear nerve, auditory nerve)は外力に対して極めて脆弱である。このことは、交通事故や労災事故後に経験される外傷性聴覚障害の一部が蝸牛神経損傷によって生じることによっても示されている。一方、脳神経外科の小脳橋角部手術では、蝸牛神経に直接的に外力が及ぶことがある。これによって、蝸牛神経変性が起こり、結果的に外傷性聴覚障害を生じる。このような手術合併症防止の重要性は、広く脳神経外科医には認識されてきた。そして、聴覚誘発電位の一つである聴性脳幹反応を術中に記録することによって、その波形変化から不可逆的な蝸牛神経損傷の発生を未然に防ごうとする試みがなされている。この神経保護手法の臨床的有効性は確立しているが、聴性脳幹反応の術中変化の判定基準は、これまでほとんどV波潜時の延長所見によってのみなされてきた。しかし、潜時のみではなく、V波の振幅の変化に着目して術中モニタリングを行う方が、より鋭敏に蝸牛神経に生じる変化を捉えうるのではないかという指摘もなされてきた。本研究は、上記のような背景のもとに、我々が確立した定量的蝸牛神経変性モデルに基づいて、聴性脳幹反応術中モニタリングにおけるV波振幅変化の意義について検討したものである。我々の本研究の結果は下記であった。すなわち、聴性脳幹反応を脳神経外科手術時の術中モニタリング法として使用するとき、その潜時変化によって不可逆的蝸牛神経損傷の発生を未然に防ぐことは可能である。しかし、これに加えてV波の振幅変化に着目することによって、さらに鋭敏な術中モニタリングが可能となることが証明された。この結果はこれまでにないものであり、蝸牛神経変性防止上、新たな研究成果であったと言える。
著者
高安 美佐子 尾崎 順一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

約100万人のスマホGPSデータを解析し都市圏の人流に関する基本的な特性を明らかにした。大都市圏での人流パターンを流域という視点に基づいてマクロ的に捉える新しいデータ解析手法を確立し、流域のサイズの分布や形状が都市に依存しない普遍的な特性を持ち、さらに、Covid-19の感染下でも基本特性が維持されていることを見出した。また、人流を電流とみなすアナロジーによって、都市圏の交通流を近似する電気回路モデルを構築し、新たなシミュレーション手法の基盤を構築した。さらに、基本的な感染症の数理モデルをGPSデータに基づく人口集中の効果を考慮するように改良し、感染者数の増減を予測可能とするモデルを開発した。
著者
菊山 榮 岩田 武男 豊田 ふみよ 石居 進
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

我々は主としてアカハライモリ(Cynops pyrrohogaster)の生殖行動に関与するホルモンおよびフェロモンの同定、およびはたらきに的をしぼって研究を行った。その結果以下のような結果を得た。生殖期に雄イモリは生殖可能な雌イモリの前で尾をさかんに振りフェロモン(ソデフリン)を放出し、精子塊を放出してそれを雌の総排泄口よりとり込ませて体内受精をさせる。尾をさかんに振る行動はプロラクチン(PRL)とアンドロゲンでひきおこされることがわかった。この場合PRLは中枢、おそらくpreoptic recess organおよび/またはnucleus infundiblaris dorsalisに作用することが脳室内投与およびプロラクチン受容体の免疫組織学的研究より明らかになった。一方アルギニンヴァソトシン(AVT)は上記求愛行動の発現をたかめることが明らかにされた。この場合AVTはVlaレセプターを介することが薬理学的実験からわかった。一方イモリの求愛フェロモン(ソデフリン)には前駆体タンパクが存在することがソデフリンをコードするcDNAのクローニングによりわかった。更にこのタンパクのmRNAレベルはPRLとアンドロゲンによりたかめられることもわかった。一方雌のソデフリンに対する反応に関する研究では、ソデフリンは主として雌の鋤鼻上皮で受容されること、ソデフリンに対する雌の鋤鼻上皮の反応性はPRLとエストロゲンにより支えられていること、雄鋤鼻上皮も上記ホルモンによって反応性がたかまるが雌のそれにくらべてはるかに低いことが明らかにされた。アカハライモリと同族異種のシリケンイモリ(C.ensicauda)雄もソデフリンに相当する10箇のアミノ酸残基よりなるペプチドフェロモン(シリフリン)を有することがわかった。しかし両フェロモンはそれぞれ同種の雌にしか有効でなく、種特異性があり、おそらくこれが生殖隔離に寄与していることが示唆された。今後フェロモン受容体の特定をめざす。
著者
鈴木 美穂 渡邊 隆夫 香田 将英 本田 和也 原田 奈穂子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、日本において高度実践看護師のひとつであるナースプラクティショナー(NP)を欧米のように活用した医療提供モデルを構築するために、日本におけるNP養成課程修了者の実践の実態を明らかにし、NPの実践による費用対効果等のアウトカムを評価する。医療技術の進歩と医療ニーズの複雑化により医療者がますます不足かつ偏在する中で、欧米諸国では医療の質とアクセスを一定に保つために、NPを活用してきているが、日本ではNPは公式には認められておらず、協議会ベースでの認定であり、公的導入に至るには科学的にも政策的にも支持するエビデンスがほとんどなく、日本での医療保険制度でのエビデンスの生成を目指す。
著者
小坂 肇 佐山 勝彦 牧野 俊一 神崎 菜摘
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

スズメバチセンチュウに寄生されたキイロスズメバチ女王は不妊になることが知られていた。この研究で、スズメバチセンチュウはキイロスズメバチのほかにオオスズメバチとチャイロスズメバチの3種の大型スズメバチに寄生することが明らかになった。また、この線虫は北海道、関東、九州から検出された。さらに、スズメバチセンチュウは次世代のスズメバチ女王の越冬場所で感染することが明らかになった。スズメバチセンチュウは、攻撃性の強いオオスズメバチやキイロスズメバチに寄生すること、日本本土に広く分布している可能性が高いこと、感染場所が明らかになったので人工感染の可能性が開けたこと、を考慮して、この線虫のスズメバチに対する生物的防除素材としての能力は高いと評価した。
著者
寺田 寅彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究はヨーロッパで出版された英語教科書のイラストや写真の役割を検討したものである。外国語習得にイラストが有益であるのは、なによりも見て美しく、また文化的背景を学習者に提示するからである。今日出版されている英語教科書のほとんどがカラーイラストの入ったものである所以である。しかしながら、書かれていることと一致しないイラストや、情報過多ともいえるイラストが入っていることがある。それらは歴史的・政治的背景により、テキストの内容ではなく、ナチス・ドイツのスローガンのような政治的メッセージの内容を示しているのである。単なる語学学習が政治的道具に使われることを、本研究は明らかにしている。
著者
藤岡 秀英 野口 理子 山岡 順太郎 鈴木 純 堀江 進也 佐藤 純恵 内種 岳詞 木下 祐輔 山岡 淳 足立 泰美 勇上 和史 張 帆
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、勤労者の心身の健康の維持・増進に資する効果的な施策のあり方を検討するため、健康保険事業者と連携し、事業者、従業者への2回目のアンケート調査を実施して「統合パネルデータ」を構築する。これにより、A.特定健診や特定保健指導等の疾病予防施策の有効性、B.職場環境や企業の健康管理施策が勤労者の心身の健康に及ぼす効果、ならびに、C.勤労者の心身の健康の維持・増進が企業業績に及ぼす影響を実証的に検証する。新しく考案した「加点式健診事業」の実施と評価を行い、地域全体の健康づくりへのモチベーションを高めることで、住民の健康診断受診率の向上、就労、所得、地域生活への効果を調査検証する。
著者
山口 直孝 竹内 栄美子 福田 桃子 橋本 あゆみ 竹峰 義和 坂 堅太 木村 政樹 石橋 正孝
出版者
二松學舍大學
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

『神聖喜劇』で知られる作家大西巨人(1916~2014)の教養形成と作品の成立過程とを実証的に考察し、西洋の事例と比較しながら、現代の知識人のありようを探る。新日本文学会や記録芸術の会など、関係した文学芸術運動の活動の詳細を明らかにする。研究は、①資料調査、②聞き取り調査、③フィールドワークから成る。①は、大西巨人資料(二松学舎大学寄託)を核としながら、ほかの文学館や図書館についても行う。②はは、大西巨人の家族や知人に対して行う。③は、福岡や対馬で行う。成果は、公開ワークショップで報告する。資料目録や年譜など各種データベースを作成する。自筆資料をデジタルデータ化し、重要なものを翻刻する。
著者
山本 浩之 吉田 正人 松尾 美幸 安藤 幸世 粟野 達也 鳥羽 景介
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

裸子植物でありながら被子植物のような二次木部を持つグネツム科の高木について、傾斜樹幹における負重力屈性発現のメカニズムを調査した。傾斜樹幹では、上側で二次木部の肥大成長が促進されると同時に、特異的に大きな引張の成長応力が発生することがわかった。その微視的メカニズムは、原始的なタイプの引張あて材をつくるモクレン科の樹種に類似していることがわかった。このことから、グネモンノキの負重力屈性挙動は、他の裸子植物に見られるような圧縮あて材型ではなく、被子植物に見られるような引張あて材型であると結論した。さらに二次師部においても、傾斜の上側で著しい肥厚が見られ、そこには大きな引張応力の発生が認められた。
著者
山海 嘉之 京藤 康正 安信 誠二
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

歩行障害者(要歩行リハビリ者、寝たきり高齢者、脊髄損傷者)の方を対象として、自律制御およびパワーアシスト制御の両機能を有する超軽量外骨格系パワードスーツに組み込み障害の程度(筋力の個人差やリハビリ状況)に応じて適応的かつ自律的装着者と協調して歩行支援を行なうパワードスーツを開発することを目的として、研究を実施し以下のような研究成果を得た。現時点で世界最新鋭のシステムである。1)本パワードスーツを軽量化のため部分的にシェル構造として製作し、完成度の高いメカニカルシステムとすることが出来た。2)完全自立システムとするために、搭載型小型コンピュータのオペレーションシステムをRT-Linuxで構築し、安定かつ信頼性の高い計測・制御系を開発する事ができた3)運動学的・機構学的観点からシステム設計を実施するため、シミュレータを用いて適応的運動制御系の検証および制御アルゴリズムの実装を行った。4)人間の意思を反映したシステムであることが求められる為、新たなアルゴリズムを開発するとともに、カセンサ、筋電信号(EMG)、COGセンサによる自律制御系およびパワーアシスト系が混在する複合システムを構築し、実験によりその有効性を示すことが出来た。5)予測制御を組み込み、更に、人間との親和性を高めるため、人間の動作パターンのデータベース化を行い、これを用いた自律・パワーアシスト複合系を開発することができた
著者
平田 栄一朗 針貝 真理子 寺尾 恵仁 北川 千香子 三宅 舞
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

最近の欧米の政治思想研究は「根拠なき見せかけ」や「擬制」などの演劇的な特徴、すなわち「シアトロクラシー」の側面をデモクラシーの特性の一つとして検討している。この特性は、従来の政治思想研究において否定的に評価されていたが、最近の政治研究は、演劇的な特徴の良し悪しを多角度から再検証することで、LGBTや移民などを取り込む開かれた民主主義の発展の可能性を議論している。本研究は国内の演劇学・芸術学の研究者に加え、政治学者や海外の研究者も交えた研究会・講演会を通じて、最近のヨーロッパの演劇学が独自に発展させてきた政治-演劇論の意義を検証し、それらの論から民主主義の発展の可能性に寄与する考え方を導き出す。
著者
下條 信弘 山内 博 熊谷 嘉人 吉田 貴彦 相川 浩幸 石井 祐次
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

【目的】砒素は自然界に存在し、地下水等への浸入に由来する生体影響が懸念されている。特にアジア諸国のうち、中国やバングラディシュ等では高濃度の砒素を含む地下水汚染が頻発している。砒素を高濃度含んだ井戸水の慢性飲水により手足の角化症や皮膚の色素沈着、脱失等の砒素中毒症状を呈する。そこで我々は、中国内モンゴル自治区の飲水型慢性砒素汚染地域において、飲料水の改善による慢性砒素暴露住民の砒素中毒症状の回復等について調べた。【方法】中国内モンゴル自治区包頭市の慢性砒素汚染地域住民50名(男性22名,女性28名)を対象とした。これらの住民に対して中国の環境基準以下の砒素を含んだ井戸水を1年間供給した。【結果・考察】飲料水改善前の砒素暴露住民の8割程度が手足の角化症や皮膚の色素沈着、脱失等の典型的な慢性砒素中毒症状を呈していた。尿中無機砒素濃度は39±53μg/g of Cr.だった。しかし介入研究1年後に対象住民の尿中無機砒素濃度を測定した結果、介入前のそれの19%まで低下した。一方、無機砒素の代謝物であるメチル化体の生体内濃度は改水前と後では、有意な差は認められなかった。砒素中毒患者の約半数以上が角化症や皮膚の色素沈着、脱失の改善が観察された。また、慢性砒素暴露により、低下した生体内一酸化窒素濃度も改水により約2倍上昇することも明らかとなった。以上から、飲料水改善により慢性砒素暴露による砒素中毒症状は回復することが示唆された。
著者
池田 千里 山本 誠一 田口 收 鯨井 千佐登
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

平成8〜9年度の2年間、計画に沿って以下の研究を遂行し、一部は図書、学術誌等で公表した。1.奈良〜平安時代にかけての、東北地方の鉄生産の代表的な遺跡として、青森県の杢沢、宮城県柏木、福島県武井の各遺跡に着目し、現地での文献調査や出土資料収集も行った。2.古代からの日本周辺地域との交流の歴史の中で、朝鮮半島からの九州および畿内、日本海沿いへの影響、特に伽耶地方の古代製鉄遺跡遺構のの分布・立地状況の確認、文献資料収集と現地研究者との討論を行い、東北への鉄文化や製鉄技術の移入の経緯を探った。3.鉄器文化の中で、近世まで継続してきた「刃物」に着目し、古来の「鉄系クラッド材」として、種々の鉄と鋼について、鍛造および圧延による接合加工(鍛接)を行った。結果として、接合界面に微細な動的再結晶の形成と鍛錬組織の繰り返しなどの、変形特性や接合性に及ぼす加工率、温度、強度差、含有成分等の効果について系統的な金属学的依存性が認められた。4.上記1、2、の基盤を背景に、遺構の製鉄関連出土の鉄滓について、地理的・歴史的特徴をふまえ、化学成分関係、顕微鏡組織など、材料工学的見地から、比較・検討を行った。その結果、各地域での製鉄技術や炉内反応の共通点、相違点を明らかにすることができた。すなわち、鉄かんらん石の存在は、鉄収率は大幅に低減させていること、酸化チタンも、スラグに移行するときにウルボスピネル(Fe_2TiO_4)やイルメナイト(FeTiO_3)などを形成し、これらの化合物の形態と分布の相異に関連性があること、などが明らかになった。さらに、出土層位が異なる鉄滓組織の比較によって、酸化チタンの含有量の比較ができ、たたら製鉄の操業レベルが時代とともに向上していること、が確認できた。
著者
篠田 英朗
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、国際安全保障における協働化/分業化の状況を分析するため、アフリカに展開する国際平和活動の調査・比較を行う。国連と地域機構・準地域機構が協力して行うパートナーシップ国際平和活動は、アフリカでのみ発展している。なぜか。この問いに答えるために、本研究は、国際安全保障の協働化/分業化の仕組みに着目する。国連PKOが遂行できない武力行使を伴う活動をアフリカでは(準)地域機構が担うことができるため、パートナーシップ平和活動はアフリカでのみ進んできた、という仮説を検証する。主要なアフリカの国際平和活動に焦点をあてて、理論・組織・情勢分析を通じて、国際安全保障の協働化・分業化を解明する。
著者
堀口 兵剛 大森 由紀 松川 岳久 小松田 敦
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

秋田県のカドミウム(Cd)土壌汚染地域において自家産米摂取により過剰なCd曝露を受けた農業従事者を中心に住民健康調査を実施する。調査は集落毎に地元自治会館において健康診断形式で実施する。受診者から末梢血と尿を採取し、骨密度測定を行う。腎機能、骨代謝、造血能などに関する検査及び血液中、尿中のCd濃度の測定を行う。一方、当該地域の医療機関において腎機能低下を示す患者を対象にCd腎症スクリーニングを補完的に実施する。これらにより、秋田県のCd汚染地域の全体像解明及びCd腎症・イ病患者の効率的探索と保健指導・診療の実施を図る。さらに富山県でもCd腎症スクリーニングの実施を試みる。
著者
柿原 泰 藤岡 毅 山内 知也 濱岡 豊 高橋 博子 中原 聖乃 林 衛 徳永 恵美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究をもとにした放射線防護の体系(その理論、基本原則の考え方、諸概念等)がいかに形成されたのか、そして実際に社会的な場面で放射線防護の実践がいかになされたのか、その実態と問題点について、科学史・科学論的研究を基に明らかにしつつ、とくにこれまでの放射線防護に欠けていると考えられる市民的観点からの再検討を加え、あるべき姿を提示すべく調査研究を進める。
著者
佐々木 尚之 毛塚 和宏 斉藤 知洋 宍戸 邦章
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

人々のライフスタイルや価値観の変容により、社会調査をめぐる環境は著しく悪化した。本研究では、無作為抽出した対象者に対して、オンライン調査または郵送調査、配偶者票の有無をそれぞれランダムに割り当てることにより、調査モードならびに配偶者票の有無が回答に与える影響を分析する。ICTの活用を代表とする今後の社会調査の可能性を検証し、新たな調査手法導入の是非、導入にあたっての課題、状況に適した調査手法の有無を解明することを目的とする。
著者
森 誠之 南 一郎 七尾 英孝 南 一郎 七尾 英孝
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

表面化学の立場から潤滑油添加剤の反応を制御し、より適切な潤滑特性を得るために表面形状の影響を検討した。鋼試験片表面に適当な粗さを与えることにより、摩擦係数が徐々に低下し、安定で低い値を示すことを見出した。表面分析の結果、表面の突起部で金属新生面が生成し、ここで添加剤が反応するとともに潤滑性の境界膜を形成したことを明らかにした。
著者
小宮 友根 北村 隆憲 森本 郁代 三島 聡 佐藤 達哉
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は、裁判員裁判の評議において裁判官がおこなうファシリテーションについて、その技法とそれが評議の展開に及ぼす影響を解明しようとするものである。現職裁判官をはじめとする法曹の協力のもと、現実の裁判員裁判に限りなく近い模擬裁判を実施し、その録画を主として会話分析の手法を用いて分析することで、裁判官が用いるファシリテーション技法の会話的特徴とそれが評議にもたらす帰結を体系的に解明するとともに、それに対する学際的な分析と評価をおこなう。