著者
竹田 雅好 桑江 一洋 塩沢 裕一 土田 兼治 田原 喜宏
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

ディリクレ形式の理論は, 対称マルコフ過程を解析するための重要な道具として発展してきた. ディリクレ形式の理論はL-2理論であり, そのため特異なマルコフ過程を扱うことができる. しかし, マルコフ過程論はある意味でL-1理論である. そのギャップを埋めるために, マルコフ過程に強フェラー性や緊密性を仮定することで, 半群の増大度に対するL-p独立性を示した. 時間変更で生成される対称マルコフ過程に対してL-p独立性を応用することで, 加法汎関数の指数可積分性や大偏差原理を証明した. 熱核評価がポテンシャル項の摂動で保たれるための必要十分条件も与えた.
著者
唐沢 力 赤井 一郎 小松 晃雄 飯田 武
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

@試料の準備としてすでにあるGaSe単結晶の他に、気相成長法でBiI_3、PbI_2単結晶の育成を行った。@BiI_3結晶中の積層不整二次元界面に励起される擬二次元励起子(SFE励起子)を、窒素レーザー励起色素レーザーを用いて高密度に生成し、ポンプ・プローブ吸収とポイント励起発光スペクトルに空間分解分光法を適用してその空間的挙動を遷移スペクトルの変化より調べた。解析で得られた広い空間域へ拡がる励起子成分に対し、励起子の二次元流として解析して、この成分がコヒーレントな集団運動を行っていることを見出した。この成分が新しい励起子凝縮相である可能性を議論した。@このSFE励起子系に、モードロックNd:YAGレーザー励起のピコ秒色素レーザーを用いて、空間分解した諸種のピコ秒分光を適用した。ポンプ・プローブ吸収および発光の時間-空間分解スペクトルから、高密度成分がポラリトンの群速度に匹敵する速さで空間を移動していることを見出した。さらに、2光束を空間分離した縮退四光波混合(DFWM)信号の検出を行い、高密度下で空間伝播してきた励起子成分による信号の発生を確認した。これら励起子集団の振る舞いとボーズ凝縮との関連を議論した。@GaSe結晶の励起子遷移域を、ピコ秒色素レーザーで共鳴励起してDFWM信号を検出し、励起子共鳴より低エネルギー側に励起子分子によると思われるスペクトル成分を見出した。また、2光束空間分離励起で、高密度励起子の集団運動によると思われる信号強度の波数ベクトル依存性を見出した。@理論的には、電子正孔分離型の量子井戸中の励起子凝縮相の示す超流動が、電流の形で直接観測できることを示した。また、理想的にコヒーレントな高密度励起子集団のダイナミックスを明らかにするため、非線型Schrodinger方程式を解き、その時間・空間発展を明らかにした。その結果とBiI_3高密度SFE系の時間・空間的挙動を比較し、この励起子系のボーズ凝縮相の可能性について議論した。
著者
石川 佳治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

クラウドコンピューティングでは,並列・分散環境において多数のコンピュータを連携してスケーラブルな情報処理が実現される.また,さまざまな情報の連携による高度なサービスが提供される.本研究では,このようなクラウド技術の発展を考慮に入れた大規模時空間データの管理・処理技術に着目した.時空間データの特性を踏まえたクラウド環境上でのデータベース問合せ処理技術や,クラウドシステムの利活用技術などを開発するのみならず,時空間・モバイルデータベースにおけるプライバシー保護などの応用技術についても開発を行った.
著者
松井 健一 増田 美砂 杉藤 重信 伊藤 太一 渡邉 和男 西川 芳昭
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

環境ガバナンスに資するデータベースの概要を研究代表者が管理するウェブサイトに構築するとともに、伝統知とその法的問題点について査読入り学術図書1冊と当該課題に関する査読入り学術論文を4本出版した。学会発表は7回行った。また、毎年著名な研究者を筑波大学と国連大学高等研究所へ招へいし、シンポジュウムと研究者交流を行い、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ドイツ、インド、ブラジルの研究者との共同研究へとつなげることができた。当該課題に関する修士論文を3本主査として指導した。
著者
大森 康宏 北野 圭介 望月 茂徳 古川 耕平 鈴木 岳海
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

北米と欧州の美術館等における作品と展示方法の考察並びに舞台芸術と映像作品制作の実践から、デジタル映像表現の話法や技法、リテラシー、多角的体験について調査を行った。作品や展示がマルティモーダルな経験構造をとることと、作品制作の過程と社会還元において操作性や身体性、制作技法を共有することの重要性を明らかにし、デジタル映像表現が科学映像における表現と受容の可能性を拡げることを示した。
著者
坂口 けさみ 大平 雅美 芳賀 亜紀子 島田 三恵子 徳武 千足 湯本 敦子 金井 誠 市川 元基 馬場 淳 上條 陽子 楊箸 隆哉 中村 友彦 近藤 里栄
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

正期産母子に対する分娩直後のカンガルーケアの実態について、全国の産科医療機関を対象に質問紙調査を実施した。カンガルーケアは全国の約70%の施設で導入されていたが、実施方法や実施の基準は施設によってそれぞれ異なっていた。そこで、カンガルーケアを安全にかつ快適に実施するための指標を得ることを目的に、カンガルーケア中の児の安全性について呼吸・循環機能から検討するとともに、快適性について児の自律神経機能を用いて解析した。カンガルーケア中、児の呼吸機能や循環機能は安定しており、カンガルーケアの児の安全性が確認された。またカンガルーケアが児にとって快適であるかどうかは、母親の分娩経過の影響を強く受けていることが明らかとなった。
著者
持井 康孝 古畑 徹 志村 恵 東田 雅博 古市 大輔 弁納 才一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、日本全国の高等教育機関等に分散所蔵されている「青島旧蔵書籍」の全体像を調査・復元し、それを通して青島におけるドイツ租界の文化情況や中国人との接触情況、並びにドイツの対中国文化政策を明らかにすること、それらドイツ租界における情況を上海等におけるイギリス租界の情況と比較することにより、新旧帝国主義国家の対中国文化接触のあり方、並びにそれに対応する中国側のあり方の相違を明らかにすることの二点である。青島ドイツ租界に原蔵され、その後青島守備軍による接収を経て、日本の各高等教育機関に配分された「青島旧蔵書籍」に関しては、以下の作業を行なった。1)日本全国の高等教育機関等に現蔵される当該書籍や配分関連文書の逐件調査を行なった。2)その調査をふまえ、各冊ごとの書誌データ、青島における原蔵状況、守備軍による配分状況、現蔵機関における所蔵状況についての各種データを整理し、「青島旧蔵書籍」を各機関に配分したその計画リストの上に、その逐件調査によって得られた調査データを加えた新規データベースを作成した。青島ドイツ租界・上海租界におけるそれぞれの文化接触や文化政策についての比較検討を試みる「独・英の対中国文化接触」の研究に関しては、以下の作業を行なった。1)青島ドイツ租界・上海租界に関する記載を含むマイクロフィルム資料を収集・整理した。2)その資料の電子データ化を経て抽出した、租界内部やその周辺地域での文化・社会・経済政策に関連するデータ、並びに、青島及びその周辺地域の歴史やイギリスの対中国政策史に関わる中国側諸文献の分析を行なった。上記の調査・分析から得られたそれぞれの研究成果をまとめて、研究成果報告書として作成・公表した。
著者
増永 良文 舘 かおる 小山 直子 喜連川 優 藤代 一成
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

今や,Web空間は茫漠たる量の情報が発信され,数十億ページを有する地球規模のデータベースと化している.このWeb空間には,社会の実態が姿を変えた形で映し込まれていると言える,一見しただけでは混沌として様子がつかめないが,それを巧みに分析すれば,現実を俯瞰できる地図や興味ある事実が浮かび上がってくるであろうことは十分予想される.そのための分析手法が「Webマイニング」である.中でも,Webページ間のリンク構造に着目してWeb上のコミュニティ(Webコミュニティ)を発見するWebマイニングツールは,1990年代後半から急激に発展してきた.ここで,Webコミュニティとは,基本的に同じトピックに関心を持つ人々や組織によって形成された「Webページの集合体」を指す.本研究では,お茶の水女子大学ジェンダー研究センター(舘かおる教授・小山直子研究員),東京大学生産技術研究所(喜連川優教授・豊田正史特任助教授),および東北大学流体科学研究所(藤代一成教授)と共同して,Webマイニングによるジェンダー(社会的な意味での性別)関連のWebコミュニティの発展過程を徹底的に分析した.その結果,1999年6月の「男女共同参画社会基本法(英訳:The Basic Law for a Gender-Equal Society)」,この法律は性別(gender)によって不利益をこうむることがない平等(gender-equal)な社会の実現を目指すためのもの,の施行に伴って日本各地で発生した女性センター関連コミュニティの発展過程を的確に捉え,かつWebマイニングが隠れた事実を浮き彫りにしたという大きな成果を得た.これらの結果はキーワード「ジェンダー」をWebマイニングツールCompanion-(喜連川研究室が開発)に日本語で入力して抽出した結果を,ドメイン知識,つまり特定分野の専門知識を持つ者(上述,舘教授,小山研究員)が徹底的に読み解いて得たものであり,Webマイニングツールの有用性を明らかにするとともに,Webマイニングがジェンダー学(gender studies)を含む社会科学の新しい研究方法論となり得ることを実証してみせた.本研究では,さらにこの結果に基づいて,ジェンダー関連ポータルサイトの構築法を明らかにし,それをお茶の水女子大学ジェンダー研究センターのホームページ作成に役立てた.12611
著者
林 行雄 上林 卓彦 真下 節 松田 直之 服部 裕一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

脳死状態は心臓が強い交感神経緊張状態にさらされた後中枢神経の支配が破綻した状態という観点に立ち、以下の研究を行った。(1)中枢神経による不整脈制御周術期不整脈のモデルであるハロセン-エピネフリン不整脈を用いて不整脈発生における中枢神経の役割を検討した。副交感神経の情報伝達物質であるアセチルコリンが不整脈抑制に関与し心臓のアセチルコリン受容体、PTX感受性Gタンパク、protein kinaseAを介して、最終的には心臓のATP感受性Kチャンネルを開口させ、抗不整脈作用をもたらすことを示した。また脳内のイミダゾリン受容体のタイプ1がこの制御に深く関与していることも明らかとなった。脳死による中枢神経の廃絶に伴う副交感神経機能の廃絶が脳死状態での不整脈制御の破綻の一因の可能性が示唆された。(2)脳死における揮発性麻酔薬の心筋感作作用Pratschkeらの方法(Transplantation 67:343-8,1999)に基づいてラット脳死モデルを確立した。脳死状態ではハロセンに心筋感作作用が認められたが、イソフルレン、セボフルレンの心筋感作作用は弱かった。しかし麻酔薬間の格差は縮まった。この結果は中枢神経機能が吸入麻酔薬の心筋感作作用に関与していることを示していると考えられる。(3)脳死に伴う心機能の変化ラット脳死モデルにより、コンダクタンスカテーテルを用いた心機能の評価を行った。脳死に伴い、血圧の低下は脳死後5-6時間を要するが、脳死導入後2,3時間でEjection Fractionの低下が認められる。っまり、脳死後の早期に現れるEjection Fractionの低下を抑制することで脳死後の心機能の維持につながると思われた。ATP感受性Kチャンネルの開口薬であるニコランジルはいわゆるpreconditioning作用で心筋保護に働くことが知られているが、これを脳死前から持続投与することでEjection Fractionの低下に至る時間を延長し、結果脳死後6時間での生存率の改善が見られた。またこのニコランジルの作用はミトコンドリアATP感受性Kチャンネル阻害薬で消失した。脳死による心機能の破綻にミトコンドリアATP感受性Kチャンネルが関与していると思われた。
著者
川合 伸幸 香田 啓貴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

他人の行動をまねることは、新たな行動や技能を獲得するうえで重要であるが、ヒト以外の霊長類では、模倣は非常に稀である。ただし「あくびの伝染」はさまざまな霊長類で観察されている。他人の行動をコピーすることの進化的、神経的基盤を調べるために、サルでの行動伝染と、ヒトでのあくびの伝染に関する脳活動(脳波)などを調べた。視覚手がかりに対して発声する訓練を受けたサルは、音声刺激に対しても高頻度で発声したが、提示されたものと同じ音声を発声することは無かった。ヒトのあくびの伝染には、認知的な模倣と情動的な模倣が脳の異なる領域で、かつ異なる時間順序で処理していることがあきらかになった。
著者
栗原 新 小柳 喬 芦田 久 松本 光晴
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「もう一つの臓器」と呼ばれる腸内常在菌叢を適切に制御し「病気の発信源」である大腸内の環境を最適化することは、健康寿命の延伸に大きく貢献する。本研究課題では腸内常在菌叢の主要な代謝産物であり、健康寿命の延伸に著効を示すことが近年明らかとなったポリアミンに注目し、ヒト腸内に優勢に存在する腸内細菌(ヒト腸内常在菌叢最優勢種)および伝統的発酵食品に由来する乳酸菌のポリアミン合成・輸送機構を遺伝子・タンパクレベルで解明する。次に同定した遺伝子の発現誘導によりポリアミンを高生産する技術を開発し、個別培養・混合培養・マウスモデルを用いて検証するとともに、宿主の健康増進効果を解析する。
著者
太田 嗣人
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、異所性脂肪蓄積から生じるインスリン抵抗性や慢性炎症を病態基盤とし、肝硬変・肝がんへと進行する。本研究では、身近な食品素材で強い抗酸化作用を持つカロテノイドのβ-クリプトキサンチンとアスタキサンチンに着目し、NASHへの有効性と安全性を検証した。独自に開発したモデル動物に対し、β-クリプトキサンチンは、肝臓のクッパー細胞やT細胞の浸潤抑制という炎症への作用を主として、アスタキサンチンは肝臓の脂質過酸化の抑制を主たる作用として、NASHを抑制した。カロテノイドは治療法の確立されていないNASHを予防・抑制する新たなNutraceuticalとして期待される。
著者
網谷 龍介 戸澤 英典 大内 勇也 作内 由子 中田 瑞穂 八十田 博人 板橋 拓己 上原 良子
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2022年度は、研究取りまとめのための準備を行い、成果公表のための作業を着実に進めることができた。2021年度に実施することができなかった資料収集については、分担者の職務上の都合などにより代替的な手法を検討し、おおむね論文の執筆に問題のないような方法を案出し、材料の収集を行うことができた。これらを踏まえて、日本国内の政治学系の三つの学会において、計7本のペイパーを通じて中間的な成果を報告した.オランダにおける経済専門家と政治過程の関係についての分析においては、政党間の競争が専門性に基づいたプログラムの鑑定を導く過程が分析された。ドイツの保守主義に関する事例においては、1970~80年代のドイツにおける保守運動の再編が検討された。さらに、ヨーロッパ規模比較研究における1970年代の把握についてのペイパーにおいては、同時代の分析が現在の回顧的な視点よりも多様な視角がみられることが検討された。フランスにおける地域主義運動の分析では,バスクを事例としてとりあげ、フランス国内の力学とスペインとの外交の絡み合いが明らかにされた。ヨーロッパ共同体における「人権」争点に関する分析では、人権がヨーロッパの共有する規範となるタイミングとその背景が検討された。さらに、イタリアの事例の分析では、フェミニズムが既存の政治勢力との関係の中で浮上する過程が、ヨーロッパ共同体とドイツにおける男女平等政策についての事例では、平等をめぐる異なった理解の相互作用が検討された。これらの報告には、関連する研究を国内で実施している研究者に討論者として参加していただくことができ、有益な助言を得た。これにより草稿と改訂の方向性が確定したため、2023年度中に本科研の成果を探鉱所として出版するめどが立っている。また、そのための準備会合を期間内にさらに一回設け、具体的な準備作業や手順を確認した。
著者
上條 信彦 宇田津 徹朗 高瀬 克範 田中 克典 米田 穣 宮田 佳樹 田崎 博之
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、環境激変に脆弱な北日本に導入されたイネの自然環境に対する適応過程および文化的な選抜過程を品種と栽培・加工技術の観点から生物学的・考古学的に解明することを目的とする。具体的には、出土イネ品種に関する本研究独自の分析技術を駆使して炭化米の形態・DNA分析、脂質・炭素窒素同位体分析、および本州最北端における水稲農耕開始期の遺跡発掘調査を通じて、これまで不明確であった本州最北端の水稲導入後の文化変容を探るとともに、品種の歴史的展開と、耕起や施肥、調理などの技術的革新の時期や内容を明らかにし、日本列島の稲作展開モデルの構築を目指す。
著者
茂木 一司 布山 毅 廣瀬 浩二郎 伊藤 亜紗 手塚 千尋 宮本 聡 大内 進 笠原 広一 池田 吏志 山城 大督
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

視覚障害教育は粘土造形による「触る美術教育」として発展・認知されてきたが,近年対話型鑑賞などによる「触らない=言葉による鑑賞」が注目を集めはじめ,二極化もみられる。本研究は,そのような触る/触らない、もの/テキストなど視覚障害美術教育における二元論的な対立を回避し,見えない人も見える人も「ともに歩めるインクルーシブアート教育」の理念と具体的なアナログ・デジタルメディアを使った題材・教材およびカリキュラム作成をめざして,取り組む実験的な研究である。
著者
大内 田鶴子 玉野 和志 林 香織 鰺坂 学 廣田 有里 小山 騰 ディアス ジム 斎藤 麻人 吉田 愛梨 細淵 倫子 清野 隆
出版者
江戸川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

グローバリゼーション下、地域社会と市民・近隣組織に関する新たな理論枠が必要になっている。本研究は新しい社会に対応する近隣組織について実態を把握し、論点を整理した。1.イングランドでは自治会規模の住民組織が準自治体となっている。2.シアトル市ではボトムアップ式の協議体を設置し、合意形成能力を獲得し、その後政治対立に巻き込まれ機能不全に陥った。3.シアトル近郊の極小自治体の長期存続は、住民の凝集性の維持につとめたこと、コモンズの維持管理を行っていることなどによる。4.個人が情報のコントロール力を持ちつつある現在、ITによる意見交換の仕組みと個人の情報発信のスキルが必要であることが明らかになった。
著者
春山 哲也 村上 直也
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

100余年にわたって工業的なアンモニア合成を担ってきたHaber Bosch processであるが、近年の地球温暖化の進行や、潜在的エネルギー危機などの社会課題が顕在化する中で、その時代の要請に適合するために変革が求められる課題が浮かび上がってきている。それは、1.小規模化・軽便化、2.再生可能原料および再生可能エネルギーでの生産化、3.発停自在なオンディマンド生産適合化、この3課題である。以上の課題を解決すべく、Green Ammonia challenge研究という分野が出来、世界の研究者が鎬を削っている。低エネルギーかつ小中規模で発停容易のアンモニア製造技術の確立は、需要地生産可能な中小規模でのアンモニア生産を可能にする。その実現は、低製造エネルギー消費・低二酸化炭素排出に繋がり、また需要地生産は、ノンロジテックによる無運搬エネルギー消費・無運搬二酸化炭素排出をも実現し得る。しかし、それが実現されるためには、製造原料から異なる大きなゲームチェンジが必要である。我々は、水素ガスを必要とせず、空気と水だけを直接原料とし、窒素と水から成る異相界面を反応場として、常温・常圧の一段階反応で窒素固定を行う「相界面反応」を独自に見出した。相界面反応は、水による気体の無触媒還元反応であるということができる。これは、水相表面に存在する特異な水分子の状態に着目したことによって想を得た反応である。水相表面には、水素結合を形成していない水分子が存在する。この水相最表面の水分子の水素原子を、放電により活性化(励起と解離がある)された活性化窒素が引き抜き還元され、アンモニアが生成され水中に溶存する。前年度までに、我々が新たに構築した窒素プラズマを誘電体バリア放電が、効率よく窒素を活性化できていることを実証することに成功した。
著者
西川 建 福地 佐斗志
出版者
前橋工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ヒトゲノムにコードされたすべてのタンパク質(2万種余り)を対象として、本研究で開発した方法を適用することにより、それぞれのタンパク質を球状ドメインと構造を作らない不規則領域に分割することに成功した。これによりヒト・タンパク質を構成する構造部分/非構造部分の割合を初めて明らかにした。また、選択的スプライシングの発生部位の解析から、選択的スプライシングは不規則領域の割合に比例して生じるとの結果を得た。
著者
小林 耕太 飛龍 志津子 宮坂 知宏 古山 貴文 玉井 湧太
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究の目的は近赤外光刺激を利用した次世代人工内耳を開発することである。従来型の人工内耳は電気的に聴神経を刺激するため、聴覚末梢器官である蝸牛に電極アレイを挿入する外科手術を必要とする。本計画では非接触で神経活動を引き起こさせる手法である、赤外光により熱的に細胞を刺激する手法を人工内耳に応用し、神経活動を非接触で誘発し、聴力を再建(または補助)する手法の開発を目指す。具体的には、動物実験により光刺激が再建可能な知覚内容を検討するとともに、装置を長期装用した場合の生体への影響(安全性)を評価する。また、主にヒトを対象として装着方法および言語知覚を再建するための刺激アルゴリズムを検討する。
著者
長柄 毅一 三船 温尚 清水 康二 青柳 泰介 上杉 彰紀 西秋 良宏 田賀井 篤平 Ranganathan Srinivasa Shinde Vasant
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

錫を15%以上含む青銅合金は、鋳造法もしくは熱間鍛造法によって成形され、仕上げに焼き入れ熱処理が施されることから、我々はこれを熱処理型高錫青銅と呼んでいる。この技術は古くは古墳時代に日本へ伝来し、現在においてもアジア地域を中心に残されているが、その起源と伝播経路を明らかにするため、インドで出土した紀元前の遺物の成分分析や金相学的調査を行った。現時点で最も古いのは、メガリス期の遺跡から出土した銅鋺であり、紀元前1千年紀の前半には登場したことがわかった。