著者
河鰭 実之 李 玉花 王 宇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

農作物の品質に関わる紫外線応答について特にUV-Aに焦点を絞って調査をした.カブ `津田蕪`の芽生えでは,ピーク波長350nmのUV-A蛍光灯ではアントシアニン合成が誘導されるが,単波長の315~345nmではアントシアニン合成はほとんどみられず, 315nmと355nmの共照射によってアントシアニン合成が誘導された.網羅的な遺伝子発現解析の結果,UV-A特異的に発現が誘導される遺伝子群があり,そののなかには,アントシアニン合成系遺伝子の他にROS応答に関わる遺伝子が多数含まれた. この間のROSの発生は明らかでなかったが,青色光によるアントシアニン蓄積ではROSの関与が示唆された.
著者
石黒 直隆 猪島 康雄 柳井 徳磨 村上 智亮 ナイム ムハマド 重村 洋明 川尻 百香
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アミロイドA(AA)アミロイド症は、血清アミロイドAが構造変換して形成されるAAアミロイドの臓器沈着により発症する疾患であり、同種動物および異種動物に伝播する、本研究では、ウシおよびニワトリ由来のAAアミロイドをマウスに接種することにより、その病態や熱に対する抵抗性について解析した。ニワトリおよびウシのAAアミロイドのマウスへの伝播は、マウスに比べて低率であった。マウスでのAAアミロイドの沈着は、時間の経過と共に消失し、再接種により増加した。AAアミロイド症の初期ではIL-6の発現が増加し,その後IL-10が増加した。また、動物由来AAアミロイドは、熱に極めて抵抗性を示すことが明らかとなった。
著者
室橋 春光 河西 哲子 正高 信男 豊巻 敦人 豊巻 敦人 間宮 正幸 松田 康子 柳生 一自 安達 潤 斉藤 真善 松本 敏治 寺尾 敦 奥村 安寿子 足立 明夏 岩田 みちる 土田 幸男 日高 茂暢 蓮沼 杏花 橋本 悟 佐藤 史人 坂井 恵 吉川 和幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

発達障害は生物学的基盤を背景とし、社会的環境の影響を強く受けて、非平均的な活動特性を生じ、成長途上並びに成人後においても様々な認知的・行動的問題を生ずる発達の一連のありかたである。本研究では発達障害特性に関する認知神経科学的諸検査及び、社会的環境・生活の質(QOL)に関する調査を実施した。脆弱性と回復性に関連する共通的背景メカニズムとして視覚系背側経路処理機能を基盤とした実行機能やワーキングメモリー機能を想定し、事象関連電位や眼球運動等の指標を分析して、個に応じた読みや書きなどの支援方法に関する検討を行った。また、QOLと障害特性調査結果の親子間の相違に基いた援助方法等を総合的に検討した。
著者
重石 光弘 浪平 隆男
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

福島第一原子力発電所での事故に関連して放射性汚染コンクリートが発生し、将来の原子力発電所の廃炉による大量の放射性コンクリート廃棄物の発生が懸念される。床や壁の様な平らなコンクリートの除染は従来技術で可能だが、汚染した破片の除染の技術を明確でない。本研究では福島原発事故で発生した放射性コンクリートの除染を行うためのパルス放電技術の適用性を評価した。パルスパワー放電法を用いた骨材リサイクル技術を適用したコンクリートの除染は、分離回収された骨材の放射能濃度の減少とスラッジ中の放射能濃度の増加を示した。この事実は、汚染コンクリートの骨材とスラッジへの分離が放射性物質の除染と減容の可能性を示唆している。
著者
牧野 能士 熊野 岳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

石垣島においてヤエヤマサソリ、青森県浅虫においてウミグモのサンプリングし、研究室・飼育施設にて飼育を行う。再生過程を観察するため、幼体を対象とした胴体の切断を実施する。胴体切断後、切断部の再生過程を顕微鏡で毎日同時刻に観察する。特に、脱皮時において再生芽様な組織が観察されるか注視する。ウミグモとサソリの胴体を切断前後の遺伝子発現比較解析を行い、再生過程においてHRJDの発現量上昇が誘導されるか調査するとともに、ウミグモとサソリ再生過程で発現量が変動する再生関連遺伝子候補を網羅的に同定する。
著者
今田 弓女 森本 元 松井 健二 井上 侑哉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

森林生態系におけるコケの役割はほとんど未知である。だが長年の研究から、コケはかつて信じられていたよりも多様な節足動物や鳥類と深く関わり、足元に"未知生態系"を形成していることが分かってきた。本研究は、コケが多様な動物といかに相互作用しつつ適応進化してきたかにせまる。さまざまな空間スケールと栄養段階を横断し、地表付近でおこなわれる胞子の形成や樹幹に着生する種の受精といった、コケの繁殖や分散などの重要な側面における動物との関係を突き止める。さらに、色や匂いによるコミュニケーションといったコケと動物との相互作用を仲立ちする機構を解き明かす。
著者
飯塚 一幸 村田 路人 宇野田 尚哉 奥村 弘 高槻 泰郎 田中 康二
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

伊丹市の小西家は日本を代表する酒造家である。本研究は、小西酒造の蔵から発見された新資料を対象に、①その目録化を図る、②新資料を基に学際的研究を行う、③学際的研究の成果を書籍として刊行する、ことを目的とした。本研究の成果は以下の通りである。(1)文書については2万8133点、典籍については1279点を目録化した。(2)「小西家資料研究会」を立ち上げ、小西家を取り巻く人的ネットワークと、それを基に小西家が伊丹地域の近代化を支えた実態を明らかにした。(3)研究代表者・研究分担者、研究会に参加した若手研究者により、論文集を刊行することで出版社と合意した。
著者
太田 民久 佐藤 拓哉 飯塚 毅 末吉 正尚
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

生物の移動を把握することは、対象種を保全し資源の持続性を高める上で基礎的なデータとなる。しかし、魚類の移動履歴を推定する手法の開発は発展途上であり、空間スケールを考慮した資源保護対策を打ち出す上で大きな障害となっている。ストロンチウム同位体比(87Sr/86Sr)は水域間で値が変化することが多く、水域の値が生物体組織に直接反映されるため、対象魚が生息していた水域を推定することができる。本研究は年輪状に成長し、対象魚を殺さずとも採集できるウロコの87Sr/86Srを測定し、魚の行動履歴推定する新たな手法を開発し応用する。
著者
堤 浩之 松四 雄騎
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

実体視可能な衛星画像や地形陰影図の判読により,ヒマラヤ衝突帯西縁に位置するアフガニスタンの活断層分布図とカタログを作成した.それと既存の地質・地球物理データを組み合わせて,アフガニスタンの地体構造区を提案した.さらに,断層変位した河成段丘面の宇宙線生成核種年代測定から,長大な左横ずれ断層であるチャマン断層のカブール盆地西縁での変位速度を4-5mm/yrと算出した.また最後の大地震から500年以上が経過しているカブール近傍の活断層が,M7以上の大地震を発生させる可能性が高いことを明らかにした.
著者
白井 詩沙香 上田 真由美 小野 淳 兼宗 進 竹村 治雄 長瀧 寛之 西田 知博 村上 正行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では,高等学校の共通教科「情報」および大学の一般情報教育において,主体的・対話的で深い学びを実現するために,体験的な学びを通して情報の科学的な理解を促進する教材と授業内外の学習活動を効果的に活用した授業モデル,ならびに多様な学びを対象とした自己調整学習支援環境を設計・開発し,その効果を検証することを目的とする。この目的を達成するために,(1)共通必履修科目「情報I」を対象に,体験的な実習教材および反転授業を取り入れた授業モデルの開発と評価,(2)新学習指導要領を踏まえた大学の一般情報教育の授業設計,(3) 多様な学習活動データに基づく自己調整学習支援環境の開発と評価に取り組む。
著者
光永 眞人
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

血管新生は線維症や動脈硬化症、悪性腫瘍の増悪など多彩な病態に関与する。研究代表者らは、がん細胞膜表面発現抗原に対する抗体と光感受性物質を結合させた化合物と近赤外光によって、がん細胞のみを機械的細胞死へ誘導する方法を開発し、光免疫療法と名付け報告してきた。また、血管内皮細胞に発現するタンパクを標的とした光免疫療法によって新生血管の傷害から抗腫瘍効果を誘導する方法を開発してきた。病的新生血管の近赤外光による制御は、がんだけでなく非腫瘍性疾患においても実現可能と考えられ、本研究課題では、病的血管新生が病態に関与する疾患モデルを対象として、病的血管の可視化と制御を可能とする治療法の開発を目指す。
著者
太子堂 正称 井上 義朗 間宮 陽介 桑田 学 原谷 直樹 野原 慎司 高橋 泰城 板井 広明 江頭 進 小沢 佳史 佐藤 方宣 笠井 高人 高橋 聡 村井 明彦
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、現代の経済理論が前提としている人間像について、その思想的系譜を解明することを目指して行われた。スコットランド啓蒙における「経済学の成立」から現代の行動経済学・神経経済学へと至るまでの野党な経済学者、理論の分析を通じて、効用や利潤の最大化を図る利己的人間観が登場してきた過程だけではなく、それぞれの経済思想家の主張の背後には、利他性や社会性を含む多様な人間像が含まれていたことが明らかとなった。
著者
嶋田 総太郎 松元 健二
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、ミラーシステムと報酬系と呼ばれる脳領野の活動に着目し、自己と他者の「一体感」がどのように形成されるかについて、認知神経科学的研究を行った。特に応援と被模倣という2つの社会性認知課題を取り上げ、報酬の共有化が一体感形成に重要であるという仮説を検証した。その結果、報酬を共有することによってミラーシステムと報酬系の活動が促進され、自己と他者のより強い一体感が醸成されることを支持する結果を得た。
著者
大路 樹生 井龍 康文 高柳 栄子 長谷川 精 Dornbos Stephen Q. Gonchigdorj Sersmaa
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

モンゴル西部ズーン・アツのエディアカラ系より藻類化石を発見し、その特徴的な保存状態に関して化学分析と考察を行った結果、バージェス頁岩タイプの堆積岩であることが判明した。またバヤンゴル渓谷のエディアカラ系より垂直構造を持つ生痕化石を発見した。これは海底下4㎝まで潜りU字状の形態をもった生痕で、おそらく前後に伸びた体制と深く底質を掘り込むことが可能な筋肉組織をもった左右相称動物によって形成されたもので、また捕食動物の存在も示唆される。このようにカンブリア紀より前に深く潜る生痕化石を報告し、左右相称動物と捕食動物の存在を示唆する成果が得られたことは、従来の学説を大きく変えるものとなった。
著者
伊藤 美紀子 坂上 元祥 加藤 陽二 田中 更沙
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

透析患者では低栄養によるサルコペニア・フレイルの発症率が高い。その要因として高リン血症による心血管疾患を予防するためのリン摂取制限がある。リン摂取制限はたんぱく質の摂取不足につながる。マグネシウムは石灰化を抑制する。そのためマグネシウムの摂取は透析患者の血管石灰化と低栄養を抑制できる可能性がある。本研究では動物モデルを用いて、食事中のリン/マグネシウム比が血管石灰化と筋肉量に与える影響を明らかにする。さらに透析患者の食事調査を行い、リン/マグネシウム比と低栄養との関連を解析する。これらの研究結果にもとづいて栄養療法を開発する。
著者
坂本 龍太 Dendup Ngawang 安藤 和雄 坂本 陽子 赤松 芳郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、日本、ブータン両国の関係者が互いに現場を行き交い、課題を共有する双方向型の研究である。高齢者の健康を守るという目的を共有しながら、医学、経済学、農学、文化生態学の専門家がチームを組み、高齢者の健康評価、伝統医療の調査、村の保健を基本的に無報酬で担うVillage Health Worker (VHW)の潜在力や持続可能性の分析、紹介医療システムの検証、過疎・離農の現状分析、それらの高齢者の健康への影響分析等に、VHWへのバイタルチェックのトレーニングや高齢者を源とする文化継承活動などのアクション・リサーチを交えて、地域社会と協働で高齢者の健康を守る仕組みをつくる創造型地域研究である。
著者
岡部 弘高
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

カーボンフリー社会を実現するために蓄電池は重要であり、蓄電池の材料としてリチウムを確保することが必要である。陸産リチウム資源は南米に偏っており、日本が将来的にリチウムを確保できるかは不透明である。そこで、海水中に稀薄ながら大量に溶存しているリチウムを回収する新規吸着剤を開発し、リチウム資源の確保手段を確立することが本研究の目標である。
著者
栗栖 薫子 三浦 聡 小川 裕子 政所 大輔 赤星 聖 宇治 梓紗
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

近年、グロ―バル・ガバナンス(GG)構造の複雑性が増している。国連気候変動枠組み条約の下で排出権取引に関わる様々な実施枠組みが普及し、企業のサステナビリティやESG投資に関わる取組が林立し、持続可能な開発目標(SDGs)の実施に関わる取組は全体像の把握が難しいほどである。この構造の複雑性は、①問題領域の複雑化、②ガバナンスの手段の多様化、③アクターの多様化(権威の多元化)という3次元での「密度」の増加によって特色づけられる。本研究はSDGsにかかわる主要な問題領域(気候変動、人道、難民、保健等)を事例として「GGの複雑化とアクターとの間にどのような相互作用が見られるか」という問いに取り組む。
著者
権藤 桂子 松井 智子 大井 学
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

多文化多言語併用環境下(日英2言語)で育つ定型発達児および高機能発達障害児の言語コミュニケーション発達の特徴を、日英2言語の語彙、文法、言語環境について評価を行った。バイリンガル定型発達児もバイリンガル発達障害児も、文化差による知識や体験の偏りが語彙理解に影響を及ぼす傾向があった。文法理解については、バイリンガル定型発達児は比較的良好な発達パターンを示したが、発達障害児はモノリンガルもバイリンガルも不定形な発達パターンを示す傾向があった。また、バイリンガル発達障害児の支援には、家族支援が重要な役割を果たしていることが明確化された。
著者
陣崎 雅弘 秋田 大宇 橋本 正弘 山田 稔 山田 祥岳 稲本 陽子 秋田 恵一 大竹 義人
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

これまでのCTは患者さんが仰向けに寝た臥位の静止撮影で、器質的疾患の定量・定性評価を担ってきた。それにより、生命予後の改善に貢献してきたが、動態である機能の定量・定性評価はほとんどできていなかった。現在は、超高齢化社会であり、生命予後と同時に健康長寿であることもとても重要である。我々は、立位や座位での4次元画像が可能なCT(立位/座位CT)を開発した。これを用いて、健康長寿に必須である嚥下機能・排尿機能・歩行機能を健常人および患者さんにおいて3次元・4次元的に解明し、機能障害の機序と重症度分類、機能改善の指標になる所見を明らかにしていきたい。