著者
澤山 郁夫 三宅 幹子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.31-41, 2018-07-01 (Released:2018-07-04)
参考文献数
23

本研究の目的は,大学生を対象とした質問紙調査を行い,独り言的ツイート頻度と社会的発話傾向および私的発話傾向の関連から,大学生の独り言的ツイートがそのどちらの性質をより強くもつものであるのか検討することであった。結果,2012年12月に得たサンプルでは,独り言的ツイート頻度は私的発話傾向と関連していた一方で,2016年1月に得たサンプルでは,社会的発話傾向と関連傾向にあった。さらに,経年変化として,独り言的ツイートの代替手段として「メモに書く」をあげる者の割合が減少傾向に,また「他者に話す」をあげる者の割合が増加傾向にあることが示された。これらの結果から,Twitterで表出される大学生の独り言的ツイートは,私的発話としてとらえられるものから,社会的発話として捉えられるものへと変化しつつあると示唆された。
著者
志賀 くに子 SHIGA Kuniko 日本赤十字秋田看護大学
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.20, pp.77-80, 2016-03-31

秋田県における「性教育講座」は、1990年代の秋田県における10代の人工妊娠中絶率(15-19歳の女性人口1,000対)が全国平均より高い数値であったことに端を発している。この状況から秋田県教育庁・秋田県教育委員会では、秋田県内の全高等学校へ、性教育講座講師派遣事業を開始した。また秋田県医師会でも、秋田県の若年出産・中絶数の多さや日本におけるHIV/AIDS増加の現状をふまえ、2003年、性教育プロジェクト委員会を立ち上げ性教育派遣講座への医師派遣の窓口になった。中学校・高校での「性教育講座」では、生命の大切さ、性感染症、男女交際、妊娠・出産・避妊、妊娠中絶などについて、学校ごとの実態に即した講演が行われている。私は秋田県性教育研究会会員として2003年(平成15年)から県事業である「性教育講座」を担当している。この「性教育講座」の目的は、様々な性情報が氾濫するなかで性感染症や性に関する正しい知識を身に付け、社会的な風潮に流されることなく、正しい行動を選択できることである。講座では生命や生命を育む女性の心と身体について、そして自分を大切にし、他人にも思いやりをもつことを学習する。本稿では秋田県内の中学生・高校生を対象とした性教育講座の実際の一部を紹介している。
著者
Kosuke Ito Hiroyuki Yamada Munehiko Yamaguchi Tetsuo Nakazawa Norio Nagahama Kensaku Shimizu Tadayasu Ohigashi Taro Shinoda Kazuhisa Tsuboki
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.105-110, 2018 (Released:2018-07-28)
参考文献数
30

The inner core of Tropical Cyclone Lan was observed on 21-22 October 2017 by GPS dropsondes during the first aircraft missions of the Tropical Cyclones-Pacific Asian Research Campaign for the Improvement of Intensity Estimations/Forecasts (T-PARCII). To evaluate the impact of dropsondes on forecast skill, 12 36-h forecasts were conducted using a Japan Meteorological Agency non-hydrostatic model (JMA-NHM) with a JMA-NHM-based mesoscale four-dimensional data assimilation (DA) system. Track forecast skill improved over all forecast times with the assimilation of the dropsonde data. The improvement rate was 8-16% for 27-36-h forecasts. Minimum sea level pressure (Pmin) forecasts were generally degenerated (improved) for relatively short-term (long-term) forecasts by adding the dropsonde data, and maximum wind speed (Vmax) forecasts were degenerated. Some of the changes in the track and Vmax forecasts were statistically significant at the 95% confidence level. It is notable that the dropsonde-derived estimate of Pmin was closer to the real-time analysis by the Regional Specialized Meteorological Center (RSMC) Tokyo than the RSMC Tokyo best track analysis. The degeneration in intensity forecast skill due to uncertainties in the best track data is discussed.
著者
Shigeyuki Asano
出版者
The Japanese Society for Lymphoreticular Tissue Research
雑誌
Journal of Clinical and Experimental Hematopathology (ISSN:13464280)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-16, 2012 (Released:2012-06-06)
参考文献数
94
被引用文献数
37 41

In this review, representative types of granulomatous lymphadenitis (GLA) are described. GLA can be classified as noninfectious GLA and infectious GLA. Noninfectious GLA includes sarcoidosis and sarcoid-like reaction. The cause of sarcoidosis remains unknown, but it has good prognosis. Sarcoid-like reaction, which is considered to be a biological defense mechanism, is observed in regional lymph nodes with many underlying diseases. Infectious GLA can be classified as suppurative lymphadenitis (LA) and nonsuppurative LA. Suppurative LA generally shows follicular hyperplasia and sinus histiocytosis in the early phase. In tularemia and cat scratch disease, monocytoid B lymphocytes (MBLs) with T cells and macrophages contribute to the formation of granuloma. However, none of the epithelioid cell granulomas of Yersinia LA contains MBLs like in cat scratch disease. In addition, almost all have a central abscess in granulomas induced by Gram-negative bacteria. In terms of the lymph nodes, tularemia and cat scratch disease are apt to affect the axillary and cervical regions while Yersinia LA affects the mesenteric lymph node. Nonsuppurative LA includes tuberculosis and BCG-histiocytosis. These are induced by delayed allergic reaction of M. tuberculosis. Tuberculosis LA mainly appears in the cervical lymph node. Organisms are histologically detected by Ziehl-Neelsen staining in the necrotic area. Toxoplasmosis is also a nonsuppurative protozoan infection (Toxoplasma gondii). In toxoplasma LA, MBLs can also be seen, but round and organized, well-formed granulomas are not found in this disease. Furthermore, necrosis is not induced and there are no accompanying neutrophils, eosinophils and fibrosis. GLA described above is associated with characteristic histological findings. An accurate pathological diagnosis using the above findings can lead to precise treatment. [J Clin Exp Hematopathol 52(1) : 1-16, 2012]
著者
登藤 直弥 小林 哲郎 稲増 一憲
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.129-141, 2016 (Released:2017-06-30)
参考文献数
24

In this paper, we introduced a method of causal inference for arbitrary treatment regimes. We first expounded the generalized propensity score (Imai & Van Dyk, 2004) that extended the propensity score for binary treatments, and then causal inference with this generalized propensity score. Furthermore, we reanalyzed the data of relations between mass media and politics from a previous study, and discussed the usefulness of causal inference using generalized propensity scores.
著者
星 秋夫 稲葉 裕
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.85-92, 2002-02-01
参考文献数
24
被引用文献数
12 3

本研究では近年13年間 (1986~1998) における学校管理下での体育・スポーツ活動中における外因性死亡の発生状況について検討し, 以下のような結果を得た.<BR>1) 過去13年間における外因性死亡事故の発生は295件, 年平均22.7件であり, 全体の約52%が外傷によるものであった.いずれの外因においても女子より男子での死亡件数が多かった.<BR>2) 外傷, 熱中症はそれぞれ進学するにしたがって増加するが, 溺水は各学校で同様に発生した.高校において, 外傷と熱中症の発生は高学年時よりも低学年時で高い傾向にあった.<BR>3) 外傷, 熱中症においては大部分が運動部活動時に発生したが, 溺水では大部分が体育授業時に発生した.<BR>4) 外傷の発生は柔道が最も多く, 以下ラグビー, 野球等であった.溺水は水泳であり, 熱中症は野球, サッカー, 柔道等であった.また, 外傷による死因は約74%が頭部外傷による死亡であった.<BR>5) ICD-10による分類において, 外傷で最も多かったのは投げられ, 投げ出されまたは落下する物体による打撲 (W20) 54件であり, 以下スポーツ用具との衝突または打撲 (W21) 33件, 他人との衝突 (W51) 20件等であった.溺水では水泳プール内での溺死および溺水 (W67) 49件等, 熱中症は自然の過度の高温への暴露 (X30) 69件であった.<BR>6) 外傷による死因で最も多い柔道における外因の大部分はW20であった.また, ラグビー, アメリカンフットボールの大半はW51, 野球, サッカーの大半はW21であった.<BR>以上のことから, 発生事例の多い運動種目においては発生防止に対して十分に注意を払うとともに, 基礎練習の充実等, 予防策を講ずる必要がある.
著者
山田 奨治
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.19, pp.15-34, 1999-06-30

オイゲン・ヘリゲル著『弓と禅』は、日本文化論として広く読まれている。この論文では、ヘリゲルのテクストやその周辺資料を読み直し、再構成することによって、『弓と禅』の神話が創出されていった過程を整理した。はじめに弓術略史を示し、ヘリゲルが弓術を習った時点の弓術史上の位置づけを行った。ついでヘリゲルの師であった阿波研造の生涯を要約した。ヘリゲルが入門したのは、阿波が自身の神秘体験をもとに特異な思想を形成し始めた時期であった。阿波自身は禅の経験がなく、無条件に禅を肯定していたわけでもなかった。一方ヘリゲルは禅的なものを求めて来日し、禅の予備門として弓術を選んだ。続いて『弓と禅』の中で中心的かつ神秘的な二つのエピソードを選んで批判的検討を加えた。そこで明らかになったことは、阿波―ヘリゲル間の言語障壁の問題であった。『弓と禅』で語られている神秘的で難解なエピソードは、通訳が不在の時に起きているか、通訳の意図的な意訳を通してヘリゲルに理解されたものであったことが、通訳の証言などから裏付けられた。単なる偶然によって生じた事象や、通訳の過程で生じた意味のずれに、禅的なものを求めたいというヘリゲル個人の意志が働いたことにより、『弓と禅』の神話が生まれた。ヘリゲルとナチズムの関係、阿波―ヘリゲルの弓術思想が伝統的なものと錯覚されて、日本に逆輸入、伝播されていった過程を明らかにすることが今後の研究課題である。
著者
篠川直 編
出版者
篠川直
巻号頁・発行日
1891
著者
津田 優一 中濵 直之 加藤 英寿 井鷺 裕司
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.127-136, 2018 (Released:2018-07-23)
参考文献数
40

小笠原諸島の父島では現在、グリーンアノールやセイヨウミツバチをはじめとする外来種の侵入により、在来 の訪花昆虫が減少し外来の訪花昆虫が優占する、送粉系撹乱が生じている。この撹乱により父島に生育する植物の結 果率が変化していることが報告されているものの、植物の遺伝的多様性及び構造に与える影響については明らかにな っていない。本研究では、父島と送粉系撹乱のない聟島において、小笠原固有種のシマザクラを対象に、各島の訪花 昆虫相及び繁殖成功、また遺伝的多様性を解明し、それをもとに送粉系撹乱が繁殖成功及び遺伝的多様性に与える影 響について考察した。両島でシマザクラの花について2 分間隔のインターバル撮影を24 時間あるいは48 時間実施し た(合計撮影時間,聟島:216 時間,父島:120 時間)。また、聟島で23 花序、父島で25 花序の結果率の測定を行っ た。マイクロサテライトマーカー14 座を用いて聟島及び父島の成木の遺伝的多様性の算出を行うと共に、両島の成 木を用いて島間の遺伝的分化について推定した。さらに、親子解析で親を有意に同定できた種子について遺伝的多様 性の算出と種子親の自殖率の推定を行った。訪花昆虫観察の結果、撹乱が生じている父島では、聟島に比べて総訪花 頻度と在来昆虫の訪花頻度が少なく、外来種のセイヨウミツバチが総訪花の65%を占めており、結果率が有意に低 かったこと(p < 0.05)から、シマザクラの送粉系が父島で撹乱されている事が明らかになった。しかし、成木と種 子の遺伝的多様性、自殖率に島間で有意差はなく、各島内の成木には有意な距離による隔離が見られなかった。本研 究から、小笠原諸島における送粉系撹乱はシマザクラの繁殖成功に負の影響をもたらしているものの、遺伝的多様性 には影響をもたらしていないことが明らかとなった。