著者
神田 大輔 嶋田 睦 真柳 浩太 斉藤 貴士 井倉 真由美
出版者
九州大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009-07-23

大きな運動性を残した相互作用をしている複合体から原子レベルの構造情報や動的情報を得るためには,解離会合平衡を適切な方法で会合側へシフトすることが必要である.平衡をシフトする技術として,共有結合を分子間に導入する方法(テザー係留技術)とリガンド内に共有結合を導入する方法(分子内架橋係留技術)の2つを開発した.また,結晶コンタクトがない空間をタンパク質を結晶格子内に創りだし,そこにタンパク質の一部分やリガンドを意図的に配置して動的情報を得るための新しい結晶解析方法の開発を行った.ミトコンドリアプレ配列受容体Tom20-プレ配列複合体とオリゴ糖転移酵素-基質ペプチド複合体の2つの系に適用した.
著者
北根 安雄
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,鋼板添接補修およびCFRP接着補修による腐食した鋼管杭の性能回復に与える腐食粗さの影響を明らかにするため,腐食粗さを有する減肉鋼管杭と補修後の鋼管杭について有限要素法により検討した.減肉鋼管の静的曲げ耐荷力は,平均板厚が同じでも腐食粗さによりばらつきが生じるが,補修後耐荷力のばらつきは,補修前に比較して小さくなる.また,CFRP接着補修において,断面欠損部に表面粗さが存在する場合,粗さの振幅が大きくなるにつれ鋼板最小板厚部分の応力が大きくなり,欠損部の最小板厚を基準として補修に必要なCFRP板の板厚を設計しても,粗さのない場合の応力まで回復できないことが明らかとなった.
著者
若菜 マヤ
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

当該研究は英国の学術出版社より出版された単著、Performing the Everyday in Henry James's Late Novels(Ashgate 2009)の研究成果を発展・進化させたものである。現実の虚構性をリアルに描いた作家として、ジェイムズに加え、オースティン及びウォートンを取り上げ、日常は「表現された秩序」であると提唱した米国ミクロ社会学者E.ゴッフマンの理論を文学作品に重ねて詳細に分析を行った。そして、「親密性」をキー・ワードに次なる単著の出版に向けて大きな一歩を踏み出した。
著者
森 仁志
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

頂芽優勢は頂芽が腋芽の成長を抑制して優先的に成長する現象である。本研究では、オーキシンによるPsIPT転写抑制の分子機構と、サイトカイニンによる腋芽休眠解除の分子機構を明らかにすることを目的として研究を行った。PsIPT2プロモーター::GUSを導入したシロイヌナズナは、オーキシンに応答してプロモーターの活性が抑制された。このPsIPT2プロモーター::GUS入シロイヌナズナを変異処理し、オーキシンによる転写抑制が起こらなくなるmutantのスクリーニングを開始した。元の形質転換体は根端を除く根がGUS染色される。従って植物体を発根3日目に0.1μM NAAを含む寒天培地に移し1週間NAA処理をした後に、根がGUS染色されなくなる個体を選抜する、あるいは根全体と根端もGUS染色される個体を選抜する。これまでに候補となるようなmutantは選抜できていない。また、細胞周期制御から腋芽の休眠を解析した。休眠腋芽の細胞周期はG1期で抑制されている。これまでの知見から、cyclin/CDK/KRP/PCNAがタンパク質複合体を形成していると推測されている。この点を明らかにするために、CDKにaffinityのあるp13^<sucl>カラムを用いて、休眠腋芽抽出液から複合体の単離を試みた。得られた画分をトリプシン消化後、質量分析計で解析した。リガンドにしたp13^<sucl>と、CDKと思われるタンパク質は検出されたが、KRPと推定できるタンパク質は検出されなかった。
著者
目黒 誠
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

我々は新規の保存法である過冷却グラフト保存法の開発のため、基礎的実験を行った。グラフト肝の一部(1cm角ほどの肝臓組織片)をUW液に入れ、過冷却状態を検証してみたが、-5℃以下になるとUW液が凝固してしまい臓器保存不可能であった。そこで、-4℃で15時間保存した群と従来法である4℃で保存した群とで比較検討した。-4℃で保存した群で有意にUW液中のAST/ALT値が低値であったことから、-4℃での臓器保存が有用である可能性が示唆された。
著者
内藤 敏機 NGOC Pham Huu Anh
出版者
電気通信大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

色々な種類の関数方程式の正値性と、制御理論におけるロバスト安定性の両面において次のような実績をあげた。関数方程式において初期条件が正値性を有するならば、解も正値性を有するとき正のシステムという。線形の常微分方程式や簡単な線形差分微分方程式においては既存の結果があるが、本研究では一般的な遅れを有する線形関数微分方程式、ボルテラ型の線形微分積分方程式、ボルテラ型の積分微分方程式に対して正値性の条件を調べ次のような結果を得た。線形関数微分方程式においては、離散的な中立型の線形微分方程式が正値性を有する場合は存在せず普通の遅れ型の関数微分方程式に帰着されることを発見した。その上で遅れ型の方程式が常微分方程式の遅れ項による摂動として表されるような場合に、その方程式が正値性を有する条件は、もとの常微分方程式が正値性を有しそして遅れの摂動項を表す係数行列が正値性を有することであることを示した。同様の方法は線形のボルテラ型積分微分方程式と積分方程式に拡張できた。常微分方程式の遅れ項による摂動として合成積で表される積分核を用いたボルテラ型の積分微分方程式の正値性は、もとの常微分方程式が正値性と積分核が正値性から導かれることを示した。合わせてこのような方程式の解の安定性指数安定性に関する条件を得た。微分項を持たないボルテラ型の積分方程式の正値性については、正値性は再生核の正値性に帰着され、方程式の積分核が正値であるならば再生核が正値であることを示した。さらに再生核が正値である場合のペレー・ウィーナー型の定理とペロン・フロベニウス型の定理を得た。ロバスト安定性についてはバナッハ空間における線形関数微分方程式が安定性を有する場合、遅れの項を摂動した場合の安定半径を計算する式を得た。まず一般的な複素行列の摂動による安定半径の評価式を得て、さらに元の関数微分方程式が正値性を有するならば、実行列による摂動半径と複素行列による安定半径が一致することを示した。
著者
佐々木 隆 YOUNG Charles
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

Youngおよび佐々木は,可解低次元物理系のいくつかの側面について研究し,多くのめざましい結果を得た.Youngは,simply-lacedアファイン量子群の基本表現のq-指標と,戸田場の理論の相互作用を規定するDoreyの規則の間に簡単な関係のあることを明らかにした(CMP掲載決定),また,弦理論に関係した問題として,AdS_5xS^5背景を大きい角運動量を持って最大の巨大重力子にまで伝播する自由開弦を記述する散乱理論を,入れ子のベーテ仮説を用いて解いた.弦のスペクトルと,対応する場の異常次元を見つけた(J. Phys. A).更に,標準的なアファインsl(2)量子代数のカルタン部分代数の構造の決定,q,t指標の構造を明らかにした.量子アファイン代数の有限次元表現に関連して,極小アファイン化を含む新しい完全系列を見つけた.佐々木は,可解1次元量子力学系の無限個の新しい例を提出した.対応する固有関数は,ラゲール多項式およびジャコビ多項式を変形した,4種類の無限個の例外直交多項式になっている.更に,1次元「離散」量子力学系の変形から,連続ハーン,ウィルソン,アスキー・ウィルソン多項式の変形に対応する,無限個の可解系を見つけた.対応する固有関数は,例外型連続ハーン,ウィルソン,アスキー・ウィルソン多項式になっている.対応するフックス型の方程式の特徴,解空間の構造,形状不変性の証明,ボホナーの定理との関係などを明らかにした.ダルブー・クラム変換を通じての,変形の方法により,見やすい結果を示した.
著者
印南 敏秀
出版者
愛知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

柳哲雄が10年ほど前から、「里山」という人と山の関わり方を参考に「里海」という新たな概念を提唱している。おもには沿岸海域を中心とする「里海」を「人手が加わることによって、生産性と生物多様性が高くなった海」と定義している(柳哲雄『瀬戸内海-里海学入門』瀬戸内海環境保全協会、2005など)。本研究では、瀬戸内海の沿岸海域でのフィールドワークから「里海」を「多様な文化が複合した文化多様性の海」と定義したい。(1)里海は漁民にとって海産資源が豊富で漁業や海苔養殖などが盛んだった。(2)里海は農民にとって海藻や海草が農地の肥料として大量に利用されていた。(3)里海は海辺の人にとっても海水浴や遊びの場として深く関わっていた。(4)里海は漁民文化と農民文化が交差して重なり、複合した文化多様性の海だった。高度成長期以降の開発などによって、漁業資源が減少し、生活文化との関わりも急速に失われつつある。里海は、人と沿岸海域のこれまでの長い歴史に学びながら、新たな関係を実現するための概念として重要である。
著者
湯浅 将英
出版者
東京電機大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

人と擬人化エージェントとの円滑な発話交替の設計には,(1)人の観察からの発話志向態度である「話したい/聞きたい」ときの顔表情と仕草のモデル化,(2)エージェントの「話したい/聞きたい」の非言語表現の作成と主観的評価,(3)エージェントの「話したい/聞きたい」の非言語表現時の人の脳活動計測,(4)評価結果,脳計測結果からのモデルの再作成が必要である.本研究は,(2)主観的評価に加えて,(3)脳計測を用いることにより,非言語表現モデルを評価するものである.さらに(4)主観的評価と脳計測による評価を繰り返すことで,より詳細な表現モデルの構築する.22年度では,擬人化エージェントによる発話志向態度である「話したい/聞きたい」を示す顔表現を探った.複数のさまざまな「話したい/聞きたい」を示す顔表現を持つエージェントキャラクタを作成した.アンケートによる主観的評価により,複数の顔表現の特徴を考察し「発話志向態度」を示す顔の表現モデルを構築した.作成した抽象的な発話志向態度のモデルと表現は,今後,機械による人の発話志向態度の認識,およびロボットや擬人化エージェントの表現などに幅広く応用可能である.さらに発話志向態度モデルの明示性/非明示性に着目し,語用論の観点から考察を行った.考察に基づき,脳計測実験のための実験デザインを作成した.今後,擬人化エージェントによる「話したい/聞きたい」の表現について脳計測データを収集し考察する.
著者
蘭 信三 外村 大 野入 直美 松浦 雄介 上田 貴子 坂部 晶子 高野 和良 高畑 幸 飯島 真里子 花井 みわ 竹野 学 福本 拓 大久保 明男 倉石 一郎 山本 かほり 田村 将人 田村 将人
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の成果は以下のようである。まず、(1)第二次世界大戦後の東アジアにおけるひとの移動は日本帝国崩壊によって策定された新たな国境線によって引揚げ、送還、残留、定着という大規模な人口移動と社会統合がなされたことを明らかにした。しかし、(2)例えば日韓間の「密航」や中国朝鮮族居住地域と北部朝鮮間の移動のように、冷戦体制が整うまでは依然として残る個々人の戦前期の生活戦略による移動というミクロな側面も継続されていたことを明らかにした。そして、(3)帝国崩壊後も中国に残留した日本人の帰国のように、それは単純に「遅れた帰国」という戦後処理(コロニアリズム)の文脈だけではなく、日中双方における冷戦体制崩壊後のグローバル化の進行という文脈、という二つのモメントに規定されていたことを明らかにした。
著者
田中 和永 小澤 徹 大谷 光春 西田 孝明 山崎 昌男 山田 義雄 柳田 英二 倉田 和浩 足達 慎二 平田 潤 関口 昌由 佐藤 洋平
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

非線型問題の研究を変分的手法により行った. 特に(1) 非線型シュレディンガーおよびその連立系に対する特異摂動問題に関して凝集解の変分的構成を行い, 非常に一般的な設定の下でその存在を示した. (2) 非線型楕円型方程式 (系) の解の存在を種々の設定の下で扱い, 解の新しい変分的構成を与えた. また解の安定性, 不安定性の研究を行った. (3) 空間次元 1 の特異摂動問題においては高振動解の特徴付けと存在結果を与えた.
著者
葛谷 孝文 小林 孝彰 羽根田 正隆 岩崎 研太 田中 友加
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

臓器移植後に使用される各種免疫抑制剤の薬剤暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果について健常人の末梢血リンパ球を用いたin vitroの系で検討した。始めに、添加した免疫抑制剤の洗浄方法について検討を行い、分析機器(シクロスポリン:CLIA法、ミコフェノール酸HPLC)の検出限界以下まで洗浄できていることを確認後以下の実験を行った。CFSE染色した末梢血リンパ球に免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸)添加後、anti-CD3/28 microbeadsで刺激し3日間培養した。培養期間中、刺激1日または2日後に薬剤洗浄を行った。3日間培養後各々の群におけるTリンパ球をCD3で染色し、細胞増殖抑制効果をフローサイトメトリーにより観察し、薬剤間における特徴を比較検討した。その結果シクロスポリンは3日の薬剤暴露に比し1日の暴露後の薬剤除去で同程度のリンパ球増殖抑制効果が観察された(3日の暴露で47±15%の抑制、1日の曝露で37±13%の抑制)。一方、ミコフェノール酸では1日の暴露後の洗浄ではリンパ球増殖は十分抑制されず、暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果に関してシクロスポリンとは異なる傾向を示した(3日の暴露で83±10%の抑制、2日の暴露で73±6%の抑制、1日の暴露で29±11%の抑制)。これらの結果からミコフェニール酸モフェチルは時間に依存した免疫抑制効果を発揮し、シクロスポリンに関しては一度リンパ球の増殖を抑制することにより継続的な効果が期待できることが示唆された。このことはT細胞受容体の刺激後速やかなカルシニューリンの活性を阻害することが重要であり、初期段階の阻害によりその後の細胞増殖はある程度の期間抑制できることが示唆された。
著者
大西 達也
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

実験では鉄磁性体に、外部より交流磁場を印加することで得られる熱させ、医学的な応用を検討した。はじめに様々な鉄磁性体に交流磁場を印可し、発熱を確認した。続いて鉄磁性体に腫瘍細胞に特異的に集積させる機能を持たせることが可能であることを確認した。最後にマウスの背部に生着させた腫瘍に鉄磁性体を注入し交流磁場を励起させることで、腫瘍の縮小効果を確認することに成功した。生体内で鉄磁性体と交流磁場を用いた温熱療法の抗腫瘍効果を確認出来たことは、医学的応用に向けて大きな前進であると考えている。
著者
越谷 重夫 野澤 宗平 北詰 正顕 西田 康二 松田 茂樹 大坪 紀之
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

研究代表者 越谷重夫 は、今回の研究課題に関して、この3年間に以下のような結果を得た。まず第一に、ブルエ予想と大変関連が深い、グラウバーマン対応を通じての2つのブロックの間の関係を、共同研究者のM.ハリス(Harris)と共に研究を行い、対応している2つのブロックの間には森田同値という深い関係がありそして、この関係は明確に捕らえることのできるある両側加群によって誘導されることを証明した。この結果は雑誌Journal of Algebra (Elsevier)に掲載された。また、別の共同研究者の功刀直子と脇克志と共に、有限離散単純群のなかでもかなり大きな群であるヤンコー(Janko)の第4番目の群J4及びすべての素数に対して、ブルエ予想が成立することを証明した。これの結果は、雑誌Journal of Pure and Applied Algebra (Elsevier)に掲載された。また、研究代表者 越谷 は、まず海外では、ドイツ・オーバーヴォルファッハ数学研究所、フランス・リュミニー数学研究所、オックスフォード大学数学研究所、シカゴ大学、イギリス・アバディーン大学、イギリス・ロンドンシティー大学、ドイツ・イェーナ大学、ドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大学、イギリス・リーズ大学、アイルランド・国立大学メイヌース(Maynooth)等で、そして国内においては、京都大学数理解析研究所での研究集会等で、上記の結果を講演発表した。また、研究分担者である功刀直子は、第9回代数群と量子群の表現論研究集会(2006年5月)、および日本数学会代数学分科会年会(2006年9月大阪市立)において、ブルエ予想に関しての特別講演を行った。
著者
中村 良夫 仲間 浩一
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究は、鉄道を始めとする軌道系交通に配慮した都市空間の計画・設計の考え方やその手法を提示することを目標に定め、以下のような具体的成果を得ることが出来た。まず、軌道系交通空間の都市における意味的な位置づけを把握する方向において、1.「地下鉄路線の認知構造に関する研究」を行い、地下鉄の利用者側から見たイメージアビリティとその路線認知のイメージ構造を明らかにし、都内地下鉄路線網のイメージ形成要因を整理した。2.「情景描写からみた駅のイメージに関する基礎的研究」を行い、駅空間の都市における位置づけを明らかにする目的で、「都市の顔」としての駅空間の原初的な特性と、交通網の結節点としての機能獲得と並行して個性喪失が進行した経緯を明らかにした。また今後の都市駅の在り方を国土全体のイメージの縮図として提言した。次に、視点場として軌道系交通空間をとらえ、得られる眺望景観が都市の骨格形成やイメージ形成に与える影響を分析する方向として、1.「ウオーターフロントの景観計画に関する基礎的研究」を行い、昭和初期の臨海都市開発における複合的な機能の接合に際して、鉄道が果たしたパブリックアクセス上の機能的役割、ならびに都市イメージ形成上の役割を明らかにした。また海水浴場の経営にあたっての、開発地域内での水上交通との連係方法を示した。2.「高架鉄道の車窓景観の分析手法に関する研究」において、JR京葉線/東京モノレールなど6路線を対象に、車窓からのシーケンス景観における視野占有要素の露出に着目した数量的評価手法を示した。また形態・文字情報からなる車窓景観の認識パターンや、車窓景観の移り変わりの度合いに着目した評価手法を示した。以上の研究の成果は、軌道系交通を活用した都市計画・設計に有用な知見を提供できるものと期待される。
著者
安田 孝 吉田 司雄 馬場 伸彦
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1920年代後半から1930年代にかけて、大量印刷技術、カメラ、ラジオといった尖端的なテクノロジーの出現に伴い、「文化」が一部の人の占有ではなくなり、より広範な階層に享受された諸相を解明した。これまでの活字メディアである新聞や雑誌も新たな読者を獲得するためにこうしたテクノロジーを積極的に取り入れたことを明らかにした。写真を一つのケース・スタディとして取り上げ、メディア・ミックス状況について考察した。
著者
福元 康文 吉田 徹志 島崎 一彦 土佐 幸雄 西村 安代
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

農薬に頼らない安全な野菜や果実の供給が求められており、新たな殺菌方法としてオゾンが注目されている。しかし、安全性の面から気体でオゾンを利用するには問題があり、オゾンを水と反応させて利用することが有効と考え本研究を行った。マイクロバブルオゾン水は水中でゆっくりと浮上し、オゾンを完全に水中へ溶かし込んで、オゾンが空気中に排出されることがないため安全性が高い。マイクロバブルを用いた場合、水中オゾン溶解濃度は温度が高くなるにつれ低下したが、常に高い溶解能力を示した。水中溶存オゾン濃度の半減期は既存技術と比較すると3倍も長く維持できた。マイクロバブルオゾン水の作物への茎葉への散布ではなんら障害は認められなかった。養液栽培では循環式養液栽培の普及が求められ、培養液のリサイクルでは一部でも病害虫に汚染されると、培養液が循環しているためすべての植物が最悪の場合全滅する恐れがある。マイクロバブルオゾン水によるトマトの青枯れ病予防試験ではオゾン5ppm処理の低濃度接種区で発病を完全に抑制した。なおトマト根部へのオゾン水に対する耐性試験では18ppmの高濃度に対し生育障害は認められなかった。オゾン水の土壌灌注が雑草の発生と生育に及ぼす影響ではオゾン水の土壌灌注回数が増えるにつれ雑草の発芽と生育は抑制された。チンゲンサイの養液哉培(NFT)におけるマイクロバブルオゾン水の利用で生育は促進された。マイクロバブルオゾン水のイチゴへの茎葉散布では生育と果実の収量・品質収量の増加が認められた。これらのことより、マイクロバブルオゾン水を利活用による、農薬に依存しない安心・安全な環境保全型農業の構築への展望が得られた。
著者
岩井 清治
出版者
桜美林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

初年度の研究計画(これまでの研究史・文献資料検索と分析、ドイツ現地調査)に基づき、広く研究史と現状に付いての多くの文献資料を収集し、それらの分析と整理を実施した。報告書に後述するように、テーマと関連する2学会、日本高等教育学会と日本商業教育学会での学会口頭報告、さらに学術論文2本を投稿した。それらは、特に職業教育という本研究テーマの基盤となるドイツの制度分析と特徴、特に実務教育重視の姿勢とその事例研究であり、初年度の研究にとって必要欠くべからざる課題であった。さらに、初年度に最初のドイツでの現地調査を実施、環境保全職種養成の実態調査と環境マネジメント職種の養成について、各企業でのインタビュー調査を実施した。第2年度の平成15年度に於いては、研究計画(ドイツ現地調査によって収集した資料分析と整理、事例研究の文献との照合)に基づき、ドイツの法的な規制のもとにある「環境保全管理責任者」の存在の確認と当該職種の養成、さらに資格保持者の各企業における実態調査、聞き取り調査を実施した。この間、インタビュー調査によるものと聞き取り調査によるものとの資料収集によって、実際に実施されているドイツ企業での環境保全マネジメント担当者の存在と業務の分析を明らかにする事ができた。本研究テーマの核心部分である。この分析によって特に日本の実態との比較を通して、日本における職業教育野方法との対象性を明らかにする事ができたと確信している。これらの研究上の分析は、学術論文2本、口頭報告2本、にして報告した。最終年度平成16年度は、研究を締めくくる計画、成果のまとめと整理、今後の課題に力を注いだ。特に、年度末には、環境保全意識のつよいモンゴルとの交流を踏まえて、国際シンポジウムでの報告、またモンゴル環境大学(エコ・アジア大学)での講演を実施した。現在報告書を纏め、研究図書として出版の準備を進めている。
著者
佐藤 暢哉
出版者
関西学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ニホンザル1頭を対象にエピソード記憶を要する課題を学習させた。3面モニター内にバーチャル迷路を作り出し,その迷路内を,ジョイスティックを用いて自由に移動し,目標物体を見つけ出す課題の訓練をおこなった。サルはそのエピソードを覚え,続く試行ではより早く目標に到達することができるようになった。また,ラットを対象に,8方向の放射状迷路を用いた「いつ」「どこ」「なに」というエピソード記憶を必要とする課題を学習させた。今後,損傷実験やニューロン活動の記録実験を通して,エピソード記憶の神経機構について検討する予定である。