著者
二宮 啓子 内 正子 辻 佐恵子 丸山 浩枝 庄司 靖枝
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

家族参加を強化した学童の生活習慣改善のための一年間の介入プログラムを行い、その効果を明らかにした。参加者は22組の親子であった。介入直後の変化としては、22名中17名の子どもに改善した生活習慣があり、自己管理能力が高まっていた。7家族では、子どもと親の生活習慣の管理に対する意識が高まり、行動変容が見られた。また、介入前、直後、1年後の3時点の調査結果が得られた10組中4組の子どもは介入直後に生活習慣や肥満度が改善し1年後もそれを維持できていた。5組は介入直後に改善したが、介入1年後にはそれを維持できていなかった。1組は改善しなかった。
著者
内田 雄造
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本年度の研究成果は次の通りである。1.なぜ仮設市街地が必要とされたか-阪神淡路大震災後の仮設住宅計画の失敗(1)住民がコミュニティから引き離され、孤立し、無気力になったり孤独死が続出(2)住民がバラバラとなり復興まちづくりに際してコミュニティとしての意見が集約できなかった2.中越震災被災者・山古志住民のための陽光台仮設市街地の実態把握を行った(1)住戸タイプと住戸割当て計画の実態(2)仮設市街地の配置計画3.陽光台仮設市街地における菜園計画と仮設住宅団地内の空地における野菜や花卉の栽培の実態(1)生きがい健康農園の計画と利用実態(2)仮設住宅団地内空地における野菜や花卉の栽培の実態4.陽光台仮設市街地におけるボランティアなどのより住民への生活支援活動の実態把握(1)ボランティアセンターの活動報告書にみる生活行事(2)ボランティアセンターの活動報告書にみる住民への生活支援活動の実態(3)ボランティアによる住民への生活支援に活動の延長としてのLIMOの復興支援員活動5.関東大震災時の(財)同潤会による仮設市街地の建設事例調査(1)仮設市街地建設の経緯(2)仮設市街地の住宅計画と施設計画(3)仮設市街地の「処分計画」と実態
著者
岡田 博美 和田 友孝 六浦 光一 大月 一弘 榎原 博之 棟安 実治
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,情報通信機器の未搭載車両を考慮した上で、衝突回避支援システム(VCASS)搭載車両が走行中の周辺状況の認識とその情報広報を自動的に行うことにより,安全な道路交通を可能とする次世代型システムの開発を行った。研究結果をまとめると以下のようになる。1)非情報化車両の搭乗者のもつ携帯端末に、VCASS機能を代行するシステムを装備し、車両間衝突回避を実現するS-VCASSを開発し、その有効性を実験で確認した。2)歩行者の動きを追尾し、位置予測を行うことにより車両との事故回避支援を行うP-VCASSを新たに開発した。3)関連要素技術として、RFIDシステムを用いた迅速で高精度の測距・位置情報獲得方式として新たにCRR方式、S-CRR方式を開発した。
著者
タレブ タリク
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の分野はConvergence of Networks(ネットワークの融合)として世界的なホットトピックとなっている。現在、次世代ネットワーク(NGN)に関する議論が盛んに行われているが、通信速度やカバレッジなど様々な特徴をもつ次世代ハイブリッドネットワークには、シームレスな接続に加えてセキュリティ問題やアプリケーションが容易に流通できるプラットフォームの開発が緊急かつ重要な課題である。本研究では以下の提案を行い、国内外で高い評価を得た。-ハイブリッドネットワーク向けの新しいQuality of Serviceアーキテクチャーの提案-安定性と効率を両立した経路選択技術の開発-無線、有線ハイブリッドネットワークにおける高効率・高品質な通信プロトコールの提案
著者
宇津宮 孝一 西野 浩明 吉田 和幸 賀川 経夫
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

いつでも,どこでも,何にでもつながるユビキタスなネットワーク環境において,モノとモノとの実物系センサネットワークとインターネットとを相互接続し,複合現実感技術を用いて実空間と仮想空間とを融合した新たなユビキタス環境内で,移動体が協調しながら作業をしていくことを可能にするためのアドホックセンサネットワークの構築法を考案した。
著者
高田 雅美
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

非常に小さい特異値を持つ行列の特異値分解が可能となるように改良を行った. また, 様々な特異値分解アルゴリズムの性能を調べるためのテスト行列の作成法について, まとめた.
著者
前野 譲二 原田 康也 楠元 範明 原田 康成 楠元 範明
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

携帯電話端末上で語彙学習を行うため、インターフェースについて携帯電話の特性を考慮したプロトタイプを作成した。語彙学習に付いて、語彙の難易度に関する検討を行い、約10,000語の語彙について辞書や難易度データーが公表されている指標に基づいて難易度分類を行った。また、学習個別化のために項目応答理論に基づいた出題の自動化に関する検討を行った。
著者
砂原 秀樹 藤川 和利 和泉 順子 森島 直人 垣内 正年 島田 秀輝
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

インターネット上にあふれる情報を収集し処理・公開していくシステムとしてセンサネットワークがあるが, これを安全で安心して利用できるようにするためには、大量の情報源からの情報となる。本研究では、多数のセンサが接続されたインターネット基盤において安定したセキュアの取り扱い、信頼性の確保、攻撃からの保護を実現する基盤技術の開発と運用技術の確立が重要なネットワークを構築・連用する、特に相互監視によって故障・侵略センサノードを自律的に検出し切り離す仕組みと、DDoS等のトラフィックを検出し排除する仕組みの研究開発を目的としている。平成20年度に実施した研究成果としては、センサノード同士が相互に監視し合うことで相手の状態を確認し、相手が出力ずる情報の正当性の検証を行った。これは平成19年度に開発した基盤技術を用い実証実験基盤上の実環境において検証した。サンプリングによって収集したトラフィック情報を解析する事で攻撃トラフィックを検知し、それらの攻撃をミットワークから排除する技術の開発においては、前年度までに開発したセンサのステルス機能と組み合わせることでより強固なセンサネットワーク管理技術の実用化を目指した。また、平成19年度に行った想定される脅威等の分析と対策を用いた実証実験において、ノードの配置手順や登録点准、監視体制等を検討した自律的なセンサネットワークの運用管理技術を検討した。これらの実検証および検討に関しては、国際会議および国内研究会等で研究成果発表を行っている
著者
渡邊 晃
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

移動透過性とアドレス空間透過性の機能を統合し実装を完了した. FreeBSDで開発済みのGSCIPの基本部分をWindowsへ移植し, 安定動作することを確認した. 管理装置の実装を行い基本部分の動作を検証した. CVS(Concurrent Versions System)を用いて管理を実施中であり, ソースコード公開に向けての準備をほぼ完了した. 国内学会の口頭発表13件, 国際会議口頭発表2件, 論文誌掲載2件を達成した.
著者
蓑原 隆
出版者
拓殖大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では広大なアドレス空間を持つIPv6通信を対象としてアドレスに関するプライバシーを高める方法として,複数の中継ノードを利用するアドレス変換,および, Mobile IPv6におけるホームエージェントの多重化による位置プライバシーの保護の方法を提案した.また, Linux上に提案手法を実装し,そのオーバヘッドがネットワークの遅延速度に比べて許容範囲内であることを実験ネットワークで確認した.
著者
佐藤 修二 川端 弘治 野上 大作 川端 弘治 野上 大作
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

我々は、南北両半球に配置された二つの小口径望遠鏡に搭載した観測器(IRSF/SIRIUS+かなた望遠鏡/TRISPEC)を用いて、激変星、原始星、ブレーザー(活動銀河核)、γ線バースト等の現象について同時測光偏光観測した。その膨大なデータはかなたObsLog に保存されている。解析はこれからであるが、強度と偏光とも、数日間のタイムスケールで大きな変動を示す。また、南半球では、銀河磁場を研究している。星形成領域や銀河大域の磁場構造を明快に示した。
著者
中村 覚 吉川 元 伊勢崎 賢治 高橋 和夫 中西 久枝 澤江 史子 栗栖 薫子 森 伸生 北澤 義之 立山 良司 坂井 一成 泉 淳 小林 正英 細井 長 齊藤 嘉臣 末近 浩太 土佐 弘之 木村 修三 小塚 郁也 福田 安志
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本プロジェクトは、国際関係論、安全保障論、中東地域研究の専門家による協働研究を通じて、日本における中東の安全保障問題に関する本格的な研究の基盤づくりを目的とした。また、中東における武力紛争の傾向や特質に関して論ずるのみではなく、短期的な紛争解決と、中長期的な予防レジームの構築に関する課題と可能性に関して考察した。その際に特に、日本への政策的示唆を生み出す視点を重視した。また当該の研究課題の遂行のために必要とされる国外の研究者とのネットワーク作りと同時に、国外への研究成果の発信で成果を上げた。
著者
吉田 典子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は19世紀後半のフランスの自然主義小説、とりわけエミール・ゾラの作品の分析を通じて、近代の資本主義社会の形成と、そこにおける階級やジェンダーの問題を検討するものである。『ルーゴン=マッカール叢書』第8巻の『愛の一ページ』は、その前後に位置する『居酒屋』および『ナナ』と一種の3部作を構成する。『居酒屋』は性的規範の曖昧な労働者階級の世界を描くのに対し、『愛の一ページ』は家庭に閉じこめられた貞淑なブルジョワ階級の女性を描く。そして『ナナ』では、階級とジェが交錯し、金銭に基づく性的交換がおこなわれるモダニティの空間(グリゼルダ・ポロック)が舞台となる。ゾラはこれら3つの領域をパリの都市空間の中に位置づけるとともに、それぞれの領域における女性のセクシュアリティの様相と、遺伝に基づく精神疾患の様々な発現を探求している。一方『ボヌール・デ・ダム百貨店』はモダニティの最前線というべきデパートを舞台にした小説である。ここでも階級要素は混交し、客であるブルジョワ女性と女店員として働く労働者階級の対立があるが、ゾラによれば日々贅沢に接している女店員は、労働者とブルジョワの中間に位置する曖昧な階級を形成する。彼女たちの多くは低賃金であったため、愛人を持たざるを得なかったり、売春をおこなうものもいたが、それに拍車をかけたのは、陳列される商品と売り子の関係の曖昧性である。交換価値が使用価値に取って代わる消費社会においては、あらゆるものが商品となる。そうした状況下で、誘惑に抵抗し、忍耐強く賢明な「女性性」によって経営者のムーレを征服するヒロインのドゥニーズは、資本主義社会における理想の女性像として提示されており、そこにある種の人間味と倫理性を付与する役割を果たしていると思われる。本研究の特色は、これらゾラの小説におけるさまざまな女性のモチーフを、同時代の印象派画家たち-マネ、モネ、ルノワール、ベルト・モリゾなど-との共通性において提示したことである。
著者
高崎 講二
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究では、非定常噴霧燃焼におけるNOx制御方法として、水添加燃料を提案し、まず燃料噴射システムの改良と、燃料と水の噴射率測定装置の製作を行った。燃料噴射システムは、着火に至るまでは燃料のみを噴射し、着火後に水添加した燃料を噴射できることが必要である。本研究では、等圧吸い戻し弁付きの燃料噴射ポンプを用意し、毎サイクルの燃料噴射終了後、噴射ノズルホルダーの燃料通路に水を送り込む装置をそれに付加した。これにより、燃料通路からノズル先端までの燃料が先に噴射され、その後に水添加された燃料が噴射されるようにした。燃料と水の噴射率測定装置は、ボッシュ式の噴射率測定装置では燃料と水の区別ができないため、まったく新しい発想のものが必要となる。本研究では、東工大方式回転円盤形噴射率測定装置が適当と考え、それを改良した回転スリット式のものを製作した。この装置で噴射率を測定した結果、噴射期間中、水が好ましい形で燃料中に分布していることが予想されるデータが得られた。さらに、実際のディーゼル機関のような高温・高圧の燃焼室内では、水添加による噴霧の到達距離の違いが燃焼に大きな影響を及ぼす。そこで、大型のディーゼル機関を使用して燃焼の可視化を行い、噴霧の運動量と到達距離の関係を明らかにした。以上の実験から、この方法による燃焼制御の有用性が明らかとなった。
著者
森田 真司
出版者
群馬工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

研究目的任天堂社のWiiのリモコンは、加速度センサやCMOSセンサ等を搭載し、ワイヤレスをBluetoothで実現するなど多数の優れた機能を持つ。本研究はこのリモコンを他の分野への応用に関して研究することを目的とした。研究方法本研究ではWii本体の代わりにパソコンを利用しBluetoothで送受信するセンサ情報等のデータを解析し、リモコンの各機能を検証した。画面のポインタ操作のためテレビに設置するセンサバーは自作した。本研究ではセンサバーは固定と限定しない。またリモコン側を固定することも考慮に入れた。研究成果本研究の結果、加速度センサの角度の分解能は約1.4度でリモコンからの距離1mでは約2.4cm離れた2点を区別できる。但しリモコンを固定しなければ分解能以上に区別可能である。加速度は±3Gのレンジがあり分解能は0.23m/s^2である。CMOSセンサによる座標分解能は1024であった。以上を踏まえ、福祉、教育、日常生活、建築、スポーツ、レジャー、交通等様々な分野での応用事例を20案程作成した。但し内10案は加速度マンサやBluetooth等の応用が主で、リモコンそのままではなくリモコンや対象物に赤外線LED、GPS、レーダー、温度センサ等を取り付けて改良を施すことでより実践向きとなる。以下に福祉分野の例を簡単に挙げる。「手に障害を持つ人を対象とし、リモコンを頭に取り付け頭の動きでパソコンを制御する。空間上に仮想キーボードを展開しリモコンの位置でキー判定する。」一方でリモコンの使用には問題もある。最大の問題点はWii本体の代用が必要であることおよびソフトウェア開発で、前者はパソコンでの代用やマイコンの搭載等が考えられる。他にも赤外線の照度や遮蔽物等の各種センサの仕様上の問題がある。但し問題点の幾つかは波長フィルタ、リモコンコード等で対処可能であることが分かった。
著者
松井 幸雄 木村 修二 小酒 英範
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

噴射率選定自由度及び制御応答性に優れている燃料噴射系であるコモンレール式を基本に、単発噴射化の改良、燃料噴射圧の向上をまず始めに進めた。単発噴射化は噴射コントローラーの改造と制御プログラムの開発によって対応した。また噴射圧力の向上は特設の増圧ユニットの新規開発によって実現した。上記燃料噴射系の単体性能試験に拠れば、最大噴射圧力は175MPaに至った。一方、噴射率制御に関しては、パイロット噴射、スプリット噴射、N回分割噴射が可能であることを確認した。予圧サプライポンプ、急速圧縮膨張装置の駆動、燃料噴射等の同期を具現化するためのコンピュータ制御システムを完成し、当該噴射系を急速圧縮膨張装置に組み込み、燃焼実験に供した。その結果、着火遅れ期間は噴射圧力の向上やノズル噴孔径の縮小につれて短縮されること、今回の実験範囲では噴射圧力の向上に対する着火遅れ期間短縮傾向は飽和領域に至っていないこと、パイロット噴射によると主噴射燃料の燃焼による燃焼器内圧力上昇率が緩和されること、分割噴射に呼応して複数回熱発生率が出現するものの、遅い噴射に対する熱発生率が緩慢になるなどの挙動が確認できた。さらに、ノズル仕様が噴霧燃焼の燃焼室壁面への熱損失に与える影響を急速圧縮膨張装置による燃焼実験で明らかにするために、ノズルの噴孔径・噴孔数・噴射方向などが燃焼効率と熱損失割合に与える効果の定量的な把握を試みた。その結果、噴霧火炎と燃焼室壁面の接触を極力回避することを狙い、小噴孔径化と噴孔数増加を組み合せると、熱損失は減少するものの、各噴霧間の相互干渉に起因すると考えられる燃焼効率の低下が見られること、この燃焼効率低下を避けるために、噴射角度の異なる噴孔2種を組み合せた二段型ノズルでは、燃焼効率は改善するが、逆に熱損失割合は顕著に増大するなどの実験的事実を得た。
著者
米村 典子
出版者
九州芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

グリゼルダ・ポロックの1998年の論文「モダニティと,女性性の空間」はフェミニズム美術史の中でも,男性/女性,見る/見られるの二項対立構造を脱構築しようとした画期的論文であった.だが結びに至ってポロックは,同性の間でのみ女性は見る主体として自由になれるととれる論調に転じ,二元論に回帰している.本研究では,画家とモデルの見る/見られるの関係が最もむき出しで立ち現れるアトリエという遮蔽された空間に注目し,アトリエにおける女性画家の眼差しの性格を明らかにすることと,それによりポロックのいう「女性性の空間」に従来とは別の角度から批判と展望を加えることを目的とした.・平成9年度1)文献資料収集:印象派の女性画家ベルト・モリゾやメアリ・カサットだけでなく,19世紀後半によりアカデミックな作風で描いた女性画家たちの書簡集,画集などの資料を収集し,検討した.2)視覚資料の収集とデータベース化:個人のアトリエおよび美術学校の教室としてのアトリエの写真を収集し,検討した.女性画家たちの作品やアトリエ内を描いた絵画や写真資料については,スライドに撮影し,コンピュータに画像として取り込みデータベース化した.・平成10年度1)引き続き資料収集の解読・検討,入手した資料のデータベース化を順次行った.2)女性画家の自己イメージをその表像から検討する.この点で興味深い画家として,日本では未紹介のマリー・バシュキルツェフを発掘し,その生涯と作品について調査を行った.・平成11年度バシュキルツェフについては,「「描/書く」女――マリー・バシュキルツェフとフェミニズム美術史」というタイトルで論文集『女性たちの近代』(勁草書房2000年出版予定)においてまとめた.また,研究成果報告書では,ポロックが『女性性の空間」を示しているとしたアトリエのモリゾとモデルの写真の再検証を出発点として,アトリエという空間にいる女性画家という視点からポロックの二元論を回避する新視点を提起した.
著者
坂本 旬 山田 泉 村上 郷子 新井 紀子 菅原 真悟 御園 生純 シヤピロウ ノーマン・P シエラ オフマン・ガーシュ 樋口 浩明 TEP Vuthy 高木 勝正 重松 栄子 中村 優太 佐々木 順子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は、(1)「NetCommons」による文化探究学習の有効性を検証し、(2)文化探究学習理論を活用した「異文化理解」に国連やユネスコによる「メディア情報リテラシー教育」に関する最新理論を融合した教材の作成とその実践を行ないつつ、(3)日本及びアメリカ、カンボジア、中国の初等・中等・高等教育レベルの学校・大学とのICTを活用した協働的な文化交流学習の有効性を実証したことである。本研究の総括として、国際シンポジウム「文化葛藤時代のメディア・リテラシー教育-国連『文明の同盟』と日本の実践・課題」を開催した。
著者
木下 彩栄
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

我々は、認知症の患者や家族介護者の在宅療養支援のツールの一つとしてInformationTechnology(以下ITと略)の有効性に着目し、既存のインフラを利用した双方向性の在宅支援システムを立ち上げるべく、本課題を立案した。京大病院に外来通院する認知症患者を対象群とテレビ電話介入群に分けて各10名ずつ3カ月の介入試験を行った。この結果、テレビ電話による介入は、在宅医療を支援するために簡便かつ有効であることが実証された。
著者
萩原 亨 長谷部 正基
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

警告対策としてグルービングの有効性を高めるため、エゾシカが反応した音の性質を調査し、さらにグルービング音が道路を横断しようとしたエゾシカへの影響を調べた。これらの結果ついて、第62回土木学会北海道支部学術研究会にて発表した。グルービングは、グルービングマシンによって、舗装表面に縦方向または横方向の溝をつけることにより、排水を促進させ、湿潤状態における舗装路面の摩擦係数を増大させようとするものである。車両走行時には、タイヤとの関連によって音が発生する。昨年度、国道238号線の猿払村付近に、エゾシカの警戒声に近い音を出すグルービングを施工した。現地にて、詳細な、グルービング音の計測を実施した。これらの結果から、グルービング走行時の振動音を空間的に推定するモデルを確立した。また、2009秋から冬にかけて施工区間を横断したエゾシカをビデオ観測した。グルービングで発生する2kHz音の継続時間(無音、有音)や音圧がエゾシカに与える影響を調査した。ビデオから、通過車両によるグルービング音が、道路を横断しようとするエゾシカの行動に与える影響を記録できた。横断しようとしたエゾシカが、.横断を中断し、元の場所に戻ったり、警戒したいりする行動がみられた。以上の研究から、警戒声に近い音を道路から発生させることは、エゾシカの行動に影響を与えエゾシカと通行車両との事故を減らす効果があることを明らかにした。ただし、道路のグルービングによる音には限界が多々あり、効果的な対策となるかどうか不十分であることも音響モデルから明らかになった。今後、さらにエゾシカの警戒声を有効にエゾシカ事故対策に生かす方策を模索する必要がある。