著者
町田 隆
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.237-239,a1, 1996-03-01 (Released:2011-08-11)

純農村の北村において, 予期していなかった温泉という地下資源の発見により, 村の中心部の町並みが変わった。これは温泉を利用した施設が相次いで誕生したからである。この温泉水には天然ガスも含まれていることから, 村ではこれらの恵まれた資源の有効利用を図るため, 施設の暖房やビニルハウスでの試験栽培等に取組んだ。本報では, その利用の具体的な事例と中心的な位置付けの赤川鉱山という地下資源利用施設について紹介する。
著者
黒﨑 紘史 白畑 紘夢 川原 潤也 近藤 康人 近藤 健 李 範爽 小田垣 雅人
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.143, no.5, pp.532-538, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

In this study, we developed a capacitive seating analysis sensor using a conductive textile for evaluating a Seating Motion. Physical burden on caregivers is a common problem at nursing care sites. Developing long-term caregiving skills can help reduce the physical burden on amateur caregivers. Several quantitative evaluation studies have focused on the skills of caregivers. However, such evaluation is highly expensive and require huge area because it involves the use of motion capture systems with several 3D cameras for dynamic motion analysis. In our previous study, we developed a conductive textile sensor for measuring the seating position of a care recipient in a wheelchair. The sensor could measure either seating body pressure or distance between the buttocks and the seat. The system can measure the care recipient's motion without requiring any motion capture system. We recommend using the sensor to evaluate the skills of caregivers; the sensor output can be used to determine the seating speed of the care recipient on the chair. Herein, we report the validity of the measurement system comprising a conductive textile-based capacitive seating analysis sensor for evaluating seating in nursing care.
著者
小澤 俊介 内元 清貴 伝 康晴
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.379-401, 2014-04-18 (Released:2014-07-17)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

言語研究において,新しい品詞体系を用いる場合には,既存の辞書やコーパス,解析器では対応できないことが多いため,これらを再構築する必要がある.これらのうち,辞書とコーパスは再利用できることが少なく,新たに構築する場合が多い.一方,解析器は既存のものを改良することで対応できることが多いものの,どのような改良が必要かは明らかになっていない.本論文では,品詞体系の異なるコーパスの解析に必要となる解析器の改良点を明らかにするためのケーススタディとして,品詞体系の異なる日本語話し言葉コーパス(以下,CSJ)と現代日本語書き言葉均衡コーパス(以下,BCCWJ)を利用して,長単位情報を自動付与した場合に生じる誤りを軽減する方策について述べる.具体的には,CSJ を基に構築した長単位解析器をBCCWJへ適用するため,CSJ と BCCWJ の形態論情報における相違点に応じて,長単位解析器の学習に用いる素性やラベルを改善した.評価実験により提案手法の有効性を示す.
著者
杤原 篤
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.30-36, 2009 (Released:2019-09-15)

本論文では、心霊治療という現象を解明するため、心霊治療者 A氏(60才女性)にインタビューを実施し、得られた事例を考察 した。その結果、事例の説明は、ユング心理学の概念を使うのが 比較的妥当と考えた。また、総合考察として以下の3点を得た。 ①心霊治療は、相談者の深い無意識にある元型に触れることで行 われる。その際に“墓”や“祖先”という元型に通じるイメージ を使う。また“儀式”それ自体が元型である可能性も考えた。② 心霊治療と心理治療の相違点は、前者は「対処策を指示する」が、 後者は「主体性を尊重する」点。また、前者は「特定の神話」を 提供するが、後者は「個人の神話」を模索する点である。共通点 は、両者とも意味を感じ取る見守り手が存在して共時現象が起 こっている点である。③A氏の直観は、いわば「元型への共感」 であり、心理療法家にも必要な能力かもしれない。共時現象の検討は今後の課題とした。
著者
山本 和史
出版者
日本労務学会
雑誌
日本労務学会誌 (ISSN:18813828)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.4-20, 2017-06-01 (Released:2018-06-01)
参考文献数
34
被引用文献数
2

This study identifies issues with and countermeasures for the hiring of new graduates in small and medium-sized enterprise (SMEs) while considering the differences in such hiring behavior among large firms. Differences between large firms and SMEs were confirmed to understand the characteristics of hiring behaviors in SMEs, the subject of the research, and the research focus was subsequently narrowed. Issues with SMEs were (1) population formation due to the low brand power for hiring; (2) shortages of human resources for hiring and know-how; and (3) trade-offs between early informal job offers through RJP initiatives and early turnover rates. The study then examined how SMEs that focus on these selected issues, and those that are successful in hiring, respond to these issues. The results of the analysis were as follows.First, regarding population formation, SMEs used different methods from large firms by strategically coordinating the timing of hiring new graduates and using unique promotion methods and channels such as Facebook, other social media, and dedicated websites.Second, in response to a lack of human resources, SMEs used outside professionals if there was no hiring know-how in the company. In addition, executives and employees outside of human resources aggressively participated in hiring. However, there were risks in hiring behavior where there were no partnerships with executives or those responsible for human resources.Third, for RJP, many employees, including executives, participated in hiring rather than having the human resources group lead the process. This increased opportunities for different types of communication with students. With SMEs in particular, there is a risk of informal offers being turned down when they are simply given information on the work environment, whereas sympathetically sharing information, such as workplace experience via other hirees (in actual internships) or even the traditional company briefing, produced results.Based on these cases, successful measures for SMEs are those that are unique to each company rather than the imitation of hiring methods used by large firms. However, these measures are not shared among SMEs. If effective ways for hiring new graduates can be shared outside individual companies and with society as a whole, then they can be useful in reducing mismatches in the new graduate labor market.
著者
浜本 篤史
出版者
観光学術学会
雑誌
観光学評論 (ISSN:21876649)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.95-110, 2019 (Released:2021-09-30)

本研究では、日本において生じている中国人観光客のマナー問題について、宿泊予約サイトのクチコミ・データを用いて、問題認識や不満等を分析した。具体的には、「楽天トラベル」における18宿泊施設に対するクチコミデータ914件(2007年1月~2016年12月)を分析対象とし、テキストマイニングツールであるKH Coderを用いて、頻出語のピックアップや共起ネットワーク分析、対応分析等をおこなった。その結果、日本人宿泊客にとってマナー問題が生起するシーンと具体的状況は、部屋(騒音)、大浴場(入浴方法)、朝食会場(混雑・騒音・食べ漁り・席取り)、フロント前(混雑)にほぼ集約されることが確認された。また時系列的には、この十年間で中国人旅行客のマナー問題に対するクチコミは大きく変化していない。対応策としては、騒音や入浴マナーについて宿泊施設が注意喚起すべきという意見がまず多く、フロアや朝食会場を分ける提案も一定程度みられた。ほかに、宿泊施設スタッフの疲弊がしばしば観察されていることも把握されたが、マナー問題の責任主体が中国人旅行者自身なのか宿泊施設にあるとみなされているのかは、認識変化の有無も含めて慎重に見極める必要性があることも示唆された。
著者
叢 敏 菊池 多賀夫
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-5, 1998-06-25 (Released:2017-01-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

山火事跡地の先駆植物として,種子から発芽して来る代表的な種のうちヒヨドリジョウゴ,ヒメコウゾ,ヨウシュヤマゴボウ,ノブドウ,ヤマブドウ,サルトリイバラ,オオイヌタデ,ツユクサ,サンショウ,モミジイチゴ,クマイチゴ,ニガイチゴについて,一旦発芽培養を行って発芽するものは発芽させ,その後,未発芽で残った種子に対する加熱発芽反応を調べた.その結果,ヒヨドリジョウゴ,ヒメコウゾ,ヨウシュヤマゴボウ,ノブドウ,ヤマブドウ,サルトリイバラに加熱による発芽促進効果が見られた.このような発芽特性は乾燥保存種子の特性とは異なる独自のものであり,湿潤気候に適合する特性であることが示唆された.
著者
小菅 貞良 竹内 徳男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.69-73, 1962-04-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
5
被引用文献数
2

とうがらし果実の辛味成分利用に関連する基礎事項の研究および測定を行なった。すなわちカプサイシノイドの水に対する溶解度,ならびに水および弱アルカリ液による抽出率の測定,防腐,防カビ性および糸状菌による分解消失などの試験を行なった。そしてとうがらし果実よりカプサイシノイドの水による抽出率はきわめて低く,弱アルカリ溶液によりほとんど完全に抽出されるのを認めた。またカプサイシノイドは防腐,防カビ性はまったく無く,逆に糸状菌によりほとんど完全に分解されるのを認めた。
著者
谷口 明展 香川 大輔 浦邉 啓太 賀嶋 直隆 永井 由佳 西村 由美
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.57-61, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
12

超高齢化社会となり,認知症高齢者数も増加している.認知症患者の服薬管理は困難を要することがあり,MMSE のスコアによっては適切な服薬支援でないと服薬できないことも多くあるためMMSE を活用した薬剤師による在宅服薬支援によって服用率が改善した3 症例を報告する.症例1 では,MMSE 26点でありお薬カレンダーによる自己管理と,ヘルパーによる声掛けによる在宅服薬支援の結果,服用率が7%向上した.症例2 では,MMSE 21 点でありお薬カレンダーと家族による電話による服薬刺激,薬剤師とヘルパーによる配薬と声掛けという服薬支援により服用率が4.8%向上した.症例3 では,MMSE 23 点であり,ヘルパー協力のもとお薬カレンダー利用により服用率が2.3%向上した,薬剤師により在宅の認知症患者への服薬支援最適化のためMMSE を活用することは服用率改善に効果が期待できると考えられる.
著者
小松 謙之 山内 健生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.25-31, 2022-03-25 (Released:2022-03-28)
参考文献数
61

2015年から2020年にかけて,茨城県,埼玉県,東京都,神奈川県,長野県,静岡県においてツバメ類3種の巣に生息する節足動物を調べた.巣の数は,ツバメが51個,イワツバメとヒメアマツバメが各6個の合計63個であった.巣から7目13種以上の節足動物が採集された.吸血動物に関しては,ツバメの巣からはシラミバエ類29個体(検出率10%),ニワトリノミ81個体(検出率2%),ツバメヒメダニ46個体(検出率3%)の虫体を得た.トリサシダニとスズメサシダニについては,両種とも検出率13%であった.イワツバメの巣からはツバメトコジラミ1,699個体(検出率83%),シラミバエ類88個体(検出率83%),スズメトリノミ50個体(検出率67%),ツバメヒメダニ359個体(検出率67%)が得られた.ヒメアマツバメの巣からは重要な吸血動物は得られなかった.今回の調査で,ニワトリノミとツバメヒメダニがツバメの巣から初めて採集された.イワツバメシラミバエは我が国のツバメの巣から初めて発見された.ニワトリノミとツバメヒメダニはツバメの新しい巣(巣を撤去した年に営巣)からは得られなかったが古い巣(以前からあった巣の上に営巣され,巣を撤去した年まで使用)から採集され(検出率は両種とも12.5%),新しい巣と古い巣における検出率に有意差がみられた.
著者
小松 謙之 仲村 昇 山内 健生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.223-225, 2016-12-25 (Released:2017-10-12)
参考文献数
9
被引用文献数
3 5

Human infestation of the swallow bug Oeciacus hirundinis (Hemiptera: Cimicidae) was confirmed in an apartment complex in the suburbs of Tokyo. Source of the bugs were nests of house martin Delichon dasypus attached to the outer wall. Swallow bugs were successfully eradicated from the room by applying heat and pesticide treatment for bedbugs. Bugs could be kept under captivity by feeding fetal mouse twice a month. We experimentally confirmed infestation by O. hirundinis. This report is the first confirmed human infestation and eradication case of the swallow bug in Japan. Since house martins are a common migratory bird in Japan, potential cases of human infestation may not be rare. In the future, it will be necessary to investigate bedbugs and their prevention, for preventing recurrence and identifying the kind and the nest building of the outside bird.
著者
姜 信善 相川 一哉
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-20, 2009-11

本研究では,アイデンティティ・ステイタスの差により,理想自己と現実自己とのズレにおけるとらえ及び対処がどのように異なるのかを調べる。そのことからアイデンティ・ステイタスによって,理想自己と現実自己とのズレはどのようにとらえられ,具体的にどのような対処がなされるのかを明らかにすることができ,自己概念の形成について何らかの示唆が与えられるのではないだろうか。この点について検討することが,本研究の目的である。
著者
亀井 文 星 千裕
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = BULLETIN OF MIYAGI UNIVERSITY OF EDUCATION (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.165-170, 2023-03-31

レジスタントスターチ(RS)は、食物繊維と類似の生理作用を持つ機能性成分として注目されている。本研究においては米飯の炊飯直後から約20℃までの温度降下の初期老化過程において、米飯のRS含量がどのように変化するかをおにぎりの形態で明らかにすることを目的とした。炊飯後すぐにおにぎりを作製し、①おにぎりを皿に置き、そのまま放冷と②おにぎりを皿に置き、皿ごとラップをかぶせて放冷の2条件で2時間室温放冷したときの温度変化とRS量の経時変化を比較検討した。①の条件下では、温度は0分から30分において急激に低下しRS量は時間経過ごとに有意にRS量は増加した。②の条件下では、温度の低下は①の条件の温度低下と比べて緩やかな低下となり、時間の経過によるRS量に有意な差は見られなかった。このことから、老化が始まるとされる60℃までのおにぎりの急激な温度低下とその後の継続的な温度低下がRSの生成に関わることが示唆された。