著者
戸倉 和 比田井 洋史 平田 敦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

レーザ光を水存在下で固体に照射すると固体表面で加熱されるばかりか,高温の水との反応や水が分解されて生じるラジカルと気体との反応が期待できる.本研究ではこのような反応を期待し,立方晶窒化ホウ素(cBN)の水熱加工を行なおうとするものである.そこで脱気した超純水,メタン,水素,酸素を溶存させ水,これにエキシマレーザ光(193nm),アルゴンイオンレーザ光,YAGレーザ光を照射して,ポリクロメータで活性種の発生状態を測定するとともに,写真により発光を観察した.その結果,水の構成元素ラジカルの生成を確認するとともに,メタンを溶存させた水では水面に膜が生成されることを見いだした.この膜の性質を調査し,粒径20nm程度の超微粒子から構成される網目構造の炭素膜であることがわかった.このことは炭素系超微粒子合成の道を開くものとして期待できる.これと平行して,大粒の単結晶cBNおよび窒化ケイ素に水中でエキシマレーザ光および可視光のアルゴンイオンレーザ光を照射した.窒化ケイ素では試料から離してエキシマレーザ光を照射しても表面にエッチング模様が現れた.これは上で述べた水の活性種によるものと考えられる.また,cBNにアルゴンイオンレーザを照射すると,アンモニアの発生が確認できるとともに,空気中での照射による形態とは異なる表面が得られた.これは高温で水との反応による化学作用と理解でき,水熱加工への展望が開けたものと理解できる.これら水雰囲気での一連の照射実験では飽和水蒸気中でのレーザ光照射も行った.エキシマレーザを飽和水蒸気圧下で照射した場合,照射容器であるアクリルが瞬時に曇ってしまった.これは生成された活性種によるアクリルとの化学反応が生じたものであり,レーザクリーニングへの知見を与えるものである.
著者
宮崎 英昭 和田 節子 一本 潔
出版者
国立天文台
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

太陽内部の三次元構造とダイナミクスを探るために、太陽表面に見られる大規模な振動、速度場、磁場等を高い精度で測定し、太陽内部構造を研究しようとする目的で、我々は、新しい光学フィルター(磁気光学フィルター・MOF・Magneto Optical Filter)の開発を1986年に着手した。磁気光学フィルターは、極めて狭い透過巾、大きな透過率、波長の絶対精度が保障されているという、天体の速度場、磁場測定用として極めて優れた性能を持つフィルターであるが、その構造からくる不安定さのため、他国の研究開発に於ても、未だ完全なものは作られていなかった。このフィルターは、強い磁場中に化学的活性度の高い高温のナトリウム蒸気を長時間安定に保持し、磁気光学効果(逆ゼーマン効果とファラデー効果)を利用して、極めて狭帯域の透過帯を実現するもので、その製作は困難なものであった。MOFは、イタリアのCaccianiによって試作されたコールドセル型が存在するが、この方式は、フィルターセルの入出射窓の温度が、ほぼ室温に冷えているため、ナトリウム溜めを加熱して発生したナトリウム蒸気の一部が、露点現象でセルの内面に付着、反応して入出射窓が曇ってしまうため、長時間の使用に耐えない。我々は、半恒久的に使用できる高温ガス還流型のフィルターの開発を数年に亘り手懸けてきたが開発課程で見出だされた問題点を一つ一つ解決した結果、観測に応用できる安定なフィルターの製作に成功した。我々の開発したフィルターは、セル全体を一定の高温(200℃前後)に温度制御したホットセル型で、内面が曇ること無く、また、ナトリウムとの反応性の低い材料の開発等により、長時間に亙り使用可能なフィルターを実現した。ここに、その開発過程および成果について報告する。太陽表面の速度場データの取得が始まったばかりなので、データ解析の結果に関しては、今後、別の形で報告する事とする。
著者
阿部 豊 阿部 彩子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1.南北一次元エネルギーバランスモデル(EBM)を用いた検討:拡散近似の南北一次元エネルギーバランスモデルを構築し、離心率と自転軸傾斜の影響を吟味した(1)気候レジームは年平均日射、最大日射、最小日射に複雑に依存まる。(2)離心率の増大で年平均日射が大きくなるため概して温暖化する。(3)一般に離心率の増大によって気候の多重状態は解消する。(4)近日点での一時的な暴走状態の発生が、平均的な気候状態や生物生存可能性に大きな影響を与える。(5)自転軸傾斜角、離心率、軌道長半径は一定のままでも、歳差運動(春分点と近日点の位置関係の変化)によって気候モードが変化する惑星が存在する。(6)年間の温度変化幅は傾斜角の大小と歳差運動によって大きく変わる2.大気大循環モデル(GCM)を用いた検討:地球大気用に気候システム研究センターと国立環境科学研究所で共同開発してきたCCSR/NIES AGCM 5.4gを使用して、理想的な惑星(現在の地球大気、地球サイズ)のモデルを作り、離心率を変化させる実験をすすめた。(1)定性的にはEBMを用いた結果と一致するが、やや寒冷化する傾向がある。(2)地面状態の違いによって、離心率が増大したときに暖かくなる場合と寒くなる場合がある。(3)降水分布の年変化は自転軸傾斜による直立・傾斜レジームと離心率による溜め込み・放出サイクルの合成されたものとして理解できる。3.生存可能性について:(1)熱容量が大きい場合、年平均日射が最も重要である。(2)歳差運動まで考慮すると、生存可能な緯度帯を持つ惑星の軌道は自転軸が少しでも傾くと離心率が小さい範囲に制限される
著者
松本 良 荻原 成騎 徳山 英一 芦 寿一郎 町山 栄章 沼波 秀樹 小池 義夫 大出 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、海洋のガスハイドレートが地球環境へどのような影響を与えうるか、また現に与えつつあるかを、地質学、地球物理学、海洋生物学など異なるアプローチで総合的に解明することである。3年間の調査を通じて、以下を明らかにした。1. 日本海、直江津沖では「海鷹丸」による調査航海を3回、海洋機構の「なつしま」で2回、「かいよう」で1回の調査を行なった。2. 日本海の調査海域で強いメタンの湧出域を確認した。メタンはプルームとして海面近くまで立ち上がり、表層海水にメタンを供給していることが分かった。メタンプルームが立ち上がる日本海の底層水は温度が非常に低く、ガスハイドレートの安定領域に含まれる。従って、メタンバブルの表層にはガスハイドレートが形成されると予想され,この事が高さ600mものメタンプルームの発達要因である。3. 潜航艇による調査で、海底にガスハイドレートが露出していることを確認した。これは本邦周辺では始めての発見である。このことは、海底下からのメタンフラックスが高いことを示す。4. 水温が低いため海底の生物相は単純で、分布密度低は低いが、メタンプルーム付近ではバクテリアのコロニー、ハナシガイなどの化学合成生物、さらに食物連鎖の頂上にベニズワイガニが存在している。5.メタンプルームが発達する海脚上には直径約500mの凹地(ポックマーク)が発達する。当初、この凹地がメタン湧出源と予想したが、実際は、ポックマークは非活動的であり、堆積物で埋められている。この事は、過去に今よりも激しいメタン湧出があったことを示唆する。6. もう一つの調査海域、下北半島東方では、2年目に海洋機構の「淡青丸」による調査を行なった。ここでは、メタン湧出を確認することはできなかったが、海底下に強いBSR反射面が発達することが分かっており、ガスハイドレートが発達することは明らかである。
著者
赤尾 光昭 今中 常雄
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

申請者らは漢方方剤が経口服用されることに着目し、著明な配糖体成分の経口投与後のラット体内動態、薬効発現について検討を行ってきた。ポリフェノール配糖体であるバイカリンはユニークな動態を示し、特に腸管での代謝、排出がその動態に大きく関わっていた。現在、強力な抗酸化作用で注目されているポリフェノール類のバイオアベイラビリティーは極端に低く、in vivoでの効果には疑義がある。そこで、ポリフェノール類の動態に及ぼす消化管の寄与について検討することを目的としている。代表的ポリフェノールであるエピカテキン及びケルセチン、さらにlithospermate Bについて検討し、いずれも腸管から吸収されにくいことを明らかにした。特に、lithospermate Bはわずかに吸収されたものも速やかに肝臓でメチル化され胆汁中に排出されるため、血中にはほとんど検出されなかった。バイカリンのユニークな動態の腸管代謝として、配糖体であるバイカリンは腸管上皮細胞への取り込みも僅かであるが、アグリコンであるバイカレインは腸管上皮細胞には取り込まれる。しかし、取り込まれたバイカレインは速やかにバイカリンへと抱合され、血液側ではなく管空側へ排出されるため、やはり難吸収性であった。この腸管上皮細胞からのバイカリン排出は、自然発症MRP2欠損ラットEisai hyperbilirubinemic ratの空腸反転腸管において有意に低く、さらにバイカレイン経口投与後の本ラット血中バイカリンのAUC値が通常ラットより5倍高く、バイカリン排出にMRP2が関与することが示唆された。また、ヒト腸管薬物動態in vitroモデル系であるヒト結腸癌由来Caco-2細胞においても、バイカリンの取り込みはわずかであるが、バイカレインは速やかに取り込まれた。この際も、取り込まれたバイカレインは速やかにバイカリンへと抱合され、バイカリンは主に頂側膜側に排出された。その排出はMRP2選択的阻害剤で抑制され、Caco-2細胞においてもバイカリン排出にMRP2が関わっていることが明らかとなり、ヒト腸管においてもラット同様のユニークなバイカリン動態が推測された。ヒトにおいてもラット同様、ポリフェノール類の腸管における吸収、代謝、排出がバイオアベイラビリティーに大きく関わっていることが示唆された。
著者
仲地 博
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

全体像を示すものとして「沖縄自立構想の歴史的展開」を研究し、沖縄には自治の豊かな土壌があり、琉球王国、明治政府下の特別な扱い、米軍占領の歴史的背景の下で構想力豊かな自治自立の提言がなされてきたかを明らかにした。個別論点としては、「復帰」の意味を問うた「沖縄県の誕生」と故玉野井芳郎の提唱した「地域主義と沖縄自治憲章」について考察した。ヒヤリングは、島袋清徳(元伊江村長)、比嘉茂政(元琉球政府地方課係長、元恩納村長、元県副知事)、座喜味たけ好(元復帰準備委員会琉球政府代表補佐、元県副知事、元沖縄電力社長)に行った。
著者
舘野 佑介
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究では、オリゴシアル酸、ヘパラン硫酸の機能解明、標的蛋白質の探索を目指し、糖鎖の効率的な合成法の開発、生体適合性有機ナノスフィアの開発を行い、探索研究の新たな方法論の開拓を目的としている。本年度は特にヘパラン硫酸に着目し、その効率的な合成法の開発を行った。無保護糖鎖の供給しナノスフィアに固定化することで、探索研究を行う。しかし、ヘパラン硫酸の脱保護を行う十分な手法は確立されていない。これは、脱保護体が多数の高極性官能基を有するため非常に高極性となり、通常の分液操作やカラム精製が困難だからである。そこでフルオラスタグを導入し、対応する精製操作を行うことで効率的に無保護糖鎖を合成する手法を開発することとした。また糖鎖同士を連結する手法に関してもより効率的な手法を開発することとした。1)まず、糖鎖伸長法の開発を行った。通常用いられるグルコサミンの2位がアジド基のアクセプターを、グルコサミンの2位がトロック基のアクセプターを変更することで、糖鎖同士の連結反応の反応性が大きく向上することを見出し、4糖同士の連結を行うことで12糖保護体の合成に成功した。2)次に糖鎖の脱保護を行った。得られた保護糖鎖に対し、フルオラスタグを導入することで各種反応後の精製操作が容易になり、4糖体3種、8糖体1種、12糖体2種の計6種のヘパラン硫酸の合成に成功した(年次計画3)。今後、生体適合性有機ナノスフィアの開発を行い、合成した糖鎖を固定化し、探索研究を行っていこうと考えている。(年次計画4)。
著者
三浦 孝一 河瀬 元明 蘆田 隆一
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では,固体であるイオン交換樹脂を原料とし,触媒金属イオンをイオン交換で高濃度・高分散担持させてから熱処理することによって,直径3~5 nmの一様な球形かつ中空状の構造を有する新規なナノ構造炭素「カーボンナノスフィア」を合成することに成功した。カーボンナノスフィアのBET表面積は1000 m2/g前後に達し,電気二重層キャパシタの電極材料として使用したところ,作成した電極は高速充放電特性に優れることが明らかになった。
著者
伊集院 壮
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

細胞増殖や細胞内物質輸送など様々な細胞内シグナル伝達を司るホスファチジルイノシトール3リン酸(PIP3)は、PIP3の脱リン酸化酵素であるSKIPやPTENによって細胞内において時間的にも空間的にも精緻に制御されていることを明らかにした。この結果はがんや糖尿病の一因を知る上で有力な手がかりとなると期待される。
著者
伊集院 良祐
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、一酸化窒素合成酵素(NOS)のPETイメージングを目的として、その分子プローブ開発およびプローブ合成における標識反応の開発を行った。反応開発として、PET標識条件下における炭素-炭素結合、特に最も反応性の低いsp^3-sp^3カップリング反応を放射条件下において行うことに成功した。現在、所属研究室ではsp-sp^3、sp^2-sp^3カップリング反応を効率的に行うことができているが、sp^3-sp^3カップリング反応に成功したことにより、さらに多くの化合物への標識が可能となるものである。
著者
新正 裕尚 折橋 裕二 安田 敦
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

スラブ融解メルトとマントルかんらん岩の反応について理解を深めることを目的として,スラブ融解に関連すると考えられる高温の沈み込みがあった場所の火成岩の研究と,高温高圧実験による研究を行なった.そして以下のような成果があった.(1)マントル最上部に相当する1GPaの条件下でカンラン石とデイサイト質メルトとの反応実験を行なった.そして実験生成物の微量元素組成をレーザーアブレーションICP質量分析計(L、A・ICP・MS)を用いて測定した.50μm径を超える斜方輝石および単斜輝石を成長させることに成功し,斜方輝石および単斜輝石とデイサイト質メルト間の分配係数をおよそ25元素について決定した.斜方輝石については,軽希土類をはじめとする液相濃集元素の珪長質メルトに対する分配係数が苦鉄質メルトより大きいという従来指摘されていた組成依存性に反して,苦鉄質メルトと差がない分配係数を得た.(2)高温の四国海盆の沈み込みに関連した,西南日本弧の海溝寄り地域の中新世火成岩について研究を行なった.ザクロ石が安定な高圧下での融解により形成された珪長質火成岩が広域的に分布することを見出すとともに,海溝に近接した場所での大量のS-type花こう岩質マグマの成因について議論した.(3)南米アンデス弧の中でも,Chile Riseの沈み込む場所に近接する,Southern Volcanic Zoneの第四紀フロント火山の全岩化学組成の島弧伸長方向の変化傾向について研究を行い,火山弧下のスラブ年齢が古くなるにつれて,沈み込む堆積物由来成分のマグマソースへの寄与が大きくなることを明らかにした.(4)ジルコンをはじめとする鉱物のレーザーアブレーションICP質量分析法による微小領域分析について鉱物間の分配係数の決定や年代測定法について成果があった.
著者
田吹 亮一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では琉球列島の浅海性の現生および化石貝形虫の殻に見られる捕食痕の形態の特徴と貝形虫種の生態との関連を明らかにするとともに、捕食痕を形成した捕食者の特定を試みた。具体的には、現生貝形虫として石西礁および瀬底島礁池からの貝形虫遺がいを、化石貝形虫として知念砂層(更新統)からの貝形虫化石を研究対象とした。捕食痕は貝形虫の殻の外表面から内側に貫通した穴で、その3次元的形態により、「パラボラ型」、「円筒型」、「不定形」に分けられる(但し、「不定形」は定まった形態を示さない捕食痕の集合体)。又、殻に捕食痕の見られる貝形虫は、生態的には、砂底種、泥底種、葉上種に分けられる。現生貝形虫では、葉上種に多く捕食痕が見られた。ボーリング痕であるパラボラ型、円筒型の捕食痕、さらには不定形(一部)のボーリング痕の形成者として、Naticidae、Muricidaeの肉食性巻貝が想定されているが(Maddocks,1998)、これら巻貝は砂泥底にのみ生息する事から、葉上種については、他にボーリング痕の形成者を探さなければならない。不定形の捕食痕の周辺の殻表面には、削り痕、引っ掻き傷、あるいは酸により溶かされた痕と見えるものが多い。このことから、不定形の捕食痕にはボーリング痕の他、(例えば、小型の十脚類などが)割ったり、突き刺したりした痕と考えられるものも含まれる。上記の選択的捕食者による3タイプの捕食痕とは別に、ナマコ等の非選択的捕食者の消化管内での溶解、又は無機的溶解の結果、貝形虫殻の一部に空いた穴も見られる。捕食痕を残した捕食者を特定するための飼育実験を水槽内で行ったが、残念ながら、捕食者の特定に至らなかった。今後の実験の課題として、飼育容器内の水質を良好に保つこと、捕食のための口器等を手掛かりに、捕食者候補を絞っていく必要があること等が挙げられる。
著者
柏木 敬子
出版者
千葉科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

細胞増殖因子ポリアミン(プトレスシン、スペルミジン、スペルミン)の輸送機構の解明とポリアミンによるNMDA受容体活性調節機構解明を目指し研究を行った。その結果、新たにスペルミジン排出系を同定し、ポリアミン取り込み系に関して活性に関わるアミノ酸残基を同定した。また、スペルミンにより活性調節を受けるNMDA受容体の調節領域(Rdomain)の性質を明らかにすると共に、チャネル領域のスペルミン調節部位を同定した。
著者
村上 俊之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では, 機械システムによる人の動作支援制御の体系化を1つの目的とし, 電動自転車のパワーアシスト制御を外乱の切り分けアルゴリズムにより実現した. ここでは, 自転車のステアリングアクチュエータによる姿勢安定化アシスト制御, 走行駆動アクチュエータによる走行負荷低減アシスト制御に関して提案を行い実験的検証を行った.
著者
藤井 聡 谷口 綾子 羽鳥 剛史
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,従前までに実施してきた社会実験的MMを継続的に実施するとともに,現地ヒアリング調査等を通じて,これらのMMの長期的効果を含む,様々な効果を測定した.そして,そこで得られた知見を踏まえて,今後,本格的な大規模MMを,我が国の実際の行政で行っていくことを目指して,これまでよりもより大規模(数千〜1万世帯程度)な世帯を対象とした社会実験的MMを実際に推進し,本格的なMMの実務的展開に向けての課題やMM施策の効果を検証した.その結果,MM施策実施後,渋滞緩和効果や態度変容効果が確認されたいくつかの事例において,その効果が継続的に持続していることが示され,MMの長期的効果が認められた.また,複数の手法を同時に用いた本格的MMを実施し,公共交通の利用者数増加や道路交通の変化などの効果を定量的に検証したところ,対象地域においてMM実施による集計的な効果が確認された.そして,複数種類のMM施策の効果を比較分析することによって,それぞれの施策の相対的な効果や特質を把握することができ,MMの実務的展開に資する知見を得ることが出来た.また,大規模MMの効果を検証するため,50万世帯に配布されている地域新聞を活用し,読者に「かしこいクルマの使い方」を呼びかけると共に,TFPへの参加を呼びかける大規模なMMを実施した.その結果,メディアを通じたコミュニケーションのみでも,読者の態度・行動変容を見込めることが示された.さらに,本取り組みの費用対効果について検討したところ,一定の費用対効果が見込めることが示された.
著者
金子 一史
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

3ヵ月児健診において,産後抑うつと母親から乳児に対する愛着に関する調査を行った.その結果, 抑うつと愛着には,中程度の関連が認められた.高得点者となった母親に対しては、その場で問診を行った.問診の結果支援が必要と判断された場合は、経過をフォローした.また、ケース処遇会議を毎月開催した.通常の乳幼児健診における産後うつ病への介入システムを考案し,愛知県内の自治体にて実際に実施した.これらにより,地域住民の健康増進に貢献することができた.
著者
河野 俊行 小島 立 早川 吉尚 大杉 謙一 久保田 隆 松下 淳一 早川 眞一郎 佐野 寛 野村 美明 神前 禎 中野 俊一郎 多田 望 西谷 祐子
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

本領域は平成16年度に開始し平成21年度が最終年度であった。しかし全体の取り纏めのために本補助金を申請したところである。その取り纏め事項の主な事柄としては、全体の取り纏め的業績発表と、集積した判例データの今後の活用方策を明らかにすることの二点であった。前者については各班の代表者による分野別レポートを取り纏め、Japanese Yearbook of International Law 53巻に掲載されたところである。後者については、1001件の判例英文データを取りそろえたプロジェクトはこれまでになく、このデータの価値を維持するためには新判例を継続的に翻訳して加えてゆくことが必要となるところ、領域終了後補助金なしでそれを可能にするための方策が必要であった。そこでそのための方策として、民間企業にデータを移管し、営利ベースで継続することが最も持続性が高いと判断された。そこで複数の民間業者と協議を重ね、本報告書執筆時点では一社に絞られた。2008年の経済危機の影響でリーガルビジネスは多大な影響を受けた。この経済危機と日本政府が導入した破たん企業救済策がリーガルビジネスに与えた影響は大きく、それを踏まえた持続可能な営利ベースのモデルの協議に予想以上の時間が必要となった。ほぼ1年かけて試行錯誤してきたが、ようやく形が見えてきたところである。また最近、この企業のアメリカ本社の担当役員とテレカンファレンスを行い、さらに協議を進めえたところである。
著者
田口 紀子 吉川 一義 増田 真 永盛 克也 稲垣 直樹 井上 櫻子 小黒 昌文 和田 章男 松澤 和宏 和田 章男 松澤 和宏 加藤 靖恵 三野 博司 水野 尚 和田 光昌
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

毎年数回研究分担者による最新の研究成果発表の機会を持ち、異なった作家の生成研究の前提条件や方法論に関する共通の理解を得た上で、班員による自由な意見交換を行い、方法論においていくつかの公約数を抽出した。その成果を基盤として、平成19年12月7日から9日に京都の関西日仏学館で、国際シンポジウム"Comment nait une oeuvre litteraire? -Brouillons, contextes culturels, evolutions thematiques-"を開催した。また最終年度には、本共同研究の知見を核として、生成研究をテーマとした日本語の学術書の編纂を企画、準備した。
著者
長瀬 清
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

ペントバルビタールで麻酔した日本白色ウサギに頭窓を作成した。,ネックターニケットを装着し、二酸化炭素応答とアセチルコリンに対する脳軟膜動脈血管の反応を、生体顕微鏡を用いて直接観察できるように設定した。生体顕微鏡可の観察により一過性全脳完全虚血に維持されていることを確認した。6分間の一過性全脳完全虚血により、二酸化炭素応答は完全に消失した。一方で、アセチルコリンに対する応答は維持された。これは、血管内皮細胞の昨日は残存しているにもかかわらず、神経細胞機能が消失しているために一酸化窒素の放出が消失しているためと考えられた。一方、低体温を導入しても、二酸化炭素応答は消失したにもかかわらず、アセチルコリンに対する反応は維持された。また、その程度は、常温の時と比べて差を認めなかった。これは低体温を導入したにもかかわらず、虚血になると脳神経保護効果が必ずしも発揮されない可能性があることを示唆している。一方、ニトログリセリンなどのNOドナーの投与を併用しても一過性全脳虚血後の脳血管応答は回復しなかった。これは神経細胞から放出されるNOの障害だけではなく、血管内皮細胞の機能低下が背景にあると考えちれた。吸入麻酔薬のような血管内皮細胞と神経細胞の両方に作用する脳血管拡張薬を投与した場合も、常温において、全脳虚血前後では明らかに血管拡張応答の消失を認めた。これらの知見は従来から指摘されたMCA閉塞法による一過性局所虚血モデルに一過性全脳虚血モデルも類似しているが、必ずしも完全に一致していないことも明らかになった。