著者
後藤 雄治
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

原子力発電所では、炉心内の1次冷却系配管や、炉心付近の構造物に関して入念な検査が実施されている。しかし炉心から離れた2次系の鋼管は、放射線が含まれない部分であるため、長期間に渡る詳細検査の頻度は必ずしも多くはない。そこで運転を止めず、安価で常時検査が可能となる状態監視検査技術の構築が望まれる。本研究では、直流磁場と微小交流磁場を併用することにより、短時間で鋼管の裏面減肉検査が実施できる電磁気検査法の研究開発を行った。
著者
杉本 公一
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

超高圧コモンレール用の材料として,3000気圧の使用に耐える焼入れ性を高めた0.2-0.4%C-1.5%Si-1.5%Mn-0.05%Nb-Cr-Mo-Ni-B系低合金TRIP型ベイニテイックフェライト鋼(TBF鋼)とTRIP型マルテンサイト鋼(TM鋼)を開発した.また,それらTRIP鋼の強靭性と切欠き疲労強度に対して,(1)最適な合金組成,(2)熱間鍛造熱処理による超微細粒化技術,(3)ベイニテイックフェライト/マルテンサイト(BF/M)組織率の同定法と残留オーステナイト(γ_R)への炭素の濃化機構,を提案した.
著者
村上 隆 小暮 敏博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

先カンブリア時代の大気中の酸素の濃度変化は、地球化学的課題のみならず、生命の進化と密接に関連し、近年盛んに研究が行われている。古土壌(paleosol)と呼ばれる、当時の風化を受けた岩石は大気中の酸素の情報を含む。しかし古土壌は風化後、例外なく続成・変成作用を受けた弱変成岩であり、当時の風化過程は未だに理解されておらず、従って、古土壌から推定される大気酸素の濃度は常に曖昧さを伴う。我々は当時の風化条件を室内で模擬し、実際の古土壌のデータと比較することで、当時の鉱物-水-大気の相互作用を明らかにすることを研究目的とした。35-25億年前の大気中の二酸化炭素と酸素を想定し、二酸化炭素の分圧は1atm、酸素分圧は3x10(-5)atm以下の条件で、グローブボックス内でFe-rich biotiteを試料としてバッチ式の溶解実験を行った(非酸化的実験)。比較のため、同様な実験を現在の大気の雰囲気下で行った(酸化的実験)。酸化的実験では溶出したFe(II)が即座にFe(III)となり、Fe(III)が生成する、またこのため、溶液中ではFeは殆ど検出されない。非酸化的実験では溶液中のFe濃度が比較的多く、Fe(II)を含むvermiculiteが二次鉱物として、生成した。この結果を25億年前の古土壌と比較したところ、古土壌中でのFe(II)とFe(III)の分布変化、またchloriteのFe/Mg比変化が一致し、先カンブリア時代における風化時の鉄の挙動は、われわれの実験結果から予想されることがわかった。またflow throughタイプの溶解実験から、溶解速度は、非酸化的条件では酸化的条件より、3から4倍、早い、また、この溶解速度にFe(II)は影響しないことがわかった。
著者
長谷川 正哉
出版者
県立広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

『浮き趾』は静止立位時および歩行時に足趾が地面に接地しない状態と定義づけられている,本研究成果から浮き趾は若年・高齢者問わず発症する事が確認された,また浮き趾者では足趾による安定した支持基底面(身体の土台)の形成ができず,歩行中の重心の前方移動(体重の移動)が困難であること,および中足骨頭部(足趾の付け根部分)に荷重が集中し,足部アライメント(外反母趾や偏平足など)の異常につながる可能性があることなどが確認された.
著者
川端 弘治
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

広島大学1. 5m望遠鏡と可視広視野偏光観測装置HOWPolを即時観測可能となるように整備し、ガンマ線バーストに対して世界的にも稀な可視残光の明るい初期フェーズの偏光測光観測を行うことにより相対論的ジェットの磁場構造に関する新たな知見を得ることが出来た。併せて、超新星や古典新星などの恒星の爆発現象に対してその初期観測を行い、爆発の機構について議論した。
著者
竹原 和彦 白崎 文朗 佐藤 伸一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

全身性強皮症は、皮膚や肺、心、腎、消化管などに広範な線維化や血管障害をきたす結合織疾患のひとつであり、その発症に関わる重要な細胞増殖因子としてトランスフォーミング成長因子(transforming Growth Factor-β,TGF-β)、結合組織成長因子(Connective Tissue Growth Factor, CTGF)が注目されている。本研究は、TGF-βの皮下投与により誘導される新生マウスの皮膚線維化モデルをトランスジェニックマウスを用いて作製し、CTGFの皮膚線維化機構における役割について検討した。使用したマウスは、1型コラーゲンのα2鎖をコードするproα2鎖(I)コラーゲン遺伝子のプロモーター領域にレポーター遺伝子を組み込んだマウスである。このモデルにおいて、皮下にTGFβのみを注入すると4日目に線維化が誘導されるが、8日目には消失する、しかし、TGFβを3日間注入し、次にCTGFを4日間注入すると線維化が持続する。コラーゲン遺伝子の転写活性は、TGFβ単独投与群では、4日目をピークに低下し8日目にはほぼ0になったのに対し、TGFβ/CTGF連続投与群では8日目まで高値が持続し、さらにTGFβ/CTGF連続投与群でコラーゲン遺伝子が転写されている線維芽細胞数が増加していた。このことより、CTGFはコラーゲン遺伝子を発現する線維芽細胞を増加させることにより、遺伝子の転写活性を維持し、コラーゲン産生を亢進させると考えられた。今後は、この皮膚線維化モデルにおけるサイトカインやケモカインの関与についてさらに検討したいと考えている。
著者
店田 廣文 小島 宏 村田 久 小島 宏 村田 久
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、従来のわれわれの調査成果をさらに補強する研究成果が得られ、滞日ムスリムは日本社会に適応し、生活満足度が比較的高く生活基盤も安定してきたこと、滞日ムスリム・コミュニティが成熟期に入りつつあると言うことが、改めて本研究によって明らかとなった。ムスリムの子ども教育調査や滞日経験を有するムスリム調査、モスク調査報告も貴重な成果であるが、日本初のモスク代表者会議を開催し、将来の滞日ムスリム・コミュニティと日本社会の関係形成に関する研究へと展望が開けたことが重要である。
著者
松田 敏信 永木 正和 長谷部 正 草苅 仁 鈴木 宣弘 伊藤 房雄 茂野 隆一 趙 来勲 山口 三十四
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,少子高齢化と食の安全性をキーワードとして,消費者需要を中心に生産や国際貿易などフードシステム全般のメカニズムを経済分析により明らかにすることである.主な研究成果として,代表者の独自モデルLA/QUAIDSによって,都市別・月別の疑似パネルデータを推定し,少子高齢化が食料需要に与える影響を明らかにした.また,需要システムの新たな独自モデルを複数提案し,さらに食料生産の計量経済分析や国際貿易の応用ミクロ経済分析等を実施した
著者
佐藤 信 河合 知子 久保田 のぞみ 佐藤 信
出版者
市立名寄短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

現在、日本の学校給食は、成長期の多くの国民が経験するところとなっており、その食習慣形成に大きな影響を与えている。近年では、地元産や国内産食材料を使用する取り組みがすすめられている。牛肉も例外ではなかったがく2001年9月に日本国内で初めて発生したBSE(牛海綿状脳症)牛の結果、学校給食の現場では使用自粛などの対応を余儀なくされた。本研究はこうした状況の下で、和牛産地と乳用種肉牛産地を対象として、2001年前後における学校給食の地元産食材料、とりわけ牛肉およびその加工品の使用実態を明らかにし、今後の地元産食材料導入にあたっての諸条件、課題を実証的に明らかにすることを目的とした。その結果、次の諸点が明らかとなった。1.BSE問題の発生後、全国の約60%の学校給食が、牛肉および牛肉加工品の使用を自粛するようになった。もともと、1996年のO-157問題を契機として、学校給食現場では食品安全対策を強化していたとそこで、BSE問題後も迅速な対応をとった。しかし、使用自粛については地域によって強弱があった。2.ブランド和牛で知られる岩手県M地域においては、BSE問題が発生した直後、農協や自治体、獣医の協力の下でいち早く安全宣言を出した。乳用種肉牛産地の北海道においても、牛肉やその加工品など国産への切り替えが行われたが、その度合いは他の県よりも小さかった。学校給食関係者と地域農業との継続的な結びつきがこうした対応をもたらした。3.これからの学校給食に関わる栄養士は、地元産食材料を利用するための、生産者や農・漁協等との交渉・調整能力等が必要であるとともに、現場で食品安全問題が発生した際に迅速に対応できる能力も必要である。
著者
井上 文夫
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

肥満児の身体活動量を増加させるため、学校での健康診断、健康教育の授業を利用した介入プログラムを実施し、身体計測値、血清脂質、脈波速度による動脈硬化測定、生活習慣調査をO 市の公立学校で3年間実施した。まず、小児における腹囲値、脈波速度の標準値を得た。介入プログラム実施後、肥満だけでなくやせの頻度も減少した。生活習慣は56%に改善がみられ、改善した例では肥満度、血清脂質、動脈硬化度とも改善する傾向が見られた。生活習慣では、食習慣や運動習慣のみでなく、睡眠習慣の重要性が確認された。肥満予防のための健康教育プログラムの実施は、肥満改善ばかりでなく、生活習慣全体を改善する機会となり、運動能力や学習効果にも良い影響を与えると考えられた。
著者
伊崎 昌伸 笹野 順司
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

理論変換効率が約 28%となる 1.3eV のバンドギャップを有する p-CuOと n-ZnO から構成される新規な太陽電池を電気化学的に形成するために,化学熱力学に立脚した溶液組成の設計,電気化学ヘテロエピタキシャル成長による高品質化ならびに光電変換機能を有するダイオード形成について検討した。電気化学に形成した-CuO 層上に SiO 層と ZnOを堆積させたダイオードが良好な整流性を示すと共に,0.43V の開放電圧などの光電変換機能を示した。
著者
中村 哲 翠川 裕 波部 重久 松田 肇 翠川 薫 渡部 徹 中津 雅美 二瓶 直子 鈴木 琴子 黒倉 壽 風間 聡 三好 美紀 桐木 雅史
出版者
独立行政法人国立国際医療研究センター
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ラオス国との共研究の主対象となったラオスの消化管寄生虫感染症に関して、現地調査により山岳部と平地とで寄生虫相が異なることを示唆した。特に淡水魚類の生食を介して感染するタイ肝吸虫類の感染が都市周辺域において顕著に高いことを示した。さらに、山岳地居住民の感染率と健康調査データの解析からリスク因子として、年齢や識字率、集落での衛生的な飲み水の利用割合、民族の比率を見出した。そして、これらの因子による重回帰で得られるリスクマップを含めた、地区内または広域でのリスク管理手法を示した。
著者
梅内 幸信
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

平成14年度から最終年度である平成17年度までの研究実績は,以下の通りである。(平成14年度〜平成15年度)ホフマン文学、グリム童話、エンデ文学に関するこれまでの研究成果に基づき、ファンタジー文学に関する定義づけを試みた。ファンタジーに関するトドロフの古典的な定義を踏まえ、最近のアトベリーの定義を加味して、5つの観点から吟味し、現在の段階で最も妥当的定義づけを提出した。1.語源(無意識のもの・不可視のものを可視的にする)、2.機能(以下参照)、3.内容(童話的)、4.源(出発点はホフマンの『幻想作品集』1814-15、18末のイギリス・ゴシック小説)、5.物語の長さ(長編小説から短編小説まで、童話は除外される)。(平成16年度)この定義に基づき、ホフマン文学とエンデ文学における具体的な作品分析を通じ、それぞれの文学におけるファンタジーの特質を総括した。ファンタジー文学の重要な特徴は、童話的内容と、長編ないし短編までのその物語の長さである。この意味において、きわめて短い物語である童話は、ファンタジー文学から排除されるのである。しかし、グリム童話にもファンタジーは存在している。(平成17年度)グリム童話におけるファンタジーは、その歴史が示すように、ミクロコスモスを反映している。このファンタジーを考慮し、ファンタジー文学のもつ次のような3つの機能を提出した。1.ユートピアをめざす非現実的描写によって現実世界を止揚する。2.人類の未来社会における不安への心の準備をさせる。3.死に至る病である不安に対する免疫力をつける同種療法的効果をもつ。
著者
堀内 成子 江藤 宏美 大隅 香 西原 京子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

研究者らは静電容量型加速度センサーを用いて、妊婦の腹部より胎動を記録する小型装置・自動解析システムを開発した。胎動監視装置FMAM(Fetal Movement Acceleration Measurement)は、(290g,77mmX27mmX140mm)で二つのセンサー(胎児・母親の体動をピックアップする)、生体アンプ、SDカードを内蔵し、40時間連続記録可能である。9名の健康な妊婦(29-39歳)の妊娠20週から36週の間の睡眠中の胎動変化を分析することができた。妊娠週数による胎動数の変化が把握できた。さらに胎動変化の個人差が大きかった。母親の呼吸運動がアーチファクトとして混入し、自動解析システムの課題が判明した。死産後の次子妊娠中の妊婦2名の家庭での胎動モニタリングを行い、コントロール妊婦の胎動の変動範囲に入っていることを確認した。睡眠中の胎動変動を見せることにより、妊婦の安心感を得た。こうした家庭訪問により、妊婦は不安を表出できた。妊婦は、胎動監視装置を用いて自分自身で簡単に胎動を記録することが可能であった。さらにデータを収集して、母親のアーチファクトを自動的に除外する解析システムに改善する必要がある。新胎動記録・解析システムは、胎児のwell-beingをみる妊婦による妊婦のための家庭胎動モニタリングとして期待できる。
著者
芦田 信之 竹村 匡正
出版者
甲子園大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

平成18年度、19年度に引き続き、認知症高齢者の専用フロアをもつ精神科病棟にて、認知症高齢者の意思決定代理人のインフォームドコンセントによる許可を得たのち、施設利用者および介護職員(フロア担当者等、昼夜交代あり)にICタグを装着して、行動観察を行った。居住スペース内のベッド、トイレ、廊下、いこいの場などにトリガー領域を設置し、長期間、昼夜24時間連続モニタリングを実施し、行動観察をおこなってきた。利用者の毎日のベッド内滞在時間、トイレ回数、歩行距離などの行動パターンと病態との関係を把握することが可能となり、徘徊行動のおこるパターン解析、徘徊行動をおさえるための介入研究をおこなった。また、1日の行動記録の自動化を試み、自動日報作成のための生活行動分類をおこなった。また、介護者の行動の記録をとるために、ICレコーダで介護行為を記録することとした。しかしながら、現在の音声認識技術では、会話文の自動テキスト化は困難であったので、介護者と利用者の会話を定型化することを考えて、介護現場で必要な「声掛け運動」を提唱し、いろいろな場面での会話を体系化した。このことは、単に、自動記録ができるだけでなく、介護者と利用者のコミュニケーション(必要な場面で、必要な言葉をかける)のに役立ち、さらに、介護者が質の高い介護を実践するための研修にも役立つことがわかった。
著者
鈴木 光太郎
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では,月の錯視を両眼視および眼位の点から検討した。夜間に野外(新潟大学人文学部屋上)で,被験者から50度上方向と水平方向3mの距離にある2枚の平面鏡(80×80cm)上に実際の月を映し,被験者に上方向の月に対する水平方向の月の大きさ(直径)のマグニチュード推定を行なわせた。1.その結果,両眼視の場合には,月の錯視(直径比が1.5倍程度)が生じた。一方,被験者に最初に単眼視で観察させた場合には,月の錯視はほとんど生じなかった。2.しかし,最初に両眼視条件を行なわせたあとの単眼視条件では,月の錯視が両眼視条件と同様に生じた。3.上方向の月を観察する際に,頭を傾け目が月に水平になるようする条件(水平視条件)と頭を垂直に保ち目だけを上に向ける条件(仰視条件)も設けた。その結果,両眼視条件では,水平視条件に比べ仰視条件での錯視量のほうが有意に大きく,眼位の効果が観察された。しかし,この効果は,単眼視条件では観察されなかった。4.以上の結果は,これまで問題視されることの多かったTaylor & Boring(1942)の知見を支持した。以上より,両眼視では,動眼系の状態(レンズ調節,輻輳,瞳孔)が上方向を見る時と,水平方向(地平方向)を見る時とで異なり,その違いが月の錯視を生じさせている可能性が示唆される。一方,単眼視では,上方向と水平方向とでは動眼系の状態に差がないため,錯視が生じない可能性がある。5.しかし,なぜ両眼視条件のあとの単眼視では月の錯視を生じるのかについては,今後さらに検討を行なう必要がある。
著者
神山 かおる 早川 文代 安岡 利一
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

高齢社会においてニーズが高まっている物性を調整した食品の開発に資するため、食品を実際に咀嚼する条件で、口腔内にかかる圧力を直接計測することにより、口腔感覚を簡便かつ正確に評価する手法開発を目標とした。口腔感覚粘度を測定する簡易なデバイスを設計し、口腔内で検出された力学的性質の食品による差異や健常者と摂食機能障害者との差異を解析することができた。
著者
阿部 なつ江 馬場 聖至 荒井 章司 富士原 敏也 杉岡 裕子 鈴木 勝彦 山野 誠 平野 直人 中西 正男 道林 克禎 石川 正弘 町田 嗣樹 志藤 あずさ 伊藤 亜妃 仙田 量子 水上 知之 清水 健二 森下 知晃
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

海洋プレートの非活動域に発見された新種の火山「プチスポット火山」海域において、地球物理学的・地質学的調査および岩石試料採取を実施してきた。同試料・データは、東北沖日本海溝に沈み込む前の海洋プレートそのものであり、陸側プレートに与える影響や島弧における火山および地震活動を評価する上で、重要な試料・データをもとに、海洋プレートとその下のマントル構造について総合的な研究・調査を行った。
著者
宇田 泰三 一二三 恵美
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

「スーパー抗体酵素」とは、抗体として抗原に特異的に結合するだけでなく、抗体そのものが抗原を酵素的に破壊する事ができる画期的な分子を言う。本研究では現在、花粉症やアトピーなどに的を絞り、この治療を目的とした「スーパー抗体酵素」を作製する事である。これまでにヒトIgEをマウスに免疫し、細胞融合によりいくつかマウス型抗IgEモノクローナル抗体を作製し、その中で5H5抗体の遺伝子配列を決定し、この抗体に触媒三ツ組残基様構造が存在する事を明らかにした。さらに5H5抗体によるヒトIgEに対する分解活性を調べた。今年度は、5H5の抗体酵素としての性質をより深く検討することと、5H5抗体以外にも抗体酵素になり得るクローンがないか探索した。1,5H5抗体によるヒトIgEの切断箇所を調べたところ、ヒトIgEが肥満細胞などに結合するbinding siteの少し上流(N末端側)で切断していることが判明した。2,「スーパー抗体酵素」5H5のペプチド基質TP41-1の分解速度(kcat)は0.09min^<-1>であった。3,5H5抗体軽鎖以外の「スーパー抗体酵素」を探索するために1E3,4C4および5H10のモノクローナル抗体について重鎖、軽鎖の遺伝子解析を行った。その結果、1E3には重鎖、軽鎖共に、また,4C4および5H10軽鎖には触媒三ツ組残基様構造が存在すると推定された。4,上記抗体を重鎖と軽鎖に分離して、それらの酵素活性能をペプチド基質TP41-1を用いて検討した。その結果、1E3および5H10には重鎖、軽鎖共にペプチダーゼ活性が存在した。4C4重鎖には酵素活性は存在しなかったが、軽鎖についてははっきりした結果が得られなかった。今年度の研究で5H5以外にもペプチダーゼ活性をもついくつかの有力な「スーパー抗体酵素」が見つかった。この中の最もkcat, Kmの良いものを見つけ出して行けば、I型アレルギーの原因物質であるヒトIgEの機能を消失させると思われる抗体酵素が作成可能である。
著者
伊勢 芳夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英領インドにおけるインド及び周辺地域への言語・文化政策を調査、およびアングロ・インディアン作家の小説を分析することにより、異文化に対するイギリス人の認識の特質を検証した。また、19世紀の人類学の著作を研究することで、人種主義に影響を与えた近代科学の特質や、白人優位的な世界観を明らかにした。上記の英領インドと、日本の「西洋」受容を調査することによって、西欧列強から直接支配を受けなかった国への「西洋」の影響を検証した。