著者
熊野 陽人 Kumano Akihito 湘北短期大学
巻号頁・発行日
no.35, pp.131-136, 2014-03-31

本研究の目的は,女子学生を対象に,立ち幅とび跳躍距離と体格の関係性を検討し,立ち幅とびを体力テスト項目として行う有用性を検討することであった.検討の結果,以下のことが明らかになった.女子学生において,立ち幅とびの跳躍距離と身長,体重,BMI の間に有意な相関関係は認められなかった.また,女子学生において,立ち幅とびの跳躍距離と5 種目 (握力,上体起こし,長座体前屈,反復横とび,20m シャトルラン) 合計得点の間に,有意な正の相関関係 (r=0.555,p<0.01) が認められた.
出版者
日経BP社
雑誌
日経情報ストラテジ- (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.11, no.9, pp.64-67, 2002-10

「田中さん。いつもABCコンビニエンスをご利用いただきありがとうございます。今月は、田中さんの当チェーンにおけるご購入額が10万円を超えました。そこで来月1カ月、あなただけの会員特別サービスとして、全品5%割引といたします」——。 近い将来、コンビニエンスストア(CVS)からあなたへ、こんな電子メールが届くようになるかもしれない。
著者
宮本 顕二
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.129-134, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
5

日本は世界の最長寿国です.しかし,私たちの周りを見ると,やれ胃瘻だ,中心静脈栄養だ,人工呼吸器だと,結局苦しみの中で亡くなっている患者が少なくありません.その理由は,延命至上主義の結果,高齢で終末期の患者に対しても,最後まで治療を続けるからです.一方,私たちが訪れた欧米豪では,高齢で食べられなくなったら,胃瘻や中心静脈栄養などの人工栄養は一切行わず,食べるだけ,飲むだけで自然に死を迎えさせています.無理に食べさせず,延命措置もしないため,いわゆる寝たきり老人はいません.誤嚥性肺炎も問題になりません.患者だけでなく,自分も含めて,どのような最期を迎えたいかを,今こそ,真剣に考える時です.
著者
小沢 浩 林 時仲 土畠 智幸 齋藤 大地 金田 実
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.29-33, 2017

Ⅰ.はじめに厚生労働省は、地域包括ケアシステムを提唱している。地域包括ケアシステムとは、30分でかけつけられる圏域を日常生活圏域と定義し、地域包括ケア実現のために、医療、介護、予防、住まい、生活支援という5つの視点での取り組みが包括的、継続的に行われることが必須であると説明している。またそのために①医療との連携強化、②介護サービスの充実強化、③予防の推進、④見守り、配食、買い物など、多様な生活支援サービスの確保や権利擁護など、⑤高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備、が必要不可欠であると述べている。今後、リハビリテーションについても、訪問リハビリテーションや、学校および通所施設など、病院以外のリハビリテーションがますます重要になってくるだろう。北海道は、広大であるため、障害児が地域に点在していることも多く、その中でさまざまな工夫を凝らして療育を担ってきた。日本は、高齢化社会を迎え、特に地域において、人口の減少、障害児の地域の点在化が進んでいくであろう。そのため、北海道モデルからわれわれが学ぶことは多く、新たなモデルを構築していかなければいけない。そのために、必要なのは、ライフステージを見据えた長期的視点による生活へのアプローチであり、多職種との連携の中でのリハビリテーションの役割を担っていくことであろう。以上の視点より、北海道の先進的な取り組みを紹介する。Ⅱ.北海道療育園における在宅支援北海道療育園 林 時仲遠隔過疎地域を背景にもつ北海道療育園(以下、当園)の在宅支援とその課題、解決策について報告した。当園は北海道旭川市にある医療型障害児入所施設・療養介護事業所で、入所336床、短期入所6床の入所支援のほか、通園事業所、訪問看護ステーションを併設している。主な担任地域は北海道北部、北・中空知および北オホーツクで、東京の8.5倍の面積に人口約65万人、163人の在宅重症児者が居住している。近年、在宅で療養する重症心身障害児者(以下、重症児者)と在宅で医療行為を行わなければならない「医療的ケア児」が増加している。この3年間で在宅重症児者(半数は要医療的ケア)は旭川市内で26人、全道で約200人増加した。遠隔過疎地は社会資源が少なく、在宅重症児者や医療的ケア児とその家族を支える調整役が不足し仕組みが十分に機能していないために彼らは多くの問題を抱えながら生活している。たとえば、短期入所を利用したくても地域に重症児者や医療的ケア児を受入れている事業所がないため、利用者によっては250km離れた北海道療育園まで車で移動しなければならない。緊急時には車が確保できなかったり、冬期間は吹雪で道路が閉鎖されるといった困難を抱える。地域の基幹病院は福祉サービスである短期入所を受託していない。当園ではこれらの問題に対し以下の支援を実施している。1.直接的支援:目に見える形で提供する支援サービスとして、①短期入所、②通所支援、③訪問リハビリテーション、④訪問看護、⑤日常生活補助具や姿勢保持具の製作と提供、⑥相談支援、⑦巡回療育相談、⑧外来療育等指導事業、⑨テレビ電話相談、⑩小児慢性特定疾病相談室の運営等を行っている。短期入所は空床利用型6床で年間400件、延べ2000日を受けているが、利用申請の2割は満床等当園の理由でお断りしている。また、入所支援と在宅支援を同一病棟、同一スタッフで実施することの難しさを実感している。短期入所枠の増床は物理的に困難であり、新規棟の建設が望まれる。小児慢性特定疾病相談室は平成27 年1月より中核市である旭川市から小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の委託を受けて開設した。小児慢性特定疾病児童(重症児や医療的ケア児が重複する)を対象に自立支援員による相談支援やソーシャルワークが行われ、医療と福祉の橋渡しになっている。2.間接的支援:医療機関や福祉サービス事業所が重症児者や医療的ケア児の受け皿となってもらえるよう支援事業に取り組んでいる(資源の再資源化)。①職員研修(実習見学会、交換研修等)、②当園職員を派遣しての研修(出前研修、保育所等訪問支援事業、医療的ケア支援事業、子ども発達支援事業等)、③テレビ電話による遠隔支援等である。市立稚内病院小児科では当園で研修した看護師が中心となり、親の付き添いの要らない重症児の入院が始まった。道北のある就労支援b型事業所は出前研修後に生活介護事業所を併設し地域の重症児者の受け皿になっている。思いはあっても踏み出すことが難しい医療機関や事業所の背中を押して、一緒にやろうという姿勢が重要である。重症児者のための協議会を立ち上げて課題解決や相談支援等に当たっている。この協議会は周辺自治体に働きかけて重症児者のための協議会立ち上げを支援している。将来の仲間作りのために医学生や福祉科学生の実習を受け入れている。地域住民や首長に重症児者に対する理解がなければ在宅支援が進まないことから啓蒙活動にも力を入れている。課題と解決策:①北海道においては、地域の基幹病院など医療機関の医療型短期入所事業への参入が求められる。これには自治体による福祉サービス料と医業収益との差額補償や空床補償、国による報酬単価引き上げ等の対策が必要である。②当園のような重症児者施設における在宅支援が不十分である。当園では、家族の要望があるにもかかわらず、重症児者外来や訪問診療を始められておらず、短期入所や通園事業枠も長年増やすことが出来ていない。重症児者施設のさらなる取り組みが求められる。③厚労省のモデル事業により標準的な療育を学ぶためにテキストが整備されたが、研修を担う人材が不足している。これには協会認定重症心身障害看護師の活躍が期待される。④協議会の運営や研修活動が継続した活動となるためにはこれを国や自治体の事業とし、財政基盤を確保する必要がある。国は、人材育成や市町村・広域のバックアップ、スーパーバイズ機能を持たせた地域の中核となる支援センターを設置して支援体制の構築を進める都道府県等に補助を行っているが(重症心身障害児者支援体制整備モデル事業)、現時点で受諾は大阪府のみであり拡充が必要である。⑤調整役(相談支援専門員、自立支援員)の増員と地位向上、および「つなぎ先(受け皿)」の充足に最優先で取り組む必要がある。(以降はPDFを参照ください)
著者
遠藤周作著
出版者
光文社
巻号頁・発行日
1987
著者
本田 豊 砂川 正隆 米山 早苗 池本 英志 中西 孝子 岩波 弘明 須賀 大樹 石川 慎太郎 石野 尚吾 久光 正
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.78-85, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
30
被引用文献数
4 7

抑肝散は,神経症,不眠症,小児の夜泣き,小児疳症など虚弱体質で神経高ぶるものの症状などに適用されている。近年,頭痛や神経障害性疼痛などの疼痛性疾患に対する有効性も報告されているが,これらの作用機序は十分に解明されてはいない。本研究では,アジュバント関節炎(AA)モデルラットを作製し,慢性炎症性疼痛ならびに疼痛に伴うストレスに対する有効性を検証した。AA モデルラットでは,疼痛閾値の低下と精神的ストレスマーカーの1つである唾液中クロモグラニンA(CgA)濃度の上昇がみられたが,抑肝散の投与により,慢性痛の発現に関与する脊髄ミクログリアの活性化が抑制され,疼痛閾値の低下が有意に抑制された。また,唾液中 CgA 濃度の上昇も有意に抑制された。これらの結果より,抑肝散の慢性炎症性疼痛ならびに疼痛に伴うストレスに対する有効性が示唆された。
著者
芥川 崇仁
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.247, pp.94-96, 2010-05

首都圏で居宅サービスを展開しています。新たに小規模多機能型居宅介護事務所の開設を検討しているのですが、利用者確保が大変と聞き躊躇(ちゅうちょ)しています。ケアマネジャーからの利用者紹介が期待できず、苦戦を強いられている事業者のうわさも耳にします。安定経営を行うためのポイントを教えてください。
著者
金光 秀子 佐藤 郁雄 石田 裕美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.148-154, 2008-09-30
参考文献数
26

&nbsp;&nbsp;ケアハウスおよび養護老人ホームに入居中の,健康な65歳以上の男性8人,女性19人,合計27人を対象とし,連続3日間の食事調査を行い,同時に摂取した食事サンプルの分析値から,Seの摂取量 (実測値) を推定した。<BR>&nbsp;&nbsp;食事調査のエネルギーおよび栄養素摂取量の計算値の平均値は,男女とも多くの栄養素が食事摂取基準 (身体活動レベルI,70歳以上) の推奨量,目安量等を満たしていた。しかし,個人別にみるとカルシウム,マグネシウム,亜鉛,ビタミンA,ビタミンB2,ビタミンC,食物繊維は推奨量および目安量等の水準に達していない者が多くみられた。また,実測Se摂取量,摂取エネルギー1,000kcal当たりおよび基準体重1kg当たりのSe摂取量はその推奨量を満たしており,不足の可能性は低いと考えられたが,個人差が大きく,食事摂取量の少ない高齢者ではSe摂取量が低い傾向がみられた。また,全Se摂取量の約40%が魚類を主にした料理に依存していた。栄養有効性を考慮するとSeの栄養状態が危惧される。
著者
中山 治一
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.20, no.9, pp.783-797, 1968

(一)問題の所在 : 説明する必要もないことであろうが、クリミア戦争が、一八五三年のロシアとトルコの開戦にはじまり、途中でイギリス・フランス・サルディニアの参戦を経て、セヴァストポリ要塞の陥落、そして結局一八五六年のパリ条約によって終結をつげる戦争であることはいうまでもない。……
著者
坂下 玲子 大塚 久美子 Reiko SAKASHITA Kumiko OTSUKA 兵庫県立大学看護学部看護基礎講座基礎看護学 兵庫県立大学看護学部看護基礎講座基礎看護学 Nursing Foundation University of Hyogo College of Nursing Art and Science Nursing Foundation University of Hyogo College of Nursing Art and Science
出版者
兵庫県立大学看護学部
雑誌
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 (ISSN:18816592)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.93-105, 2008

地域に根ざした新しい看護提供システムとして「まちの保健室」事業が各地で展開されている。本研究は、この事業の後方支援のために、高齢者の口腔ケア支援に関する相談技術の抽出を行うことを目的として、口腔健康相談を受ける頻度が高いと考えられる歯科衛生上を対象にフォーカスグループインタビューを行い高齢者の口腔ケア支援に関する相談技術の抽出を行った。<対象と方法>対象は、研究への同意が得られた歯科衛生上で、カテゴリーが飽和するまで対象者の募集を行った。3~5人を1グループとしてフォーカスグループインタビューを実施し、1)よく受ける相談について、2)うまくいった相談場面、3)相談のとき気をつけている点、工夫している点についてたずねた。得られたデータを質的記述的に分析することによって相談技術を抽出した。<結果と考察>7グループと1人、計27人の歯科衛生上のインタビューを行った。参加者の年齢は平均36.8±9.5歳(25~60歳)、全員が女性であった。勤務年数は平均15.4±8.4年(5~36年)、経験したことのある職場は、保健所など多岐に渡っていた。参加者が表現した内容を注意深く読みとり255単位データが抽出された。抽出された技術としては、1)導入部分として、クライエントを「招き入れる」「信頼関係を築く」「機が熟すのを待つ」が抽出された。2)相談部分として、「真の問題を見つける」「問題点を理解してもらう」「できることをいっしょに探す」「行動を引き起こす」「行動の継続を促す」が抽出された。3)今後へ繋ぐ部分として、「次回の予約をする」、「次回までの具体的な目標を決める」が抽出された。インタビューの中では義歯の管理、口腔乾燥などの口腔健康への対応について語られた部分も多かったが、それは別の機会に報告することとし、今回は相談の具体的な技術に焦点をあて抽出した。歯科衛生士が用いている相談技術がそのまま看護職が応用できるとは限らないが、抽出された項目をみると、看護ケアの技術と重なる点がみられ、看護職も参考にでき応用していけるものと考えられた。
著者
岡村 雅仁 西脇 廣治
出版者
県立広島大学
雑誌
県立広島大学経営情報学部論集 (ISSN:18827985)
巻号頁・発行日
no.2, pp.51-63, 2010-02

平成18年度の「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」(現代GP)として「経営情報実践的総合キャリア教育の推進」が文部科学省により採択された。このプログラムは,35人の学生が参加して平成19年度で終了したが,平成20年度以降は,フォローアップ事業として継続している。平成20年度は,前期18人,後期9人の計27人の学生がインターンシップ受入先15社で約2週間の実習を行った。学生,受入先責任者,教員の三者が自己点検シートを使ってインターンシップ派遣前(事前評価),派遣後(事後評価)の2回,情報スキル,規律性,協調性,積極性,プロセス貢献を合む成果など15評価項目についてのアンケートを実施している。本論文は,アンケート結果をまとめたものである。その概要は,①全体として事前評価よりも事後評価の点数が高い,②学生自身の評価をみると,学生27人のうち15名が目標とのギャップを解消する方向に進んでいる,③受入先による評価をみると,目標とのギャップが計算できた学生20人のうち19人が目標とのギャップを解消する方向に進み,④教員による評価では,学生27人のうち26人が目標とのギャップを解消する方向に進み,目標達成に近づいた。アンケートでは事前評価と事後評価の点数が同点のため目標達成度がゼロになるケースや未回答の評価項目がみられた。特に,平成20年度前期は,受入先13社のうち新規受入先が半分強の7社と多いために,回答率が低くなったものと思われる。また,実習内容の多様化により,平成20年度前期の「業務プロセスのモデリングの意義,目的」,「業務プロセスの改善策の提案,またはモデル化」,「成果」の3項目の回答率は,他の評価項目と比べて低くなったと考えられる。同じ評価項目を使用した平成20年度後期の回答率が100%に急回復しているとはいえ,実習内容の多様化に応じて質問内容を見直す必要がある。
著者
鈴木 道子 安部 悦子 大泉 直子 會田 健 岩瀬 仁子 深瀬 有紀子 高橋 裕一 佐藤 佳奈江
出版者
山形県衛生研究所
雑誌
山形県衛生研究所報 (ISSN:05134706)
巻号頁・発行日
no.40, pp.22-33, 2007

平成18年度(平成18年4月〜19年3月)は10,498人について先天性代謝異常等6疾患の検査を実施した。スクリーニング検査陽性者38人が、山形大学附属病院等で精密検査を受診した結果、先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)23人、ガラクトース血症3人、先天性副腎過形成症1人の合計27人の患者が発見された。
著者
村松 常司 村松 園江 秋田 武 片岡 繁雄 金子 修己
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.39-44, 1996-03-01

本研究は,青年期女性579名(学生332名,社会人247名)を対象にして,学生ならびに社会人の健康習慣と日常生活行動およびエゴグラムからみた性格の特性を,無記名質問紙法により,調査(平成4年9月~11月と平成5年8月~10月)し,以下に示す成績を得た。(1)健康習慣については,学生は社会人より毎日朝食をとる者が多く,栄養のバランスに気をつけており,喫煙する者が少ないことが分かった。また,社会人は学生より,起床時間,就寝時間が早く,間食をあまりとらないことが認められた。(2)健康習慣実施数の平均(標準偏差)は学生5.0(1.5),社会人5.3(1.7)であり,統計的には社会人の方が多く,学生に比べて健康的な生活態度をとっている。(3)日常生活行動では,雑誌,書籍とも社会人の方に読まない者が多く,新聞購読時間も短く,学生に比べてマスメディアとの接触が薄いことが認められた。また,学生は趣味をよく取り入れ,生活をエンジョイしている者が多く,社会人には小遣い金額が多く,化粧をよくする者が多いことが認められた。また,女性の喫煙に対する意識では学生より社会人の方が容認する割合が高かった。(4)エゴグラムは,学生,社会人ともNP(養育的・母親的要素)を頂点とするNP優位型の山形であった。要素別の比較では,NP(養育的・母親的要素)とFC(自由奔放さ)おいて,有意の差が認められ学生の方が高く,また,学生は社会人に比較して自我状態が高い値を示していることが認められた。(5)以上のことから,青年期女性における健康習慣と日常生活行動ならびにエゴグラムからみた性格特性は,学生と社会人の間に幾つか特徴ある違いがみられた。
著者
角 一典
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:13442562)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.33-45, 2020-08

本稿は,ジブリ映画,主に宮崎作品における,象徴としての四元素(風火水地)の意味について考察を加えたものである。本稿では,宮崎作品においては,風は自由・孤独,火は産業文明・近代国家・科学技術・武器等,水は,女性原理・自由奔放さ,地は生命を支える基礎でありながら,強度に汚染されてむしろ生命を脅かす存在と化しているものとして,象徴的に表現されていることを確認した。また,四元素は,風・水・地が相互に密接に関わりあいながら均衡を保っているが,唯一火だけがこれらに敵対する関係となっていることをみた。
著者
秋吉 亮人
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2017-09-30

【緒言】犬・猫における慢性肝疾患には血管異形成・肝炎・腫瘍など様々な疾患が報告されている。犬においては、しばしば持続性の肝酵素上昇の症例が見られ病理組織検査の結果、原発性門脈低形成(PHPV)と診断される。PHPVにおいては後天性門脈体循環側副血行路(APSCs)の発現を伴うPHPVの発生例も報告されており、APSCsを伴うと肝機能が不可逆的に重度に低下するため、早期発見・診断が必要である。しかし、現状では本症を迅速かつ的確に検出しうるスクリーニング項目や予後は文献上においても報告されていない。そこで、今回PHPVの症例をスクリーニング検査する上で有用なマーカーの検討と、予後調査を行った。また、猫においては、肝リピドーシスが多く発生しており、基礎疾患に併発して発生する二次的な肝リピドーシスが大多数を占める。しかし、リピドーシス自体に対する特異的な治療はなく、栄養療法主体で時にはリピドーシスの改善に数週間以上を要することもあり、難治性疾患である。犬と猫で動物種は異なり、病態の発生要因は異なるが、これらの疾患は、病理組織学的変化の共通事項として肝細胞がグリコーゲン変性や脂肪変性を起こし、肝機能が著しく低下し重篤化することが挙げられる。現在、肝細胞の変性に対する特異的な治療薬は存在しない。そこで、肝細胞の変性自体に特異的な治療薬の検討を猫の肝リピドーシスに対して行った。【第1章】犬のPHPVにおける臨床病理学的検討1.目的本研究の目的は、現在までに報告されていない犬のPHPVにおける早期診断に有用なスクリーニング検査項目の検討および本疾患の予後を調査することである。2.材料・方法一次診療施設(一般開業動物病院)において、血液化学検査によりALT・AST・ALP・GGTなどの肝酵素上昇、BUN・TCHO・Glu・Albなどの減少、あるいはT-Bil・NH3の増加などいずれかの異常が2カ月以上認められ、かつ利胆剤、抗生物質など標準治療に反応せず、組織検査により確定診断された犬52頭を対象とした。腹部X線、腹部超音波、TBA測定、CBC、血液凝固系検査(PT・APTT・Fib・ATⅢ)を複数回実施した後、開腹下肝組織生検を3葉において行い病理組織検査を実施した。結果は、多重ロジスティックス解析により統計処理を実施し、P値0.05未満で有意差ありとした。生存期間はPHPVと診断された症例において病理検査の診断日を開始日として算出した。3.結果PHPVと診断された個体は30頭で、他の22頭は腫瘍性疾患、炎症性疾患、門脈シャント等様々であった。PHPV群30頭と非PHPV群22頭に分け解析したところ、TBAのPHPV検出感度は33.3%(10/ 30頭)、特異度は40.9%(9/ 22頭)、血漿Fib濃度の検出感度は66.6%(20/30頭)、特異度は72.7%(16/ 22頭)、超音波検査による右肋間走査におけるカラードプラでの肝動脈陰影の確認の検出感度は56.7%(17/30)、特異度90.9%(20/ 22頭)であった。また、TBA、血漿Fib濃度の両方をマーカーとして用いた場合のPHPVの検出感度は76.6%(23/30頭)であった。統計解析ではPHPV群では血漿Fib濃度の低下(P=0.022)、肝動脈陰影の確認(P=0.015)で有意差が見られた。従来から肝機能検査に特異度、感度共に高いとされていたTBAでは、両群間に有意差を認めなかった。PHPV群の予後調査の結果は、平均観察期間は865.1日、死亡症例は5頭であり、生存期間中央値は得られなかった。このうち10%(3/30頭)が、APSCsによる肝性脳症が死因であった。4.考察今回の研究により、犬の慢性肝疾患としては、PHPVが最も多く30/52(57.7%)であり、これは過去の二次診療施設における報告の29.4%と比較しても上回っており、日本国内で最も多く発生する肝疾患である可能性が示唆された。このPHPVに関しては、血漿Fib濃度測定、超音波検査における肝動脈陰影の確認という2点において有意差がある結果が得られた。従来のTBA検査に、これらの検査を組み合わせることがPHPVの早期発見、早期診断に繋がる可能性が示唆された。予後に関しては、生存期間中央値が得られなかったため、臨床的には良好である可能性が示唆された。しかし、死亡症例5頭中3頭がAPSCsを引き起こし、肝性脳症で死亡しているため、APSCsを呈した場合は予後不良であることが考えられる。APSCsを引き起こさない限り比較的生存期間は長いと考えられた。【第2章】猫の肝リピドーシスに対するヒトプラセンタ(HPC)製剤の治療効果の検討1.目的現在、犬・猫の肝疾患の治療薬は非常に少ない。医薬品では、ウルソデオキシコール酸など数種類しか使用されておらず、医薬品以外のものとして、SAMeやシルマリンなどのサプリメント、食事療法として低脂肪食などが使用されるのみで、肝細胞の変性に対する特異的な治療薬は現在報告されていない。本研究の目的は、肝細胞再生物質を用いて、肝細胞の変性に対する特異的な治療薬を検討することである。2.材料・方法2011年4月~2015年3月の間に一次診療施設(一般開業動物病院)を受診した19頭であり、現病歴、臨床症状から肝疾患が疑われ、CBC・血液化学検査、尿検査、腹部超音波検査、肝臓細胞診を実施した。血液化学検査においてALT, AST, ALPの上昇を認め、肝臓の細胞診で肝細胞に明瞭な空胞変性を認め続発性肝リピドーシスと診断した。特異的な治療薬としてヒトプラセンタ製剤(商品名:ラエンネック)を使用した。なお、ヒトプラセンタ製剤の中に肝細胞再生物質が含まれている。ラエンネック投与群は10頭、非投与群は9頭であり、投与群は前向き調査、非投与群は後ろ向き調査である。明確にインフォームドコンセントを実施した上で、肝リピドーシスと診断した日より、基礎疾患の治療と栄養療法にラエンネックの皮下注射を併用した。投与量は1日1アンプル2mlとし、投与頻度は、入院治療のものは連日、通院希望の猫は来院の日とした。投与終了は、血液化学検査の改善が見られ、自力採食が可能になった日とした。また、ラエンネック非投与群9頭の猫においては、肝リピドーシスと診断した日より、基礎疾患の治療と栄養療法のみを行った。ラエンネックの効果を比較検討するために、ラエンネック投与群10頭とラエンネック非投与群9頭において、ALT、AST、ALP、T-Bilの改善度合い、入院期間においてカイ2乗検定、Log rank試験による統計処理を実施し、肝リピドーシスに対するラエンネックの効果を検討した。3.結果ラエンネック投与前の10頭における平均値はそれぞれ、ALTが605±357U/l、ASTが339±154U/l、ALPが392±296U/l、T-Bilが1.7±1.50mg/dlであった。ラエンネック投与終了後の平均値はそれぞれ、ALTが221±142U/l、ASTが158±153U/l、ALPが239±320U/l、T-Bilが0.7±0.90mg/dlであった。自力採食が可能となった退院までの入院期間の幅は3~7日であり、平均で4.9日であった。ラエンネック非投与群の入院治療前の9頭における平均値はそれぞれ、ALTが1257±1615U/l、ASTが697±653U/l、ALPが354±402U/l、T-Bilが2.9±2.76mg/dlであった。入院治療終了後の平均値はそれぞれ、ALTが755±889U/l、ASTが286±298U/l、ALPが375±451U/l、T-Bilが2.3±1.90mg/dlであった。また、食欲不振が改善し自力採食可能となる退院までの入院期間の幅は、6~16日であり、平均で12.3日であった。統計処理の結果、明らかな有意差が認められたものはALTの改善度合い(P=0.026)及び入院期間(P=0.001)であった。4.考察今後、ラエンネックを使用する症例数を増やし前向き研究を継続し、さらなる治療効果確認、投与量、投与間隔などを具体的に決定することが可能となれば、ラエンネックが肝リピドーシスの有効な補助療法となる可能性が示唆された。【第3章】総括近年、犬ではPHPV、猫では肝リピドーシスの発生が増加傾向にある。特に犬に多いPHPVは無症候性であることが多く、早期診断方法や治療方法、予後は過去の文献上においても報告されていない。第1章では、各種検査項目を統計処理することにより、血漿Fib濃度の低値と超音波検査における肝動脈陰影の確認という2点の検査に有意差が認められ、これらを従来からの検査項目に併用することが早期にPHPVを疑うスクリーニング検査項目になる可能性が示唆された。ただし、超音波検査においては、機種や検査者、犬の体型などによっても誤差が生じる可能性があり、今後これらを踏まえた検討が必要である。また、PHPVの1年生存率は90%以上、平均観察期間は865.1日で死亡症例は30頭中5頭であり、生存期間中央値は得られなかったため、APSCsの併発がなければ、予後は概ね良好であることが明らかになった。第2章では、ラエンネック投与群と非投与群を比較検討した結果、ALTの数値の改善、入院期間の短縮に明らかな有意差が認められ、ラエンネックが肝リピドーシスに有効である可能性が示唆された。ただし、ラエンネックの治療効果や予後に関しては、基礎疾患によって大きく異なる可能性が高く、その正確な効果判定には、さらなるデータの集積に加え基礎疾患の種類の統一化が必要である。さらに本研究はラエンネック非投与群が後ろ向き研究であるため、今後は前向き研究さらには二重盲目試験を実施する必要がある。