著者
土佐 弘之
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

地質学的「人新世」という危機的局面が突きつけている気候変動問題は、解決困難な「超意地悪問題(super wicked problems)」であるとも言われている。つまり、一見すると科学技術問題のようでいて、基本的には利害関係者が複雑に絡み合っている社会的な集合行為問題ということである。そのような解決困難な事態に直面しての反応を、いくつかのパターンに分け、特に気候変動仮説否認(リスク過小評価)の態度をとるグループの反・再帰性(reflexivity)の政治に焦点を当てて、その政治経済的メカニズムと社会心理学的メカニズムについての解明を行った。
著者
阪上 辰也
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,英語学習者のコロケーション知識がどのように保持され,また運用されているかを明らかにすることである。平成22年度には,ライティングの過程を記録できるシステムを開発・導入し,平成22年度後半から平成23年度前半にかけて, 1時間程度で産出されたライティングのデータを収集した。データを産出過程・産出時間・産出された表現といった観点から分析した結果,コロケーション知識をまとまりとして保持し運用していることが分かり,ひとまとまりとしてコロケーションを処理している可能性が示された。
著者
萩澤 達彦
出版者
成蹊大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の当初の目的はアメリカの強制執行制度を直接的にわが国の民事執行制度の改正に役立てることにあった。すなわち,民事執行法は平成8年に久しぶりの改正がなされたが,その後の経済情勢の変動に応じた立法的手当はなされないまま,裁判例による接ぎ木的な解釈により,新たな事情に対応していた。そこで,アメリカ合衆国の競強制執行手続きとの比較を通じて,民事執行法の新たな改正へのインセンティプを与えるような成果を出すことを目的として京急に着手した。すなわち,本研究の意義は,単なる制度の紹介にとどまらず,わが国の競売制度の将来の発展に役立つ普遍的な成果をめざして,ファイナンス的な観点からの分析に力点を置いた成果を追求していくことにあった。しかし,平成15年と平成16年に相次いで民事執行法の改正がなされた。そこで,この研究は,研究分担者が立法課題として提案していた事項の立法化を目指すものとなった。そこで,当研究はアメリカの強制執行制度の忠実なトレースよりも,当初研究分担者が主張する立法課題の提案に重心が移行した。幸いなことに,研究分担者が提案していた事項のある程度の部分が2度の民事執行法の改正に採用されるという成果を得た。
著者
藏田 伸雄 古田 徹也 久木田 水生 近藤 智彦 村山 達也 佐藤 岳詩 森岡 正博
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は北海道哲学会でシンポジウム「人生の意味」(研究代表者・藏田伸雄、研究分担者・森岡正博、研究協力者・山田健二)、日本倫理学会でワークショップ「「人生の意味」の哲学的・倫理学的議論の可能性」(研究代表者及び研究分担者・村山達也、研究協力者・文武吉沢、研究協力者・長門裕介)、科学哲学会でワークショップ「分析哲学/現代形而上学で「人生の意味」や「死」について「語る」ことはできるのか」(研究代表者及び研究分担者・久木田水生、研究協力者・鈴木生郎)を実施し、本研究の研究成果の一部を公開した。また研究代表者の藏田は日本生命倫理学会で「「人生の意味」というカテゴリーを生命倫理領域で用いる場合に注意しなければならないこと」と題する発表を行い、「人生の意味」に関する議論を終末期医療に関する生命倫理問題に接続することを試みた。また研究分担者と研究協力者による研究会も開催し、研究協力者の北村直彰氏によって死の形而上学について、また杉本俊介氏によって「人生の意味」とWhy be Moral問題についての検討を行った。また本研究課題に関連する問題についていくつかの論考を発表している研究分担者の山口尚氏の一連の論文を批判的に検討することを通じて、人生の意味と「決定論」や「自然主義」との関連について明らかにすることができた。特に、今年度は青土社の雑誌『現代思想』が分析哲学に関する別冊を発行したが、その中で研究分担者の森岡、村山、研究協力者の山口がこの研究班での研究の成果や、本研究と関わる内容について論文を掲載している。また本研究班での研究内容とは異なるが、研究分担者の近藤と古田は「道徳的な運」に関する研究成果を発表している。「道徳的な運」の問題は、本研究の直接的なテーマではないが、「人生の意味」に関する問題とも深く関わる。
著者
道川 誠 赤津 裕康 橋詰 良夫 佐藤 聡 両角 祐子 白野 美和 吉岡 裕雄
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

歯周病を惹起させたADモデルマウスを使った研究から、歯周病における慢性炎症が脳内に波及し、それによって脳内Aβ産生増加、サイトカインレベルの上昇を来たし、AD病態悪化と認知機能障害を誘導することを明らかにした(NPJ Aging Mech Dis, 2017)。また、認知症患者に対して歯周病治療・口腔ケアの介入によって認知症進行を抑止するかどうかを検証する臨床研究を認知症患者40名を対象に行った(文部科学省基盤研究B-当該研究)。その結果、歯周病治療・口腔ケア介入群では、認知症の進行が予防されることを示唆するデータを得た。
著者
中村 和之 小林 淳哉 小田 寛貴 山本 けい子 瀬川 拓郎 八重樫 忠郎 岡 陽一郎
出版者
函館工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

奥州藤原氏は、約百年にわたって東北地方を支配した。その富の源泉は砂金である。世界遺産の中尊寺金色堂は、黄金に輝く建物で有名である。瀬川拓郎は、北海道のアイヌが交易品として砂金を平泉に持って行ったとする仮説を立てた。本研究の目的はその仮説の検証である。まず、北海道と東北地方の砂金を分析した。つぎに藤原秀衡の別邸の柳之御所遺跡から出土した遺物に付着した砂金を分析した。両者を比較することにより、北海道の砂金が平泉にもたらされていたかどうかを確認した。これまでの検討では、平泉から出土した砂金は岩手県産のものである可能性が高い。北海道から砂金が持ち込まれたとする仮説は証明できなかった。
著者
水口 智江可
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農業害虫であるアザミウマは、蛹の過程を経ずに幼虫が成虫へと変態する「不完全変態昆虫」として分類されているものの、成虫になる前にほとんど動かない「蛹のような時期」が存在する。これは他のどの昆虫種とも異なったユニークなものであるが、ホルモンによる制御機構は不明であった。本研究では、アザミウマの幼若ホルモンシグナルを伝達する2つの転写因子を特定するとともに、アザミウマのユニークな変態様式がどのような進化を遂げて出来上がったのか考察を行った。
著者
T Guthmann
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

当研究は現代日本における最大の国家主義政治圧力団体である日本会議に注目した。結果、一部の市民の間に流れている国家主義的な心情を詳細に分析することができた。また、日本会議国会議員懇談会の役員の取材を通じて「保守」と言われる政治家の国家主義的な心情も測ることができた。併せて、日本会議と活動している幾つかの新興宗教の動機及び国家主義的な信念も明らかになった。加えて、日本会議を初め日本の政治右翼にとって、宗教的な要素を抜きにした国家主義的活動は有り得ないという結論にも至った。総じて海外との比較を通じて現代日本政治ナショナリズムの特色及び普遍性について新しい説を提供することができたと思われる。
著者
後藤 嘉宏 安光 裕子 中林 幸子 白井 亨 岡部 晋典
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

中井正一は、1930-37年に同人誌『美・批評』と『世界文化』、新聞『土曜日』を主宰したとされる。本研究はこれらの媒体の共通性と異質性を、記事内容の分析を通じて捉えた。『世界文化』と『土曜日』はほぼ時期の重なる媒体であるが、後者に中井は肩入れする。マルクス主義者が多く欧米の紹介記事も多い『世界文化』に比して、『土曜日』はより中道的で中国関連の記事も多い。また『美・批評』の後継誌が『世界文化』であるものの、主題、広告について『美・批評』は『土曜日』に似た側面もある。『世界文化』に一見、距離をおく中井であるが、彼の代表作「委員会の論理」は同誌に載せたが、本研究はそのことの意味を探った。
著者
広瀬 茂久
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

魚類の浮き袋のガス腺と対向流血管系に発現する乳酸輸送体を同定し,乳酸の回収とグルコースの送達が効率よく行われるための仕組みを解明した。さらに,ガス腺細胞に予想外の酵素(Fbp: Fructose bisphosphatase)が特異的に高発現していることから,代謝の空転サイクルが作動していることを明らかにした。解糖系の一部を空回りさせることによって熱を発生させ,浮き袋内にガスを閉じ込め易くしているという驚くべき仕組みを解明した。
著者
荻本 快
出版者
相模女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

境界性パーソナリティ障害(BPD)への効果的な治療法が、内省機能(メンタライジング)に基づく治療として考案され、世界的に注目されている。内省機能とは、自己と他者の心理状態を振り返る能力のことである。内省機能を測定する質問紙であるReflective Functioning Questionnaire (RFQ)がFonagyらによって開発され多くの言語で翻訳されているが、日本語版は開発されていない。本研究の目的はRFQの日本語版の開発および妥当性と信頼性の検討である。RFQを日本語に翻訳し、BPDを対象として、因子構造、内的整合性、構成概念妥当性を検討する。
著者
羽渕 脩躬 羽渕 弘子
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

変形性関節炎に伴う膝の慢性疼痛は患者のQOLを左右しており、疼痛の仕組み解明とその抑制が大きな課題である。私たちはマウスのモノヨード酢酸(MIA)誘起膝関節炎モデルにおいて、培養肥満細胞(BMMC)の関節への移入が痛みを引き起こすことを発見し、この系を用いて痛み発生機構解明に取り組んできた。膝の痛みの定量的測定のために、自由行動中のマウスを観察し、両前肢を壁に当てて全立ち上がる回数のうち未処理の下肢のみで立ち上がる回数の割合を求めた。この方法ではVon Frey法では検出できない痛みの変化を観察できた。注射したBMMCが関節内に留まっていることを確認するため、GFP-Tgマウスから作成したBMMCを注入し、GFPとmMCP6(トリプターゼ)の抗体染色で陽性を示す細胞が関節内に存在することを確認した。MIA未処理の関節にBMMCを移入しても痛みを誘起しないので、痛み誘起には関節内炎症によるBMMCの活性化が必要である。脱顆粒した肥満細胞から放出されるトリプターゼは神経細胞のPAR2受容体を活性化することが知られている。痛み誘起へのトリプターゼの関与を確かめるため、PAR2のアンタゴニスト存在下でBMMCを移入したところ、BMMCのみに比べて痛みが顕著に低下した。PAR2のアゴニストをBMMCの代わりに注入したときはPBS注入の対照よりも痛みが増加した。よってトリプターゼが痛みの誘起に中心的な役割を果たしていることが推定された。免疫組織化学により、PAR2受容体は主に表層の軟骨細胞と軟骨膜で発現しており、MIA処理で発現強度が増加した。BMMC移入による痛み誘起に伴い、炎症性サイトカインIL-1b、IL-6,TNF-αおよび痛み関連因子NGF、CGRPの発現が上昇した。アンタゴニス存在下でBMMCを移入したときは痛み誘起が抑制されるとともにこれらの遺伝子発現が低下した。
著者
山本 裕二 木島 章文 福原 洸 横山 慶子 小林 亮 加納 剛史 石黒 章夫 奥村 基生 島 弘幸
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では,スポーツにおける対人運動技能の制御・学習則を解明する.対人運動技能とは,眼前の他者と連携や駆け引きを行う技能と,連携や駆け引きを通して互いに成長し続ける技能の両方を指す.これは様々なスポーツに共通の重要な技能であると考えられるが,従来は個の運動技能のみが扱われており,対人運動技能の制御・学習則は未知である.そこで本研究では,二者が連携や駆け引き,二者が連携して他の二者と駆け引きする対人運動技能の制御・学習過程の調査・行動実験からそこに潜む規則性を見つけ,数理モデルを構築して制御・学習の本質を理解し,ロボットに実装してその妥当性を検証する.
著者
佐々木 陽子 村岡 敬明
出版者
南山大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

「歴史の和解」は往々にして国家主体の課題とされ、個々人の内面における記憶の継承や、対話、内的ダイアローグの生起や影響が軽視される傾向にあった。本研究は国家の枠組みでとらえられがちな歴史和解を、「人の和解」という点から問い直すものである。「他者」の声が立ち現れ、感情や記憶に訴えかける多声(ポリフォニー)が形成され、対話(ダイアローグ)が生まれる場として複数の「芸術」の現場をフィールドと定め、そこでの多声と公共圏形成の過程を分析する。インタビュー調査やPAC分析法など複数の調査手法を用い、芸術の現場で起こる対話と和解を探り、それによって「国家の和解」に対峙する「人の和解」のダイナミズムを模索する。
著者
中川 淳一郎
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

我々はクラッシュ症候群の多臓器不全にいたるメカニズムに活性酸素種が強く関与していると考え、活性酸素種を制御するために抗酸化物質ETS-GSを用いて本研究を行った。その結果、抗酸化物質を経静脈的に投与することにより活性酸素種や炎症性サイトカインの産生が抑制され、引き続き生じる遠隔臓器障害が軽減し、生存率改善効果が得られた。活性酸素種はクラッシュ症候群において病態進行を誘導する一因であることが示唆された。
著者
権 哲源
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2018-04-25

血管は血管内皮細胞と血管平滑筋細胞の2つの細胞から構成されている。中でも、我々が注目しているアペリン受容体(APJ)は、血管内皮細胞における血管拡張作用が広く研究されている一方で、血管平滑筋細胞における役割は不明であった。そこで、本研究では、血管平滑筋細胞特異的にAPJを過剰発現したマウス(SMA-APJ)を作製し、血管平滑筋細胞APJと血管収縮に焦点を当てた解析を行っている。昨年度までの研究において、アドレナリン受容体アゴニストのノルアドレナリンやフェニレフリン、およびアドレナリン受容体の阻害剤を使用した薬理実験から、アペリン誘導性の血管異常収縮に対するα1Aアドレナリン受容体(α1A-AR)の関与が示唆されていた。しかし、これら生理活性物質は、いずれもアドレナリン受容体の「α1サブタイプファミリー」に作用する可能性があり、α1Aアドレナリン受容体の関与を直接的に断定するものではない。そこで、本年度は、α1Aアドレナリン受容体の選択的アゴニストであるA-61603を活用し、SMA-APJに対してアペリンとA-61603を同時投与した場合でも、血管の協調的な収縮が見出されることを明らかとした。さらに、この協調的な収縮が、SMA-APJ/α1A-AR-KOマウスにおいて有意に消失したことから、血管平滑筋細胞APJが担う血管異常収縮に対する、「α1Aアドレナリン受容体の関与」を断定できた。アドレナリン受容体は9つのサブタイプを有するGPCRである。複雑な血管組織・タンパク質が相互に作用する血管収縮に対し、1つのGPCRサブタイプの役割を断定できたのは、大きな進捗であったと考える。以上の研究成果に併せて、本年度は、国際学会(ポスター1件)と国内学会(ポスター2件)での発表を行った。さらに、J. Biochem誌に第五著者として研究成果の一部が掲載された。
著者
佐藤 章夫 金子 誉 王 培玉 上島 弘嗣 多和田 真人 岡山 明
出版者
山梨医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

まず、平成11年に遊牧民地区を調査した。モンゴル遊牧民の血圧水準は非常に高く、収縮期血圧が男性で141±23、女性で136±27と高く、さらに年齢階級別に示すと加齢に伴う収縮期血圧の上昇が日本に比べ男女とも大きいことが判明した。拡張期血圧も同様の傾向を示した。これらの遊牧民の血圧値は、脳卒中の多かった1965-1970年前後の秋田県住民の水準とほぼ同様の値を示すという結果となった。また、高血圧者の頻度も、現在の日本と性・年齢階級別に比較しても約2-10倍程度高いことが判明した。血圧を上昇させる要因の一つとして、塩分摂取量が多いことがあげられる。尿中ナトリウム排泄量から推定される遊牧民の塩分摂取量は男性で約17g/日、女性は約15g/日と非常に高いものであり、かつての秋田と同等の水準であることがわかる。また、遊牧民における糖尿病の調査結果は、304名中に、5名が糖尿病型、7名が境界型。年齢調節した遊牧民糖尿病の割合(2.1%)は、同じ自治区の都会住民のそれ(3.8%)に比べて低かった。次は、平成12年の同じ自治区のモンゴル族農民の調査を行った。モンゴル族農民の血圧水準は収縮期血圧が男性で125±15、女性で126±20;拡張期血圧が男性で80±10、女性で81±13、男女とも遊牧民の血圧水準より有意に低かった。農民の塩分摂取量は男女とも13g/日で、遊牧民のそれに比べて低い水準であった。また、農民における糖尿病の調査結果は、340名中に、8名が糖尿病型、18名が境界型であった。年齢調節した農民の糖尿病の割合(2.2%)は遊牧民と比ぺて差がなく、境界型の割合(4.7%)は遊牧民のそれ(2.1%)より高かった。平成13年に、栄養調査のデータを解析した。三大栄養素の摂取割合は、遊牧民には、脂肪が約35%、タンパク質が14%、糖質が51%;農民はそれぞれに10%、10%、80%であった。その結果が出る次第に、さらに遊牧民および農民の食生活と高血圧と糖尿病の関連について分析する。つまり、遊牧民の食事は高脂肪/低糖質なものに対し、農民には、低脂肪/高糖質の食事を取っている。本調査の結果から、モンゴル族遊牧民と農民の生活習慣病の現状は、糖尿病の有病率が遊牧民と農民のいずれも2%という低い水準であったが、高血圧に関しては、遊牧民の有病率が著しく高かった(やく50%)。その原因は食塩の多量摂取にあると考えられる。
著者
杉原 桂太 嶋田 創
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

情報検索のための PageRank はネットワークのリンク解析によるノードへのスコア付与アル ゴリズムとして広く普及している。PageRank には高計算コスト等の問題があり、改良策が盛 んに研究されて来た。従来の改良は当初の PageR;ankと同じくネットワークの隣接行列を用い る。しかし、PageRank の問題は同行列では根本的には解決されない懸念がある。本研究は、 エルミート隣接行列に依るスコア付与のアルゴリズムを開発し、PageRank を凌駕 し発展性を持つ手法を構築する。
著者
杉山 茂 外輪 健一郎
出版者
徳島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

プロパンからプロピレンへの接触酸化脱水素反応において、プロピレンの完全酸化によるCOやCO_2の生成を抑えるため、マイクロリアクタを用いた。カルシウム水酸アパタイトを触媒とし、反応温度に対し非定常操作を用いると、3. 2%のプロパン変化率の時、73%のプロピレン選択率が得られ、通常の常圧固定賞流通式反応器におけるプロパン変化率3. 1%におけるプロピレン選択率0%を著しく改善できた。
著者
後関 利明
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

眼圧以外の緑内障の発症メカニズム解明を目指し、形態的変化をMRIにて、血流変化をレーザースペック血流計にて計測する。両測定を右方視、左方視、注視時に施行し、注視時における視神経変化と血流変化を正面視の結果と比較する。その結果、側方視での変化が大きければ、緑内障進行を予防する手立てとして、側方注視を制限する手術が有効となる可能性がある。