- 著者
-
平山 和美
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.2, pp.199-206, 2015-06-30 (Released:2016-07-01)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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5
3
近年,ヒトの大脳における視覚情報処理には大きく分けて 3 つの流れがあると考えられている。(1) 腹側の流れは, 後頭葉から側頭葉に向かい, 対象を同定したり対象についての知識を呼び出したりするために色や形を分析する。(2) 腹背側の流れは, 下頭頂小葉に向かい, 対象の位置や運動を分析し対象を意識することに関わる。(3) 背背側の流れは, 頭頂間溝や上頭頂小葉に向かい, 対象の位置や運動,形を分析して, 対象に向けた行為の無意識的なコントロールに関わる。腹背側の流れの病変では, 失運動視症, 視覚性注意障害, 半側空間無視が起りうる。背背側の流れの病変では, 視覚性運動失調,把握の障害や自己身体定位障害が起りうる。これらの症状について責任病巣, 詳しい特徴などを, 上記 2 つの流れの機能との関係で論じる。