著者
桜井 国俊 宇井 純 山門 健一
出版者
沖縄大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究年度中の重要な社会情勢の変化として、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が平成16年11月1日から完全施行されたことが上げられる。沖縄は食文化として豚肉を多食し、県下の養豚頭数は他県に比し人口比で3倍近くの25万頭あまり有り、養豚排水の適正処理は、環境保全の観点からも、地域産業と食文化の保護の観点からも重要なテーマである。しかしながら、現在、養豚排水浄化処理施設に対する補助事業は、曝気槽への流入汚水濃度を20〜30倍の水で希釈してBOD1,200ppm程度にして浄化処理をすることを認可条件として指導されている。この指導に従えば、毎日4万トンの希釈水が養豚排水処理のために必要となるが、水資源に乏しい沖縄島では、このような排水処理は持続可能とは言いがたい。そこで今年度は、県下の畜産農家とも連携しながら、研究分担者の宇井純が設計した大里村の金城農産の無希釈の酸化溝方式排水処理施設の他畜産農家への適用可能性を検証する実証研究を展開した。まず、酸化溝方式排水処理の実施設のパフォーマンスについて検討を行った。検討したのは、沖縄大学酸化溝水質分析結果、大里村金城農産酸化溝水質分析結果、滝沢ハム(株)酸化溝水質分析結果である。次いで、金城農産等の事例を踏まえ、無希釈による畜産排水処理施設を補助対象事業とするよう沖縄県当局と協議し、認可を得た。宇井純が平成15年度に執筆刊行した「沖縄型・回分式酸化溝のすすめ-自然循環型の畜舎排水処理システム」を使用した無希釈の畜産排水処理法の畜産農家への普及活動、平成15年度に研究代表者の桜井国俊が、太平洋の島嶼国家の水資源・排水処理管理などのあり方を論じて発表した「それはもちますか?-我々はいかなる開発をめざすのか?-」を沖縄に即して詳細に検討する作業を行った。
著者
橘木 修志
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

脊椎動物の網膜には、視細胞として、錐体と桿体が存在する。錐体は明るいところでの、桿体は暗いところでの視覚を司っている。錐体は、明るい光環境下でも、光刺激?に対して的確に応答をすることができる。我々は、本研究で、(1)錐体において、光受容タンパク質がリン酸化により不活性化される反応が強く調節されていることを明らかにした。また、(2)錐体では、リン酸化された光受容タンパク質が迅速に脱リン酸化される仕組みがあることを見出した。これらの機構は、錐体が明るいところで働き続けられる仕組みとして働いていると考えられる。
著者
高木 俊暢
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

「あかり」衛星による連続体な近-中間赤外線による測光観測結果を用いることにより、多環芳香族炭化水素(PAH)による特徴的な放射特性を捉えられることを示した。つまり、「あかり」衛星では、PAH放射が強い銀河を、分光せずとも、測光観測のみで同定することができる。この特徴を活かし、私たちは、PAH放射の強い銀河を同定する方法を確立した。この方法では、7および11μm、または、9および15μmで定義される色で、非常に赤くなる天体に注目する。この色は、フラックス比で8倍に相当し、活動銀河核やその他PAH以外の放射特性では再現できない色である。つまり、これら赤外線で明るいPAH銀河は、AGNではなく、純粋に爆発的な星生成活動によって明るくなっている天体と考えられる。近傍では、赤外線光度が10^<12>太陽光度を超える超光度赤外線銀河は、全赤外線光度に比べて、PAH放射が弱く、AGNの全光度への寄与、または、PAH放射のダストによる吸収があると考えられる。一方、「あかり」で見つかった赤方偏移1付近のPAH銀河は。超光度赤外線銀河でありながら.PAH放射が強く、中間赤外線でのスペクトル特性は、純粋なより小規模な爆発的星生成銀河のそれと矛盾しないことを示した。
著者
日置 佳之
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.205-208, 1996-03-29
被引用文献数
7 5

オランダでは,生物多様性を維持する目的で生態ネットワークを形成することが,国土計画における重要な政策として1990年に採用された。生態ネットワーク計画は,動植物のハビタットの分断化を防ぎ,生態系の水平的なつながりを回復しようとするもので,景観生態学的な調査に基づいて立案され,中央政府・地方政府・NGO等の協力のもとに,生態的インフラストラクチャー整備によって実現が図られつつある。本稿では,生態ネットワーク計画の理論的背景,計画内容,実現戦略について文献と現地調査に基づいて整理し,その特徴を考察した。
著者
小川 光
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、政府間の情報の完全性を仮定しない場合にどのような問題が生じるかを明らかにすると同時に、ゲーム論等を用いることによって社会的に最適な状態に導くようなメカニズムをデザインすることを目的にしている。主たる研究成果は以下のようにまとめられる。Principal-Agentモデルを用いた『Allocation of authority under central grants』では、公共事業のタイプを決定する権限を二階層の政府間で配分する際に、公共事業への資金拠出インセンティブが重要な役割を果たすことから、事業への投資インセンティブを高めるために、資金調達費用に劣る下位層政府(地方政府)に事業タイプの決定権限を委譲することが最適解となる可能性があることを明らかにした。公共事業のタイプを内生的に選択する状況を扱った上記の分析を発展させて、『Grants structure when the type of public project is endogenous』では、地方政府の資金調達力が上がるとともに、中央政府は地方政府にとって優先順位が高い事業を選択すること、また、matching grantsからblock grantsへの補助金の給付方法のシフトを図るべきであることが明らかになった。中央政府から地方政府への権限委譲に加えて、さらに、地方政府から民間部門への事業内容の一部委譲を行う際の問題点として、コストの戦略的引き上げが行われる可能性を『Public monopoly,mixed oligopoly,and productive efficiency』において明らかにしている。これらの研究成果は、European Accounting Association Annual Congress(アテネ大学)や数理・理論経済学セミナー(九州大学)においても報告されている。
著者
水谷 幸正 藤堂 俊英 渡辺 千寿子 場知賀 礼文 藤本 浄彦 小西 輝夫 田宮 仁
出版者
佛教大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

医療技術の進歩と高齢化社会の到来によって、より問題化してきた終末看護に、仏教的叡智を体して対応しうる人材を養成することは、その原理的精神を継承する日本仏教の、またそれを教授指導する仏教系学府の今日的使命の一つであるといえる。そうした認識をふまえて本研究は三期七年にわたる「仏教とターミナル・ケアに関する研究」を先行する基礎的理論的研究とし、さらにその成果をもとに平成5年4月より本学専攻科内に本邦で最初の仏教看護コースを開設した。その就学者には看護僧をめざす僧尼ばかりでなく、第一線の看護、社会福祉、社会教育に携わる人々も含まれることになり、仏教精神を体した日本的ターミナルケアの本格的な稼働が如何に待望されているかを知らしめられることになった。今回の一期二年にわたる研究は当該コースにおける教授指導を通してターミナルケア従事者、特に仏教看護僧の養成に当っての教授法やカリキュラムについて多角的、また統合的な検討を加えて行った。その成果は順次、仏教看護コースの教授の中に活かされ、その充実に資するところとなった。仏教看護コースの修学年限は一ヶ年(二年まで可)であるが、欧米では定着している大学院レヴェルでの教育システムの中で専門家を養成して行くことで、日本におけるターミナルケア従事者の裾野を充実したものに広げて行くことが次の課題となった。またそうした構想の実現を通して、日本社会におけるターミナルケア従事者、仏教看護者の受け入れ体制も徐々に整って行くことであろう。尚、先行する「仏教とターミナルケアに関する研究」の三冊の報告書が新たな編集のもとに法蔵館(京都)より出版されることとなった。この公刊により日本におけるターミナルケアに対する理解が一層深まることを期待したい。
著者
熊木 健二 山村 毅 田中 敏光 大西 昇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.108, pp.31-37, 1995-11-16
被引用文献数
5

本研究では,ガラスなどの透明物体に映り込んだ虚像と,その背後にある物体を分離する手法を提案する.一般に,ガラスの表面で反射する光は,ガラスを透過してくる光よりも強く偏光しているので,偏光フィルタを適切な角度(偏光角)で用いることにより,映り込み物体を除去することができる.偏光角は,ガラス及び映り込みを生じさせる物体のカメラに対する位置と姿勢により求めることができるが,これは,容易でない.そこで,偏光フィルタを少しずつ回転させながら取り込んだ複数枚の画像から各画素の最大値・最小値を求めることにより,実物体と映り込み物体の分離を行う.実画像に対して本手法を適用し,その有効性を示す.This paper proposes a method for separating real objects behind glass and virtual ones reflected on it. Generally speaking, light is more polarized when reflected on glass than when transmitted through it. This optical property allows us to eliminate virtual objects by a polarizing filter set to a proper angle, called "polarizing angle". This angle is calculated from the relative orientations of the glass and the virtual objects to a camera. However it is usually difficult to implement such calculation. Therefore, we use a series of images taken by rotating the filter. Obtaining the minimum and maximum images, we can separate real and virtual objects. Experiment with real scenes is presented to demonstrate the effectiveness of the proposed method.
著者
AKIMA Hisanao SATO Shigeo NAKAJIMA Koji
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on electronics (ISSN:09168524)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.832-834, 2004-05-01
被引用文献数
1

A random number generator composed of single electron devices is presented. Due to stochastic behavior of electron tunneling process, single electron devices have intrinsic randomness. Using its randomness, a true random number generator can be implemented. Although fluctuation of device parameters degrades the performance of the proposed circuit, we show that the adjustment of the bias voltages can compensate the fluctuation.
著者
長澤 雅男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.204-210, 1994

一次情報の記録物としての一次資料の意義を規定し,その特性と対比して,二次資料の特性を明らかにしたうえで,事実解説的な二次資料と案内指示的な二次資料とに大別して,その種類について説明した。次いで,二次資料を収録対象とするレファレンス資料の解題書誌,主題別リスト,書誌の書誌などの三次資料がその探索トゥールとして利用できることを述べ,それらの三次資料の具体例として,日本語,英語の主要なタイトルを選び,内容解説を加えながら紹介した。合わせて,電子メディアとしての二次資料の探索トゥールとして,幾つかのディレクトリにも言及した。
著者
宮島 利七
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
機械學會誌
巻号頁・発行日
vol.25, no.75, pp.45-70, 1922-09-30
著者
重川 弘宜 竹内 正明 近内 誠登
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.85-90, 1993-02-20

Effects of surfactants, polyoxyethylene nonylphenyl ether and the Silwet L-77, on penetration of propanil through Commelina adaxial epidermis were investigated in terms of concentration and EO molarity of the surfactants and stomatal condition of the epidermis. The initial penetration rates of propanil varied widely. In 70% of the epidermis they were below 70pmol/mm^2/hr. On microscopical observation, most stomata on the surface remained closed throughout the penetration experiment. There was no significant correlation between the initial penetration rates and the number of stomata. The promotive effect of surfactants was high when the initial penetration rate was low, approaching 1 as the rate increased. There was an exponential relationship between the initial penetration rate (X) and the penetration rate (Y) after surfactant addition. The relationship is expressed as, Y=e^a・X^b. Surfactant efficiency to promote penetration was evaluated by two approaches : (i) by substitution and (ii) by plotting coefficients a and b. There was a parabolic relationship between the EO molarity of surfactant and the promotive effect, and surfactant NP(8) was the most effective in enhancing. There was a linear relationship when coefficient b was plotted against coefficient a, and that showed a difference in effectiveness in enhancing penetration among the surfactants. The Silwet L-77 significantly promoted non-pore penetration.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1936年02月17日, 1936-02-17
著者
鈴木 基之 迫田 章義 藤江 幸一 花木 啓祐 黒田 正和 梶内 俊夫 岡田 光正
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、使用水のリサイクル推進が、異なる局面で招く恐れのある処理設備および資源・エネルギー消費の増大を定量的に解析し、トータルな環境負荷を増大させない効率的な水再利用プロセス像を明らかにするとともに、そのための今後の技術開発の方向に関して提言を行うことを目的としている。水多消費型の主要産業に対してその排水量・排水性状、現状処理方法、処理水質、リサイクル状況およびエネルギー消費などについて調査を実施した。この調査結果に基づいて、排水および処理水の水質、処理方法と所要エネルギーの関係を示し、エネルギー消費の観点から今後のCOD削減、すなわち処理水質向上目標の設定および処理プロセスの選択のための指針を提案した。生活・事務系排水の循環利用状況の調査結果をもとに、各排水処理システムの設計条件と製造コストを検討し、水の処理レベルと再生水の用途、単位操作の組み合わせ方法とエネルギー消費との関係を解析した。中水道用の水処理プロセスに対して二酸化炭素排出量を指標にライフサイクルアセスメントを行い、膜分離方式は設置面積が小さく、処理水質が優れているが、建設時と運用時の環境負荷が大きいことが定量的に明らかになった。雨水利用についても、ある実例についてその業績を詳細に検討し、処理コストとエネルギー消費の解析を行うとともに、大規模建築物における雨水の利用における水のバランスなどを検討した。加えて、最も広く利用されている好気性生物処理法や、今後導入が期待される生物活性炭処理法と膜分離法などについて、その処理対象物質および処理最適濃度・到達できる処理水質・所要エネルギーとコストについて定量的評価を行い、エネルギー効率を向上できる操作条件を示した。さらに、既存の窒素・リン除去技術の適用範囲、処理能力とエネルギー消費特性を明らかにし、最適な窒素・リン除去方式を選択するため基礎データが得られた。