著者
木村 竜 新巻 洋一 五百蔵 重典 田中 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.252, pp.17-22, 2008-10-15

本論文では,GPS機能を内蔵する携帯電話を用いて得られる位置情報とモバイルネットワーク,インターネットそして家電ネットワークを統合した知的環境実現のためのアーキテクチャを提案し,その具体的一例として,エアコン制御へ適用したシステム構成とその結果を示す.まず,携帯電話サービスの加入事業者に依存しない位置情報共有・表示システムとして,データベースマネージメントシステムとGoogleMapsを用いて地図上にGPS携帯電話所有者の移動履歴を図示するとともに,その位置精度を評価,確認した.そして,その位置情報と携帯電話所有者の行動パターンを考慮して,所有者の居室のエアコンを自動的に制御するシステムを構築し,その有用性を実証した結果を述べる.
著者
小木野 初
出版者
一般社団法人大学英語教育学会
雑誌
大学英語教育学会紀要 (ISSN:02858673)
巻号頁・発行日
no.14, pp.137-150, 1983-09-30

This article is an attempt to find an efficient way for the teaching of reading in English by investigating an experiment on reading. The experiment was designed on the basis of an assumption that there are two separable, though dependent, reading processes: microprocess and macroprocess. Microprocess is the process for understanding details within the structural elements of a text primarily at the word and sentence levels. Macroprocess is the process for understanding the thematic structure of a text, sorting out the thread of the overall organization, and integrating information in a text. It is claimed that Japanese students have difficulty in grasping the overall organization of a text and in understanding relative importance of ideas and details within a text since they receive English language instruction mainly through translation which is one type of microprocess reading. Teaching a foreign language exclusively through translation is one-sided since the comprehender responds to the total organization rather than to some molecular parts of a text. Thus we framed a hypothesis that reading comprehension can improve through teaching reading strategies which help students comprehend textual organization and highlight information in a text. This kind of macroprocess reading is called structural reading here in the paper.
著者
中田 研 新城 宏隆 三山 崇英 前 達雄 濱田 雅之 史野 根生 堀部 秀二 越智 隆弘 吉川 秀樹
出版者
日本結合組織学会
雑誌
Connective tissue (ISSN:0916572X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.313-321, 2000-09-25
被引用文献数
2

Meniscus is one of the cartilaginous tissues in the knee joints which plays important roles in joint motion, load transmission or lubrication. It is well known that intrinsic healing of injuredmeniscus is limited even if repaired surgically, and that degenerative joint disease develops following loss of its function. We investigated human and rat meniscus cells in the primary culture to characterize their potential of proliferation and gene expression of matrix proteins (type I, II, III, IX collagens and aggrecan), growth factors (TGF-β1, FGF-2, PDGF-A, IGF-II), and their receptors (TGF-βRI, FGFR1, PDGF-R, IFG-I-R). Furthermore, we studied the effect of these growth factors on cell proliferation. Finally, we investigated the possibility of meniscus transplantation with autogenous meniscus cells. Rat meniscus transplantation model was developed and collagen scaffold was used for meniscus cell seeding. These experiments showed future feasible strategy of meniscus cell therapy for meniscus injuries.
著者
高橋 ひさ子
出版者
育英短期大学
雑誌
育英短期大学研究紀要 (ISSN:09143351)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-13, 2003-02-01

本稿は夏目漱石(1867-1916)の『三四郎』(1908)と西洋絵画との関係を探っている。漱石作品への視覚芸術の影響については近年さまざまな研究が行われているものの,『三四郎』へのシンボリズムのプログラム応用については,今なお十分な研究が行われていないのが現状である。本稿は,『三四郎』のヒロイン美禰子像形成への漱石のシンボリズムプログラムの応用を明らかにすることを主眼とし,漱石の西洋絵画への強い関心,ジャンーバプティスト・グルーズ(1725-1805)が描いた少女像と『三四郎』のヒロイン美禰子像との関連性,さらに典型的なシンボリストモチーフで描かれた女性像との近似性,そして作品へのシンボリズムプログラム応用へと漱石を導くこととなったシンボリズムに対する漱石の理解と共感についての四部構成で論じている。
著者
雪村 八一郎
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.123-130, 1984
被引用文献数
2

未治療の甲状腺機能亢進症患者19名を4群にわけた。対照群には, メチマゾール, プロプラノロールによる治療を行い, 他の3群には, それぞれ灸甘草湯, 柴胡加竜骨牡蠣湯, 桂枝加竜骨牡蠣湯エキス剤の併用を行った。灸甘草湯を併用した群では, 治療初期には血中サイロキシンの, 治療全経過を通じては血中トリイオドサイロニンの下降率が, 対照群に比し有意に増大していた。このことから, 灸甘草湯は, 血中甲状腺ホルモン値を下降させることにより, 甲状腺機能亢進症の治療上有効であることが示唆された。
著者
松永 康
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

前半は,金属的性質を持つ単層アームチェア型ナノチューブを選択成長させるための最適なシース電場をヒュッケル・ポアソン法を用いて定量的に評価した.最適シース電場はチューブ長の3乗に逆比例し,ある長さより長いチューブに対しては外部シース電場制御による選択成長が可能であるとの結論を得た.次に自己磁場と有限長という効果を取り入れるためスラブモデルを設定し,電子の束縛状態の固有関数を近似的に解いた.有限の厚みのシートと平行方向に磁場を配置し,シートの中心面に原子核による正電荷を分布させる.遮蔽効果を考慮し,電場・磁場の両効果を取り込んだ一電子の波動関数は超幾何関数で表すことができ,これらの関数の各領域における接続条件とエネルギー固有値の条件によって決まる新たな束縛状態(ランダウモード)を発見した.具体的にはシートの中心面を挟んで進行方向が異なるモードが存在する波数条件を見いだすことに成功した.そして最近注目されている電気的破壊の実験結果において報告者が指摘している新たなランダウモードが影響を与えているのではないかという一つの証拠を見つけた.これは一定電流値以上を流した大半径多層チューブでは殻が一枚ずつ消失して細ってゆき(thinning),また単層チューブのロープでも同様の破壊(breakdown)が,特に空気中で起こるというものである.そこで報告者が得たモードとこれらの現象について考察し,成果を学術雑誌にまとめた.結論として,カーボンナノチューブという特異な幾何学条件と電磁気条件によって,新たな量子力学的束縛状態が発見された.この新たなランダウモードは,印加電流による自己磁場が強くないと存在しない,マクロな電流には寄与しない,チューブ外側に状態密度が存在するためbreakdownやthinningに強く関与する,ことなどがわかった.このモードが存在するとチューブ周りのガスやチューブ壁上の付着物を活性化させ,その結果炭素壁の結合が破壊されると考えられる.
著者
前田 英作
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.319, pp.23-28, 2002-09-12

Vapnikによって提案された統計的機械学習手法であるサポートベクトルマシン(SVM)は,様々な問題に適用されてその有効性が検証されつつある.このSVMの大きな特徴の一つは,特徴空間の次元に比べてサンプル数が少ない場合,即ちいわゆるサンプルの分布がスパースな場合にも高い汎化性能を示すことにある.既存の機械学習手法の多くにおいて弱点とされていた高次元特徴空間における汎化性能の問題を克服したことで,パタン認識技術の適用領域は大きく広がった。本稿では,パタン認識技術の新しい応用先としてバイオインフォマティックスと自然言語処理を取りあげ,現在研究を進めている具体的な課題としてDNA発現解析と質問応答システムについて紹介する.また,それらを取り巻く環境,今後の課題についても触れる.
著者
佐久間 真紀
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.91-97, 2008 (Released:2008-05-01)
被引用文献数
2

「企業図書館」では,会社から求められるニーズの変化,情報社会の多様化に対応した変化が常に求められる。このため,富士通(株)川崎技術情報センターでは,「企業図書館」として,改めてミッションを明確にし,活動の指針とする「運営要綱」を2004年に策定した。本稿では,運営要綱で掲げたコンセプトおよび実際に行っている利用者対応,情報発信,資料管理業務の改善・向上,および顧客満足度向上,利用促進活動等について紹介する。
著者
長瀬 友樹
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.109-110, 1990-09-04
被引用文献数
1

近年,機械翻訳の利用形態はたいへん多様になってきている.例えば,電子メールやテレックスの翻訳,外国人との会話翻訳システムなどが考えられているが,これらに共通する傾向として「即時性」がある.「即時性」を要求されることは,翻訳前に固有名詞を始めとする未登録語を登録することができないことを意味する.したがって,翻訳システムはこれまで以上の正確さで固有名詞などを認識し,翻訳精度を上げる必要がある.そこで我々は,形態素解析と構文解析の間に,固有名詞等を認識するための新しいフェーズをつくり,実験を進めている.これは,字種,長さ,品詞などをもとに,形態素リストの各ノードにタイプ付けを行い,このタイプを終端記号としてCFG規則を適用するものである.記号列のまとめ,ひらがなの未登録語認識なども同時に処理できるが,ここでは固有名詞の認識に絞って説明する.
著者
堀田 博史 松河 秀哉 森田 健宏 松山 由美子 村上 涼 吉崎 弘一
出版者
園田学園女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、保育でのメディア活用に関する教育方法・技術をパッケージ化したカリキュラムの開発を行うことである。研究は、メディアを保育カリキュラムに取り入れている幼稚園・保育所の活用実態を調査、また日本における保育でのメディア活用指針を作成する手順で進めた。開発した体系的に保育でのメディア活用を学ぶ教育方法と技術に関するカリキュラムはWebサイトで公開、講義で利用され、おおむね高評価を得ている。
著者
佐藤 祐一 市田 隆文 原田 武 伊藤 信市 朝倉 均 加藤 仁 橋倉 泰彦 池上 俊彦 川崎 誠治 松波 英寿 幕内 雅敏
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.684-689, 1997-11-25
被引用文献数
2

症例は52歳の成人女性で, 1984年に皮膚掻痒感で発症し, Scheuer I期の原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断され, 外来で経過観察されていた. 1992年頃より黄疸が出現し, 1993年3月に当科入院したが, 黄疸の高度進行, 腹水の増加, 肝性脳症の悪化, 肝腎症候群を認め, 血漿交換を含めた内科的治療も奏功しなかった. そこで本人と家族が肝移植を強く希望したため, 正式にインフォームド・コンセントを得て, 1993年10月20日信州大学第1外科へ移送し, 同年11月2日, 長男 (25歳) をドナー (グラフト肝重量402g) とする成人間生体部分肝移植を施行した. その後, 原病の再発とも思われる組織像と, 抗糸粒体抗体, 抗PDH抗体, IgM, ALPの上昇を認めた. 術後約3年半を経た現在, 上述のように血清学的には原疾患の再発が示唆されるが, QOLはよく, 日常生活に支障は生じていない. 一方, ドナーである長男も結婚し, 普通と全く変わらない生活を送っている. 以上PBCに対する治療として, 生体肝移植は我が国で選択されうるべき治療法の一つであり, 今後その推進に力を注ぐ必要があると思われた.
著者
加納 潤吉 小野 良平 熊谷 洋一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.845-850, 2002-03-30
被引用文献数
2 1

本研究は,地域の自然環境をいかしたコミュニティ空間としての河川を対象に,コミュニティ内の生活と信仰からなる「空間構成」の原型を把握し,さらに近代以降の空間構成の変容過程と,その要因としての人為的環境変化を明らかにし,空間構成における河川の役割の変容について考察することを目的とした。そして,目黒川沿いに成立し,地形条件の異なる3神社の氏子のコミュニティにおける空間を対象とし,文献およびヒアリング調査を行った。その結果,河川により形成された地形によって空間の領域が規定される等の,複数の空間構成の形態を見出せ,近代以降における空間の変容をこれら空間軸と河川との関係の変化として捉えることができた。
著者
西野 寿章
出版者
高崎経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、戦前のわが国の主に山村に立地した電気利用組合の設立過程や背景を明らかにして、民営主導で展開した戦前の電気事業における、その歴史的意義を検証するものである。本研究では、とくに多くの電気利用組合が開業した府県を中心として調査研究を行った。しかしながら、手懸かりとなる市町村史や府県史等、地域史の中に電気利用組合の記録が残されているケースは少なく、その全容を解明するのは困難であった。とはいえ、いくつかの研究成果を見出すことができた。第一には、電気利用組合設立の動機の多くは、民営電灯会社が配電地域としつつも、家屋が散在しているために配電の対象から除外したことにあった。養蚕が盛んであった大正時代の山村では、石油ランプによる火災がたびたび発生しており、安全で、点灯に手間の掛からない電灯へのニーズが高まっていた。第二には、電気利用組合は1923(大正12)年以降に急増するが、その背景には、それまで電灯会社の育成のためにいわば保護政策をとっていた逓信省が、1922(大正11)年に電気利用組合を認可する方針へと転換したことにあった。第三には、住民出資によって設立された電気利用組合は、地域の内発性に基づいて設立されたことである。戦前の電力供給ネットワークの末端が民主的に形成され、運営されていたことは、今日のエネルギー問題、環境問題の地域の対応を考えるのに示唆的である。しかしながら、戦前の地主小作制度下において、電気利用組合設立に際して、住民にどのような対応があったかについては、資料の制約から明確にすることはできなかった。この点については、引き続き、資料収集と分析を進めることによって明らかにする努力をしたい。
著者
中林 拓馬 加戸 啓太 平沢 岳人
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.17, no.37, pp.1053-1056, 2011-02-20 (Released:2011-10-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Augmented Reality or Mixed Reality is a technology to extend or enhance human senses by putting the CG which is processed by computer into the real world.The authors developed a tool for architectural design, using AR/MR and scale model. This tool enables the review by superimposing CG on the model. In addition, the authors proposed the solution of the problem of occlusion and optical integrity.In this paper, the authors report implementation details and preliminary experimental results of this tool.
著者
筒井 晴香
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、R・G・ミリカンの哲学を手掛かりとして人間の自然的側面と文化的側面の関係を解明する統一的理論を構築することである。とりわけ、ミリカンの議論のうちでも未だ注目されることの少ない慣習(convention)についての分析に注目してきた。本年度は以下に挙げる二点の課題に取り組んだ。それぞれを基礎的・応用的課題として位置づけることができる。まず、基礎的課題として、慣習論における重要な基礎概念である共通知識(common knowledge)概念の精査を行った。共通知識は慣習論において基礎概念としての役割を果たしているが、この概念自体、必ずしも自明なものではなく、慣習論の文脈とは独立に議論の対象となっている。慣習概念の分析、ないし、共通知識概念を必要としない慣習概念であるミリカンの「自然的慣習(natural convention)」概念の評価に当たっては、共通知識に関する考察を深めることが不可欠である。この考察の成果は海外学会において発表した。また、現在執筆中の博士論文の一部を構成するものとなっている。次に応用的課題として、昨年度より取り組み始めたセックス/ジェンダーの脳神経倫理学に引き続き取り組んだ。セックス/ジェンダーに関連する脳の差異や特徴をめぐる科学研究と社会との関係において生じうる諸問題には、人間の自然的側面と文化的側面の双方が複雑な仕方で関わっている。本年度は性同一性障害という具体的な事例に焦点を当てた考察を行うとともに、脳科学リテラシーに関する話題の一環として国内学会でのワークショップにおける問題提起を行った。また、脳神経倫理学を専門とする国際学会においても発表・議論の場を得た。
著者
福島 逸成 林 徹夫 浦野 良美 龍 有二 渡辺 俊行 赤司 泰義
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.66, pp.57-66, 1997-07-25
参考文献数
11
被引用文献数
7

本研究は,福岡における住宅の冷房用電力消費量に及ぼす気象条件や住宅仕様や住まい方などの影響について検討したものである.まず,調査データを基に冷房用電力消費量を推定し,福岡の戸建て住宅の年間冷房用電力消費量が札幌の約6倍,那覇の約1/3倍であることなどを明らかにした.そして,在来住宅と断熱気密住宅について,気象条件,通風利用,冷房機器の使われ方,などによる冷房用電力消費量を試算し,断熱化が全国的に夏季電力消費量の削減に有効であること,実際の住まい方を想定すれば福岡の冷房用電力消費量は断熱気密住宅でも在来住宅より大きくなること,福岡の住宅仕様としては断熱化に加え日よけの工夫や通風の利用が欠かせない条件であること,などを示した.