著者
西須 佳宏 小林 幹男 竹内 理
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.573-578, 2003-09-25

The effect of regents concentrations for recovery and shape of precipitate on the liquid-phase synthesis of precursor particles of Y<sub>2</sub>O<sub>3</sub> : Eu phosphor was studied. The amount of precipitant generated by hydrolysis of urea was remarkably changed by reaction temperature and initial concentration of urea. Therefore, the reaction rate of the precipitation reaction was controlled by reaction temperature and initial urea concentration. The recovery of precipitate was increased from < 10% to > 99% with the increase in urea concentration from 10 × 10<sup>-3</sup> to 30 × 10<sup>-2</sup> mol/dm<sup>3</sup> in the synthesis at 92°C for 1 hour, when initial concentration of rare-earth ion was 10 mmol/dm<sup>3</sup>. On the other hand, the particle size was decreased with increase in urea concentration. The shape of particles was changed from uniform sphere to irregular aggregate with increase in initial concentration of rare-earth ion under the lower urea concentration condition. However, mono-dispersed spherical particles were formed even in that case, when the ratio of rare earth for the urea was higher. Though non-aggregated particles were amorphous basic carbonate; (Y, Eu)OHCO<sub>3</sub>, the carbonate was crystallized in the aggregated particles. By the calcination at above about 600°C, both compositions converted to the oxide; (Y, Eu)<sub>2</sub>O<sub>3</sub>, but original shapes of precipitate particles were retained after that. Therefore, mono-dispersed spherical Y<sub>2</sub>O<sub>3</sub> : Eu phosphor particles could be obtained from morphologically identical precursors. These results indicate the range of initial reagents concentrations in which mono-dispersed spherical Y<sub>2</sub>O<sub>3</sub> : Eu phosphor is prepared.
著者
渡邊 公一郎 今井 亮 横山 拓史 板谷 徹丸 三谷 泰浩 小林 哲夫 本村 慶信 セティジャジ ルーカスドニィ 高橋 亮平 米津 幸太郎 糸井 龍一 池見 洋明 実松 建造 HARIJOKO Agung SHERSTEN Anders IDRUS Arifudin WARMADA I Wayan DUNCAN Robert A.
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

インドネシア及びフィリピンの金・銅鉱徴地と地熱資源、タイ及びマレーシアの含REE花崗岩風化殼、フィリピンの斑岩銅鉱床および浅熱水性金鉱床についての地質調査を行い、鉱床生成条件の解析に基づく資源量と開発可能性の評価を行った。また、地質試料と室内実験データについて、地理情報システムとデジタルデータベースを併用した統合管理システムを構築した。
著者
神田 陽一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

装置の小型化や光学デバイスのために、薄膜電極が用いられる。特に光学用途には、インジウム等のレアアースを用いて真空プロセスで作成されるのが主流である。しかしプロセスコストや資源枯渇の問題から、薄膜電極の新しい構造および製造法の開発が望まれている。本研究のねらいは、均一薄膜に代わり、微細気泡を利用することにより、気泡間に存在する液膜を利用して、透明な細線網目構造電極を開発することである。すなわち気泡が形成する六角構造の薄い液膜部を金属ナノ粒子ゾルとし、バルク伝導が可能な細線を形成するとともに、気泡部分の光透過性により、透明な導電膜を形成することである。気液二相をマイクロキャピラリー中で混合し、バルク流路に放出すると、一般には球状や六角状の気泡が形成し、流速の低下と相まって規則的に配列する。このバルク流路をガラス基板で作成しておけば、気泡が規則的にガラス基板上に配列する。本年度は、マイクロ流路法で気泡の生成条件を明らかにし、気泡径が流速にのみ依存すること、ガス流の剪断力が液滴形成のタイミングを決定すること等が明らかになった。気液比が理論限界値1:9を超えても、セル圧入時にガスが圧縮されるため気泡生成が可能で、その場合は最初から六方構造の気泡が生成する可能性があることがわかった。しかし、安定な気泡形成には、低めのガス量で操作することが望ましい。この場合、気泡形成後に減圧することにより徐々に気液比を上昇させ、安定な六方構造を形成することが可能である。金ナノ粒子を混合して、上記と同様の操作を行った。生成したネットワーク構造を凍結乾燥し、焼成したところ、導電性を確認した(光透過率60%)。なお、減圧により六方構造の形成を試みたものは、光透過率は80%以上を確保したが、導電性は認められなかった。これは絶対的な金量の不足に起因する。
著者
雙田 珠己 鳴海 多恵子
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、1.肢体不自由児と保護者を対象とした衣生活教育プログラムの実践2.子どもたちの衣生活を改善する修正衣服の検討である。衣生活支援活動は、肢体不自由特別支援学校の高校生と保護者を対象に、前者には着装に関する授業を行い、後者には既製服を障害に合わせて修正する技術指導を行った。また、被験者5人の着脱動作に合わせて既製ジーンズを修正し、着脱時の生理的負担が軽減されることを確認した。
著者
山口 博幸 小桐 康博 大矢 智之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.41, pp.69-72, 2002-05-02
被引用文献数
2

IMT-2000のマルチメディア通信サービスの中核のひとつである,ビジュアルフォン,および,映像クリップ配信について,標準化技術を解説する.3G-324M,MP4ファイルフォーマットとして3GPPにて標準化検討されたものである.さらに,それぞれの高機能化として,マルチリンク技術,Timed Text技術をとりあげ,設計指針を示す.
著者
金澤 昭彦 池田 富樹 長瀬 裕
出版者
日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集
巻号頁・発行日
no.2000, pp.381-382, 2000-10-23

Liquid-crystalline behavior and optical property of novel ionic liquid crystals, which are surfactant complexes containing rare-earth ions, were evaluated by differential scanning calorimetry, polarizing optical microscopy, X-ray diffractometry, absorption spectroscopy, and fluorescence spectroscopy. The rare-earth complexes were found to show a smectic A (S_A) phase in which a homeotropic structure was formed spontaneously. It is significant that the rare-earth complexes exhibit a stable liquid-crystalline phase and a simple phase transition behavior in comparison with the parent compounds without rare-earth ions. In addition, it was demonstrated that the complexes form a unique structure in the self-organization. Such rare-earth-containing liquid crystals will be expected to act as new light-emitting materials in optoelectronic device applications.
著者
Fukuoka Yoshitaka Narita Kenichi Matsuura Kenji
出版者
地理科学学会
雑誌
地理科学 (ISSN:02864886)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.24-32, 1979-12
被引用文献数
1

本研究は,広島市の都市気候と大気汚染に関する気候学的研究であるが,第1報では主として前者について論じた。(1)まず,広島市の気候についての概観では,典型的な大陸東岸気候の中にあって,「夏は太平洋地域より涼しく,冬は日本海側より暖かい」という従来の説が妥当でないことを指摘し,かつ年平均流線図の上にも海風前線の存在が確認された。(2)次に,都市気温分布とそれに及ぼす太田川水系の影響に関しては,約4半世紀前にくらべ,built-up area と川面との気温差が増大していることが自動車による移動観測の結果わかった。(3)この川水の影響は,水温そのものの冷源(または熱源)効果よりも,水面からの蒸発に伴なう潜熱交換が気温緩和作用をもたらしているからと考えられる。(4)赤外放射温度針での表面温度測定による顕熱輸送は橋上で小さい。すなわち,川水面上で気温が和らかげられるのは,鉛直方向の熱収支だけでなく,川面での冷気の移流も想定される。
著者
管原 正志 上平 憲 田井村 明博 大渡 伸
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は、脊髄損傷で車椅子マラソン競技者の温熱環境下(寒冷は平成10年度、暑熱は平成11年度)での運動時における体温調節反応特性と生理学的反応を明らかにすることである.被験者は、脊髄損傷の男子車椅子マラソン競技者(車椅子競技者)と一般男子大学生(大学生)であり、持久的運動能力の指標である最大酸素摂取量は車椅子競技者が大学生より大きかった.測定は、12℃(寒冷)と35℃(暑熱)の環境温度で、平均相対湿度60%そして平均気流0.5m/secの測定室で実施した.測定負荷は、30分間安静の後、arm cranking運動を20watts(50rpm)で60分間負荷した.測定項目は、鼓膜温、平均皮膚温、産熱量、カテコールアミンそして寒冷血管反応である.A.寒冷暴露下での運動中の鼓膜温、産熱量、カテコールアミンは、車椅子競技者が大学生より増加が大きかった.平均皮膚温は、車椅子競技者の低下が少なかった.寒冷暴露下での寒冷血管反応の抗凍傷指数は,車椅子競技者が高かった.寒冷下での運動に対する体温調節の感受性や熱産生反応は、車椅子競技者が一般大学生より亢進していた.B.暑熱暴露下での運動中の鼓膜温、平均皮膚温、産熱量、カテコールアミンの増加は、車椅子競技者が大学生より大きかった.寒冷血管反応には、差異はなかった.暑熱下での運動に対して体温調節の感受性や熱産生反応は、車椅子競技者が一般大学生より低い傾向であったのは、脊髄損傷が暑熱下運動時の体温調節に少なからず影響を及ぼしていることが示唆された.今後は、脊椎損傷者の暑熱環境における生体応答を運動系・自律機能・免疫能よりの検討を行う予定である.
著者
張 其武 齋藤 文良
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.114, no.4, pp.253-257, 1998-04-25
被引用文献数
11 30

Leaching of fluorescent powder containing rare earths using 1N HCl solution at room temperature was conducted to extract the rare earths, followed by dry grinding of the powder using a planetary ball mill. The dry mechanochemical treatment of the powder causes the structural change of the crystals in the powder into a disordered system. This mechanochemical treatment leads to easy extraction of the rare earths. Only 3 minutes of grinding enables us to extract Y and Eu at above 70-80 % yield. More than 80 % of the other rare earths can be extracted from the powder ground for 2-hours. The mechanochemical treatment to the fluorescent powder before leaching would be an effective operation to be able to extract the rare earths at high yield in room temperature leaching even by low concentration HCl solution.
著者
梅本 智文
出版者
国立天文台
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本年度に行った研究によって以下のような成果が得られた。●分子流天体でありH_2Oメーザー源でもあるL1287(IRAS00338+6312)について分子ガスエンベロープの空間的・速度的構造を明らかにした。H^<13>CO^+(J=1-0)とC^<18>O(J=1-0)分子輝線から、高密度ガスは分子流に垂直なディスク状をしていることがわかった。そのサイズは0.30パーセック×0.21パーセックである。ディスク状エンベロープの中心付近では、ディスクの長軸に沿って大きな速度勾配が見い出され、これはH_2Oメーザによって得られた数十AUスケールのディスクのそれと同じ傾向を示したことから、半径7800天文単位で速度0.44kms^<-1>で回転しているディスク状エンベロープであることをあらわしている。さらに短軸方向に沿っても非常に大きな速度勾配が見い出され、これは半径4700天文単位で速度0.84km s^<-1>での原始星方向への動的降着運動を見ていることがわかった。降着運動の大きさから中心(星)の質量を求めると約2M【of sun】となる(M【of sun】は太陽質量)。これらの結果から、半径4700天文単位での質量降着率を計算すると、5.6×10^<-5>M【of sun】yr^<-1>となった。この比較的高い質量降着率は、赤外線源IRAS00338+6312が1100L【of sun】と高い光度をもつ原因となっていると考えられる。
著者
加藤 泰浩 中村 謙太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

我々は東太平洋の広範囲に,希土類元素(レアアース;REE)を豊冨に含有した『深海低含金属堆積物』が分布していることを発見した.この新発見の資源は,(1)レアアース含有量が非常に高い,(2)資源量が膨大かつ探査が容易,(3)放射性元素であるウラン,トリウムの含有量が低い,(3)弱酸でほとんどのレアアースが回収できる,など資源として理想的な条件を備えている.公海上に存在しているが,国際海底機構への鉱区申請を経て我が国が開発することができる(技術的にも採鉱が可能な)資源であり,レアアース資源の安定確保という国家的課題を解決する切り札となり得るものである.本研究では,この含金属堆積物鉱床について,特に有望と見込まれる東太平洋域における分布状況とレアアース含有量(併せて他の有用元素含有量も)を網羅的に把握し,将来的な資源開発を見据えた資源ポテンシャル評価を行うことを目的としている.本年度はその初年度として,テキサスA&M大学における堆積物コア試料採取を行い,それらの鉱物同定(XRD),および全岩化学組成分析(XRF,ICP-MS)を行う予定であったが,より包括的な研究である基盤研究(S)が採択されたため,本研究は2010年8月25日をもって廃止となった.
著者
平野 貴識 田守 伸一郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会北陸支部研究報告集 (ISSN:03859622)
巻号頁・発行日
no.48, pp.161-164, 2005-07-10

本研究では、長野盆地において、S波速度構造を推定し、3D地盤モデルを構築することを目的としている。地下構造を推定する方法として、1点移動観測による方法を用いて、36地点でおこなった。地震基盤(S波速度=4.3km/s)までの深さは、長袖方向では、篠ノ井から豊野に向かって深くなっており、250mほどの差があることが分かり、最大450mほどの差があることが分かる。短軸方向においては盆地端部から中央部にかけて深くなっていることが分かった。
著者
北村 正 徳田 恵一 後藤 富朗 宮島 千代美
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

今年度は、手話の手座標・形状情報の統合に基づく認識法の検討、アクティブ画像探索法に基づく手の高速追跡法、基本動作モデルの検討を行った。以下にそれぞれについて述べる。1.国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所開発の日本手話データーベース(DB)を利用した。当該DBの中から動作数の多い手話動作者、出現頻度の高い18単語を選び学習・認識の対象とした。手話の特徴パラメータとして、手の動作と形状情報を利用しているが,それらを統合する方法(初期統合法、結果統合法)を検討した。動作:形状に7:3の重み付けをした統合により、形状情報単独に比べて誤り改善率が12.5%と向上し、82.8%の単語認識率が得られ、その有効性が示された。手話単語モデル作成には隠れマルコフモデルを用いている。2.手の座標抽出の実時間処理を目指して、アクティブ画像探索法に基づく方法を検討した。提案法は、過去の手座標から現在の探索範囲を予測し、探索範囲内の動作領域と肌色領域の情報から手座標を高速抽出する方法である。RWCPの手話単語DBに対して、肌色情報のベクトル量子化に基づき手の座標を抽出する従来法と比較を行い、4倍高速に抽出可能であることを確認した。3.前後の基本動作情報に基づくコンテキストクラスタリングを用いる基本動作モデル学習法を提案した。RWCPの手話単語DBを用いたが、まず手話単語を基本動作のラベル付けを行い、コンテキストクラスタリングに基づいて基本動作モデルを作成し、更に連結学習により各モデルを再学習する。得られた基本動作モデルの接続により任意の単語モデルを作成する。研究では、33単語モデルの認識実験を学習データに対して行ったが、約93%の認識率が得られ、提案法の有効性が確認できた。今後は,テストデータに対して有効性を検討していく予定である。
著者
坂田 五月
出版者
聖隷クリストファー大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

【はじめに】温罨法は、身体の一部に温熱刺激を与えることにより保温と筋緊張緩和を促進する看護技術である。これまでの研究に引き続き平成18年度の研究では、熱源が異なる器具を用いた場合の保温と安楽の効果に注目した。【研究方法】対象は研究協力の同意が得られた成人24名。実験は冬季に実施し、温度は20℃、相対湿度50%に調節した。下着と長袖寝衣を着用し、掛け物はアクリル毛布1枚とした。15分間の安静臥床の後に毛布で身体を被覆した。湯たんぽを貼用した。生理学的指標としてR-R間隔、表面皮膚温度、腋窩温、皮膚血流量、寝床内の温湿度を連続測定し、R-R間隔より心拍数と心拍変動解析によるHF、LF成分を求めた。HFのパワー値を副交感神経反応の指標、LFとHF成分の比(LF/HF)を交感神経反応の指標とした。心理学的指標として温冷感と湿度感、快適感をそれぞれリカートスケールで得点化した。統計解析、Wilcoxonの順位和検定により基準値との差とSpearmanの相関により各項目間の関連性を検証した。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】聖隷クリストファー大学倫理委員会による承認を得て実施した。【結果】安静臥床終了時の足趾皮膚表面温度21.86±3.48℃、寝床の足元温度21.85±2.64℃、足趾温冷感-2.83±0.92点。HFのパワー値は45分まで上昇し、30分と45分で基準値との間に有意差を認めた。全身温冷感は快適感との間に高い正の相関(r=0.703)が認めた。足趾温冷感は快適感(r=0.664)とHFのパワー値(r=0.255)との間に正の相関を認めた。【考察】足元に使用した湯たんぽによる皮膚表面への温熱刺激は、身体の温冷感を改善し副交感神経の活動を亢進させる。湯たんぽの効果は60分を目安に評価し、湯たんぽの温湯の交換や足浴など保温や安楽を促進する援助を再検討する必要がある。
著者
北野 利夫
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.61-64, 2008-05-01

DNAに込められた成長・発達のプログラム,外的環境への適応,変形に対する自家矯正などの発育期における現象を理解するために,四肢の関節,筋肉の成長・発達について解説する.筋の発達は筋の構成単位としての筋線維や臓器としての筋組織の発達と神経系支配により高度に統合された関節の運動制御機構としての発達として理解する.四肢の関節を構成する骨の両側には,成長軟骨板が骨端と骨幹端の間に形成され,関節の横径および長袖方向の成長を担う.この関節内の解剖学的特徴から,関節を含め四肢が成長し,同時に形状が変化してゆく.生理的な成長とそれに伴う形態的変化と,成長に伴う非生理的な形態的変化についての実例を挙げ解説し,最後に,矯正についての考え方と成長・発達の人工的な制御について触れる.