著者
菅原 聡
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究では新型PETによって,0.2V程度の超低電圧駆動で劇的な低消費電力化と,現状CMOS技術と同等以上の高速性能を有するロジックシステムの基盤技術を創出する.具体的には,電力遅延積が現状より2桁小さいロジックシステムの実現を目指す.ここで提案する技術群はCMOS構成のロジックシステム技術を踏襲し,現行のアーキテクチャを継承して,究極の省エネ化を可能とする新たなロジックシステムを構築することができる.本技術はPET以外の同等のBeyond-CMOSにも応用が可能である.
著者
島岡 まな
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

いわゆる矯正困難者に対する効果的な刑事制裁について、フランス刑事法の状況を調査した。フランスでは2002年以降のサルコジ内相、2007~2012年のサルコジ大統領の下で数多くの治安維持立法、再犯防止立法がなされた。それに基づく刑事政策を性犯罪、薬物犯罪者などについて調査したが、前者に関する電子監視や矯正プログラムも中途半端に終わっており、2012年のオランド政権誕生による政権交代後は、厳罰化も再犯防止には逆効果であると評価され始めている。薬物犯罪者に対する治療命令は一定程度効果をあげている。高齢犯罪者については、刑務所を避ける人道的政策が行われており、日本も見習うべきだと思われる。
著者
鈴木 勉
出版者
星薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、methylphenidate(MPD)の中枢興奮作用をmethamphetamine(METH)と比較検討した。METHおよびMPD処置により側坐核におけるdopamine濃度の上昇が認められ、この作用はphosphoinositide 3-kinase(PI3-K)阻害薬の前処置により抑制された。しかしながら、METHは5-HT濃度を上昇させたのに対し、MPDは5-HT濃度に影響を及ぼさなかった。また、METH処置により自発運動促進作用に対する逆耐性が形成されたが、MPDは逆耐性を形成しなかった。さらに、両薬物による報酬効果が消失後、再燃されるか否かを検討した結果、METH誘発報酬効果は再燃されたのに対し、MPD誘発報酬効果は再燃されなかった。次に、両薬物がastrocyteおよび神経細胞に与える影響を検討した。その結果、前脳部由来初代培養神経/glia共培養細胞にMETHまたはMPDを処置することによりastrocyteの活性化が惹起され、この作用はPI3-K阻害薬の共処置により抑制された。さらに、高濃度のMETHは神経のマーカーであるMAP-2alb陽性細胞数の減少およびapoptosis関連タンパクcleaved caspase-3の誘導を引き起こしたが、MPDはこのような作用を示さなかった。以上、本研究の結果から、METHおよびMPD誘発dopamine遊離作用ならびにastrocyte活性化作用にPI3Kが関与することが明らかとなった。さらに、両薬物の作用には相違点が存在し、METHによる強力な薬理作用発現や神経細胞死誘発には5-HT神経系とdopamine神経系の相互作用が一部関与している可能性が示唆された。
著者
松尾 秀哉
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本年度はベルギーの現地において、本研究の中心的な問いである「テロの巣窟化および発生」と「連邦制度」の関係について有識者のインタビューにより仮説を補完することが大きな課題であった。8月にベルギーを訪問して、ルーヴェン大学のDimitri Vanoverbeke氏や元首相のスピーチライターであり、中東研究者であるKoert Debuf氏へのインタビューを進めることができた。両者とも単純に連邦制導入(やしばしば言われる経済格差と貧困)で巣窟化を論じることには反論する立場であった。特にテロ研究について詳しい後者は、貧困ではなく、またベルギーの政治制度に問題があるわけではなく、テロリストになる側の心理学的要因に注目していた。彼によれば、中東からの移民(2世、3世)は、西欧の暮らしにおいてなんらかのアイデンティティクライシスに陥り、心理的退行が生じる。そのアンカリングとして、ムスリムの場合、イスラームに固着していくと言う。この議論自体非常に興味深いもので、彼がそれを論じた書物を翻訳して日本に紹介することとなった(現在翻訳中。コロナによって生じた行動制限によって進行が遅れているが、この夏には入稿したい)が、本研究においては、論破すべき先行研究となった。彼らとの議論において有益だったのは、特に後者のクルト氏がスピーチライターを務めていた首相ヒー・ヴェルホフスタット時代の新自由主義的改革(国家公務員などの人員の整理、合理化)によって中央が行政能力を著しく落としている可能性があるという点である。ちょうどその時期は、9/11後の時期、つまりベルギーに国際テロ組織の拠点ができていった時期と重なる。この点に注目することで、より実証的な「制度(改革)とテロ対策」の関係について論じることができると思われた。
著者
孕石 泰孝
出版者
関西大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2019

本研究では, 「科学とは何か」「科学を学ぶ意味は何か」という科学との関わり, 科学との向き合い方を科学哲学を通して児童に注目させようとした。成果物として, 科学哲学の内容を扱う小学生向けのテキストの具体的な教材, 電子ブック『科学哲学入門』を作成した。本教材は, 抽象的な内容を扱ってはいるが, 小学生でも読みやすいよう, 対話形式で話を進めるように工夫されている。本ブックは, ブラッシュアップをかけ, 「Apple Books」より無償配信されている。
著者
川上 紳一 大野 照文 高野 雅夫 酒井 英男 石渡 良志
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、ナミビアで採集した縞状炭酸塩岩の解析に基づいて、スノーボール・アース仮説を検証することである。現生代後期の氷河堆積物を覆う縞状炭酸塩岩は温暖な気候で堆積したものと考えられており、地質学における大きな謎であるとされた。氷河堆積物と縞状炭酸塩岩の組み合わせは、地球表面が前面的に凍結したとすると合理的に説明ができる。しかし、そのようなことは気候学的にありえないとされてきた。申請者らは、ナミビアで採集したラストフ縞状炭酸塩岩の化学的分析を行い、縞の解析から堆積速度の見積もりを試みてきた。層厚14mの縞状炭酸塩岩は、酸素、炭素同位体比からみて、3つの区間に区分されることが明らかになった。酸素同位体、炭素同位体比の変動は、スノーボール・アース仮説から導かれる論理的帰結と合致しているものと解釈された。現生代後期の炭酸塩岩の堆積環境の解析に、酸素同位体比が利用できることを世界に先駆けて示すことができた。一方、縞の解析では、区間2にメートルオーダーの明瞭な堆積サイクルが認められていた。このサイクルは、カルサイトに富んだ部分とドロマイトに富んだ部分の繰り返しで特徴づけられる。それぞれのサイクルには、ミリメートルスケールのラミナがあり、メートルスケールの堆積サイクルには、約1500枚のラミナが含まれていることが明らかになった。ラストフ縞状炭酸塩岩のラミナが1年ごとの環境の繰り返しを反映していることを論じた。一方、ナミビアのマイエバーグ縞状炭酸塩岩にはミリメートルスケールの縞とセンチメートルスケールの縞が形成されている。このような縞が潮汐リズムを反映したものである可能性を指摘した。この解釈によるとマイエバーグ縞状炭酸塩岩の堆積速度は、約25cm/年となる。これらの縞の解析から縞状炭酸塩岩に記録された炭素同位体比の変動の時間スケールは、数1000年であると見積もられた。これは新生代古第三紀の突発的温暖化事件(LPTM)における炭素同位体比の変動の時間スケールに比べ、一桁近く小さいことになる。以上の結果を総合すると、われわれが採集した氷河堆積物を直接覆う縞状炭酸塩岩の地球化学的特徴は、スノーボール・アース仮説と符合していることが明らかになった。
著者
石井 康子 梅原 薫 野毛 一郎 加藤 有希
出版者
静岡県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

吃逆の治療に使われる柿蔕(Kaki Calyx)のラット脳脊髄液中神経伝達物質に及ぼす影響を検討したところ、GABAの変動は観察されなかったが、アスパラギン酸やグリシン、更に、ドパミンの代謝物であるDOPACやHVA濃度に影響を及ぼすことが示唆された。今後、これらを指標として、日本産の柿の蔕から有効成分の探索を行う予定である。また、柿蔕液の治療効果を処方の異なる施設で後ろ向きに調査したところ、化学療法の施行により発症する吃逆の治療に、高濃度の柿蔕液の服用が適している可能性が示唆されたため、前向き調査によって確認する予定である。
著者
遠藤 幹夫
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は3年計画であり、うち第一段階(主に第1年度~第2年度を想定)として、「国会会議録検索システム」の委員会審議会議録より、戦後~現在までの附帯決議を全数抽出し、その中から、「次の法改正の内容を実質的に指示する項目」を拾い出して分析することを予定している。また第二段階(主に第2年度~第3年度を想定)として、中央省庁の国会担当部署の担当官、法案作成の担当官、国会事務局の附帯決議作成担当官、政党事務局の調整担当、国会議員や秘書などの附帯決議作成に関与する関係者からヒアリングを行い、幾つかの具体的な立法例をもとに、実態的なメカニズムを分析することを予定している。このうち第一段階の附帯決議データベース作成について、2019年度(研究第2年度)においては、「国会会議録検索システム」からの抽出プログラムの作成は完了し、国立国会図書館が提供する「日本法令索引」によるデータ照合プログラムの作成を進めた(このデータ照合プログラムにより、国会会議録検索システムから抽出した附帯決議データの、手作業での修正・チェック作業が大幅に省力化できる)。また、並行して、第二段階である関係者へのヒアリングとして、中央省庁の国会担当、法案作成担当等数名にアプローチし、国会における法案審議の最新情勢について聴取した。併せて、論文執筆に必要な文献収集、国立国会図書館における過去の専門誌等のデータ収集を進め、読み込みを進めた。
著者
福原 晴夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.北日本を中心とした分布調査により、日本海側ではチョウセンコツブムシが淡水にまで生育地を広げているが、太平洋側では別の種(キスイコツブムシ)が淡水域に侵入している可能性が指摘された。2.汽水域(阿賀野川)でのチョウセンコツブムシの生活史の特徴は、年2回の繁殖期があり、夏世代と秋世代の間の繁殖が行われた。3.淡水域(越口の池)では、秋世代の存在が明らかではなく、異なった年次の春世代の間で繁殖が起こり、一年目は雌として2年めは雄として繁殖を行うことが明かとなった。4.性転換にともなうステージの違いをタイプとして明らかにし、生活史の経過を詳細に解明することが出来た。5.チョウセンコツブムシの成熟期におけるサイズの比較を汽水産、淡水産で行ったが、傾向は明らかではなかった。また交尾前ガードの雄と雌にはサイズ同類交配の傾向がある地域もあった。6.チョウセンコツブムシのサイズ同類交配の成立に関する実験では、雄の大型雌の選択、乗っ取り、雌の取り換えなどが関係することが明らかとなった。7.淡水および汽水に生息するチョウセンコツブムシの繁殖形質の比較を行い、淡水では卵の小産化の傾向が明かとなった。8.淡水産と汽水産との遺伝的分化の程度を検討するため、アイソザイム分析を行っているが、変異酵素の探索中で、淡水適応における遺伝的分化が今後の大きな課題となる。
著者
坂元 章 渋谷 明子 笠原 章子 松尾 由美 田島 祥 佐々木 輝美 渋谷 明子 笠原 章子 (七海陽) 田島 祥 佐々木 輝美 堀内 由樹子 松尾 由美 寺本 水羽 鄭 姝 倉津 美紗子 Anderson Craig A. Gentile Douglas A.
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

3歳児クラスから高校生までの子どものゲーム利用による攻撃性、社会的適応の影響を検討した。ゲーム利用時間やゲーム上の交流経験が攻撃的傾向や社会的適応に影響することが示された。また、保護者の介入行動は子どもの学齢が低い場合には介入の効果は高いこと、子どもの学齢や介入する問題の種類で介入行動の効果が異なることが示され、子どもの発達段階や問題にあわせて介入方法を調整する必要性が示唆された。レーティングについては、家庭での認知度が低いこと、レーティング区分毎の攻撃的傾向に対する影響について一貫した結果が見られなかったことから、効果的な介入の手段とするために工夫や検討が必要であることが示された。
著者
鈴木 洋昭
出版者
岐阜女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

戦後四十数年間の岐阜県議会議員の社会的属性の分析を中心とした地方議員の利益代表性についての研究を更に発展させて、地方政治を支えあるいは動かしてきた「地方名望家層」-具体的には酒造業を営む地方の名士-の変容に焦点をあてて、岐阜県の政治文化を分析し、社会学的な考察をくわえてきた。平成元年度の研究は、当初の研究目的に従い、研究計画どおりの方法で実施してきた。前年度の研究において、当初から予想されたとおり、本研究にとって重要な基礎的資料の収集、とくに政治的パトロン関係の資料収集が困難であった為に、本年度の研究は、(1)酒造業者の家系の歴史的調査,(2)酒造業者の家系をたどり、メンバ-の経歴分析のなかでの政治的役職者の調査、(3)政治的パトロン関係の調査の(1)〜(3)の調査の資料整理をおこない、研究結果のまとめをおこなった。以下、平成元年度の研究結果のまとめを記しておく。大衆政党の出現が地方名望家の政治参加に大きな変化をもたらしたことは周知の事実であるが、岐阜県内においても、政治家の輩出基盤としての酒造業者に変化がみられる。昭和63年度の研究結果のまとめとして、酒造業者の政治参加には三様の関わり方があることを指摘したが、最近の傾向として、自ら政治に参加するのではなく、政治家とパトロン関係をもつことによって政治に参加する方向へと変化がみられる。そして、その変化は政治家の職務の専門化等に対応した政治家自身の特性の変化によるばかりではなく、経営規模の変化や経済成長との関わりのなかでの変化によるものであることを指摘したい。
著者
馬渕 浩司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

琵琶湖の20m以深の深層には、比較的純粋に近い日本在来系統のコイの集団が生息することを、核ゲノムの解析により明らかにした。解析にあたっては、日本在来の系統とユーラシア大陸からの導入系統を区別できるような一塩基変異7つを核ゲノム中から見出し、交雑の解析に用いた。この7つのDNAマーカーはさらに、湖岸のある地点に産着されていた卵の解析にも使用し、その結果、この場所の産着卵の大部分は在来・導入両系統の中間的な交雑状態のものであることが判明した
著者
橋本 隆夫 内田 正博 小紫 重徳 光末 紀子 石川 達夫 三木原 浩 平野 雅史 石光 輝子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

冷戦構造の解体後の新たなナショナリズムのうねりの中で、ユーロ通貨統合に象徴される統合体としてのアイデンティティを模索するヨーロッパの文化の交錯をめぐるわれわれの研究は、これまでの成果を深めさらに一層の広がりと深みの地平を獲得し、ここでひとまず4年の区切りをつける。今年度は各自が4年の研究活動の集大成として、研究会の発表を基に、また、ある者は海外より持ち帰った最新の文献資料を駆使し、それぞれの研究を論文に結実させた。個々の活動としては、1 研究会としては11月30日に橋本隆夫氏が「新石器革命と大地母神信仰」と題して、ヨーロッパの基層にある大地母神信仰について考古学的知見とホメロスやヘロドトスの文献的研究をクロスさせた学際的発表を行った。2 7月12日に立命館大学教授西成彦氏を迎え、「小説の一言語使用」の題目で講演会および討論会を行い、ポーランド生まれのイギリス作家ジョセフ・コンラッドの言語的アイデンティティのゆらぎを中心に活発な意見が交わされた。3 12月7日には静岡文化芸術大学専任講師小林真理氏による講演会「ヨーロッパの文化権と文化法について」が行われた。文化芸術振興基本法についての議論が進められる中、文化の中心地として長く君臨したヨーロッパの現在の文化支援や文化政策について多くの知見が得られた。研究会、講演会、海外調査研究を通じて、わたしたちはヨーロッパにおける文化の交錯とアイデンティティの複雑さ、強靭さの一端を垣間見ることができた。地域研究=個別文化研究の枠組みにおさまりがちだったヨーロッパ研究の守備範囲を少しでも広げられたのではないかと小さな自負を感じるしだいである。
著者
山岡 雅子
出版者
県立広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,運動後のグルコースあるいはフルクトース溶液摂取が中心ならびに末梢循環応答に及ぼす影響について検討した.運動後低血圧時にグルコースを摂取すると,消化管の血管拡張に対して,体肢の血管応答をすばやく変化させ,さらなる血圧低下を防ぐよう調節されることがわかった.安静時にフルクトース溶液を摂取すると,血圧は上昇するが,運動後にフルクトース溶液を摂取すると,運動由来の体肢での血管拡張持続によって,血圧上昇の程度が抑えられることがわかった.これら両糖質溶液摂取時の血圧や局所の血管応答の違いに,両糖質溶液の胃から十二指腸への排出速度(胃内容排出)は関与していない可能性が示唆された.
著者
坂井 貴行 忽那 憲治 井内 健介
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

我が国の大学等には,優れた科学技術の研究成果が多く存在するものの,多くの研究成果は商業化まで至っていない.大学等における産学連携・技術移転はイノベーション創出に極めて重要であると考えられており,科学技術の研究成果を産み出す「研究者」と研究成果の商業化の担い手である「産学連携実務者」の考え方,取り組み方はイノベーション創出可否の鍵になると考えられる.本研究では,研究成果の商業化に関わるステークホルダーである「産学連携実務者」と「理系研究者」とに着目し、日本において何が商業化の課題・制約となっているのか,その心的要因を明らかにし,更に欧州の分析結果と比較して我が国が抱える科学技術研究成果の商業化における問題点を明らかにすることを目的としている.平成30年度は,産学連携実務者を対象に,Quadruple Helixモデルによる6Pマーケティングミックスを用いて大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)をおよび分析を行った.平成31年度は、平成30年度に実施した研究成果は論文として取り纏め、産学連携学会誌『産学連携学』に投稿し、acceptされた。また同様のモデルを用いて、大規模大学と中小規模大学の理系研究者を対象に、大学等の研究成果の商業化に対する意識調査(アンケート調査)を実施し、理系研究者が自身の研究成果の商業化に対してどのような意識を持ち,何が商業化の制約になっているかを分析した。
著者
平田 勝弘
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では,有限要素法による数値解析を用いて提案したアウターロータ型三自由度球面アクチュエータの動作メカニズムを明らかにし,本アクチュエータの有用性を示した。更にイメージセンサセンサを用いた可動子の位置検知法と新しいフィードバック制御法を開発した。解析により磁気回路パラメータ及び制御ゲインを最適化し,優れた性能を実現した。更に,得られた解析結果をもとに試作機を製作した。今後、本機を用いた実験検証を行っていく予定。
著者
坂井 貴行 忽那 憲治 井内 健介
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

日本の産学連携組織(大学等の産学連携部門・TLOなどの技術移転機関)においては、成果・収入を経年的に向上させている優良組織とそうでない衰退組織の二極化の傾向がある。本研究では、大学・研究機関における産学連携組織の成功要因を精査するために衰退する要因に着目し「衰退しない要因」を導出する。インタビュー調査により、これまで積極的に取り上げてこられなかった衰退に関するデリケートな情報を体系的に収集し、組織に関する一次データを用いた質的比較分析を実施することで、大学・研究機関・TLO等の産学連携組織のガバナンスの在り方など、我が国の抱える大学・研究機関における産学連携組織の問題点を明らかにする。
著者
三浦 奈都子
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

静脈注射を行っていく上で少なからず経験するであろう点滴漏れに対するケアは冷罨法や温罨法と様々であり,統一性がないのが現状である.本研究では,点滴漏れ時のケアを確立することを目的に,実験動物(ラット)を用いて抗生物質製剤を中心とする基礎的研究を実施した.静脈注射を行っていく上で少なからず経験するであろう点滴漏れに対するケアは冷罨法や温罨法と様々であり,統一性がないのが現状である.本研究では,点滴漏れ時のケアを確立することを目的に,実験動物(ラット)を用いて抗生物質製剤を中心とする基礎的研究を実施した.その結果,パンスポリン^<【○!R】>(セフェム系抗生物質製剤,pH5.7〜7.2,浸透圧比1)が漏れた直後に冷罨法(16〜20℃)を30分間施行すると,皮下組織への炎症性細胞の浸潤が抑制され,温罨法(40〜43℃)を30分間施行すると,炎症性細胞の組織浸潤,筋壊死が促進されることを明らかにした.また,パンスポリン^<【○!R】>が漏出した際の組織傷害の種類は,表皮の壊死を伴わない真皮層の炎症(以後,起炎症とする)であることが明らかとなった.次に,pHの違いによる組織傷害の程度と種類,罨法の効果を明らかにするために,異なる薬剤を用いた実験を行った.その結果,セフェム系抗生物質製剤であるファーストシン(8)(pH7.5〜9.0,浸透圧比1)とグリコペプチド系抗生物質製剤である塩酸バンコマイシン^<【○!R】>(pH2.5〜4.5,浸透圧比1)による組織傷害の程度に違いは認められなかったが,パンスポリン^<【○!R】>と同様,起炎症性の薬剤であることが明らかとなった.これらの薬剤が血管外に漏出した場合,温罨法を実施することにより,皮下組織の炎症性細胞の浸潤が促進されることを明らかにした.全ての実験において罨法を実施するために用いた素材は,吸水ポリマーを使用した凍結タイプの保冷剤であり,皮膚へ密着しにくい特徴があったため,現在不凍タイプの素材にて同様の実験を行い検討中である.また,薬剤漏出直後に実施する罨法の適切な継続時間を10分から60分の間で検討中である.
著者
村元 隆行
出版者
岩手大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

牛パティの粗脂肪含量とインピーダンスとの関係を示す回帰式を用いてインピーダンスから牛パティの粗脂肪含量が推定可能であることが示された.この回帰式を用いてインピーダンスからパティだけではなくステーキの粗脂肪含量も推定可能であった.牛肉の最大荷重およびガム性荷重は屠畜後4および6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった.筋線維に対して垂直方向のインピーダンスは,屠畜後6日目が屠畜後2日目に比較して有意に低かった.牛肉テクスチャーの違いはインピーダンスから非破壊的に推定できる可能性が示された.
著者
小澤 正直
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

量子力学の観測命題の論理である量子論理の上に数学を構築することは、経験と論理と数学を繋ぐ興味深いプログラムである。竹内外史は量子集合論を構築し、そこで定義される実数と量子物理量の同等性を示して、このプログラムに先鞭を着けた。本研究では、量子集合論とトポス量子論の関係を明らかにする問題と竹内の量子集合論で有界量化に対するド・モルガンの法則が成立しない問題の2つの懸案を研究し、解決に導いた。この成果により、量子論理、直観論理、パラコンシステント論理に基づく集合論の間に新しい統合が生まれた