著者
加瀬 友喜 近藤 康生
出版者
国立科学博物館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.“生きている化石"モクレンタマガイの解剖学的研究を行った結果、この巻貝は原始的な神経系をもち、多くの点で淡水性のリンゴガイ科の巻貝に近縁であることが明らかとなった。また、モクレンタマガイは肉食性ではなく、植物食であったことが明らかとなった。この発見により、タマガイ類は白亜紀中頃に出現し、従来三畳紀から知られているモクレンタマガイ類とは類縁が薄く、しかもそれらは他の貝類に穿孔して捕食しなかったと考えられる。その結果、タマガイ類とその捕食痕の化石記録は調和的となり、従来のタマガイ類の捕食の起源についての2説のうち、白亜紀中期起源説が正しいことがわかった。2.タマガイ類の捕食痕を調査した結果、それらの中には他の原因で似たような穴ができることがわかった。1つはカサガイ類による棲い痕で、白亜紀のアンモナイトの殼表面に多く見つかった。これらは小型のカサガイ類が殼表面の1ヶ所に定住する為、その部分が殼形と同じ形に凹むためにできたと思われる。穴はタマガイ類の不完全な捕食痕のようにパラボラ形で中央がやや凸となるが、形は大きくやや不規則な点などで区別ができる。従来、モササウルスの噛み痕といわれているプラセンチセラス属アンモナイトの穴も同じ起源と考えられる。その他、無生物的にタマガイ類の捕食痕に似た穴ができることもわかった。3.巻貝各種のタマガイ類の捕食痕を調査した結果、殼形により捕食の様式が異なる1例を見出した。これは巻貝の殼形態が長く伸長することが捕食から身を守る適応形態となっていることである。つまり、殼の伸長度と捕食痕の数の頻度を調べた結果、殼形が長くなると捕食痕数も増加することがわかった。従来捕食痕をもつ個体の頻度で捕食圧を推定した研究例は再評価する必要がでてきた。
著者
山口 敦子 古満 啓介
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では近年の温暖化傾向がエイ類に与えている具体的な影響について検証することを目的として調査を行った。その結果,モデル海域である有明海でのエイ類の分布特性と種組成,東アジア河口域生態系におけるエイ類の分布状況について新たな知見を得ることができ,有明海および東アジア河口域との共通種についてリストアップすることができた。それらの生物情報に基づき,温暖化により西日本に卓越したと考えられたナルトビエイの分布,日周行動,行動と水温との関係について解析した。ナルトビエイは従来から少なくとも九州沿岸域には分布していたが,冬季の平均的な水温が上昇傾向にあることから繁殖・摂餌場に近い深場で越冬可能となり,徐々にその分布を本州西部にまで拡大した可能性があること等を明らかにした。
著者
小林 隆
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本語の方言形成にあたって中心的な役割を果たしたと考えられる「中央語の再生」現象について検討し、その特徴を明らかにするとともに、方言形成の一般原理としての理論的整備を行った。日本語の方言形成は、中央語の単純な伝播によって起こるのではなく、中央語を受容し、再生する地域独自の作用が大きい。特に、言語の運用面など、社会的背景が方言形成に関わる場合には、地域の社会構造の違いによって、東西差などの顕著な地域差が生じることになる。
著者
北田 修一 岸野 洋久 浜崎 活幸 北門 利英
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

養殖や種苗放流が天然集団に及ぼす遺伝的影響を評価した。有明海では、外来種の中国アサリが在来アサリと交雑し、その遺伝子が約半分を占めた。サワラ放流魚の遺伝的多様性は低く、放流量が餌の供給量を超えた場合には、天然魚を置き換えた。養殖マダイは長年の選抜育種のため遺伝的多様性が低く、形態も変化していた。スチールヘッドの相対繁殖成功度は、交配や環境の影響を受けて変動が大きい。適応度低下の分子メカニズムを明らかにするため、遺伝子発現と形質のグラフィカルモデルを開発した。
著者
中前 佳那子
出版者
奈良女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

直鎖型四座ホスフィンを用いて構造規制した直鎖状パラジウム8核錯体を連結し、さらなる長鎖クラスターの創製を第一の目的とした。複数の金属鎖を金属-金属結合で直接連結させることをねらってPd8核錯体を還元したところ、鎖拡張が示唆される結果が得られた。さらに、軸配位子として導入した有機連結基を介する方法からは、Pd核鎖の配位高分子を合成し、その物性を評価した。
著者
中塚 武 阿部 理
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

年輪に含まれるセルロースの酸素同位体比が、樹種の違いに依らず、降水同位体比と相対湿度と言う2つの気象因子のみに支配されて変化することに着目し、日本全国の多様な樹種からなる考古木質遺物の年輪年代決定に利用できる普遍的な年輪セルロース酸素同位体比の標準変動曲線を、過去数千年間に亘って日本各地で作成した。そのために、全国から得られた縄文時代以来のさまざまな年代の長樹齢の年輪試料(自然埋没木、考古木質遺物、古建築物、現生木などのさまざまな檜や杉の木材)の年輪セルロース酸素同位体比を測定すると共に、その成果を縄文時代以降の東海、北陸、近畿などのさまざまな地域の考古遺跡の年代決定に利用することに成功した。
著者
中村 博昭
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

写像類群の重みフィルター付けから生じる次数加群やそれを包含する導分作用素のなす加群に生じる対称群の表現を既約分解する計算について考察を進め,とくに種数0の場合のJohnson準同形の安定像について進展をみた.有理数体上定義されるX字・Y字状の平面樹木型グロタンディークデッサンについて計算代数的アプローチを進め,Pakovich-Zapponi の手法で付随する種数1のグロタンディークデッサンを算出し,注目に値する実例の系列を明らかにした.
著者
古賀 皓之
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

アワゴケ属の水草、ミズハコベCallitriche palustrisの示す顕著な異形葉性の分子機構にせまることを目的とし、本種、および同属の近縁種アメリカアワゴケ C. terrestrisを用いた比較発生学的実験を行なった。形態観察の結果、アメリカアワゴケは水中で育成しても、ミズハコベのように顕著な異形葉性を示さないことがわかった。そこで、アメリカアワゴケの発生中の葉におけるトランスクリプトーム解析を行なった。さらに、ミズハコベにおいても、植物ホルモンの作用を阻害することによって、水中における異形葉形成を抑制することができる。そこでそうした状態における、発生葉のトランスクリプトーム解析も行ない、発現量の網羅的データを得た。これらのデータと、以前に取得したミズへコベの葉の通常発生のデータを比較解析することによって、本種で異形葉形成に関わりうる候補因子の絞り込みを大きく進展させることができた。
著者
根岸 淳二郎
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

第一に、絶滅危惧種であるイシガイ類二枚貝は下流河川との連続性が高い農業用水路に高い確率で生息し、同所的に豊かな魚類相の生息が確認された。また、そのような生息地は、開発地割合の低い景観構造を有する地域に存在した。第二に、河跡湖における水草種数は水草繁茂面積と正の相関を持ち、生息地の質は、人工的にショートカットされた水域で最も低かった。第三に、湧水河川には特徴的な水生昆虫相が確認され、流域スケールでの分類群多様性に貢献していた。これらより、地形や湧水に着目して景観スケールで流水環境をタイプ分けすることで効率的な水生生物多様性保全が行える可能性が示唆された。
著者
上田 広美 三上 直光 岡田 知子 鈴木 玲子
出版者
東京外国語大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

研究代表者及び分担者は、定期的な研究会を開き、言語調査票作成のための基礎資料を選定した。調査地の公用語であるタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムの4言語の基礎語彙に関して、意味的な差異の重要性についても検討し、また調査票の作成・公開方法についても協議した。その成果は、『東南アジア大陸部言語調査票』として平成15年3月に公開した。この調査票をもとに、3か所において危機に瀕した言語の調査を実施した。まず、2001年12月に、カンボジア、コンポンサオム州ヴィアルレニュ郡にて、サオチ(自称チュウン)語の基礎語彙の調査を行った。サオチ語はモン・クメール語族ペアル語派に属し、話者は統計では総数70名以下とされていたが、調査時にはサオチ語話者を含む世帯はわずか26世帯であり、その26世帯においても、家庭内の日常言語はクメール語であった。次に、2002年8・9月に、ラオス、ルアンナムター県ルアンナムター郡ルアン村において赤タイ語(タイ・カダイ諸語南西タイ語群)の基礎語彙を調査した。同村で赤タイ語を日常話す話者は約200名で、その数は減少の一途をたどっている。また赤タイ文字を書ける者は68歳の男性1名のみである。現在、ラオスの公用語であるラオ語の影響を強く受けてラオ語化が進んでいる。次に、2002年9月、ベトナム、ソンラー省にてカン語(1989年センサスによる話者数は3,921人)の調査を行った。カン語は系統上、モン・クメール諸語に属するが、タイ系言語(特に黒タイ語)の影響を強く受けており、基礎的語彙もその多くをタイ系言語から借用している。調査をもとに作成した基礎語彙表では、借用の可能性のある語彙については、できるだけそのことを明記するよう努めた。また、カン語の音韻分析も行った。以上の3言語の調査結果は、平成15年3月に『東南アジア大陸部諸言語に関する調査研究』として公開予定である(印刷中)。
著者
相澤 清晴
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

大規模画像に対する高速最近傍探索の有力技術の一つが直積量子化(PQ)である。この直積量子化に対して、飛躍的に計算効率、メモリ効率を高めることを目的として、以下の研究を行った。(1)効率的な密空間分割PQ:複数のクラスタ中心ベクトルの組み合わせによる効率的な密な空間分割による最近傍探索 (2)PQTable:ハッシュテーブルを用いた直積量子化の効率化(3)PQkmeans: 大規模クラスタリングを可能にするPQ領域での高速、省メモリなkmeans (4)Residual Expansionアルゴリズム:kmeans等の非凸最小二乗問題に対する効果的な高速最小化手法
著者
増田 光弘 南 清和 庄司 邦昭
出版者
東京海洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

荒天錨泊中の走錨による船舶の事故は、錨の研究が進んだ現在においても絶えることがない。原因の一つとして、現在使用されているJIS型錨やAC-14型錨はそれぞれ最大把駐力や姿勢安定性など構造的に課題点を抱えていることが挙げられる。本研究の目的は高性能な新型錨を開発することである。そのために、既存の錨の性能を再評価し、まとめた錨性能評価表を作成した。そして、錨性能評価表に基づいて高性能新型錨を設計・開発し、新型錨がどのような状況においても安定して性能を発揮することができる錨であることを確認した。
著者
佃 洸摂
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

認知的尺度に基づく動画検索に関する研究では、動画に投稿された時刻同期コメントを利用し、視聴者が「かわいい」や「高音綺麗」などと言っている動画を探すことを実現した。研究成果をICDMW 2016で発表し、Webサービス「Songriumコメント分析」(http://comment.songrium.jp/)として公開した。N次創作活動のモデル化に関する研究では、派生コンテンツの制作を引き起こした要因を推定するためのモデルを提案した。研究成果をCIKM 2016で発表し、Webサービス「Songrium派生要因分析」(http://factor.songrium.jp)を公開した。
著者
木内 邦明
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

健忘型軽度認知障害(aMCI)はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆段階とされている。aMCIでは拡散テンソル画像(DTI)を用いた研究で認知症発症以前からの白質の異常が報告されている。今回の研究ではaMCIのさらに前駆段階と考えられる主観的認知障害(SCI)についてDTIを用いて検討した。今回対象とした各群は年齢、性別や学歴などをマッチさせたSCI群22例、aMCI群28名、早期AD群27名、コントロール(NC)群27名であった。結果はSCI群においてNC群と比較して後部帯状束で有意なFA低下を認めた。認知症につながるかもしれない早期の変化をSCIにおいて認めた可能性がある。
著者
温 笑トウ
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究は、支配株主の行為規制をめぐり、とくに支配株主との利益相反が問題となる不公正ファイナンスの場面を取り上げ、日本、アメリカ及び中国の現状規制とその背景にある諸社会条件を分析した。日本における支配株主の行為規制は、少数株主の自己救済に求めることを伝統とするアメリカと、国家や行政による審査・認可に委ねることを伝統とする中国の中間に位置付けられるが、いずれの面においてもうまく機能していない可能性があり、資本主義の本質と日本の現状法体制など観点からすると、救済手段の拡大とその前提となる開示情報の充実がより適切な解決方法ではないかと考える。その具体的な方法、本研究の各論文の中に議論されている。
著者
渡邉 顕彦 伊藤 博明 平岡 隆二 Tunberg Terence O. Schirg Bernhard
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

研究期間中に1)P.Palumbo (1573) Non Recedat Volumen Legis Huiusの背景および近世初期日本における受容について、2)ヴァティカン写本(MS. Reg. lat. 426)の最後部にあるラテン語寸詩および叙事詩断片計4点の内容および源泉について、3)B.Pereira (1640) Paciecidos Libriの背景や内容について、調査や発表を行った。特に2)の、近世初期日本人神学生によって筆写されたのではないかと推定される擬古典ラテン語詩4点が、1588年にリスボンで刊行された書籍から採られているとほぼ同定できたことが最大の成果である。
著者
戸倉 英美 葛 暁音
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は我が国の雅楽が、中国では失われた唐代音楽の原型をかなりの程度保存していることに着目し、これを資料に、中国文学史に於けるいくつかの重要課題の解明を試みたものである。主要な研究方法は、雅楽に関する戸籍・古楽譜・絵画・面・衣装などあらゆる資料を精査し、中国側の文献の記述と対照することである。平成9年度および10年度、葛暁音・北京大学中文系教授(平成9年4月より11年3月まで東京大学大学院客員教授)を共同研究者に迎えて研究を進めた結果、葛教授が離任するまでに中国語で30万字に及ぶ草稿『日本雅楽和隋唐楽舞-隋唐五代楽府文学背景研究-』を完成させたほか、昨年度は2篇、本年度はさらに2篇の論文が中国の学術雑誌に掲載された。本年度は、11年5月より6月に戸倉が北京を訪問、12年2月から3月は葛教授が来日し、各自の研究成果をもとに草稿の完成・出版を目指して徹底した議論を行った。しかし新たに大きな課題が発見されたため、12年度内の共著出版はやや困難な情勢となった。平成10年秋、筆者は研究の過程で、ケンブリッジ大学教授L.ピッケン博士とそのグループが日本雅楽と唐楽に関する極めて専門的な研究を行っているという情報を得た。平成11年7月、筆者はケンブリッジを訪問し、初歩的な調査を行った結果、欧米ではすでに1950年代より、音楽専門化による日本雅楽の研究が始まっている事実を知った。彼らの研究成果は、これまで日中の専門化によってその当否を十分検討されたことがなく、しかもその主張には日中の学者の見解と大きく異なる点が少なくない。そこで欧米の研究成果を検討し、我々の研究を全面的に見直すことが不可欠であると痛感した。同大学図書館において資料を収集し、帰国後は鋭意読解を進め、研究の早期完成を目指している。
著者
朝倉 利光 村崎 恭子 OTAINA Galin RAMSEY Rober REFSING Kirs DE GRAAF Tje AUSUTERLITZ ロバート 佐藤 知巳 井上 紘一 中川 裕 池上 二良 村崎 恭子 AUSTERLITZ R 朝倉 利光 切替 英雄
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

戦前までサハリンで健在だった少数民族,サハリンアイヌ,ウイルタ,ニブフの人々の多くは,終戦後は北海道に移住したが,現在はその言語の土着話者は絶えつつある。一方,ロシアサハリン州においては現在もこれら少数民族の人々が一部健在と聞く。本研究は,世界に数少ないこれらの言語の専門家が北海道に集まって日本側研究班を構成し,ロシア側研究者と共同して,サハリンに住む少数民族の言語-アイヌ語,ウイルタ語,ニブフ語-の土着話者を尋ね,これら三言語の音声資料を採集,収集し,その言語事情を言語学的に明らかにすることを目的とする。初年度,1990年の夏のサハリン現地調査によって,サハリンにおける当該少数民族の言語,アイヌ語,ニブフ語,ウイルタ語の言語状況が明らかになった。即ち,アイヌ語の話者はすでに絶えているが,ニブフ語は約2千人,ただし伝統口承文芸の伝承者は10人以下,ウイルタ語は2百人程度の話者がいて,そこでは言語調査の可能性が十分にあることがわかった。平成3年度は以下のような,研究調査を行った。1991.8.14-9.7 ニューヨークからアウステルリッツ氏がニブフ語調査研究のために来日。前年度収集した資料の整理分析を行った後.オタイナ氏と一緒にニブフ語テキストをチェック。1991.9.1-9.17 ウラジオストックからオタイナ氏がニブフ語調査研究のために来日。アウステルリッツ氏とニブフ語テキストをチェックおよび資料整理分析。1991.8.10-9.15 池上,井上,中川,佐藤の4名がサハリンでウイルタ語,ニブフ語などの少数民族の言語の調査を行った。1991.10.28-11.9 村崎,朝倉,井上がユジノサハリンスクへ向い,ピウスツキ生誕125周年記念シンポジウムに出席,発表し,アイヌコタン跡の調査を行った。1991。10。13-11。13 オランダのクローニンゲンからデグラーフ氏が少数民族の言語音声資料の調査のためにレニングラード,ノボシビルスクを訪れ,その後,サハリンでのシンポジウムに参加,発表を行った。その結果は,村崎恭子編「サハリンとB.ピウスツキ」(ピウスツキをめぐる北方の旅実行委員会,1992年3月)として刊行した。最終年度1992年には以下のような調査,研究を行った。1992.7月-8月 池上,井上の2名が,サハリンでウイルタ語の特定調査を行った。1992。9月から1993。3月までは,これまで収集した資料をそれぞれ,整理,分析し,最終研究成果報告書刊行の準備にかかった。その結果.1993年3月末日までには,研究成果報告書『サハリンの少数民族』(284頁)が刊行される見込である。この研究成果報告書に掲載される論文の殆どは各研究分担者が,この研究プロジェクトでえられた結果執筆したオリジナル論文であることは,まだ殆ど手が付けられていない「サハリンにおける少数民族の言語研究」という分野において,極めて貴重な研究成果と言える。以下に,掲載論文のリストを掲げる。1。研究概要ABSTRACT OF PROJECT 村崎恭子2。THE ETHNO LINGUISTIC SITUATION ON THE ISLAND OF SAKHALINTjeerd de Graaf3。A PELIMINARY REPORT ON SAKHALIN KOREAN S.Robert Ramsey4。A BRIEF HISTORY OF THE STUDY OF THE UILTA LANGUAGEJiro Ikegami5。ウイルタ語テキスト 池上二良6。UILTA AND THEIR REINDEER HERDING Koichi Inoue7。BEROBANIYA I ObRYADI ULiTA C.B.bEREZNITSKII(ウイルタの信仰と儀礼)8。NIVKH FOLKLORE G.A.OTAINA9。ANIMAL TAXONOMY AND SAMPLE ANALYSES(INSECTS) R.AUSTERLITZ10.サハリンにおけるニヴフ語基礎語彙の地域差 中川裕.佐藤知巳.斎藤君子11。N.B.RUDANOBSKI'S AINU DICTIONARY B.M.LATISHEB
著者
野本 明男 岡田 吉美 豊島 久真男 吉倉 廣 永井 美之 石浜 明 豊田 春香 永田 恭介 水本 清久
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

本年度は、重点領域研究「RNAレプリコン」のとりまとめを行った。平成7年6月12日に北里大学において、第1回総括班会議を開催し、とりまとめに関する話し合いが行われた。この会議では、これまでのとりまとめ方法のみならず、今後のRNAレプリコン研究発展を目指した本年度の活動が話し合われた。その結果、「RNA情報のフロンティア」と題する一般公開シンポジウムを11月28、29日の両日、日経ホールにて開催することが決定した。このシンポジウムは重点研究「エイズの病態と制御に関する基礎研究」(代表・永井美之)との合同シンポジウムとし、RNA情報の多元的制御メカニズムを紹介、さらにRNA研究の重要性と面白さを一般にアピールすることであった。例年のように、各種RNAレプリコン単位のミニシンポジウムも開催することが決定され、植物のRNAレプリコン会議(世話人・渡辺雄一郎)およびレトロウイルス複製会議(世話人・岩本愛吉)が、それぞれ岡山大学資源生物研究所(平成7年10月30日)および東京大学医科学研究所(平成8年1月20日)において開催された。さらに、この領域の若手を世話人(永田恭介、小林信之、中西義信)とした公開シンポジウム「ウイルスを利用する人類の知恵-アポトーシス制御、ウイルスベクター、遺伝子治療」を平成8年2月6日に東京大学山上会館で開催した。いずれのシンポジウムでも多くの参加者が集まり、熱のこもった討論が行われた。本年度の最後には、ニュースレター最終版を発行し、来年度の前半に領域代表者による研究報告書の作成が行われることが決定されている。
著者
畑田 彩 平山 大輔 村上 正行 梶川 裕司 谷垣 岳人 中田 兼介 野崎 健太郎
出版者
京都外国語大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

今年度は研究目的の(2)環境学系科目担当教員が持っている教材、人材情報、授業デザインなどを収集・共有する に関する活動を行った。研究代表者、研究分担者が行った教材開発は以下のとおりである。(畑田)小麦アレルギー者のためのグルテンフリー代替メニューの開発・エコバッグ一体型学生鞄の開発・カフェインレスのコーヒーがコーヒーの代替品となりうるかの実験・アクアポニックスを利用した小学校の総合的な学習の授業デザイン・キャンパスラリーを利用した環境学系授業の授業デザイン (平山)学校の校庭の樹木等を教材とした自然観察授業・森林機能に関する教材(授業プログラム)の実践・三重県内の学校教員を対象とした環境教育の研修講座の実施 (谷垣)京丹後市での保全型農業の実施とゲンゴロウ米の販売 (中田)ぬまがさワタリ著「図解 なんかへんな生き物」の監修 (野崎)大学生を対象にした河川生態系の多様性を理解するための宿泊型自然体験学習の実践・愛知県現任保育士研修会での講演 (村上)没入型授業映像視聴環境のためのハンドジェスチャインタフェース今年度は、研究代表者・研究分担者各自の教材開発にとどまり、共有化のシステムを構築することができなかった。共有できる教材が集まってきたため、早急にHP上で共有できるシステムを構築したい。研究目的の(3)座学の授業で利用可能なハンズオン型教材の開発を行う については、以下の活動を行った。(畑田)ミネラルウォーターと水道水の利き水・紙は何回二つ折りにできるか(ワークショップ)・視覚と臭覚なしでかき氷の味が見分けられるか(ワークショップ)・よく飛ぶ紙飛行機を作ろう(ワークショップ)3Dプリンタを用いた昆虫模型の制作は、ゼロ工房提供の15種類の昆虫のフリーデータを用いて、試作を行った。