著者
勝見 允行 山根 久和 近内 誠登 湯田 英二 佐野 浩 倉石 晉
出版者
国際基督教大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1987

矮性問題:山根はインゲンの矮性(マスターピース)及びキュウリの矮性(スペースマスター)とそれぞれの高性種との間で内生GA量に差がないことをみつけた. インゲンではGA感受性の低いことが, キュウリでは加齢の早いことが矮性の原因であると推定された. 倉石はオオムギ幼葉鞘でのオーキシン合成はL-Tryからラセマーゼ・D-Tryアミノトランスフェラーゼの反応経路で行われると推定し, 矮性uguは後者の活性か低いためオーキシン生産が少ないという知見を得た. 勝見はGA感受性, 高GA生産性矮性トウモロコシD_8の中胚軸の細胞膜微小管の配向を顕微蛍光抗体法で観察し, 表皮細胞では高性株との間に配向パターンの差は見られないこと, しかしD_8の皮層では, 細胞伸長軸に対して直角配向をする微小管をもつ細胞が, 高性株に比べて狭い区域に限られていることみつけた. この結果はD_8がGAの受容体に関する突然変異だとする仮説と矛盾しない. 佐野は5-アザシチジン(AzaC)処理によって矮性化が誘導されること, F1でも矮性形質か残ることから, AzaC誘導の形態変化は遺伝することを示した. AzaCはシトシンのメチル化を抑えていることも確かめられた. この結果は, 矮性株のGNAはメチル化が低いという前年度の結果を支持するものである.生殖生長:湯田はビワ果実の無種子化をGA3を主体とする処理により成功した. より効果的な処理のためにはビワ固有のGAを使うことが望ましいと考え, ビワ幼果から抽出を行ない, 3つの新GAを発見した. ビワの生理活性GAはGA_<34>と推定される. 近内はブラシノステロイドによる作物の子実の増収を検討した. 開花初期における処理は, コムギ, ナタネ, ダイズで増収効果があった. またトウモロコシの花粉の発芽率も高まった. 桂はサトイモの地上部からGA_<24>を単離同定した. 花芽誘導に関与するGAを検討中である.
著者
小林 快次 金子 勝比古
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究によって、非鳥類型恐竜類から鳥類への脳や骨の進化過程において多くの情報を得ることができ、またそれらの境界を探ることができた。脳の進化過程としては、特に嗅覚の肥大・縮小というマクロの構造変化に注目することによって、非鳥類型恐竜から鳥類への生活や食性の変化を明らかにすることができた。このことは、中生代当時の生態系において、恐竜たちがどのようにニッチを奪い合って進化してきたかをみることが可能になり、これまで考えられてきた以上に複雑な進化をしていたことがわかった。また、これらの境界にあたるグループで鳥類に属すか否かの議論がされているオビラプトロサウルス類においても、脳の構造の視点から、これは非鳥類型恐竜に属すことが考えられ、体骨格の鳥類に類似した特徴は収斂進化であることを示す。活や食性の進化と同様、恐竜は複雑な進化を遂げながら、鳥類へ移行していったことがわかった。今後の課題としては、マクロなスケールではなくよりミクロな構造を分析することである。このさらなる研究によって、脳や神経システムからみた恐竜類の進化過程がより明らかになってくるであろう。
著者
薛 献宇 神崎 正美 伊藤 英司
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では水を含む重要なマントル鉱物並びに関連化合物の構造(水の含有量・存在状態、カチオン(Si,Al,Mg等)配置の秩序性、欠陥構造など)を高度な多核種・多次元固体NMR分光法により解明した。また複数の新しい高圧相を発見し、その結晶構造を決定した。これらの情報は地球内部鉱物の物性並びに地球のダイナミックス・進化をモデリングするために必要不可欠な基礎データとなる。
著者
大和 晴行
出版者
兵庫教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,3歳未満児からの運動発達の向上のための方策について検討することを目的とし,3歳未満児の運動発達に関連する要因について検討を行った。その結果,(1)親の遊びに対する養育態度が子どもの活動意欲と関連していること,(2)活発な身体活動を伴う遊びの多さが,姿勢制御や移動運動、微細運動の発達と関連していることが示された。結果を踏まえ,保育環境及び子育て支援における親子活動のあり方について述べた。
著者
境原 三津夫 櫻井 信人
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

指定入院医療機関を退院した触法精神障害者は家庭での受入れが難しく、民間の施設がその役割を担うことが多い。民間の施設においては、精神保健福祉士等の専門職の不足から受け入れに際しての負担が大きい。触法精神障害者がスムースに地域社会にもどるためには、専門職を十分に配置した中間的な施設の存在が必要であり、このような中間型の施設を充実させる必要がある。民間に頼るには限界があり、触法精神障害者の社会復帰を促進するには、指定入院医療機関のように公的な資金を投入した中間型施設の設置が必要であると考えられる。
著者
清水 徹英
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、硬質/軟質相が面内方向に規則配列された「面内ヘテロ構造」を有するテクスチャード表面を実現することで,連続摺動に伴う摩耗をパッシブに利用し,軟質相の選択的摩耗を促進させることでテクスチャ構造の自己形成化を図るものである.特に提案する面内ヘテロ構造の創製手法の確立およびその基礎摩擦・摩耗特性を解明することを研究目的とした.本研究を通して,イオン化蒸着法,酸素プラズマエッチング,プラズマCVD法を同一チャンバー内で行うことにより,面内ヘテロ構造を有するDLC膜の形成に成功した.創製した面内ヘテロ構造DLC膜における軟質相の選択的な優先摩耗挙動を明らかにし本提案手法の有効性を示した.
著者
矢野 一雄 西村 克彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、40年以上の精力的な研究にも関わらず現在でも理解する糸口が得られていない重い電子系物質に注目し、その中のCeNiの電子状態を理解する糸口を得ることを目的に微視・巨視的に攻究した。そのために(Ce-Gd)Niに注目し攻究したところ、①Gd低濃度組成域(0.15≦Gd≦0.2)で発現する、RKKY相互作用の崩壊的な減少は”Ceに特有”な現象である可能性が高いこと、②Gd高濃度組成域においてもRKKY相互作用は抑制されている可能性が高いことが判明した。更に③Gd濃度が0.8→0.5に減少すると、Ceの4f電子状態が磁場の影響を受けることが放射光により微視的に調べることで判明した。
著者
向 正樹
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は、中国沿海部と東南アジア島嶼部のイスラーム史蹟における現地調査を行い、そこに残されたイスラーム碑文(おもにアラビア語墓碑)の相互の比較研究を行い、それによって、歴史的に海上交易によって結びつけられた当該海域におけるアラブ・ペルシャ系移民の通婚と文化接触の結果形成されたイスラーム系集団間の連環を探るものであった。当該地域出土のイスラーム石刻のテキストから得られる年代的・地理的情報の収集、および、関連する漢語・アラビア語・ペルシャ語文献資料の網羅的分析を行った結果、12~16世紀前後において、南シナ海域・東南アジア海域に広く分散するイスラーム系集団の連動性や関係性に迫ることができた。
著者
林 恒宏 村田 真一 阿南 浩司
出版者
札幌国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、①スポーツマネジメント教育の分析枠組み(基本的視座)の整理、②大学現場で実際に展開されたスポーツマネジメント教育の課題と成果、③大学教育で図られているスポーツマネジメント教育に対してのスポーツ実践現場の見方の整理であった。今回の研究を通して①「大学側(カリキュラム・教員)」「学生側」「現場側」の3局構造をスポーツマネジメント教育の基本的視座として確認した。②「大学側(カリキュラム・教員)」の取り組みとして「実践の場」の必要性を確認した。③「現場側」の事例としてプロスポーツ球団では資格などより、新卒採用と中途採用の違いに着眼したカリキュラム策定の必要性を確認した。
著者
石竹 達也 原 邦夫 星子 美智子
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国の公立病院改革ガイドラインのもと、自治体病院の経営改善のために経営形態移行が進められている。本研究では経営形態移行が職員・地域住民の健康にどのような影響を及ぼすかを検討した。経営形態別では「一部適用型」から「全適型」が最も多かった。経営形態移行は、職員や地域住民の健康に影響を及ぼすことがわかった。しかし、特定の病院を対象として経営形態移行前に健康影響予測評価(HIA)を適用できなかったため、その妥当性については評価できなかった。
著者
堀河 俊英
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、創・蓄・省エネルギー化が求められ、化学プロセスから排出される低位レベルの熱エネルギー回収システムのひとつとして水蒸気吸着式ヒートポンプ(WAHP)が注目されている。そこで本研究ではWAHP運転圧力範囲で急激かつ大きな水蒸気吸着を示す高性能炭素系水蒸気吸着剤の開発に取り組んだ。炭素系吸着剤に対する水蒸気吸着等温線の立ち上がり位置を低相対圧部へシフトさせるために細孔特性を制御した多孔質炭素材料を調製し、また、それらに窒素原子を導入することで、WAHP運転圧力範囲において水蒸気吸着量差は、窒素ドープを行っていない炭素材料に比べて5倍となる高性能炭素系水蒸気吸着剤の開発に成功した。
著者
李 仁子 二階堂 裕子 金谷 美和
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、東日本大震災の津波被災地において人々の生活再建や地域の復興がどのように進むのかを明らかにするために、複数の調査地で長期にわたる文化人類学的調査を行い、被災者の移動に伴う生活相の変化や、被災者をとりまく社会的環境の変化、さらには彼らのコミュニティに生じた再生や変容を詳細に記録した。再建や復興のプロセスは一様かつ直線的なものではなく、被災の程度、行政による施策の影響、震災前から家族やコミュニティに内在していた諸条件、外部からのボランティアとの関わり方等々といった様々なファクターにより多様かつ複雑に展開するのだが、その全容を民族誌的に記述するためのデータを蓄積することもできた。
著者
大塚 和夫 小杉 泰 坂井 信三 堀内 正樹 奥野 克己 鷹木 恵子 赤堀 雅幸
出版者
東京都立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

3年間にわたる調査・研究の結果、北アフリカのムスリム社会が、近年のグローバル化の大きな波に洗われ、伝統的生活のあり方の一部を維持しながら、さまざまな側面での変容を経験していることが明らかになった。それは食や衣といった物質文化の側面から、女性労働のあり方、歌謡曲などの大衆文化そしてイスラームに関わるさまざまな活動の領域にまで及ぶ。それらを明らかにする過程で、ジェンダーのあり方、イスラーム復興、情報社会化、観光化などのきわめて今日的な人類学的テーマに関しても今後の研究の調査・研究の見通しを得ることができた。その一方において、これまで我が国ではほとんど知られていなかった「伝統的」なイスラーム活動のいくつかの側面に関する基礎データも収集できた。それは、モロッコのスーフィー教団、同じく伝統教育のあり方、そしてエジプトなどにおけるムスリム学者の大衆に対する法的助言(ファトワー)の実態などである。これらは今後のイスラーム研究においてもきわめて貴重な資料である。今回の調査・研究を全体的に見渡すと、やはり広い意味でのグローバル化の影響が、北アフリカのムスリムの日常生活のいろいろな面にまで浸透していることが明らかになった。その結果,今後の人類学=民族誌学的研究においても,フィールドを取り巻くさまざまな環境、とりわけ国家やグローバルなレベルからの政治・経済・文化的なさまざまな影響を、これまで以上に真剣に考慮する必要性が痛感されるようになった。そのような所見に基づき、北アフリカに限定せずにアラブ世界全般を視野に入れグローバル化の過程に着目した人類学的研究のプロジェクトを企画し、その一つを科研費補助(基礎研究C)をえて実施してるところである。
著者
河村 能人 萩原 幸司 相澤 一也 木村 滋 古原 忠 東田 賢二 乾 晴行 奥田 浩司 中谷 彰宏 君塚 肇 中島 英治 大橋 鉄也
出版者
熊本大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

総括班の役割は、各計画研究と公募研究が緊密に連携して十分な研究成果が出せるように、本領域の組織的かつ効果的な運営と研究支援活動ならびに若手人材育成を図り、本領域の目的達成と次への展開に資することである。運営面での特徴は,①6つの部会と4つの事務局による効率的な運営、②量子線共同利用施設や共通試料提供等による研究支援、③若手人材育成への注力、④国際交流,異分野交流,産学官交流の推進である。総括班としての主な成果は、各種領域内会議による効果的な運営、研究支援による効率的な研究推進、領域内交流による連携推進、国内外シンポジウム等の開催による本領域のプレゼンス向上、若手研究者の活躍等である。
著者
千本 英史 小川 豊生 深澤 徹 大谷 俊太 礪波 美和子 伊藤 聡 柳田 征司
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

「国文学」という学問は二〇世紀に成立した。芳賀弥一の『国文学史十講』が冨山房から出版されたのは一八九九年の十二月である。それから百年が過ぎ、研究領域の拡大および深化は、研究方法の多様化とともに、「正当的作品」自体の意味をきわめて不安定な、宙づりな存在とした。ことは文学の一分野にとどまらない。すべての分野における「正当」なるもの、「標準」なるものの見直し、「正当」と「虚偽」二分割の思考の枠組み自体が問われようとしているといえる。こうした情況のなかでもう一度、古来の「偽書」の系譜をたどり、それぞれの作品に込められた文学史の力動を再発見し、そのことをとおしていま一度、「文学」という営為を検証しなおしたいと考えた。そのために、思想史的、歴史的文献をも含めて、個々の偽書の体系的把握が必要となる。関心が重層しながらも、多分野にわたる研究者によって、共同チームを組み、それぞれの分野での偽書を検討し、それぞれの分野の特性を明らかにし、そこで得られたもののうちから、代表的なものを選び、それに注釈作業を行い、さらにその特性を解明していった。研究期間の間に「偽書」についての興味が多分野から見られたが、たとえば「月刊言語」の特集や、佐藤弘夫氏著『偽書の精神史 神仏・異界と交感する中世』でも、いまだ「偽書」は断片的に扱われている段階である。これまでの研究の成果を生かしつつ、早急に「偽書」全体を俯瞰する叢書が提供されることが望ましい。これについてはすでに、科研メンバーを中心に、さらに幅広い研究者に呼びかけて、三〜五巻程度の叢刊の刊行を準備し、原稿も相当部分集まりつつある。諸般の事情から、いまだ第一巻の刊行も遅れている状況であるが、早急に刊行体制を再構築したい。現在確認できているところでいえば、秘伝・口伝を特徴とする中世期の「偽書」と平安〜鎌倉の人物に仮託した近世記の「偽書」(擬書)との間には、性格付けに一定の差異がみられる。両者のありようの性格的な断絶と継承の関係を、さらに成立の背後の社会的な視野を加えつつ検討する必要があると思われる。さらに中国を始めとする周辺諸国の「偽書」との比較検討は、まだ研究の緒についたばかりである。今後の進展を期したい。
著者
山崎 昌廣 長谷川 博
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

脊髄損傷者(脊損者)の発汗機能は基本的には脊損レベルに依存しているとされているが、これまでの研究では脊髄損傷(脊損)レベルと発汗障害部位および発汗量の関係については明確にされていない。特に暑熱環境下における運動時の発汗応答に関する研究はほとんど行われていない。そこで、本研究ではまず脊損レベルと発汗部位との関係を明らかにすることを目的とした。また、暑熱環境下での運動中の飲水により発汗および体温がどのように変化するのかを健常者と比較し、さらに冷却ジャケットが脊損者の体温冷却にどれほど有効な手段なのかを検討した。対象とした被験者は成人男子で、損傷レベルはL1〜Th6であった。暑熱環境に暴露した際の安静時局所発汗量は脊損レベル別および部位別による顕著な違いが観察された。前額部、胸部および腹部では全被験者において明らかな発汗が観察された。一方、大腿部および下腿部では発汗量は少なく、Th6およびTh7の被験者では発汗がまったく観察されなかった。暑熱環境下における運動時の全発汗量は運動30分後および運動終了時とも、上位脊損者群が低い値を示した。しかし、下位損傷者群と比較して統計的有意差は認められなかった。大腿部および下腿部皮膚温は上位損傷者群が有意に低い値を示したが、前額部、胸部および上腕部の皮膚温には有意差は認められなかった。また、鼓膜温は両群に有意差は認められなかった。局所発汗は脊損レベルの影響が顕著であったが、全身発汗量はそれほど損傷レベルの差は認められず、その結果暑熱環境下の運動時体温調節において上位脊損者群と下位脊損者群には顕著な差はないと結論することができる。脊損者に対する体温冷却効果は健常者と同様に、飲水に加え冷却ジャケットを着用すると、循環系の負担が軽くなり、さらに体の許容蓄熱量に余裕ができ、運動中の体温上昇が抑制されることが明らかとなった。
著者
吉川 清次
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

EMTレポータースクリーニングにて、EMTを誘導因子としてSnail・Twist2を、EMTと協調してHMLEに軟寒天コロニー形成能を付与する遺伝子としてミトコンドリア電子伝達系構成因子、シグナル伝達ハブ遺伝子が同定されノックダウン実験では、SUM159間葉乳癌細胞のコロニー形成を抑えることが分かった。METスクリーニングでは、E-cadherin発現を強力に誘導するshRNA(shP1と命名)を同定した。軟寒天コロニー形成能の解析から、SUM159細胞にはshP1に感受性をもち軟寒天コロニー形成能が低下する集団と、shP1によりコロニー形成能が変化しない細胞集団が存在することが判明した。
著者
中村 強 山元 涼子 田中 芳明 山田 健一
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、近年では軽視できない重要な生活習慣病の一つとされているが、現状は的確な効果が見いだされていない。本疾患は酸化ストレスに伴って発症することに着目し、病態モデルの開発および抗酸化物質の投与を中心にNASHへの発症予防に関する検討を行った。すなわち、新規な病態モデルであるSTAMマウスはヒト疾患に極めて近いこと、比較的短期間に、かつ安定して発症することを確認した。また本マウスを用い、ビタミンEならびにアミノ酸(イソロイシン、ロイシン)、D-グルコースの異性体であるD-アロースの投与の効果を検討し、STAMマウスの肝障害を有意に抑制することを認めた。
著者
安元 隆子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

チェルノブイリ原発事故がどのように描かれてきたのかを考察した。主にスベトラーナ・アレクシェービッチの『チェルノブイリの祈り』、グードルン・パウゼヴァングの『雲』、若松丈太郎の連詩「かなしみの土地」、チェルノブイリ原発事故を予見した映画としてタルコフスキー『ストーカー』を論じた。『チェルノブイリの祈り』は社会主義からの訣別と人間の生と愛への希望というテーマを証言集全体の構造を分析することで明らかにした。また、『雲』では登場人物の核に対する意識の差が主人公の父方、母方の意識の差と重なること、「かなしみの土地」では想像力の飛躍に基く詩法を明らかにし、福島原発事故への架橋の意味があることを評価した。
著者
小林 酉子
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1570年代からロンドンでは商業劇場が次々と建設され、ルネサンス演劇最盛期を迎えた。その当時、商業劇団は市井の劇場で公演するだけではなく、宮廷や貴族の館、あるいは市の祝祭で役を演じてもいた。本研究は、商業劇団が深く関わったpageantry(野外式典)を研究対象とする。これは royal pageantry(入市式や巡幸)とcivic pageantry(市長就任式等)に大きく分けられる。それぞれの記録を基にpageantry衣装演出の具体像を追って、その意匠が商業劇場舞台に与えた影響を明らかにし、エリザベス朝の商業劇場でどのような衣装演出が用いられたかを検証した。