著者
土永 知子
出版者
和歌山県立日高高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

研究目的:天然記念物として指定された神島には、1934年に南方熊楠らによって作成された顕著樹木所在図がある。1998年に田辺市が行った調査で台風の被害やウが集まったことにより植物相に変化があった。そこで、現在の樹木分布図を作成し、神島の植物相の変遷をあきらかにする。研究方法:田辺市教育委員会文化振興課の協力で、調査を実施した。GPSやGPS機能付きデジカメを用いて、顕著樹木の分布図を作成した。研究成果:1998年の調査では無かったタブノキが「おやま」にあり、幼樹もあることがわかった。「おやま」にウは現在も断続的に飛来しているため、ヨウシュヤマゴボウなどの窒素が多い土壌を好む植物が増えた林分がある。「こやま」では、崖にはハカマカズラが繁殖し、斜面に樹木も生育しているが、2011年の台風で崖の部分で大規模な岩石の崩落があり、植生の回復が遅れていることがわかった。
著者
立花 亮 田辺 利住
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

キトサン溶液を無水酢酸でアセチル化することで、キチンゲルを作製した。塩基性の細胞増殖因子は、キチンゲルに残存するアミノ基を残した場合、結合せず、ヨード酢酸でカルボキシメチル化すると、強く結合した。また、キチン結合ドメイン融合FGF2は特異的に結合し、緩衝液にはほとんど溶出しなかった。キチンを分解するリゾチームによって、キチン結合ドメイン融合FGF2は徐放された。キチンの分解に伴ってゲル外に放出されたのであるが、ゲルの成分の徐放と異なるパターンで徐放されていることから、放出された後に、再結合が起こっていると考察された。結果的に、初期バーストのない理想的な徐放システムが得られた。
著者
生田 和良 作道 章一 中屋 隆明 高橋 和郎 纐纈 律子 奥野 良信 纐纈 律子 渡邉 洋平 佐々木 正大
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

H5N1亜型高病原性トリインフルエンザウイルス(HPAIV H5N1)は、一部の地域において致死率の高いヒト感染例が散発的に確認され、ヒトに対してパンデミックとなる懸念が指摘されている。エジプトは現在、世界的にも多くのHPAIV感染者を出している流行国の1つである。本研究においては、エジプトで飼育されている家禽からHPAIV分離を試み、得られた遺伝子配列から分子疫学調査を実施した。その結果、エジプトにHPAIVが初めて導入された2006年に比べて、2008-09年のウイルスはヒトに感染しやすいと考えられるα2,6 SA糖鎖親和性を獲得していた。
著者
本多 薫
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

学習内容をモデル化し,計算,読む,照合の課題を提示できる実験用の学習支援システムを構築した。そして,学習中の生体情報の計測と主観的評価を実施し,学習中の学習者の負担を分析した。その結果,心拍のパワースペクトル解析より,課題開始30分程度で負担が大きくなることなどを示した。また,学習支援システムを用いて30分間連続で学習(課題遂行)した場合には, 10分間以上の休憩を取ることで,学習者の負担や疲労感を抑えられる効果があることを明らかにした。
著者
百瀬 修二 田丸 淳一 梶野 一徳
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大腸菌で DNA の組換えに関わると考えられている dbpA (DNA-binding protein A)の発現が、ヒトにおいて活性化リンパ球の指標となる CD30 陽性細胞の染色態度とリンパ組織において類似していることを見出し、さらに CD30 陽性の悪性リンパ腫 (Hodgkin リンパ腫;HL など)においても高頻度に発現していた。HL では NF・B シグナル伝達系の恒常的活性化が知られているが、dbpA が NF・B シグナル伝達系の下流で発現・機能すると考えられた。
著者
小松 尚 小篠 隆生 鶴崎 直樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

わが国と米国における先進事例の分析を通じて、.キャンパスおよびキャンパス周辺の公共空間や住環境をマネジメントとするために、行政や企業、NPO、地縁組織といった主体と大学で構成されるまちづくり連携体のあり方とマネジメントの手法、.このまちづくり連携体によって創造される「地域公共空間」としてのキャンパス空間像、.そして大学キャンパスと近隣地域のトータルなまちづくりとしての公共空間マネジメントの戦略について考察した。
著者
バンス ティモシー
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

2つ以上の有意味の要素が結合し、単語を成す場合、各要素が単独形と違う発音になるケースが多い。(例:たま「玉」め.だま「目玉」)現代日本語に絞り込み、このような発音変化を調べるのが本研の目的だった。アンケート調査や録音調査に基づき、日本語の母語話者及び学習者を対象に、子音の変化もアクセントの変化も取り上げ、その規則性を検証した。特に漢語の濁音、山形方言の(鼻)濁音、単純名詞に基づいた苗字アクセント、に焦点をあてた。
著者
酒井 たか子 ブッシュネル ケード 山田 亨 柳家 さん喬 亀井 敦郎 菫 然
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

落語は日本独自のユニークな形態を持つ話芸であり、日本文化のエッセンスが凝縮されているが、日本語学習者にとって難しいと敬遠されがちである。日本語学習者の笑いを中心とする理解を明らかにするために、研究材料の作成および理解を分析するための方法を検討した。研究材料は、留学生の聞き手を対象とした約20時間に及ぶ映像、音声を収集した。江戸落語・上方落語、新作落語・古典落語、初級対象・中上級対象とバリエーションを持たせ、映像の編集、文字化を行った。学習者の理解を測るための方法として、会話分析の手法のほか、アンケート、絵による表出などを実施し、その有効性を明らかにした。
著者
渡邉 正彦 石川 巧 藤井 淑禎 瀧田 浩
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

高度経済成長以前の状況では、一国の文化が一つの価値観に収斂されていく傾向が顕著であるが、しかし高度経済成長によりもたらされた経済的余裕を背景として、個人の価値観が多様化し、それに即した表現が様々な形で現れてくるようになり、そして、そのような状況の中で、統一感を喪失することを余儀なくされた人々が、必然的に孤独感を抱え込み、そのはけ口を表現に求めるようになる傾向が看取される。
著者
木島 隆康 桐野 文良 山梨 絵美子 林 洋子 上野 勝久 佐藤 一郎
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

迎賓館赤坂離宮(平成21年、国宝に指定される)は明治42年に建設され、わが国最大の面積を誇る天井画を持つ(15部屋)。天井画はカンバスに描かれた油彩画である。過去に大修復が行われているが、その後も劣化が進行し著しく損傷している。本研究プロジェクトは、天井画に生じた損傷と劣化原因を調査し、その損傷原因が過去の粗悪な設置環境と過去の不適切な修復処置、さらにカンバスが貼られた木摺に主な原因があることがわかった。さらに、天井画の由来はフランスで制作され輸入されたものであることを突きとめた。
著者
栗田 光樹夫
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって、南アフリカ天文台サザーランド観測所に、近赤外線広域サーベイ用の観測基地を設置した。2009年7月におよそ1カ月間南アにて銀河中心方向の5平方度にわたるUIR輝線サーベイ観測を行った。検出された顕著なUIR輝線(未同定赤外線輝線)を放射する天体や広がった構造はこれまでの近赤外線の撮像観測等によって知られている星形成領域と星団と一致した。しかし、新たにM42のような大質量星形成領域に相当するようなUIR放射天体は銀河中心方向の5平方度からは確認できなかった。また検出されたいずれの天体も中心の1平方度に存在し、周辺の4平方度からは検出されなかった。
著者
松岡 寛子
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本年度は、昨年度の成果である、仏教論理学派の展開期を代表する中観派の思想家、シャーンタラクシタ(8C)著『摂真実論』・カマラシーラ(同)著『注釈』、唯識説が説かれる「外界対象の検討」章のサンスクリット語校訂テクストと訳注からなる基礎研究に基づき、その思想研究の成果の公表、及び実地調査を以下のとおり実施した。1.同章第83-86偈を検討して、シャーンタラクシタの仏智観が中観派の立場に立つとする従来の説を批判し、ブッダの自己認識を説く唯識説に立脚したものであることを明らかにした。[学会:"On the Buddha's..."]2.同章第114偈に提示される認識論的な側面から唯識性を証明する論証、及び第25-34偈に説かれる存在論的な側面から唯識性を証明する論証を各々取り上げ、解釈上の問題点を挙げて考察した。[雑誌:「シャーンタラクシタの唯識論証…」,「『タットヴァ・サングラハ』における<離一多性>論証」,学会:「シャーンタラクシタによる<唯識性>の第二…」]3.同章第118偶に示される認識の無二性が『観所縁論』に見られる認識の二相性と相反しないことを明らかにした。[学会発表:「シャーンタラクシタの唯識二諦論…」,雑誌論文"On the Alambanapariksa..."]4.極微論批判が展開される「外界対象の検討」章前半部34偈を検討してその梗概を示し、二種の議論が存在論的、認識論的な各側面からなされ、二種の唯識文献に遡及されることを明らかにした。[学会発表:"Two ways..."]5.ジャイサルメールに二ヶ月間滞在し、ジャイナ教僧団の協力下、ジャイナ教寺院併設書庫(グランタバンダーラ)に所蔵される『摂真実論』の現存する唯一貝葉写本をカラー撮影することに成功した。その写真を用いて『摂真実論』のサンスクリット校訂テクストを補完した。
著者
四方田 剛己 斉藤 綾子 平澤 剛
出版者
明治学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

2011年度は、代表者がフランス・パリに、研究分担者がアメリカ・ニューヨークに長期滞在し、現地における批評、研究、受容の調査を行うとともに、各地の研究者に資料収集、翻訳、リスト化の依頼を継続し、2012年度末に予定されているシンポジウムについての会合を行なった。また、フランスのパリ日本文化会館、国立映画学校、イギリスのブリティッシュ・フィルム・インスティトゥート、ロンドン大学、クローズアップ、カナダのシネマテーク・ケベコワーズ、マッギール大学、コンコルディア大学、イタリアのローマ日本文化会館、ヴェネツィア大学、中国の北京精華大学、オーストリアのウィーン大学、メキシコのメキシコ自治大学、キューバのハバナ国際映画テレビ学校、キューバシネマテーク、ノルウェーおよびデンマークのフィルムミュージアム、アメリカのハーバード大学、コロンビア大学、ノースカロライナ大学、イエール大学、カリフォルニア大学バークレー校などで、日本アートシアターギルド、実験映画、アンダーグラウンド映画を中心に、また松本俊夫、大島渚、吉田喜重、若松孝二、足立正生といった作家など、1960-70年日本映画に関連するシンポジウム、講演会、上映会などを企画、参加し、本研究計画の映画史的意義について、議論、情報交換する機会を設け、各地で新しい研究者、批評家、プログラマーに協力を要請した。平行して、研究計画に必要な映画素材のデジタル化作業も国内で行なった。
著者
岡橋 さやか
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

高次脳機能リハビリテーション用バーチャルリアリティシステム(VR 課題)を開発し、既存の神経心理学的検査・質問紙との関連を調べることで有用性について検討した。タッチパネル操作により仮想の街を移動しながら、事前に暗記した買い物を行う課題である。得られた結果より、 VR 課題は脳損傷者および失語症者の高次脳機能評価に適用でき、 その所見は日常記憶、注意、遂行機能と関連することが示唆された。
著者
田代 尚路
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成21年度においては、前年度の研究の成果を発展させつつ、物語詩的抒情詩の分析研究を進めた。前年度に引き続きアルフレッド・テニスンの詩を主たる研究対象とし、ロバート・ブラウニング及びエリザベス・ブラウニングの詩も適宜参照したが、その他にもウォルト・ホイットマンとジョン・キーツの作品群にも焦点を当てることで、物語詩的抒情詩を歴史的な座標軸において捉えるべく努めた。具体的には、まずはテニスンの物語詩的抒情詩について、「待つ」ことを扱った詩であるという結論を導き出した。テニスンの詩においては、誰かの到来を待つ人物が描かれていることが多いが、待つという状況設定が物語的枠組の中で提示され、またその待つ人物の焦燥感に満ちた心理が抒情的に語られることで物語詩的抒情詩が成立をしている点を論証した。「待つ」という様態に注目をすることで、一見何の関係性もないように見えるテニスンの初期詩三篇の類似性と連続性を指摘した点がこの議論の最大の成果である。次いで、テニスンの抒情性について明確に把握するために、ホイットマンとの比較研究を行った。ホイットマンによるテニスン論を参照しつつ、テニスンの抒情性には空疎さが見られる点を明らかにした。空疎さとはこの場合、ある感情を詩の中で指し示す場合に、その感情の理由や根拠を不明瞭にしていることを指す。テニスンの物語詩的抒情詩において描かれている感情は、詩人本人のものなのかそれとも語り手のものなのか不分明であることが多いが、そのような境界の曖昧さを支えるものとして空疎さが見られるのだと考えられる。そしてその上で物語詩的抒情詩の系譜を再確認し、テニスンが持っていた問題意識の萌芽はキーツのLamiaにおいて見られる点を指摘した。
著者
二階堂 太郎
出版者
九州大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

骨伝導性と骨置換性を併せ持つ β 型リン酸三カルシウム (βTCP) 人工骨置換材の骨置換速度の飛躍的増進を目的として、完全連通構造を有する海綿骨形態の βTCP フォームを創製した。本研究では、β相を安定化させる酸化マグネシウム (MgO) による 1500°C での焼結、及び、βTCP フォームの α-β 相転移温度以下での熱処理による α→β 相転移、によって βTCP フォーム骨補填材を創製した。得られたそれぞれの βTCP フォームを家兎大腿骨欠損部に埋入したところ、骨伝導性と骨置換性を示し、当該 βTCP フォームは新生骨に置換される骨置換材として有望であると示唆された。
著者
熊谷 圭知 石塚 道子 大城 直樹 福田 珠己 森本 泉 森 正人 寄藤 晶子 倉光 ミナ子 関村 オリエ
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、欧米中心に展開してきたジェンダー地理学を再構築し、日本からの発信とグローバルなネットワーク構築をめざした。具体的には、1)2013年8月の京都国際地理学会において、「ジェンダーと地理学」研究委員会と共同し、プレ会議(奈良)を開催。2)海外の主導的なフェミニスト地理学者(2012年年1月にDivya Tolia-Kelly氏、2013年3月にDoreen Massey氏)を招聘。学会での議論の場を創出した。研究成果は、2014年,英文報告書(Building Global Networks through Local Sensitivities )に刊行し、内外に発信した。
著者
橋本 久美子 佐藤 道信 大角 欣矢 古田 亮 吉田 千鶴子 大西 純子
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

東京音楽学校と東京美術学校が明治から昭和戦後まで文部省、皇室、陸海軍、企業、財閥、学校、市町村からの依嘱により行った受託作には、全国各地の校歌・各種団体歌、皇居前の楠木正成銅像や上野公園の西郷隆盛銅像等がある。音楽と美術双方で学内文書調査、現地調査、現物撮影、現状調査、原資料のデータ化等を行った結果、両校の受託作は近代的共同体のイメージを感覚面から共有させ、近代国家形成の一翼を担った点では共通するが、受託の方法、規模、意義、受託作が社会に及ぼす影響や浸透の仕方は相異なることが明らかとなった。
著者
小坂 美保
出版者
兵庫教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、高校野球の聖地が甲子園とい われるようにスポーツ「」存在していることに注目し、なぜのよう聖地が存在すかを明ら試みた。あわせてスポーツ拠点づくり推進事業によっ「つられた(い)聖地 」が果しせて聖地となりえるのかについても甲子園をめぐ聖地性手が考察した。
著者
石森 洋行
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

廃棄物や循環資材埋立地盤からの化学物質溶出量を正確に評価することを目的として、化学物質の長期溶出特性に及ぼす溶出試験条件(流速、試料粒度、バッチ法とカラム法の違い)を調べるとともに、埋立地盤内に発生する水みちを有効間隙率の点から定量的に評価する手法を開発することで溶出量に及ぼす水みちの影響を調べた。