著者
前田 寿美子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

肺癌組織におけるCD44 standard form (CD44std)、CD44 variant 6 (CD44v6)、およびgalectin-9の発現と、組織型、分化度、病期、予後について検討を行った。組織型別には扁平上皮癌でCD44std、CD44v6の陽性率が高く、腺癌でgalectin-9の陽性率が高かった。分化度別には、腺癌において低分化になるほどCD44v6の陽性率が低下する傾向があり、扁平上皮癌において低分化になるほどgalectin-9の陽性率が低下する傾向が認められた。以上の結果は腺癌と扁平上皮癌でヒアルロン酸を中心とする細胞外マトリックスに対する生物学的態度が異なっている可能性とともに、肺癌組織においてgalectin-9の発現によりCD44の機能に何らかの調節がなされている可能性が示唆された。
著者
八木田 浩史
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

可処分時間を考慮した産業の生産性および環境効率の改善を評価した。各種製造業の生産性を整理し、一人当たりの生産性が高い技術集約型の産業と、一人当たりの生産性は必ずしも高くないが産業規模が拡大している労働集約型の産業に分けられることを確認した。タブレットPCの導入による産業の効率改善に着目して、メール処理および出張報告書の作成などをシナリオ分析し、ICTが可処分時間の拡大に寄与することを確認した。現代の時間の価値を論ずる際には、単に時間の量に基づく議論だけではなく、人的側面では可処分時間の内容、産業側面では製品の開発・普及速度などの質的な側面も考慮した検討が必要であることを確認した。
著者
野沢 庸則 R.E.BLANKENS ブランケンシップ D. Oesterhel OESTERHELT D. BLANKENSHIP R.E.
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

本共同研究の目的は光合成細菌の耐熱化の機構の解明とこの知見を利用した新しい耐熱化光合成細菌の作製であった。本共同研究の前半の目的である光合成細菌の耐熱化の機構の解明においては今回は特に光合成の初期過程の耐熱化の機構の解明に焦点を絞った。本研究の後半の目的は解明された耐熱化の機構にもとずいて遺伝子工学的に新しい耐熱性光合成細菌を作製することにあった。このために反応中心のタンパク質及び色素構造を明らかにするとともにその遺伝子の構造を明らかにし、点変異を行なうべき場所および種類を明らかにすることを目的にした。光合成細菌の耐熱化の機構の解明において特に光合成の初期過程に焦点を絞った。その耐熱化の要因の解明には一昨昨年と一昨年に亘るアリゾナ州立大学のBlankenship教授と続けている耐熱性光合成細菌Chloroflexus aurantiacus,Chromatium tepidumの反応中心タンパク質の単離(研究発表論文参照)とその耐熱性の検討からほぼその主原因の特定ができた。すなわち、現在知られている菌体で最高の耐熱温度を示すChloroflexus aurantiacus,Chromatium tepidumの反応中心タンパク質の単離とその耐熱性の検討から反応中心の耐熱化機構の主原因が膜内ヘリックスを結び付けているタンパク質部分にあることが特定ができた。このため遺伝子操作による耐熱能の向上をはかるためにChromatium tepidumの反応中心の遺伝子のつり上げとその塩基配列の決定のための実験に着手した。全染色体遺伝子の単離と精製には昨年度前半のミュンヘンのOesterhelt教授のところでの実験により成功した。昨年度後半のミュンヘンのOesterhelt教授のところでの実験ではこれを制限酵素で切断し、この中から常温光合成細菌であるRhodobacter sphaeroidesの反応中心からのランダムブライミング法により合成したプロ-ブとの混成からChromatium tepidumの反応中心の遺伝子が含まれていると思われる約6Kベ-スの断片についてブラスミドに挿入してクロ-ニングしたが、期待されたクロ-ンの予備的な塩基配列の検討から反応中心のものとは考えられなかった。そこで今年度は全染色体遺伝子を制限酵素により部分分解し、これをin vitroパッケ-ジ反応を利用してコスミドにクロ-ニングし、このラムダハァ-ジを、大腸菌にトランスフェクションして、これからやく800個の遺伝子断片をもつコロニ-(いわゆるジ-ンバンク)を得た。このコロニ-の中から常温光合成細菌であるRhodobacter sphaeroidesの反応中心からのランダムブライミング法により合成したプロ-ブとの混成実験からChromatium tepidumの反応中心の遺伝子が含まれていると思われるコロニ-を10個ほど選びだし、このDNAを精製しSouthern BlotからChromatium tepidumの反応中心の遺伝子を含むと思われるコロニ-の特定をおこなった。これと並行してChrotatium tepidum反応中心の精製と結晶化を行なった。これはそのX線構造解析による3次元立体構造と、遺伝子からの全アミノ酸配列の知見を元に耐熱化能の向上のために遺伝子に修飾を与える場所を決定する際大変参考になると予想されるからである。現在までに高度に精製した反応中心からタンパク質的にそのアミノ酸末端の配列の決定に成功しこれをもとにした反応中心選別のためのプロ-ブの作製ができた。タンパク質の結晶化については現在かなり条件の絞り込みができたところである。現在、反応中心遺伝子の塩基配列の決定のための実験とともに結晶化の実験を継続中である。最終目的である光合成細菌の耐熱化を行なうためには遺伝子の修飾とこれを組み込んだ常温光合成細菌の耐熱化を検討する必要が有る。上述のように遺伝子は単離され、まもなく塩基配列が決定されるので、修飾すべき場所を構造化学的知見(結晶化と、そのX線構造解析による3次元立体構造)から求め、これをもとに遺伝子の修飾、発現、培養を行なうことが残された課題である。これらの課題に対して現在Oesterhelt教授のグル-プと共同研究を続行している。
著者
山本 真鳥 棚橋 訓 豊田 由貴夫 船曳 健夫 安井 眞奈美 橋本 裕之
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

・研究実施計画は、平成11年度については、若干の変更の後に、ほぼ予定通りに遂行された。平成12年度は、日程調整を行い、調査の足りない部分を補いながら全体の計画が遂行された。・芸術祭の事前に各国を訪れることによって、準備状況を観察し、また異なるジャンルの芸術の全体的な存在様式を観察することができた。・ポリネシアでは、「伝統」芸術の様態が観光と深く関わる部分がある一方、人々にとってそれらはアイデンティティに関わるものとして、社会生活のなかでも大きな意味をもつ。しかし、それぞれの社会で細部の事情は異なる。・パプアニューギニアでは、もともときわめて多様なエスニック文化が存在するなかで、それら伝統文化を織り交ぜながら、新しいアイデンティティのよりどころとなる「伝統の創造」が生じている。ダンスのみならず、多様な芸術の分野でも、ニューギニアらしさを出しながら、しかも特定の部族に直結しない芸術の創造が好まれる。・ミクロネシアは、芸術祭では後発のパフォーマーであり、ダンスの演技が観光と必ずしも結びついていない。その意味で、伝統的なダンスとは何か、伝統的な芸術とは何か、それらを芸術祭でいかに見せるかを、現在追究している段階である。・各国の芸術祭のリプリゼンテーション、つまり送り込む代表団をどのように選定するか、それら代表団がいかなる演技を見せるか、ということは、それぞれの国の国内事情や文化状況、国家としての様態などとさまざまな絡まり方をしていることが解釈できる。それらを明らかにするのは、個別社会の事情に通じた研究である。既に明らかになったことは、研究成果報告書のなかで論じている。・さらに芸術祭を主催すること自体が、それぞれの国の国内事情や文化状況と深く関わっている。それらが、個々の芸術祭のあり方を規定する大きな要因である。ニューカレドニアの第8回芸術祭に関していえば、フランスからの独立の可能性の生じてきている今、カナク文化をニューカレドニアのアイデンティティの正面に据えることは、先住民であるカナクにとって大きな意味を持っていた。
著者
百田 義治 伊藤 健市 岩波 文孝 内田 一秀 佐藤 健司 関口 定一 中川 誠士 橋場 俊展 堀 龍二 宮崎 信二 森川 章
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

わが国においても人事・労務管理の成果主義的な再編が顕著である。この変化は1980年以降アメリカにおける人事制度変革(人的資源管理への転換)の影響を受けたものである。本研究は現代アメリカの人事制度改革の意義を歴史的・実証的に検証している。すなわち、80年代以前のアメリカ大企業の人事制度と労使関係システムが人的資源管理に与えた影響を、20年代ウェルフェア・キャピタリズム(非組合型労使関係)、ニューディール期におけるその変容、それに制約された第2次大戦後の労使関係下の人事制度の課題を実証的に検証したものである。
著者
大西 武雄
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

p53 の機能を失ったがん細胞は、低線エネルギー付与(LET)放射線(X 線)によって誘発されるアポトーシス出現頻度が低く、放射線抵抗性を示すことを報告してきた。 今回、重粒子(高 LET)放射線は細胞死シグナルが誘導されやすいのは、生のシグナル系に関連する Akt-mTOR Akt、リン酸化 Akt、mTOR、リン酸化 mTOR, rpS6、リン酸化 rpS6、Survivin いずれのタンパク質量およびそれらの活性が効率的に抑制されることによることが明らかとなった。
著者
筑井 麻紀子
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、日本と中国が経済面及び環境面において相互に与える影響について特に廃棄物の排出に注目し、2007年版の日中地域間廃棄物産業連関表を推計した。日本が中国から購入する最終需要目的の財・サービスが中国に与える影響は、中国が日本に与える影響に比べ、生産額における波及効果はほぼ同額であるが、産業部門における廃棄物排出量は約5倍、温暖化ガス排出量は約4倍にも上り、日本の最終需要の中でも、民間消費支出と固定資本形成が中国に与える影響が大きい。本研究の結果より定量的に明らかになった日本の消費者責任を鑑みれば、日中が政策的に環境負荷の軽減の取り組みを協力して行う必要がある。
著者
金子 善博
出版者
秋田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

日本の自殺高率地域において、自殺の社会的影響の拡がりの評価可能性を検討するために、地域の保健福祉関係者に対する質問紙調査を行った。回答者の自殺予防への関心は低くなかったが、近隣の自殺者の存在は対策の費用と関連しなかった。社会コストに関する要因は明確ではなかった。自殺の心理社会学的な外部不経済の評価は明確にならなかった。自殺予防の促進に際して地域住民に参画を求めるためには、自殺にフォーカスする対策だけでなくより幅広い学際的な戦略を検討する必要があるだろう。
著者
清水 康敬 前迫 孝憲 坂本 昂 高野 綏 森 政弘
出版者
東京工業大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1985

9.研究成果の概要(最終まとめ) 本研究は, 留学生が日本語を習得するためのCAIシステムの構築を目的としている. すなわち光ビデオディスクに書き込んだ画像を動画教材とし, パーソナルコンピュータによる提示画像とのスーパーインポーズの制御を行っているが, 機器類の操作を学習者が自らの意思でインタラクティブに行うことができるよう構成したことに特徴がある. 本システムにより, 学習者は主体的に学習に取り組むことが可能となった. 本研究により, 書き込み可能な光ディスクをパーソナルコンピュータで制御するためのソフトウェアシステムの構築と改善を行った. また, 世界有数のCAIオーサリングシステムであるPLATOシステムに, 本研究で実現したインタラクティブ制御機能を組み込む実験を行った. そして, これらのCAIシステムの学習コースを作成し, ビデオディスクに付加したインタラクティブな制御機能が, 学習成績と深い相関を持ってょいることを実証するなど, インタラクティブなCAI環境でビデオディスクを利用する際の基本的な要件を明らかにした. また遠隔教育における通信量の適正化を図るため, ビデオテックス・NAPLPSを利用するCAIシステムの可能性を調査し, 色再現性の支持等適切な制御を行うことで高い効果の得られることを確認した. そして入力インタフェースとしての手書き漢字入力装置の可能性について調査研究を行った. 今後は, 本研究の成果に基づき, 学習コースの開発と利用を進めていく予定である.
著者
藤井 範久
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,投動作における運動連鎖が発生する要因を明らかにすることを目的とした.投動作のコンピュータシミュレーションを用いて,様々な条件での最適投動作を推定し,運動連鎖の現象がみられるのかを検討した.さらにシミュレーション条件に類似した投動作を実験的に分析し,シミュレーション結果の妥当性を検証した.その結果,投動作における運動連鎖を決定する要因は,ボールや上肢の慣性の分布よりも,上肢関節の自由度である可能性が高いと考えられた.たとえば肘関節は内外反軸が拘束されているため,受動トルクを有効利用するように肩関節水平内転は肩関節内旋よりも早いタイミングで生じ,運動連鎖が存在すると考えられる.
著者
鈴森 康一 脇元 修一 安積 欣志
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

現在の人型ロボットと実際の人の身体の駆動機構は大きく異なっており,これが両者の運動特性に様々な違いを生んでいる.しなやかで「生き物らしい」運動特性を持ったロボットを実現するには,十分な収縮能力を持ち,集積して超多自由度機構を駆動できる「人工筋肉」の実現が鍵になる.本研究では,①「電気駆動」と「多繊維構造」を特徴とする「次世代マッキベン人工筋肉」を実現し,②「筋骨格ロボット機構」に適用してその可能性を実証することを目的としている.①マッキベン人工筋肉の電動化に関しては,本年度は,プロトン交換膜表面の電極形成の工夫により,1~2秒程度の速さで動作する「電動細径マッキベン筋肉」の動作に成功した.電気駆動に関しては,安定した製造方法と反応速度の向上については今後検討する必要があるものの,ほぼ当初の目的であった動作性能を実現することができた.多繊維化に関しては,紡錘状筋肉を対象に多繊維化に伴う筋肉間の干渉をモデル化し,細径人工筋肉単体の特性と多繊維化した場合の特性を理論と実験から検討し,多繊維化により収縮率が10%程度上昇することを示した.②筋骨格ロボット機構に関しては,一昨年度の脚,腕,昨年度の顎の動作実現に加え,首および脛骨へ適用,動作に成功し,超冗長駆動システムの駆動が本多繊維人工筋で行えることを実証した.以上のように,②については,研究が当初計画より約1年前倒しに当初目標を達成し,①の電動化については安定した製造方法と反応速度の向上については今後検討する必要があるものの,4年間でほぼ当初の目的を達することができた.今後はさらに高性能化を目指して油圧駆動に取り組みたい.
著者
渡邊 亜美
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では当研究室で樹立したヒトiPS細胞からの膵島形成培養系をベースとし、ヒト膵島前駆細胞から膵島様構造物形成に至るまでのメカニズムを解析すること、および得られた知見を応用して生体外で大量に膵島を作製する系を確立することを目的に研究を行なった。その結果、分化誘導系において内分泌前駆細胞は, 自己凝集することで膵島様構造を形成することを見出した。この結果をもとに膵島形成培養系を改良したところ, 膵島形成効率を向上させることに成功した
著者
伊藤 博明 田中 純 加藤 哲弘 木村 三郎 上村 清雄 足達 薫
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ヴァールブルクが晩年に取り組んだ、未完の学問的プロジェクトである『ムネモシュネ・アトラス』に所蔵された全パネルについて共同して詳しく読み解き、その成果は図書として刊行するとともに、2回のシンポジウム「アビ・ヴァールブルクの宇宙」と「ムネモシュネ・アトラス展」において公表した。ヴァールブルクの研究を批判的に受け継ぎ、文化系統学、イメージ人類学、神話の構造分析、世俗世界のイコノロジーなどについて方法論的考察を深め、その成果は7名の外国人研究者を含んだ国際シンポジウム「思考手段と文化形象としてのイメージ――アビ・ヴァールブルクから技術的イメージ・図像行為まで――」において発表した。
著者
作山 佳奈子
出版者
信州大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究目的本研究では、腎癌分子標的薬服用患者を対象に、血中濃度及び遺伝子多型が薬効・副作用発現に与える影響を評価することを目的とした。まずSunitinib服用患者の血中濃度測定から研究を開始した。研究方法Sunitinib血中濃度測定血清中のSunitinibおよびN-desethylsunitinibはアルカリ条件下、t-butylmethyl etherで抽出し、減圧乾固後、移動相に溶解し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分離定量した。HPLCの分析はODSカラムを用い移動相として0.05Mリン酸緩衝液(pH 3.0) : アセトニトリル : PIC試薬B7 (Waters)=695:300:5の混合液を使用した。UV-VIS検出器の検出波長は0~12minが431nm、12~20minが250nmに設定した。研究成果Sunitinib服用患者1名(50mg/日内服)のSunitinib及び活性代謝物であるN-desethylsunitinibの測定を行った。その結果、内服8日目のSunitinib、N-desethylsunitinibのトラフ値はそれぞれ84.2ng/mL、20.1ng/mL、その後11日目まで内服継続されたが発熱が認められ中止、内服中止後1日目では41.4ng/mL、21.7ng/mL、中止後8日後では4.8ng/mL、5.4ng/mLであった。今後はSunitinib服用患者の血液を収集し、血中濃度及び患者の遺伝子多型が薬効・副作用発現に及ぼす影響を評価する予定である。
著者
伊藤 清美 工藤 敏之
出版者
武蔵野大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

複数の酵素で代謝される薬物では、併用薬による酵素阻害の影響を定量的に評価するために、代謝における各酵素の寄与率を正確に見積もることが重要である。レパグリニドの代謝におけるCYP2C8およびCYP3A4の寄与率について推定した結果から、in vitro代謝試験において緩衝液条件に留意することの重要性が確認された。また、クラリスロマイシンとグリベンクラミドの相互作用について生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析を実施し、肝取り込み阻害と肝代謝阻害の両者の関与を明らかにした。本研究と同様なPBPK解析の実施により、効率的な医薬品開発および複数薬物の併用による安全な薬物治療に資することが期待される。
著者
刈屋 武昭 佃 良彦 前川 功一 山村 能郎 乾 孝治 田野倉 葉子 神薗 健次
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

第1に、金利、国債価格、社債価格、信用リスクの変動にかかわるクロスセクション分析モデルを展開し、金融危機を含む期間に対して、多様な分析を行った。中でも、日本、米国、欧州5か国の国債分析、日本社債を中心とした社債別の信用リスク指標と市場格付け法を開発し、それに基づく企業別、業種別の倒産確率の期間構造を導出した。第2に、さらに時系列分析として、国債価格予測モデルの定式化と予測とその日本国債価格への応用、動学的変動相関モデルによる東南アジア諸国の債券利回りの世界債券市場の中での共和分性の検証、また為替レート変動分析に関して分散変動回帰モデルにおいて構造変化点の推定法などの研究を行った。
著者
林 正彦 百瀬 宗武 倉本 圭 井田 茂 左近 樹
出版者
国立天文台
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

総括班は4件の計画研究を有機的な連携のもとに推進する事を主な目的としている。領域全体の情報交換を促進する為、国際研究集会を9回開催し、その参加者は国内外合わせて800名を数えた。同じく研究で得られた成果を広く国内外に発信し、若手育成の為に措置を講じ、領域ホームページを作成し情報発信をした。公募研究では2度の募集を行い全14件を採択。参加者は全国の大学・研究機関に分布している。
著者
松田 ひとみ 奥野 純子 柳 久子
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

特定高齢者に対して昼間の活動性の向上と夜間の睡眠効率を高くするために、計画的な昼寝の導入による効果を明らかにすることを目的とした。ピッツバーグの睡眠質問票、GDS15とSF8の質問紙および活動量計と連続血圧計により日内変動に関する測定を行った。その結果、75歳以上の高齢者は夜間の睡眠の質が低く、翌日の昼寝を40分以上とることによって補完していること。また昼間の睡眠は午後5時前に行うことにより、夜間の睡眠の質を低下させることなく、昼間の活動を促進させ疲労を回復させていると考えられた。さらに高血圧疾患のある高齢者は、夜間の睡眠の質が低下し、昼寝による効果が得られていない可能性が見いだされた。
著者
松浦 さと子 石川 旺 川上 隆史 川島 隆 林 怡蓉 牧田 幸文 松浦 哲郎 小川 明子 櫻田 和也 津田 正夫 魚住 真司 山口 洋典 日比野 純一 小山 帥人 平塚 千尋 金 京煥 小山 善彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

非営利民間放送は現在、コミュニティにおけるコミュニケーションを活性化し、社会的排除の削減に取り組む独立したセクターとして国際的に認知されつつある。しかしながら、このセクターの持続的発展のための法的・財政的・人的な前提条件は、日本においていまだ存在しない。ゆえに我々は、非営利放送局を支えるための体制の可能なモデルを、さまざまな国と地域における成功事例を比較参照することによって明らかにするよう努めた。
著者
中村 維男 杉本 理 小林 広明 萩原 将文 後藤 英介 深瀬 政秋 長谷川 勝夫 FLYNN Michae MICHAEL Flyn
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、脳構造化スーパーコンピュータの解析と統合およびその性能評価を目的として、スタンフォード大学と東北大学が共同研究を行うことを計画した。このために、研究代表者と研究分担者は合計10回の研究連絡会議を開いた。その内訳はスタンフォード大学で8回、東北大学で2回である。これらの会議では、日米の研究協力者も適宜討論に参加した。その他、計算機アーキテクチャの分野で指導的立場にある研究者を招いての会議も開催した。さらに、日常的には電子メールによる研究連絡を頻繁に行った。その結果、研究計画の項目毎に以下に示す実績を得ることができた。本年度はこの他にも、機械設計支援システム、並列アルゴリズム、マルチメディアに関する論文、計算機アーキテクチャを指向した計算機ハードウェアに関する著書1冊の実績を得ている。1.脳構造化スーパーコンピュータの統合:研究計画の全項目を脳構造化スーパーコンピュータとして統合した。マインドコンピュータ、表現認識連想記憶メモリ、脳波学、人口蝸牛殻、過疎分散メモリ、波状パイプライン、ジェットパイプライン、論理型アーキテクチャ、記号処理アーキテクチャ、機能型アーキテクチャ、コンピュータグラフィックスの役割を考慮に入れ、脳構造化スーパーコンピュータにおける位置付けを明確に図示した。2.過疎分散方式メモリの構築:脳構造化スーパーコンピュータにおいて過疎分散方式メモリと対をなす波状パイプラインシステムに関して、CMOS VLSIベクトルユニットによる実装設計を行った。さらに、脳構造化スーパーコンピュータにおける処理とデータ伝送に不可欠のベクトルマシン、スーパースカラプロセッサ、マルチプロセッサなどの超高速プロセッサとコンピュータネットワークについての問題点と指針を明らかにした。3.RIGHTコンピュータの解析:スーパーコンピュータで脳機能を実現するための方法論に関するこれまでの研究をさらに発展させ、階層構造を有する分散型連想記憶メモリシステムを用いた脳構造化スーパーコンピュータの概念的モデルを明確にした。特に、このモデルに関してのRIGHTコンピュータの解析を行った。さらに、概念的モデルと具体的モデルの融合を試みた。これらの研究成果は近く公表の予定である。4.超並列記号処理システムの構築:超並列記号処理システムをVLSIで構築することを目的として、この研究の基礎となる学問の体系化を行い、1冊の図書にもとめた。さらに、VLSIの設計に関する独自の方法について研究を行った。得られた成果をもとに現在論文を作成中である。5.脳の処理モデルの研究:医学的な見地から遺伝子と脳の相互作用を検討し、脳の処理モデルの独創的な研究を展開している。これらの研究成果は近い将来公表の予定である。6.RIGHTコンピュータの性能評価:RIGHTコンピュータの構成要素であるニューラルネットワークとファジィ推論システムの融合、分散表現を用いた知的情報処理、および連想記憶メモリの性能評価に関して4編の論文を公表した。7.LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータの性能評価:LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータは、脳構造化スーパーコンピュータの処理部と入出力部に対応する。本研究計画項目では、特にデータ処理と出力を担当するコンピュータグラフィックスシステムの光線追跡法と多重路表現法について、詳細な性能評価を行った。8.RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークの研究:RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークに最近話題のウェーブレット変換を導入し、音声データ処理についての研究を展開した。