著者
根本 敬 宣 元錫 梶村 美紀
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本を中心に韓国、タイ、オーストラリアに住むビルマ人コミュニティに焦点を合わせ、移住するに至った歴史的背景と、直面してきた課題について調査し、相互比較することを目的とした研究である。移民・難民を排出したビルマ本国の状況についても調査し、英領期から独立期に転換する時期の海外移住者(特に英系ビルマ人)についても調べた。その結果、移住先4か国それぞれの移民・難民受け入れ政策の違いが、各ビルマ人コミュニティが抱える課題と深く関わっている点が明確となり、また日本では多数派のバマー(ビルマ)民族と少数民族諸コミュニティ間の連帯が2000年代後半に深まり、「在日ビルマ人」意識の自覚が見られることが判明した。
著者
原田 純孝
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

2009年の農地制度改正は、戦後の農地制度に大きな歴史的転換を画したが、同時に、その効果や影響が未知数の諸要素を有していた。本研究は、地域農業の現場での新制度の運用状況を調査しつつ、それらの諸要素がどうなるかを追求した。しかし、その行方はなお定かでない。例えば、2014年に新たに創設された農地中間管理機構は、管理機構を介する転貸借での企業参入の促進や規模拡大などを指向しているが、他方で、参入企業等による農地所有権取得の自由化への指向も、捨てられてはいない。地域資源たる農地の管理システムはいかにあるべきかという問題は、引き続き、喫緊の検討課題であり続ける。
著者
服鳥 景子
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

研究対象者である高齢者とその家族のほとんどは、事前指定書の考え方に賛同し、書面化に対し肯定的であった。家族機能が良好な場合は高齢者と家族の終末期医療の希望は一致する傾向にあった。しかし、機能不全の家族は一致しない傾向にあった。特に、高齢者とその家族の家族機能に対する認識が相違する場合は、終末期の希望に対するズレが顕著となった。事前指定書書面化への啓発活動モデルの主軸は、対象の年齢・家族背景(信頼する家族)・家族機能・事前指定書に対する認識・終末期医療に対する希望の5項目といえる。今後の課題は、啓発活動モデルの活用とともに、高齢者の終末期医療における意思決定に特化した家族機能アセスメント指標の確立である。
著者
本田 貴久
出版者
中央大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ジャン・ポーランやミシェル・レリスといった両大戦間期フランスの文学者の言語観が研究対象である。まずポーランという人物について、彼の故郷ニームについて『フランス文化事典』にコラムを執筆した。また『新フランス評論』の計量的分析を行った。さらにレリスの詩作品と言語観に触れた発表をボルドー大学で開催された国際シンポジウムで行った。また、ウィリアム・マルクス氏と知己を得、彼の著作『文人伝』の翻訳を始めた。
著者
御子柴 克彦
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2013-05-31

IP3受容体(IP3R)による小胞体内腔からのCa2+放出がシナプス可塑性に関わるか大きな論争があった。プルキンエ神経特異的欠損マウスを作製しIP3R1が神経細胞のCaMKII/アクチン骨格/スパイン形成を制御することを初めて解明した(PNAS)。IP3R1の伝令RNA輸送が長期増強を制御し(Nature Neurosci),グリアのIP3R2が神経機能を調節すること(Nature Commun), IP3Rを制御するERp44が蛋白質品質管理を担うこと(Mol Cell)も発見した。IP3RによるGABA受容体制御など本研究期間内にIP3Rがシナプス可塑性を制御する多数の決定的証拠を得た。
著者
荒殿 誠 瀧上 隆智 松原 弘樹
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

1.全反射XAFS法による1-decyl-3-methylimidazolium bromide(DeMIMB)の表面吸着膜とミセル表面における対イオンの溶媒和構造単量体領域から臨界ミセル濃度以上の領域までの種々の濃度におけるスペクトルは等吸収点をもち、DeMIMカチオンとは相関のないfreeな状態と相関のあるboundである状態を表すスペクトルの和として表すことができることが示された。詳細な解析により、freeは6水和状態にあり、boundは4水和に水和数が減少し、第2配位圏でDeMIMカチオンの炭素あるいは窒素に配位した状態であることが示された。このことから臭化物イオンは、通常のカチオン界面活性剤系のように、イミダゾリウムカチオンから水溶液内部へ向かう電気2重層に分布していることが明らかとなった。BF4イオンの場合にはDeMIMカチオンとは同じ平面状にあると示唆されていることから、表面でのアニオンの位置したがって表面構造は、アニオンにより大きく異なることが示された。2.HMIMBF4と1-ブタノール混合系の水溶液表面吸着のシナジズム吸着の相図と吸着の剰余ギブズエネルギーから、HMIMBF4と1-ブタノールの分子間には有効なイオンー双極子相互作用が働かないことが明らかになった。この結果は次の対イオンの配置を支持している:イミダゾリウム陽イオンは対アニオンとほぼ同一平面上にあってイオンペアーを形成し、ブタノールヒドロキシル基の双極子との相互作用が有効に働かない。またの値は表面張力の低下に伴い正からゼロに近づくことから、吸着量が増加するとブタノールとイミダゾリウム陽イオンが有効になってくる。すなわちイミダゾリウム陽イオンは対アニオンとほぼ同一平面上にあってイオンペアーを形成し、通常のイオン性界面活性剤の電気2重層と異なる構造をもつという描像を支持している。
著者
橋爪 大三郎
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は本居宣長の業績が日本プレ近代思想において占める位置と、明治日本のネイションの形成に果たした役割を知識社会学的に明らかにすることを目的とした。平成23年度~平成24年度にわたる研究の結果、以下のことが明らかになった。第一に、本居宣長の古事記研究のモチーフは、日本朱子学、古義学、古文辞学、蘭学、神道学、国学の複合のうえに構想されていること。この事実は、ハーバード大学燕京図書館で朱子学大系/水戸学全集/荻生徂徠全集/賀茂真淵全集/契沖全集/続神道大系などの該当個所を相互参照することで確証された。また、プロテスタント神学者ネイピアの『ヨハネ黙示録注釈』を比較参照することで、本居宣長の古事記読解の同時代的価値を検証することができた。第二に、本居宣長の古事記研究の方法が、ヴィトゲンシュタインの言語ゲームと通底する方法にもとづくことを、『直毘霊』の読解を通じて明らかにした。すなわち、テキストに対応する直観的読解(あはれ)を同時連立的に解析することで、漢意を排除した純正言語共同体としての「やまと」を再現できるというロジックである。第三に、以上の考察は、従来の先行業績(村井典嗣『本居宣長』、小林秀雄『本居宣長』)の宣長理解を更新するものであり、宣長の古事記読解が開く意味空間は言語ゲームのアプローチによってはじめて明らかになること、言語共同体としてのネイションの形成にいたる道筋が再構成できるを結論的に明らかにした。本研究の成果は、なお数年の彫琢をへて、単行書として出版される予定である。
著者
政田 元太 古澤 明
出版者
玉川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

スクイーズド光を使った量子テレポーテーションの演算回路の光集積化を実現するための要素技術を研究した。光集積化のためには導波路素子を使いこなす技術の開発が重要である。本研究では導波路型のスクイーザーを用いることにより、連続波スクイーズド光の生成に成功した。また導波路型のビームスプリッターをいた手法によりEPRビームを生成し、量子エンタングルメントの検証を行った。
著者
浦山 益郎
出版者
三重大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

本研究は、都市近郊に存在する農業用ため池を居住環境資源として位置づけ、その整備・保全・管理の方向性を探るために、ため池の公園的整備が進められている愛知県東海市と農業用ため池として半自然的環境を形成している三重県津市を対象地域として、ため池が持つ居住環境資源としての可能性、住民の利用実態と評価を通してため池の利用効果・存在効果およびため池整備に対するニーズを調査分析したものである。東海市に55箇所、津市に81箇所のため池がある。市街化区域にはそれぞれ18箇所、10箇所であるが、都市公園のスキマに位置しており、都市空間における公園機能を補完する地理的条件を有している。また、市街化調整区域のため池は、周辺の農地や林地と共に都市空間を取り巻く半自然的環境を構成する要素となっている。ため池の整備形態の違いによる効果と問題点を明らかにするために、公園的整備の有無と周辺100mの範囲の土地利用構成からため池の類型化を行い、典型的なため池を10箇所選定し、周辺居住者にアンケート調査を行った。結果を要約すると、公園的整備されたため池は多くの住民に利用されているが、農地や林地に囲まれた未整備状態のため池はほとんど利用されない。周辺に宅地が多くなるほど利用するものが増える。利用されない第一の理由は利用できるように整備されていないことであるが、危険・汚い・アクセスしにくいことも周辺住民の足を遠ざける要因となっている。しかし、ため池の存在自体が否定されているのではなく、むしろため池を積極的に評価している住民が多い。それはため池が利用効果だけでなく、開放性・日照などのオープンスペース機能、生態系保全機能などを持っているためである。その場合、利用効果と同時に存在効果を高めるような整備のニーズが認められる。
著者
田久保 海誉
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

患者データベースの解析から、母親から胆道閉鎖症の女児、男児への移植は拒絶反応の低いことがわかった。また、レシピエント年齢が低いことが、免疫抑制剤からの離脱に有利であることが示唆された。年齢の高いドナーからの移植では、レシピエントの肝細胞のテロメアの短縮が高度であることがわった(Q-FISH法による測定)。移植片のテロメアは免疫学的によくコントロールされている症例では、延長する症例がみられた。母親からの男児への移植片中には多数のY染色体陽性細胞(主に血管内皮細胞)が観察された。しかし、ケラチン陽性細胞ではきわめて少数であった。
著者
高嶋 克義 平野 光俊 南 知恵子 西村 順二 近藤 公彦 松尾 睦 金 雲鎬 猪口 純路
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本の小売企業を対象とする質問票調査のデータに基づいて、小売企業の仕入革新・マーチャンダイジング革新に関する実証分析を進める一方で、アパレル小売企業やドラッグストア・チェーンの仕入革新についての事例研究を行い、その研究成果を論文で公表した。また、これらの研究を通じて、企業間関係、部門間連携、継続的な改善の3つの条件の相互作用を捉え、小売企業の仕入活動革新における企業間関係と部門間連携との関連性についての研究を展開した。
著者
中川 順子
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成16年度においても、帰化・居留権取得者に関する史料集(Letters of Denization and Acts of Naturalizaion…)の解読とそのデータベース化を前年度に引き続き実施した。また、データ処理と同時に、イギリス議会の議会史料(両院議事録や審議録)とその関連図書、一般帰化法制定に関する文献・史料、ユグノー、パラタイン、ユダヤ人移民関係の文献・史料、ナショナル・アイデンティティ関連の文献・史料の収集を行った。これまでの文献・史料に加えて、新たに収集した文献・史料の整理・精読を進めた。グローバルな視点から帰化法の問題を考察するべく、イングランド(本国)とアイルランドや北米植民地(いわゆる第一次帝国)における帰化法制定と規定内容の比較研究の準備も引き続き進めた。本年度も、帰化法制定や移民政策(とkuに移民支援政策)において、重要な対象となる18世紀初頭のパラティン移民に着目し、イギリス側の外国人支援のありかたについて重点的に研究を進めた。彼らの帝国内移動や彼らへの支援を、移民の国際移動の問題や対ユグノー支援と関連させつつ考察した。現在、パラティン移民に関する研究はまだ途上であるが、そめ成果の一部は2005年2月川北稔・藤川隆男編著『空間のイギリス史』の所収論文(「嫌われ、行き「場のない」可哀想な移民たち」)として刊行された。また、帰化法や国民意識の議論にかかわるパラタイン移民について、基礎的な史料分析を行い、移民集団としての彼らの特徴を明らかにした。その成果は雑誌論文(「『到着者リスト』にみるパラタイン移民」)として今春刊行される予定である。現在は、パラタイン移民とユグノーへの支援策を帰化法制定の議論とナショナル・アイデンティティ形成の問題に関連させつつ分析・考察を進めている。その成果の一部を今年度5月に熊本歴史科学研究会で報告したが、加えて、来年度早々にも論文として公表する予定である。
著者
三町 勝久 吉田 正章 黒川 信重 高田 敏恵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ガウスの_2E1,一般超幾何函数_{n+1}E_n, アッペルのE_1, E_2, E_3, ジョルダン・ポッホハンマー E_{JP}, そしてラウリッツェラのE_Dなる微分方程式(系)の解の基本系を積分表示で与え,それについての回路行列を明示的に求め,応用として,微分方程式の既約条件を決定した.また F_2, F_3, F_4の場合,隣接関係を調べることにより,対応する微分方程式の可約条件を与えた.E_1~E_4, F_A~F_D, _{n+1}E_nおよびゲルファントの点配置空間上の超幾何微分方程式系について,ある多価函数のサイクル上の積分が解を与えることを示した.
著者
西田 亮介
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、公職選挙法が改正され、インターネットを用いた選挙運動が解禁された2013年の公職選挙法改正以後の情報化が進む日本におけるソーシャルメディアを用いた国会議員の情報発信に関する研究である。2013年の参院選等を中心に国会議員の情報発信のパターンとケーススタディを実施した。さらに、政党の情報発信手法、戦略、ガバナンスに関する分析に着手し、同選挙などにおける自民党のそれらの実践、またその歴史的変遷などを明らかにした。
著者
岩田 和子
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

日本、北京、上海、湖南、広東、および台湾の図書館、研究機関に所蔵される湖南説唱本の各種版本を閲覧、収集した。各種伝承媒体を経て民間に広がる故事と湖南説唱本の関係、説唱文芸全体からみた湖南説唱本の位置を新たに把握することができた。日本、中国における学会発表、論文発表を通して研究成果を報告した。
著者
山口 輝臣
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

これまでに引き続いて関連史料・文献の収集につとめるとともに、主としてこれまでの成果のうち、昨年度の研究実績の概要の分類で言えば、「3)国籍法制の形成過程についての分析」について、個別研究を論文という形で文章化する作業を行った。その内容は概ね以下の通り。拙稿「国籍法以前-研究の整理による予備的考察」(浅野豊美・松田利彦編『植民地帝国日本の法的構造』信山社所収)で指摘したように、明治32年に国籍法が施行される以前から、条約改正との関係で、国籍法制の必要性は広く認識されており、そのために法制化の試みもたびたびなされていた。そのうち制定まであと少しというところで漕ぎ着けながら、条約改正の失敗とともに潰えさった明治22年の国籍法案について、すぐれた先行研究である小嶋和司による整理の誤りをただしつつ、あわせて国籍法制そのものの理解についても再考を求めた。結果として、歴史の研究において史料が増えるとはいかなることかについて、思索をめぐらす結果ともなった。この論文は2007年10月刊行予定の九州史学研究会編になる論文集『境界とアイデンティティ』(仮題・岩田書店)にて公開される。
著者
建林 正彦 村松 岐夫 森本 哲郎 品田 裕 網谷 龍介 曽我 謙悟 浅羽 祐樹 大西 裕 伊藤 武 西澤 由隆 野中 尚人 砂原 庸介 堤 英敬 森 道哉 藤村 直史 待鳥 聡史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、現代の民主主義における政党組織の共通性と各国固有の特徴とその規定要員を明らかにするために、日本の民主党、自由民主党の政党本部、各地の地方組織(都道府県連合会)に対する聞き取り調査と、都道府県議会議員に対するアンケート調査を行い、これらの情報・データをもとに国内比較、国際比較の観点を加えつつ、研究会を積み重ねながら様々な分析を行った。
著者
小林 典子
出版者
大谷女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

平成17,18,19年度と3ヵ年を通し、研究実施計画にもとづいて所定の調査研究を予定どおりとりおこない、また、研究業績をあげることができた。具体的には、(1)まず貴婦人の都の画家工房オリジナル作品のほぼすべての調査を完成することができた。その結果、当画家の最晩年1410-1415頃にかけて、一方でブシコーの画家、他方で作家クリスチーヌ・ド・ピザンとの密なる連携を想定させる新しい傾向-最新の彩色手法-が生じていることを確認することができた。さらにその成果を、最重要作品である大英図書館Harley4431写本のモノグラフ研究として諸論文に著し(とりわけ、フランスの学術雑誌Art et l'enluminure誌に発表)、学会発表することができた。(2)近年提起され、現在その解明がもっとも急がれるものとして浮上してきている課題(ブシコーの画家と貴婦人の都の画家がともに聖母戴冠の画家に端を発する系譜上にあるとする仮説)を精査するため、聖母戴冠の画家オリジナル作品の全調査にとりかかり、米国の2点をのぞき予定通りほぼ終えることができた。その結果、この時期彩色技法と顔料の抜本的改革が進行してきていることを確認し、その成果を論文に著した。(3)さらに、現在まで研究進捗がみられなかった同時期のパリ写本工房技法に関連する古文献(ジャン・ルベーグの絵画技法書)解明へと歩を進め、現時点までの知見を論文にまとめることができた。以上の(1)(2)(3)の成果をふまえ、今後は前エイク期におけるパリ写本彩飾挿絵の研究方向を聖母戴冠の画家系譜に関する研究、とりわけブシコーの画家工房をも含めた彩色法coloris解明に特化した研究へと進める足がかりを得ることができた。
著者
北添 紀子 寺田 信一 平野 晋吾 是永 かな子 上田 規人 玉里 恵美子
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)の疑われる大学生に対する就労支援のファーストステップとして、学内でのインターンシップ経験とそのフィードバックを行い、効果を検討した。本研究はASD特性のある学生に配慮して計画をしたが、参加者はASDのある学生には限定しなかった。参加者のうちASDが疑われた学生において、1)ほとんどの学生がインターンシップをポジティブに評価していた。2)就職に対する不安は、半数以上の学生で減少していた。3)ローゼンバーグ自尊感情尺度はインターンシップ後が有意に上昇していた。本研究により、学生は自信をつけ、職業に関連した自分の特性を理解するきっかけとなったと考えられた。
著者
小久保 康之
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、ヨーロッパの小国がEU統合に対してどのように向き合っているかと検証した。非EU加盟のノルウェー、アイスランドはEEA(欧州経済領域)の枠組みを通じて、スイスはEUとの分野別双務協定を通じて、EUとの密接な関係を維持することでEU統合と共存する道を探っていることを明らかにした。その中で、アイスランドはEU加盟も検討しているが、世論が2分している状況も精査した。また、ベルギーはEU統合を更に深化させることが同国の国益に繋がると考えており、マルタも忠実な加盟国としての姿勢を見せることで、EU統合の枠組みを活用しようとしている様を明らかにすることができた。