著者
関 貴子 (荒内 貴子)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

(1)意識調査の結果分析(株)日本リサーチが保有する社会調査パネルを用い、日本の人口動態に基づいて抽出した20~75歳未満の市民4,000名を対象に、郵送自記式調査票による調査を実施した。調査にあたっては、東京大学医科学研究所倫理審査委員会の承認を受けた(承認番号:23-70-0323)。日本の一般市民対象に行った意識調査データセット(2012年に実施、n=2,150、有効回答率53.8%)を分析した。「研究で用いられる遺伝情報の管理に関して、あなたがもっとも懸念すること」を1つだけ挙げてもらったところ、「どのような研究に用いられるかわからないこと」(32%)が最も多く、次いで「誰によって利用されているかわからないこと」(27.5%)が挙げられた。メディアでよく取り上げられる「外部に流出すること」や「あなた個人が特定されるかどうか」といったセキュリティに関連する理由は、それぞれ17.6%、13.7%となっており、研究の用途や利用者に比して低く抑えられていた。(2)クリニカルシークエンスに関する文献調査クリニカルシークエンスとは、次世代シークエンサーを用いるゲノム解析の臨床応用のことである。米国では、次世代シークエンサーを医療機関で利用することに関して、医学的な妥当性の判断のみならず、その倫理的法的社会的課題についても様々な議論が巻き起こっているため、現在の議論を整理するための文献調査を行い、日本で取り組むべき課題を整理した。(3)考察国内の一般市民意識調査結果から明らかになったのは、個人遺伝情報管理のセキュリティにかかわる課題よりも、誰がどのように利用するのか、そして研究結果は開示されるのかといった点が大きな関心事である。しかしながら、文献調査より、次世代シークエンサーの臨床応用が先行した米国では、既に研究結果の開示に関する試行が始まっているが、対応は様々であることが明らかになった。日本でのクリニカルシークエンスはまだ本格化していないが、異なる社会規範やリテラシー環境のなかで、日本ではどのような問題が生じうるのかについて、早急に検討が必要である。
著者
山崎 俊明 横川 正美 立野 勝彦
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

リハビリテーション領域における重要な課題である廃用性筋萎縮の進行予防に焦点を絞り、筋萎縮進行中のストレッチ効果、および筋肥大効果が報告されているアドレナリン受容体作用薬(clenbuterol ; Cb)投与との併用効果を調べた。廃用性筋萎縮は、後肢懸垂法により作成し、2週間の実験期間を設定した。実験動物としてWistar系ラットを使い5群に分け、通常飼育群(CON)の他4群を実験群とした。実験群には後肢懸垂処置を行い、後肢懸垂群(HU)、1日1時間ストレッチ実施群(STR)、Cb投与群(Cb)およびストレッチとCb投与の併用群(STR+Cb)とした。分析は、形態評価および機能的評価を行った。タイプI線維断面積は、HU群はCON群の42%に減少したが、Cb群は81%、STR群は58%、STR+Cb群は74%であった。ストレッチ効果を認めたが、併用効果は認められなかった。筋線維タイプ構成比率は、Cb群で有意なタイプII線維比率の増加を認めたが、STR+Cb群では変化なく併用の有用性が示唆された。Cb群およびSTR+Cb群の筋収縮時間はCON群より有意に短縮し、HU群およびSTR群の収縮時間はCON群と差がないことから、Cb投与による悪影響として速筋化傾向が示唆された。単位断面積あたりの単収縮張力はSTR群がCON群と差がなく、しかもCb群より有意に大きい結果から筋伸張の効果が示唆された。実験群の筋原線維タンパク量(MP)は、CON群に比し有意に減少した。実験群間では、Cb群およびSTR+Cb群のMPがHU群およびSTR群より有意に大きく、Cb投与の効果が示唆された。以上の結果から、廃用性筋萎縮進行中のラットヒラメ筋に対する予防的介入方法として、Cb投与による断面積減少の抑制と、筋ストレッチによる伸張刺激の併用効果の有用性が示唆された。
著者
三上 岳彦 森島 済 日下 博幸 高橋 日出男 赤坂 郁美 平野 淳平 佐藤 英人 酒井 慎一 大和 広明
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

東京首都圏に設置した独自の気温・湿度観測網と気圧観測網のデータ等を用いて、夏季日中のヒートアイランドの時空間変動を明らかにするとともに、熱的低気圧の動態と局地的短時間強雨発生との関連およびその要因の解明を試みた。夏季の気温と気圧データに主成分分析を適用した結果、上位主成分に、海陸風循環、ヒートアイランド、北東気流に関連した空間分布が認められた。局地的短時間強雨の事例解析を行い、豪雨発生の前後で気圧の低下と上昇が起こり、海風起源の水蒸気量の増加が確認できた。領域気象モデル(WRF)による都市域での短時間強雨発生に関する数値実験を行い、都市域で夜間の降水が増えていることが明らかになった。
著者
勝 国興
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1508年に竣工したヴェネツィアの「ドイツ人商館」(現中央郵便局)の外壁には、1507年から1510年までに制作されたと考えられるフレスコ画があったが、僅かな断片を除いて消滅してしまった。これを断片の様式や後世の模刻版画、そして文献史料等を加えて推測すると、概ね次のようになるだろう。大運河側壁面(西壁)=ジョルジョーネ制作:《裸婦立像》(ヴェネツィア、アカデミア美術館)、《翼をつけたプットー》(ソルトウッド城)、《裸婦立像》等のザネッティ版画、《天使にかしずく女性》(ヴァザーリ)、《戦利品》(リドルフィ)等々。メルチェリーア側(南壁)=ティツィアーノ制作:《ユディト》(ヴェネツィア、フランケッティ美術館)、《ギガンテス怪獣の闘い》等の断片(同)、《カルツァ・クラブ会員》等のザネット版画等々。しかし配置すべき壁面や壁面内の位置には不明な点が多い。今回の調査によって《ユディト》断片と南玄関壁をつぶさに観察し、両者の合成写真を作成することができたのは大きな収穫だった。そしてとの図像は《ユスティツィア》(正義)とする解釈の方がより適切であることも確認できた。またこの人物像は、ジョルジョーネの《裸婦立像》(西壁)がそうであるように、画家ティツィアーノの絵画様式を典型的に示している。同時にそれはティツィアーノ芸術その後の発展への出発点ともなるもので、この研究課題をさらにヴェネツィア絵画の発展史の研究へ向けさせることともなった。
著者
渡部 重十
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

熱圏電離圏を飛翔するサウンディングロケットにより,熱圏電離圏内に人工的に中性大気雲とプラズマ雲を同時に発生させ,可視化することによって,その運動をモニターし,大気・プラズマ結合過程の本質を世界に先駆けて解明する.地球の大気・プラズマ雲だけでなく,太陽風と金星・火星・彗星の大気・プラズマ,イオトーラス,タイタン大気・プラズマ,恒星風と系外惑星大気・プラズマ等に内在する素過程の理解にも繋がり,本研究が,惑星大気・プラズマ研究に与えるインパクトは極めて高い.NASA/ワロップスのロケット発射場とJAXA/内の浦宇宙空間観測所で実施するロケット実験にリチウムガス放出機器を搭載し人工雲を生成する.地上の3観測点から人工雲の運動を観測する.人工雲の運動から,高度100km~300kmの大気密度・温度・風速を求める.本研究により,リチウムガス放出機器と狭帯域フィルターを用いた高感度カメラを開発し観測研究を実施した.
著者
小寺 隆幸 浪川 幸彦 小田切 忠人 伊禮 三之 井上 正允 梅原 利夫
出版者
京都橘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

PISAの数学的リテラシー論の枠組みと調査問題を分析し、さらにPISAに影響を及ぼしたニスによるデンマークの数学教育改革について研究した。PISAの数学的リテラシーは単なる活用ではなく、現実の問題を数学化して考える能力であるが、テストで測りうるのはその断片にすぎない。重要なことはテスト結果ではなく、現実の問題と向き合い、思索し、仲間と対話をする授業を創造することである。日本には量を基礎にする数学教育の豊かな蓄積があり、それを発展させることが求められる。ただこれまでは全員が共通の目標を目指してきたが、授業の中に個々の子どもの数学的コンピテンシーを伸ばすという視点をも位置づける必要がある。
著者
加藤 曜子 安部 計彦 三上 邦彦 畠山 由佳子
出版者
流通科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

わが国で扱う児童虐待事例の半数はネグレクトであり、その多くは子どもが親と住み続ける。そのため市町村ベースにした虐待再発防止のための支援のあり方が重要な課題となる。本研究においては、1.地域ネットワークが活発な10都市で在宅支援するネグレクト163事例について、在宅アセスメント指標項目及び社会資源項目を利用し量的分析を実施した。虐待の程度、支援期間、親の問題意識、要保護児童対策地域協議会支援から分析した。ネグレクト事例の86.5%は中度以下で支援期間は長かった。児童は総じて年齢が上がるについて心身や行動状況は悪化していた。親の問題意識が乏しく拒否的であれば、支援ネットワークが組まれにくく、適切なサービスが届きにくかった。2.質的分析では成功事例を分析し援助プロセスを明確にした。3.以上から要保護児童・ネグレクト家庭への支援の基本姿勢、支援のために必要な社会資源を分類、重症度からみた支援領域、要保護児童対策地域協議会の支援ネットワークとしてかかわる関係機関連携を年齢別に16タイプ提出した。
著者
齋藤 滋規 鞠谷 雄士 高橋 邦夫
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,曲面や粗さのある壁や天井に自由に凝着し,移動することが可能なヤモリの指先の微細構造に着想を得て,静電誘導ファイバーによる凝着・離脱デバイス(ファイバー型静電チャック)の開発を行った.具体的には,コンプライアンス(柔かさ)を持ち先端に静電力を発生することのできる静電誘導ファイバーを開発し,それを集積することにより曲面の曲率や表面の粗さを吸収して凝着・離脱が容易にできる新たな静電チャックの(潜在的な)有用性と実現可能性を理論・実験の両面から示した.
著者
三嶋 恒平
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は日本企業の国際的な競争優位の源泉としてトランスナショナル化(本社と海外拠点が相互依存の関係であり共同で優位性を構築し共有するようになること)に着目し、既存研究では不十分であった(1)新興国の市場・拠点でのイノベーションの発現、(2)そのグローバルな組織における共有経路・形態、(3)それらが組織全体の競争優位へ及ぼす影響の3つを明らかにすることを目的とした。目的(1)は企業や販売現場の実態調査を繰り返すことで特定の新興国におけるイノベーションを明らかにすることができた。目的(2)(3)は実態調査に加え、国際経営論を巡るサーベイと学会報告での議論を通じて概ね達成することができた。
著者
梅崎 高行
出版者
甲南女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

競技スポーツにおける指導の相互的なバイアス構成-指導者によるコーチングの偏りと選手による指導の歪んだ認知-に着目した。バイアス構成は,選手の学びと指導者の教えにブレーキをかける。この影響を最小にするため,第三者のかかわりについて検討した。とりわけ保護者については,従来から選手に対する過剰な働きかけが指摘される。錯覚とよばれるこうした働きかけを,脱錯覚的なものへと整える意義について議論された。
著者
山根 有人
出版者
群馬大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

悪性リンパ腫で二番目に頻度が高い濾胞性リンパ腫の90%以上にみられるIgH-BCL2の染色体転座の原因を明らかにするため次世代シークエンサーを用いた解析を行った。これまでの研究から染色体転座の発生がおきると考えられているPro-B細胞ではこれらの遺伝子座同士は近接しておらず、DNAダメージの寄与がより多いことが示唆された。どのようなDNAダメージがこの転座の原因となっているのかを調べることは今後の課題である。
著者
玉腰 暁子
出版者
愛知医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

多施設共同疫学研究における中央事務局事務局体制の標準化に寄与することを目的として、実施されている中央事務局に関する調査を行った。多施設共同研究を遂行する上で重要な中央事務局の役割は、大きくは、事務局内の情報共有・コミュニケーション、研究実施・情報収集、研究全体の体制維持・運営、サイトの体制維持・運営などに関する事項に分類できたが、必要な事項は事務局のおかれた状況にも依存し、ミニマムリクワイアメント、グッドプラクティス、ケースバイケースに分類できた。
著者
波多野 直哉
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

がんは日本人の死亡原因の第1位である。この予防には、がんの疑いのある方を早期発見し、病院で精密検査を受けることが重要である。簡便で低コストかつ高感度な早期スクリーニング法として、がん患者特有の血中代謝物のプロファイルを用いることを考えた。このため、質量分析計を用いたヒト血清メタボロミクス解析法の確立を行った。これを、膵臓がん患者と健常者の数十例の血清サンプルで実施したところ、複数の代謝物で統計的に有意な変動が見られた。さらに、この代謝物プロファイルの変化のメカニズムを明らかにするため、質量分析計を用いた代謝酵素を網羅的に比較定量するプロテオミクス法を確立した。
著者
伊原 靖二
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

竹炭を活用した生活排水の浄化と再利用を目的として、竹炭による環境阻害物質等の吸着作用を実験的理論的に検討した結果、以下の知見が得られた。(1)竹炭よる界面潜性剤含有排水の吸着処理に関する研究…煙道温度が異なる7種類の竹炭と活性炭を吸着剤に,界面活性剤の平衡吸着実験を行ったところ、竹炭は活性炭ほどの吸着作用は見られなかったが,界面活性剤に対して選択的な吸着作用が見られた。(2)環境阻害物質含有排水の吸着処理に及ぼす各種吸着剤の効果…フェノールおよびビスフェノールAの竹炭を含む各種吸着剤への吸着実験を試み、その性能を比較検討した。竹炭及び3種のポリシクロデキストリンビーズCDPB(α、β、γ-CDPB)による吸着実験から、CDPBへのビスフェノールAの吸着では、最大吸着量はγ-CDPB、吸着平衡定数ではβ-で最も高い値を示した。また熱力学パラメーターの結果から、3種の吸着はすべて発熱反応であり、PCDB自由エネルギー値より、R-CDPBの吸着が最も強いことが示唆された。(3)竹炭及び各種木質炭の物性と吸着能…竹炭及びかぼちゃや松ぼっくり等の天然の木質炭を用いて環境阻害物質の除去率を測定した。竹炭のように、比表面積も大きかった松ぼっくりは比較的どの吸着質も吸着していた。細孔の大きさと分子の大きさが吸着に影響を与えており、細孔が溶けていたり、潰れてしまっている、てっか梨やなすび、もともと細孔の数が少ない柿やまめには、分子が吸着しにくく、除去率が低くなったと考えられる。(4)竹炭及び改質竹炭による環境汚染物質の吸着処理…真竹及び備長竹炭にシクロデキストリンをコーティングした複合体を用いて、吸着能を比較検討した。その結果、真竹ではシクロデキストリンをコーティングすることで、一部を除いて除去率が高くなる傾向が得られ、備長竹炭では減少、またはほぼ変わらないという結果が得られた。この結果から、改質竹炭の吸着性能には分子サイズが影響していることが示唆された。
著者
島 知弘
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

細胞質ダイニンは、モーター活性を担う重鎖が二量体を形成して働いている。昨年度、私は別々に精製した単量体重鎖2つを二量体化させることに成功し、これによって二つの重鎖間の制御の実態を研究することが可能になった。本年度私は、まず一方の重鎖をATPと結合できずモーター活性のない、いわゆる「死んだ」変異体(P1T変異体)に代えたヘテロ二量体を作成した。P1T変異体はそれ自身では微小管から解離せず動かないはずであるが、このヘテロ二量体は1分子で微小管上を長距離運動した。この挙動はキネシンなどでは報告されておらず、ダイニン特有のものである。P1T変異体はATPと結合しないため、ATP加水分解に伴う力発生が起こらない。つまりこの結果は、細胞質ダイニンのプロセッシブな歩行には、片方の重鎖のATP加水分解過程の進行や力発生が不要であることを示している。一方の重鎖の力発生なしで二足歩行するという現象は、2つの重鎖が交互に力発生を繰り返して進むという従来型のモデルでは説明できないので、この野生型/P1Tヘテロ二量体ダイニンの運動様式を詳細かつ定量的に調べることで、分子モーターの新たな動作機構を発見することができるかもしれない。したがって今後は、光ピンセットやFIONAを用いて、野生型/P1Tヘテロ二量体ダイニンが微小管上をステップする様子を計測することで、野生型およびP1T変異体各重鎖のステップサイズ・Dwell time・力などを明らかにすることが必要とされる。またP1T変異体はそれ自身では、微小管から解離しないにもかかわらず、野生型とのヘテロ二量体になるとプロセッシブに動くことができるということから、二つの重鎖の間に機械的な張力がかかっており、片方の重鎖がもう一方の重鎖を微小管から引き離すような仕組みが存在していることが示唆される。この機械的な張力の伝達部位としては、二つのダイニン重鎖が結合している尾部末端が最も可能性が高いと考えられたが、尾部末端に柔軟なリンカーを挿入し、尾部末端を介した張力が伝わらないよう設計した二量体組換えダイニンが、リンカーを挿入していないものと同様にプロセッシブに運動することが確認された。この結果は、ダイニン重鎖の尾部末端以外の領域に、機械的な張力を伝達できる程度の強い重鎖間相互作用を示す部位が存在することを示唆している。今後は、新たなダイニン重鎖相互作用部位を同定することによって、細胞質ダイニンのプロセッシブな運動を達成させている重鎖間の制御の実態を解明できるものと期待される。
著者
平田 大二 斎藤 靖二 笠間 友博 新井田 秀一 山下 浩之 石浜 佐栄子
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

46億年にわたる地球史・生命史に関する情報を収集し、地球史・生命史イベントと地球システムの相互作用を理解するための総合年表の作成を進めた。当館が所蔵する標本や画像など各種資料のデータベースを再構築するとともに、それを補完する標本と資料の収集を進めた。それらを活用した地球史学習プログラムとして、常設展示の展示標本と解説資料を活用した、地球の歴史の中でおきた現象と地球システムについて理解できる双方向形式の連続講座を実施した。参加者が地球史・生命史について理解を深め、現在および未来の地球について考えることができ、地球科学リテラシーの涵養を図ることが出来る環境を提供できた。
著者
高橋 ひとみ 衞藤 隆 川端 秀仁
出版者
桃山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

学校教育を円滑に進めるには、遠見視力と近見視力が必要である。現行の遠見視力検査のみでは、多様な「視力の問題」を抱える子どもの対処は不可能であることを明らかにし、教育現場へ近見視力検査を導入するために、時間・労力・費用が最少で、信憑性がある簡易近見視力検査を考案した。視力低下予防と視力改善の効果が認められた眼精疲労改善トレーニングと簡易近見視力検査の全国的な普及を図りながら、疫学的データー収集を行った。
著者
上 昭二 横川 和章 名須川 知子 岡部 毅
出版者
兵庫教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究は、幼年児童期の「表現」の形成の過程を明らかにしようとしたものである。手続きは、出来る限り自然な状態の中で遊びを観察するために、本大学内プレイルームに、2組の親子に来訪してもらい、その様子を約40分間、4台のVTRで収録した。また、縦断的研究のために、5〜8回程度来訪してもらった。結果、4グループ,計26回分の収録ができた。それらのビデオテープを分析した結果、表現形成としては、1)身体の動きによる表現として「滑り台」を中心に分析したが、そこでは身体の方向性を変化させる動き,イメージを付加したという様々な動きの変化がみられ、また、自分でコントロールできる遊具を共にすべり台で使用する例がみられた。2)音による表現として、数台の楽器を配置したが、彼らは遊具として楽器を取扱っていた。しかしながら、そこには、「音」を媒介として、表現したいという意志が明確にあらわれていた。その結果、音を介した2者間の相互作用がみられた。3)幼年児童期の表現の形成は、音,描画,運動のような既成の教科的捉え方でみるのではなく、「遊び」の中で、表現の萌芽と発展が明らかに見い出せることがわかった。今後の課題としては、幼年児童期の個人における表現形成の過程について、7〜10年期にわたる長期的研究が必要であることを考える。本研究では数値上の、3年弱の表現形成の差違は見い出されなかった。
著者
出沢 明 三木 浩
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

接触型拡大視内視鏡は25-150倍拡大視が可能で顕微鏡と同じ拡大になり明るい解像力が獲得される。手術の際に神経性間欠性跛行の神経根上の血行動態を評価することが有用な手技であったので報告する。その記録はDVDに記録し後にIPlaboのソフトを関発し解析をした。間歇性跛行は神経根上の血流障害が注目されており今回の研究でプロスタグランヂンの末梢血管からの注入や末梢神経の電気刺激でも血流量(流速、血管径)の増化がみられた。以上接触型拡大視内視鏡は神経根上の血行動態を容易に生理的に測定が可能で他の関節の滑膜病変を観察することに応用されると思われる。29例の間欠性跛行を伴った腰部脊柱管狭窄症の馬尾神経根の微小循環動態を接触型拡大視内視鏡を用いて生理的に近い状態で観察し、腰椎椎体間固定術する際の神経根上の微小循環の血管径や赤血球の流速の変化と定性的変化について評価する。その目的は腰部脊柱管狭窄症患者の神経根の微小循環を観察し、後方腰椎椎体間固定術(posterior lumbar interbody fusion ; PLIF)の際に神経根を内側に展関する前後の神経根上の微小循環の変化を検討することである。対象は腰部脊柱管狭窄症患者でPLIFの手術的治療となった29例(男性15女性14;平均年齢56才)を対象とした。検索した傷害神経根はL5が26例、S1が3例である。傷害神経根上の微小循環を測定し次に神経根をretractしてlumbar interbody fusion施行後に再度同じ部位で測定する。接触型内視鏡を用いた解析はビデオフレームメモリから血球を自動的に認識して流速と血管径を自動的に測定するシステムを作成した。血管内径が100μm以下の細動静脈と100μm以上の15ヶ所で血管径と赤血球の流速度の解析を行った。また定性的変化について評価した。神経根の臨床上の変化はMacnab's criteriaに従って評価した。150倍のcontact endoscopesは29例全例が約20μまでの血管内の血球の動態観察が可能であった。血球と血漿が分離して流れる血漿分離流(plasma skimming)は展開前29例中3例に観察され展開後に8例〔27.6%〕に増えた〔全例血管径100μ以下〕。赤血球の荷電状態の変化により赤血球が一塊となって血漿中を流れる現象のIEA(intravascular erythrocyte agglutination)は展関後100μ以上の血管で3例に認められた。神経根展開前後で血管径100μ以上の血管で赤血球の流速が平均26%〔p<0.005〕減少し、血管径は5%の上昇がみられたが統計学的に有意差は見られない。血管径が100μ以下では血流速度は5%遅れ、血管径は2%の拡大がみられたが統計的有意差は無かった。接触型拡大視内視鏡(contact endoscope)を用いて観察しえた展開前後の神経根の微小循環動態では血管径の大きさに関らず赤血球の流速の低下が認められた。
著者
倉光 ミナ子
出版者
天理大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.理論的枠組みの検討本研究の理論的枠組みとしての「トランスナショナルな場所」を考えるにあたり、トランスナショナリズムについての研究が盛んであるイギリスの人文地理学の文献を収集し、検討を行なった。その結果、多くの研究が先進地域へ流入する国際移動者を対象とした研究であること、また、このような現象を捉えるにあたり、「場所」ではなく「空間」という概念を使用していることが改めて明らかとなり、理論的枠組みの再検討が必要となった。2.フィールド調査:9月に2週間弱、サモアにおいて実施した。調査内容は以下の通りである。1)仕立て業店舗の分布の変容について:2年間のデータを基に、アピア都市部における仕立て業店舗の移り変わりについて調査を行なった。その結果、店舗数は依然として増加傾向にあるが、その一方で閉店に追い込まれている店もあった。また、フィリピン人女性の縫い子を雇用するという傾向が顕著になっていた。2)仕立て業店舗における顧客の調査:昨年の調査と同じ店舗において、その店を頻繁に使用する顧客に関する観察・簡単な聞き取り調査を実施した。その結果、双方の店ともに販売には都市部特有のイベントの影響を強く受けることがわかったが、帰還移民の多い店舗では衣服の多くが海外コミュニティのために購入されており、人だけでなくサモアの衣服が海外へ流入する様子が観察された。3.研究成果の公表に向けて本年度は研究機関を変更したこともあり、理論的枠組みおよびフィールド調査の結果が十分に整理・検討できなかったので、本研究に関わる研究成果をまとめ、発表するまでにいたらなかった。本研究の研究期間は終了を迎えたが、来年度のうちには、これまでの成果をまとめ、公表していく予定である。