著者
三浦 徹 安田 次郎 神田 由築 新井 由紀夫 菅 聡子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究は、アジア(日本を含む東アジアと中東・イスラーム世界)の社会文化の特性を、比較研究を通して明らかにし、人類文化におけるアジアの可能性を見いだすことを目的とする。同性愛というテーマを主題にとりあげたのは、当該社会のなかで、両義的なイメージを賦与されていた現象を、比較文化の視点から研究することにより、新たな分析観点を探るためである。16年度は、以下の研究を実施した。1.韓国での調査・研究会(2004年9月23-25日) 男寺党(ナムサダン)とよばれる芸能集団の調査を、国立文化財研究所朴原模研究員の協力をえて実施し、同研究所と淑明女子大学で研究会を開催した。一般に儒教文化の影響で性についてのタブーが強いとされる韓国においても、日本と同様の性の役割に関わる問題群があることが確認された。2.基本資料の収集と文献データベース作成 15年度までに収集した文献データベース4000件に500件の追加を行い、全体の校正・整理を行った。なお、当初大学のホームページに公開を予定していたが、インターネットのセキュリティ管理が強化され、その技術的な問題が解決するまで公開を延期することとした。3.2年間の研究成果を問うために『越境する性:同性愛の比較文化史』(山川出版社)を刊行する。5名の研究分担者が執筆し、ヨーロッパ、イスラーム世界、日本中世、日本近世、日本近代の同性愛の文化を、比較の観点からとりあげ、アジア社会の柔軟な性文化とその変容が明らかにされる。
著者
筆保 弘徳
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、まず、これまで難しかった回転水槽実験で発生する水面運動の定量化と、運動パターンを定量的に分類する解析手法と定義を提案した。粒子画像流速測定法により運動場の定量化を行い、運動エネルギーを算出した。この運動エネルギーを用いた定義により、すべての実験の運動パターンを客観的に分類した。今後は、まだ成功していない回転水槽実験を用いた台風コア領域の再現を目指し、本研究での手法を適応して台風の非軸対称構造の形成メカニズム解明を行う。
著者
池田 博 岩坪 美兼
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バラ科キジムシロ属キジムシロ群に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこなった。解析の結 果、1) キジムシロ群植物は全て 2 倍体(2n=14)である、2) P. freyniana var. sinica は、別の種 として取り扱うべきである、3)ヒメツルキジムシロは雑種ではなく、独立した種と考えられる ことが判明し、4) P. koreana とキジムシロ、ヒメキジムシロとテリハキンバイとの雑種を見出 した。
著者
小林 徹也
出版者
茨城県立竜ヶ崎第一高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

1. 研究目的 : 高校生に考える力をつけるため, 数学の問題を解く際「結論から仮定へ」の推論をより利用させることを目標とし, 今回その推論を「解析」とし, 次の2つの解明を目的とした.A : 「解析」をその意識的な指導, 方向, 機能および名称に着目して整理することB : 高校生の「解析」の利用がどのようなものであるか同定すること.2. 研究方法 : 上記Aについては「解析」に関する国内外の先行研究を検討し, Bについては生徒へのアンケートを分析した.3. 研究成果 : 以下のことなどが明らかになった。Aについて :(1)「解析」指導については意識的に指導されているが限定的であること.(2)「解析」には3つの方向性と4つの機能が存在すること.(3)我が国では, 結論を得るために仮定の方に遡る推論の方向と, 解を発見する機能へ着目することが多かったこと.(4)「解析」に対して統一した名称がないこと.Bについて :(1)数学の問題の解答を分析した結果, 生徒は問題を解く際に, 誤った「解析」をすることがあり, それは公式や定理の記憶違い・適用の誤り・計算違い等であること.(2)数学の問題の解答を分析した結果, 正しい解析によって別解を作る例が存在したこと.(3)アンケートの分析により, 解析をどのように有効性を認識したかについては, 学校の指導よりも自分で気づいたとする割合が多いこと,(4)アンケートの分析により, 調査における決定問題を解く際に解析をしたとする生徒が少ないこと.4. 今後の課題 : 以上の成果を活かした授業実践研究が課題である.
著者
安田 明生 北條 晴正 樊 春明 海老沼 拓史 久保 信明
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,海面で反射したGPS信号を利用した新しい海面高度計測センサを開発した.このセンサは,GPS衛星を信号源として利用するパッシブなシステムであるため,小型・省電力である.また,一度に複数のGPS反射波を観測できるため,広範囲な海洋観測が可能である.航空機からの観測実験では,数十cmの精度で海面高度を観測できることが確認された.本研究成果の応用として,航空機や人工衛星から津波監視などが考えられる.
著者
際田 弘志 石田 竜弘
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究により、"bio-inertであると考えられてきたポリエチレングリコール(PEG)であっても薬物キャリア表面に提示されることによってB細胞を直接刺激し、T細胞の補助を受けることなく、特異的なIgM(anti-PEG IgM)を分泌させることを明らかにした。また、バイオ応用に関しては、PEG修飾ナノキャリアによって感作されたB細胞がanti-PEG IgMをその表面に過剰に発現し、2回目投与PEG修飾リポソームを積極的に取り込む可能性があることが明らかとなり、この免疫応答を利用すれば静注型のアジュバントが開発できる可能性が示唆された。
著者
小田 啓邦 臼井 朗
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

北大西洋から得られた鉄マンガンクラスト試料D96-m4の成長パターンを確認し,後にヨウ素同位体測定結果と古地磁気層序の結果を対比できるように高知大学コアセンター保有のマイクロフォーカスX線CT装置にておよそ2cm角の試料を準備し,成長縞の3次元断面画像を撮像し,解析を行った.その結果,成長縞の3次元的な広がりをある程度とらえることができた.SQUID顕微鏡によるD96-m4試料の極微細古地磁気層序の適用についてはデータ解析手法の改良を重ねて,欧文誌Geologyに成果を出版する事ができた(Odaetal,,2011).これにより,D96-m4試料の成長速度は百万年あたり5.1mmと推定された.また,SQUID顕微鏡による極微細古地磁気層序の手法を改良するために,D96-m4試料から作成された別の薄片について,低温消磁と交流消磁を組み合わせた実験について,SQUID顕微鏡を保有する米国マサチューセッツ工科大学において行ったが,液体窒素による低温消磁を行うと急激な温度変化によって薄片試料がスライドガラスからはがれるのが問題であることが判明した.さらに,古地磁気層序の信頼性を高めるために,特に低温磁性を中心に岩石磁気分析を進めたが,常温で磁性を持つのは単磁区一多磁区粒子のチタン磁鉄鉱,低温で磁性を持つのはキュリー温度(ネール温度)が55Kのイルメナイトおよび5-15Kの未知の磁性相(ある種の陽イオンを含むvernadite)であると考えられる.ヨウ素129の分析は安定同位体との比率が10^<-14>程度が要求されるため,核爆発起源および運用中の原子炉から排出されるヨウ素129のバックグランド測定および鉄マンガンクラスト試料の測定準備を進めていたが.東日本大震災およびそれにともなう原子炉事故によって分析が困難な状況となった。
著者
粂井 輝子 柳田 利夫
出版者
白百合女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

社会史的視点から、アメリカ合衆国においては、『新世界/新世界朝日』(1906~1940 年)、『日米』(1919~1932年)、『北米時事』(1916~1942)、『羅府新報』(1946~1952年)の文芸欄短詩型文学のデータ化、第二次大戦中の司法省管轄抑留所発行の短詩型文学の発掘・データ化、自由律俳句の指導者下山逸蒼の個人書簡閲覧解析を行った。ペルー共和国では、『ペルー新報』(1950~1980年)の短歌作品を収集し、ペルー日本人婦人会文芸部短歌研究会の活動を調査した。
著者
金本 伊津子
出版者
平安女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

「快適」な老後をいかに過ごすかという問題は、長寿社会日本だけが抱えている問題ではない。アメリカ・ブラジルの日系社会も1880年代よりハワイ、アメリカ本土、そしてブラジルへと移住した日本人(一世)だけでなくその子ども(二世)も老齢期に達し、高齢者の急増という社会問題を抱いている。また、それぞれの多文化社会におけるエスニック・マイノリティという日系人の社会的立場は、老いの問題に文化の問題を添加する状況を引き起こしている。本研究は、複数の文化の狭間で老いを迎えるエスニック・マイノリティとしての日本人移民の老いの過程に焦点をあて、日本人が異文化-ここでは三つの多文化社会(アメリカ・ハワイ・ブラジル)-に適応するために文化変容を遂げてきた過程を比較検討し、多文化社会におけるエスニシティと老年期における文化喪失の過程-脱文化化、あるいは、エスニシティ(記憶の総体)への回帰-が相互の関連しあう領域に文化人類学的な考察を行った。調査項目は、各多文化社会における日系コミュニティ成立の過程と高齢化の過程、日系老人を取り巻く社会状況、日系老人を支える福祉施設の設立の歴史とそこでの日常生活、日系老人のオーラル・ライフ・ヒストリー、各多文化社会における他のエスニック・グループの老いの現状、の5項目である。一世にとって、最初に獲得した文化(日本文化)から、対立型多文化社会アメリカ、統合型多文化社会ブラジルへの一方的同化の過程であると考えられてきた長期的異文化適応の過程は、実は、(1)日本文化と移住先であるホスト文化(アメリカ文化・ブラジル文化)との両立の過程であったこと、そして、(2)年齢とともにホスト文化との関係性が薄れるにつれ、長年両立してきた日本文化が重要な意味を帯びてくるエスニシティへの回帰する過程であったことが明らかとなった。
著者
友清 衣利子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

強風被害拡大に影響を及ぼすさまざまな因子同士の相関と経年変化を分析し、それぞれの時代や地域に対応した、より正確な被害推定を行った。多種多様な強風被害拡大影響因子を分析・分類することで、被災地域の気候や構造物の特性を定量的に把握できることが分かった。それぞれの地域の特性を示す影響因子や因子の経年変化を考慮すれば、地域ごとに実際により対応した被害推定を行うことができ、自治体での防災対策に有用な情報を提供できる。
著者
中山 祐一郎 保田 謙太郎
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

アブラナ属植物の河川における分布を、西日本の45の一級水系について調査したところ、ほとんどの河川において生育が認められたが、分布の密度や種構成は河川によって異なっていた。大阪府の大和川では、アブラナ属のカラシナが堤防法面と中水敷に生育していた。外来植物を除去する実験の結果から、カラシナは、堤防法面では秋の草刈後に出来た裸地にすばやく侵入して優占しているが、中水敷では在来種を競争によって排除して優占していると考えられた。また、野生系統と栽培系統との比較栽培実験の結果から、アブラナ属植物は、競争環境と攪乱環境で有利に働く性質をあわせもつことによって、河川の様々な環境で生育が可能であると考えられた。
著者
立花 義裕 万田 敦昌 山本 勝 児玉 安正 茂木 耕作 吉岡 真由美 吉田 聡 坪木 和久 中村 知裕 小田巻 実
出版者
三重大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

四方を海に囲まれた日本.その鮮明な四季は極めて特徴的である.日本の気候に対しては,日本を囲む縁辺海の海洋の影響が強くあることを大気と海洋の変動を評価し明らかにした.例えば,梅雨末期に豪雨が集中する理由は東シナ海の水温の季節的上昇が,九州で梅雨期に起こる集中豪雨の発生時期の重要な決定要因であること,日本海の海面水温の高低によって,寒気の気団変質過程に影響を及ぼし,寒波を強化・緩和されることを示した.
著者
松本 博之 内田 忠賢 高田 将志 吉田 容子 帯谷 博明 西村 雄一郎 相馬 秀廣
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,グローバル化と地域景観・地域環境の変容について、特に紀伊半島における近現代を中心に検討した。その結果以下の諸点があきらかとなった。(1)1960年代後半からの外材供給の増大にともなう国内材供給量の低下は、十津川流域における植林地の変化に大きな影響を及ぼし、植林地伐採後の落葉広葉二次林景観の出現をもたらしている。(2)生活基盤が脆弱な紀伊半島和歌山県沿岸部では、近代を通じてグローバル化の2度の波があることが明らかとなった.このうち2度目は最近10年ほどの動きであり,明治期以降第2次大戦前までの1度目のグローバル化を基盤とした歴史的な地域性を引き継いでいる。(3)経済的な面でグローバル化の進行が顕著な日本社会ではあるが、高齢者個々の「生きられた世界」の構築には、地理的要素や地域の特殊性といった地域間の差異が大きく影響している。
著者
土井 正好
出版者
広島工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

係留索引張ロードを計測するロードセル及びセンサインターフェースを導入した。実験はCPP(可変ピッチプロペラ)翼角設定に対する係留索ロードを計測した。また強風時にかかる係留索のロードを計測した。次に船舶推進及び強風影響による係留索のロードモデルを設計し、MATLABシミュレーションによって一般化最小分散制御を適用し、その有効性を検証した。実験の結果、CPP翼角推進には明確なむだ時間があることを確認し、予測制御法の一手法である一般化最小分散制御を適用することによって、速応性のある目標値追従性を達成し、強風時などの悪天候において係留索にロードがかからない操船法を確立した。
著者
土井 捷三 武田 義明 五味 克久 田結庄 良昭 今谷 順重 小石 寛文
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本研究は次のことを目的にして行われた。1.「災害と防災」に関する教授用モジュ-ルを作成し、それらを統合し、カリキュラム化する。2.「災害と防災」についての意識調査を実施しながら、地域教材が子どもの学習意欲形成に果たす影響を解明する。3.これらを通し、カリキュラムの研究方法を明らかにしながら、災害と防災のカリキュラムを構想する。第1の目的を具体化するために、教材集を作成することにした。教材集は三年間でほぼ核となるモジュ-ルを完成させるようにし、第一年目は地形と地質に関係した災害と防災の現状を、第二年目は植生と植林に関係した防災対策を、第三年目は災害の原因の契機の一つとなる開発の問題と防災対策を取り上げ、教材化を行った。この場合、六甲山という我々の身近にある山を素材にすることにし、また、研究題目にある「地域性を生かした」としたのもこのことを念頭にしているのである。第2の目的を具体化するために、これらモジュ-ルによる授業前と後に調査を行い、地域学習の、学習意欲の形成への効果について解明した。この結果、これら教材は学習の意欲づけに資するということがわかった。第3の目的については具体化へ向けての方向づけを行った。また、現在のところ地域学習の中で実施することが適当であると提案した。以上が三年間に行ってきた成果である。しかし、カリキュラム化の構想が方向づけに止まっていることは不満であるが、これらの研究に比肩しうるものが不在であることを思うと、十分に成果は達成できたと考える。
著者
西端 律子
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究の最終年度の成果として、VOD(ビデオ・オン・デマンド)サーバの確立があげられる。まず、デジタルカメラで撮影した自作の映像の他に、既存のビデオライブラリをデジタル方式に変換し、また、8ミリフィルム、資料、写真などをデジタルカメラで録画することにより、視聴覚メディアのデジタル化を行った。これにより、すべての映像情報をコンピュータネットワーク上で利用できるようになる。次にこれらの画像ファイルを入力し、外部からアクセス可能なサーバに蓄積した。ユーザは、無償配布されている映像配信ソフトウェアを利用し、このサーバ内の画像ファイルを自由に視聴することができる。また、画像情報がデジタル化されているため、発信者、受信者双方に映像の修正、加工が非常に容易である。例えば、発信者が「見せたい」ところにマーキングをしたり、受信者が「見たい」ところをクローズアップしたりなどである。またその時々の目的、視聴環境、映像の内容などの状況によって「見せる」もしくは「見る」映像の順序や時間、内容を自由に編集することも考えられる。これらの活動は、一方通行、多義性という従来の映像の特性を補完するものであり、映像による教授・学習理論の新たな一歩であると考えられる。本研究では、このシステムを利用し、本学部周辺の四季折々の風景、研究内容、新館工事の様子などの映像を世界規模で配信した。この配信実験では、アメリカ、アルゼンチン、タイ、台湾の各国で受信されたことが確認された。ひきつづき、VODサーバを利用した映像実験を行うことにより、映像視聴過程を記述できるようになると考えられる。
著者
松本 博 宋 城基
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

持続可能なアジア型都市・建築システムの基盤となる都市エネルギー需給システムを構築するための戦略的なシナリオを提案することを最終目標として,アジア型中核都市をケーススタディとして都市エネルギーフローをシミュレートするシステムダイナミクス(SD)モデルを開発し,各種シナリオ(ポリシー)に基づく都市エネルギー消費量及びCO_2排出量の将来予測を詳細に検討した。
著者
宮崎 法子
出版者
実践女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

中国絵画において、人物画というジャンル自体が、時代によって重要度を大きく変化させたが、そのような基本的な問題について、特に、女性を画題にした、いわゆる美人画を軸に考察し、その変遷をまとめた。これについては、「女性の消えた世界」と題した論考を発表ずみである。さらに、美人画と総称される絵画がどのような系統の作品から成り立っているのかを歴史的に探り、宮女図や仕女図、また神仙の図などにさかのぼり得ることを明らかにした。そして、その過程で、職業画家、文人画家が、それぞれ特定の画法や技法と深く結びついていること、従って技法によって、人物画をいくつかの系統に分け得ることが明らかになり、それぞれについて、時代を追ってまとめた。一方、民間で、唐以来明清時代まで連綿と描かれ続けた寺観壁画を、中央の画家による人物画作品と関連づけ、総合的な考察を行うために、まず、説話的要素の大きい仏伝主題についてその変遷を、「中国の仏伝図…唐から明まで」にまとめ、その後山西省の遼・金・元・明の壁画遺品と、伝世の絵画作品を比較しつつ考察をすすめた。それによって、特に明代の宮廷画家や職業画家の主題や技法と、それら民間の作品のつながりを見いだすことが出来、それらを総合的に跡づける見通しを立てることが出来た。以上をこの2年間に得られた研究成果として、本報告書として提出する。また、そこで得られた見通しのもと、以前から手がけてきている寧波地方で制作された宋元仏画の研究成果をも参照させながら、より大きな視点から、中国人物画の多角的総合的研究を行うべく現在も継続中であり、今後いくつかの論文として逐次公刊する予定である。
著者
橋本 岳 土屋 智 竹林 洋一
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

土砂災害は身近かつ大変危険な災害であり,土砂災害の予兆検知に関する技術の確立は緊急かつ不可欠である。しかし現状では計測精度・計測範囲・計測装置の複雑さ等から妥当な方法が存在しない。本研究期間中には,橋本が有する高精度計測技術を活用して,屋外遠距離にて,広範囲かつ高精度な計測方法を実現した。具体的には,カメラ基線長約1m,計測距離約90mで最大誤差10mm以下という画期的な計測システムの試作に成功し,それを高速道路の法面計測へ適用した。また,本計測方法の様々な応用へも積極的に取り組み,一例として建物や橋梁の振動計測実験を行った。これらは,建物の耐震判定やインフラ構造物の点検にも有効と考えられる。
著者
新堀 雄一 千田 太詩
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、地層処分システムのコンパクト化を目的として、マイクロフローセルや充填層を用い、また、セメントの溶出による高アルカリ地下水の存在をも想定し、再冠水過程の特徴を整理した。その結果、再冠水過程は、液相への気相の物質移動速度ではなく、液相側に溶け込むガス成分の拡散や地下水流による液相自体の置換に大きく依存することが明らかになった。また、残留している気相を考慮した地下水流速の分布を設定し、地層処分のガラス固化体1本当たりの必要面積を数値解析により求め、地層処分の占有面積が従来の設定されている面積より1割程度小さくなる場合を示すとともに、今後の課題を整理した。