文献ランキング(各10件)

著者
天羽 優子 菊池 誠 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.342-346, 2011-05-05 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

「『ありがとう』などの『よい言葉』を見せたり『美しい音楽』を聴かせたりした水は凍らせたとき美しい結晶を作るが,『ばかやろう』などの『悪い言葉』を見せた水は凍らせても結晶を作れない」というのが「水からの伝言」という物語である.この単なるファンタジー(ないしはオカルト)が,時に「科学的」とさえみなされ,学校教育の現場にまで浸透している.ここでは,予備知識のない読者を想定し,「水からの伝言」をめぐる状況を紹介し,関連する問題点や論点を簡潔に整理したい.
著者
小川 有美
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.2_36-2_61, 2013 (Released:2017-02-01)
参考文献数
60

Charles Tilly (1929-2008) was a boundary-less scholar, who liked to think of his own approach as akin to Mozart. His works cover a wide range of topics, such as state-formation, revolution, collective violence, social movements, urban history, and sociological methods. However, as Sidney Tarrow posits, “even Tilly never completely integrated his work on war and state-building with his work on revolutions and contentious politics.” Did Tilly's two major topics, state-formation and contentious politics, remain disjunct ad finem? This article discusses the various aspects of his work, and ascertains whether his works on (de-)democratization and regime-contention interactions successfully integrate state-formation and contentious politics. The books Tilly wrote in his final years provide systematic accounts on how trust networks can be connected with public politics, and how low/high capacity regimes can be changed in interaction with contentious politics. Thus, to conclude, Tilly did not fail to integrate state and contention in his innovative historical political sociology. Moreover, his latest works are based on political opportunity structure theory and methodological nationalism, which make his arguments more innocuous than his arguments in his earliest work, The Vendée (1964) (this work drew a lively picture of state institutions and political actors, all in the making).
著者
Tsutomu HOHDATSU Mika YAMADA Ritsuko TOMINAGA Kaori MAKINO Kouji KIDA Hiroyuki KOYAMA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.49-55, 1998 (Released:2001-10-06)
参考文献数
34
被引用文献数
50 69

Infection of the type II feline infectious peritonitis virus (FIPV) strain 79-1146 to primary feline alveolar macrophages and human monocyte cell line U937 was enhanced by the sera of cats experimentally infected with the 79-1146 strain, but not those of cats infected with KU-2 or UCD-1 strain of type I FIPV. The experiments using sera of cats with feline infectious peritonitis (FIP) and of cats naturally infected with feline coronavirus (FCoV) revealed that infection of the FIPV 79-1146 strain to the U937 cells was enhanced only by the sera of cats infected with type II FIPV or feline enteric coronavirus. The samples positive for antibody-dependent enhancement (ADE) activity had high neutralizing antibody titers against the FIPV 79-1146 strain and the samples negative for ADE activity had low neutralizing antibody titers. These findings support the previous results where a monoclonal antibody with neutralizing activity had high ADE activity, suggesting that there was a close relationship between the neutralization and enhancement sites. And then it is also suggested that ADE of infection is likely to be induced by re-infection with the same serotype of virus in type II FIPV infection. Furthermore, U937 cells are considered useful and can be substituted for the feline macrophages for determining ADE of FIPV-infection.
著者
相原 正男
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3+4, pp.101-107, 2016 (Released:2017-03-25)
参考文献数
20

【要旨】脳の成長とは、脳が大きくなり、安定した構造に近づくことである。生態学の研究から、猿類の大脳皮質の大きさは、群れの社会構造の複雑さ(social size)に比例していることが報告されている。社会適応に必要とされるヒトの前頭葉、前頭前野の体積を3D-MRIで定量的に測定したところ、前頭葉に対する前頭前野比は乳児期から8歳頃まで年齢とともに緩やかに増大し8~15歳の思春期前後で急速に増大した。前頭葉は、可塑性はあるものの脆弱性の期間が長いことが想定される。脳の成熟とは、脳内情報処理過程が安定した機能になることで、神経科学的には情報処理速度が速くなること、すなわち髄鞘形成として捉えられる。生後1歳では、後方の感覚野が高信号となり、生後1歳半になると前方の前頭葉に高信号が進展した。これらの成熟過程は1歳過ぎに認められる有意語表出、行動抑制、表象等の前頭葉の機能発達を保障する神経基盤と考えられる。認知・行動発達を前頭葉機能の発達と関連させながら考察してみると、その発達の順序性は、まず行動抑制が出現することで外界からの支配から解放され表象能力が誕生する。次にワーキングメモリ、実行機能が順次認められてくる。実行機能を遂行するには将来に向けた文脈を形成しなければならない。文脈形成の発達は、右前頭葉機能である文脈非依存性理論から左前頭葉機能である文脈依存性理論へ年齢とともにシフトしていくことものと考えられる。一方、身体反応として情動性自律反応が出現しないと社会的文脈に応じた意思決定ができず、その結果適切な行為が行えないことも明らかとなってきた。

463 40 13 4 OA 顔ニューロン

著者
山根 茂
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.694, 1994 (Released:2016-03-19)
著者
桑原 圭裕
出版者
日本映像学会
雑誌
映像学 (ISSN:02860279)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.54-74, 2019-07-25 (Released:2019-11-19)
参考文献数
39

アニメーション制作の現場では、動画と音の同期に関して「動画は音より2フレーム前にすると仕上がりが良い」という「動画先行の原則」が語られてきた。たとえば映像と音楽の一体をテーマに 1929 年から 10 年間にわたって制作されたディズニーの短編アニメーション映画シリーズ「シリー・シンフォニー(The Silly Symphony)」の諸作品をコンピューターで解析すると、確かに時代がくだるにつれて動画を先行させるようになってきた事実を確認することができる。しかし、この動画先行の原則は、あくまで映像制作者たちの経験則に基づいており、その科学的な根拠はこれまで十分には解明されてこなかった。実写かアニメーションかを問わず映像制作の現場において、我々が映像と音を知覚する際に双方のずれを感ずるのは、3 フレーム以上、時間にしておよそ 0.1 秒以上といわれている。したがって、「動画先行の原則」について論じるためには、感覚刺激が脳に到達するまでの問題として知覚心理学の理論を援用する必要がある。本稿の目的は、このようなフレーム処理が一部の実制作の現場で採用されるようになった経緯の背景にある理論的根拠を提示するとともに、このように時間を先取りする手法が、アニメーションに限らず映像全般において、その芸術としてのダイナミズムをもたらしていることを、具体的な作例の分析を通して明らかにすることにある。
著者
石田 修一
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.139-166, 2020 (Released:2020-04-01)

「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が平成30年12月に文化庁から示された。このガイドラインが示されたことによって,現場の指導者たちから「これでは今までの演奏レベルを維持することができない」と心配する声が聞こえてきた。 管打楽器は楽器を持ったその日からメロディーを演奏することや,友人と合奏の喜びを味わうことはできない。楽音が出るまで地道な努力が必要である。そのためにはある程度の時間が必要である。その時間が「ガイドライン」によって短縮され,「演奏のレベルダウンはしかたがない」とあきらめてしまう指導者が増えてきた。 本報告・資料は「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に基づいて、限られた時間を有効に使い,今までより短時間で子どもたちが演奏技術を習得し,成長する新しい指導法について小学校,中学校,高等学校各吹奏楽部で試行した結果をまとめたものである。
著者
天羽 優子 菊池 誠 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.342-346, 2011-05-05 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

「『ありがとう』などの『よい言葉』を見せたり『美しい音楽』を聴かせたりした水は凍らせたとき美しい結晶を作るが,『ばかやろう』などの『悪い言葉』を見せた水は凍らせても結晶を作れない」というのが「水からの伝言」という物語である.この単なるファンタジー(ないしはオカルト)が,時に「科学的」とさえみなされ,学校教育の現場にまで浸透している.ここでは,予備知識のない読者を想定し,「水からの伝言」をめぐる状況を紹介し,関連する問題点や論点を簡潔に整理したい.
著者
石田 修一
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.139-166, 2020 (Released:2020-04-01)

「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が平成30年12月に文化庁から示された。このガイドラインが示されたことによって,現場の指導者たちから「これでは今までの演奏レベルを維持することができない」と心配する声が聞こえてきた。 管打楽器は楽器を持ったその日からメロディーを演奏することや,友人と合奏の喜びを味わうことはできない。楽音が出るまで地道な努力が必要である。そのためにはある程度の時間が必要である。その時間が「ガイドライン」によって短縮され,「演奏のレベルダウンはしかたがない」とあきらめてしまう指導者が増えてきた。 本報告・資料は「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に基づいて、限られた時間を有効に使い,今までより短時間で子どもたちが演奏技術を習得し,成長する新しい指導法について小学校,中学校,高等学校各吹奏楽部で試行した結果をまとめたものである。
著者
加藤 聖文 麻田 雅文 小林 昭菜 堀内 暢行
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本研究は、日ソ戦争史研究の基盤(日ソ戦争アーカイブズ)構築を目的として2つの目標を設定する。第1の目標は、研究の土台となるロシアに点在する日ソ戦争関係の歴史資料(アーカイブズ)を日露共同で調査・収集を行う。第2の目標は、収集した資料の一部を翻刻して出版(またはテキスト公開)するとともに、独露間の資料共用化プロジェクトを参考に、国際的データベース・ソフトのAtoMを活用して所在情報・収集資料の共用化を図る。上記の目的に基づき、第3年度はロシア国内での調査収集の拡充を図る予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大のためロシアを中心とした海外調査が不可能となり、事実上研究遂行が停止状態のなかで計画の大幅な見直しを行わざるを得なかった。海外調査が困難ななか、研究成果の発信に力点を置くこととし、11月14日開催のロシア史研究会大会パネル「日ソ戦争-研究の新視点と新資料」において「ソ連軍の満洲占領と地域秩序の崩壊」と題する報告を行った。また、ロシア調査で収集した資料を基に『海外引揚の研究-忘却された「大日本帝国」』(岩波書店、2020年11月)を刊行した。また、各分担者においても単著の刊行など研究成果の発信に努めた。この他、資料調査に関しては、日本国内(樋口季一郎記念館・鶴岡市郷土資料館・舞鶴引揚記念館など)での日ソ関係資料の調査を行い、初年度から続けているロシア語文献収集および収集資料のデータベース化による基盤構築研究を進めた。
著者
大嶋 和雄
出版者
石油技術協会
雑誌
石油技術協会誌 (ISSN:03709868)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.300-309, 1991 (Released:2008-03-27)
参考文献数
19

On the geological scale, earth history yields vital information concerning past environments and climates. This highlights the urgency for increased collaborative international response and research into solutions of problems posed by current climatic changes, whether natural or induced by the activities of man. Climatic changes occur on variety of timescales, ranging from catastrophic volcanic eruptions (minutes or days), through gradual changes in Earth's orbital parameters (104-106 years) to tectonically driven changes (106-108 years). It seems likely that the long-term fluctuations of climates (less than the time-scale of planetary evolution), which give rise to glacial epochs, are largely determined by continental plate distributions and movement, whilst the shorter-term fluctuations which produce glacial and inter-glacial periods in glacial epochs reflect variations in coming solar radiation.Attention is focussed on the possible existence of an anoxygenic, primeval atmosphere and on the history of atmospheric CO2. Five great biologic revolutions have occurred through earth history that have fundamentally shaped the modern geochemical picture. It is significant that organisms have controlled their own environment. Organic CO2 and calcium budget have played critical roles.
著者
橋本 洋一郎
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.416-421, 2018 (Released:2019-04-22)
参考文献数
13

RCVS comprise a group of disorders characterized by prolonged but reversible vasoconstriction of the cerebral arteries, usually associated with acute–onset, severe, recurrent headaches, with or without additional neurologic symptoms and signs. Recurrent thunderclap headaches, seizures, transient ischemic attacks, brain infarctions, brain hemorrhages and non–aneurysmal subarachnoid hemorrhages can all reveal RCVS.Stroke can occur a few days after initial normal imaging, and cerebral vasoconstriction is at a maximum on angiograms 2–3 weeks after clinical onset. Segmental constrictions of cerebral arteries resolve within 3 months. RCVS is supposedly due to a transient disturbance in the control of cerebrovascular tone.
著者
加納 弘 KANEO SEKIGUCHI 下岡 釿雄 沖 俊一
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Supplement4, pp.121-130, 1984-06-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
5

Sulbactam (SBT) およびSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ=1: 1) の吸収, 分布, 代謝およひ排泄をマウス, ラットおよびイヌを用いて検討した。SBT/CPZをラット, イヌに静脈内投与した時の血中濃度半減期はラットでSBT: 20分, CPZ: 21分, イヌでSBT: 30~35分, CPZ: 42~46分であった。またマウスに皮下投与した時の血中濃度半減期はSBT, CPZともに20分であった。SBT/CPZをラットに籐脈内投与した時の臓器・組織内濃度はSBT, CPZともに腎臓肝臓, 血清, 肺臓の順に高く, マウスに皮下投与した時はSBTで腎臓, 血清, 肺臓, 肝臓CPZで肝臓, 腎臓血清, 肺臓の順に高かった。SBTはラット, イヌで尿中排泄型, CPZはラットで胆汁中排泄型, イヌで尿中排泄型であった。なおラット尿中にはSBT, CPZ以外の抗菌活性をもった代謝物は認められなかった。SBTCPZを併用した場合, SBTの各極助物の血清蛋白に対する結合率はラット: 56%, ヒト, イヌ, ウサギで約20%であり, CPZではこれらの動物で77~93%であった。SBTの吸収分布およひ排泄はSBT単独投与とSBT/CPZ併用投与ではほとんど差が認められなかった。
著者
中山 千尋 岩佐 一 森山 信彰 高橋 秀人 安村 誠司
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.753-764, 2021-11-15 (Released:2021-12-04)
参考文献数
18

目的 2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故から9年経った現在でも,「放射線の影響が子どもや孫など次の世代に遺伝するのではないか」という「次世代影響不安」が根強く残っている。マスメディア報道やインターネットによる情報等が,この不安に影響していると考え,その関連を明らかにして,今後の施策に繋げることを目的とした。方法 2016年8月に,20~79歳の福島県民2,000人を対象に,無記名自記式質問紙による郵送調査を実施した。福島県の会津地方,中通り地方,浜通り地方,避難地域から500人ずつ無作為抽出し,原発に近い沿岸部の浜通りと避難地域のデータを分析対象とした。目的変数は「次世代影響不安」で,その程度を4件法で尋ねた。説明変数は,放射線について信用する情報源と,利用するメディアを尋ねた。この他に属性,健康状態,放射線の知識等を尋ねた。2つの地域を合わせた全体データで,「次世代影響不安」と質問項目との間で単変量解析を行った。次に「次世代影響不安」を目的変数,単変量解析で有意差があった項目を説明変数として重回帰分析を行った。さらに,このモデルに項目「避難地域」と,「避難地域」と全説明変数との交互作用項を加えて,重回帰分析を行った。結果 有効回答は浜通り201人(40.2%),避難地域192人(38.4%)であった。重回帰分析の結果,次世代影響について,2つの地域全体では,政府省庁を信用する人,健康状態がよい人,遺伝的影響の質問に正答した人の不安が有意に低かった。また,がんの死亡確率の問題に正答した人は,不安が有意に高かった。さらに浜通りを基準にして交互作用項を投入したモデルでは,浜通り地方で,全国民放テレビを利用する人の不安が有意に高く,遺伝的影響の質問に正答した人の不安は有意に低かった。避難地域を基準にしてこのモデルを分析すると,避難地域は全体と同じ結果であった。結論 二つの地域で,情報源とメディアが次世代影響に有意に関連していた。報道者が自らセンセーショナリズムに走らないような意識が必要である。受け手は正しい情報を発信している情報源やメディアの選択が必要であり,メディアリテラシー教育の必要性が示唆された。また,健康状態の向上は,不安を下げる方策であることが示唆された。一方がんの死亡確率の知識は,伝え方に誤解を招かないような工夫を要することが示唆された。さらに,遺伝的影響の知識の普及は不安を下げる方策であることが示唆された。
著者
周 燕飛
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2019.001, (Released:2019-04-12)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本研究は,母親による児童虐待の発生要因について,子育て世帯に対する大規模調査データを用いて分析を行った。その結果,児童虐待が発生する背景には,母親の病理的要因のみならず,経済環境と社会環境も影響していることが分かった。具体的には,母親が健康不良,うつ傾向,DV被害者といった病理的特徴を持つ場合や,貧困など経済状況の厳しい場合,周囲から十分な育児支援を得られない場合に,虐待確率が高い。 いずれの種別の児童虐待についても,健康不良,メンタルヘルスの問題,未成年期の虐待経験など,母親自身の病理的要因の影響が確認される。一方,経済環境と社会環境の影響は,虐待の種別により若干の違いが見られる。「身体的虐待」は,貧困家庭というよりも,多子家庭で生じやすい。「育児放棄」は,低出生体重児のいる家庭やひとり親家庭で発生する確率が比較的高い。
著者
近藤 雅樹 Masaki Kondo
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.395-407, 2012-02-27

火葬後,近親者が集まり,遺骨を粉にして服用する。あるいはこれに類する行為をおこなう。そのような習俗が日本のいくつかの地域で近年までおこなわれていた。公然とではないが点在していた。 この原稿では,何人かのインフォーマントから聞いた話と,近年の報告を紹介する。そして,こうした習俗が行われていた理由について考えてみる。 主要な事例報告対象とした地域は,以下のとおりである。 兵庫県淡路島南部,愛媛県越智郡大島,愛知県三河地方西部,新潟県糸魚川市。 近親者による食屍は,アブノーマルなことに思われる。しかし,長寿を全うした者,崇敬を集めていた人物が被食対象となっていることからは,死者の卓越した生命力や能力にあやかろうとする素朴な思いが反映していることを認めることができる。最愛の妻などの遺骨をかむことに対しても,哀惜の感情が表明されている。これらの行為は,素朴な人間感情の表出であると考えてよい。
著者
天羽 優子 菊池 誠 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.342-346, 2011-05-05 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

「『ありがとう』などの『よい言葉』を見せたり『美しい音楽』を聴かせたりした水は凍らせたとき美しい結晶を作るが,『ばかやろう』などの『悪い言葉』を見せた水は凍らせても結晶を作れない」というのが「水からの伝言」という物語である.この単なるファンタジー(ないしはオカルト)が,時に「科学的」とさえみなされ,学校教育の現場にまで浸透している.ここでは,予備知識のない読者を想定し,「水からの伝言」をめぐる状況を紹介し,関連する問題点や論点を簡潔に整理したい.
著者
尾身 茂
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.439-445, 2009 (Released:2014-06-13)
参考文献数
4
被引用文献数
3
著者
石田 修一
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.139-166, 2020 (Released:2020-04-01)

「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が平成30年12月に文化庁から示された。このガイドラインが示されたことによって,現場の指導者たちから「これでは今までの演奏レベルを維持することができない」と心配する声が聞こえてきた。 管打楽器は楽器を持ったその日からメロディーを演奏することや,友人と合奏の喜びを味わうことはできない。楽音が出るまで地道な努力が必要である。そのためにはある程度の時間が必要である。その時間が「ガイドライン」によって短縮され,「演奏のレベルダウンはしかたがない」とあきらめてしまう指導者が増えてきた。 本報告・資料は「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に基づいて、限られた時間を有効に使い,今までより短時間で子どもたちが演奏技術を習得し,成長する新しい指導法について小学校,中学校,高等学校各吹奏楽部で試行した結果をまとめたものである。
著者
石川 伸一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.372-373, 2019-08-20 (Released:2020-08-01)
参考文献数
4

私たちが普段料理やスイーツを食べる前に,その色や形のビジュアルや,漂う香りなどから目の前の料理を評価する。この料理やスイーツのおいしさを決める要因はさまざまで,外観,におい,味,温度,食感などの「食べもの側の要因」はもちろんであるが,空腹具合や健康状態の生理的な要因や,メンタル面の心理的要因などの「食べる人側の要因」も考えなければならない。つまり,おいしいスイーツの秘密を探ったり,おいしいスイーツを開発することを極めていけば,必然的に「食」だけではなく,「人」がおいしく感じることについても分子レベルで調べることに行き着くことになる。その例をいくつか紹介する。
著者
高田 知紀 梅津 喜美夫 桑子 敏雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_167-I_174, 2012 (Released:2013-01-30)
参考文献数
32
被引用文献数
1 8 5

東日本大震災では,多くの神社が津波被害を免れたことが指摘されている.本研究では,日本の神社に祀られる祭神の多様性は,人びとの関心に応じた差異化の結果であるという仮説から,宮城県沿岸部の神社についてその祭神と空間的配置に着目しながら被害調査を行った.祭神については特に,ヤマタノオロチ退治で知られるスサノオノミコトに着目した.スサノオは無病息災の神として祀られることから,洪水や津波といった自然災害時にも大きな役割を果たすと考えられる.また,地域の治水上の要所に鎮座していることが多い.東北での調査から,スサノオを祀った神社,またスサノオがルーツであると考えられる熊野神社は,そのほとんどが津波被害を免れていることを明らかにした.この結果は,地域の歴史や文化をふまえたリスク・マネジメントのあり方について重要な知見を提供する.
著者
嵩原 広宙 田中 秀樹 岩城 達也
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-17-00030, (Released:2018-02-09)
参考文献数
22

Emotional state before sleep affects the subsequent sleep onset. The purpose of this study was to investigate how positive/negative emotion before sleep effected hypnagogic state. The movies eliciting positive or negative emotion were presented before sleep. Hypnagogic imagery was recorded as a probe of emotional experience and EEG microstate analysis was used for finding the emotion related EEG activities. The score of emotion ratings for hypnagogic imagery indicated that positive emotion was reported in not only positive condition but also in negative condition. This implied that hypnagogic state might be accompanied by positive emotion. Comparing the appearance of maps obtained from microstate analysis between conditions, the map of right temporal activity was significantly greater in positive condition while the map of the left frontal activity was greater negative condition. These results suggested that the emotion not just in presleep but also in hypnagogic state was involved in sleep onset process.
著者
武田 宗和 名取 恵子 諸井 隆一 原田 知幸 矢口 有乃 稲垣 伸洋
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.735-739, 2013-05-31 (Released:2013-07-26)
参考文献数
10

要旨:【症例】37歳飲酒歴のない女性。意識障害で発見され救急搬送,既往は躁鬱病と境界型人格障害。来院時ショック状態で下血を認め,緊急下部内視鏡検査で直腸から左側結腸まで全周性・連続性の発赤とびらんを認めた。翌日,薄めたウオッカ約1L(推定アルコール濃度49%)を自ら注腸したことが判明,虚血性腸炎に準じ保存的治療を選択。8病日の内視鏡検査では直腸からS状結腸までは粘膜の修復が認められ保存的治療を継続した。4週間後,下行結腸の高度な腸管狭窄を合併したため,本人との話し合いの結果,横行結腸に人工肛門を造設することとなった。【考察】過去の報告では,アルコール注入による直腸結腸炎は保存的治療で治癒することが多いとされる。本例は高濃度のアルコールが大量に注入され広範囲に腸管が傷害された上にショック状態に陥り,腸管虚血をきたしその治癒過程で腸管狭窄を合併したものと推察された。本例における治療方針に関する問題点をふまえ文献的考察を加え報告する。
著者
近江 龍一 西原 陽子 山西 良典
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

Web上に投稿される情報の中には青少年にとって有害な情報,特に猥褻な意味を持つ言葉は直接記述されず暗喩により表現されることが多い.本研究の目的は暗喩を用いて表現されている有害な文に対してフィルタリングを行うことである.提案手法では有害表現が含まれる文をドメインごとに機械学習し有害表現の分類器を作り,有害表現をフィルタリングする.提案手法の有用性を評価する実験をR-18指定の小説を使い行った.
著者
酒向 貴子 川田 伸一郎 手塚 牧人 上杉 哲郎 明仁
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Museum of Nature and Science. Series A, Zoology = 国立科学博物館研究報告. A類, 動物学 (ISSN:18819052)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.63-75, 2008-06

The distribution of latrines of the raccoon dog, Nyctereutes procyonoides, was examined from July 2006 to December 2007 in the Imperial Palace grounds, Tokyo, Japan. The raccoon dog is accustomed to defecate at fixed locations, forming holding latrines; thus the distribution of latrines is a good indicator of their abundance. The results suggest that the latrines are widely scattered in the study site, but are more dense in the Fukiage area, where an old-growth broad-leaved forest is established. The latrine sites are used more frequently from September to December, as the number of fresh feces increased in the autumnal season. To examine the seasonal food changes of the raccoon dogs, 10 pieces of feces from some latrines were collected every month and analyzed the indigestible contents in the sampled feces. The food items identified consisted of animal, plant and man-made materials, suggesting that the raccoon dogs were highly omnivorous. The animal materials found from the feces included mammals (4% of total feces), birds (37%), reptiles (2%), amphibians (3%), insects (95%), chilopods (56%), isopods (2%) and gastropods (12%). Invertebrates were the most abundand food item throughout the year. Three coleopteran families, the Carabidae, Staphylinidae and Scarabaeidae, accounted for a large proportion of the insects and they showed seasonal fluctuations. These suggest that the raccoon dogs fed on them as major animal food resources in the study site, and perhaps the seasonality is related to the temporal changes of availability of the insects. The majority of plant materials found in the feces was a variety of seeds, suggesting that the raccoon dogs fed on berries and fleshy fruits throughout the year. The occurrence of seeds decreased from March to April, which coincided with a low availability of fruits. The seeds found in feces were categorized into three types : (1) the short-term berry type including Prunus (Cerasus) spp., Moms spp., Rubus hirsutus and Machilus thunbergii, which occurred only a short term after their fruiting periods ; (2) the long-term berry type, including Celtis sinensis, Aphananthe aspera and Swida controversa, which occurred continuously for three or more months after the fruiting periods ; (3) the acorn type, including Castanopsis spp., Quercus spp. and Ginkgo biloba, which occurred in early spring (January to April) when the other fruits are scarce. The seasonal change of the three fruit types implies that the raccoon dogs consume the available fruits in relation to the successive fruiting periods. The proportion of artificial materials found in the feces was considerably lower than in previous studies carried out in the suburbs of Tokyo, suggesting that the raccoon dogs in the study site strongly depend on natural foods. Most of the natural food items were native to Japan since the past Edo period. Thus we conclude that the preservation of biodiversity in the Imperial Palace grounds was essential for the re-colonization by the raccoon dogs of the Tokyo metropolitan area after the 1970s.
著者
松阪 崇久
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.90-106, 2018 (Released:2018-12-27)

動物ショーやテレビ番組に出演するチンパンジー・パンくんの映像作品を用いて、パンくんの感情表出についての分析を行った。映像作品でのパンくんは、着衣で二足歩行を行うことが多く、自然なチンパンジーの姿とは大きく異なっていた。テレビ番組用の映像と動物ショーの本番の映像では、それ以外の動物園などでの映像と比べて、チンパンジー本来の姿とのズレが大きく、感情表出に関しては、ポジティブな笑顔や笑いの表出よりも、恐怖・不安・不満といったネガティブな表出が多い傾向があった。とくにテレビ番組では、パンくんに試練を課し、不安やストレスを与えるシーンもしばしば見られた。このようなパンくん自身の感情表出以外に、テロップ、ナレーションや、チンパンジーの音声の追加によって、パンくんの感情を演出または改変する場面もあった。以上の結果を元に、ショーやテレビにチンパンジーが出演することの問題点について議論した。また、動物の福祉を考える上で、笑いや遊びに注目する意義について考察した。
著者
板屋 民子 飯島 正雄 斉藤 貢一 正木 宏幸 青木 敦子 斎藤 章暢 安藤 佳代子 徳丸 雅一 坂東 正明
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
食品と微生物 (ISSN:09108637)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.203-212, 1992-03-20 (Released:2010-07-12)
参考文献数
10

A large number of Photobacterium phosphoreum (6-7 log/g) was isolated from “tamagoyaki” (a kind of nigirisushi; Japanese food) that had been lumineferous in the dark. The isolates were smeared on the surfaces of sliced “tamagoyakis”. After the incubation at 10°C for 48 hr or at 25°C for 24 hr, the surfaces became luminous. It was indicated that this abnormality of “tamagoyaki” was caused by contamination with and multiplication by P. phosphoreum.On the surface of “tamagoyaki”, the bacteria in an early growth phase in such a small number as 4 log/g luminesced. Furthermore, the luminescence was observed when pieces of squid, boiled prawn or “yakichikuwa” (a kind of food made of fishes) with the bacteria were incubated, but not observed on pickled Japanese gizzard shad. Nevertheless the the bacteria grew on the surface of tuna, but no luminescence was observed on it.The bacteria produced a small amount of histamine on squid and tuna (less than 250μg/g), and their ability to putrefy food seemed to be low.The opitmum concentration of sodium chloride for growth of the bacteria in a medium was 3%, but they grew in food containing sodium chloride less than 0.5%. When sodium chloride in the medium was replaced by potassium chloride, calcium chloride, magnesium chloride, ammonium chloride or sodium phosphate, the bacteria were still able to grow but unable to grow when replaced by potassium phosphate or sucrose. The bacteria metabolized arginine by arginine decarboxylase but not by arginine dehydrolase.

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