著者
久保 英幸
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.219-228, 2010-07-30 (Released:2010-08-10)
参考文献数
31

The occurrence of human-human infection with the new influenza A(H1N1) virus (AH1pdm) was reported for the first time in the United States in late April 2009. Sequentially, pandemic AH1pdm was reported worldwide. Laboratory examinations to detect AH1pdm genes in the specimens of patients with influenza-like illness (ILI) were performed with real-time RT-PCR and conventional RT-PCR at my institute in Osaka City. The first case of AH1pdm genes detection in an ILI patient specimen occurred on April 30, 2009. The number of ILI patient specimens examined increased in May 2009, and 37-120 specimens per month were examined from May to December 2009. In Osaka City, the pandemic of AH1pdm began in July 2009 and the pandemic peak was observed in November 2009. Thereafter, the number of ILI patients with AH1pdm infection decreased gradually and the pandemic of AH1pdm was close to exhausted in March 2010. As it is not possible to estimate the pandemic pattern of AH1pdm in the future, strict surveillance for AH1pdm must be performed with other seasonal influenza viruses.
著者
山口 晃史 久野 道 堀谷 まどか 渡邉 典芳 久保 隆彦 加藤 達夫 村島 温子
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.449-453, 2010-07-20 (Released:2017-08-18)
参考文献数
17

米国疾病予防管理センター(Center for Disease Control;CDC)やアメリカ産婦人科学会(American College of Obstetricians and Gynecologists;ACOG)は過去の世界的大流行における調査から,妊婦はインフルエンザ感染症に対しハイリスクグループとし,1999 年より妊娠初期を除く妊婦に対してのインフルエンザワクチン接種の推奨を開始,2004 年には妊娠初期を含む全期間での妊婦に対する接種へ対象を拡大している.本邦でも妊娠中のインフルエンザワクチン接種は少しずつ推奨されてきており,その安全性を評価した.2007 年~2009 年に季節性インフルエンザワクチン接種を行った182 症例に対し,妊娠初期,中期,後期の接種時期別に調査を行い,各時期での安全性を妊婦への副反応,胎児への影響を評価した結果,ワクチン接種時の妊娠週数にかかわらず,接種に関連する有意な母体の副反応,児の流・早産,奇形は認められず,ワクチン接種の安全性が確認された.
著者
西田 季里 久保田(河本) 愛子 利根川 明子 遠藤 利彦
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
no.58, pp.31-39, 2019-03-29

With the growing interest in "non-cognitive abilities" in the field of early childhood education in recent years, it is necessary to carefully examine once again what is the non-cognitive( socio-emotional) competence, and what it means to support the growth of non-cognitive( socio-emotional) competence. This paper examines the major, previous findings of non-cognitive( socio-emotional) competence with a particular focus on the self-efficacy and intrinsic motivation among other non-cognitive( socio-emotional) competence and describes the baseline temperament for intervention and its content, as well as measuring techniques for young children.
著者
樋口 寿 藤田 朋子 久保 美帆
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.17-25, 2008-03
被引用文献数
2

近年、「キレる」などに代表される精神的な健康問題は、深刻な事件と結びつくものがあり、その社会的関心も高い。その原因の一つとして食生活が注目されている。過食や偏食、欠食等が身体的な健康に影響を与える因子であることから、食生活は精神的な健康にも影響を与える因子であることが推測できる。そこで本研究では、大学生の食生活や生活習慣における実態を調査し、特に精神的健康との関連について検討した。平成18年6月に近畿大学農学部1・2回生268名を対象に食物摂取頻度、生活習慣、自覚症状、食行動に関する項目について自己記入式のアンケート調査を行った。1)朝食は全体の75%が「毎日食べる」と答えたが、朝食の欠食は有意に男子で高かった。間食の頻度は女子が有意に高かった(p<0.01)。2)食物の摂取頻度では、野菜類、菓子類は女子の摂取頻度が多く、嗜好飲料、インスタント麺、ファーストフード、お酒は男子が多く、性差が認められた。女子に便秘傾向の者が多く、男子に運動習慣のある者が多かった。3)自覚症状を因子分析した結果、3つの因子が抽出され各因子を「精神的不安定」・「睡眠障害」・「身体的症状」とした。各項目で性差が認められたのは、「精神的不安定」の「自分がうつだと感じることがある」「イライラすることが多い」「頭がぼんやりする」と、「身体的症状」の「肩がこる」「疲れやすい」「目が疲れる」「目の前が真っ暗になり倒れそうになったことがある」の7項目で、いずれの項目においても女子が有意に高かった。4)食行動を因子分析した結果、3つの因子が抽出され各因子を「外発的刺激摂食」「体質認識」「食べ方」と名付けた。「外発的刺激摂食」と「体質認識」の全項目で、男子より女子が有意に高く、食べ方では男子の「早食いである」が有意に高かった。5)「精神的不安定」と関連する因子をパス解析で検討した。「精神的不安定」に直接影響を与えている因子は、自覚症状から抽出された「睡眠不足」と「身体的症状」の2因子であった。食品摂取頻度から抽出された「加工食品」と「食生活」「生活習慣」は間接的に「精神的不安定」に影響を与えていた。
著者
久保田 育子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
人間文化論叢 (ISSN:13448013)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.335-343, 2006

This paper focuses on Gallathea written by John Lyly in 1591. Gallathea was one of the first English plays to use the heroines in male disguise. On the English Renaissance stage, women's roles were played by boy actors, who were considered to be immature as their gender/sex had not yet developed fully to adulthood. I will highlight the multiple gender identities of boy actors and female characters and also the confusions of gender/sex created by Lyly's duplication of cross-gender disguise. In Gallathea, the two heroines disguised as boys fall in love with each other and their tangled sexual relationship shows aspects of the polymorphously perverse. The paper is divided into three parts. I will first illustrate the setting of the world of Gallathea and Lyly's design. The second part examines the relationship between male attire and constructions of male gender. In the third, I would like to explore the representation of women in breeches, which has been symbolized as invasion of the sexual norm. My focus is on the fabrication of the male gender/sex created by male clothing. The ambiguities of gender identity created by cross-gender casting and cross-gender disguises show the plasticity and multiplicity of gender/sex and sexuality.
著者
久保 賢太 片平 健太郎 池田 大樹 岡田 正人 岡ノ谷 一夫 川合 伸幸
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.483-487, 2013-12-01 (Released:2014-12-24)
参考文献数
8

この度はこのような栄誉ある賞を戴くことができ,大変感激しております.私の受賞に関しては,研究の成果の大きさというよりも,アプローチのユニークさを評価していただのではないかと考えております.私は,JST ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクトにおいて,コミュニケーションや社会的な場面で生じる情動を,自律神経系活動・脳活動を用いて検討しております.本研究は,二者間の息の合ったコミュニケーションを解明する試みとして実施しました.これからも,実生活に潜む面白い現象を抽出することを目的とし,日々一つ一つ成果を積み上げて参りたいと思います.こうした一風変わった研究を実施できたのも,プロジェクトの総括でいらっしゃる岡ノ谷一夫東京大学教授と,私の所属する名古屋サイトのグループリーダーである川合伸幸名古屋大学准教授の懐の広いご指導の賜物です.お二人には,感謝してもしきれない御恩を感じております.このたびの受賞も,未熟な私を日ごろから丁寧に指導してくださっている川合伸幸先生と,研究室スタッフの皆様のおかげです.この場をお借りして感謝を申し上げます.
著者
牛垣 雄矢 久保 薫 坂本 律樹 関根 大器 近井 駿介 原田 怜於 松井 彩桜
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.285-306, 2020 (Released:2020-11-10)
参考文献数
34

アクアラインの通行料引下げの結果,高速バスによる東京都心部や川崎・横浜方面への通勤者が増加し,その中にはパーク&ライドを行う人も多い.東京大都市圏郊外としては相対的に地価も安いため,木更津市の人口は増加し,中心市街地から離れた郊外住宅地がその受け皿となっている.市や県など行政の協力・連携のもと,イオンモールなどのショッピングセンターが立地し,周辺ではチェーン店等が集積した.これにより木更津市の買物環境と商業中心性は向上したが,中心市街地の個人商店は厳しい状況にあり,スーパーやドラッグストアが少なく生活必需品が購入しづらい状況にある.その中でイオンによって無料送迎バスが運営され,高齢者の重要な移動手段となっている.木更津市の人口分布や商業は自家用車の利用を前提とした構造となり,イオンとの関わりや更なる高齢化が進展する中で,住民に対する買い物の機会や移動手段の確保が課題となっている.
著者
久保田 和男
出版者
長野工業高等専門学校
雑誌
長野工業高等専門学校紀要 = Memoirs of Nagano National College of Technology (ISSN:18829155)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1-7, 2016-06-30

This paper described the history of Kaifengfu and Jew people. North Sung(北宋) age,Jews arrived at China from the west and lived at Kaifengfu(開封府). Up to now for about about 1000 years, they keep living in eastern area of this city. They were the city people who made the commerce a bread-and-butter job. In Ming era(明代), Kaifengfu prospered as a local city in particular. A Jewish community also prospered during the time. In 1644, a deluge of the Yellow River has destroyed their synagogue.it was possible to make it revive by the power of the community. Economy of Kaifengfu was depression in the modern times(afrer 1842). Jewish community also declined at the same time, and religious consciousness was being also lost.
著者
市原 慎介 吉田 進悟 小嶋 文 久保田 尚
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_1165-67_I_1172, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本研究では,住宅街の狭幅員生活道路におけるハンプ設置の有効性の検証を目的とし,複数のハンプを短区間で連続設置することによる効果について検証した.社会実験の結果,短い間隔でハンプを連続設置することで,対象道路を走行する自動車の通過速度が著しく抑制され,道路全体の安全性・快適性の向上を図ることができた.従来影響が心配されてきたハンプ設置に伴う振動・騒音の発生に関しても,本実験のハンプ設置方法によって周辺環境に影響を及ぼさない程度に十分抑制されることが確認できた.また,対象道路の周辺住民の多くは住宅街におけるハンプの設置に関して高い評価をしており,本実験を通し,ハンプの短区間連続設置による交通静穏化に関する有効性を強く確認することができた.
著者
小泉 諒 西山 弘泰 久保 倫子 久木元 美琴 川口 太郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.592-609, 2011-11-01 (Released:2016-09-29)
参考文献数
30
被引用文献数
4 8

本研究では,1990年代後半以降における東京都心部での人口増加の受け皿と考えられる超高層マンションを対象にアンケート調査を行い,その居住者特性を明らかにするとともに,今日における住宅取得の新たな展開を考察した.その結果,居住者像として,これまで都心居住者層とされてきた小規模世帯だけでなく,子育て期のファミリー世帯や,郊外の持ち家を売却して転居した中高年層といった多様な世帯がみられた.それぞれの居住地選択には,ライフステージごとに特有の要因が存在するものの,その背景には共通した行動原理として社会的リスクの最小化が意識されていることが推察された.社会構造が大きく変化し雇用や収入の不安定性が増大している中で,持ち家の取得は,機会の平等が前提された「住宅双六」の形態から,個々の世帯や個人の資源と合理的選択に応じた「梯子」を登る形態へと変化したと考えられる.
著者
辻 順行 高野 正博 久保田 至 河野 洋一 徳嶺 章夫 嘉村 好嶺
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.993-1001, 1994 (Released:2009-06-05)
参考文献数
20

1992年6月より1992年9月までに,高野病院で経肛門的超音波検査によりcystic patternとして描出される肛門周囲膿瘍17例とmixed echoic patternとして描出される肛門周囲膿瘍5例を通じて以下の結果を得た。(1)視診,触診にて肛門周囲膿瘍と診断された症例に対して,経肛門的超音波検査を施行し,cystic patternとして描出される症例とmixed echoic patternとして描出される症例とに分けられた.前者は急性期を示し,排膿されるまでは周囲の脆弱部へ進展していく傾向が強いため,早期発見,早期外科的治療が重要で,抗生剤単独の治療は有効でなかった。それに対し,後者は排膿後に描出され,抗生剤による治療も可能であると考えられた。つまり経肛門的超音波検査により,より細かい肛門周囲膿瘍の病期の診断と治療法の判定が可能であった。

13 0 0 0 OA 1.心Fabry病

著者
久保 亨
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.293-298, 2014-02-10 (Released:2015-02-10)
参考文献数
9

Fabry病は,α-galactosidase A活性の欠損・低下によってひき起こされるX連鎖性遺伝のライソゾーム病であり,腎不全・心不全・脳血管障害にて中年期以降に死亡する進行性の疾患である.心病変では肥大型心筋症様の肥大を呈し拡張障害を認め,さらに進行すると収縮不全によって難治性心不全をきたすことが知られている.従来までの対症療法に代わり,本邦でも2004年から根本治療である酵素補充療法が可能となり,臨床の場において本疾患を認識し鑑別することは重要と考えられる.

13 0 0 0 OA 西行試論

著者
久保田 淳
出版者
日本学士院
雑誌
日本學士院紀要 (ISSN:03880036)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.21-38, 2023 (Released:2023-11-22)

In his work An Introduction to the History of Japanese Literature, Kato Shuichi observes that Saigyo's waka poetry communicates his emotions and experiences in a simple and direct language, which differs from the technical style of Fujiwara no Teika, an important poet in the Shinkokin Wakashu. At the same time, Kato argues that several of Saigyo's poems address the topic of kachofugetsu (“the beauty of nature”), which is the central theme of the aristocratic culture, similar to the poems written by court intellectuals in the Heian era; according to Kato, Saigyo submitted to this elite culture. In this essay, the author first questions this criticism of Saigyo, emphasizing the unique consideration of natural phenomena and ordinary lives in his poems and discussing the diversity of his writing by citing his works on natural phenomena, such as lunar eclipses and rainbows, and his poems about thieves—topics that did not interest poets before him. The essay notes that Saigyo enjoyed writing haikai verses, which were regarded as somewhat inferior “miscellany” poems in the Kokin Wakashu, and renga, which poets had composed as a hobby since the late Heian period, and considers the nature of the humor in these poems to emphasize Saigyo's critique of society. (View PDF for the rest of the abstract.)