著者
大久保 街亜 鈴木 玄 Nicholls Michael E. R.
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.474-481, 2014 (Released:2014-12-25)
参考文献数
27
被引用文献数
13 73

Quantitative assessment of handedness is required in various clinical and research settings in psychology, neuroscience, and medicine. In the present study we tested the reliability and validity of a Japanese version of the FLANDERS handedness questionnaire, which was a new measure of skilled hand preference originally reported by Nicholls, Thomas, Loetscher, and Grimshaw (2013). Participants (N = 431) completed three types of handedness questionnaires: the FLANDERS handedness questionnaire, Edinburgh Handedness Inventory, and H・N handedness test. Factor analysis revealed that the Japanese version of FLANDERS handedness questionnaire had a single-factor structure and high internal consistency. This questionnaire also possessed high test-retest reliability and criterion-referenced validity. These results indicate that the Japanese version of the FLANDERS handedness questionnaire is a valid and useful measure of skilled hand preference for Japanese participants.
著者
久保 健治 中川 慧 水上 大樹 Acharya Dipesh
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-029, pp.23-27, 2022-10-08 (Released:2022-10-01)

暗号資産販売所は、ビッド・アスク価格を提示し、顧客から暗号資産の注文を受け付ける相対取引サービスであり、暗号資産市場に流動性を供給している。顧客からの注文によって販売所の暗号資産の在庫は変化し、一方で、在庫は常に価格変動リスクに晒される。このため、適切な在庫管理が必要になる。同じ相対取引サービスである FX ディーラーの在庫管理問題については、確率制御に基づいた最適流動化戦略が提案されている。ただし、暗号資産市場は FX 市場と比べ、流動性が低く、ボラティリティが大きい。更に、暗号資産販売所においては顧客から注文に大きな偏りがみられる。そのため、暗号資産販売所における在庫管理問題を解決するためには、暗号資産市場に特有の性質を考慮して、最適流動化戦略を構築する必要がある。そこで、本研究では暗号資産販売所に対する在庫管理問題を定義し、確率制御に基づき最適流動化戦略を提案する。また、モデルパラメータを bitFlyer の公開データを用いて推定し、数値計算により、最適流動化戦略を得た。得られた結果から、注文頻度の偏りが最適流動化戦略に影響を与えることを示した。また、単純な流動化戦略と比較することで、提案手法の有効性も確認した。本研究は暗号資産販売所における最適流動化戦略という新たな領域を開拓するものになるであろう。
著者
加藤 斉史 土屋 江里 久保田 壮一 宮川 謹至
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.42-46, 2012 (Released:2012-04-01)
参考文献数
4
被引用文献数
4

JSTが中心となって現在開発中のジャパンリンクセンター(JaLC)は,国内の各機関が保有する電子的学術コンテンツ(雑誌論文,書籍,学位論文等)の書誌・所在情報を一元的に整備・管理し,国際的なデジタルオブジェクト識別子であるDOIの付与機能も備える日本の情報機関が共同で運営するシステムである。国内外の学術コンテンツとのリンクや引用・被引用情報を提供することで,日本の情報サービスの機能向上と学術情報の発信力強化に資するものである。ジャパンリンクセンターは,日本で発行される情報コンテンツにDOIを付与するため国際DOI財団(IDF)から9番目のDOI登録機関(RA)として認定を受ける予定である。
著者
久保 亨 森内 浩幸 西村 秀一 森田 公一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

肺炎は現在本邦での死因の第3位であり増加傾向にある。肺炎の治療において起因病原体の迅速な確定診断と薬剤耐性の有無の検索は非常に重要である。我々は、簡便で迅速な遺伝子増幅検査法であるリアルタイムPCR法を用いた結核およびその他の肺炎の簡易迅速確定診断・薬剤耐性判定システムの構築を行い、実臨床における有用性を示し、その地域医療への応用を行っている。この系を用いれば、より迅速に低コストで肺炎の鑑別診断と薬剤耐性の有無の推定が可能となり、地域の高齢化・医療過疎化の中でのより効率的な結核・呼吸器疾患コントロール対策モデル作りに繋がると考えられる。
著者
佐々木 仁子 久保田 正人
出版者
千葉大学外国語センター
雑誌
言語文化論叢
巻号頁・発行日
no.10, pp.13-24, 2002-07

この論文では、聾者の間から自然発生した「日本手話」が、一見したところ、自然言語としての日本語と少し異なるように見えるが、本質的には日本語そのものであることを論じた。
著者
山本 和奈 岩島 覚 西尾 友宏 塩澤 亮輔 久保田 晃 三牧 正和
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.967-973, 2019-05-01

ブラインドやカーテン留め等のひも状部分が偶然,子どもの頸部に絡まり,縊頸をきたす事故が報告されている.この事故は世界的にも問題になっており,判明しているだけでも世界15か国で250件以上の死亡事故が報告されている.残念ながら,本邦でもブラインドひもによる小児縊頸事故は発生している.ほとんどの事故死は,啓発により予防することができると考えられるが,本件に関しては発生件数が減少していないのが現状である.われわれ小児科医は保護者や企業,行政と協力し,小児縊頸事故の予防,対策に徹底的に取り組む必要がある.最近,われわれは「ブラインドひもによる縊頸の1例」を経験した.本稿では,小児縊頸事故についての現状を把握し,この事故を防ぐために,現状ではどのような問題が存在し,事故を予防するにはどのような対策が必要なのか,具体例を交えて考察する.
著者
川久保 篤志
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.40, 2013 (Released:2013-09-04)

1.はじめに 2011年3月の東日本大震災に端を発する福島第一原発の未曾有の大事故は、現在でも事故原因の究明が完全には進んでおらず、避難を余儀なくされている原発周辺住民の帰還の目途も立っていない。にもかかわらず、政府は将来における原発廃止を決定できずにいる。この背景には、国家レベルでのエネルギーの安定供給の問題に加えて、原発の立地に伴う電源三法交付金による地域振興効果に期待する立地自治体等の思惑がある。 では、原発の立地地域では交付金をもとにどのような地域振興が図られてきたのか。本発表では、これまでの研究蓄積に乏しい島根原子力発電所(以下、島根原発)を事例に検討する。島根原発が地元にもたらしてきた交付金は1980年代に入って急増し、2010年までに累計720億円に達しており、その使途について検証する意義は大きいと思われる。 なお、島根原発が立地する松江市鹿島町は、松江市と合併する2005年までは八束郡鹿島町であったため、合併前に建設された1号機・2号機に関する地域振興効果の分析は旧鹿島町域で行い、現在建設中の3号機に関する分析は新松江市域で行うことにする。2.1号機・2号機の建設に伴う旧鹿島町の交付金事業の実態 旧鹿島町は、島根県東部の日本海に面した人口約9000人、面積約29km2の小さな町で、県東部有数の漁業の町として発展してきた。島根原発計画は1966年に持ち上がり、当時は原子力の危険性より用地買収や漁業補償に焦点が当たりながら、1974年には1号機、1989年には2号機が稼働した。 これにより多額の交付金や固定資産税が入ってきたため、特に1980年代と2000年代に積極的に地域振興事業が行われた。旧鹿島町役場と住民へのヒアリングによると、その主な使途は1980年代半ばまでは学校や運動公園、保健・福祉関係等の箱モノ建設が中心だったが、次第に、歴史民俗資料館(1987年)、プレジャー鹿島(1991年)、野外音楽堂(1998年)、鹿島マリーナ(2002年)、温泉施設(2003年)、海・山・里のふれあい広場(2005年)など、娯楽・観光的要素の強い事業が増加してきたという。これらの事業の中で住民から評価が高いのは、小・中学校校舎の新増設や公民館・町民会館の建設で、次代を担う世代の教育と地域住民のコミュニティ活動を活発化させる上で大きな役割を果たしたという。また、1992年の下水道施設の整備も高齢者の多い地元では高く評価されている。 一方、産業振興という観点では農業と漁業の振興が重要だが、農業については水田の圃場整備事業やカントリーエレベーターの新設を行い、生産の効率化・省力化を進めた。また、プレジャー鹿島や海・山・里のふれあい広場では地元の農水産物等の直売が行われた。漁業についても、町内4漁港の整備改修が進められ、恵曇地区に水産加工団地が整備されたた。しかし、これらの事業は一定期間、農業・漁業の維持に貢献したものの、1990年代後半以降には担い手不足から衰退傾向が著しくなった。 また、都市住民との交流促進の観点からは、総合体育館(1998年)・鹿島マリーナ・温泉施設が一定の成果をあげている。例えば、総合体育館は1999年以降毎年、バレーボールVリーグの招待試合を開催しており、2010年以降には松江市に本拠を置くバスケットボールbjリーグの公式戦や練習場として利用されている。鹿島マリーナは贅沢施設に思えるが、町中央部を貫流する佐陀川に無造作に係留していた船舶がなくなることで浄化が進み、かつ、山陽地方の釣りを趣味とする船主が係留料を支払うことで多額の黒字経営を続けているという。また、温泉施設は年間20万人の利用者がおり、夕方以降は常に満員という状況にある。3.3号機の建設に伴う松江市の交付金事業の展開と問題点 2005年に建設着工した島根原発3号機は、出力が137万kwと1号機・2号機を大きく上回っており、その交付金事業は桁違いの規模になった。図1は、これをハード事業(施設の建設が中心)とソフト事業(施設の運営が中心)とに分けて、示したものである。これによると、交付金は着工後に急増して2007年にピークの75億円に達した後、稼働年(2012年予定)に向けて減額されていることがわかる。また、交付金の使途は減額が進む中でソフト事業を中心としたものに変化していることがわかる。なお、発表当日はこの資料をもとに、交付金事業の内容を批判的に検討する。
著者
大久保 利謙
出版者
法政大学史学会
雑誌
法政史学 (ISSN:03868893)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.4-24, 1959-10-10
著者
江口 和洋 久保 浩洋
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.32-39, 1992-03-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
18
被引用文献数
6 5

1.史料に基づき,日本におけるカササギの生息の起源について検討した。2.16世紀以前の史料にはカササギに関した具体的な記述はほとんどなく,17世紀以降の史料にはカササギの生息地,生息地域における呼称,習性などの記述が見られる。3.17世紀以降の江戸時代には,カササギは福岡,佐賀両県の有明海沿岸(旧柳川,佐嘉藩領内)で多く目撃されている。4.17世紀前半には,カササギが朝鮮半島より人為的に渡来したとの認識が広まっていた。5.佐嘉藩ではカササギをもたらした人物の名が記録されている。6.佐嘉藩ではカササギは捕獲禁止の対象となり,17世紀に禁止令が何度か発令された。7.史料検討の結果,カササギは17世紀以降に朝鮮半島より旧柳川,佐嘉藩領内へ移植され,藩主の保護策により個体数を増加させたと,推測される。
著者
平野 哲史 柳井 翔吾 高田 匡 米田 直起 表原 拓也 久保田 直人 南 貴一 広川 千英 山本 杏 万谷 洋平 横山 俊史 北川 浩 星 信彦
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第43回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-252, 2016 (Released:2016-08-08)

【背景】ネオニコチノイドは1990年代に昆虫型ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)を標的として開発された農薬成分である.しかし近年,ネオニコチノイドは哺乳類型nAChRsを介して神経細胞に興奮反応を引き起こすことが示され,昆虫以外の生物に対して不測の影響を与える可能性が懸念されている.我々はこれまでに成熟雄マウスをネオニコチノイドの1種,クロチアニジン(CTD)に4週間曝露すると,新規環境(オープンフィールド)における不安様行動が引き起こされ,その影響は環境ストレス下においてより顕在化することを報告してきた.本研究では,ネオニコチノイドによる行動影響発現に関与する脳領域を明らかにすることを目的とした.【材料と方法】C57BL/6成熟雄マウスに5または50 mg/kgの CTDを単回経口投与し,投与1時間後に高架式十字迷路試験による行動解析を行った.さらに2時間後に脳を摘出し,c-fos発現を指標とした組織学的解析により投与後誘導された神経活動を評価した.【結果と考察】行動解析の結果,CTD 5 mg/kg投与群においては溶媒投与対照群と比較してOpen arm滞在時間および侵入回数の減少がみられた.CTD 50 mg/kg投与群においては,さらに総移動距離の減少ならびに迷路探索時における異常啼鳴(Abnormal vocalization)およびすくみ行動(Freezing)が観察された.組織学的解析の結果,情動およびストレス反応に関与する視床下部,海馬においてc-fos陽性細胞数の増加がみられた.以上の結果から,CTD投与下においては,新規環境ストレスに曝露された際にコリン作動性神経投射を受ける視床下部や海馬における過剰な神経興奮が生じ,不安様行動やストレス応答を濃度依存的に誘発する可能性が示唆された.
著者
家入 章 対馬 栄輝 加藤 浩 葉 清規 久保 佑介
出版者
The Society of Japanese Manual Physical Therapy
雑誌
徒手理学療法 (ISSN:13469223)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.67-74, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
23

〔目的〕変形性股関節症(股OA)に対する徒手療法の効果について再調査することである。〔デザイン〕PRISMA声明を参考に作成したシステマティックレビュー。〔方法〕検索は,2022年3月31日まで実施し,MEDLINE/PubMed,Cochrane Library,Physiotherapy Evidence Database(PEDro)を使用した。対象は,40歳以上の股OA患者とした。〔結果〕4,630編の論文が特定され,適格基準を満たした13編の論文が選択された。本邦からの報告は無かった。12編はPEDroスケールで8点以上と高い研究の質を示した。徒手療法は,一般的治療や徒手療法を含まない治療と比べると股OAの痛み,身体機能,QOLの改善,質調整生存率(QALYs)の増加に有効であるとの報告が多かったが,効果を疑問視する報告も3編みられた。〔結論〕股OAに対する徒手療法の効果は他の治療と比べて明らかに効果があるとはいえない。本邦からの報告は皆無であるため独自の調査も望まれる。
著者
大久保 いづみ
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.4_25-4_51, 2015 (Released:2017-11-10)

This paper examines the influence of foreign alliances on competitive advantage in the Japanese record industry prior to World War Ⅱ. In pre-war Japan, the main industry competitors were Nihon Chikuonki Shokai (NCS), Nihon Victor Chikuonki (NVC), Nihon Polidor Chikuonki (NPC), King Record (King), Teikoku Chikuonki (Teikoku), and Dainihon Chikuonki (Dainihon). NCS and NVC had alliances with companies in the United Kingdom and the United States, while NPC and King partnered with German record companies. In contrast, Teikoku and Dainihon remained purely Japanese companies, without foreign affiliations.What benefits did the record companies receive from their foreign partnerships? And, how did the alliances influence the strategies of their counterparts?As concerns Western music recordings, the companies with foreign alliances maintained a formidable competitive advantage throughout the pre-war period. On the other hand, for recordings of Japanese music, technological disparity between firms with foreign alliances and solely Japanese firms were essntially erased, and the latter rose to competiveness with the former, especially in the so-called “ryukoka” (Japanese popular songs) market. Thus, the foreign-allied-companies were forced to focus on Japanese music more than ever, this in turn accelerated the expansion of the Japanese music records market. In this context, foreign-partnered companies, such as NCS and NVC, made important contributions to “the golden age of ryukoka”.Until the beginning of the 1930s, the keys to competitive advantage in the Japanese record industry involved the introduction of new technologies and the sale of Western music records, based on alliances with foreign companies. After the mid-1930s, however, the capability to produce and sell records of Japanese music played a larger role in determining competitive advantage within the industry.
著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 佃 美智留 土定 寛幸 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11692, (Released:2020-01-15)
参考文献数
26

【目的】投球動作におけるステップ脚膝関節動作と肘外反トルクとの関連から肘関節負荷を増大させる動作を検討する。【方法】中学生投手20 名のFoot Contact(以下,FC)以降のステップ膝動作を膝関節位置の変位が生じない固定群と投球方向へ変位する前方移動群の二群に群分けした。FC・肩関節最大外旋位(以下,MER)・ボールリリースのステップ膝屈曲角度,投球中の肘外反トルク(身長・体重での補正値)および投球効率(肘外反トルク/ 球速)を群間比較した。【結果】固定群は14 名,前方移動群は6 名であり,前方移動群のステップ膝屈曲角度はFC からMER にかけて増大することが示された。また,肘外反トルクおよび投球効率は固定群が前方移動群より有意に低値を示した。【結論】前方移動群はFC 以降に膝の縦割れが生じていることで,肘関節に過度な負荷が加わっていることから,ステップ膝動作の評価は野球肘の理学療法において重要であることが示唆された。
著者
山室 信一 小関 隆 岡田 暁生 伊藤 順二 王寺 賢太 久保 昭博 藤原 辰史 早瀬 晋三 河本 真理 小田川 大典 服部 伸 片山 杜秀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究においては、女性や子ども更には植民地における異民族までが熱狂をもって戦争に参与していった心理的メカニズムと行動様式を、各国との比較において明らかにすることを目的とした。そこでは活字や画像、音楽、博覧会などのメディアが複合的に構成され、しかも複製技術の使用によって反復される戦争宣伝の実態を明らかにすることができた。そして、このメディア・ミックスを活用する重要性が認識されたことによって、外務省情報部や陸軍省新聞班などが創設されることとなった。戦争ロマンの比較研究から出発した本研究は、戦争宣伝の手法が「行政広報」や「営利本位の商業主義」に適用されていく歴史過程を明らかにすることによって、総力戦という体験が現代の日常生活といかに直結しているのかを析出した点で重要な成果を生んだ。