著者
舟山 裕士 増田 高行 中村 正孝 佐々木 巌
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1.移植腸管浸潤リンパ球サブセットおよび接着分子発現の部位的検討【方法】経時的に屠殺し摘出したgraftをPLP固定後凍結切片上で免疫組織学的に各種リンパ球サブセットおよびICAM-1、LFA-1につき発現部位の相違につき検討した。【結果】MHCclassII抗原(Ia)は拒絶群で早期に粘膜固有層および陰窩上皮に発現した.ICAM-1は対照群と異なり血管内皮および間質細胞に強く反応し拒絶後期にはむしろ反応性は低下した.LFA-1は元来白血球の表面抗原であるが拒絶群の血管内皮にも一部反応性がみられた.特に、拒絶時には血管に接着し凝集像を示す白血球に強い陽性像がみられた.2.小腸保存と粘膜バリア【方法】移植前に1,4,8次間のEuro-Collins液または生食液にて冷保存したgraftで移植後のbacterial translocationを血中エンドトキシン濃度で検討した.【結果】Euro-Collins液で保存したgraftでは血中エンドトキシン濃度の上昇はみられなかったが、生食液で保存した群では8次間保存群で血中エンドトキシンは高値を示した.したがって、短時間の保存であれば生理食塩水で十分と考えられたが、保存時間は4時間を超えるべきではないと考えられた.3.移植におけるPCO-OH(過酸化リン脂質)の白血球刺激作用について【方法】30分阻血、最灌流30分後の小腸においてLTB4拮抗剤、allopurinolを前投与し粘着障害について検討した.【結果】LTB4拮抗剤、allopurinolの両者において粘膜障害を抑制したが、PCOOHの産生はallopurinolの前投与群でのみ抑制された.PCO-OHの過酸化に関わるラディカルは白血球に由来すると従来いわれていたが、むしろキサンチンオキシダーゼ系でありPCOOHは粘膜障害産物由来というよりは白血球活性化因子の一つであることがこの実験から明らかとなった.【研究のまとめと今後の展望】小腸移植における拒絶では早期にClassII抗原の発現とともに血管内皮上にICAM-1の発現があり、第1相とともに白血球の活性化が起こることが明らかにされたが、それとともにPCCOHが白血球の強い活性化因子であることが判明した.PCOOHは拒絶モニタリングに有用てあるばかりでなく、PCOOH産生を抑制することにより拒絶による粘膜障害を軽減する効果があることが期待される.
著者
佐々木 重洋 和田 正平 井関 和代 慶田 勝彦 武内 進一 野元 美佐 和崎 春日
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、今日のアフリカ諸社会にける青少年に注目し、彼らがそれぞれどのように文化を継承、再創造、あるいは破壊しているのか、その実態を明らかにした。また、それぞれの地域社会において継承されてきた伝統的な成育システムや相互扶助組織、各種の結社等の調査研究を通じて得られた成果をもとに、今後グローバル化の一層の進展が予想されるアフリカにおいて、将来的に青少年の人権を保護し、彼らの生活上の安全を保障するとともに、彼らが文化の担い手としての役割を十全に発揮できるような環境づくりに寄与し得るような指針のいくつかを提供することができた。グローバル経済の急激な浸透に直面する今日のアフリカの青少年にとって、人間の安全保障や人間的発展などが提唱する「能力強化」は、法的権利の行使や政治的発言力の獲得、女性の地位向上と彼女たちによる自らの主体性への覚醒、グローバル経済にアクセスして相応の利益を獲得するうえで確かに重要であり、そのために読み書きや計算などの基礎教育を充実させることには一定の意義がある。ただし、それぞれの地域社会で継承されてきた伝統的な成育システムがもつ今日的意義は決して過小評価されるべきでない。基礎教育の普及は、しばしばこれら伝統的成育システムの否定に結びつきがちであるが、それぞれの地域社会の文脈において、こうした伝統的成育システムがもつ多面的意義を正確に理解し、それらへ基礎教育を巧みに接合させる方途を探求することが有効である。本研究におけるこれらの成果は、人類学やアフリカ地域研究のみならず、コミュニティ・べースの開発論があらためて脚光を浴びている開発・経済学の分野にも一定の貢献をなし得るものと考える。
著者
藤枝 繁 佐々木 和也
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.755-761, 2005-09-15
参考文献数
30
被引用文献数
1 39

カキ養殖が盛んな広島湾江田島・倉橋島において, 海岸に漂着する発泡プラスチック破片とその主な発生源である発泡スチロール製フロートの港内における不適切な使用および海岸漂着後の放置の実態について調査した。34地点から245,656個の漂着物が回収され, そのうち98.6%が発泡プラスチック破片であった。同破片は98.5%が10.0mm未満の微小破片で, 漂着密度は44,521.3個/m^2であった。フロートは58港で6,760個が防舷物として使用されており, 一港あたりの平均使用個数は140.7個/港, 海岸漂着密度は1.1個/kmであり, いずれの値も江田島で高かった。
著者
加藤 和夫 志子田 有光 加藤 和夫 佐々木 整
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究計画に基づき、システムの構築、教材の作製を行い、実技教育を行う授業において2年間のデータをサーバに蓄積し、時系列分析を行った。これらの内容を論文(投稿中を含む)にまとめ、国内外の学会、研究会で報告した。その結果オープンソースLMSを大規模実習室に導入することでコストを軽減できるほか、柔軟な進捗分析を行うことができ、教育支援システムとして有効であることが確認された。
著者
佐々木 長市 松山 信彦
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

客土をもつカドミウム汚染水田模型を作製し、湛水条件下で、すき床層(汚染土)が開放浸透で酸化層となる閉鎖浸透模型において、稲体のカドミウム濃度および水稲の生育収量を調査した。カドミウムの濃度範囲は、玄米で0.000~0.200mg/kgとなった。開放浸透層模型の値が閉鎖浸透模型より大きな値となった。浸透型の差により生育には大きな差異は認められなかった。穂数、玄米重は開放浸透模型より閉鎖浸透模型で上回った。
著者
中林 智之 佐々木 敬泰 大野 和彦 近藤 利夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.4, pp.646-656, 2011-04-01

近年,モバイル端末等の消費エネルギーの増大が問題となっており,低消費エネルギーと高性能の両立が要求されている.そこで我々は,その要求を満たす手法の一つとしてVSP(Variable Stages Pipeline)を提案している.VSPはパイプライン段数を動的に変化させることで低消費エネルギーと高性能の両立を目指す手法である.また,LDS-cellという特殊なセルを導入することでパイプラインステージ統合によって増加する回路内のグリッチを削減している.しかし,LDS-cellはグリッチを低減するためにクロックを供給する必要があるため,クロックトリーの消費エネルギーが増大する危険性がある.そこで本論文ではLDS-cellの駆動によるオーバヘッドを低減する手法として,LDS-cellへのクロックゲーティング適用と,高性能セミスタティックTSPC DFFをベースとした改良型LDS-cellを提案する.更に,二つの提案手法を併用した場合に発生する問題点を解決する手法も提案する.提案手法を実装し,評価を行ったところ,従来VSPから18%消費エネルギーが低減できた.
著者
吉田 教明 古賀 義之 阿部 理砂子 小林 和英 佐々木 広光 荒牧 軍治
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.240-246, 1998
被引用文献数
1

非対称フェイスボウの作用および副作用を明らかにし, 本装置の臨床上有効なデザイン, あるいは副作用を削減する方法を究明するために, フェイスボウ形態を変化させた時に, 大臼歯に作用する力系がどのような影響を受けるかについて研究を行った.アウターボウの一側を他側に比べて長くした場合と側方拡大した場合の左右側大臼歯に働く遠心力, 側方力およびモーメントを骨組構造解析法を用いて算出し, 以下の結論を得た.1. フェイスボウの非対称性を増すことで, 片側の大臼歯をより遠心に移動させる効果は大きくなるが, 同時に側方力も増加し, 大臼歯の交叉咬合を生じる危険性が高くなることが明らかになった.2. フェイスボウの非対称の度合にかかわらず, 左右大臼歯にはほぼ同じ大きさの遠心回転モーメントが生じた.従来の研究より, 非対称フェイスボウのもう一つの副作用と考えられていた, 大臼歯の捻転度の左右差を増長するような効果は生じにくいと考えられた.3. 非対称フェイスボウの副作用を削減するために, フェイスボウを極端に非対称に作製することを避けることが推奨される.遠心移動を必要としない大臼歯側のアウターボウ後端をフェイスボウチューブの位置とし, 遠心移動が必要な大臼歯側のアウターボウ後端をその位置からアウターボウに沿って25mmから30mm延長するか, 15mm延長して側方に30mm拡大すると, 非対称フェイスボウの作用と副作用のバランスのとれた効果を発揮するデザインになると考えられた.
著者
佐伯 卓也 小宮山 晴夫 中嶋 文雄 沼田 稔 佐々木 盛男
出版者
岩手大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

研究目標は、本科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書にも記したが、教育現場でのパソコンのいかなる設置状態(教室に1セットから生徒1人につき1セットのランシステムまで)でも実現できて、伝統的な授業の教師の役割をあまり変えずに教師の個性が十分発揮できてそれでいて教室のハプニングにも臨機応変な対応ができるスタイルのパソコン利用の授業、非CAI的授業のソフト開発、非CAI的授業そのものの研究、あわせて、学生や附属学校の教師も参加しての教師教育、とくに学生の教師教育にあった。このためのパソコンソフトは、この期間に開発したのが23点、それ以前に代表者が開発したのが19点あるので、合わせて42点になる。このうち、29点は実際に附属中学校で、1年、2年の生徒を対象にして授業実践を経ている。教師教育については、非CAI的授業のソフトは、内容にもよるが、1単位時間のソフト開発時間が5時間ぐらいのものもあり、開発しやすい。このソフト作成技術とそれを利用した授業実践技術のマニアルにまとめた。さらに小学校算数教育のためのVTR教材を作成した。また、大学数学そのものの理解を助けるためのソフト作成も試み、今後の教師教育の課題の糸口をつかんだ。研究期間に開発したソフトの一部を、東北大学理学部、山形大学教育学部、八戸工業大学に提供、さらに現場関係では、岩手県総合教育センタ-にも提供した。また、ソフトや新しい知見は日本科学教育学会、日本教育工学会、日本教育情報学会、日数教数学教育論文発表会等で公表した。期間中の発表論文数は25本(報告書に記載)、以前の論文を合わせると関係論文数は57本あり、合計82本である。
著者
森田 孝夫 佐々木 厚司
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本研究の目的は,阪神・淡路大震災においてさまざまな生活支援施設の地震対応を調査し,実時間で最適な地域施設の対応システムを開発することである。研究実績をまとめると次の通りである。1, 地域施設の対応システム開発(医療福祉系):医療福祉系施設において,日常活動の非常時展開,および地域活動の拠点的展開に対応するために,共用スペース規模の量的充実に対する建築計画的配慮と,異分野や異属性のサービスのマネージメントの必要性が明らかになった。2, 地域施設の対応システム開発(消防・救助系):甚大な被害を受けた地区では,地域施設・設備も被害を受ける可能性が高いために,人間集団の協力に頼る率が高くなる。焼失型では,芦屋市や神戸市長田区真野地区のような民間消防団や企業消防団といった集団力を発揮させるソフト計画が必要となる。ただし,前提条件は局地的な被害実態と広域的な被害実態の両方の迅速な把握である。3, 地域施設の対応システム開発(商業系):コンビニエンスストアが早期に稼働する実態が判明したが,その他の施設の対応は期待できない。むしろ被害者自身が被害が小さかった地域の商業施設へ出かけたり,他府県に住む親類などによる個人的な運搬が非常に活発に行われた。問題はそのような行動ができない災害弱者に対して支給する緊急生活支援物資の調達・配送ネットワークの確立が必要である。
著者
佐々木 勝浩 渡辺 誠
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series E, Physical sciences & engineering (ISSN:03878511)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.17-42, 1996

The large Pillar clock with detailed hour scale 'SEIMITSU-SHAKUDOKEI' has been exhibited at the National Science Museum on loan from Mr. Shingo Takabayashi, on the scale of which has quite rare hour system, 13 deviding hour system, including special hour 'YO-JI', chinese character 'YO(餘)' of which means the remainder. In the historical investigations about astronmy in Ishikawa and Toyama prefecture, Watanabe, one of the authors, found the fact that the 13 deviding hour system was used in the old fief of Kage in Edo period. Also Watanabe and others found the astronomical clock 'SUIYOU-KYUGI' at the 'KOJU-BUNKO' library in Sinminato City. In examining the relation between the 'SEIMITSU-SHAKUDOKEI' and the 'SUIYOU-KYUGI', the evolution of hour system including rare hour 'YO-JI' in the old fief of Kaga was known in details. We report about this special hour system and discuss about the meaning of special hour 'YO-JI'.
著者
佐々木 巌
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.181-182, 2001

本論文は,永久磁石材料の性能を左右する問題として残されている,保磁力発生の機構解明をテーマに取り上げ,高圧窒化法を用いて合成された良質なSm_2Fe_17N_3をモデル系として,実験的研究を行った結果を論じたものである。本論文は7章から構成されている。第1章は序論として,永久磁石材料の性質および研究の歴史を概観し,Sm_2Fe_17窒化物について,その研究の歴史,結晶構造,磁気特性であるCurie点および飽和磁化について概説した後,研究の中心となる技術,高圧窒化法について概説している。さらに保磁力のこれまでの研究を概観し,その問題点を指摘した。第2章は,本論文の研究目的を記述している。これまでの保磁力研究は基礎的な疑問に対して明確な回答を与えていないという問題点を指摘し,本研究の意義を論じている。さらに,具体的にSm_2Fe_<17>N_3が取り上げられた理由を述べている。第3章では,本研究で行なった実験の種類及び方法など実験手法について記述している。第4章では,強磁場磁化測定の実験結果を基に,以下のような事実を明らかにした。保磁力の目安を与える磁気異方性のパラメーター,一軸磁気異方性定数K_<U1>=2.3×10^3 J/kg,K_<u2>=2.5×10^3 J/kgを得た。この値を用いて,絶対零度でJ-混成が無視できると仮定することにより,結晶場パラメーターA_2^0は&acd;-660K/a_0^2であると評価した。この値はバンド計算による理論的研究より求められた値とよく一致している。この窒化により誘起される一軸磁気異方性は,c面内のSm原子付近のN-2p電子とSm-5d電子との異方的混成による価電子の非球対称電荷密度によるA_2^0の増強として説明できる。第5章では,磁気異方性から決定される異方性磁場H_Aと保磁力H_cとがどのように結びついているかを明確にするため,メカニカルグラインド法(MG法)による粉砕法を用いた保磁力の粒径依存の実験結果を基に以下のような事実を明らかにした。(1)MG法を用い粉砕したSm_2Fe_<17>N_3粒子において,2μm以上の粒径では,保磁力は平均粒径の減少により増大する。これは保磁力が粒径に反比例するという逆磁区の核生成型(ニュークリエーション型)による磁化反転機構と一致する。一方,2μm以下では,保磁力はほとんど飽和する。この飽和は粒径減少による保磁力増大効果とMG中の表面元素析出,内部歪などのニュークリエーションサイトの増加による保磁力減少効果の競合によるものと推論された。(2)最高保磁力値は1.32Tが得られたが,この値は異方性磁場に比べるとなおオーダーが1桁小さい。これは,保磁力を低下させる様々な要因の存在を想定し,中でも粒表面における逆磁区の発生が保磁力低下を導いていると推論された。(3)飽和磁化は粒径の減少とともにわずかながら減少した。これは,MG粉砕中に表面相からわずかに窒索が抜け,それに伴い磁化が低下するものと推論される。なお,この高圧窒化法により合成した良質なSm_2Fe_<17>N_3粒子をMG法により粉砕した実験により,Sm_2Fe_<17>N_3における世界最高の(BH)_<max>値&acd;330kJ/m^3を得た。第6章では,保磁力の粒径依存性から推察された保磁力に対する粒表面効果すなわちニュークリエーションサイト発生の効果を明らかにするために,Znとの合金化で粒表面のニュークリエーションサイトを磁気的に除去する実験結果を基に以下のような事実を明らかにした。まず,保磁力が1TにおよぶSm_2Fe_<17>N_3を,等重量のZnと共に磁気的に等方的なZnボンド磁石を作製することにより,保磁力が3Tにおよぶことを推定した。これにより,保磁力に対する表面の効果が極めて大きいことが確認でき,本研究で用いたSm_2Fe_<17>N_3において,ニュークリエーションサイトが粒子全体に分布するのではなく,主に表面に分布すると推論できた。次に,平均粒径40μmのSm_2Fe_<17>N_3粒子を用いて磁気的に異方性のZnボンド磁石を作製し,保磁力の温度変化の測定により,保磁力の表面処理効果に関して以下の事を明らかにした。(1)保磁力は,温度上昇とともに単調に減少する。この時の保磁力は,異方性磁場H_Aのべき乗則に従い,表面処理前において保磁力はH_Aの2乗に従っていたのが,表面処理後はほぼH_Aに比例する。これは表面の清浄効果によるものと推論された。(2)保磁力の温度変化は熱活性型過程の2つの重ね合わせで表わされることを明らかにした。つまり,高温領域(100&acd;200℃)ではニュークリエーションサイトが生成する頻度が保磁力の温度依存を決め,低温領域(-200&acd;-150℃)では生成した磁壁が試料を通過する時のポテンシャルの深さが保磁力の温度依存を支配していることを明らかにした。従って,低温領域において表面処理効果は顕著に現われず,高温領域で表面清浄効果が顕著に見られたと結論された。
著者
弘末 雅士 鈴木 信昭 唐沢 達之 貴堂 嘉之 高橋 秀樹 荷見 守義 石川 禎浩 清水 和裕 土田 映子 大石 高志 疇谷 憲洋 佐々木 洋子 遠藤 正之 久礼 克季
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

地中海世界・イスラーム世界・欧米・中南米・南アジア・東南アジア・東アジアにおける奴隷の歴史を比較検討することができ、地域相互間の奴隷取引や奴隷をめぐる観念の展開を広域的に解明できた。また移住者の広域ネットワークの形成に果たす役割とともに、移住先の社会の秩序構築に積極的に関わったことが明らかとなった。そうした移住者を迎えた現地人妻妾のアジアにおける事例が比較検討され、彼女らやその子孫が、前近代において商業活動や港市の社会統合に重要な役割を担ったことが解明された。さらに近現代社会における新たな仲介者や媒体の存在に注目する必要性を認識した。
著者
佐々木 えりか 富岡 郁夫 高橋 司 井上 貴史 前田 卓志 岡原 純子
出版者
公益財団法人実験動物中央研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

コモンマーモセットは霊長類で唯一導入遺伝子が次世代へ伝達する遺伝子改変個体の作出が可能であるが、より多くの疾患モデル作製のためには機能欠損型の遺伝子改変マーモセットの作出が求められる。本研究は、機能欠損型の遺伝子改変マーモセットの作出技術基盤を構築した。
著者
島内 節 清水 洋子 福島 道子 佐々木 明子 中谷 久恵 河野 あゆみ 田中 平三 亀井 智子 林 正幸 丸茂 文昭
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度〜12年度にかけて「在宅ケアにおける基本的な日常生活行動の自立支援のためのケアプランと評価方法」について研究を行った。平成10年度に日常生活行動の自立を可能にする条件を分析した。結果は2ヵ月で改善可能な内容は着替え、服薬行動、痛み、介護者の心身の疲労であった。同年にケアプランの実施の有無とプラン修正によるニーズ解決を分析した。その結果、ニーズ解決率の高い順位は(1)ケアプランを必要に応じて修正し実施、(2)ケアプラン実施、(3)実施しない、の順であること、ケアプランの修正要因は利用者条件、サービス提供条件、ケアマネージャーの順であった。平成11年度には日常生活行動変化のアウトカム項目をアメリカ合衆国のメディケア機関で義務化されていたOASIS(The Outcome Assessment Information Set)を中心に我々が開発していた日本版在宅ケアアセスメント用紙を組み合せて、在宅ケアの評価を行い、それに基づきケアプランを5機関で行った。平成12年度にはアウトカム項目を確定し、自立度変化とケアプロセスの内容、満足度を評価し、プランを立てて実施後に再度アウトカムとプランを評価する方法の開発、サービス提供者の能力開発と組織力向上の評価方法を開発し、マニュアル化した。なお、利用者アウトカムに関しては、フィンランドとの共同研究を行った。
著者
福岡 裕美子 佐々木 英忠 佐々木 英忠
出版者
秋田看護福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

在宅寝たきり老人へ手軽に下半身浴が実施できることを目指し機器の開発を行った。最終的に完成したものは塩化ビニール製で全長160cm,幅90cm,前面部分へ実施者の腕を挿入する穴6ヶ所(直径14cm),排水口3ヶ所(直径10cm),内部へ保温用のポリウレタンシート(全長160cm,幅73cm)を敷いた。試用の結果この機器は在宅療養中の末期がんの方や,住居の立地条件のため訪問入浴車が入ることのできない場合,訪問入浴を何かしらの理由で拒否している場合等にニーズがあることがわかった。
著者
佐々木 基樹 山田 一孝 遠藤 秀紀
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、ニホンザル、これら4種の霊長類と4種のクマ科動物、ジャイアントパンダ、マレーグマ、ホッキョクグマ、ヒグマの後肢の可動性を、CTスキャナーを用いて非破壊的に観察した。その結果、4種の霊長類とジャイアントパンダ、マレーグマの2種のクマ科動物において、足根骨の回転とスライドによる足の顕著な回外が確認された。さらに、霊長類において、第一趾の屈曲に伴う第一中足骨の内転が4種の霊長類全てに確認され、オランウータン、ゴリラ、ニホンザル、チンパンジーの順でその可動域は大きかった。また、ゴリラやチンパンジーでは第一中足骨は足の背腹平面で内転しており、上下斜め方向に可動面を持つ他の2種の霊長類とは可動様式が異なっていた。足根骨の回転とスライドによる足の回外は、木登りに対する形態学的適応と考えられる。また、第一中足骨の足の背腹平面で内転は地上性適応の一環と考えられる。さらに、その可動性がチンパンジーで小さかったことから、チンパンジーがより地上性適応しているものと推測される。