著者
山田 哲 山城 迪 佐々木 正和 荒木 修一
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.123, no.8, pp.1011-1017, 2003-08-01
被引用文献数
12 8 11

Various models for the equivalent circuit of EDLC (Electric Double Layer Capacitor) have been presented so far. The multi-stage connection of RC circuit is a representative model to simulate the EDLC's charge-discharge characteristic. However, since high energy density type EDLC for electric power storage has the electrostatic capacity of thousands F, the phenomenon of being almost uninfluential for the case of conventional capacitor appears in an actual measurement notably. To overcome this difficulty, we develop an equivalent circuit model using a nonlinear model that considers the voltage dependency of the electrostatic capacity in this paper. After various simulations and comparison with experimental results, we confirmed the effectiveness of the proposed model.
著者
佐々木 貴宏 所 真理雄
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.717-726, 1997

エージェントが環境に対して適応していく過程には,各個体によって為される「学習」と変異および淘汰によって集団レベルで起こる「進化」の二つの側面があり,それぞれが相補的に作用していると考えられる.本稿では,進化論の歴史に登場するダーウィニズムとラマルキズムに基づく遺伝機構を持つ集団を考え,それぞれの集団が辿る進化的な過程をニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを用いた抽象的なモデル上で観察する.特に,動的な環境下でのそれぞれの集団の適応性について評価および議論する.その結果,ダーウィン型の集団の方が,静的環境下では効率的なラマルク型の集団よりも,環境の変動に対して安定した挙動を示すばかりでなく,世代を通じて動的環境自体に適応していくことが可能であることを示す.
著者
佐々木 寛 藤井 聡
出版者
玉川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題は、睡眠中の記憶の固定および消去を司る神経基盤の解明を目的とする。研究に用いた記憶課題は漢字二文字からなる単語の記銘課題と再認課題からなり、再認課題は記銘課題直後と24時間後に実施した。被験者は記銘課題と24時間後再認課題の間に7時間の睡眠をとった。記銘課題では、100個の単語を被験者は記憶した。再認課題では、記銘課題中に提示された単語のほかに新たな単語50個が提示され、被験者は単語が記銘課題中に提示されたものかどうかをボタンで回答した。記銘課題および再認課題時の脳活動を機能的MRIにより計測した。記銘課題遂行中の脳活動について、再認できた単語の記銘に関わる脳活動を、直後再認によるものと24時間後再認によるものとで解析し比較した。その結果、直後再認でも24時間後再認でも再認できた単語に有意な活動が認められた領域として、右海馬、背側の下前頭回が同定された。また、直後再認で再認できた単語に有意な活動が認められず、24時間後再認で再認できた単語に有意な活動が認められた領域として左上前頭回、左中前頭回、腹側の下前頭回、左中側頭回、左右中後頭回、左舌上回、右海馬傍回が同定された。これらの結果から、「弱い記憶」の記銘には海馬および背側の下前頭回を含む領域の活動が本質的であるのに対し、それを「強い記憶」として固定するためには、それらの領域ほかに左上前頭回、左中前頭回、腹側下前頭回ほかの領域の活動が重要であると考えられた。24時間後再認時に正しく再認できたときの脳活動部位として両側海馬が同定された。この領域の活動の強さの解析から、活動の強さと睡眠の構造とに関係があることが示唆された。この結果から、睡眠により記憶の固定が起こり、その状態を再認時の脳活動として検出できることを示唆すると共に、Squireによる記憶の固定に関わる海馬-皮質系記憶システムの説を支持するものと考えられた。
著者
藤井 和佐 西村 雄郎 〓 理恵子 田中 里美 杉本 久未子 室井 研二 片岡 佳美 家中 茂 澁谷 美紀 佐藤 洋子 片岡 佳美 宮本 結佳 奥井 亜紗子 平井 順 黒宮 亜希子 大竹 晴佳 二階堂 裕子 中山 ちなみ 魁生 由美子 横田 尚俊 佐藤 洋子 難波 孝志 柏尾 珠紀 田村 雅夫 北村 光二 北川 博史 中谷 文美 高野 宏 小林 孝行 高野 宏 白石 絢也 周藤 辰也 塚本 遼平 町 聡志 佐々木 さつみ
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究課題に関する聞きとり調査、質問紙調査等から、地方社会における構造的格差を埋める可能性につながる主な条件として(1)地域住民の多様化の推進及び受容(2)生業基盤の維持(3)定住につながる「地域に対する誇り」が明らかとなった。過疎化・高齢化が、直線的に地域社会の衰退を招くわけではない。農林漁業といった生業基盤とムラ社会の開放性が住民に幸福感をもたらし、多様な生活者を地域社会に埋め込んでいくのである。
著者
内沢 隆充 今田 慶行 鎌田 孝篤 佐々木 都子 目時 典文 萩井 譲士 前田 尚孝 舘山 俊太 畑中 光昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.127-132, 2011 (Released:2011-07-26)
参考文献数
8
被引用文献数
1

We report a new computed tomographic (CT) finding of hyperacute ischemic stroke. We examined the CT findings of patients with acute ischemic stroke within 3 h of onset by using a very narrow CT window width. The CT number (Hounsfield unit, HU) of the ischemic area was decreased by only 1 or 2 units. The areas of decreased CT number were larger than the hyperintense areas observed in magnetic resonance imaging diffusion-weighted images (MRI-DWI). These areas were not detected as so called “early CT signs” of acute ischemia on conventional CT. We examined 3 patients of hyperacute stroke, and treated them with tissue-plasminogen activator within 3 h of onset. Their narrow-window CT examination revealed low-density areas that were not detected in the conventional study. After arterial recanalization and resolution of ischemic symptoms, these low-density areas reduced and the CT number was normalized. When recanalization did not occur, these areas showed signs of infarction. A low-density area in a narrow-window CT study may be a hypo-perfused area and include reversible ischemic area (or penumbra).
著者
小倉 剛 佐々木 健志 当山 昌直 嵩原 建二 仲地 学 石橋 治 川島 由次 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.53-62, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
40
被引用文献数
4

沖縄島に移入されたジャワマングース(Herpestes javanicus)の食性と在来種への影響を把握するために,沖縄島の北部地域において捕獲した83頭のマングースの消化管内容物を分析した.餌動物の出現頻度と乾燥重量は,昆虫類(71%,88mg),爬虫類(18%,27mg)および貧毛類と軟体動物(12%,33mg)が高い値を示した.また,哺乳類,鳥類,両生類および昆虫類以外の節足動物もマングースに捕食され,マングースの餌動物は極めて多岐にわたっていた.マングースが捕食した餌動物の体重を算出すると,哺乳類,鳥類,爬虫類および昆虫類がほぼ均等の重量で消失していることが示唆された.一方,餌動物の個体数と繁殖力を考慮すると,爬虫類への影響は極めて大きいと考えられた.さらに餌動物として,固有種や絶滅のおそれが高い動物種が同定され,マングースがこれらの動物に直接影響を与えていることが明確になった.現状を放置すれば,海外の多くの島嶼で起こったマングースによる在来種の減少および絶滅が,沖縄島でも繰り返されることは明らかである.沖縄島では2002年3月までの予定で,やんばる地域に侵入したマングースの駆除が実施されているが,やんばる地域における駆除の完了は急務であり,これ以降の駆除事業の継続が強く望まれる.さらに駆除した地域へマングースを侵入させない方法を早急に確立する必要がある.
著者
佐々木 英昭
出版者
龍谷大学国際文化学会
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
no.12, pp.3-13, 2008

文学的趣味の東西での「矛盾」をどう考えるかという英国留学期以来の夏目漱石の課題は、数年後の大著『文学論』において、「正典」の形成とそれへの抵抗の様相を「暗示」の戦いという図式において把握するという理論に結実している。この「暗示」概念を中核とする漱石の理論をロシア・フォルマリズムやI・A・リチャーズなどの先駆的文学理論と突き合わせ、それらに先行した『文学論』の世界史的意義を考察する。
著者
佐々木 良子
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

20世紀初頭の初期合成染料の利用に焦点を当て、京都工芸繊維大学美術工芸資料館所蔵品を中心にその技法を調査・研究した。旧来の天然染料に代替した合成染料の使用により、染色技術が大きな変貌を遂げた。合成染料導入における友禅染の技術革新の状況をこの時期に開発された種々の友禅染の技法を収蔵品から確認した。次に、20世紀初頭の染織品に用いられた初期合成染料について、微量分析手法を開発し、資料に用いられた合成染料の同定を試みた。合成染料の場合、化学構造が類似した数多くの染料が合成されている。また、単離精製されている場合と、よく似た性質の染料が混合物のままで市販されている場合がある。更に、同じ化学構造の染料でも製造会社によって異なる名前がつけられる場合や、同じ名前でもヨーロッパと日本では異なる染料を示す場合がある。従ってこれまで構築してきた天然染料の分光分析手法をそのまま適用する事は困難である。そこで、天然染料に於いても化学構造の類した染料同士の分析に用いてきた質量分析を初期合成染料の分析に適用した。宮内省の下命により、京都高等工藝学校が秩父宮殿下御成年式の式服を作成し、1922(大正11)年3月に上納した。当時染色加工を担当した色染科の担当者が書き残した『式服加工仕様書』(AN.2517-2)によると、ほとんどの資料は酸性染料を用いて染色し、幅だしや裏糊加工を行っている事が会った。この秩父宮殿下御成年式式服等の残り裂、試し織資料(AN.2520)から、紅地資料(AN.2520-1)を選び、裂地端より微量試料を採取し、染料を抽出、質量分析に供した。その結果、『式服加工仕様書』に記述のあるMethanil Yellow(acid yellow 36)及びPalatine Scarlet(現在は市販されていない)と同じ分子イオンM/Z 352及び435が観察された。
著者
佐々木 美貴
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.16, no.16, pp.94-97, 2011-03-30

篠崎ビオトープは東京都江戸川区の江戸川の河川敷にあります。ここは、地域のボランティアグループの活動が元になり計画されました。著者は、環境デザイナー、市民としての8年間、このビオトープの計画に関わってきました。ビオトープ完成までの経緯。また、工事終了後に「絶滅危惧種の植物」が確認されたことも、合わせて報告します。
著者
佐々木 道史 曽我 和哉 市川 尚 窪田 諭 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.120, pp.23-29, 2008-11-25
被引用文献数
1

近年,学校教育現場には広く協同学習を取り入れる事例が増えているが,単に手法のみを導入してもグループ内に有意な相互作用は生起しがたい点が課題として挙げられる.本研究では,高等学校の授業において協同学習を行う際のグループ編成に着目し,相互依存関係に配慮した効果的なグループ編成を支援するための情報システムの在り方について考察する.Recently, application cases of cooperative learning on educational sites have increased. However they have been pointed out difficulty of effective interaction in learning group. In order to conduct effective cooperative learning on a class of high school, this paper describes a grand design and its prototype of support information system to organize learning groups taking interdependence relationship into consideration.
著者
佐々木 中
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.73-88, 2003-03-31

Get article vise a examiner la fonction normative des image et des textes, en se forcalisant sur le plan de leur transmission. Pierre Legendre a elucide le fonctionnement du mirroir social a partir de la theorie lacannien du Cstade du miroir}) . Selon lui, le miroir n'est pas une prothese, mais un arrangement des image et des textes, dotee d'un pouvoir normatif et identificatoire. Ce pouvoir s'exerce a travers des attachements du sujet a des objets concrets.C'est ce que les semioticien comme Umberto Eco ne comprend pas. Le role de cet "Image-Texte", que Legendre appele "Embleme", consiste a instaurer la transmission de "la pure historicite" (dont parle C.Levi-Strauss dans son essai...) a chaque sujet dans une societe. La transmission, qui fonde la diclectique entre le present et Fabsent sur le mode temporel, n'echappe pas a une incertitude neccesaire. D'ou vient un echec de la transmission, qui pouvrait provoquer une sorte de folie. Mais Cette transmission, a la fois imaginaire et symbolique, ne peut s'epargner de traverser ce processus incertain, hallucinatoire et visionnaire. L'attachement subjectif aux "images-textes" de toutes les sortes se caracterise non seulement par son individuality, son intimite, et sa sentimentalite privee, mais par sa normativite, sa politico-socialite, et sa force religieuse. Nous pouvons le constater, par exemple, dans une resurrection curieuse de l'《Auteur》 chez Roland Barthes qui a du le rejeter hors du texte.
著者
松田 博貴 井龍 康文 中森 亨 佐藤 時幸 杉原 薫 佐々木 圭一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本企画調査は,「気候・海洋環境変動に伴いサンゴ礁分布域の北限・南限(「サンゴ礁前線」)は移動する」というモデルに立脚し,琉球列島を調査対象域として,1)「サンゴ礁前線」の移動に基づくサンゴ礁形成の規制環境要因の解明および気候・海洋環境変動の復元,2)種々の時間スケールでの環境変動に対するサンゴ礁生態系の応答,ならびに3)全球的炭素循環におけるサンゴ礁の機能と影響,を解明するための科学提案「第四紀気候変動に対するサンゴ礁の応答」の実現を目的として実施された.企画調査では,国内外関連研究者13名により,現在のサンゴ礁北限近傍に位置する喜界島でのワークショップ(2003年8月),ならびに東京での公開シンポジウム"氷期にサンゴ礁の北限はどこだったのか??-I0DP/ICDP掘削プロジェクト「サンゴ礁前線の移動に基づく氷期・間氷期の環境変動解析」の実現に向けて-"(2004年1月)を通じて,1)様々な生物指標・化学プロキシーからの気候・海洋情報の抽出・解析法の総括,2)仮説検証に最大効率を生みだす最適掘削地点の選定,3)コア試料を補完する検層の選定と検層計画の最適化,4)サンゴ礁性堆積物における掘削ツールと掘削計画の最適化,について,炭酸塩堆積物,造礁生物,地球化学,年代決定などの観点から,多角的に検討を加えてきた.今後は,これらの討議により明らかにされた問題点や技術的課題について検討していくとともに,データ蓄積の乏しい北限域のサンゴ礁ならびに礁性堆積物の調査を継続し,早期の科学掘削の実現を図る.なお本企画調査の成果については,特集号として出版する予定である.
著者
佐々木 健一
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究報告書には、「モダン・ポストモダン」「ポピュラー(民衆的)」「日常性」「美術館」の4概念についての研究を収録する。それぞれについて、概念的定義を与え、歴史的な展開(事実と概念/理論)をたどり、今日的問題点を指摘している。また、「直感的・美的」「感情・情緒・感動」「感性・感受性」についての研究を継続中で、このうち、感情/感性に関する英文の論文を脱稿した。
著者
岡田 信弘 常本 照樹 笹田 栄司 佐々木 雅寿 宮脇 淳 棟居 快行 浅野 善治 武蔵 勝宏 小野 善康 稲 正樹 木下 和朗 齊藤 正彰 新井 誠 高見 勝利 深瀬 忠一
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

近時、わが国の法体系や立法過程の在り方に「地殻変動」が起きているとの指摘があるが、こうした現象は日本に特有のものとは考えられない。グローバル化の圧力の下で、多くの国が政治・経済・社会のあらゆる分野での改革を余儀なくされているからである。本共同研究は、このような状況認識の下に、変革期における立法動向と立法過程を国際的な視角から実証的かつ総合的に分析することを通して、日本の新世紀における立法や立法過程のあるべき方向性を追究したものである。
著者
米林 喜男 濱野 強 藤澤 由和 佐々木 正道
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

現在、わが国においては多種・多様な調査が実施されており、それらに関しては非常に精度の高い、有用なデータが多く含まれている。欧米諸国においては、公的機関により実施された調査データはもちろんのこと、公的な助成により得られた調査データに関しては、一定の期間が経過した後には個人が特定されない形での公開が一般的に行われている現状にある。そこで、本研究においては、保健医療分野における調査データの公開制度に関してその具体的な課題抽出と、それらを可能とするための諸要件より検討を行うことを目的としたものであった。具体的には、前年度までの研究成果であるソーシャル・キャピタル研究におけるデータアーカイブの活用実態をもとに、わが国における適応可能性に関して検討した。すなわち、データアーカイブにおける基本的要件を整理し、わが国における背景との適合性を検討することにより、保健医療分野におけるデータアーカイブの可能性を具体的に示したものである。さらにデータアーカイブは、データの公開に際して個人の情報などプライバシー、および情報のセキュリティなどを十分に検討する必要があるが、この点に関しては法律的な観点、および情報技術的観点からそれぞれの専門家らとの意見交換を行ない、オープン・リソースを展開していくための通信技術と個人情報保護との関連性などに関して専門的視点より明らかにした。
著者
高橋 栄一 加藤 進 佐々木 明
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年、高層大気中に観測され注目を集めているスプライト放電に類似した拡散と分枝構造を併せ持つ放電を一様電界中の予備電離分布をUVレーザーにより制御することで再現した。分枝の有無は初期の予備電離密度に強く依存することが分かった。高層大気中でもその様な密度分布の存在が予想される。また、放電の時間発展をナノ秒の時間分解能を有する超高速マルチフレーミングカメラをストリーマ放電に初めて適用することにより、分枝の発展の様子の詳細を明らかにした。その結果、成長を続ける分枝の止める分枝の存在、電離度が高い領域では放電の波面が一様な伝搬をしていても電離度が低い領域に進展すると分枝が形成されたこと、いくつかの分枝のうち一つが反対側の電極に到達すると短絡するが残りの分枝の先端はそれでも伝搬を続ける、あるいはその短絡して形成された短絡路に向かって再結合をした振る舞いから、分枝の形成機構は成長界面の不安定性に類似のものと考えられる。