著者
伏田 幸夫 原田 真市
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アンギオテンシンIIを介した細胞の増殖や間質の線維化および抗アポトーシスが胃癌の腹膜播種の成立に関与していると予想し、そのメカニズムの解明および治療への応用が可能か否かを検討した。その結果、胃癌組織中のアンギオテンシンII濃度は正常胃組織と比較して有意に高濃度であり、腫瘍周囲に浸潤した肥満細胞から発現されるmast cell tryptaseによって生成されることが明らかとなった。また、アンギオテンシンIIの受容体であるAT1は胃癌原発巣や腹膜播種巣に高率に発現していた。肥満細胞の機能を抑制し、かつTGFbの機能も抑制するトラニラストおよびAT1アンタゴニストのcandesartanを用いてマウス腹膜播種モデルにおいて播種が抑制されることを解明した。
著者
狩俣 恵一 西岡 敏 小嶋 賀代子 真下 厚 又吉 光邦 照屋 誠 田場 裕規 浦本 寛史 原田 信之 又吉 光邦
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

昔話・伝説・歌謡・芸能は、言葉による伝達の他に、音声・表情・ゼスチャーなどが伴う。特に、口頭伝承が豊かな沖縄の伝統文化は、身体表現による伝達の割合が大きい。しかし、伝承の〈時〉と〈場〉の変化とともに、伝統的な〈様式〉と〈精神性〉は変容してきた。なかでも、古典音楽の琉歌や古典芸能は、近代演劇の影響を受けて、〈声〉〈音〉〈身体〉は大きく変容した。したがって、琉歌・組踊・古典舞踊の琉球王朝文化については、琉球士族の言葉と身体様式、その精神性に焦点をあてて研究を進めた。
著者
原田 聰 福田 至朗 田中 有引 石黒 幸雄 佐藤 隆英
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.429-434, 1995-12
被引用文献数
2

L. chmielewskii. L. hirsutum and L. peruvianum などのトマト野生種における果実でのショ糖含有形質は,単一劣性遺伝子に支配されていると考えられている.我々は,この因子がインベルターゼであると考え,インベルターゼ遺伝子とショ糖含有形質との関係について検討した.既に,トマト栽培種果実からの細胞壁結合型インベルターゼ。DNAをクローニングしており,その塩基配列を基に,栽培種とL. chmielewskiiを材料として,PCR法を用いた多型解析を行なった.その結果,増幅断片長に差が認められた部分が存在したため,それぞれの断片の塩基配列を決定した.大部分の塩基配列は一致していたが,最後のイントロン(第6)において,L. chmielewskiiの方が栽培種より計11bp短いのが認められ,その中にはlO bpの連続した"AAAAGGTTTT"という特徴的な配列が存在した
著者
服部 順昭 原田 寿郎 安藤 恵介
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

スラブCO2レーザでスギのラミナに直径2 mm以下の貫通孔が出力1 kW、パルス幅0.1秒であけられたこと、孔からの難燃薬剤浸透性能に応じたパターンでレーザインサイジングを行ったスギラミナには薬剤がむら無く注入できたこと、荷重支持部のスギ無処理集成材を難燃薬剤を所定量注入した燃え止まり部となるスギラミナで覆い、表面を無処理のスギラミナで覆った集成材が耐火1時間の加熱試験に合格し、別途国土交通大臣から建築基準法上の認定を受けたこと、同じ構成のスギCLTでも耐火1時間の性能が確認できたこと、その耐火集成材が都内の防火地域に建設の木造3階建て飲食店舗に採用されたことが期間内に得た成果である。
著者
松岡 英仁 坪田 紀明 西尾 渉 阪本 俊彦 原田 洋明 指方 輝正
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.329-332, 2001-08-20

第1例は57歳女性.正岡II期の混合型胸腺腫に対し切除術を行った.併発する赤芽球癆は術後速やかに改善した.第2例は58歳男性.併発する正岡II期の混合型胸腺腫を切除した後, ステロイドホルモンの投与を行ったが赤芽球の上昇は認めず, サイクロスポリンに変更後改善した.第3例は75歳男性.赤芽球癆を伴わない正岡III期のリンパ球優位浸潤型胸腺腫の切除後2年目, 頚部B-cell非ホジキン悪性リンパ腫の診断で放射線治療を受けた.その4年後, 赤芽球癆を発症し, サイクロスポリンの投与で改善した.胸腺腫の完全切除術後に併発する赤芽球癆の改善がない場合, 速やかにサイクロスポリン1mg/kg/日を開始するべきである.また胸腺腫切除後, 遠隔期に赤芽球癆を発症する例があり, この場合にもサイクロスポリンの投与は有効である.
著者
原田 宗彦
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究の目的は、地域密着型プロスポーツのトポフィリア(場所愛)を実証的に検証するために、平成23年度から新たに男子プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)に参入する「岩手」「長野」の3チームの観戦者と地域住民を対象として、地域密着型プロチームの出現が、「チームアイデンティフィケーション」(TI)と「地域愛着」(PA)にどのような影響を与えたかを、縦断的研究によって明らかにすることである。その結果、プロスポーツの出現による地域愛着に経年変化は見られなかったが、その一方で、チームアイデンティフィケーションは年々高まっていくことが確認された。
著者
原田 昇 JIAO Pengpeng
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

1)居住地選択モデル世帯の嗜好の変動を表現するために、ミックスドロジットモデルを用いることとし、加えて、目的地間の空間的相関を表現するために、誤差項の定式化に工夫した。また、世帯の異質性を考慮するため、クラスター分析を用いた。次に、複雑な構造を持つモデルのパラメータを推定するため、MSLEアルゴリズムを用いることし、Gauss codeを用いてプログラムを実装した。具体的に、中国・大連のパーソントリップ調査データより抽出した11675世帯を対象にモデルを推定した。特定した五クラスター別にミックスドロジットモデルを推定し、統計的に有意な結果を得ることが出来た。この成果は、東アジア交通学会のジャーナルに掲載された。2)士地利用パターンと交通需要の関連分析交通需要の発生・集中と土地利用の関連性を明らかにするために、大連ならびに藩陽の二都市の土地利用データと交通需要データを整理し、比較分析を行った。統計的に有意な関係式を構築することが出来た。これらは、土地利用・交通統合モデルの基本的要素として重要である。3)居住地と就業地の同時選択モデル居住地と就業地の同時選択は、居住地を先に決定する世帯と就業地を先に決定する世帯が混雑していると考えられる。この問題をここでは、条件付選択モデルと順序選択モデルを組み合わせた潜在クラスモデルとして定式化することを提案し、具体的に推定することによって、その有用性を示した。条件付選択モデルはミックスドロジットモデルによって表現し、順序選択モデルは二者択-のロジットモデルにより表現した。モデル推定プログラムは、居住地選択モデルと同様に、MSLEアルゴリズムを用いて開発した。具体的に、中国・大連の11675世帯より、就業者が-名の3775世帯を選出し、モデルを構築した。ここで開発した手法は、居住地と買物先の同時選択モデル、就業地と買物先の同時選択モデルにも適用可能である。
著者
原田 小夜
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.253-263, 2014-01-31

精神認知機能に問題がある高齢者の地域包括ケアを進めるために,介護職のケア困難感を軽減することを目的に教育プログラムを提供し,その効果と課題を検証した。プログラムは,高齢者の精神認知機能の特徴,精神認知機能の問題への対応に関する講義と事例検討である。研修前後に自記式アンケートを実施した。困難度24項目のリッカートスケールを作成し,研修前後の得点の比較についてFriedman検定を実施し,困難度に違いが見られた項目について多重比較(Bonferroniの調整)を行った。有意水準は5%とした。研修前の困難度では,7項目が3.0以上,その他でも2つ以下の項目は無かった。精神症状,不安に対する理解,コミュニケーションの取り方,ケアの拒否の項目は,研修後に困難度が有意に減少した。逸脱行動,自殺企図,頻回の電話,金銭感覚など利用者に応じた具体的な対応の必要がある項目の困難度は変わらなかった。事例検討によって,生活障害に対する困難度の軽減が図れ,事業所内の情報交換や多職種連携の必要性の理解に繋がった。
著者
山田 寛章 石井 雄隆 原田 康也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.100, pp.55-60, 2014-06-21

大学1年生50〜90名が第三著者の担当する英語の授業で3人ずつのグループで「応答練習」を30分ほど行ったのちに、30分前後の時間で授業中に500語を目標に英語で作文をまとめて提出し、次の授業で宿題として完成させた作文を提出して6人のグループで相互チェックを行い、さらに次の週にコメントに基づいて修正した最終版を提出している。年間30回の授業で15の作文について授業中のドラフト・宿題として完成させたバージョン・相互チェックを反映した最終版の3つのバージョンを回収した電子ファイルが過去10年分ほど蓄積してあるが、単語数の自己報告を毎回の授業で提出したものを集めているほかは、各種統計情報の抽出等の分析を行っていなかった。構文解析器などを利用して作文の特徴量を抽出し、年間を通じての作文の長さと質の向上を検討する目安に利用したいが、学生が提出する電子ファイルに若干の事前処理を施す必要があり、どのような特徴量に着目すべきかも実データをもとに検討する必要がある。本発表では、事前処理と手作業の一致具合なども含め、予備的調査の結果と今後の課題について報告する。
著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012
被引用文献数
5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
出川 洋介 勝山 輝男 田中 徳久 山岡 裕一 細矢 剛 佐久間 大輔 廣瀬 大 升屋 勇人 大坪 奏 城川 四郎 小林 享夫 原田 幸雄 松本 淳 勝本 謙 稲葉 重樹 佐藤 豊三 川上 新一 WALTER Gams
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

労力と時間を要すために研究が遅れてきた菌類のインベントリー調査を、博物館を介して専門研究者と市民とを繋ぐ3者連携体制を構築して実施した。多様な世代の70名以上の市民により5千点を超す標本が収蔵された10年に及ぶ事前調査を踏まえ、約50種の菌類を選定し、研究者の指導のもとに市民が正確な記載、図版を作成し菌類誌を刊行、デジタルデータを公表した。本研究事例は今後の生物相調査の推進に有効な指針を示すと期待される。
著者
原田 和宏 佐藤 ゆかり 齋藤 圭介 小林 正人 香川 幸次郎
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.263-271, 2006
参考文献数
36
被引用文献数
12 13

本研究は,在宅で生活を続ける自立高齢者における機能低下の実態を地域ベースで把握することをねらいに,ADL(歩行,入浴,トイレ動作,食事,着替え)および活動能力(老研式活動能力指標)の自立者を1年半後に追跡し,ADLまたは活動能力障害の新規出現に対する転倒既往と閉じこもりの関与を縦断的に検討することを目的とした。調査は中国地方の某町の在宅高齢者全員を対象に2002年12月と2004年6月に行い,ADL障害の出現では1,085名,活動能力障害の出現では525名のデータを分析した。その結果,在宅で生活を続ける自立高齢者のうち1年半でADL障害は4.7%に生じ,手段的自立の障害は9.0%,知的能動性は13.3%,社会的役割は15.4%,後者3指標いずれかの活動能力障害は25.9%に生じた。また,障害の新規出現は高年齢と併せて転倒既往や閉じこもりによってその割合が高まることが認められた。自立高齢者から機能低下のハイリスク者を選定するにあたり,転倒経験や外出しようとしない閉じこもり状況を考慮することは意義があると推察される。