著者
中里 和彦 竹石 恭知 國井 浩行 坂本 信雄
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

急性冠症候群の早期診断に役立つ可能性のあるバイオマーカーとして、ネオプテリン、レクチン様酸化LDL受容体-1(LOX-1)、テネイシンC、COヘモグロビン、アクロレイン、RAGE(receptor for AGE: advanced glycation end products)およびHMGB-1(high mobility group box 1)について、その血中濃度を急性冠症候群患者の採血サンプルと安定狭心症患者のものを比較することで検討した。このうち、LOX-1およびテネイシンCの血中濃度は急性冠症候群患者で有意に上昇しており、その早期診断に役立つ可能性が示された。
著者
坂本 道生
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.173-176, 2007

中国仏教の儀礼研究の一端として、北宋代の遵式(九六〇-一〇三二)を取り上げる。彼の遺文を集めた『金園集』には、いくつかの施食・放生に関する資料が収められており、放生会・施食会の流行した当時の状況や遵式の思想が把握できよう。本稿では、犠牲を供物にする中国在来の祭祀を改めて、仏教的な祭祀のあり方を説いた「改祭修斎決疑頒井序」(以下「決疑頒」と略す)というテキストを中心に、遵式の「改祭」についての考えと、改祭後の具体的実践を明らかにしたい。
著者
今村 均 西田 郁子 牧 憲司 森本 彰子 古谷 充朗 上田 秀朗 坂本 淑子 曽我 富美雄 内上 堀征人 木村 光孝
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.732-742, 1993-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
27
被引用文献数
2

著者らは小児における歯牙の測色にビデオディジタイザーとコンピュータを応用することを考えた.しかし,本機材はコンピュータグラフィック用に開発されたもので測色値は保証されない.今回の実験では機材の特性を調査し設定方法について検討した.1)機材の電源投入後30分以上経過して測定値が安定した.2)HPV2コマンドではカラーレベルが3,γ 補正値が4のとき10YR7/3の基準信号を良好に測定した.これは,HV-HP-S013012コマンドに相当した.3)ビデオカメラの設定を次のようにすると良好な結果が得られた.(1)シャッタースピード:1/60S(2)絞り:F3.4以上またはオート設定(3)ゲイン:+6dB(4)ホワイトバランスまずカメラを横壁に向ける.次にホワイトレンズキャップを付けピントを最大にぼかす.ワンプッシュホワイトバランスボタンを押す.4)無彩色を取り込んだ測色値の特性は非直線的で理論値と一致しなかった.5)計測値を理論値に近づける数学的補正の基本式にK×M1/3+A(K,Aは定数)を用いると良好な補正値が得られた.
著者
坂本 佳子 前田 太郎 岸 茂樹 五箇 公一 森口 紗千子
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

1.国内におけるアカリンダニの分布調査:昨年度より引き続き、全国から採集したミツバチ358コロニーを用いて、アカリンダニの寄生状況の調査を昨年に引き続き行い、北海道と沖縄をのぞくほぼすべての都府県での発生を確認した。2.ネオニコチノイド系農薬を曝露したミツバチへのアカリンダニ寄生実験:イミダクロプリド、チアメトキサム、クロチアニジンの3種類の農薬をセイヨウミツバチに経口投与し、アカリンダニに対する対抗行動にどのような影響を及ぼすかを評価した。3.アカリンダニの寄生がニホンミツバチに与える影響:アカリンダニ寄生がミツバチの発熱能力と飛翔能力を低下させることを、サーモグラフィーおよびフライトミルを用いて明らかにした。4.アカリンダニの生存時間:従来報告されていたよりも長く、特に低温かつ高湿度条件では9日間生存していることを確認した。
著者
澤口 聡子 加茂 登志子 米山 万里枝 滝口 清昭 坂本 慎一 大脇 敏之 多木 崇 栗原 千絵子 加藤 則子 佐藤 啓造 京相 雅樹 平澤 恭子 加茂 登志子 杉山 登志朗 森 友久
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

解離性同一性障害における複数人格を音声録音しSOFTware PRAATの基本周波数分析で人格識別することが可能であった。PRAATの関係する要因を用いた個人を対象とする(nested)多値logistic回帰分析および一般線形モデルを構築し、前者において0.5<odds ratio<1.0、後者において尤度比・LR統計量>0.05を一つの目安として、専門医にアクセスする対応方針で臨床研究をすすめ得る。薬剤使用時の客観指標としてMetaRNA(複数のRNA・mRNA分子種)測定モデルを作成し治療や研究の潜在的なnavigationを与え得る。anticiper de ja saisirを推唆。
著者
渡辺 俊 坂本 淳二 藤川 昌樹 谷村 秀彦
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度には、渡辺が筑波大学のワークステーション上にインターネットマップサーバーを立ち上げた。これに谷村・藤川らが1999年度、2000年度に関連研究で実施した中国国内の類例となる伝統的都市の現地調査データに基づくデジタルアーカイブスの移植を行った。アーカイブスの内容は、調査対象地区の平面図・立断面図のベクトルデータ、住民アンケート調査データベース、QuickTime VRによるパノラマ映像、三次元ヴォリュームモデル、景観写真のフォトアルバムなどである。これらの基盤をもとに、2月に北京清華大学にて研究会を実施し、現段階における国際リモートコラボレーションの有効性について検討を行った。平成14年度には、まず谷村がこれまでの研究成果を、「北京四合院住区の現状とその再生」として論文にまとめた。渡辺は、住民アンケート調査データベースをGISの空間データにマップすることで、空間分析を可能とした。これらのデータを下に、藤川・上北らが、それぞれの視点から日本建築学会の論文としてまとめた。一方、現在の日本・中国間の回線速度では、十分なパフォーマンスを得ることが困難であることも確認された。最後に、2月末に藤川が北京清華大学にて海外共同研究者である譚副教授と共同研究の総括を行った。
著者
坂本 弘志 古平 真一郎 石島 隆志 山本 利一 鈴木 道義 針谷 安男
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
no.30, pp.529-538, 2007-07-01
被引用文献数
1

中等教育における『技術・家庭科』の技術分野(以下:技術科)は,産業社会への橋渡し役を担う教科である.そして,近年,子どもたちの科学技術離れが叫ばれ,新卒者の3年以内の離職率が35%にも及ぶなどの状況の中,技術科は,キャリア教育としての側面や,持続可能な成長につながる人間性の育成にも多大の寄与をするものとして期待がかけられている.本研究は,技術科教育を通して,今後の社会の中でも夢の実現に向け大きな課題に立ち向かっていける人材の育成を最終目標とする.そして,ものづくり企業等で急速に広がっているPDCAサイクルを教育的見地から分析し,その中から,持続可能な成長につながる人間力を育むために必要と考えられる複数の力を抽出した.それらの力を本研究で定義する『学習マネジメント能力』と,これまで提唱されてきている『生きる力』との2つに分類し,それらを育成するための題材の一例として,ロボットコンテスト(以下:ロボコン)製作題材をモデルとしたループ・スパイラル型の学習プログラムを提案する.
著者
中井 貴大 木村 圭佑 岩田 研二 山崎 年弘 坂本 己津恵 松本 隆史 櫻井 宏明 金田 嘉清
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.79, 2012 (Released:2013-01-10)

【はじめに】 脊髄損傷、脳卒中片麻痺、パーキンソン病(以下:PD)患者に対するトレッドミル歩行訓練(以下:TT)効果についての報告は数多くあり、高いエビデンスを認めている。そこで、今回Th11破裂骨折にて下肢に不全麻痺を呈したPD患者に対して、自宅内での歩行再獲得にTTが有効であった症例について報告する。【症例紹介】 症例は70歳代女性で、腰背部痛の増悪により歩行困難となりTh11破裂骨折の診断を受けた。急性期病院にて硬性コルセットを作成し保存療法となり、発症42日後に当院回復期リハビリテーション病棟に入院し、自宅復帰に向けたリハビリテーションの介入を開始した(患者1日あたりの単位数7単位)。病前は夫と二人暮らしで、既往歴にPDがあったがADLは自立レベル、IADLも一部自立していた。なお、本研究は当院の倫理委員会が定める倫理規定に従い実施した。【初期評価】 Hoehn-Yahr重症度分類はStage3レベルであり、動作時に姿勢反射障害を認めた。また、入院時は座位保持で腰背部痛が増悪(NRS8/10)し、座位時間は約30分程度であった。さらに右下肢には軽度から中等度の表在感覚低下を認め、入院時下肢筋力は右下肢がMMT2~3レベル、左下肢が3~4レベルであった。病棟での移動手段は車椅子で、介助者による駆動の介助が必要であった。歩行は疼痛が強かったため行っていない。入院時機能的自立度評価法(以下、FIM)は64点であった。【経過・アプローチ】 腰背部痛の軽減、座位時間の延長に伴い、入院約2週間後平行棒内歩行訓練を開始した。当初は平行棒を両手で把持した状態でも膝折れが生じるため監視レベルに留まり、入院約1ヶ月で住宅評価を行ったところ短距離を独歩で移動しなければいけない区間が存在したため、歩行能力向上を目的にTTを開始した。TT開始初期は設定速度0.5㎞/hとし、前方両手支持での環境設定とした。歩行能力向上に伴い難易度調整を行った。TT開始から約1ヶ月で速度2.0㎞/h、支持物なしにて約3分間連続歩行が可能となった。TTの効果判定として、10m歩行を測定し、速度、歩行率、介助数の側面から訓練効果について検証した。TT開始当初は10m最大歩行速度0.59㎞/h、歩行率0.88step/sec、介助数3回であったが、約1ヶ月のTT訓練介入で速度2.02㎞/h、歩行率1.68step/sec、介助数0回と歩行速度、歩行率、介助数において改善を認めた。TT開始約2週間で病棟内シルバーカー歩行自立となり、退院時には約50mを介助なしで独歩にて移動可能となったが、自宅環境との違いより、病棟内歩行はシルバーカーに留まった。なお、退院時FIMは99点と向上した。【考察】 TT開始当初の歩容は、PD特有の体幹前傾位で小刻み歩行であった。さらに破裂骨折の影響のため下肢筋出力低下を認め、支持性が低く歩行速度も低下していた。また左右動揺が大きく、バランスを崩した際は姿勢制御が困難であった。TTの導入により、能力に合わせた高速度での歩行を繰り返し行うことと股関節伸展を意識した立脚後期を作ることでCentral Pattern Generatorが賦活し、歩行時の筋活動パターンが学習され、歩行能力向上につながったのではないかと推察された。また、動作特異性から一定量の歩行訓練を行うことで、実動作への転移が高く、短期間での訓練効果が得られたのではないかと考えられた。
著者
武山 智博 宮下 直 関島 恒夫 石庭 寛子 坂本 大地 大石 麻美
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

統計モデルの構築によって、水田内の局所環境および水田周辺の景観の異質性が、3種のトンボ(ハラビロトンボ、シオヤトンボ、アキアカネ)の出現個体数に与える効果を検討した結果、個体数を説明する環境要因とそのスケールは種間で異なっていた。全般的な傾向としては、種間の飛翔能力の高低に対応したスケールにおける複数の環境要因が出現個体数に影響を与えており、これらのトンボの分布にとって水田と森林が入り混じるモザイク状の景観構造が重要であることが示唆された。
著者
坂本 真紀
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.88-96, 2008-09-10 (Released:2010-12-04)
参考文献数
22
著者
藤本 薫喜 渡辺 孟 坂本 淳 湯川 幸一 森本 和枝
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.443-450, 1968
被引用文献数
12 105 89

Various calculation formulas of body surface area are designed by the measured values of body surface area and other physical measurements, e.g. height, weight, chest circumference etc, of 201 Japanese of both sexes from neonatal to old age.<br>Statistically comparing the formulas, the following three may be used for all ages of Japanese with the slightest possibility of error.<br>1. Newborn (under 1 year) <i>S</i>=W<sup>0.473</sup>×H<sup>0.655</sup>×95.68<br>2. Young child (1-5 years) <i>S</i>=W<sup>0.423</sup>×H<sup>0.362</sup>×381.89<br>3. Over 6 years to old age (for general use) <i>S</i>=W<sup>0.444</sup>×H<sup>0.663</sup>×88.83<br>(<i>S</i>: Surface area in cm<sup>2</sup>, W: Body weight in kg, H: Height in cm)
著者
伊藤 壽一 中川 隆之 田浦 晶子 山本 典生 坂本 達則 北尻 真一郎 平海 晴一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

根本的治療方法のない感音難聴に対して、その主要な責任部位である内耳蝸牛の発生メカニズムを解明し、内耳再生医療の確立を目指す本研究では以下の事を達成することができた。1.再生のための操作対象となる蝸牛内幹細胞群の同定、2.内耳発生に重要な役割を果たす新規遺伝子候補の同定、3.NotchシグナルやIGF1の内耳再生医療への応用、4.ヒトiPS細胞の有毛細胞への誘導プロトコールの改良。本研究で得られたこれらの成果を適切に組み合わせることにより、内耳再生医療のヒトへの応用に近づくことができると考えられる。
著者
須田 年生 馬場 理也 石津 綾子 梅本 晃正 坂本 比呂志 田久保 圭誉
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

造血幹細胞ニッチと幹細胞動態の研究、ならびに幹細胞におけるDNA損傷反応に関する研究を展開し、しかるべき成果を得て論文発表すことができた。幹細胞ニッチに関する研究に関しては、Integrin avb3 が周囲の環境に応じて、サイトカインシグナルを増強することを通して、造血幹細胞の維持・分化を制御することを示した(EMBO J, 2017)。造血幹細胞の代謝に関連した研究では、造血幹細胞が分裂する直前に、細胞内カルシウムの上昇を通して、ミトコンドリアの機能が活性化することを見出した。さらに、造血幹細胞分裂直前の細胞内カルシウムが上昇をカルシウムチャネル阻害によって抑制すると、① 造血幹細胞の分裂が遅延すること、② 分裂後の幹細胞性の維持(自己複製分裂)に寄与することを示した。また、in vivo において、造血幹細胞周辺のMyeloid progenitor(lineage-Sca-1-c-kit+)細胞が細胞外アデノシンが造血幹細胞の細胞内カルシウムの上昇やミトコンドリア機能の制御に関与することも確認した。さらに興味深いことに、Myeloid progenitorは、上記の細胞外アデノシンによる造血幹細胞の与える影響を増強していることも見出している(JEM in Revision)。造血幹細胞におけるDNA 損傷反応における研究では、Shelterinと呼ばれるタンパク複合体の構成因子Pot1aが、造血幹細胞のDNA損傷の防止に加えて、活性酸素(ROS)の産生を抑制し、造血幹細胞の機能維持に寄与することを新たに明らかにした(Nat Commun, 2017)。
著者
坂本 礼央 大林 哲 古林 与志安 松本 高太郎 石井 三都夫 猪熊 壽
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.191-193, 2010-03-20
被引用文献数
2

チミジンキナーゼはDNA合成に関わる酵素の一つであり、近年牛白血病の発症マーカーとして利用できることが報告されている。今回、牛白血病ウイルス汚染農場において、本酵素の活性を測定することにより、牛白血病罹患牛の早期摘発を試みた。その結果、臨床症状は示さなかったものの、地方病性牛白血病に罹患していた10歳9カ月齢のホルスタイン種雌牛を摘発できた。牛白血病ウイルス汚染牛群における本酵素活性の測定が、地方病性牛白血病罹患牛の早期摘発に臨床上有用であることが本研究により示唆された。
著者
友澤 森彦 坂本 信介 佐藤 淳 山田 文雄 小泉 透
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.89, 2013 (Released:2014-02-14)

福島第一原発事故によって放出された放射性物質の野生動物への影響は住民および国際社会の大きな関心事であるが,その遺伝的な影響や生理状態に及ぼす影響,またそれらのモニタリングの手法などについての情報は少ない.放射線被曝によって遺伝的な影響が生じる経路の一つとして細胞内の他の物質に放射線があたって生じた活性酸素が二次的に DNAを酸化することによる間接的経路がある.そこで本研究では環境中の放射性物質が野生動物集団に与える遺伝的影響を捉えるために,尿中の 8-ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)の濃度を計る事で DNAの酸化ダメージを計る事を試みた.8-OHdGは酸化ダメージを受けた核酸が修復される際に生じる代謝産物で,放射線被曝によって増加する事が示唆されている.2011年より福島県飯舘村,川内村および茨城県の北茨城市の 3地点でアカネズミを捕獲し,尿中 8-OHdGの濃度を比較した.その結果,幾つかの採集地点間で有意な差が見られたものの,空間線量率に応じた尿中 8-OHdG濃度の増加は見られなかった.一方臼歯摩耗度から推定される個体の齢段階に応じて尿中 8-OHdG濃度は高い傾向を示した.また個体ごとの筋肉中の放射性セシウム濃度と尿中 8-OHdG濃度は同一地点で捕獲された個体の間で大きくばらついており,両者の間には相関関係は見られなかった.以上の結果から,採集地点におけるアカネズミの尿中 8-OHdG濃度に対する放射線被曝の影響は加齢などのその他の要因による影響よりも小さい事が示唆された.また実際の DNAの多型についてもミトコンドリアおよびマイクロサテライトを指標に現在解析中である.
著者
吉松 梓 坂本 昭裕 渡邉 仁
出版者
駿河台大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、悩みを抱える思春期の青少年を対象に長期冒険キャンプを実践し、「身体」に着目してその意味を探ることを目的とした。研究1の質的分析の結果、「心と身体の関係性が変化する」プロセスとして「混沌とした心と身体」「心と身体のつながりや限界に気付く」「身体を入口として自分に向き合う」「自分の身体に自信を持つ」4段階が示された。また「心と身体の伴走者としてのスタッフ」「冒険プログラム特有の仲間関係を体験する」「原始的な自然の中でリアルな感情を抱く」など他者や環境との相互作用が影響していることが明らかになった。研究2の事例研究では、キャンプの体験が個性化の過程として意味があることが示唆された。
著者
和田基 塚本潤 小林弘明 高橋昭宏 坂本龍一 佐藤未来子 天野英晴 近藤正彰 中村宏 並木美太郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-8, 2013-04-18

細粒度 PG (Power Gating) 制御を行うプロセッサでは,温度やキャッシュのヒット率などの動的なスリープ要因を適切に反映した命令列を実行することが重要である.本発表では,JIT コンパイラの生成するコードに対して,動的要因として実行時のチップ温度を考慮した細粒度 PG 制御を最適化する方式を提案する.筆者らが研究している Geyser アーキテクチャの細粒度 PG 方式を QEMU ベースである AndroidEmulator によってシミュレートした評価実験において,PG 制御を行わない場合と比較し,VM と JIT コンパイラおよび生成されたコードを実行するプロセス全体で平均 6%,最大 22% でリーク電力を削減することができた。
著者
坂本 龍一 仁科 圭介 佐藤 未来子 並木 美太郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.1389-1403, 2014-04-15

SSD(Solid-State Drive,以下SSD)は,HDD(Hard Disk Drive)に比べランダムアクセス性能が高く,省電力であるという特徴を持つが,SSDの容量単価はHDDに比べて高く,SSDをコスト効率良く計算機システムの高速化や省電力化に利用する方式が課題である.本論文では,SSDをHDDのディスクキャッシュとして用いるSSDディスクキャッシュシステムにおいて,省電力化のためにHDDの電源制御を行う手法を提案する.SSDをHDDのディスクキャッシュとして用い,SSD上のディスクキャッシュヒット率が高く,HDDをアクセスしないときの待機時間を検出して,自動的にHDDをスピンダウンし省電力化を行う.本ディスクキャッシュと電源制御機構をLinuxのブロックデバイスドライバとして実装し,評価を行った.各種ファイルシステムにおいて,本手法を評価し,HDDのスピンダウンによりエネルギー効率が改善されることを確認した.Solid-State Drive (SSD) takes higher performance at random accesses and consumes lower power than Hard-Disk Drive (HDD). However, SSD is more cost per bytes than HDDs. Therefore, implementing the cost-effective method using SSD is needed. This paper proposes the power control system of HDD added to SSD disk-cache system. The system uses SSD as HDD disk block. The system detects idle time of HDD and spindown HDD automatically. The disk cache system implementation uses block device driver in Linux. The evaluation results in the SSD cache on some filesystems show that if the SSD cache is working effectively, energy efficiency is improved.
著者
阿久沢 正夫 高橋 隆之 中村 康男 竹之下 浩和 原 由香 森園 充 坂本 紘 岡本 嘉六 出口 栄三郎
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.313-317, 1989
被引用文献数
6 1

鹿児島県内を管轄する4ヵ所の畜犬管理センターに集められた犬について, レプトスピラ (8種類の血清型<I>autumnalis, hebdomadis, australis, icterohaemorrhagiae, canicola, pyrogenes, hardjo, pomona</I>) に対する抗体調査を1984年5月から1987年3月に行った. 性別による陽性率は雄26.2%, 雌18.8%で雄の方が高く, また推定年齢別の比較では, 加齢とともに陽性率は増加する傾向を示した. 県全体では, 806頭中190頭 (23.5%) が1種類以上の血清型に対して陽性であった. 地域別では, 加世田が204頭中57頭 (27.9%) で最も陽性率が高く, ついで宮之城が197頭中53頭 (26.9%), 国分は198頭中44頭 (22.2%), 鹿児島市が最も低く207頭中36頭 (17.4%) であった. 各地域の月別の陽性率は, 季節に関連する変動は認められなかった. 県内4ヵ所での各血清型抗体の検出数および検出率で, 各地域とも最も多いのは<I>icterohaemorrhagiae</I>であった. 次に多く検出されたのは鹿児島市と国分では<I>canicola</I>で, 加世田と宮之城では<I>hebdomadis</I>であった. 今回の調査において, 1972年から1979年の南九州における調査では検出されなかった<I>australis, pyrogenes, pomona</I>および<I>hardjo</I>に対する陽性反応が認められた. 検査した犬はすべて臨床的には健常であり, 同時に行った血液検査でも, BUNの値が正常範囲内ではあるが抗体陽性の犬は陰性の犬よりも有意に高い値 (P<0.05) を示したにすぎなかった.