著者
藤崎 英一郎 太田 和夫 岡本 龍明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.93, no.208, pp.7-21, 1993-08-30
被引用文献数
2

電気通信システムで選挙を行なえる、投票所を用いた電子無記名投票方式を提案する。本方式では、投票者は自分の投票内容が選挙の集計結果に正確に反映されていることを個人毎に確認でき、反映されていない時は、無記名性を保持したまま、第三者が納得できる公開手順で、異議を申し立てることが出来る。本方式は、投票所を利用した「電子投票システム研究会」提案の電子投票方式[1]の安全性を高めることができる。また、本方式は仕様が公開であり、かつプログラムバグや、選挙管理者のような内部の者による集計値の改ざん、水増しの不正も検出できるので、市民の総意が得られやすいと思われる。
著者
小池 恵介 太田 淳 大島浩太 藤波 香織 郡 信幸 竹本 正志 中條拓伯
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.12, pp.2740-2751, 2012-12-15

Android端末におけるJava実行の高速化とともに,さまざまなネットワークプロトコルへの対応や,種々のセンサへの柔軟な接続が求められている.そのために,FPGAを活用したReconfigurable Androidを提案し,その有効性,可能性を検証することを目指す.本稿では,Reconfigurable Androidの概念について述べ,FPGAボードにプロセッサカードを搭載したシステムにAndroidを移植し,FPGAによるアクセラレータを実装し,ハードウェア実行可能なJavaのソース部分をFPGA上で実行することにより全体の性能向上を実現する.Dalvik VMが稼働するIntel AtomプロセッサとFPGAとの間において,PCI Expressインタフェースの実装を完了し,DMA転送により150 MByte/secの通信性能を確認した.さらに,FPGAアクセラレータによるAndroidの高速化手法について述べ,実験環境および,プロセッサとFPGA間の通信性能について報告し,アクセラレーションによる性能評価を示す.
著者
江口 泰正 太田 雅規 大和 浩
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.247-253, 2011-09-01

現在,職場における健康保持増進の取り組みとしてもっとも多い内容は,「労働者健康状況調査結果の概況」(厚生労働省2008)によると「健康相談」であるが,2番目に多いのは「職場体操」である.一人でも,あるいは集団でも手軽にできる「体操」は労働者に受け入れられやすく,また継続もしやすいことから,ストレッチングは職場体操としても様々な形で実施されている.しかし,近年その効果に関して否定的な文献も多くなってきた.そこで,総説論文を中心に調査したところ,静的ストレッチング(static stretching)直後における筋パワー系運動(muscle strength/force and isokinetic power)のパフォーマンスはむしろ低下,運動後の筋肉痛の予防にはならないことも明らかにされている.「職場体操」の目的は様々であるが,ストレッチングを職場体操として選択する場合には,その目的に応じたやり方を考慮する必要がある.
著者
木部 暢子 中島 祥子 太田 一郎
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

鹿児島地域における「地域共通語」の実態を明らかにするために、在来の方言形で現在でも若年層に使用される語、在来の方言形とも共通語形とも異なる語、鹿児島特有の文法現象、言語意識、社会意識を調査した。調査地点は鹿児島市、枕崎市、都城市である。鹿児島市調査(平成6年度実施)では以下のことが明らかになった。(1)ケ-(質問)、ガ(伝達の文末詞)は在来の方言形であるにもかかわらず、若年層で使用率が伸びている。また同じく方言形のワッゼ(大変)、ナオス(片付ける)、ハワク(掃く)は全ての層で高い使用率を保っている。(2)高年層・中年層ではこれらの語を方言と意識せずに(共通語と思って)使用しているケースが多いが、若年層では方言と意識して使用するケースが多い。(3)若年層に広まりつつある新語形にはナカッタデシタ(なかったです)、デスヨ・ダヨ-(相槌)、ヤスクデ(安価で)などがある。(4)〜ガナラン(不可能)、カセタ(貸した)、ネッタ(寝た)などの鹿児島特有の文法現象は若年層で使用率が急に下がり、特に若年女性では共通語化が著しい。これを枕崎市調査・都城市調査(平成7年度実施)と比較すると、以下のようなことが明らかになる。(5)枕崎市・都城市では、上記(3)の語の使用率が鹿児島市に比べて低い。しかし世代ごとに見ると若年層では使用率が急に伸びており、鹿児島市で生まれた「地域共通語」が枕崎市や都城市の若年層にいち早く受け入れられている。(6)枕崎市では上記(4)の方言形を若年層でもまだ使用している。(7)都城市は枕崎市に比べると鹿児島市の影響を受ける度合いが小さい。しかし(5)で述べたように、若年層には鹿児島市のことばが確実に定着しており、いまだに鹿児島市の影響下にある。(8)これに関連して、都城市では予想した程には宮崎市のことばの影響を受けていない。
著者
藤本 文朗 太田 富雄 加瀬 進 小川 克正 河相 善雄 玉村 公二彦 後藤 容子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、障害児教育教員の免許制度(養成・採用・研修に関する懸案事項)を解決するため盲・聾・養護学校並びに都道府県教育委員会・教員養成大学の実情を把握することとともにこの制度についての歴史的研究と国際比較を通して、総合的な観点から免許制度と教師教育の在り方について立案することを意図した。(1)第3年次としてまとめの年で今後あるべき方向として障害児学校の教師には研修として総合的な障害児教育の基礎免許状(教員養成大学学部)を義務づけ、障害別の免許状は大学院専攻科レベルで取れるとしてそのカリキュラムを草案として示した。(2)又ベトナムホーチミン市に障害児教育師範大学(2年、現取対象)の創立、カリキュラム教師派遣に援助して発展途上国の教師教育について討議した。
著者
森 俊平 太田 耕造 嶋内 亜希子 中條 和志 木村 時久
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.2250-2252, 2003-11-10

症例は57歳,男性.意識消失発作,脱力を主訴に受診.平成5年の食道癌根治術以降,食事摂取量が減少すると共に日本酒を多く摂るようになり,来院時著明な低Na, K血症を認めた.ビールを多飲し,食事を摂取しない場合,高度の低Na血症を示す症例はBeer Potomaniaとして知られている<sup>7)</sup>.日本酒はビールと同様に電解質に乏しく,長期の飲酒と食事摂取量低下により同様の病態が生じ得ることを考察した.
著者
三尾 稔 杉本 良男 高田 峰夫 八木 祐子 外川 昌彦 森本 泉 小牧 幸代 押川 文子 高田 峰夫 八木 祐子 井坂 理穂 太田 信宏 外川 昌彦 森本 泉 小牧 幸代 中島 岳志 中谷 哲弥 池亀 彩 小磯 千尋 金谷 美和 中谷 純江 松尾 瑞穂
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

文化人類学とその関連分野の研究者が、南アジアのさまざまな規模の20都市でのべ50回以上のフィールド調査を実施し、91本の論文や27回の学会発表などでその結果を発表した。これまで不足していた南アジアの都市の民族誌の積み重ねは、将来の研究の推進の基礎となる。また、(1)南アジアの伝統的都市の形成には聖性やそれと密接に関係する王権が非常に重要な機能を果たしてきたこと、(2)伝統的な都市の性格が消費社会化のなかで消滅し、都市社会の伝統的な社会関係が変質していること、(3)これに対処するネイバーフッドの再構築のなかで再び宗教が大きな役割を果たしていること、などが明らかとなった。
著者
太田 出
出版者
神戸商科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

今年度は本研究課題に関わって8月3日〜19日まで中国北京、9月1日〜7日まで台湾台北で海外調査を行った.北京では、社会科学院歴史研究所に赴いて中国人研究者と交流を深めると同時に、第一歴史〓案館・国家図書館(旧北京図書館)・首都図書館で監獄・警察・裁判関係の史料を閲覧・複写した。また台北では、短期間であったが、中央研究院で同様の史料を閲覧・複写した。国内では、12月末に東京大学東洋文化研究所に赴き、広西省の模範(モデル)監獄など監獄関係史料を中心に閲覧・複写した。以上が本年度の史料調査の概要であるが、筆者の勤務先の変更もあって十分な時間を確保できず、当初の予定すべてを行うことはできなかった。今後の課題としたい。また今年度は昨年度に複写・蒐集した史料の読解・分析作業も同時に進めた。成果の一部は後掲の雑誌論文「「自新所」の誕生-清中期江南デルタの拘禁施設と地域秩序-」(『史学雑誌』111-4、2002)で公開する予定である。これは監獄に関わる調査の中で入手できた史料群に分析を加えることで、これまで全く未解明であった授産更正的な拘禁施設=自新所の実態を検討し、その誕生が刑罰制度や地域秩序の有り様と如何に関わっていたかを考察したものである。このほか監獄関係については興味深い史料を多数蒐集できている。今後さらに分析を進めていく予定である。犯罪現象については、京都大学人文科学研究所(明清班、班長岩井茂樹)において研究成果の一部を「清前中期江南デルタ社会と犯罪抑圧の変遷-労働力の流入、犯罪そして暴力装置-」と題して口頭発表した。これは犯罪抑圧の研究を江南デルタ開発の全体史の中に位置づけようと試みたものである。
著者
佐藤 佑太郎 太田 経介 松田 涼 濵田 恭子 髙松 泰行
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.76-83, 2023-06-20 (Released:2023-06-20)
参考文献数
46

【目的】進行性核上性麻痺患者の病棟内歩行の自立度と歩行機能,バランス機能,全般的な認知機能および前頭葉機能との関連性を検討し,抽出された項目のカットオフ値を算出することを目的とした。【方法】進行性核上性麻痺患者86名を対象とした。歩行機能,バランス機能,全般的な認知機能および前頭葉機能が病棟内歩行自立と関連するかを多重ロジスティック回帰分析で検討し,抽出された項目をreceiver operating characteristic curve(ROC)にてカットオフ値を算出した。【結果】歩行自立に対してバランス機能評価である,姿勢安定性テストとBerg Balance Scale(以下,BBS)が関連し(p<0.01),カットオフ値は姿勢安定性テストで2点,BBSで45点であった。【結論】進行性核上性麻痺患者における病棟内歩行自立可否には姿勢安定性テストやBBSの包括的なバランス機能が関連することが示唆された。
著者
伊藤 士郎 太田 晃
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.899-905, 1986-09-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

航空機が近くを通過する際に生ずることのあるテレビ受像画面の乱れ, いわゆる航空機フラッタ障害の予測法の研究の一環として, 受信電界変動の推定法について検討を行った.航空機の電波散乱特性を明らかにするために, B747型ジェット機の1/100縮尺模型を用いて, 電波無響室にて12GHz電波により散乱波の測定を行った.分析の結果, その電波散乱特性を46枚の長方形反射板で構成する散乱モデルで近似的に表示できることが明らかになった.また, この散乱モデルを用いた電界変動の計算結果を成田空港周辺で測定した値と対比したところ良い一致を示した.電界変動推定にこの方法を使うことにより, 航空機フラッタ障害の予測が可能であるとの見通しが得られた.さらに, この方法を用いた航空機フラッタ障害範囲を予測するための手順を示した.
著者
太田 玲子 範 瑀軒 網谷 英樹 飯塚 拓巳 山田 夏鈴 加藤 陽佳 石栗 広志 深瀬 真由美 村木 靖 西村 秀一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.34-38, 2022-03-20 (Released:2022-03-29)
参考文献数
14

手指消毒薬の開封後の使用期間は施設により異なるが,開封から半年と定める所が多い.しかし,アルコール製剤の開封後の殺菌効果については明確な指標はなく,情報も少ない.我々はその根拠となるデータを得るために当院の医療現場で実際に6カ月間使用され残ったゲル状アルコール製剤(ゲル状製剤)を回収し,そのまま室温で保存した後(開封直後から開封後34カ月,残量60から350 mL),その主成分であるエタノール濃度をガスクロマトグラフィー法で測定した.その結果,経過時間,残量に関わらずエタノール濃度はすべて開封直後と同等であった.この結果を検証するためにStaphylococcus aureusとPseudomonas aeruginosaを用いて各製剤の殺菌能を測定し,開封直後の製剤と比較検討した.殺菌能測定ではゲル状製剤の対照剤として液状製剤についても測定した.方法は製剤と菌液を30秒と5分間反応させた後に生菌数を求め,精製水を用いた対照実験に対する減少率とlog10 reduction(対数減少値)で評価した.その結果,殺菌能も経過時間,残量に関わらずすべて開封直後と同等で,エタノール濃度と同様な結果であった.今回の検討でゲル状製剤は開封後半年,あるいはそれ以上経過しても開封直後と同等のエタノール濃度とS. aureusとP. aeruginosaに対する殺菌能を保持している可能性が示唆された.
著者
太田 経介 萬井 大規 坂野 康介 中城 雄一 森若 文雄 宮田 一弘
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.215-223, 2020 (Released:2020-06-19)
参考文献数
45
被引用文献数
1

【目的】脊髄小脳変性症の歩行重症度の評価に,Mini-Balance Evaluation SystemTest(以下,Mini-BESTest)とBerg Balance Scale(以下,BBS)が適応可能か検討すること,歩行自立度の判別精度を検討することとした。【方法】脊髄小脳変性症患者30 名を対象に,重症度分類を用いて3 群に分類した。Mini-BESTest とBBS の得点分布,および群間比較を行った。FIM 点数よりROC 曲線を用い歩行自立度の判別精度の検討とカットオフ値を算出した。【結果】Mini-BESTest とBBS は歩行重症化にしたがい低値を示した。Mini-BESTest とBBS はArea under the curve(以下,AUC),感度,特異度が高値であった。BBS は天井効果を認めた。【結論】Mini-BESTest は高いAUC,感度,特異度を有し,歩行自立度の判別精度に有用性の高い指標であることが示唆される。
著者
石橋 宏之 太田 敬 杉本 郁夫 竹内 典之 永田 昌久 本多 靖明
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.217-222, 2002 (Released:2022-06-11)
参考文献数
16
被引用文献数
2

ナットクラッカー症候群(左腎静脈捕捉症候群)は,左腎静脈が上腸間膜動脈と大動脈との間で圧迫され,左腎静脈還流障害から血尿,腰痛などを呈する疾患である.症例1:24歳,男.15歳時から肉眼的血尿と左側腰痛を認めた.貧血はなく,腎機能は正常であった.上腸間膜動脈-大動脈間距離は4mm,左腎静脈-下大静脈圧較差は6.8cmH2Oであった.症例2:16歳,男.11歳時から肉眼的血尿を認めた.軽度貧血があったが,腎機能は正常であった.上腸間膜動脈-大動脈距離は6mm,左腎静脈-下大静脈圧較差は5.4cmH2Oであった.いずれも左腎静脈転位術を行った.症例1は症状が消失した.症例2は吻合部が閉塞したが,保存的治療により軽快した.左腎静脈転位術は,左腎静脈が下大静脈に流入する部位を切離し,大動脈-上腸間膜動脈間距離が広い尾側に再吻合するものである.侵襲も少なく,確実な術式であるが,2例目が閉塞したのは反省すべき点であった.
著者
太田 尚孝 新保 奈穂美
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.945-952, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
33

コンパクトで用途混合型市街地は持続可能な都市発展を導き、国内外で都市計画論のメインストリームとなっている。本研究では、ドイツの建築利用令を事例に包括的な文献調査に基づき、以下の4点を明らかにした。1)ドイツでも理想と現実の間でのギャップが存在し、計画制度の試行錯誤と議論がみられる。2)ドイツでは建築用途の許容性の拡大と建築密度の緩和が一貫して進んでいる。3)農村空間での用途混合は都市部とは異なった課題に直面している。4)ライプツィヒ憲章の実践には政治的リーダーシップが欠かせない。