著者
小川 佳宏 加藤 茂明 伊藤 信行
出版者
京都大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2001

【背景・目的】Fibroblast growth factor10(FGF10)は胎生期において四肢や肺、脂肪組織の形成に必須の増殖因子であるが、成体においては主に脂肪組織において発現が認められ、成体の脂肪組織においてFGF10が重要な役割を担っている可能性が示唆される。一方、FGF10ホモ欠損マウスは肺の形成障害により出生後早期に死亡する。本研究では肥満および肥満合併症の発症におけるFGF10の病態生理的意義を検討するために、FGF10ヘテロ欠損マウス(FGF10+/-)を用いて解析を行った。【方法・結果】標準食飼育下においてFGF10+/-と野生型マウス(FGF10+/+)の体重に有意差は認められなかった。しかしながら、10週齢より高脂肪食負荷を行ったところ両者において体重増加を認め、負荷後4週よりFGF10+/+はFGF10+/-と比較して有意に高体重を示した。負荷後8週目のFGF10+/-(31.5±2.7g)とFGF10+/+(41.8±2.5g)における糖代謝を検討したところ、血糖値に有意差は認められなかったが、血中インスリン濃度はFGF10+/-で低値を示した。糖負荷試験およびインスリン負荷試験においてFGF10+/+と比較しFGF10+/-で良好な耐糖能およびインスリン感受性が認められた。また負荷後8週目におけるFGF10+/-の脂肪組織重量はFGF10+/+の約1/2に減少していたが、組織学的には脂肪細胞の大きさに明らかな差は認められず、FGF10+/-とFGF10+/+の脂肪組織重量の差は脂肪細胞の数の差によると考えられた。【考察】FGF10は高脂肪食による脂肪細胞の増殖を促進し、高脂肪食負荷による肥満に伴う糖尿病発症を促進する可能性が示唆された。
著者
酒本 喜与志 荒川 博文 箕田 誠司 石河 隆敏 杉田 裕樹 鮫島 浩文 江上 寛 池井 聰 小川 道雄
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.2590-2594, 1992-10-01
被引用文献数
9 11

サイトカインは手術侵襲後に生じる種々の生体防御反応において重要な役割を果たしている.今回,外科手術後の血中サイトカインの上昇機序と,それが,どのような因子の影響を受けるかを検討した.対象は合併症を有しない,各種の予定手術を受けた38例である.サイトカインの定量はELISA法,メッセンジャーRNA(mRNA)の測定はNorthern blotting法にて行った.その結果,1.血中interleu-kin 6(IL-6)値は術後1日目に最高値を示すこと,2.ドレーン浸出液中のIL-6,interleukin 8(IL-8)値は末梢血に比べ著明に高いこと,3.胸腔,腹腔ドレーン浸出液中の細胞内に手術当日,1,2日目にIL-6,IL-8のmRNAの発現を強く認めるが,末梢血細胞内には極めて微量であること,4.食道癌1期的根治術,肺葉切除術はおのおの,同程度の手術侵襲を有す膵頭十二指腸切除術,結腸・直腸切除術よりも高いIL-6値を示すこと,5.IL-6値は手術時間あるいは出血量との間に有意の相関が有ること,が明らかになった.以上より,サイトカインは主として手術局所にて誘導,分泌され,次いで血中に移行して高サイトカイン血症を来たすこと,また,手術時間,出血量はともにサイトカイン産生の大きな影響因子であることが示唆された.
著者
小川 開 杉本 祐介 内藤 克浩 菱田 隆彰 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-6, 2014-05-08

近年、スマートフォン,タブレット型端末の登場により、人々の生活をもとにした、巨大なデータが蓄積可能となってきている。また、口コミ情報の投稿や位置情報の取得も容易である。しかし、現在存在する一般的なサービスでは、口コミ情報そのものを掲示し利用している。口コミ情報を解析することで、レコメンドに活かせるのではないかと考え、本研究の目的である特徴語を抽出しレコメンドに使用する方式を提案する。口コミ情報から特徴語を抽出することで、観光地毎の特徴が見えてくる。そのため、ある観光地特有の要素の発見につながり、今までユーザの目にあまり映らなかった、観光地にもスポットが当てられるのではないかと考える。結果過疎化の進んでいる観光地の救済にもつながるのではないかと考え、本研究を提案する。
著者
小川 昭之 石和 俊 鈴木 正義 中下 誠郎
出版者
大分医科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

脳波, 心臓拍動, 姿勢などの制御系の揺らぎ現象に自己回帰解析を施し, 発育しつつある生体に潜む動的活動の年齢特性を明らかにすることを目的として, 昭和60年より62年に至る3年間に次の実績をえた.1 脳波解析による正常小児脳活動の発達現象に関する定量的研究未熟児より15歳に至る健康小児の覚醒・睡眠脳波に自己回帰・要素波解析を施すと, 複雑な脳波活動を構成する要素波の周波数, パワー, 減衰時間持続性, 情報活動量などの諸特性を求めることができる. そこで, 新生児から学童に至る小児の各脳部位導出脳波の要素波特性の発達に伴う変化を明らかにした(昭60). さらに, 自己回帰モデルを応用した脳波の2次元表示の手法を開発し, 互に有意差のない脳波群からなるいくつかの2次元脳電図の平均パターンを図示する方法や, 2つの2次元脳電図を比較して推計学的に有意差のある部分を図示する方法を開発し(昭61), 未熟児や学童の発達に伴う2次元脳電図の定量的変化を明らかにした(昭62).2 直立姿勢調節制御活動の解析と, その発達特性に関する研究健康幼児・学童の前後・左右の揺らぎ曲線に自己回帰解析を施し, 構成要素波を求める手法を開発し(昭60), 5歳から12歳に至る正常児の直立姿勢の揺らぎの発達を求め(昭61), さらにパターン識別によって発達過程の定量的変化を明らかにした(昭62).3 心拍変動の揺らぎの解析と, その発達特性に関する研究任意の時刻の心拍変動はそれ以前の過去の刻々の拍動状態の歴史に確率的に関連する面としない面とがあるので, 拍動周期の時系列も自己回帰性を示す. そこで, R-R間隔時系列の自己回帰解析システムを開発し(昭60), それを用いて新生児の心拍変動を生直後より解析し(昭61), さらに静・動睡眠期での発達特性を明らかにした(昭62).
著者
白井 英子 小川 貴代 吉田 礼維子 山本 愛子
出版者
天使大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、食行動上のプロセスに障害がある在宅独居高齢者の食行動と食満足との関連性を明らかにし、さらに集団的介入を試み、その効果を質的に分析した。その結果、以下の事項が明らかになった。1.在宅障害高齢者の食行動は、入手行動では「自分で買い物をする」「買ってきてもらう」「野菜づくり」「買い物に行けない理由」「食材入手の要因」、調理行動では「自分でつくる」「つくってもらう」「自分でつくる意欲」「調理できない理由」「調理サポートの受けとめ」、摂食行動では、「自分の手で食べたい」「食事環境」「食べる理由」から構成されていた。2.食満足は「おいしい」「食べたい」「食の伝承」から構成され、食満足に影響する食行動の要素は、「自分の手で」「好きなもの」「食の情報」「味へのこだわり(自分の味・昔の味)」であった。3.食満足に影響する調理・摂食行動の要素は、「温かいもの」「食べたいとき」「誰かと食べたい」「外で食べたい」であった。これらの要素を充足する方法としてグループで調理をして一緒に食べる集団的介入(食事会)を実施した。その結果、食事会では、「みんなでつくる」「みんなで食べる」という共同作業と場の共有から「楽しい」「おいしい」体験が得られ、それらが「つくる意欲」に関連しており有効であった。さらに、定期的な開催の要望があり、生活の意欲にも影響を及ぼしていることが明らかになった。4.本研究の対象は、都市環境で生活している独居高齢者で厚生労働省生活自立度(寝たきり度)判定のJとAランクにある比較的障害が軽度である者であった。今後、障害の程度が重度である高齢者に対する食満足を高めるための介入方法の検討、在宅障害高齢者を取り巻く地域環境の差を考慮した高齢者の食生活の質を高める援助策を検討する必要がある。
著者
木暮 一啓 小川 浩史 砂村 倫成 河原林 裕 浜崎 恒二 常田 聡 西村 昌彦 浦川 秀敏 千浦 博 井上 健太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

近年の研究から、海洋の中心層には古細菌が広く分布することが分かってきた。1000m以深では、数的には原核生物のうちの半数近くを占めることが見出されてきたが、今のところ分離株が全くなく、その生態、系統、物質循環に対する寄与などについては殆ど未知の状況である。これらの環境は低温、高圧、貧栄養で特徴付けられるが、こうした環境は従来から知られていた古細菌の好熱性、好塩性、嫌気性などの性質からはずれがある。従ってこれらを非極限性の古細菌と呼ぶことにする。本研究はこの一群を中心とした古細菌に対する学際的研究である。本研究では様々な課題を扱ったが、最大の成果は外洋域中心層から複数の古細菌を分離し、その系統的位置づけおよび性情等についての検討を開始できたことである。これは我々の知る限り、世界で初めてのことである。さらに、それが系統的には好塩性の古細菌に近縁であることが分かったことから、非極限性古細菌群集の起源や古細菌の進化上の広がりなどについて新たな仮説を提示できる段階に至った。
著者
ニヨンサバ フランソワ 秋山 俊洋 キアツラヤノン チャニサ 梅原 芳恵 スミスリッティ リッティ 池田 志斈 奥村 康 小川 秀興
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

LL-37のタイトジャンクション(TJ)バリア機能に及ぼす影響を調べた結果,LL-37がケラチノサイトの分化マーカーとTJ構成タンパクの発現を増加し,さらに,TJバリア機能を強化した.また,β-デフェンシン-3がLL-37同様にRac1,非定型的PKC,グリコーゲン合成酵素キナーゼ3とPI3Kの経路を介して,TJバリア機能を調整することが分かった.また,LL-37等の抗菌ペプチドがバリア機能の調節だけではなく,痒みの抑制と抗炎症作用にも関与することを確認した.これらの結果は,LL-37等が皮膚の感染防御とアトピー性皮膚炎等の病変形成のメカニズムと治療法に大きなインパクトを与えると考えられる.
著者
小川 宣子
出版者
岐阜女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

卵の調理特性である熱凝固性,乳化性および起泡性を利用した各種卵料理に及ぼす影響について、鮮度の影響,卵液のpH,卵液への食塩・乾燥卵白などの添加物および調理過程における加熱条件を物性および組織構造から中心に調べた。その結果、卵の熱凝固性では卵白の場合は鮮度の影響が大で、鮮度低下により凝固開始温度が高くなることがレオログラフより明らかになった。卵黄ゲルの物性には卵黄球の大きさおよび脂肪球の大きさが関わっていた。熱凝固性を利用した厚焼き卵では弾力のある厚焼き卵を得るためには濃厚卵白オボムチンの構造を維持する程度、卵液と調味料を攪拌することが望ましいことを明らかにすることができた。鮮度が新しい卵で作製した茶碗蒸しは弾力があり、この表面構造は鮮度が悪い卵で作製したものに比べ密な構造をしていた。さらには脂肪球が小さく分散していたことから口触りのいい茶碗蒸しになることが推定でき、これは官能検査の結果から裏付けることができた。種が異なる卵については名古屋コーチン種の卵のゆで卵の卵白,卵黄の硬さは白色レグホンに比べ硬く、弾力は大であった。また、名古屋コーチン種の卵黄を用いたエマルションは白色レグホンに比べ油滴が小さく、岐阜地鶏についても名古屋コーチン種と同様の結果であった。また、標準飼料にビタミンEとリノール酸を添加した飼料を摂取した鶏が産卵した卵は、加熱卵白ゲルの弾性,粘性いずれも普通卵に比べてあまり違いは見られなかったが、生卵黄の粘性は大きく、乳化性も優れ、卵黄ゲルの凝集性も大きかった。これは卵黄球中の脂肪球が小さいことが要因の一つではないかと推定した。
著者
小川 祐美
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.179-183, 2012 (Released:2012-08-23)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

Trichophyton tonsurans 感染症が, わが国で蔓延し始めて10年以上経過する. 当初は, 高校 ・ 大学生の格闘技選手間での集団感染が特徴であったが, 徐々に低年齢層や競技とは無関係の患者が増加している. 感染者数などは, 菌種同定の不便さから把握が困難であるが, 格闘技選手間では6 ~ 10%程度の頭部の保菌者が存在し, その80%以上が無症候性キャリアである. 実際には自ら受診する症状が出にくく, 潜在患者が多いと考えられる. 本感染症は, 体部白癬 ・ 頭部白癬が主たる病型である. 特徴は臨床症状が軽微で, 慢性化すると症状がほぼ消失し, 無症候性キャリアとなり感染源となる. 生毛内寄生を伴う体部白癬には, 特に注意が必要である. 診断は通常の白癬と同様 KOH 検査法と真菌培養で, 原因菌の分離 ・ 同定である. 治療は, 頭部の菌の有無を目安に抗真菌剤の外用 ・ 内服を柱とする. 感染予防も重要な課題である.
著者
羽尻 公一郎 岡田 美智男 小川 均
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.3_87-3_99, 1998-09-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
16

Incremental production has been a recent topic in language production studies. There are several levels in the sentence production process, such as the conceptual level, syntactic formulation level, phonetic formulation level, and so on. In incremental sentence production frameworks, a fragmental, incomplete segment can trigger a part of the sentence production process. For example, since an input to the syntactic formulator may be lacking case information on the noun to be produced, the syntactic formulator must complete the missing case information in order to produce an utterance incrementally. Furthermore, if the completed information causes inconsistency with the actual case information to be supplied later, the syntactic formulator must somehow dissolve this inconsistency. To examine how these processes are done in human sentence production, we conducted psycholinguistic experiments on incremental sentence production. Consequently, we found that the completion of missing case information is performed in a regular way, where a nominative case is assigned to the leftmost element in the sentence, and that the dissolving of inconsistency is done by means of passive voice construction or self-repair.
著者
佐藤聡 小川智也 新城靖 吉田健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.17, pp.1-6, 2014-05-15

筑波大学に割り当てられている IP アドレスの中で運用していないセグメント宛の通信は運用上破棄していた.この破棄されたパケットのうち TCP/22 番ポート宛のパケットをハニーポットにて処理することにより,筑波大学の IP アドレス内に設置されている ssh サーバにどのような攻撃があるかの解析を行ったのでその結果を報告する.Packets to IP addresses which are not used in University of Tsukuba was dropped at campus-central routers for normal operation. Among these dropped packets, the packets to TCP/22 port are processed with a honeypot. And we analyzed what kind of trend for unsuitable access to ssh servers with the IP address of University of Tsukuba is. In this paper, we report the results of analysis.
著者
小森 貞男 深町 浩 真岡 哲夫 日高 哲志 小川 一紀
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.137-145, 2002-09-01
参考文献数
12
被引用文献数
1

パパイアは、中央アメリカ原産で世界中の熱帯・亜熱帯地域で栽培され、その年間生産量は720万トン(2000年、FAO)に達し、重要な熱帯果樹の一つである。パパイアは直立した幹を持つ草本性植物で、高いものでは10mに達する場合がある。葉は大型の掌状で頂部に群生する。雌雄異株に加え、両性花をつける株(両性株)がある。両性株は栽培環境で、両性花以外に雄花や雌花をつけることがある。このようにパパイアの花の性は複雑で、Storeyは花の形態で7つの型に分類している。播種後9~14ヶ月で結果時期に入り、量の変動はあるものの、果実は7~8年間周年での収穫が可能である。果実形は、花の種類によって長楕円形、球形、洋ナシ型などを呈する。果物として生食する他、完熟前の果実を野菜として利用する。ブラジルが第一の生産国で300万トン以上に達し、ほとんど自場消費されている。アメリカ合衆国(米国)ハワイ州の生産量は2万トン弱と多くはないが、ハワイで開発されたSolo系品種の品質は良好で、多くが輸出されている。日本では、南西諸島においてパパイアが自生化しており、また生産量は500t程度と少ないものの露地や施設で栽培されている。
著者
松浦 さと子 石川 旺 川上 隆史 川島 隆 林 怡蓉 牧田 幸文 松浦 哲郎 小川 明子 櫻田 和也 津田 正夫 魚住 真司 山口 洋典 日比野 純一 小山 帥人 平塚 千尋 金 京煥 小山 善彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

非営利民間放送は現在、コミュニティにおけるコミュニケーションを活性化し、社会的排除の削減に取り組む独立したセクターとして国際的に認知されつつある。しかしながら、このセクターの持続的発展のための法的・財政的・人的な前提条件は、日本においていまだ存在しない。ゆえに我々は、非営利放送局を支えるための体制の可能なモデルを、さまざまな国と地域における成功事例を比較参照することによって明らかにするよう努めた。
著者
小川 容子 嶋田 由美 杉江 淑子 林 睦 村尾 忠廣
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

歴史的研究, 調査研究, 実験的研究の3分野に分かれて音楽科に求められる「学力」について検討し, 音楽学力に関する幅広い議論を積み上げるための基礎づくりをおこなった。歴史的研究では,(1) 戦後の文部省研究指定校や研究実験校, 調査協力校に関する報告書・資料集の収集,(2) 調査対象地域及び対象県の選定とフィールドワークを主とした実態把握を中心に研究を進めた。調査研究では,(1) 全国の元音楽教師, 現役音楽教師を対象とした質問紙調査の実施,(2) 調査対象者並びに対象グループの選定とインタビューを主とした聞き取り調査の実施を中心に研究を進めた。実験的研究では,(1) 音楽能力調査及び学力検査の追試と分析,(2) 国際比較に基づく児童・生徒の音楽学力の実態把握,(3) 新音楽学力調査問題の開発作成をおこなった。