著者
毛利 一平 小川 康恭 甲田 茂樹 熊谷 信二
出版者
独立行政法人労働安全衛生総合研究所(産業医学総合研究所)
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

1.清掃作業者を対象としたコホートの構築全日本自治団体労働組合の協力を得、全国の清掃労働者に対してコホート調査への参加協力を呼びかけた。コホート構築に必要な個人情報の収集(ベースライン調査)に、ごみ焼却炉での経験を有する者(曝露群)2,866名、ごみ収集作業者(非曝露群)6,239名の協力を得た。発がんリスクについては早期の評価を目指し、退職者を対象としたコホートの構築を試みたが、個人情報保護にかかわる社会環境の変化もあり、実現は困難であった。2.ごみ焼却作業におけるダイオキシン類へのばく露の評価全コホートを対象に、個々のダイオキシン類への曝露を、血液試料の分析により客観的に評価することは困難である。このため、作業内容や従事期間などの代理指標による曝露評価が必要であった。ベースライン調査において、清掃職場での職歴と飛灰に接触する頻度を、自記式調査票によって記録した。また、58人のごみ焼却炉作業員を対象に代理指標による曝露評価と血中ダイオキシン類濃度の相関を検討したところ、曝露期間(飛灰に曝露する作業に従事した期間の総和)と血中HpCDF濃度(PCDD/DFの異性体の一つ)に相関が認められた。3.がん死亡リスクの評価研究期間内に構築したコホートはすべて現役の労働者であり、労働に伴うがん死亡リスクを評価するには、今後さらに10年以上の追跡期間が必要である。4.児の性比への影響生殖障害の指標として、児の性比を検討した。複数の曝露代理指標を用いて解析した結果、統計学的に有意ではなかったが曝露期間が長いほど女児の比率が多くなる傾向を認めた。この傾向は、母親の出産経験、出生時における父親の年齢、出生年を調整しても変わらなかった。ただし、最も曝露期間が短い群で非曝露群よりも男児が多い結果となり、飛灰曝露と子供の性比に関連があるとするには根拠が弱く、現段階で明確な結論は得られなかった。
著者
小川 克彦
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.307-310, 1990-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
10
著者
田中 雅夫 柳 雄介 小川 向洋 水元 一博
出版者
九州大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

我々は予後が極めて不良な膵癌に対する免疫遺伝子治療に取り組んでおり、これまでに以下の成果をあげた。(1)in vitroにおけるサイトカイン発現の確認:ハムスター膵癌細胞に各組換えウイルス(IFN-γ、GM-CSF,MCP-1)をMOI 0、10、50、100の感染効率で感染させ毎日、7日後まで上清を採集、ELISAにてサイトカインの放出量を測定した、各サイトカインはMOI依存性に腫瘍細胞より放出され、3目目に最高レベルで放出され1週間後には極少量となった。(2)放出されるサイトカインの生物学的測定:IFN-γはvesicular stomatitis virus plaque inhibition assay, GM-CSFはマウス骨髄細胞を用いたcolony forming assay,MCP-1に対してはTHP-1 細胞(human monocyte)を用いた。chemotaxis assayにより測定した。放出された各サイトカインは生物学的活性をもつことが証明された。(3)in vitroにおける腫瘍増殖:24穴プレートの各wellに2x10^3個の細胞をまき2日後にウイルスをMOI0,10,50,100で感染させ細胞数を各群3穴ずつ、24時間おきに4日後まで計測した。IFN-γのみ腫瘍増殖をMOI依存性に抑制した。(4)in vivoにおける腫瘍増殖:6穴プレートに各ウェル1x105の腫瘍細胞をまき2日後にウイルスをMOI 100の感染効率で感染させ2時間後に100Gyのγ線照射を行い、その翌日ハムスターに腫瘍ワクチンとし1x10^6個の細胞を皮下に注入(n=10)、7日後に1x10^5個のγ線照射を行っていない腫瘍細胞を皮下にチャレンジした。腫瘍ワクチンの実験系においては、GM-CSFが1ヶ月後に95%の抗腫瘍効果を及ぼした。MCP-1及びIFN-γは効果が認められなかった。皮下移植腫瘍にてGM-CSFに抗腫瘍効果が認められたので、in vivoでの肝転移に対する効果についてGM-CSF遺伝子組換えウイルスを用いて現在検討中である。

1 0 0 0 生のさ中に

著者
小川国夫著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1978
著者
小川 朝生
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

化学療法の発展に伴い長期的な予後が期待できるようになった一方、化学療法後に慢性的に中枢神経系有害事象(認知機能障害)が生じる可能性が指摘されるようになった。この認知機能障害はchemo-brainと総称される。しかし、認知機能障害と化学療法との関連性、その機序に関する検討は未だ途上である。そこでわれわれは、化学療法前後を通して、脳構造画像の変化を非侵襲的に評価する測定系を構築し、抗腫瘍薬と脳機能との関連性、療養生活の質(QOL)との関連の検討を開始した。症例の集積は予定通り進み、追跡調査が終了次第、解析を行う予定である。
著者
西岡 敏 狩俣 繁久 又吉 里美 仲原 穣 仲間 恵子 中本 謙 下地 理則 下地 賀代子 野原 優一 小川 晋史 坂井 美日 青井 隼人 大森 一郎 當山 奈那 田代 竜也 當銘 千怜 平良 尚人 金城 絵里香
出版者
沖縄国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

琉球宮古方言は消滅危機言語に数えられ、他の琉球方言と同様、一刻も早い言語の正確な記録が求められている。本研究では、かつて調査された名詞語彙の言語地図作成を行い、宮古方言の地域的な特徴が視覚的に明らかになるようにした。また、これまで研究が手薄であった動詞の活用変化に焦点を当てた臨地調査を広範囲にわたる地点で行い、宮古方言の基本文例を数多く収集した。新たに収集したデータを言語地図化する作業は現在進行中である。
著者
小川 伸彦
出版者
奈良女子大学
雑誌
奈良女子大学社会学論集 (ISSN:13404032)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.115-138, 2005-03-01

Clarification of the sociological of the connection between a disastrous event and the invention of a new institution, that is, between the loss of the ancient wall paintings of Horyji-temple by fire in 1949 and the enactment of the Law for the Protection of Cultural Properties in 1950
著者
小川 信雄
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.217, pp.15-27, 2012-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第217集「日本における『標準化』の史的考察」三宅明正 編"The "Standardization" in Japan" Report on Research Project No.217
著者
小川 純子 中村 伸枝 荒木 暁子 遠藤 数江 佐藤 奈保 鈴木 恵理子 伊藤 奈津子 佐藤 奈保 沖 奈津子 遠藤 数江
出版者
淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

小児がんの子どもに関わる医療者と患児、さらには家族への調査を実施した。これらの結果を元に専門家会議を実施し、小児がんの子どもが治療を理解し、前向きに治療に向かえるよう看護師が援助するためのCAI(Computer Aided Instruction)を作成した。多くの看護師が利用できるように、血液腫瘍疾患と固形腫瘍の治療過程で行われる処置に関する画像や、日々の看護の中で子どもの主体性を育むかかわりの工夫などをホームページ上に掲載するように準備中である。
著者
笹原 妃佐子 島津 篤 河村 誠 田口 則宏 小川 哲次
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.53-60, 2012-01-30
被引用文献数
1

中学生という時期は,身体的,精神的に大きな変動を遂げる時期である.そのため,歯科保健指導を行うにしても,中学生という年齢に特化した方法を検討する必要がある.本研究では,研修歯科医による歯科保健指導の1か月後,指導を受けた中学生に健康や身体に関わる身の回りに対する考え方と,歯科保健指導後の変化を尋ねる質問紙調査を行い,その回答から,歯科保健指導の効果に影響する要因を分析した.その結果,[自分で健康を守るべきだ]と考える中学生に歯科保健指導後に[以前よりよく歯をみがくようになった]と回答した者が多かった(オッズ比1.96).それに対して,[ファッション]に興味のある中学生には歯科保健指導内容の多くの項目が印象の薄いものであった.この結果から,中学生には,個々の疾病に対する健康教育を行うだけでなく,健康は保護者任せではなく,自分で守るものであるという意識を植え付けるための教育が必要と考えられた.また,歯口清掃は,[ファッショナブルである]と思わせるような指導方法を行えば,[ファッション]に興味のある中学生にも興味を抱かせることができるのではないかと思われた.
著者
羽生 毅 小川 奈々子 大河内 直彦
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

炭素を含む揮発性成分の地球表層とマントルの間の循環過程はよく分かっていない。マントルに地球表層由来の炭素が存在するかどうかを検証するために、火山岩に含まれる炭素濃度と同位体を分析する技術開発を行った。二酸化炭素は火山岩が噴出するときに容易に脱ガスするため、ガスを保持していると考えられる海底噴出急冷ガラス試料を対象とした全岩分析と、火山岩中の斑晶に含まれるメルト包有物を対象とした局所分析を行った。この手法をマントル深部由来の海洋島玄武岩に応用した結果、一部の海洋島玄武岩には地球表層由来の炭素が含まれている可能性が示唆された。