著者
小林 直人 濱田 文彦
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

平面内細胞極性形成シグナルは、細胞膜上に存在するFrizzled-1受容体を中心に構成されるが、この受容体と結合するリガンド分子は不明である。本研究では未知のリガンド分子の同定を目的とし、培養細胞を用いて受容体とリガンド分子との結合の評価系を確立した。種々の膜タンパク質をコードする遺伝子を細胞株で発現させるコンストラクトも構築中であり、これらの膜タンパク質と同受容体との結合について検討を進める。
著者
野田 尚史 小林 隆 尾崎 喜光 日高 水穂 岸江 信介 西尾 純二 高山 善行 森山 由紀子 金澤 裕之 藤原 浩史 高山 善行 森野 崇 森山 由紀子 前田 広幸 三宅 和子 小柳 智一 福田 嘉一郎 青木 博史 米田 達郎 半沢 康 木村 義之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現代日本語文法, 音韻論, 古典語, 方言, 社会言語学などの各分野から, 述べ19名の研究者の参加し, 古典語など, ほぼ未開拓であった領域を含む対人配慮表現の研究の方法論を次々と開拓することができた。とりわけプロジェクトの集大成である, 社会言語科学会における10周年記念シンポジウムの研究発表では高い評価を得た。その内容が書籍として出版されることが決定している。
著者
小林 俊光 川瀬 哲明 吉田 尚弘 大島 猛史 和田 仁 鈴木 陽一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

耳管開放症の疫学研究を行った。とくに慢性腎不全に伴う腎透析患者における耳管開放症の発症の実態を調査した。その結果、腎透析を行った147人中13人(8.8%)が透析後に耳管開放症を発症したことが透析病院での検診結果で判明した(Kawase T, et al.:参考文献)。腎透析と耳管開放症の関係を示した世界で初めての報告である。耳管開放症の画像診断を検討した。その結果、座位で行うCTが有用で臨床応用可能であることを示した。また、バルサルバ法の負荷によって、診断精度が向上することを示し、臨床的な重症度ともよく相関することを示した(Kikuchi T, et al.:参考文献)。耳管開放症・耳管閉鎖障害に影響する因子としての聴力の影響を検討した。その結果、耳管開放症の症状は難聴があると、軽減つることが判明した。例えば、鼓膜穿孔、耳硬化症、真珠腫などのために伝音難聴があると、経耳管的に中耳に伝達され知覚される自声が低く知覚されるために、耳管開放症の症状が軽減する。しかし、一度、手術などの治療によって、聴力が改善すると、知覚される自声が大きくなり、不快な症状が自覚されることとなる。このような病態を潜在性(隠蔽性)耳管開放症と新しく提唱した。中耳真珠腫においても、以上のメカニズムが働いているかどうかを、真珠腫新鮮例171例において検証した。真珠腫の中には約30%の鼻すすり型耳管開放症が含まれているが、鼻すすり(+)群と鼻すすり(-)群の聴力の比較を行ったところ、鼻すすり(+)群が有意に聴力は良好であった。また、術後に鼻すすりを継続した群は鼻すすりを停止した群よりも有意に聴力が良好であった。つまり、鼻すすり癖の停止、継続には、聴力が影響すること、そしてそれは自声強聴を知覚する度合いの違いによるものと解釈された(Hasegawa J, et al.:参考文献)。
著者
伴野 明 岸野 文郎 小林 幸雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.636-646, 1993-03-25
参考文献数
12
被引用文献数
52

本論文では,画像処理を用いた視線検出手法をインタフェースの環境で実現することをねらいとして,特徴点である瞳孔を安定に抽出するための照明条件について明らかにし,また,アクティブステレオカメラを用いて特徴点の空間位置を求め,視線を検出する装置の試作について述べる.瞳孔の抽出では,照明の波長と瞳孔像の輝度の関係,瞳孔の2値化に必要な照明強度などについて求めた.また,パイプライン画像処理装置を用いて特徴点を実時間で抽出した.視線の検出では,瞳孔と顔の3点を特徴点として用い.これらの動きを追跡するようにカメラを駆動制御し,検出範囲の拡大と高精度化を図った.試作システムを用いて,指標ボードを注視したときの注視点を実験により求め性能を評価したところ,頭部の動きを許容して,視角誤差1度程度で,毎秒10回の検出が可能であった.また,瞼などによって瞳孔像が欠落すると,注視点の検出精度が低下するため,瞳孔をだ円近似する手法を提案し,精度の低下防止に有効であることを示した.
著者
倉島 一浩 國弘 幸伸 齋藤 晶 上村 隆一郎 小林 宏成 神崎 仁
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.560-568, 1997-12-01
被引用文献数
4 1

We retrospectively determined the efficacy of Semont's liberatory maneuver in 52 patients with benign paroxysmal positional vertigo (BPPV). Vertigo and torsional nystagmus, characteristic of BPPV, had been induced by the Hallpike maneuver at the time of diagnosis.<BR>Thirty of these patients were treated by Semont's maneuver after being informed in detail about the method. If vertigo reoccurred after treatment, they repeated the maneuver at home twice a day (after awaking and before going to bed) until vertigo disappeared. Patients received no medication and were followed until complete remission or for up to 1 year. The other 22 patients received either no treatment or were treated with medication only; they were followed for up to 9 years.<BR>Disappearance of nystagmus was ascertained for the first group only at our dizziness clinic. While most of these patients exhibited nystagmus lasting‹30 seconds (indicating the mechanism of canalolithiasis), two had nystagmus lasting›1 minute, a sign of cupulolithiasis-induced BPPV. Complete remission of BPPV occurred in 28 patients in the first group or 93.3%; 19 (68%) of these patients showed remission within 3 days. In the second group, the vertigo was resolved in only 9 of the 22 patients (40.9%). The difference in the remission rate of the two groups was significant (p<0.0001).<BR>Our results proved the efficacy of Semont's maneuver for treating not only the more common type of BPPV caused by canalolithiasis but also the less common type induced by cupulolithiasis.
著者
小林 剛志
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.327-332, 2010-03-10

The purpose of this paper is to review the trend of studies in the interaction for music making. In this paper, the inquiry is focused on the linguistic praxis related to musical praxis. The keyword is the languages of craft on the music making process.
著者
小林 俊行 大島 利雄 関口 英子 寺田 至
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

表現の分岐則は、空間の対称性の破れを記述する数学理論である。本研究では、無限次元表現の分岐則の理論を指導原理の一つとし、幾何構造の対称性を用いた大域解析の基礎理論を推進した。特に、擬リーマン空間形における共形反転変換に対応し、二次錐上のフーリエ変換という概念を導入し、D型単純リー群の極小表現のシュレーディンガーモデルの理論を確立した。また、複素多様体における可視的作用という独自のアイディアを用いて「無重複表現」の基礎理論を推進した。
著者
小林 義雄
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.31-44, 1975-08-25

高所における有酸素作業におよぼすビタミンEの単独効果を検索するために, 男子12が名高さ4,500mに相当する低圧室での自転車エルゴメーターによる作業テストに参加した. 二重盲検法によって, 1日1.200mgのビタミンEとプラセボが6週間投与され, 続く6週間に両者はスウッチされて投与された. 同一最大下作業時の酸素消費量(Submax Vo_2)と心拍数, 回復期の酸素消費量と静脈血乳酸値および, つづく all-out ridingによる最大酸素摂取量(max Vo_2)等がビタミン投与の効果を測定するパラメターとして用いられた. 6週間にわたるビタミンE投与の結果, max Vo_2は14%増加した. さらに最大下作業にもとづく酸素負債および静脈血中の乳酸値はそれぞれ20%と17%低下した. これらの諸結果から, ビタミンの大量投与は急性低圧環境における有酸素作業成績を高めるのに効果的に働いたものと考えられる.
著者
藤井 勝 佐々木 衞 首藤 明和 小林 和美 魯 ゼウォン 奥井 亜紗子 高井 康弘 福田 恵 竹内 隆夫 橋本 泰子 樫永 真佐夫 長坂 格 日下 渉 黒柳 晴夫 北原 淳 橋本 卓 油井 清光 白鳥 義彦
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、東アジアの地方社会を「地方的世界」という観点から、地方社会の形成の論理、現代的な変化の特質、そして今後の発展の可能性や課題を明らかにした。東アジアの地方社会では村落と都市(町)は対立しているのではなく、歴史的文化的伝統の上に成り立つ両者の有機的な関係が形成されてきた。そして、それに立脚して「地方的世界」が存在してきた。したがって村落はもとより、地方都市(町)、そして両者の関係の繁栄や再生こそ、地方社会、延いては東アジア自身の豊かな発展に不可欠であることを明らかにした。
著者
山本 智子 廣井 敦子 柴田 亮行 大澤 真木子 小林 槇雄
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.E25-E36, 2011-03-31

福山型先天性筋ジストロフィー (FCMD) は、筋肉の他、中枢神経系や眼の形成異常を伴う筋ジストロフィーで、常染色体劣性遺伝を示す。原因遺伝子fukutinの遺伝子産物は、基底膜形成に関与するα-dystroglycan (α-DG) の糖鎖修飾に関与する。α-DGは豊富な糖鎖を有する糖蛋白で、基底膜/細胞膜部分において細胞内外の蛋白をlinkする複合体、dystrophin-glycoprotein complex (DGC)、の構成成分のひとつである。糖鎖部分が種々の基底膜構成蛋白の受容体となっている。FCMDの中枢神経病変は、小多脳回に代表され、グリア境界膜でのα-DGの糖鎖修飾低下を伴う。グリア境界膜は、astrocyteの足突起により形成されるため、FCMDの中枢神経病変形成には、astrocyteが大きく関与していると考えられる。Fukutinは、さらに、未熟な神経細胞の遊走を促進している可能性があり、また、成熟神経細胞においては、シナプス機能と関連している可能性も考えられる。Fukutinは、ほとんど全ての組織に発現しているが、astrocyte, 神経細胞以外の中枢神経構成成分や、他の諸臓器における役割は、ほとんど解明されていない。また、ゴルジ装置や小胞体以外に、核への局在も示唆され、α-DGの糖鎖修飾以外の機能を有している可能性もある。今後、遺伝子治療等の先端医療が開発されていくと思われるが、より副作用の少ない、効果的な治療のためには、FCMDの病態やfukutinの機能に関する基礎的な検討が不可欠と考えられる。
著者
藤居 宏平 柴田 智広 小林 亮太 北野 勝則 西川 郁子 池田 和司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.31-36, 2010-11-11
参考文献数
13

本研究の目的は,四肢を用いたドラム演奏時における熟達者-非熟達者間の脳活動を比較することである.このように全身を用いた運動時の脳活動を非侵襲に計測するため,近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy; MRS)を用いた.演奏課題としては,非熟達者にとっては演奏が容易でないが,熟達者にとっては容易である一小節のドラムパターンを用いた難課題と,いずれの被験者にとっても演奏が容易な一小節のドラムパターンを用いた易課題の2種類を用意した.解析の結果,熟達者では主に難易度が高いと前頭葉付近の活動が低下するのに対し,非熟達者では前頭葉付近や頭頂葉付近で活動が増加することが観測された.
著者
小林 研二 青木 太郎 西岡 清訓 高地 耕 小森 孝通 畠野 尚典 吉田 恭太郎 林 英二朗
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 = Gastroenterological endoscopy (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.28-34, 2011-01-20
参考文献数
20
被引用文献数
2

61歳男性.主訴は嚥下時心窩部痛,胸部中部食道(Mt)の長径3cm,IIc,食道扁平上皮癌で,ESDを施行.切除標本では低分化型扁平上皮癌,sm1,ly1,v1であり,追加治療として化学療法を施行.14カ月後に胸部大動脈周囲リンパ節転移再発にて,手術を行い,組織学的にはリンパ節再発,内分泌細胞癌であった.集学的治療をするも,初回治療から2年1カ月,食道切除から10カ月で原病死した.術前診断困難な悪性度の高い食道癌におけるESD後のリンパ節再発死亡例を報告した.
著者
大豆生田 啓友 佐伯 胖 小林 紀子 高嶋 景子
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は「保育の場における子育て支援の質に関する研究」として、幼稚園や保育所、子育て支援施設における子育て支援の実践的な視点に立った質的な研究を行ってきた。本研究の中心となったのは、3年間継続して行ってきた幼稚園でのフィールド研究である。このフィールド研究では、幼児の園での姿を追うことと平行して、その保護者のインタビュー調査を行ってきた。1そこから、子どもの変化と、保護者の変化、保育者の変化が関連するものであることを明らかにしてきた。そして、園が保護者に開かれ、保育者が日常的に子どもの姿を保護者に伝えていくことが、保護者の変容に大きく結びついていくことが浮き彫りとなった。また、子どもの姿を意味の脈絡としてのエピソードとして伝えることを通して、保育者自身の変化にも関連があることを明らかにしてきた。第二には、公私立の幼稚園、保育所の保育者の子育て支援に関する意識調査としてアンケート調査を実施した。このアンケート調査では、「子育て支援」という概念自体が自明ではないのではないかという問題意識に立ち、子育て支援意識の多様な実態を明らかにし、そこから子育て支援を再構築するための手がかりを得ることを目的に実施したものである。具体的には、子育て支援が本研究で行ってきた「参加」型としての支援ではなく、「サービス提供」型の支援として捉えられていることを明らかにした。さらに、保育所および幼稚園での子育て支援の捉え方、公立と私立での捉え方、あるいは経験年数での捉え方、等々の相違点についても明らかにした。
著者
冨永 達 小林 央往 植木 邦和
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.204-209, 1989-10-30
被引用文献数
2

チガヤ(Imperata cylindrica var. koenigii)は、防除が極めて困難な、世界の熱帯から温帯に広く分布するイネ科の多年生雑草である。チガヤが密生している草地の現存量の季節変化を調査し、あわせてチガヤの主な繁殖器官である根茎の水平および垂直分布を調査した。 1980年6月14日から1981年5月18日に和歌山県西牟婁郡串本町紀伊大島にみられるほぽ全域をチガヤに被われた放棄畑(北緯33°28'、東経135°50'、標高約50m)において(Fig.1)調査を行った。50×50cm^2のコドラート3個を調査地に設け、ほぼ1か月ごとに出現種および被度を調査した後、地上部を地上から10cmごとに層別に刈り取り、器官別に乾物重を測定した。地上部を刈り取った後、チガヤの根茎の水平および垂直分布を調査した。 調査地ではチガヤが密に分布していたが、分布様式は一様でなかった(Fig.2)。チガヤの他にススキ、スイバ、ワラビなど31種の生育が確認された。チガヤの被度は1年を通じて76%以上であったが、その他の種の被度は10%以下であり(Fig.3)、個体数も少なかった。チガヤは速やかに生長し、調査開始時には既に草丈が89.7cmに達し、草冠を被っていた(Fig.4)。チガヤ、ススキ、ヘクソカズラ、スイカズラおよびハスノハカズラ以外の種は下層に位置していた。2月にはチガヤの地上部はほとんど枯死したが、枯死葉は、脱落せず、枯死した状態で残存していた。調査地の地上部最大現存量は1月に883 g/m里を示し、チガヤはそのうちの87.4%を占めた。チガヤの主な繁殖器官である根茎は複雑に分枝していた(Fig.6)。根茎は、深さ10cmまでに全量の約80%が分布し、深いものでは30cmに達していた(Fig.4)。根茎の現存量は年間を通じ全器官の40〜50%を占め、その最大値は地上部の現存量が最大となる時期から約1か月遅れた2月に653 g/m王を示した(Fig.5)。 複雑に分枝した根茎が地中深くまで分布し、多量の同化産物を蓄積していることがチガヤの防除を困難にしている要因であると推定された。
著者
久保 陽太郎 渡部 晋治 中村 篤 小林 哲則
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.8, pp.1-6, 2010-02-05

識別学習は,デコーダの出力する認識仮説と比較して正解ラベルの尤度を相対的に高めることで識別に特化したモデルを得るための手法であるが,経験的に過学習しやすいことが知られている.近年,音響モデルの識別学習において過学習を軽減するため,最小相対エントロピー識別が音響モデルの識別学習に導入されてきた.この手法ではパラメタ推定の不確実性をパラメタ分布によって表現することで適切に取り扱うことを可能としており過学習に強いと考えられるが,従来の実現法では大量の認識仮説,および大量のトレーニングデータを取り扱うには膨大な量の計算を単一のコンピュータで実行しなければならなかった.そこで,本研究では,ラティス型認識仮説表現を導入することで認識仮説の数に対する計算効率を,また勾配法に基づく並列化可能な最適化法を導入することでトレーニングデータの数に対する並列計算効率を向上させた.提案法を用いることで,最小相対エントロピー識別学習に必要なステップのほぼ全てがグリッドコンピュータのような並列計算環境で実現可能になり,また,従来の N-best に基づく認識仮説表現では表現しきれないような膨大な数の認識仮説に対する最適化が行なえるようになった.In order to improve the performance of automatic speech recognition, discriminative training methods are introduced for training processes of acoustic models in speech recognizers. Recently, minimum relative entropy discrimination (MRED) training of acoustic models is introduced in order to prevent overfitting problems in discriminative training methods by representing parameters as random variables. Despite of these advantages, the conventional implementation of MRED lacks scalability to the amount of training dataset and the number of the hypothesis label sequences obtained from decoders. In this study, we attempt to improve scalability of MRED training. The lattice-based representations of the hypothesis label sequences are introduced in order to improve scalability due to the number of the hypothesis label sequences. Further, the gradient-based optimization method is introduced in order to ensure parallelism in the MRED training method. By incorpolating proposed methods, it is confirmed that the MRED training procedure can now be performed in parallel computing environments such as grid computers. Furthremore, the large number of the hypothesis label sequences can be handled in the MRED by using hypothesis lattices obtained from decoders.
著者
小林 健彦 Kobayashi Takehiko
出版者
新潟産業大学附属研究所
雑誌
新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
巻号頁・発行日
no.38, pp.57-73, 2010-06

日本列島の中では、文献史資料に依って確認を取ることが可能な古代以降の時期に限定してみても、幾多の自然災害―気象災害、津波や地震災害、伝染病の蔓延等―に見舞われ、その度に住民等を苦しめて来た。現在の新潟県域に該当する地域に於いても、当該地域特有の気象条件より齎される雪害を始めとして、大風、大雨、洪水、旱魃、地震、津波、火山噴火、そして疫病の流行といった災害が発生当時の民衆に襲い懸かっていた。しかし、民衆はそれらの災害を乗り越えながら現在に続く地域社会を形成して来たのである。筆者は、従前より、当時の人々がこうした災害を如何にして乗り越えて来たのかという、「災害対処の文化史」を構築するのに際し、近年自然災害が頻発している新潟県域を具体的研究対象地域として取り上げながら、その検証作業を行なっているところである。本稿では、前稿に引き続き、室町時代の中期以降、中世後半期に至る事例の検出と、民衆に依る災害対処の手法とに就いて、更に検証作業を進めた内容を明らかにするものである。