著者
川上 朋也 竹内 亨 寺西 裕一 春本 要 西尾 章治郎 下條 真司
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3289-3299, 2011-12-15

ユビキタス環境では,現実世界におけるユーザやサービス対象の位置に基づくコ ンテンツである位置依存コンテンツの扱いが重要となる.本研究では,位置情報 に関連するP2Pアーキテクチャである地理的オーバレイネットワークを用い, さまざまな地理的オーバレイネットワークに適用可能な位置依存コンテンツ分散 管理手法を提案する.提案手法ではピアのコンテンツ担当領域はボロノイ領域で 表されるため,既知のピアやコンテンツの配置,分布密度などから未知の領域に おける担当ピアの存在確率を計算することで,効率的に要求コンテンツを取得す る検索アルゴリズムを提案する.本研究では提案手法におけるコンテンツ検索を シミュレーションにより評価し,不要な範囲のピアへのクエリ送信を抑制しつつ, 要求コンテンツを取得できることを確認した.In the ubiquitous computing environment, location-dependent contents, which depends to certain locations in the real-world, play important role to realize various services. In this study, we propose location-dependent content managing mechanism which uses various geographical overlay networks and enables to applicate to them. In our proposal, peer's territory for contents is showed as Voronoi regions. We proposed an algorithm to calculate a probability of peer existence within unsearched area based on found peers, contents, and those density to search required contents. We have evaluated the effectiveness for content search in proposal by simulations and confirmed to reduce queries for unnecessary peer.
著者
川上 光彦 沈 振江
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では,地方自治体における行われている中心市街地活性化政策などの計画政策の効果を検証する計画支援ツールとして,マルチエージェントシステム(以下,MAS)を用いて,土地利用計画支援モデルを開発し,その適用により有効性の検証を行う.具体的には,大型店の立地と各世帯の購買行動をシミュレーションし,中心市街地の商業への影響を提示できる計画支援システムの開発を行う.今年度では、研究事項3シミュレーションシステムの構築と検証-商業施設と購買行動研究事項4シミュレーションシステムの構築と検証-住宅の立地活動研究事項5シミュレーションシステムの構築と検証-土地利用パターン以上の研究事項を行い、特に研究事項3~5について、金沢市を事例として、国土数値情報や国勢調査などにより、1980年代から2000年代までの商業施設の立地や世帯の変遷を調べた。シミュレーションシステムの構築には,これまで、実際の都市空間をシミュレーションシステムへ導入できるように、システムを改良し、マルチエージェントシステムを用いた世帯エージェントの交通行動と購買行動に関するシミュレーションシステムを開発した。関連研究は、国際会議では3編の論文を発表した。なお、中国の北京市を対象に、研究事項5との関連で、北京市の都市成長シミュレーションを行い、中国語で「地理学報」で、英語で国際誌Environment and Planning B, Planning and Designで、査読論文2編が採用された。
著者
川上 孔明 鈴木 貢
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.13, pp.1-4, 2011-12-10

生徒の授業への積極的参加を促すのにクリッカーは有効であるが、従前のものは、自然科学系の授業に応用するには制約が多い。また、端末と学生個人を結びつける機能が不十分なため、個別指導や成績への関連付けにそのまま応用できない。我々は、数式等の入力や IC 学生証を用いた個人認証を可能にした端末を、タッチパネルを搭載した小型 PC を応用して構成することと、それを Moodle へ接続するためのプラグインを提案する。While Clickers are efficient when an instructor leads his students to take part in the class, previous ones are so limited that they cannot be applied to natural science classes. And since they lack functionalities that combine students and their terminals for each, the instructor cannot use the clickers to guide the students personally, or to record personal schooling results. We present a design of student side terminal which enables mathematical formula input and authentication with IC student identification cards, an implementation of the terminal by using a small net book computer with touch panel functionality, and a design of Moodle plug-ins connecting the terminal.
著者
川上 紳一 小嶋 智 小井土 由光
出版者
岐阜大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

岐阜大学附属中学校と長良中学校の生徒を対象に、天体望遠鏡(スピカ)による金星の満ち欠けの観察を取り入れた授業を実践した。この間、岐阜大学では天気の良い日は可能な限り金星の観察を行い、得られた画像をその日のうちにホームページで公開し、生徒たちの観測への動機づけや観察結果の確認のため使用した。まとめの授業では、継続的な観察結果を踏まえ、モデルによって観察事実が合理的に説明できるか検証した。また、宵の明星の観察を基に、明けの明星になった金星の姿を予想し、さらなる観察で確認を行った。今回の実践では内合通過前後で観察を行うことで、有意義な授業を展開できた。一方、月の満ち欠けについては、岐阜大学附属小学校4年生を対象に、天体望遠鏡(スピカ)と双眼鏡による月の観察を行った。天体望遠鏡の視野の中に月を導入すること、望遠鏡のピント合わせなど、小学4年生には困難な課題を提示したが、多くの子どもが観察に成功した。とりわけ、せっかく月が見えるようになったのにすぐ月が視野からはずれることに気づいた子があり、授業での交流で月が動いているかどうかが問題となった。その結果、次の授業までにもう一度観察して確かめる課題へと発展した。結局、多くの子どもが月が東から西へ動いていること、日ごとに東へ移動すること、月の地形やクレーターの存在に気がついた。岐阜大学のホームページでは、月の満ち欠け、地形やクレーターを紹介したホームページを作成し、興味をいだいた子どもたちにより深い学習へと発展できるようにした。天体望遠鏡による月の観察を取り入れた指導法については、今後も授業で実践し、改良していく必要がある。このほか、小中学校で学習する理科(特に2分野)の学習や高等学校「理科総合B」の学習を支援する教材をホームページに多数掲載した。
著者
川上 裕司 岩田 隆太郎
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.91-96, 2003-11-29
被引用文献数
1

奈良県橿原市在住の消費者が2000年7月24日に購入した「薬タンス(チャイニーズメディシンチェスト)台湾製」より,2002年5月3日にカミキリムシの成虫が羽化脱出した.同定の結果,中国・台湾に分布するヒゲナガヒラタカミキリEurypoda antennata SAUNDERSの♂と判明した.この家具は中国の古い家屋をリサイクルして製造されたものであり,本個体は原材料に産卵されてから少なくとも20年以上を経て羽化したものと推定された.
著者
川上 養一 船戸 充 岡本 晃一 岡本 晃一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

本研究プロジェクトによって、近接場マルチプローブ分光技術、すなわち、光ファイバー先端に設けた微小開口から試料の微少領域を光励起し、数100 nm程度離れた場所からの光信号を別の微小開口プローブを用いて分光する技術の開発に成功した。これによって、半導体ナノ構造など光材料におけるキャリア・エキシトン・プラズモンなどの素励起の時間的・空間的な再結合ダイナミクスを可視化でき、光物性評価のための新しいツールが開発された。
著者
川上 邦基
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.49, no.599, pp.549-558, 1935-05-05

本稿は先年宮内省の御許可を得て、撮影と實測とを遂げた京都桂離宮に關し、聊か研究したところを記したもので、1は其緒言、2は其所在地に就いての記述、3は離宮の創建と増築とに就いて卑見を述べ、4に離宮内諸建築を説明し、殊に小堀遠州の意匠に成ると稱せらるゝ部分に就いて注意を喚び、轉じて5に、洛北曼珠院なる大小書院の創立、構造、装飾を説明して6に移り、桂離宮と曼珠院とを比較して建築的に「遠州好み」を抹殺し、更らに其出典を研討して文獻的にもこれを抹殺し、7に離宮の沿革を略叙して最近の風害に及び、筆を結んだ。
著者
下田 学 福永 哲夫 金久 博昭 川上 泰雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.87-97, 2008-06-30 (Released:2008-09-13)
参考文献数
33

The purpose of the present study was to investigate the effect of varying inter-contraction intervals on central and peripheral muscle fatigue during intermittent contractions. Six healthy men carried out maximal unilateral isometric plantar flexions 50 times, separated with an interval of 2, 4, 10, or 30 s. Supramaximal electrical stimuli (twitches) were imposed percutaneously on the tibial nerve during and after every 10th contraction to assess the level of voluntary activation. The surface electromyogram (EMG) was recorded from the medial and lateral gastrocnemius (MG and LG) and soleus (Sol) muscles. Plantar flexion torque and other parameters were maintained over contractions with 30-s intervals, while the torque as well as EMG activity of the MG, LG and Sol and the level of voluntary activation decreased significantly under conditions using 2-, 4-, and 10-s intervals. The amount of decrease in the parameters was greater for shorter intervals. With 2-s intervals, the twitch torque decreased significantly, the half-relaxation time of the twitch torque increased significantly, and the EMG mean power frequency of the MG and LG shifted significantly toward lower frequencies, whereas no significant changes were found under other conditions. These results indicate that there are differences in the contributions of central and peripheral fatigue, both of which are a function of inter-contraction interval.
著者
川上 洵 南寿 礼次郎 大森 淑孝 杉本 博之 加賀谷 誠 徳田 弘
出版者
秋田大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1988

1.膨張コンクリ-トを鉄筋コンクリ-ト管に適用し、そのひびわれ強度の改善を計った。1)膨張コンクリ-トの材料特性を明らかにした。2)普通コンクリ-トと膨張コンクリ-トの複合化を行うことによりケミカルプレストレスを導入した。このとき、管を多層円柱とモデル化し応力解析を行いプレストレスの分布を示した。3)外圧試験により膨張コンクリ-ト使用(ケミカルプレストレス導入)によるひびわれ強度の上昇を定量的に示した。2.PC鋼材を用い、鉄筋コンクリ-ト管に機械的プレストレスを導入し、外圧強さの向上を計った。1)PC鋼を鉄筋コンクリ-ト管の外壁に巻き緊張・定着して機械的プレストレスを導入した。2)機械的プレストレスとひびわれ強度の関係を明らかにした。3.鉄筋コンクリ-ト管の内壁にライニングするポリマ-モルタルの材料特性を検討した。1)ケミカルアタックに対する抵抗性、2)遠心力ライニング時の親水性、3)鉄筋コンクリ-トとの付着特性、4)外圧試験におけるひびわれ強度が明らかにされた。4.高強度耐酸コンクリ-ト複合管の設計及び製作を行った。1)複合管を構成するポリマ-モルタル、膨張コンクリ-ト、普通コンクリ-トの打込み厚さ、鉄筋及びPC鋼の量及び配筋などに関し、その材料特性及び価格を考慮し、できるだけ大きな外圧強度が得られる最適設計を行った。2),1)の結果に基づき、実用管の試作を行い、その外圧試験を行った。
著者
遠西 昭壽 川上 昭吾 大高 泉 吉田 淳 平野 俊英 楠山 研 森本 弘一 磯崎 哲夫 橋本 健夫 劉 卿美 遠西 昭壽
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アジアの中で発展が急な韓国、中国、台湾、シンガポール4ヶ国、中国については教育特区の北京、上海、香港の理科教育の実態を調査した。アジア各国は例外なく理科教育の充実に努めている。特に、韓国では英才教育院、科学英才教育院において英才教育が進められていること、シンガポールでは2007年に「シンガポール大学附属理数高校」(National University of Singapore High School of Math and Science)、理数教育に特化した高校が開校していることが特記すべきことである。コンピュータ教育の充実も盛んに行われている。特に、シンガポールでは国が力を入れ、コンピュータはインターネット、電子黒板等多面的に利用されている。いじめがあるのは日本で、韓国では問題になりつつある。その他の国ではこの問題はない。3年間の本研究で、韓国、中国(北京、上海、香港)、台湾、シンガポールの研究者との交流を深めることができ、国際シンポジウムを開催することもできて、今後の研究交流の基盤が整備されたことは、大きな成果であった。
著者
五十嵐 淑郎 荒井 貴史 川上 貴教
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.1183-1188, 1994-12-05
参考文献数
11
被引用文献数
7 13

水-酢酸-クロロホルム三成分系において, pH依存相分離現象を利用した新しい均一液-液抽出法を開発した.まず, 三成分溶媒系の相分離における最適操作条件を決定した{クロロホルム230μl(0.66vol%)と酢酸2cm^3(5.71vol%)を含む均一水溶液に水酸化ナトリウム水溶液([NaOH]_T=1.03mol dm^<-3>)を添加し相分離を行う.最終体積 : 35cm^3}.又, あらかじめ添加するクロロホルムの量を調節することにより, 水相(V_w=35cm^3)と析出相(V_o=3.5μl)との体積比を一万倍とすることができた.モデル溶質としてα, β, γ, δ-テトラキス(4-ピリジル)ポルフィンを選定し, 本法を適用した結果, V_w/V_oが700のとき, 分配比(D)は5600及び抽出率(E)は88.9%であった.更に, 本法と8-キノリノール比色法を組み合わせた均一液-液抽出法では, 飲料水中の鉄の定量に対し, 良好な結果が得られた{鉄(III)-8-キノリノール錯体 : V_w/V_o=700のとき, D=1230及びE=63.7%}.
著者
吉川 徹 川上 憲人 小木 和孝 堤 明純 島津 美由紀 長見 まき子 島津 明人
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.127-142, 2007-07-20
参考文献数
29
被引用文献数
6

職場のメンタルヘルス向上を目的とした職場環境等の改善のためのアクションチェックリスト(Mental Health Action Check List, 以下MHACL)を開発した.ストレス対策一次予防における職場環境改善等の進め方と意義について検討した.3つのステップによりMHACLを開発した.(1)文献レビューと改善事例の収集と分類,改善フレーズの作成とMHACLのひな型作成,(2)産業現場への適用と産業保健スタッフ等を含むワークショップによる試用,(3)改善フレーズの見直しと改善領域の再構成を行って,広く職場で使える改善アクション選定チェックリストとして提案した.文献レビューにより職場環境等の改善を支援する8つの改善技術領域が整理された.全国の84事業場から延べ201件の事例の職場のストレス対策に役立った改善事例が収集できたので,これら事例から代表的な改善フレーズを抽出し,40項目からなるMHACL原案が作成された.現業職場の職員105名を対象としたMHACL利用の参加型研修会により,MHACLを用いて多様な改善提案を引き出せることが確認された.産業保健スタッフを対象としたMHACL利用のワークショップでは,MHACLの使用者とその受け手の明確化,使用手順と職域でのリスクアセスメント方法のマニュアル化,使用言語の平易化,などが必要と指摘された.これらの経験から,最終的に30項目で構成されるMHACLが作成された.それらの項目は,技術領域としてA)作業計画への参加と情報の共有,B)勤務時間と作業編成,C)円滑な作業手順,D)作業場環境,E)職場内の相互支援,F)安心できる職場の仕組みの6つの領域にまとめられた.現場ですぐ取り組めるメンタルヘルス改善アクション項目からなる職場環境改善用のチェックリストを作成した.今後チェック項目を利用した職場介入経験者との意見交換を行って,使いやすいチェックリストと利用方法を検討していく予定である.MHACLの利用によるストレス対策一次予防の推進による成果が期待される.
著者
西内 悠祐 上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.37, pp.13-18, 2003-05-01
参考文献数
4
被引用文献数
3

3次元自律系である変形BVP発振器ではダブルスクロールカオスやjack-in-the-box現象と呼ばれる特異な応答が存在する.このjack-in-the-box現象のbasin boundaryを調べたところ,basin boundaryの境界線がぼやけて消失するという現象が見られた.このときのbasin boundaryはriddle basinと呼ばれる状態となっていた.そこで,このbasin boundaryと既存のriddle basinとの性質の違いについて述べる.また,この発振器で起こる分岐現象について詳しく説明する.
著者
川上 貴文 廣瀬 敏也 春日 伸予 澤田 東一 小口 泰平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.581, pp.49-52, 2005-01-15
参考文献数
4

本研究は, 運転者の認知過程を考慮した追突防止システムの評価を検討したものである.システムは3種類を用意し, それぞれのシステムはブレーキランプに情報を提示するものである.その提示情報は(1)減速度, (2)制動力, (3)点滅による警報である.実験はドライビングシミュレータを用いて, システムを搭載した前走車の減速に伴い, 後続車の運転者が減速するものである.その結果, 制動力を提示したシステムは, 追突防止に効果が見られた.理由としては, システムが運転者の認知, 判断の時間を短縮していることが考えられる.
著者
川上 紳一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,国際宇宙ステーションなどの人工衛星を活用した科学教育プログラムの開発である.これまでに科学研究を目的とした明るい人工衛星の飛行経路や到来時刻を予報したホームページを公開し,運用を続けている.今年度は「人工衛星観測ナビゲータ」に掲載されている人工衛星の明るさを観測し、予測式を導いて、予報値を公開するためのプログラム開発を行った.また、米国の情報セキュリティ強化にともなって、従来のような人工衛星軌道情報の取得が困難になり、軌道情報自動更新ソフトを新たに開発する必要が生じたため、ソフトの開発を行った.国際宇宙ステーションから見た地球のシミュレーションソフトについては,平成16年度に静止画版を公開したが,本研究では,3D動画配信版の開発に関する技術的検討を行った.このソフトの開発には,MatrixEngineというゲームエンジンが有効であり,このソフトで表示するための3D地球オブジェクトの開発が必要であることを明らかにした.これらのソフト開発についても本研究と密接に関連するプロジェクトとして進め,2005年9月の段階で,試作版をweb公開した.このソフトをさらに魅力的なものにするには、気象衛星の雲画像を取得して一定時間ごとに更新するようなシステム開発が望まれる.この課題についても,気象衛星画像の入手方法について調査を行い,複数の気象衛星の画像からコンポジット画像を合成して表示することは技術的に可能であることを明らかにした.一方,こうしたソフトを活用した天体観察会についても実施し,星空のなかを飛行する国際宇宙ステーションが,児童・生徒の学習の動機づけとして有効であるというデータを取得した.このように,本研究は当初の予定を上回る成果を挙げることができた。科学教育プログラムとしての完成のためには,当初想定していなかった雲画像の表示ならびに更新システム開発、地球情報とのリンクの確立など,新たな課題が明確にできた.
著者
大槻 明 川上 あゆみ 林 剛 川村 雅義
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.213-219, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
被引用文献数
1

学術俯瞰の分野における最近の研究動向は,参考文献の引用分析により実現するサイテーションマップが主流であり、ネットワーク構築やクラスタ化までの自動化はなされているが、各クラスタがどのような集団であるかの意味付けまでの自動化はなされておらず、専門家が手動で分析している現状である.ゆえに、各クラスタの自動解釈を最終的な目的として,本発表では各クラスタの主要論文の自動抽出を目指す。具体的には、論文をノード、引用をエッジとする有向グラフと考え、各ノードに発表年数を持たせたうえで、あるノードに入るエッジの元ノードの発表年数の分散を調べることでそれぞれの重要度の計算を試みる。そして、それらの重要度を基に、時間軸を持つ可視化グラフの構築を目指す。
著者
川上 紳一 東條 文治
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.829-830, 2003-11-30
参考文献数
2
被引用文献数
1