著者
本堂 毅 平田 光司 関根 勉 米村 滋人 尾内 隆之 笠 潤平 辻内 琢也 吉澤 剛 渡辺 千原 小林 傳司 鈴木 舞 纐纈 一起 水野 紀子 中島 貴子 中原 太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

科学技術の専門的知識には,程度の差はあれ,様々な不確実性が避けられない.また,社会の中で科学技術の知識を用いる際にどのような科学的知識が必要かは価値判断と不可欠であるため科学自体では定まらない.このような「科学的知識の不定性」を直視し,不定性の様々な性質を踏まえた上で,より的確な判断を私たちが主体的に下すための条件を考察し,科学的知識に伴う不定性の性質・類型を明らかにするとともに,その成果を書籍にまとめた(2017年度に出版予定).
著者
飯塚 和也 相蘇 春菜 大久保 達弘 逢澤 峰昭 平田 慶 石栗 太 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

福島原発事故により広範囲わたり飛散・拡散した人工放射性核種の中で重要な放射性セシウム(Cs)は,同族のアルカル金属であるカリウム(K)と化学的性質が類似しているため,植物体において,Kの輸送系により吸収されていると考えられている。Kの同位体である天然放射性核種であるK40の一部は,γ崩壊をする。そこで,樹体中に取込まれた放射性セシウムの挙動を調査するに当たり,K40に着目して,放射性核種ごとにCs134,Cs137とK40の比放射能(Bq/kgDW)の測定を行なった。材料は宇都宮大学演習林(空間線量率0.2~0.3μSv/h)のスギ,ナラ類,コシアブラである。供試材料の比放射能は,U8容器を用い,Ge検出器(SEIKO EG&G)で測定した。測定時間は,木材で6000S,葉で2000Sまたは4000Sとした。若齢木において,コシアブラの葉はナラ類のそれと比べ,非常に高い比放射性を示した。また,コシアブラの核種ごとの比放射能の季節変動では,晩秋は夏に比べ,Csは1.8倍の増加を示したが,K40では1.5倍の増加であった。
著者
平田 渉 中島 淳 小山 彰彦 乾 隆帝
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.17-22, 2023-07-11 (Released:2023-07-11)
参考文献数
7

これまで鹿児島県の1 ヶ所の生息地しか知られていなかったサツマキバナガミズギワゴミムシの 2 ヶ所目の生息地を発見した.これは熊本県からの初記録となる.また,両産地での生息環境を調査し,その環境構造の特徴を記録した.
著者
平田 和明 長岡 朋人 星野 敬吾
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.19-26, 2004 (Released:2004-07-14)
参考文献数
15
被引用文献数
13 14

鎌倉市の由比ヶ浜地域には大量の中世人骨が出土している静養館遺跡,由比ヶ浜南遺跡(単体埋葬墓),中世集団墓地遺跡(No. 372)および材木座遺跡の4遺跡があり,これらの出土人骨の刀創の特徴を比較検討した。刀創受傷率は材木座遺跡が最も高く65.7%であり,次に静養館遺跡が6.6%で,中世集団墓地遺跡は1.4%,由比ヶ浜南単体埋葬人骨は1.3%であった。刀創人骨のうちの斬創が占める割合は,静養館遺跡が100%,由比ヶ浜南遺跡が66.6%,中世集団墓地遺跡が75.0%,材木座遺跡が2.7%であった。一方,掻創が占める割合は材木座遺跡が82.3%で圧倒的に高く,中世集団墓地遺跡は2個体だけで25.0%,静養館遺跡と由比ヶ浜南遺跡の出土人骨には掻創は認められなかった。由比ヶ浜地域(前浜)は主として14世紀に中世都市鎌倉の埋葬地として使用されたと考えられるが,遺跡間および同一遺跡内の各墓抗間においても人骨の埋葬形態に差異があることが明らかであり,今後の広範囲な分野から更なる解析・検討が必要である。
著者
岩波 久威 小鷹 昌明 平田 幸一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.169-171, 2007-02-01

はじめに 脳梗塞の原因の1つとして脳動脈解離は重要であり,近年MRI画像の発達により診断される症例が増加している1)。スポーツや激しい咳,転落や自動車事故,ヨガ,トランポリン,アーチェリー,カイロプラクティスなどの外傷に伴う急激な頭部の後屈や回旋によって誘発される椎骨動脈解離は,頭蓋外に発生する場合が多い。一方,特発性の場合には頭蓋内が多い2)。 5年間指圧マッサージを受けていた症例において,指圧中に突然の頭痛とめまいで小脳梗塞を発症し,three-dimensional computed tomographic angiography(3D-CTA)の所見から頭蓋内椎骨動脈解離と診断した。軽微な圧迫においても,繰り返されることにより誘発される頭蓋内動脈解離の危険性を強調したいので報告する。
著者
平田 耕造
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.3-12, 2016-04-01 (Released:2016-04-18)
参考文献数
47
被引用文献数
3

本研究は熱負荷時に手から還流する皮静脈血流が,どの程度前腕からの蒸散性(E)及び非蒸散性(R+C)熱放散量に影響するか明らかにすることを目的とした.両腕は,一側ずつ手血流量と手からの還流静脈血を手首のカフ加圧(250 mmHg)により 30 分間遮断する加圧側としない対照側とした.食道温が 0.82℃上昇する間,手の血管拡張後,対照側の前腕皮膚温は 3.2℃上昇したが,加圧側では上昇が認められなかった.これに伴って,対照側の前腕発汗量は 0.21 units まで増加したが,加圧側では 0.13 units に留まった.これらの結果から,手の血管拡張による AVA 血流量の増加は,前腕の発汗量増加と皮膚温の上昇による熱放散量亢進に著しく寄与することが判明した.
著者
壹岐 伸弥 平田 康介 知花 朝恒 石垣 智也 尾川 達也 川口 琢也
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.23-30, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
31

要旨 本報告の目的は,高次脳機能障害者の主介護者が抱える介護負担感に対して,リハビリテーション専門職としての関わり方の違いがどのように影響するのかを事例を通して考察すること. 対象は脳塞栓症後の80 歳代の男性.日常生活は自立可能な心身機能であったが,高次脳機能障害により自宅生活での誤判断を認め,介護肯定感の高い主介護者である妻の支援に対して易怒的であった.妻の介護負担感は高い状態にあり,病前より夫は亭主関白であった.高次脳機能障害の機能改善を主とした関わり(機能的介入)と,主介護者である妻への介護教育を主とした介入(介護教育的介入)経過により示された介護負担感や介護肯定感の変化を考察した. 機能的介入では,介護負担感は軽減したが介護への肯定感が低下した.一方,介護教育的介入では,介護への肯定感が向上したが,介護負担感は再び増加した. 結論として,夫婦間で生じる介護負担感への介護教育は,元来の関係性に配慮した関わり方を選択しなければ,介護負担感を増加させてしまう可能性が示唆された.
著者
平田 まり 隈部 敬子 井上 芳光
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.516-524, 2002

<b>目的</b> 10歳代後半から20歳代前半の女性の多くが月経痛のために苦しみ,日常生活に支障を来たしている。それ故に月経痛と関連する日常生活要因を明らかにすることは,若い女性の Quality of Life(QOL)の向上に貢献する。本研究の目的は,やせている者の比率が最も高い青年期女性において食物摂取状況や身体活動度を反映する体格が,月経痛の頻度に関連するかを明らかにすることである。<br/><b>対象と方法</b> 18歳から21歳の女子大学生2,718人を対象にして2000年 4 月に,身長・体重測定と月経関連項目について自記式アンケート調査を行った。有効回答者2,288人の中,月経周期が 3 か月以上や過短月経の者を除いた2,282人を解析対象とした。月経痛の頻度と年齢,体格,運動,および月経関連項目(初経年齢・月経周期・月経期間・月経量)との関連をロジスティック回帰分析で検討した。<br/><b>結果</b> 2,282人の解析対象者の中,月経痛がいつもある者は34.1%,時々ある者は48.7%,ほとんどない者は17.2%であった。日本肥満学会の旧判定基準による分類では,やせ(BMI<19.8)群は34.8%,普通(19.8≦BMI<24.2)群は53.8%,過体重(BMI≧24.2)群は11.4%であった。体格の普通群を基準因子とした時,やせ群の「月経痛がいつもある」オッズ比は1.3 (95%信頼区間:1.1-1.6),過体重群のオッズ比は1.1 (95%信頼区間:0.8-1.5)であった。また月経痛がいつもある危険性は,初経年齢が若い者,および月経量が多い者は高く,月経周期が不規則な者は低かった。<br/><b>結論</b> 調査対象とした女子大学生において,月経痛の有訴率は82.8%と高かった。月経時にいつも痛みがある危険性は,体格が普通である者より BMI が19.8未満のやせた者に高いことが明らかになった。BMI が19.8未満の者は,日本の15歳から24歳の女性の半数近くを占めることを考慮すると,月経痛を緩和して QOL を高めるために,青年期女性のやせ志向性への対策が重要であることを本研究の結果は示唆するものである。
著者
上田 錠 永井 梓 稲垣 麻優 藤村 高史 平田 陽祐 辺 奈理 三宅 健太郎 竹内 直子 水落 雄一朗 有馬 一
雑誌
第46回日本集中治療医学会学術集会
巻号頁・発行日
2019-02-04

【はじめに】ニセクロハツは北米、台湾、中国、日本に発生するが、発生環境や色、形が食用のクロハツと類似しているため、誤って摂取後、中毒症状を呈する。ニセクロハツのもつ毒性分である2-シクロプロペンカルボン酸により、摂取後嘔吐や下痢などの消化器症状を生じ、その後に中枢神経症状、呼吸不全、横紋筋融解症、急性循環不全、急性腎不全などの症状を呈し、重症例では多臓器不全となり死亡例も報告されている。【症例】75歳の男性、自分で採取したニセクロハツを摂取した後に嘔吐・下痢の消化器症状を認め、深夜に前医に救急搬送された。入院時は意識清明、歩行可能であったが、摂取後2日目より意識レベル低下、呼吸・循環不全となり、人工呼吸管理、カテコラミン持続投与開始された。その後乏尿、代謝性アシドーシスの進行あり、全身管理目的で同日当院転院搬送された。当院搬送後の採血にてCK38100と高値で赤褐色尿を認めており、横紋筋融解症による急性腎障害と判断して輸液療法、血液浄化療法を開始した。摂取後3日目に意思疎通がとれるまで意識レベルの改善を認めたが、CKは上昇し続け摂取後6日目に203800IU/Lまで上昇した。大量輸液、高容量の昇圧剤投与にても循環維持困難となり、再度意識レベルも低下した。摂取後7日目に家人同意のもと積極的な治療を継続しない方針となり血液浄化療法を中止、その後数時間で多臓器不全のため永眠された。【考察・結語】ニセクロハツ摂取後全身管理を要し、重篤な経過をたどった症例を経験した。ニセクロハツ中毒の報告は過去に数例と少なく、現状では確立した治療法はない。極めて希な中毒症例であり、文献的考察を加え報告する。
著者
西浦 郁絵 松浦 由紀子 田嶋 憲子 平田 雅子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
no.22, pp.49-54, 2003-03
被引用文献数
1

消毒は感染防止に不可欠であり,日常の臨床場面においても様々な場面で消毒薬が使用されている。消毒薬にはそれぞれ特性があり消毒用エタノールでは,そのほとんどがアルコールであるため揮発によるアルコール濃度の低下が起こる。保管による濃度低下を明らかにする実験は最近よく見られている。しかし実際の使用場面においてアルコール濃度の変化を調べたものは見あたらなかった。そこで使用場面に焦点をあて,消毒用エタノール綿の濃度低下が経時的にどのように起こるかを実験であきらかにした。実験の結果アルコールの揮発は精製水の2〜3倍の速度で起こっており,実験条件下において容器に保管せず露出しておいた消毒用エタノール綿では,有効濃度である65.8v/v%を35分で下回ることが明らかになり,何らかの行為に伴い気流を受けることで,さらにその濃度の低下が加速されることが確認された。消毒用エタノールの有効濃度を適正に保ち使用するためにその保管のみでなく,使用時においても露出による揮発と濃度低下を認識し,適正な消毒用エタノール綿の取り扱いが必要である。
著者
成末 まさみ 杉本 悠花 柴田 龍二郎 大坪 俊夫 平田 純生
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.155-161, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

プレガバリン (リリカ®) は尿中排泄率約90%と腎排泄性薬物であり腎機能に応じた用量調節を行い安全に使用することが臨床現場での課題となっている. 光晴会病院では, 添付文書での推奨投与量以下の用量での有害事象発生状況について調査を行った. 調査期間は2010年6月~2013年11月で120名のうち, 14名でめまい・嗜眠などの中枢神経系有害事象が発生した. 多くは投与開始後6日以内にみられ, 有害事象発生群の体重は非発生群に比し, 有意に低かった (p=0.005). 腎機能低下が進行するほど有害事象発生率は高くなる傾向にあり, 非腎機能低下患者 (n=73) の発生率4%に対し, 腎機能低下患者 (n=47) の発生率は23%と有意に有害事象発生率が高かった (p=0.003). プレガバリンについて, 薬剤師が患者の腎機能を正確に把握し, 投与前の投与量の適正化を行うだけでなく, 体格を考慮した投与設計の実施が必要と考えられた.
著者
長澤 和輝 畔蒜 洋平 児玉 ゆう子 平田 竹男
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_351-3_359, 2021 (Released:2021-07-24)
参考文献数
6

The purpose of this study was to investigate the reasons why Japanese football players can play in the Bundesliga for multiple years. In this survey, we had interviews with five Japanese football players who played in the Bundesliga for over five seasons. The contents of the interviews were analyzed by SCAT (Steps for Coding and Theorization) method and extracted the same factors. As a result, it was found that they focused on building a relationship of trust with their coaches. They had the flexibility to change their playing style and position to match the coach's desired football style. In order to continue to be selected as a member of a match in the Bundesliga, not only high level football skills but also ability to adapt to the intentions of the coach are required. From the above results, it was suggested that in order to continue playing in overseas leagues, aspects other than soccer skills, such as tactics and understanding of the coach's ideas, are also important.
著者
平田 昭雄 杉山 健太郎 高根沢 伸友
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 21 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.243-244, 1997 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

東京都内に存住の小学校第5学年児童に質問紙法による調査を実施し, 当該学年段階の児童においては, 1)教科書等に「昆虫」と明記されているもののみが「昆虫」で, それ以外は「(ただの)むし」という誤概念;2)「昆虫の条件」を完全に満たすもののみが「昆虫」で, 満たさない小動物は「むし」(「昆虫」ではない)という素朴概念;3)いわゆる害虫は「昆虫」ではなく「むし」であるという誤概念;4)昆虫の幼虫は「幼虫」であって「昆虫」でも「むし」でもないというオルタナティブな昆虫概念;等が形成されている可能性を明らかにした.