著者
蓮 行 松下 佳代 田口 真奈 平田 オリザ 斎藤 有吾 安藤 花恵 芝木 邦也 川島 裕子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

高等教育機関における教育への演劇的手法の活用に関して、特に看護分野での活用事例を分析し、プログラムの設計指針を構築することができた。さらに、事例分析の結果と作成した設計指針から、主に看護分野を対象としたロールプレイの手法を用いた教育プログラムである「模擬健康相談」を提案し、看護学部におけるモデル授業の実施と評価も行なった。その結果、プログラムの有用性の実感には課題が残ったものの、参加者が楽しんでプログラムに参加しており、また、看護師として患者に対応することの難しさを実感したことが示唆された。
著者
山田 博胤 田中 秀和 宮原 俊介 尾形 竜郎 楠瀬 賢也 西尾 進 鳥居 裕太 平田 有紀奈 大北 裕 佐田 政隆
出版者
公益社団法人 日本超音波医学会
雑誌
超音波医学 (ISSN:13461176)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.581-586, 2016 (Released:2016-07-19)
参考文献数
16

症例は,46歳男性,循環器内科医師,主訴は左足関節内果部と上腕の疼痛である.僧帽弁逸脱症による僧帽弁逆流と発作性心房細動の既往がある.足関節の疼痛は蜂窩織炎を疑って,血液検査と表在エコー図検査を行った.疼痛部は皮下浮腫が著明であったが,軟部組織の血流シグナルが乏しく,後脛骨動脈の血管壁を主体とした炎症と,同動脈の閉塞が確認された.一方,左手関節近位の尺骨動脈は逆行性血流を示しており,左尺骨動脈分岐部直後で閉塞していた.これらの所見から多発性血管閉塞性動脈炎と診断し,その原因究明のために直ちに心エコー図検査を施行した.その結果,僧帽弁に可動性を有する棍棒状の異常構造物を認め,僧帽弁逆流は高度に増悪しており,感染性心内膜炎と診断された.頭部MRI検査で異常を認めなかったため,外科的加療(疣腫摘除術,僧帽弁形成術,左房縫縮術,左心耳閉鎖術,Maze手術)が行われた.血液培養は陰性であったが,摘出した疣腫の培養からStaphylococcus warneriが同定された.Staphylococcus warneriは皮膚常在菌であり,本病原体による自己弁の感染性心内膜炎は報告が少ない.術後の経過は良好であり,抗生剤を6週間静脈投与した後に社会復帰した.患者が循環器内科医であり,自身の足関節および上腕の疼痛を契機に,表在エコー図検査と心エコー図検査を用いることで,感染性心内膜炎を迅速に診断した稀有な症例であり,かつ,感染性心内膜炎の起炎菌としては稀なStaphylococcus warneriが同定されたので,文献的な考察を加えて報告する.
著者
平田 史哉 稲垣 郁哉 小関 博久 財前 知典 関口 剛 大屋 隆章 多米 一矢 松田 俊彦 平山 哲郎 川崎 智子
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.31, 2012

【目的】<BR>臨床において明らかな外傷がないにも関わらず手関節痛をきたし,日常生活を大きく制限されている症例を多く見受ける.これらの症例の特徴として安静時に尺屈位を呈していることが多い.尺屈の主動作筋である尺側手根屈筋は豆状骨を介し小指外転筋との連結が確認でき,双方の筋が機能的に協調することは既知である.小指外転筋は小指外転運動や対立機能,手指巧緻動作に関与し,筋出力低下に伴い手関節周囲筋群の筋バランスの破綻に繋がると考える.そこで尺側手根屈筋との連結がみられる小指外転筋の筋出力低下を,尺屈位で補償し小指外転筋機能を代償しているのではないかと仮説を立てた.そこで本研究では手関節を中間位,尺屈位の二条件にて,各肢位の小指外転運動(以下AD)時における小指外転筋及び手関節尺側筋活動の違いについて表面筋電図を用いて比較検討した.<BR>【方法】<BR>対象はヘルシンキ宣言に沿った説明と同意を得た健常成人6名12手であった(男性5名,女性1名:平均年齢28.6&plusmn;3.77歳).測定肢位は端座位とし,上肢下垂,肘関節90度屈曲,前腕回外位にて計測した.前腕を台に置き,他動的に中間位,尺屈位を設定し各肢位でADを行った.尺屈位は手関節掌背屈が出現しない最大尺屈位と規定した.被検筋は小指外転筋(以下ADM),尺側手根伸筋(以下ECU),尺側手根屈筋(以下FCU)とした.各被検筋に対して5秒間の最大等尺性随意収縮を行い,安定した2秒間の筋電積分値(以下IEMG)を基準として各筋におけるAD時の%IEMGを算出した. 統計処理には,対応のあるt検定を用い,中間位,尺屈位における各筋のAD時の%IEMGに対して比較検討を行った. なお有意確率は5%とした.<BR>【結果】<BR>尺屈位においてADM,ECUの活動に有意な増加を認めた(ADM:p<0.01 ECU :p<0.01).しかし,同肢位ではFCUの活動に有意な増加は認められなかった.<BR>【考察】<BR>本研究によりFCUの活動増加を伴わない手関節尺屈位においてADMの活動が有意に増加することが示唆された.ADMは豆状骨から起始し,近位手根骨列と機能的に協調する.手関節尺屈位において,豆状骨は三角骨と共に橈側へ滑り,かつ尺側近位へひかれる.これにより豆状骨の腹側部に起始するADMは中枢へ牽引され筋張力により豆状骨が安定し,ADMの筋活動が向上したと考える.これらのことから日常生活を尺屈位で過ごすことでADMの筋出力を補償しうる可能性があるのではないか.<BR>【まとめ】<BR>手関節尺屈位が手関節筋群に影響を与えることが示唆された.ADM筋出力低下は,代償的な手関節尺屈位をもたらし,手関節構成体にメカニカルストレスを与える可能性が示唆された.また肘関節,肩関節への影響も考慮した追加研究を行う.
著者
山川 真 山本 忠司 水谷 洋子 西谷 博 八星 元彦 平田 純生 堀内 延昭 清水 元一 山本 啓介 岸本 武利 前川 正信
出版者
社団法人 日本透析医学会
雑誌
人工透析研究会会誌 (ISSN:02887045)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.115-127, 1982-03-31 (Released:2010-03-16)
参考文献数
55

炭酸塩の析出という重曹透析液の欠点は, 酢酸ソーダを緩衝剤として用いることによって解決されたが, 透析法の発達によって新たに酢酸透析の問題点が指摘されるようになった. まず, dialyzerの効率の上昇に伴って, 透析液から生体に負荷されるacetate量がその代謝能を超える可能性があることと, 患者の中にはacetateの代謝能が低いものがあることがわかった. またacetateの大量負荷が生体のTCA-cycleに影響を及ぼすことが明らかにされた. 第2は, 酢酸透析では, dialyzerを通して血液から失われるHCO3-とCO2が大きいため, 適正な酸塩基平衡の是正が行われないこと, またCO2の低下から生ずるPO2の低下も考えられた. 第3はacetateの心機能抑制作用と, 未梢血管拡張作用が, 透析に不利に働いて, 透析中の不快症状の原因になっていることが示唆された. 第4はacetateの代謝経路から考えて, 長期には脂質代謝に何等かの影響が及ぶことが推測される. 第5は, まだ知見は少ないが, 重曹透析がCa代謝に有利に働くことが期待される.実際, 酢酸透析を重曹透析に移行することによって, 透析中の不快症状の発現が激減し, 種々の検査成績も改善することが示された. 重曹透析はすべての透析患者にとって有利な透析を提供すると考えられるが, 特に酢酸不耐症、 重症合併症、 心循環系合併症, 導入期, 大面積短時間透析等の症例に有効である. 重曹透析液は炭酸塩の沈澱を防止することが最大の課題であるが, そのためには, 液のpHの安定化をはからねばならない. このことはとりもなおさず, 液のPCO2の安定化に他ならない. 現在では, 重曹透析液は2原液法によって作製されるが, 安定した組成の液とその混合供給装置が開発され実用化している. 重曹透析は生理的で有用であるが, その取扱いはやや煩雑で、 高価になるので, 今後これらの点の改良が望まれる.
著者
田中 芳一 東 敬子 平田 孝
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.7, pp.463-466, 1985-07-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
18

市販の無菌調製豆乳を,5, 25, 37℃にて0~2ヵ月保存したときに生成される揮発性物質を,GC,およびGC-MSで分析した。その結果,アセトン,n-ペンタンを含む14種類の揮発性物質を検出し,同定した。このうち,アセトアルデヒド,アセトン,n-ペンタン,n-ヘキサナールは豆乳の保存温度,保存期間に高い相関性をもって増加していた。アセトンとn-ペンタンの増加は特に著しく,豆乳を37℃で2ヵ月保存するとアセトンは約15倍,n-ペンタンは約17倍に増加した。アセトンは揮発性物質中に占める量も多いので,この無菌豆乳の品質評価指標として有効であることを示唆していた。次に,アセトン,およびアンモニアを指標として無菌豆乳のシェルフライフについて検討した。
著者
鈴木 哲 平田 淳也 栗木 鮎美 富山 農 稙田 一輝 小田 佳奈枝 高橋 正弘 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.103-107, 2009-02-20
参考文献数
14
被引用文献数
2 4

〔目的〕本研究の目的は,片脚立位時の体幹筋活動の特徴を明らかにした上で,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺の関係を検討することである。〔方法〕健常者10名(25.1±4.4歳)を対象に,両脚立位,片脚立位時の体幹筋活動と重心動揺を測定した。〔結果〕片脚立位では,両脚立位と比べて,挙上側胸腰部脊柱起立と外腹斜筋活動増加率が有意に高かった。立脚側腰部多裂筋と内腹斜筋の筋活動増加率が高い傾向にあった。また挙上側体幹筋活動と重心動揺との間に有意な相関がみられた。〔結語〕片脚立位バランスには体幹筋活動が関与する可能性が示唆された。<br>
著者
平田 明日香 磯田 真理 中村 太志 監崎 誠一 西川 正治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-180_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【症例紹介】40歳代,女性.疾患名は変形性腰椎症,左股関節インピンジメント症候群.重いものを持ち上げようとして左鼠径部痛が生じた.左荷重応答期から立脚中期にかけて左鼠径部痛あり.【評価とリーズニング】立位時体幹前屈30度,後屈10度,左回旋15度で左股関節前面に鋭痛あり.体幹前屈で最も疼痛が生じた(NRS8).ワンガーフィンガーテストを実施すると左鼠径部中央付近を示した.前方インピンジメントテスト左陽性.MMT(右/左):股関節屈曲5/4,伸展5/4,外転5/4,内転5/4,外旋5/4,内旋5/4,屈曲外転外旋5/4,屈曲位外転5/4.関節可動域(右/左,単位;°):股関節屈曲125/125,伸展10/10,外転50/50,内転15/10,外旋45/50,内旋45/35.体幹前屈では,仙骨がニューテーションするため腸骨が仙骨に対し後傾し,股関節屈曲するため腸骨が大腿骨頭に対し前傾する.体幹前屈時,腸骨が大腿骨頭上を前傾し股関節が屈曲するためには,副運動の内旋が必要になる.関節可動域検査より左股関節内旋が制限されていることから,体幹前屈時の大腿骨頭の後方滑りが制限された状態で股関節屈曲が生じていたと考えた.従って体幹前屈時の左股関節内旋制限により大腿骨頭が後方へ滑らず,その状態で股関節屈曲を行うため,大腿骨頭が前方偏移し股関節唇のインピンジメントによる疼痛が生じていたと考えた.【介入内容および結果】運動器超音波検査の結果,①左股関節唇に損傷は認められなかった,②左股関節屈曲時腸腰筋の滑走不全を認めた,③左股関節屈曲大腿直筋の筋厚が厚くなるのを認めた,④左股関節伸展位で大腿骨頭が臼蓋に対し前方へ偏移していたことを認めた. 左腸骨後傾誘導テーピングで疼痛が軽減した(NRS4).左腸骨後傾誘導で疼痛が軽減したことから,体幹前屈時の左腸骨は仙骨に対し後傾できず,大腿骨頭に対し前傾し過ぎていた.腸腰筋の作用は腰椎前弯,腸骨前傾である.また腸腰筋は大腿骨頭の前方を走行することから, 大腿骨頭前方安定性に寄与する.評価結果より左腸腰筋の筋力低下,運動器超音波検査より滑走不全を認めたことより,腰椎前弯による仙骨ニューテーション,大腿骨頭上の左腸骨前傾に作用できず,左大腿直筋が優位に働いたと考えた.また左腸腰筋筋力低下により大腿骨頭が前方偏移してたこと,左股関節内旋制限により大腿骨頭が後方へ滑らないことにより大腿骨頭が前方偏移し,その状態で股関節屈曲を行うため,大腿直筋の起始部に伸張ストレスとインピンジメントが生じ左鼠径部痛が生じていた.左腸腰筋の収縮運動,股関節回旋・腸骨モビライゼーションを実施し,体幹前屈動作時・左荷重応答期から立脚中期にかけての左鼠径部痛は軽減し(NRS2),歩行時痛も改善したため1診目は終了した.2診目の左鼠径部痛はNRS2であり,治療後はNRS1,歩行時痛は消失した.【結論】左腸骨後傾誘導で疼痛が消失したことから,体幹前屈時の左腸骨は仙骨に対し腸骨前傾・大腿骨頭に対し後傾していた.左腸腰筋の筋力低下,滑走不全により大腿骨頭上腸骨前傾,腰椎前弯による仙骨ニューテーションに作用できず,左大腿直筋が優位に働いたため起始部に疼痛が生じ左鼠径部痛が生じていた.左股関節内旋制限,左腸腰筋の筋力低下,滑走不全の状態で日常生活を送ることにより,大腿骨頭の不安定性を助長させる可能性がある.その結果経年変化により変形性股関節症を発症することも考えられるため,インピンジメント症候群の原因を追求し,改善することが重要であると考えた.【倫理的配慮,説明と同意】被験者に対して事前に研究趣旨について十分に説明した後,同意を得て実施した.
著者
羽地 俊樹 山路 敦 仁木 創太 平田 岳史
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.867-785, 2019-12-15 (Released:2020-03-26)
参考文献数
56
被引用文献数
7

近畿のグリーンタフ地域に分布する下・中部中新統の八鹿層と豊岡層の年代は八鹿層最下部が21.5Ma頃,豊岡層の上部が17~16.5Ma頃としかわかっていない.その間に500万年もの堆積年代が不明な期間あった.しかしその期間には,古地磁気回転と大規模な海進が起こったとされており,この堆積年代の欠如を埋めることがテクトニクスを論ずる上で重要な課題であった.そこで我々は,但馬妙見山東方の八鹿層中部から新たに見出した凝灰岩でジルコンU-Pb年代測定を行った.25粒子の測定結果のうち,統計的に除外された1粒子を除く24粒子から,19.38±0.23Maの加重平均値を得た.この結果,八鹿層の堆積と安山岩質火山活動は,19.4Ma以降まで続いたことが明らかとなった.また,本地域の古地磁気回転と海進の時期は19.4~16.5Ma頃に制約され,他のグリーンタフ地域と大差ない時期に起こったことになる.
著者
平田 したう 立川 隆治 福島 典之 夜陣 紘治 松島 隆浩 熊谷 信二 森田 栄伸
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Supplement3, pp.195-200, 1997-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
8

上気道感染症に対するネブライザー療法は広く行われている保存的療法の一つであるが, 室内環境や, 医療従事者への影響についての検討は極めて少ない。今回我々は, ネブライザー施行中のネブライザー粒子の飛散状況や換気扇の効果を検討した。医療従事者の血中ネブライザー薬液濃度は, 検出できなかったが, ネブライザー施行中にネブライザー粒子がかなり飛散するのが肉眼的に確認された。また密閉空間においてネブライザーを噴出させ, ネブライザー薬液を採取し測定したところ, ネブライザー装置と同じ高さの方が50cm上方よりも約10倍多く検出され, 換気扇を使用することにより約5分の1に減少した。さらに実際の外来診療室では, 換気扇を作動させなかった日にはネブライザー装置から7m離れた位置でもネブライザー薬液が検出され, ネブライザー装置の近くでは, 換気扇を使用してもあまり効果が得られなかった。今回の検討から, ネブライザーを施行する際換気扇を使用することは当然と考えられるが, 現状よりも強力なドラフト装置や, フードを低く設定する, あるいは複数の箇所に設置するなどの必要性が示唆された。
著者
島崎 豊 竜 瑞之 吉田 葉子 平田 善彦 古田 太郎
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.264-270, 2009 (Released:2009-10-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

手荒れ防止の新たな取り組みとして,手荒れの程度(高度,中程度,低度)に応じて,手袋,皮膚保護剤,保湿剤を使い分ける方法がある.事前調査において最も多く見られた中程度の手荒れでは皮膚の乾燥だけでなく角層バリア機能が部分的に失われていると考えられる.今回,この角層バリア機能の改善を目的として開発されたフッ素系ポリマー含有製剤の手荒れ改善効果を調査した.頻回の手指衛生を行う医療従事者の業務中の実使用に耐え得るか調査するため,手指皮膚への保持能と石けん手洗いによる角層細胞剥離率を測定したところ,本製剤は手指皮膚への保持能力が高く,石けん手洗いによる角層細胞剥離率を顕著に抑制することがわかった.また,2ヶ月間に渡り中程度手荒れを有する看護師33名が本製剤を勤務中に使用し,その手荒れ改善効果とアンケートにより使用感を検証したところ,27名(82%)のTEWL値(経皮水分蒸散量)が有意に低下した.以上のことから,本製剤は中程度手荒れの角層バリア機能を改善し,手荒れ改善効果を有することが示された.
著者
平田 忠輔
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨国際研究 (ISSN:18806767)
巻号頁・発行日
no.3, pp.35-54, 2008

The aim of this paper is to envisage Chantal Mouffe's theory of politics. Her theory consists of "the political" and theory of discourse. This paper, in especial, addresses the concept of the "the political." On "the political" she refers to Carl Schmitt and said we need to "think with Schmitt, against Schmitt", by which is meant "to use his insights in order to strength liberal democracy against his critique." According to her to strength liberal democracy, we should the concept of "the political", because the social always involves conflictual moments. What political theories need is not to negate or preclude these moments -like the liberal theories, but to transform Schmittian way of solution. Schmitt solves these conflictual moments only an antagonistic, or friend- enemy way. Instead, democratic politic could employs an agonistic way. And this is the key task of conflictual plurarism and radical democracy.
著者
松山 惇 平田 秀樹 山岸 努 林 恵一 平野 優子 桑田 紀代美 清澤 功 長澤 太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.887-893, 1992-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
12
被引用文献数
7 17

ビフィズス菌の単独培養,または乳酸菌との混合培養による発育性ならびに大豆オリゴ糖の資化性について観察した.(1) 豆乳中におけるビフィズス菌の発育性について,24時間培養後のpHは,いずれの菌も4.53~4.76まで低下し,酸度は, 0.67~0.90%まで上昇した.また,培養20時間後の菌数は,いずれの菌種も10 3個のオーダーで増加し,豆乳中におけるビフィズス菌の増殖性はきわめて良好であった.(2) B. breveおよびB. longum とL. acidophilusとの混合培養では,ビフィズス菌数,生酸性は単独培養時のそれらを上回ったが,L. acidophilusの菌数は単独培養時のそれよりも低い傾向を示した.(3) ビフィズス菌による豆乳中のガラクトオリゴ糖の資化性は,特にスタキオースに対して優れていた.また,生成したグルコースは発酵に利用されたが,フルクトースおよびガラクトースは蓄積される傾向がみられた.(4) スクロース,ラフィノースまたはスタキオースを添加したMGLP培地において, B. breveの発育性は,スタキオース添加培地で優れていた.さらに,これらの糖を2種類または3種類含有する培地では,後者の方が良好な発育性を示した.
著者
中川 茂樹 鶴岡 弘 川北 優子 酒井 慎一 平田 直
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.107-114, 2009

We launched the Special Project for Earthquake Disaster Mitigation in the Metropolitan Tokyo area to obtain high-resolution images of three-dimensional seismic wave velocity and attenuation structures. The core item of this project is a dense seismic array called MeSO-net for making observations in the metropolitan area. MeSO-net consists of 400 seismic stations, from which data are continuously collected at the Data Center at ERI. At the Sub-Center at NIED, data are backed up and integrated with Hi-net data. Seismic data with a sampling rate of 200 Hz are transmitted to the Data Center using ACT protocol. Data from all stations are received at the Data Center at ERI. After checking the quality (including lost packets) of data received, data are automatically processed and archived using the WIN system. This observational network and the Data Center are equipped with several new functions for reliable data transmission and ease of maintenance.
著者
森田 裕一 酒井 慎一 中川 茂樹 笠原 敬司 平田 直 鏡 弘道 加藤 拓弥 佐藤 峰司
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.89-105, 2009

The Autonomous Cooperative data Transfer Protocol (ACT protocol) is one of the data transfer protocols based on UDP/IP developed for the Metropolitan Seismic Observation network (MeSO-net). It has a robust re-send function to prevent data from being lost in the Internet route. Moreover, it also has a function to adjust the data transmission rate considering the quality of the Internet route and the load on the data-receiving system. If the Internet route is too busy to send all data, the transmission rate from the observation station is decreased automatically to ease the Internet traffic jam, and data that cannot be sent because of the limitation on the transmission rate are stored at each station. After conditions recover, the stored data are sent automatically at an increasing transmission rate and gradually catch up with real-time data. The transmission rate is decided by data transmission equipment at the station using pre-loaded algorithms, not at the data center. Therefore, the load at data center equipment is not so high even if the equipment receives data from hundreds of stations. We describe an overview of the ACT protocol, flow charts, and data format used in the protocol. We also demonstrate that the ACT protocol is very powerful for the vast size of the seismograph network composed of several hundred stations. The ACT protocol is generally applicable and can be used for data transmission systems in other scientific fields.
著者
平田 仁胤
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、暗黙のうちに前提とされてきた「学習=個の作業」あるいは脳内にある表象を操作するといった図式を問い直し、学習のメカニズムに状況や他者が不可欠であることを指摘した状況的学習論を批判的に検討することによって、より具体的な学習論を提示することにある。これまで、ヴィゴツキー学派の1人であるユーリア・エンゲストロームの活動理論の検討、そして、それとウィトゲンシュタイン哲学との接続を試みてきた。その結果、異なる状況・文脈においても言語が通用するという原初的信頼の感覚に基づいて、新しい物語を紡ぎだすことで再組織化がなされること、教師の権力・権威概念がその過程において重要であることを明らかにした。平成30年度は、教師の権力・権威に基づく再組織化の過程について、ウィトゲンシュタイン哲学における世界像概念に依拠することによって、さらに精緻化することを試みた。英国ウィトゲンシュタイン学会では共同発表者の1人として”How to Alter Your Worldview: A Wittgensteinian Approach to Education”を発表し、また教育思想史学会のシンポジウム「教育学としてのウィトゲンシュタイン研究――現在の到達点と今後の展開――」では、報告者の1人として「どこからでもない眺め/どこにでもある風景――ウィトゲンシュタインと教育学についての覚書――」の報告を行った。これら2つの学会発表およびシンポジウム報告は現段階では論文化されていないものの、そこで得られた知見の一部を、坂越正樹監修、丸山恭司・山名淳編著『教育的関係の解釈学』(東信堂)の第12章「教育的関係の存立条件に対するルーマン・ウィトゲンシュタイン的アプローチ」として論文化した。