著者
青木 圭子 松本 一則 橋本 和夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.208-209, 1997-09-24

近年, 電子化文書の流通が増大し, 大量の文書情報の中から必要なものを検索する必要性が増してきており, 類似性を基準に大量の文書をクラスタリングする技術が重要となってきた。既に, 文書中の語の出現確率を用い, 文書集合をベイジアンクラスタリングする手法が提案されているが, 同手法の場合, 生成中の全クラスタ対においてクラスタどうしを一旦マージする必要があるため, 大量の文書集合を処理することが困難になる。そこで筆者らは, 計算量を削減することを目的とした大量文書向けのクラスタリング手法を提案・実装して, 提案手法と従来手法によるマージ回数の比較を行った。本稿では, 提案手法のマージ回数の推定方法について考察し, 実測値との比較結果を報告する。
著者
城戸崎 和佐 仲 隆介 松本 裕司
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

外部と内部の明快な境界を持たず環境として連続する概念としてのに着目して、オフィスデザインに外部環境を直接的・概念的に取り入れるための基礎的な調査と実践を行い、オフィスデザイン上の要点とその効果を明らかにした。
著者
松浦 正孝 山室 信一 浜 由樹子 土屋 光芳 中島 岳志 高橋 正樹 宮城 大蔵 WOLFF David 大庭 三枝 吉澤 誠一郎 姜 東局 大賀 哲 酒井 哲哉 後藤 乾一 都丸 潤子 関根 政美 矢口 祐人 高原 明生 遠藤 乾 松本 佐保
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、アジア各地における多様なアジア主義のビジョンと構造を解明し相互比較すると共に、アジア主義ネットワークの生成過程を解明した。方法としては、国内外から選ばれた各地域の専門研究者と各事例を議論することで、アジア主義に共通の構造と地域それぞれに固有の特徴とを明らかにした。そうすることで、各地域におけるアジア主義を相対化して民族中心的なバイアスから解放し、アジアにおける共同体の可能性と条件、各民族・国家の共生の可能性を探ろうとした。
著者
松本 秀次 越智 浩二 田中 淳太郎 妹尾 敏伸 原田 英雄
出版者
岡山大学医学部附属環境病態研究施設, 岡山大学医学部附属病院三朝分院
雑誌
環境病態研報告 (ISSN:09133771)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.5-10, 1991-08

早期膵癌を発見するためのスクリーニング法を確立するため,1986年6月1日から1990年6月30日までの期間のprospective studyを行った。対象は,人間ドックを目的として来院した患者を主とする三朝分院の外来患者1,748名である。一次スクリーニング検査として,血清アミラーゼ,エラスターゼI,腹部超音波検査(US)を施行し155名の要精検者が得られ,要精検率は8.9%であった。155名の要精検者に,二次検査として,USの再精査,ERCP,腹部CTを施行した。その結果,早期膵癌患者1名,進行膵癌患者4名を発見し,膵癌発見率は0.29%と良好な成績であった。加えて,一次スクリーニングの検査項目を限定することによりcost-benifitを改善することができた。発見された膵癌患者の3名は60歳代であった。また,年代別要精検率は加齢とともに上昇した。1年以後にfollow-up検査を受けた患者の数は641名でfoilow-up率は36.7%であり,そのなかから膵癌は発見されなかった。60歳代のfollow-up率は40歳以上60歳未満のそれにくらべて有意の低値をとった。早期膵癌の見逃しを少なくするためには,今後,60歳代を中心とする患者のfollow-up率をさらに高めることが必要である。To find an effective mass screening method for detecting early pancreatic cancer among asymptomatic populations and patients with vague abdominal symptoms, a prospective studywas attempted on 1748 patients who came to Medical Clinic of Misasa Branch Hospital, Okayama University Medical School mostly for a routine annual chek-up from June 1,1986 through June 30, 1990. These patients underwent first-step screeing tests including serum amylase, elastase I and routine abdominal ultrasonography (US). Consequently 155 patients (8.9% of the total 1748 patients) showed abnormal findings and underwent secondstep tests including US, ERCP and computed tomography. Final diagnosis was early pancreatic cancer in one patient and advanced pancreatic cancer in four. Three of the 5 patientswith pancreatic cancer were in their sixties. Detection rate of pancreatic cancer (0.29%) in this series was satisfactory as compared with the results of previous reports with US alone. The rate of second-step examination increased with age. Six hundred and forty-one patients (36.7% of the 1748 patients) underwent follow-up examinations more than one year after the previous test.No pancreatic cancer was detected in the 641 patients. The rate of follow-up examination in patients in their sixties was significantly lower than in those in their fortiesor fifties. It is important to improve the follow-up rate in patients in their sixties, because they are at a high risk for pancreatic cancer as suggested by the presentstudy.
著者
遠山 毅 松本 勉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.6, pp.957-967, 2011-06-01

ステガノグラフィは,通信している事実を第三者に悟られないことを目的とし,無害なデータに真に伝えたい情報を埋め込む技術である.広く使われる可能性のあるXML文書はステガノグラフィの媒体として魅力的であり,その研究においては,埋込手法の埋込効率性の評価に加え,埋込の検出攻撃に対する安全性も評価する必要がある.本論文は,オフィススイート文書保存形式の一つであるODTファイルを,幅広く用いられるXML文書の例として埋込媒体に採用する場合,既存の埋込手法により達成し得る安全性の評価を行う.また,ODTファイルの編集ソフトウェアがODTファイルに与える特徴を考慮した新たなステガノグラフィの埋込手法を提案する.更に,この提案手法は既存の手法に比べ高い安全性をもつことを確認する.
著者
中村 成洋 松本 行弘
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.176-176, 2009-03-23

Apache HTTP サーバのもとで提供される Web サービスのような,ひんぱんにサブプロセスが生成される環境下では,現在 Ruby が採用しているマークビットをオブジェクトヘッダ内に持つマークスイープ方式のゴミ集め実装は,copy-on-write によるメモリページ共有を疎外し,必要以上にメモリを消費する.本研究では,マークをオブジェクトヘッダ内から独立したビットマップに移すことによるメモリ消費量実行性能の変化を示す.効率的なビットマップマーキングのためにはオブジェクトポインタからビットマップの特定の位置の計算が必要である.一般的にはビットマップ位置をたとえば 1M バイト単位でアラインしておきアドレスをマスクすることでビットマップ位置を求めることが行われている.しかし,Ruby のように種々のプラットフォームで動作する言語処理系では,利用できるメモリ割当て API はmalloc() しかないため,効率良くアラインされたメモリを確保する方法は知られていない.本研究では Ruby のオブジェクト配置方式を利用し,移植性を維持したまま,オブジェクトポインタから定数時間でビットマップ位置を計算する手法を提案する.また,二分検索を用いたビットマップマーキングと比較したマーキング性能の改善も示す.Since mark-and-sweep garbage collection scheme, which Ruby interpreter uses modifies every living object, it suffers performance problems due not to utilize copy-on-write memory page sharing among processes, under the circumstances like web-services running under Apache HTTP servers. In this paper, we proposes adding bitmap marking for Ruby's garbage collection. We show much memory usage and performance change by bitmap marking. For efficient bitmap marking, it is needed to calculate bitmap position from an object pointer. Prior art uses aligns heap memories and pointer masking to retrieve bitmap position from object pointer. But Ruby interpreter runs on various platforms, and we do not have portable memory allocation API to obtain aligned memory region without wasting region. In this paper, we propose portable scheme to map from object pointers to corresponding bitmap table in constant time. We also show how much proposed bitmap marking improves performance, comparing bitmap marking method using binary search to obtain bitmap position from object pointers.
著者
中村 明 速水 悟 津田 裕亮 松本 忠博 池田 尚志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.1375-1389, 2009-04-15

単語間の大域的な依存関係をトピック(話題)としてモデル化する言語モデルの1つであるLDA(Latent Dirichlet Allocation)を複数個統合する方式によって,言語モデルを高精度化・安定化できることを示す.新聞記事コーパスを用いた実験の結果,提案方式では単一のLDAからなる同一規模のモデルと比較して,つねに推定精度が向上・安定化することを確認した.単一LDAでは潜在トピック数<i>C</i> = 100前後を境に性能が低下するのに対し,提案方式では過適応が抑制され,はるかに大きい総トピック数(= 各モデルの潜在トピック数の総和)まで性能が向上し続ける.また提案方式によるunigram確率を用いて<i>N</i>-gram確率(<i>N</i>&ge;2)を補間することにより,trigramのパープレキシティを従来方式より大幅に削減できる.さらに本論文では,提案方式を予測入力に基づくテキスト入力支援(predictive text entry)に応用することを想定し,テキスト入力支援に適した言語モデル評価指標i-PPを提案する.この指標はパープレキシティの拡張であり,任意文字数の読み入力時点における平均単語分岐数を表す.この指標を用いた評価の結果,提案手法では入力読み文字数<i>l</i> = 2の時点まで通常のパープレキシティと同程度にi-PPを削減でき,従来方式よりも高精度に予測候補を絞り込めることが確かめられた.
著者
山浦 常 白坂 龍曠 松本 克彦 和田 芳武 岡本 雅子 小林 和代 矢後 文子 小幡 裕 藤野 信之
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.1020-1020, 1983-09-25

東京女子医科大学学会第253回例会 昭和58年5月19日 東京女子医科大学本部講堂
著者
村上 進 児玉 清隆 松本 美栄子 山崎 多佳子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.25-26, 1992-02-24

現在,製造業の設計・製造部門がかかえている課題として,以下の点が上げられる.・技術文書の検索および作成に要する時間は,1日の約3分の1を占めている.・類似した技術文書が氾濫している.・担当者により,設計・製造品質のばらつきがある.・同じような設計・製造ミスを繰返している.・人材不足の環境では新人の業務習熟度を早め即戦力としたい.これらの現象は,技術情報の共用化および有効利用が行なわれていないことに起因しているといえる.本文では,従来文書化しにくいノウハウのデータベース化と,さまざまなメディアに分散されている技術情報の共用化および有効利用を目的とした知識ベースシステムの必要性とその実現方法について概要を述べる.なお,本システムで取り扱える情報種別および対象部門は問わないが,本文では設計部分を例に本知識ベースシステムの説明を行う.
著者
松本 美佐子 瀬谷 司
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

エンドソームに局在するToll-like receptor 3(TLR3)はウイルス由来の二重鎖RNA(dsRNA)を認識し、タイプI インターフェロンや炎症性サイトカイン産生の誘導、樹状細胞の成熟化を介して抗ウイルス応答を誘起する。しかしながら、どのように細胞外dsRNAをエンドソームで認識するか不明である。本研究では合成dsRNAのpoly(I:C)によるTLR3活性化機構を解析し、poly(I:C)の取り込みとエンドソームTLR3への配送に細胞質タンパクRaftlinが必須であること、RaftlinはクラスリンーAP-2複合体と協調してdsRNAの取り込みに働くことを明らかにした。
著者
松本 圭一 和田 康弘 松浦 元 千田 道雄
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.1116-1122, 2004-08-20
参考文献数
19
被引用文献数
4

検出器における不感時間,偶発同時計数および散乱同時計数は,陽電子放出断層撮影装置(PET装置)の定量性に大きく影響する.これらは,検出器の素材や形状,PET装置の体軸方向視野,さらには投与する放射能量や被写体の大きさなどに大さく依存する.このため近年のPET装置は,小型結晶を用い偶発同時計数と散乱同時計数を低減させ,さらに一つの検出器で一定時間内に処理すべき信号数を減少させることで計数率特性を向上させている.この結果,空間分解能の向上も図られ,さらには数万個の小型結晶を用いることで高分解能と体軸方向視野の拡大もされている.一方,放射性同位元素の時間当たりの崩壊数はポアソン分布に従い,総計数(N)の事象の統計誤差すなわち標準偏差(standard deviation ; SD)は√Nとなる.したがって信号雑音(signal/noise ; S/N)比を(平均/SD)で仮定すると,N/√N=√Nとなる.PET装置にて収集された計数の統計ノイズもこれと同様に考えることができるが,投影データから再構成された画像のS/N比は,各画素が互いに独立でないためより複雑になり,線源分布や被写体の大きさ,および空間分解能などに依存する.ここで,PET装置のS/N比の評価に,雑音等価計数(noise eauivalent count ; NEC)がある.National Electrical Manufacturers Association (NEMA) NU2-2001ではNECをPET装置の性能評価項目として定義し,広く用いられているS/N比の指標である.NECは,ファントム実験から簡便に得られる計算上の真の同時計数であり,画像再構成を行わずに画質を予測することのできる真の同時計数であると考えることができる.しかしながら, NECはPET装置視野全体の計数値であり,異なるPET装置すなわちスライス数や空間分解能が異なる装置では,再構成画像のS/N比をNECにて比較評価することができないと考えられる.なぜなら,検出器最大リング差(maximum ring difference)や体軸方向のline of response (LOR)の束ね(span),そして収集方法などが異なるためである.言い換えるならば,被写体(ファントム)が視野内(sinogram)に占める割合が同じであっても,そこに含まれる検出器の数または検出器の大きさが異なると再構成画像のS/N比は異なると考えられる.そこで今回,新しい指標として"Specific NEC(sNEC)"を考案した.これは,LORを考慮したNECという概念であり,視野全体のNEC(真の同時計数)が各LORに分配される割合を考慮した指標である.本研究では,その妥当性を再構成画像の画素値の変動計数(coefficient of variation ; COV)と比較することにより評価したのでここに報告する.
著者
坂元 眞由美 松本 大輔 川又 敏男 山崎 郁子 中村 美優 安藤 啓司 傳 秋光 川又 敏男 安藤 啓司 山崎 郁子 傳 秋光 中村 美優
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は重度認知症高齢者の自律神経に音楽がどのような影響をもたらすのかを明らかにすることにある。方法はCDRにて分類した重度認知症高齢者に対し、好きな音楽を用いた介入を個別に週1回、能動的参加群と受動的参加群、コントロール群に分けて行なった。評価方法は加速度脈派測定システム・フェーススケールを使用した。その結果、好きな音楽の受動的聴取または能動的歌唱の両者共に精神安定効果があることを確認した。
著者
今村 文彦 後藤 和久 松本 秀明 越村 俊一 都司 喜宣 牧 紀男 高橋 智幸 小岩 直人 菅原 大助 都司 嘉宣
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

千年に一度程度発生する低頻度巨大津波災害であるミレニアム津波ハザードの事例を取り挙げ,災害史学から明らかにされる史実に加え,地質学・堆積学・地形学・地震学など科学的な手法に基づいて補完することで,沖縄および東北地方でのミレニアム津波ハザード評価を検討した.まず,八重山諸島において津波で打ち上がったサンゴ化石(津波石)の分布調査および解析により,1771年明和津波に加え,850,1100 yrBPの2期存在する可能性が示された.さらに,仙台平野でも学際的な調査を行い,869年貞観地震津波に加え,1260や2050yrBPされた.2011年東日本大震災で得られた津波被害関数などの検討も実施した.
著者
嵯峨山 和美 久米 健司 金西 計英 松浦 健二 三好 康夫 松本 純子 矢野 米雄
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.53-56, 2008
参考文献数
8
被引用文献数
4

近年,SNSは大学生間の新しいコミュニケーションの形として紹介されている.我々は,大学生活を支える新たな学生支援のツールとして2007年1月23日から徳島大学工学部を中心に「キャンパスSNS」の運用を開始した.本研究では,本SNSのログデータを抽出し,参加者の属性を明確に分類したうえで,大学版SNSの特性と学生の動向とを解析した.日記関連の機能に焦点を当てたところ,学生は不特定多数のユーザの最新日記を確認するより特定のユーザの日記を読む割合が高く,仲間同士の閉じたコミュニケーションで終始しまいがちであることが示唆された.明確な目標を掲げて運営側が構造化した形を提示することの必要性が推測された.
著者
原田 裕基 松本 剛史 藤田 昌宏
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2011-SLDM-150, no.12, pp.1-6, 2011-05-11

高位設計記述において、シミュレーションや形式的手法によって機能仕様に反する実行例(反例)が発見された場合、その反例や機能仕様を参照しながら、設計記述をデバッグする必要がある。本稿では、このように反例に基づくデバッグ作業を支援する手法を提案する。具体的には、与えられた反例および正しい実行例から、全てのテストパタンを正しく実行するための設計記述修正の候補を形式的に求める。これにより、設計者は、修正すべき箇所と修正方法の候補を得ることができ、より効率的にデバッグ作業を行えることが期待できる。提案手法では、反例入力パタンによって正しい実行結果を得るためには、どの変数値を実行値とは異なる値に置換すれば良いか、を SMT ソルバーを用いて解いている。加えて、効率的に修正候補を求めるために、設計を分割し、部分的にこれを適用する手法を提案する。実験により、提案手法によって、設計中の設計誤りを正す修正を求めることがでることを示す。
著者
小畑 秀文 小場 弘之 西谷 弘 長谷川 純一 山本 眞司 鳥脇 純一郎 松本 徹
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では日本人に多い胃がんと肺がんに焦点をあわせ、既に整備済みのマンモグラムデータベースと併せて、主ながん検診用画像のデータベース化の整備を行うことを目的としている。本研究は2年度にわたるが、この間に整備されたデータベースについて以下にその概要を述べる。胃X線二重造影像:本データベースは診断の難易度や病変の種類などのバランスがとれるように選別されたFCR像76枚から成る。このうち65枚が異常陰影を含む。胸部CT像:本データベースでは、肺がん検診に利用されるスライス厚10mmのものと、精密な検査に用いられるより薄いスライス厚のもの2種類を含む。肺がん検診用は症例数70症例であり、25症例が肺癌症例である。精密検査用については、症例数7症例で、いずれも肺癌症例である。胸部単純X線像:本データベースは間接撮影像50症例、直接撮影像50症例から成る。工学サイドの利用者であっても、一般的には撮影法やその読影法の基礎もわからないのが普通である。そのため、アルゴリズムの組立てに助けとなるように、それらに関する解説を用意したり、専門医のスケッチ画や診断所見を各画像ごとに与えるように努めた。