著者
水野 善文 藤井 守男 萩田 博 太田 信宏 坂田 貞二 臼田 雅之 石田 英明 宮本 久義 高橋 孝信 橋本 泰元 高橋 明 松村 耕光 横地 優子 山根 聡 萬宮 健策 長崎 広子 井坂 理穂
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

インドの多言語状況は、時代を通して地域的な多様性だけではなく社会的にも幾つかの層をなしていた。言語の差異を超えて愛好・伝承され続けてきた文学・文芸を対象に、古代から現代まで、多くの言語の各々を扱うことのできる総勢30名以上のインド研究者が共同して研究を進めた。その結果、民衆が自らの日常語による創作から発した抒情詩や説話、職業的吟遊詩人が担った叙事詩、それらをサンスクリット語で昇華させた宮廷詩人、さらには詩の美的表現法が現代の映画作りにも至っている、といったインドの人々の精神史の流れを解明できた。
著者
大島 慶一郎 江淵 直人 青木 茂 深町 康 豊田 威信 松村 義正 北出 裕二郎 舘山 一孝 二橋 創平 小野 数也 榎本 浩之 木村 詞明 田村 岳史
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

海洋中深層循環及びその変動を決めうる海氷生産量を、衛星データ等から見積もるアルゴリズムを開発し、そのグローバルマッピングを初めて行った。沿岸ポリニヤでの高海氷生産過程を長期係留観測から明らかにし、アルゴリズムの検証も行った。南極第2の高海氷生産域であることが示されたケープダンレー沖が未知の南極底層水生成域であることもつきとめた。南極海とオホーツク海では、海氷生産量の変動が底層水や中層水の変質とリンクしていることを明らかにし、中深層循環弱化の可能性を指摘した。
著者
松村 勲
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

競技スポーツ選手のコンディショニングにおける総合的な評価基準を構築するため,陸上競技長距離選手を対象に,練習前後の疲労感,簡易な身体能力の測定,血液検査を実施し,それぞれの関連性や独自性を探った.現段階では総合的な評価基準の構築には至っていないが,疲労感が競技実施(継続)期間の経過とともに漸増すること,主に脚を主動力として使う競技種目ではリバウンドジャンプのRJ指数がコンディション評価に有用な可能性があること,血液検査においては前日の練習は実施しないこともしくは実施してもごく軽くに留めることが正確なコンディション把握に繋がることが考えられた.
著者
宮脇 幸生 石原 美奈子 佐川 徹 田川 玄 藤本 武 眞城 百華 増田 研 松田 凡 松村 圭一郎
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究によって明らかになったことは、エチオピアでは(1)開発の主体が政府から、政府だけでなく、国内外の企業家、国際機関およびそれと連携したNGOと、複数化しているということ、(2)一部でNGOと政府の間に密接な政治的関係が観察されたこと、(3)開発プロジェクトが実践された地域では、一部の地域住民の開発への参画と包摂、地域や世代による地域集団の分裂と対立、そして民族集団間の紛争に至るまで、それぞれの地域の社会的条件に応じて多様な形で地域社会の再編が進行しているということである。
著者
松尾 和人 川島 茂人 杜 明遠 斎藤 修 松井 正春 大津 和久 大黒 俊哉 松村 雄 三田村 強
出版者
農業環境技術研究所
雑誌
農業環境技術研究所報告 (ISSN:09119450)
巻号頁・発行日
no.21, pp.41-73, 2002-03 (Released:2011-12-19)

Bt遺伝子組換えトウモロコシンは,1995年に米国で初めて商業用に登録された。その後,このBt遺伝子組換えトウモロコシは標的害虫であるアワノメイガなどに対して抵抗性を有するために,防除経費の削減,収量の増加,品質の向上など生産面での有利性があるために,米国を中心に年を追って作付け面積が拡大した。一方,わが国では遺伝子組換え作物の加工用および栽培用の種子輸入に当たって,食品としての安全性は厚生労働省が,飼料としての安全性および環境への安全性は農林水産省の確認が必要である。農林水産省による環境に対する安全性の確認は,隔離圃場において組換え作物の栽培・繁殖特性,越冬可能性,雑草化の可能性,近縁種との交雑可能性等について調査した結果に基づいて行われている。ところで,1999年に米国コーネル大学のLoseyら(1999)が,Bt遺伝子組換えトウモロコシの花粉が非標的昆虫のオオカバマダラの幼虫に悪影響をもたらす可能性があるという報告を行い,新しい環境影響として世界中に衝撃を与えた。しかし,彼らの報告は,幼虫に与えた花粉量や野外における葉上の花粉堆積の実態等について触れていなかったために,環境影響の有無や程度は不明であり,今後解明すべき課題として残された。日本においても,そのような観点から遺伝子組換え作物の環境影響評価を行う必要があるため,緊急にBt遺伝子組換えトウモロコシの環境影響評価に関する調査研究に取り組むこととなった。本研究では,Bt遺伝子組換えトウモロコシの花粉の飛散によるチョウなど鱗翅目昆虫に及ぼす影響を知るために,1)トウモロコシ圃場から飛散する花粉の実態調査とトウモロコシ圃場からの距離ごとの落下花粉密度の推定,2)幼虫が摂食して影響を受けるBt花粉の密度,3)Bt花粉中のBtトキシン含有量,4)環境変化に対して脆弱であると考えられる鱗翅目昆虫の希少種について,栽培圃場周辺に生息する可能性,Bt遺伝子組換えトウモロコシの開花時期と幼虫生育期との重なり,採餌行動など,総合的な知見に基づいてリスク評価を行い,同時に,花粉飛散に伴う生態系への影響評価のための各種手法を開発した。
著者
松村 利行
出版者
駒澤大学
雑誌
東洋學研究
巻号頁・発行日
vol.4, pp.182-192, 1934-12-15
著者
松村 瑞子 因 京子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

(1)社会的身分や年齢に差がある話者間の会話やテレビのインタビュー番組など公開を目的とした会話のデータを収集し、文字化を行なった。次に文字化したデータをタイプ1(ある程度親しいが上下関係のある対話者間の会話(大学教授と学生等)、タイプ2(医者が患者を診察してる場面の会話)、タイプ3(テレビのインタビュー番組における女性司会者と客の会話)に分類した。(2)次に、日本語における丁寧さの基準とは何かを考察するために各々のタイプのデータを分析した。その結果、日本語のポライトネスには、ポライトネス・レベルの基準となる言わばポライトネス・レジスターを決める「わきまえ」を示す部分と、そのレジスターの枠内で会話を成功させるために用いられる「ストラテジー」が存在することが分かった。井出(1989)はアンケートに基づいて「わきまえ」は話者の意図的選択ではなく社会的慣習によって決まってくるものであると論じたが、本研究では実際の会話の綿密なデータ分析を行なった結果、「わきまえ」の表現は会話参加者の相対的地位によって決まっていること、また使用されるストラテジーの種類や頻度も会話参加者の相対的地位や状況によって左右されていることを示した。さらに、この結果を国際学会(International Symposium on Linguistic Politeness : Theoretical and Intercultural Perspective.Dec.7,1999.Chulalongkorn University, Thailand)にて発表した。(3)最後に、日本人および日本語学習者がそのポライトネスの基準をどの程度認識しているかの調査を行い、日本人と学習者の間の意識のずれを特定した。収集したデータやアンケート結果を基盤にして、日本語会話における丁寧さの実態を日本語学習者に合理的に提示するための資料・教材を作成した。
著者
松村 千鶴 中島 真紀 横山 潤 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.93-101, 2004-06-30
参考文献数
25
被引用文献数
10

北海道勇払郡鵡川町・厚真町と沙流郡門別町のほぼ7.75km^2の範囲にある水田や畑地,河川敷,山林において,2003年6月から9月の間にマルハナバチ類(Bombus spp.)の巣を探索し,地中のネズミ類の廃巣に作られたセイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris L.)の自然巣8つを含む27の巣を発見した.そのうち9巣を採集して分解し,卵,幼虫,マユ,成虫の数をできるだけ雌雄とカースト(働きバチか女王バチか)を区別して計数するとともに,蜜の保存や排泄場所の有無などの営巣特性についての情報を収集した.新女王バチの生産に至った巣の比率には,外来と在来のマルハナバチ間で有意差はなかったが,セイヨウオオマルハナバチの1巣あたりの新女王バチ生産数は在来マルハナバチ類と比較して4.4倍の平均110頭であり,当該地域の野外でのセイヨウオオマルハナバチの増殖率の高さが示唆された.
著者
山根 承子 松村 真宏
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本研究は、時計の音がタスクパフォーマンスに与える影響をみた。 具体的には秒針の速度を操作できる細工時計を作成し、時計が速い場合と遅い場合のパフォーマンスの差を実験室実験により捉えた。 本稿では時計という、日常生活では特に注意を払うことのないありふれた刺激に焦点をあて、周囲の環境がパフォーマンスの向上に及ぼす影響を検討した。
著者
松村 潔 阿部 功
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.73-78, 2007 (Released:2009-12-01)
参考文献数
5

脳血管障害急性期には,著しい高血圧が持続する場合や血栓溶解療法を予定している場合を除いて,原則として積極的な降圧治療は行わない.一方,慢性期では,脳血流自動調節能の下限域が右側偏位するとともに脳血流の全般的な低下を伴っているので,臨床症状に注意しながら慎重な降圧治療が必要であるが,PROGRESS試験により降圧治療が脳卒中再発抑制に有用であることが示されている.降圧薬の種類により脳血管障害の再発抑制効果に差があるかどうか,脳卒中発症後の至適血圧値がどのレベルにあるかは今後の課題である.
著者
中村 文子 佐藤 弥 吉川 左紀子 松村 道一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.470, pp.7-12, 2002-11-14

近年、いくつかの研究から、視線方向の知覚によって喚起されるような自動的な注意シフトが、シンボルやジェスチャーによっても喚起されるという知見が報告されている。しかし、報告例は少なく実験手続きも統一されていないため、明確な結論は出されていない。今回我々は、視線・シンボル・ジェスチャーを手がかりとする3つの手がかりパラダイム実験を行い、この問題を検討した。手がかりは画面中央にランダムに呈示され、被験者はその後手がかりの左右いずれかに出現するターデットの位置をボタン押しで反応した。その結果、被験者は手がかりが確率的に有効でないことを認識していたにもかかわらず、それらが示す方向へターゲットが呈示された時、異なる方向に呈示された場合に比べ反応時間が有意に短縮された。実験1・2からは、いずれの手がかりによっても、課題遂行の促進が早い段階で起こり、復帰抑制は起こらないことが示された。また実験3からは、手がかり方向へ被験者の注意が移動していることが確かめられた。全ての実験において、質的交互作用は示されなかった。これより、視線・シンボル・ジェスチャー方向が、いずれも知覚者の注意を自動的にシフトさせると結論できる。
著者
松村 明 山本 哲哉 熊田 博明 中井 啓 磯部 智範 成相 直
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

神経膠芽腫に対するホウ素中性子捕捉療法の臨床的有用性を証明するための臨床研究を行った。初発神経膠腫例では、無病再発期間14か月、生存期間21か月を得た。再発悪性脳腫瘍、膠芽腫1例、悪性髄膜腫1例の治療を行った。再発膠芽腫はBNCT治療後2年を経て放射線壊死、皮膚壊死あるも腫瘍再発なく生存, 家庭内軽介助。髄膜腫症例は再発の兆候なくKPS90%を維持し2年経過と良好な結果を得ているが、原子炉の利用が制限され、症例の蓄積による分析は中断された。