著者
田中 一朗 戸田 保幸 松村 清重 鈴木 敏夫
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1987

船首尾部で発生する3次元剥離の発生機構及びその船型要素との関係を明らかにするとともに、これらの影響を考慮した船体まわりの流場、船体に働く流体力の計算法を開発することを目的とする。以下に調査法とその結果について述べる。1.通常船型を横断面積分布、偏平度分布、へこみ度分布を用いて表し、この船体が斜航する場合の流場の計算法を示した。この結果、剥離渦の強さ及び剥離線はへこみ度分布に強く依存することがわかった。2.上記計算法には剥離渦の発生初期の形状を必要とする。これを得るために、剥離渦を伴う円錐まわりの自己相似流場について調査し、剥離線近傍の剥離渦の形状を摂動法により求めた。この解はレイノルズ数が無限大の時に起きる剥離構造を示すことがわかった。しかし、この解析解は渦の端が無限遠方で渦の巻き込みを表せないため、この解を元に渦の局所的流速を用いて解を大局化させる反復法による計算法を示した。この結果、渦層は円錐からあまり離れず、有限レイノルズ数の渦層形状とはかなり異ることが明らかとなった。3.厚い境界層理論と簡易プロペラ理論を用いてプロペラ作動時の実用船型まわりの流場の計算法を開発した。その結果、プロペラ作動時においても計算結果は実験結果とよい一致を示すことがわかり、また、プロペラ作動時の方が船体表面圧力分布に及ぼす粘性影響が小さいことがわかった。また船体横断面形状をフレアーを持つように変形することで粘性圧力抵抗が軽減されることがわかった。4.船首砕波する流場を低フルード数という仮定で解析的に求めた。その結果、渦を伴っていない局所波は実験で得た波形によく似た形状となることがわかった。
著者
秋山 励 高田 英裕 山中 唯生 大熊 晴之 末次 康江 金岡 敏弘 熊木 哲 石原 和哉 花見 充雄 松村 哲哉 渡邊 哲哉 味岡 佳英 松田 吉雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.476, pp.31-36, 2001-11-22

64MビットDRAM内蔵オンチップMPEG-2エンコーダLSIを開発した.大規模・高速なLSIをインプリメントするために, マルチクロックの階層的スキュー管理, クロストークノイズを考慮したタイミング検証, デカップリングキャパシタによる電源のIRドロップ対策を実施した.その結果, 162MHz動作ブロックにおいて, クロストークノイズを考慮した検証で目標性能の263MHz@1.5Vを満足させると共に, IRドロップを166mVに抑えることを可能とした.
著者
石原 和哉 花見 充雄 Scotzniovsky Stefan 松村 哲哉 竹内 伸一 大熊 晴之 西垣 幸司 鈴木 弘一 風山 雅裕 吉田 豊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.98, no.244, pp.29-35, 1998-08-20
参考文献数
6

HDTVへの対応が可能な高画質対応MPEG2動き検出LSI(ME3)を開発した。ME3は、54MHz動作時に165GOPS(giga operations per second)の演算能力を有し、1チップで全探索法式かつ広範囲探索を実現する。更に複数チップ構成により、HDTV応用に対応可能な探索範囲をも実現する。ME3は, 0.35μmCMOSプロセスで試作し、1.9Mトランジスタを8.5×8.5mm^2のチップサイズに集積した。本LSIによりピクチャに応じた最適動きベクトルの検出が可能となり、低いコストかつ高画質なMPEG2画像符号化装置が実現できる。
著者
小長井 一男 有田 毅 松村 有見子
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1025-1034, 2009

2009年8月11日午前5:07に駿河湾の深さ23kmの地点(N34°47.1', E138°29.9')を震源とした地震では, 静岡県内の数市で震度6弱が報告されたにもかかわらず, 幸い軽微な被害にとどまり, 県の対策本部も地震の2日後には解散されている.しかしながら棟瓦の被害分布などを見ると, この地震が我々に, その発生が懸念されている東海地震を前に弱点箇所のあぶり出しを行う機会を与えてくれたものと見ることもできる.著者らが踏査した範囲で, 地形, 地質と被害の関連を検討する.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
細谷 良夫 ELIOT M STARY G 成 崇徳 蒲地 典子 王 鐘翰 陳 捷先 石橋 崇雄 楠木 賢道 PAN A.T 加藤 直人 中見 立夫 松浦 茂 岸本 美緒 江夏 由樹 松浦 章 香坂 昌紀 河内 良弘 松村 潤 神田 信夫 STARY Gioban ELOT Mark TATIANA A.Pang WANG Zhong-han CHEN Jiw-xian CHENG Chong-de 王 禹浪 関 嘉禄
出版者
東北学院大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

「実績の概要」1994〜96年の3年間にわたり、清朝史研究の基礎的な作業として、多岐にわたる清朝史料の体系的把握を目的に、満州語史料を中心とする各種史料の所在状況の調査及び版本と档案の関係を課題とする共同研究を実施した。研究活動は国外の研究分担者の協力を得て中国、台湾、香港、アメリカ、ロシアで実施したが、はじめに調査研究の対象となった主要な(1)史料所蔵機関と(2)史料名称を以下に列挙する。(1)史料所蔵機関(中国)第一歴史档案館、遼寧省档案館、吉林省档案館、吉林市档案館、黒龍江省档案館、北京図書館、科学院図書館、吉林大学図書館、中央民族学院図書館、遼寧省図書館、大連市図書館、中国社会科学院歴史研究所、中国社会科学経済研究所、中国社会科学院清史研究室、中国社会科学院近代史研究所、遼寧省博物館、黒龍江省博物館、黒龍江省民族博物館、新賓満族自治県博物館、伊通満族博物館、海拉尓民族博物館、阿里河鄂倫春族博物館、莫力達瓦文物管理所図書館、承徳市囲場県文物管理所、赫哲族民族博物館、赫哲族民族館(中華民国・台湾)台湾中央図書館、故宮博物院文献處、中央研究院近代史研究所、中央研究院歴史言語研究所(香港)香港大学図書館、香港理工学院図書館(アメリカ)カリホルニヤ大学(バ-クレイ)図書館、議会図書館、ハ-ヴァト大学燕京漢和図書館、プリンストン大学ゲスト図書館、ニューヨーク市立図書館(ロシア)ロシア科学アカデミー極東研究所中国学図書館(モスクワ)、ロシア科学アカデミー東洋学研究所(サンクトペテルブルグ)、サンクトペテルブルグ大学、サルトコフシチュドリン名称公衆図書館(2)主要な史料と史料系譜の名称無圏点「満文老档」、有圏点「満文老档」、満文「清実録」(太祖・太宗朝)、内国史院档、崇徳3年档、逃人档、〓批奏摺、戸科史書、礼科史書、内閣大庫漢文黄冊、戸部銀庫大進黄冊、戸部銀庫大出黄冊、江南銭糧冊、徽州文書、理藩院題本、黒龍江将軍衙門档案、三姓档、黒図档、尚務府档、朝鮮国来書簿、尚可喜事実冊档案、南満州鉄道北満経済調査所所蔵史料、哈爾濱学院所蔵史料、駐哈爾濱外務局特派員公署所蔵史料、満漢文清朝初期関係の石碑拓本、嫩江流域達斡尓族所蔵の満文史料、大楊樹付近の満族関係史料、烏蘇里江流域赫哲族所蔵の満族史料、琿春付近の満族関係史料、鴨緑江流域所在の満族関係史料「共同研究会の開催」上記各史料所蔵機関で、各種の資料をめぐり中国では王鍾翰、成崇徳、台湾で陳捷先、アメリカでエリオット、ロシアでタチアナ・パン各教授と個別課題で共同調査と研究を実施した。また文書史料のみならず、中国東北地域で、清朝初期史をめぐる石碑史料、宗譜や牌単などの祖先祭祀史料、鄂倫春族などを含む満族をめぐる口承伝承資料の採集などの現地調査と研究を関嘉禄、王禹浪研究員と共に行った。3年間にわたる共同研究のまとめとして、1996年12月に成崇徳教授を招聘、満族史研究会の招聘などで来日中の陳捷先、スターリ、パン、エリオット教授をまじえ、満漢文史料をめぐるシンポジュウムと満文版本目録作成のためのワークショップを5日間にわたり実施し、これまでの総括と今後の共同研究の方法を討議した。「成果」共同研究の実施の結果、各所蔵機関の資料状況が明らかになったことに併せて、個別資料の研究、すなわち実録の基礎となったであろう国内史院档の系譜や実録写本の検討、礼科史書と理藩院題本の関係、清朝から満州国に及ぶ東北土地文書の史料系譜、銭糧冊や黄冊などの清朝の経済政策を解明する基礎史料の整理などの官本と档冊の研究が行われた。同時に従来所在不明とされていた朝鮮国来書簿あるいは既に倒壊したと伝えられていた尚可喜神道碑の発見、あるいは逹斡尓族の満州語使用とその档冊や写本を見出した。これらの多くの成果は分担者それぞれの研究成果として公表されると共に「満族史研究通信」の誌上に史料状況を中心とする調査報告が公開されている。また満族史研究通信は国外に対する共同研究の成果の還元として、各国に送付され高い評価を得ている。
著者
舘野 幸司 中嶋 茂樹 松村 龍雄 Endo Tomoko
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.24, no.11, pp.744-752,780, 1975
被引用文献数
3

最近, 荒廃地や道路工事の改修後に緑化工事が行われている.そして, 緑化工事の目的で, 全国的に, ケンタッキー31フェスクが広範に播種されている.この植物は, 多量の花粉を産生するため, 花粉症の原因となる可能性の強い植物である.ケンタッキー31フェスク花粉によるものと思われる気管支喘息患者を認めたので報告する.ケンタッキー31フェスク花粉抽出液による気管支喘息患者に対する皮内反応では, 161例中42例26%の陽性率をえた.被動性移入試験では8例中6例が陽性であつた.他のイネ科花粉による皮内反応では, 14例中6例43%においてケンタッキー31フェスク花粉にのみ陽性反応を示し, 他の8例は種々の割合で他のイネ科花粉と反応していた.吸入誘発試験では, 15%以上のPEFRの変化率の低下, もしくは喘鳴などの臨床症状をもつて陽性とした.ケンタッキー31フェスク花粉抽出液による吸入誘発試験を3例について行い, 3例ともに陽性の結果をえた.これらの結果から, ケンタッキー31フェスク花粉は, 他のイネ科花粉に対し
著者
松村 友視 五味渕 典嗣 杉野 元子 紅野 謙介 浅岡 邦雄 杉野 元子 紅野 謙介 浅岡 邦雄 高 榮蘭 小向 和誠 黒田 俊太郎 和泉 司 三浦 卓 大澤 聡 尾崎 名津子 柴野 京子 高島 健一郎 戸家 誠
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

慶應義塾大学三田メディアセンターに寄贈された改造社関係資料の整理・調査を行い、同資料のデジタル・アーカイヴ化に貢献した。また、近現代の日本文学・中国文学・メディア史・思想史を専攻する研究者による共同研究プロジェクトを立ち上げ、改造社にかかわる実証的な研究を行う他、20世紀の前半期に日本語の雑誌や書籍が、列島の「外」において、どのように受容され、どんな作用を及ぼしていたかを明らかにした。
著者
篠田 知和基 松村 一男 丸山 顕徳 目崎 茂和 不破 有理 廣田 律子 服部 等作 荻原 真子 栗原 成郎 吉田 敦彦 諏訪 春雄 栗原 成郎 三原 幸久 中根 千絵 鷹巣 純 目崎 茂和 後藤 明 丸山 顕徳 依田 千百子 松村 一男 岡本 久美子 立川 武蔵 小松 和彦 百田 弥栄子 小南 一郎 鈴木 正崇 門田 真知子 蔵持 不三也 不破 有理 服部 等作 広田 律子 荻原 真子 木村 武史 宮本 正興 クネヒト ペトロ 水野 知昭 中堀 正洋
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

「ユーラシアの神話の道」「海洋神話」につづき、主として天空の神話を世界神話においてしらべて比較し、そこから各文化の世界観、すなわちコスモロジーを究明した。天空神話としては日月、風、星辰、それに「天界」の神話をとりあげた。
著者
松村 良之
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

北海道大学教育学部附属乳幼児臨床発達センターの5、6歳児5名を対象にインタービューを行い、子供の所有権の概念の獲得について、以下のような知見を得た。(1)5、6歳の幼児といえども、所有権の概念(,..は誰のもの)が存在する。(ii)客体の支配可能性が所有の条件であることは被験者すべての発言が一致している。(iii)家のものと自分のものとの区別ははっきりとは存在していないように思われる。(iv)子供の理解では、所有権の始期あるいは発生原因の重要なものとして、売買があるように思われる。(v)売買の理解が所有権の概念の獲得に結びつくと仮定した場合、その理由は現実の所持の移転ではなく、売買の対価性にあるように思われる。そして、対価性に所有権の獲得の根拠があるとするならば、この問題はアダムスらに始まる分配の公正の心理学と結びつくであろう。実際、被験者の幼児は公正ではない分配を受けると(例えば友達はお菓子1つで自分は2つ先生から分配を受ける)、所有についてとまどいを感じているのである。(vi)売買に加えて、贈与という概念も理解されていて、それも所有権の根拠になっている。ただし、それは家族間など特定の人間関係に限られているように思われる。(vii)所有権の消滅については子供がどのように考えているかはよくわからない。ただし、占有(現実の所持)を失っているだけでは所有権は消滅しないと考えているらしい。(viii)貸す、借りるという概念も子供に理解されている。長く貸したり、借りたりしていることにより、所有権が消滅したり、移転することはないということは理解されている。
著者
桝潟 俊子 野崎 賢也 松村 正治 佐藤 亮子 榊田 みどり
出版者
淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年、グローバル化のもとでローカル・フードムーブメント(地産地消やCSA:地域が支える農業、AMAP:農民農業を支える会、短い流通など)が、内外で広がりをみせている。また、欧米諸国では、ローカル・フードシステムの再評価がすすんでいる。本研究では、欧米におけるローカル・フードムーブメントの動向および日本各地の事例調査にもとづき、「安全・安心」「安全保障」「環境」以外の社会的な視点・論点(たとえば、食をめぐる社会関係や食と農のシステムを支える労働の社会的公正など)を導入し、日本におけるローカル・フードシステムの意義について実証的検証を行った。
著者
瀬戸 口剛 堤 拓哉 松村 博文
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

積雪寒冷都市では道路や歩道の公共空間の除雪に多大なエネルギーとコストを費やすため、CO2排出量を低減する都市デザインが求められる。本研究では札幌都心部を対象に、道路や歩道の公共空間の除雪負担を低減する、ECO街区を開発した。囲み型の街区形態が、必要除雪量および除雪エネルギー量が少なく、ECO街区として最適である。また、大規模再開発事業を対象に、環境評価を組み込んだ都市デザインプロセスを開発した。
著者
松村 佳子 松村 竹子 森本 弘一 岡村 泰斗 岩本 廣美 小柳 和喜雄 鈴木 洋子 松村 佳子 淡野 明彦
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、まとめに当たって不足するデータをとりつつ、成果報告書の作成に取り組んだ。以下に報告書の構成とテーマを示す。第1章 フィールドワークプログラムの開発.1.河川を活かしたフィールドワークプログラムの開発2.フィールドワークプログラムの効果3.海外のフィールドワークプログラムの調査第2章 教員養成カリキュラムの作成1.フィールドワークを導入した教員養成カリキュラムの評価2.国内の高等教育機関における指導者養成カリキュラム3.海外の高等教育機関における指導者養成カリキュラム4.海外の民間団体における指導者養成カリキュラム5.河川をフィールドとする環境科学教育の展開-化学を中心とする環境教育の展開-第3章 河川からの情報を読む1.河川水の水質分析と生活パターンとの関連2.河川の水質とそこにみられる微生物の関係3.境教育教材第4章 河川をフィールドとする活動実践1.小学校における大和川を活用した環境教育の展開状況-奈良県・大阪府の教員対象アンケート調査の結果を通して-2.布留川をテーマとした活動を通して3.社会人研修会への学生の参加第5章 基礎となる研究1.e-Learningを活用した環境教育支援プログラム運営のための予備的調査-e-Learningのための教育モデルの開発-
著者
井上 豪 中村 努 石川 一彦 甲斐 泰 松村 浩由
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

超好熱始原菌Aeropyrum pernix K1株由来のペルオキシレドキシン(Prx)であるThioredoxin Peroxidase(ApTPx)は、チオール依存型のペルオキシダーゼであり、過酸化水素H_2O_2やalkylperoxideを水やアルコールに還元する働きを持つ。ApTPxは、子量20万の10量体蛋白質であり、プロトマー1分子中に3つのシステイン残基(C50,C207,及びC213)を持ち、たとえば、過酸化水素を水に還元する反応を行う。これまでの研究から、ApTPxのアミノ酸配列は1-CysのPrxと相同性が高いのに対し、その反応機構は2-CysのPrxと同様に2つのシステイン残基(C50及びC213)が反応に必須であることが報告されている。本研究課題では、変異体C50S,C20,7S,C213Sの結晶中で過酸化水素と反応させ、中間体構造を低温でトラップしてX線構造解析を行う方法で、ApTPxによるH_2O_2の還元機構の詳細の解明を目指した。その結果、C50SおよびC213SについてX線回折強度データの収集を行い構造精密化中で反応機構に関する知見はまだ得られていないが、C207S変異体からは、Cys50がCys-SHから、Cystein sulfenic acid (Cys-SOH)の状態へと酸化され、S-OH中間体を形成し、配位子数4の硫黄原子(10-S-4)を持つ超原子価構造をとることが判明した(Proceedings of the NattionalAcademy of Sciences USA(PNAS),in press)。
著者
石川 誠 山野 英嗣 朴 鈴子 豊田 直香 羽田 聡 不動 美里 黒澤 浩美 平林 恵 木村 健 松村 一樹 西澤 明 竹内 晋平 西村 大輔
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生涯を心豊かに生きるための基盤作りとして,学校と地域の美術・博物館が相互の知見を共有し,知的財産(コレクション)を活用した鑑賞学習を多様に試行して七つの実践モデル(CD-ROM)にまとめた。従来,学校で扱いにくいかった分野にも対象を広げ,映像やワークショップ・プログラム,「書」など,実践に一つの道筋を付けたといえる。また,こどもの鑑賞過程で「見る」と「つくる」の密接な関係が確認され,実践計画の立案に示唆が得られた。この成果を公開討論会で問い,社会的な評価を受けている。
著者
伊藤 正 枝松 圭一 村松 宏 松村 宏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

近接場光学顕微鏡(SNOM)のナノスケール分光と高機能化を研究した。1.ポリスチレン微小球配列結晶の近接場効果(1)結晶のフォトニックバンドに共鳴する波長をはさんで、SNOM透過光像が反転した。長波長側は球の周辺部、短波長側は球の中心部が明るい。共鳴付近では全体に広がった。この様子は計算でも再現できる。(2)照射モードと集光モードにおけるSNOM像は一致した。計算との比較によると、SNOMプローブは2次元面内に平行な偏光成分を主に検知している。(3)微小球の直径、プローブの開口径、光波長の3つの要素により、SNOM像は大きく変化するので、プローブの解像度を知る方法として有効である。(4)反応性イオンエッチングによって配列位置は変えずに微小球の大きさを削ると、フォトニックバンド幅が減少した。微小球に固有なWGモードの球間重なり積分の変化が原因であり、結晶中の電子のバンド構造形成と類似ている。2.高機能化(1)プローブの縦方向の位置制御用に水晶振動子を用い、非光化プローブを作製した。(2)クライオスタット内にSNOM装置を設置し、試料を熱伝導で約100Kまで冷やした。(3)ストレートタイプのプローブを用いて、偏光度測定の感度を向上させ、サブミクロンサイズのペリレン微結晶の方位を決定した。(4)石英ファイバープローブを用いた紫外光近接場測定や、バネ定数の小さなプローブにより基板に密着力の弱い微結晶試料の測定を可能とした。3.ナノスケール光加工(1)ペリレン微結晶表面への近接場光照射により直径100nm以下、深さ数10nmの穴を光加工できた。光生成された表面励起子が表面分子の蒸発又は光分解を引き起こすものと解釈される。(2)加工後の微結晶表面形状に経時変化が見られる。AFM観察により室温における表面分子の平均拡散速度は2-3nm/minと求まった。
著者
越智 保雄 松村 隆
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

各種熱産業,工場などから排出される大量で低温度レベルのエネルギの利用法の一つとして,形状記憶合金をエネルギ変換素子として利用する動力回収システムの開発のため,形状記憶合金の熱・機械的繰返し変形特性と疲労寿命評価に関して基礎的研究を行った。用いた形状記憶合金は安定性,耐食性,変態温度や疲労特性等の点で優れた性質を持つとされているTiNiCu系合金であり,Cu濃度を0〜13%に変化させたものと,形状記憶熱処理温度348K-363Kと変化させた7種類の合金を用いた。得られた主な結果をまとめると以下のようになった。1. マルテンサイト変態温度Ms点はCu濃度が増加するにつれて上昇し,逆変態温度As点はCu濃度の増加につれて低下するが,M相の結晶構造が単斜相M相から斜方相M相に変態する状態になると再び上昇した。2. 繰返しによる有効ひずみエネルギWaは,最大ひずみε_<FTBK>が3%の範囲ではCu濃度の増加とともに増大するが,高ひずみ範囲ではほぼ一定となった。3. 回復ひずみエネルギの1サイクル当たりの減少量で定義した散逸ひずみエネルギは,Cu濃度の増加とともに低下した。回復ひずみエネルギは高いCu濃度域においては試験サイクルによる差異は認められなかった。4. 繰返し応力-ひずみ曲線の面積で定義した回復ひずみエネルギと寿命の両対数関係から,最大ひずみが4%以上では熱処理温度が高いほど低寿命となったが,最大ひずみが3%以下では加熱温度の影響はなく両対数ほぼ一本の直線で評価できた。5. 散逸ひずみエネルギと疲労寿命の両対数関係から,加熱温度,最大ひずみによらず散逸エネルギが減少するほど長寿命となる一本の直線関係で評価できた。7. 超弾性サイクルにおける疲労寿命は,Cu濃度が5〜10%の領域で低寿命となった。一方,熱・力学的サイクル条件下ではCu濃度の増加にともない低寿命となった。
著者
松村 常夫 遠藤 乾市 木村 秀明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OCS, 光通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.91, pp.35-40, 1999-05-27

市販単四電池1本で停電時に5時間の通話が可能なISDN用のカードサイズONU(世界最小電力&電カサイズ)のプロトクイプを開発した。本ONUは50Mbit/s STM-PDS システムに適用するもので、最先端の1V級動作モジュール/デバイスを搭載している。これらモジュール/デバイスの搭載と共に、サービス対応部をプラグ形式で共通処理部と接続する構成法, 高精度モジュール設計法の適用により、本ONUは3.3V版の従来型ONUに比べ、1/8の低電力化(150mW), 1/6の小型化(59cc;カード搭載対象部)が可能であることが確認された。