著者
角 康之 松村 耕平 横井 逸人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CNR, クラウドネットワークロボット (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.233, pp.7-10, 2012-10-04

人と情報サービスのインタラクションに一貫性の高さと活動空間の広がりを提供するために、サービスを提供する擬人化エージェントが仮想空間と実空間を行き来する枠組みを提案する。具体的には、観光地を案内する3次元CGキャラクタが仮想空間内の仮想ツアーの途中で実空間のロボットに乗り移り、プレイヤーの実空間体験を誘導するシステムを試作した。我々の試みは、あらかじめ用意されたサービスを提供するだけでなく、実空間での人とのインタラクションを取材し、それを仮想空間に持ち帰って新たなコンテンツとすることに特徴がある。
著者
前川 隆史 松村 真宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.224, pp.53-58, 2009-10-01

本研究では飲食店等にある「らくがき帳」に,どのような内容がどのようなスタイルで投稿されているのかを明らかにすることを目的とし,4店舗24冊のらくがき帳に関して,「他者へ向けた記述がある」,「日付の記述がある」といった属性を設定し,全投稿に占める各属性を持つ投稿の割合を調査した.その結果,らくがき帳は,不特定多数の人間に読まれるものであるにも関わらず他者へのメッセージが全く無い投稿が多いこと,日付と署名を記述するといったスタイルが多いことなどが明らかになった.また,ラン検定によってらくがき帳への投稿が直前の投稿と関連を持っていることも明らかとなった.
著者
古畑 昌巳 帖佐 直 大角 壮弘 松村 修
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.10-17, 2012 (Released:2012-01-26)
参考文献数
32

寒冷地の湛水直播栽培条件における水稲品種の出芽・苗立ち性およびそれに寄与する特性について十分明らかにされていないため,寒冷地で育苗箱を利用して低温土中出芽検定を行うと同時に,出芽・苗立ちに寄与する可能性がある発芽特性および嫌気発芽条件における鞘葉の伸長性についても調査を行った.その結果,低温土中出芽検定における出芽速度は,初期生育量と高い正の相関関係(r=0.773)を示し,低温での嫌気発芽条件における鞘葉の伸長速度との間に有意な正の相関関係(r=0.528)が認められた.また,低温でのシャーレ発芽条件における発芽係数と低温土中出芽検定における出芽率(r=0.376)および初期生育量(r=0.215)との有意な正の相関関係は認められたが,この要因については明らかにできなかった.
著者
松田 昇 長堂 嘉孝 島袋 清香 松村 まさと Matsuda Noboru Nagado Yositaka Simabuku Sayaka 沖縄県農業試験場名護支場 沖縄県農業試験場八重山支場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.5-17, 2005-12

沖縄県のハウス栽培におけるパッションフルーツの開花習性と結実習性を明らかにするため,ビニール被覆栽培の樹を用いて試験した.結果を要約すると以下の通りである.1)開花は2つの山がみられ,ピークは4月上旬と中旬であった.5月上旬から12月まで開花がみられなかった.果実の収穫は5月下旬から7月上旬であった.蕾の縦経5mmから開花まで約24日,受粉から収穫まで60±4.9日を要した.2)花の形態別開花の推移は3つの山がみられ,1次は12月1日から3日,2次波は12月5日から7日,3次波は12月14日から15日であった.3)開花の早晩は温度に影響され,午前中の温度が高ければ11時頃までに開花した.4)花の形態別の発生割合は接触型が87.3%,接近型が8.1%,直立型が4.5%であった.花の形態別結実率は接触型と接近型が高く,直立型は結実しなかった.5)平均結実率は59%から63%で,日によってばらつきが大きかった.温度,湿度との相関はみられなかった.6)花の開花後の受粉は開花後8時間まで高い結実率を示した.The objective of present study was examined in order to clarify flowering and fruiting habit (behavior) of the passionfruit cultivated in the vinyl house in Okinawa. The outline of results obtained are as follows: 1) The time from visible buds (5 mm length) to flowering takes about 24 days. Flowering had two peaks, first on early April and second on middle April. However, the buds from May to December could not have developed into flowers. The time from the pollinated flower to the mature fruit takes about 60±4.9 days. 2) The different types of flowers had three peaks, the first from 1st to 3rd of December, a second peak from 5th to 7th of December, a third peak from 14th of December. 3) It was considered that the flowering depends on the air temperature in the morning. 4) The flowering percentages of the different type were: 87.3% for normal (contact) type, 8.1% for recreate type, and 4.5% for upright type. The highest fruit set percentage was observed in the normal and recreate type flower. Flowers with upright styles failed to set fruit. 5) The average fruit percentage was about 59-63% by hand pollination during two flowering period. Correlations did not exist between fruit set and air temperature or humidity. 6) The highest fruit set percentage showed 8 hours after flower open.
著者
松村 成一 永田 智
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.177, pp.PE13-16, 2012-07

順天堂大学医学部附属静岡病院小児科は、大学病院としての高度医療を心掛けながら、静岡県東部の地域医療の拠点として小児の救急・時間外診療にも積極的に取り組んでいる。「患児の中には、短期間であっても『薬が飲めない』という子が多くいるので、薬剤師の方々には、飲みやすい味の後発品の提案や賦形の工夫など、小児科のチーム医療の一員として積極的に診療に関わっていただきた…
著者
権藤 智之 上橋 由寛 松村 秀一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.75, no.647, pp.193-200, 2010-01-30 (Released:2010-04-02)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

In Okinawa, new wooden house construction starts is very small compared with in the whole Japan. So, wooden house builders in Okinawa have many difficulties, like shortage of lumbers or carpenters. But, from the 1990s, pre-cut lumber shipped from southern Kyushu area have got used in Okinawa. With this new building method, some companies which have no experience of wooden construction moved onto wooden house construction. Most of them build small numbers of wooden houses, and do another business on the other hand. And wooden house building system is influenced by limited distribution channel as well as environmental factor.
著者
松村 靖夫 喜多 紗斗美 森本 史郎 秋元 健吾 古谷 真優美 岡 直美 田中 隆治
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological & pharmaceutical bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.1016-1019, 1995-07-15
被引用文献数
18 93

We investigated the antihypertensive effect of sesamin, a lignan from sesame oil, using deoxycorticosterone acetate (DOCA)-salt hypertensive rats. The animals were unilaterally nephrectomized, and then separated into a sham-operated group (sham group) and a DOCA-salt-treated group. The latter was further separated into a normal diet group (control group) and a sesamin-containing diet group (sesamin group). The systolic blood pressure of control group progressively increased in comparison with that of sham group. This DOCA-salt-induced hypertension was markedly suppressed by feeding a sesamin-containing diet. Systolic blood pressure after 5 weeks was 130.6±1.9mmHg in the sham group, 198.1±7.3mmHg in the control group and 152.5±8.4mmHg in the sesamin group, respectively. The treatment with DOCA and salt for 5 weeks significantly increased the weight of the left ventricle plus the septum. However, this increase was signiflcantly suppressed in the sesamin group. When the degree of vascular hypertrophy of the aorta and superior mesenteric artery was histochemically evaluated, there were significant increases in wall thickness, wall area and the wall-to-lumen ratio in the control group, compared with the sham. Sesamin feeding ameliorated the development of DOCA-salt-induced vascular hypertrophy in both the aorta and mesenteric artery. These findings strongly suggest that sesamin is useful as a prophylactic treatment in the development of hypertension and cardiovascular hypertrophy.
著者
細谷 里香 松村 京子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.331-342, 2012-09-20

我々は以前,優れた教師が子どもと関わるときに自身の情動能力に自覚的であり,子どもの前での情動表出を指導に用いる有効なスキルの一つとして捉えていることを報告した。本研究は,教育実習に参加した教員養成課程在籍学生の子どもと接しているときの情動体験および情動表出パターンを明らかにし,実習生と優れた教師の情動体験・情動表出および調整プロセスの比較により,今後の教員養成への示唆を考察することを目的とした。教育実習終了後の大学生計41人に,個別に半構造化面接を実施し,質的な分析を行った。実習生は,子どもと関わっている時に,喜びなどのポジティブ情動とともに,怒り,悲しみ,恐れ,嫌悪などのネガティブ情動も感じていた。ネガティブ情動は子どもだけでなく,自分自身によっても喚起されていた。優れた教師との顕著な違いは,実習生が教師としての未熟さに由来する恐れを感じていたことであった。情動表出パターンとしては,自然な表出,情動の直接的演出,抑制等のほかに,実習生の顕著な特徴として,恐れのコントロール不能が見出された。優れた教師が自覚的に行っていた怒りの直接的演出は,実践を困難に感じる実習生がいたことが明らかとなり,実習生の怒りの演出に関連する情動調整プロセスが見出された。教員養成教育において,子どもと関わるための教師の情動能力への気づきを促すような教育が求められる。
著者
南 貴洋 奥野 麻也子 高橋 亜緒郁 瀧口 宮子 松村 美依子 祖父江 鎭雄
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.590-594, 1999-06-25
被引用文献数
4

5か所の小児歯科専門の診療所で定期的に口腔衛生管理を受けている小児349名を対象として,齲蝕多発傾向者の定義に基づいて齲蝕多発傾向を有する者とそうでない者に分類し,口腔衛生管理を開始した時期とその後の齲蝕罹患状況について経年的に調査を行った。その結果,口腔衛生管理開始時に齲蝕多発傾向を有すると判定されたものであっても,永久歯萌出前に口腔衛生管理を開始することにより,永久歯における齲蝕発生を抑制できることが明らかとなり,早期のカリエスコントロールの重要性があらためて示唆された。
著者
伊豆田 猛 松村 秀幸 河野 吉久 清水 英幸
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.137-155, 2001-05-10
被引用文献数
12

世界各地で森林衰退が観察されており, 様々な原因仮説が出されているが, 酸性降下物はオゾン(O_3)と共に注目されている。したがって, すでに衰退している, または, 今後衰退する可能性がある樹種に対する酸性降下物の影響やそのメカニズムなどを実験的に調べる必要がある。これまでに欧米や我が国で行われた実験的研究の結果に基づくと, pH4.0以上の人工酸性雨や酸性ミストを数カ月から数年にわたって樹木に処理しても, 著しい成長低下や可視障害は発現しない。しかしながら, 酸性雨に対する感受性が比較的高いモミなどの樹種では, その成長がpH4.0以下の酸性雨によって低下する可能性がある。樹木に対する土壌酸性化の影響に関する実験的研究で得られた知見に基づくと, (1)酸性土壌で生育している樹木の成長, 生理機能および栄養状態を制限する最も重要な要因は, 土壌溶液中に溶出したAlであること, (2)土壌溶液中の (Ca+Mg+K)/Alモル比は, 樹木に対する酸性降下物による土壌酸性化の影響を評価・予測する際のひとつの有用な指標であること, (3)スギやアカマツは, ノルウェースプルースに比べると, 土壌溶液中の (Ca+Mg+K)/Alモル比の低下に敏感であることが考えられる。欧米では, 実験的研究や現地調査の結果に基づいて, 森林生態系を保護するための酸性降下物のクリティカルロードが評価されている。日本と欧米の土壌の特性はかなり異なり, さらに酸性雨, 酸性霧, 土壌酸性化および土壌窒素過剰などの環境ストレスに対する感受性に樹種間差異が存在することが実験的研究から明らかになっている。したがって, 我が国における森林衰退の原因を明らかにし, 森林生態系における酸性降下物のクリティカルロードを評価するためには, 様々な樹種に対する酸性降下物の影響に関する実験的研究が必要である。
著者
栗田 裕 松村 雄一 神田 真一 絹笠 裕直
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.741, pp.1333-1339, 2008-05-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1

Quadruped animals switch gait patterns with walking frequency for energy-effective walking. This is similar to the phenomenon that excited natural vibration modes are switched with vibration frequency in a MDOFs system. Therefore, in this paper, it is assumed that quadruped animals walk by using the natural vibration of their own musculoskeletal systems. In the simplest rigid-body-link model consisting of a body and four legs, there are the natural vibration modes similar to the gait patterns (trot, pace and gallop) of quadruped animals. However, all the natural frequencies in the model exist near the natural frequency in the free leg, and are accordingly different from the walking frequencies of actual quadruped animals. In the rigid-body-link model added a scapular and a pelvic on observations of quadrupted walking, the natural frequency of the gallop mode corresponding to high speed walking raises greatly and approaches the walking frequency. If the physical characteristics of horses were applied to the rigid-body-link model added the leg's joints, the natural vibration in the model is close to the gait patterns of horses.
著者
堀 貞喜 石田 瑞穂 青井 真 井上 公 大久保 正 岡田 義光 小原 一成 笠原 敬司 木村 尚紀 熊谷 博之 汐見 勝彦 関口 渉次 根岸 弘明 野口 伸一 松本 拓己 山水 史生 藤原 広行 功刀 卓 浅野 陽一 関根 秀太郎 廣瀬 仁 松原 誠 安逹 繁樹 伊藤 喜宏 針生 義勝 松林 弘智 松村 稔 宮川 幸治 山品 匡史 坂無 雅子 雷 楓 伊東 明彦 岩田 知孝 ト部 卓 川勝 均 木下 繁夫 工藤 一嘉 纐纈 一起 佐藤 春夫 佐藤 比呂志 武井 恵雄 中尾 茂 平田 直 平原 和朗 堀家 正則 松澤 暢 山北 聡 綿田 辰吾 山野 誠
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.15, pp."I-12"-"I-16", 2004-09-06

地震調査研究推進本部の総合基本施策(「地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(平成11年4月23日)」)、及び調査観測計画(「地震に関する基盤的調査観測計画(平成9年8月29日)」、「地震に関する基盤的調査観測計画の見直しと重点的な調査観測体制の整備(平成13年8月28日)」、「地震に関する基盤的調査観測等の結果の流通・公開について(平成14年8月26日)」)等に基づき、高感度・広帯域地震観測施設と強震観測施設を整備し、観測網の維持・管理・運用を行う。これら基盤的観測網と防災科研の在来地震観測網から得られるデータの収集・処理を行い、気象庁、大学等のデータと合わせて蓄積・流通・公開を行う。また、防災科研が海外に整備した観測施設についても、円滑な維持・管理とともに、観測方式の高度化を行いつつ、データの収集・処理・蓄積・公開を行う。さらに、各観測網から得られるデータを用いて、高度な地殻活動のモニタリングを実施し、地震活動状況の推移を判断するための研究成果を創出する。
著者
松村 ちづか
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医療短期大学紀要 (ISSN:09156933)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-40, 2002-03-29

在宅痴呆性老人家族介護者Hさんが,痴呆の義母の辛い介護体験を乗り越え,自己を強化し,介護体験を肯定的に人生に意味づけていく過程を「自己強化のプロセス」と規定し,そのプロセスと,そのプロセスに関わる他者の関わりが,介護者の内面にどのような意味をもたらしているかを半ライフヒストリー的手法を用いて探求した。その結果,Hさんは,混乱・引き受け・ネットワーキング・選択・変化・自己実現というプロセスを経て,痴呆性老人の介護体験を自己の人生に肯定的に意味づけていた。また,その過程に重要な関わりを持つ他者として,家族や血縁の身内・介護する痴呆性老人自身・他介護者・ペットなどの動物や星などの自然があり,様々にHさんの内面に影響していた。Hさんは,痴呆の介護という困難な状況を自己の人生に肯定的に意味づけていったが,その核になるものとして,Hさんの生育過程の中での自己を大切にするあり方があり,そのあり方が他者との関わりの中でさらにエンパワーされ,介護体験と共に,そのあり方,生き方を変化させていったと考えられた。
著者
吉澤 千夏 大瀧 ミドリ 松村 京子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.539-548, 2002-06-10
被引用文献数
1

2歳0ヵ月児とその母親45組のままごと遊びの分析を通して,2歳0カ月児のスクリプトの構造と特徴及びスクリプトの構造化に関する母親の関わりについて検討し,以下の結果を得た,(1)子どもの表出するスロットは,その種類数,出現ともに,母親と類似の傾向が認められる.(2)日常生活の主要行為である「食べる」「飲む」スロットは母子ともに多く表出し,子どもでは調理や供応に関するスロットの表出が多く,母親では飲食時のマナーや「おいしいという」スロットの表出が多い.(3)母親は,子どものスロットに対して,新たなスロットを付与し,統合させている.2歳0カ月時においても,母親はスクリプトの構造化に重要な役割を持つことが示唆される.(4)多くの子どもから表出された自発のスロットは,時系列的関係の中核をなしていることが明らかになる.
著者
平吉 功 岩田 悦行 松村 正幸
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.155-162, 1969-11-29
被引用文献数
3

前2報に引続き,和牛放牧が混牧林地内のササに及ぼす影響を調査した。調査地は岐阜県益田郡小坂町滝上牧場の第4牧区で,ここはもと,ミズナラ,ヒノキなどを主とする自然林であったが,その後皆伐され,現在ではカラマツおよびヒノキ苗が植栽されているが,クマイザサの密生はなはだしく,これらの樹苗をおおう程である。この地に1968年5月中旬から10月中旬までの間,和牛76頭が約50haの地積に放牧された。調査は閉放直後に行なわれたものであり,これによって5ヶ月間の夏放牧がこの地の植生に及ぼした直接的影響を知ることができた。調査の結果は次のように要約される。1.放牧によってササは緑葉を失い,その地上部は変形して,ササ型草地としての群落相観は著しく変化したが,未だ新規植物の侵入はみられず,群落組成上の変化の兆は認められなかった。2.放牧地内のヒノキ幼樹(1.5〜2m高)は約15%が食いちぎりによる枝条の折損をみ,カラマツ(1〜1.5m高)では約40%がふみつけによる樹幹基部擦傷の被害を受けた。3.放牧によりササは矮小化の傾向をたどり,その草丈は禁牧区のそれに対して平均約10cm低くなった。特に丈の高いササは稈頂部が折損しやすく,結局放牧区のササでは大体100cm内外の草丈にそろい,草丈の個体間のばらっきは少なくなった。4.放牧区のササは地上40cm以上の高さにある節からの分岐が目立ち,多数の細小枝を生じて,ササの外形は「ほうき状」を呈するようになった。但し地際近い節および地下茎の節からの分岐は未だ認められなかった。5.放牧によってササの成葉はいったん全部採食され,その後新葉の再生と採食が繰返される結果,放牧区では葉数は多くなったが,葉形は極めて小さかった。なお放牧区のササの葉が細長くなる現象は未だ確認されなかった。6.禁牧区のササの現存量(乾重)を測定し,放牧区のそれと比較した。葉量比は前者で約30%に及んだが,放牧区では僅かに1.3%内外で葉量は極めて少なかった。但し後者では稈重が増大しているため,地上部全重は禁牧区で1587.3g/m^2,放牧区で1521.0g/m^2となり,両区かなり近似した値を示した。7.放牧期間内におけるササの再生量が不明のため,現存量測定値から直ちに当ササ型草地での採食量(飼料提供量)を推定することはできなかった。ササの再生量究明は今後の重要課題である。
著者
宇佐 英幸 竹井 仁 畠 昌史 小川 大輔 市川 和奈 松村 将司 妹尾 淳史 渡邉 修
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.155-164, 2011-12-25

健常者24名(男女各12名)を対象に(平均年齢:男性21.3歳,女性20.6歳),大腿・骨盤の動きと仙腸関節・腰仙関節・腰椎椎間関節の動きを,腹臥位と腹臥位・膝関節伸展位での股関節5・10・15°伸展位,15°伸展位から10・20N・mの伸展方向への加重を大腿遠位部に加えた肢位の6肢位で撮像したMRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像)を用いて解析した。結果,男女とも,股関節伸展角度の増加に伴って,大腿は骨盤に対して伸展し,骨盤は前傾した。股関節非伸展側の仙腸関節では前屈,第3/4・4/5腰椎椎間関節と腰仙関節では伸展の動きが生じた。しかし,第3/4腰椎椎間関節を除く各部位の動きは,10N・m加重時と20N・m加重時の間では女性だけにみられた。これらの結果から,他動的一側股関節伸展時の腰椎骨盤-股関節複合体を構成する関節の正常な動きが明らかになった。