著者
小林 卓 大井 三代子
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子短期大学紀要 (ISSN:13477196)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.121-142, 2013-03-19

「戦後の図書館学教育と女性司書」として、鬼頭當子(きとう まさこ)への聞き取りによるオーラル・ヒストリーの研究を行った。鬼頭が、実践女子専門学校から、実践女子大学図書館、慶應義塾大学図書館学科、国際基督教大学図書館とすすみ、館長になるプロセスをおいながら、「結婚、出産と仕事」、「全面開架とサイン」「UTLAS、大学教育」などを聞き取ることにより、鬼頭の歩んできた道がライブラリアン一筋の生き方であると同時に、戦後女性の生き方であることを浮かび上がらせた。
著者
中下 留美子 鈴木 彌生子 林 秀剛 泉山 茂之 中川 恒祐 八代田 千鶴 淺野 玄 鈴木 正嗣
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-48, 2010-06-30
参考文献数
20

2009年9月19日,乗鞍岳の畳平(岐阜県高山市)で発生したツキノワグマ(<i>Ursus thibetanus</i>)による人身事故について,加害個体の炭素および窒素安定同位体比による食性解析を行った.体毛の炭素・窒素安定同位体比は,他の北アルプスの自然個体と同様の値を示した.さらに,体毛の成長過程に沿って切り分けて分析を行った結果についても,過去2年間の食性履歴において残飯に依存した形跡は見られなかった.当該個体は,観光客や食堂から出る残飯等に餌付いた可能性が疑われていたが,そのような経歴の無い,高山帯を生息圏の一部として利用する個体である可能性が高いことが明らかとなった.<br>
著者
新川 敏光 安 周永 林 成蔚
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究の目的は、日本の民進党(旧民主党)を韓国の「ともに民主党」、台湾の「民主進歩党」と比較研究することによって、日本におけるリベラル勢力の低迷の理由と再生の可能性を明らかにすることである。欧米との比較の視点から、日韓台のリベラル政党の歴史と政権期の政策を比較検討する。それによって、三カ国のリベラル政党がおかれている共通点と相違点を明らかにする。具体的には、5月にヨーロッパの社会民主主義に関する研究者を招聘し、研究会を行う。その際に、研究メンバー間に今後の研究計画を再確認するとともに、本研究計画に対してヨーロッパ研究者から助言を得て、今後の課題と方針を一層明確にする。8月には韓国調査を行う予定であった。初年度は、当初の研究計画以上の成果を得ることができた。5月に研究代表と分担者が集まり、日韓台のそれぞれの政治状況を報告してもらい、本科研の計画を明確にした。また7月には、一橋大学の田中拓道教授を、2月には法政大学の山口二郎教授を招聘し、研究会を行った。欧米の社会民主主義の動向と日本の野党再編を把握することができた。計画当初は今年度に韓国の調査を行う予定であったが、去年の北朝鮮のミサイル実験等の情勢を踏まえ、韓国調査を中止し、2年目に行う予定の台湾調査を先に行った。訪問先は、台湾総統府のスポークスパーソンや次長、台湾日本関係協会の会長、民進党の幹事長、時代力量の創立メンバー等であった。こうしたインタビューから民進党政権の復権には、国民党の腐敗だけではなく、対中関係をうまく利用した民進党の戦略と市民運動の影響があった。東アジアにおいても政党の対立軸とリベラル政党の戦略が大きく異なっているが確認できた。
著者
泉 裕子 平松 直樹 糸瀬 一陽 井上 隆弘 柄川 悟志 西田 勉 垣内 佳美 外山 隆 中西 文彦 井倉 技 田村 信司 辻井 正彦 辻 晋吾 考藤 達哉 竹原 徹郎 笠原 彰紀 佐々木 裕 福田 和人 今井 康陽 林 紀夫
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.109-115, 2004-02-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は58歳女性. 全身倦怠感, 発熱にて近医受診したところ, 総ビリルビン6.4mg/dl, AST 8327U/l, ALT 10879U/l, プロトロンビン時間7.5%と著明な肝機能低下を認めたため, 当院入院となった. 発症3日後の入院時には脳症II°となり, 劇症肝炎急性型と診断し, 直ちに血漿交換などの集中治療を開始したが, 肝炎劇症化から15時間後には脳圧の上昇とともに, 深昏睡となった. 2日後, 生体肝移植術を施行. 術後, 肝機能の増悪はなかったが, 意識レベル低下, 脳圧亢進は改善せず, 感染症を併発して入院8日目に死亡した. 剖検にて, 脳に出血や梗塞による組織変化は認めず, 脳圧亢進は肝性脳症によるものと考えられた. また, 本症例の劇症肝炎の原因はB型肝炎ウイルス (HBV) 感染であった. HBV genotype Bで, precore 領域, corepromoter 領域の遺伝子配列はともに変異型であった. 劇症肝炎発症の極めて早期に, HBs抗原陰性, HBs抗体強陽性となり, その後のIgM HBc抗体価3.2 (cut off index), IgG HBc抗体57.6% (200倍希釈) の結果から, HBV初感染による劇症肝炎と診断しえた. 比較的予後良好とされる急性型劇症肝炎において, HBV初感染による電撃型ともいえる劇症肝炎を経験した. HBV初感染による劇症肝炎例では, 本症例のように急速な転帰をとる症例があり, 肝移植を念頭に入れたより迅速な対応が必要であるものと考えられた.
著者
大脇 万起子 法橋 尚宏 小林 京子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は前年度の結果を基に引き続き臨床検討を行った。倫理的配慮・契約は前年度に準じた。滋賀県立大学では、保育園1園、中学校(障害児学級)1校の協力を得て、表出言語障害のある知的発達障害児を対象として、それぞれの職員に現場の生活指導の用具として使用をしてもらい、ソフトの実用性について検討した。結果、両施設とも、相手の返答や表情への反応と、コミュニケーションを理解して楽しむ場面が見られるようになった。この他に保育園では機器に興味を持ち関わってきた他児と対象児が普段はもつことが困難な場面共有と、言葉を発する必然性を子どもが感じる場を生み出せた。中学校では保護者や職員のみが理解可能な対象児固有の言葉を一般社会で通じる言葉へ置き換える指導に用いて効果が認められた他、授業中の表情が能面様から穏和な笑顔になり、多動が消失して着席が維持できるようになった。昼休みも引きこもらず、他児と同じ部屋で研究ソフトの入ったパソコンで遊ぶようになった。検討終了時には、使用した教員および協力者以外の子どもと親から、研究継続への協力の申し出と機材使用の要望があった。神戸大学では、養護学校に通学中の子どもを対象に臨床評価(1ヶ月の介入プログラム)を行うため、ある養護学校の協力を得て2台の機器(Uribow Talk)を用いて介入し、表出言語能力の異なる2名の実践検討を行った。対象者には、事象(食事が出てくる,音楽がかかるなど)が機器から発声される音声の内容に合わせて起こることへの理解が形成され、機器に興味を持つようになった。また、要求を示す音声を使用すると、機器使用への要求が高まる様子が見られ、要求に基づいた言語を機器にセッティングすることで言語理解を効果的に高められる可能性が示唆された。以上のことから、開発ソフトの活用範囲は広く、各発達段階に応じた言語認知と社会性の発達支援に貢献できる可能性が示唆された。
著者
浜田 篤郎 渡辺 直煕 山崎 洋次 吉葉 繁雄 小林 昭夫
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.279-280, 1990
被引用文献数
3 3

A 57-year-old woman experienced pain from foreign bodies in her oral cavity after eating raw squid. Examination of her oral cavity revealed 20-30 small foreign bodies embedded in the mucous membrane. After all the foreign bodies were pulled out, the pain was allayed and the wounds eventually healed. The foreign bodies, 5mm in length, were white and of elongated conical shape. Under microscopy, a large number of sperms was observed in the bodies. These foreign bodies were determined to be sperm-bags of the squid. It is supposed that this woman ate squid with spermatophores, thereafter sperm-bags were discharged from the spermatophores into her oral cavity. Although only a few similar cases heretofore have been found, it might increase among the Japanese who frequently eat raw squid.
著者
神林 寿幸
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.25-35, 2015

近年、教員の多忙化が政策課題とされており、教育学研究でも事務処理などの周辺的職務に伴う教員の多忙化が複数指摘されてきた。しかしこれらの指摘は十分な実証に基づくものではなかった。そこで本稿では現存する1950~60年代と2000年代後半の教員の労働時間調査について、一般線形モデルを用いた比較を行った。その結果、1950~60年代に比べて、2000年代後半以降の教員は、事務処理等の周辺的職務に長い時間を費やしているとは必ずしもいえず、他方で教育活動(特に課外活動)に費やす時間が長いことが明らかとなった。
著者
加國 尚志 北尾 宏之 榊原 哲也 古荘 真敬 村井 則夫 吉川 孝 村上 靖彦 川瀬 雅也 神田 大輔 谷 徹 野間 俊一 佐藤 勇一 田邉 正俊 田口 茂 伊勢 俊彦 小林 琢自 浜渦 辰二 和田 渡 亀井 大輔 池田 裕輔 廣瀬 浩司 林 芳紀 青柳 雅文 松葉 祥一
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2017年度は講演会、ワークショップを開催することができた。講演会、ワークショップについては、マーティン・ジェイ氏(カリフォルニア大学名誉教授)を招聘し、本共同研究研究分担者が翻訳した『うつむく眼』(The Downcast Eyes)について、ワークショップと講演会を開催した。ワークショップでは同書の翻訳を担当した研究分担者6名(亀井大輔氏、青柳雅文氏、佐藤勇一氏、神田大輔氏、小林琢自氏、田邉正俊氏)がそれぞれの視点から同書について発表を行い、ジェイ氏がそれに意見を述べ、討議を行った。また講演会ではジェイ氏は西洋の視覚文化と東洋の視覚文化とを比較考察し、「間文化性」と「視覚」について共同研究を行ってきた本共同研究にとって大きな寄与をもたらした。同じく2017年度には、共同研究の年度別研究テーマである「倫理」について考察するために、共同研究のテーマを「水俣」として、ワークショップを行った。研究分担者の吉川孝氏がコーディネーターを務め、発表者として福永真弓氏(東京大学)、佐藤靜氏(大阪樟蔭女子大学)が発表を行った。このワークショップにより、「水俣」という具体的な事件から、「実践」についての現象学的倫理を考察する可能性が開かれた。これらの研究に加え、研究分担者による研究も進捗し、著書 本、論文 本、学会発表 本が成果公表され、共同研究の成果を挙げることができた。また本共同研究が二年前に行ったワークショップの論文を『立命館大学人文科学研究』(立命館大学人文科学研究所発行)に掲載することができた。
著者
橋本 良子 山田 順常 林 進 中島 襄 城戸 国利
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.83-86, 1976
被引用文献数
1

われわれは, 半年前より持続する緑色帯下を主訴として来院し, レ線撮影により腟内に鈴を発見した1例を経験したので報告する. 患児は4才. 全身状態には異常なく, 外陰部は発育正常で外傷はなかったが, 発赤湿潤して悪臭があり, 腟スメアはI°~II°であった. 肛門診で前方に硬い腫瘤を触れ, 腟内に挿入したゾンデの先端に金属様の抵抗があったので, レ線撮影を行なったところ直経約1cmの鈴が描出された. 入院の上, 全麻下に子宮鏡を腟内に挿入して鈴の位置を確認し, 肛門から示指をもって容易に圧出し得た. 幼女の腟内異物は稀で, かつ診断が困難な場合が多いので, 文献的考察を加えて報告した.
著者
工藤 和俊 岡野 真裕 紅林 亘
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.78, no.7, pp.390-398, 2023-07-05 (Released:2023-07-05)
参考文献数
66

神経細胞を含む多様な細胞の集合体であるヒトの身体は,身体をとりまく地球環境がそうであるように,外界との間にエネルギーの移動があり,要素同士が複雑に相互作用し,束の間の秩序を保ちながら時間発展し自己組織化する非線形・非平衡開放系である.この非線形・非平衡開放系を解析し記述する方法論としての力学系アプローチはこれまで,身体におけるミクロな神経細胞の相互作用から,よりマクロな個体の振る舞い,さらには個体集団の集合的な振る舞いを共通の数理によって記述することに成功してきた.その具体例の1つは,身体運動の揺らぎの構造に関する研究である.絶えず変化し続ける身体ゆえに,たとえ立位で静止しようとしても姿勢を固定して留め置くことはできず,同一の運動を正確に再現しようとしても常に変動が付きまとう.これらの運動の時系列は,しばしば自己相似性(フラクタル性)を示すとともに,運動の学習段階や制御特性に応じてそのスケーリング指数が変化していく.また,このスケーリング指数は立位,歩行,会話を含むさまざまな運動や行為において,個人のダイナミクスすなわち個性を反映する指標になりうる.近年ではさらに,複数の人々が関わる場面を解析対象とすることで,対人間(たいじんかん)におけるダイナミクスレベルでのグローバルな協調関係を定量化する試みが進められている.もう1つの具体例は,ヒトの周期的な身体運動における協調パターンに関する研究である.ヒトの身体運動においては,歩行,ダンス,音楽演奏など,様々な周期的運動の協調パターン変化を,非線形力学系の秩序パラメータ変化に伴う分岐現象として記述できることが明らかになった.これにより,運動の学習プロセスを力学系の時間発展として理解することが可能になるとともに,「無秩序(試行錯誤)から秩序へ」という学習進展だけでなく「既存の秩序から新たなる秩序へ」という種類の学習プロセスを数理的に記述することが可能になった.これらの数理モデルはまた,パフォーマンスの急激な向上や学習停滞(プラトー)など運動の学習プロセスにおける様々な現象が,力学系の時間発展に伴い自発的に生じうることを示唆している.ヒト同士の社会的相互作用についても,対人間の運動協調課題において個人単独とは異なる振る舞いの創発が報告されており,結合振動子系モデルによってこの現象が再現されている.また,対人間における運動の協調がヒトの向社会行動を促進することが明らかにされており,ヒト社会において時代や地域を問わず普遍的に存在する音楽やダンスの社会的機能や役割について,定量的な解析が可能になりつつある.以上のとおり,身体を非線形力学系として捉えるという立場から,ヒト個体のみならず,ヒト集団の社会的振る舞いを含めた幅広い時空間スケールの現象を統一的に捉えることが可能になる.このような物質・生命・社会の境界を越えたスケールフリーの法則性を見出そうとするアプローチは,ヒトの振る舞いを微視的な物質要素から説明しようとする立場に対する相補的な方法論として,今後さらなる発展が期待される.
著者
大和 英理加 後藤 春彦 吉江 俊 林 書嫻
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.88, no.810, pp.2336-2347, 2023-08-01 (Released:2023-08-01)
参考文献数
20

This research focuses on the Defensive Architecture(DA), which prevents people from staying in public spaces, and collects and categorizes them through workshops. The first WS revealed the presence of 21 different DAs. The second WS defined the “depth of nonrecognition” and the 21 DAs were divided into 6 stages. Furthermore, the field survey revealed that there are three types of Defensive Environments with spatial extents in which multiple DAs act to alienate squatters. The study of “Defensive Architecture” is a good clue for us to think about how to use public space.
著者
古土井 光昭 小林 正樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C (ISSN:1880604X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.998-1017, 2009 (Released:2009-12-18)
参考文献数
22

関西国際空港は大阪湾南東部の泉州沖に,世界初の本格的な海上空港として建設された.建設予定地は水深が大きく,海底下には軟弱な沖積粘土層が20m以上堆積し,その下には数百mにわたって洪積粘土層が堆積している.したがって当初から沖積粘土層に対する地盤改良の実施や,洪積粘土層の圧密沈下が生じる深度方向の範囲やその大きさを見通すことが重要な課題であった.そのため事前に大深度のボーリング調査を行うなど,地盤工学的問題への対応に取り組んできた.本文は,関西国際空港の建設にかかる事前の調査や,事前予測に対する沈下の実態を記しつつ,沈下予測手法の変遷および現場における地盤挙動への対応について述べるものである.
著者
林 衛
巻号頁・発行日
pp.1-44,

日本災害復興学会2019年度鳥取大会, 日程:2019年11月9日(土)~10日(日), 会場:鳥取大学鳥取キャンパス
著者
水上 雅博 杉山 弘晃 有本 庸浩 東中 竜一郎 光田 航 小林 哲生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.B-MA2_1-14, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2

Local governments have high expectations for dialogue systems that provide residents and visitors with dialogue on multiple tasks, such as tourist information, town office information, and daily life information. In addition, there is also an expectation for such dialogue systems to be given the personalities of characters possessed by local governments and to provide chat dialogues for residents. However, to give the personality of a character to the dialogue system, task dialogue data and dialogue manager that reflect the personality are essential. Based on the study of role play-based question-answering dialogue systems that reproduce characters, we propose a method for collecting dialogue data that enables task dialogue and a method of dialogue manager and response selection that facilitates task dialogue. We constructed a dialogue system that imitated a certain local government character using the proposed method and evaluated its effectiveness through a laboratory experiment and demonstration experiment. The results showed that our dialogue system had statistically better performance in both task-oriented dialogue and chat oriented one.
著者
林 里奈 加藤 昇平
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.832-839, 2018-12-15 (Released:2018-12-15)
参考文献数
22

近年,ロボットとのふれあいを通して精神的な癒しを与えるロボット・セラピーが注目を集めている.ロボット・セラピーに使用されるセラピーロボットは,簡易な音声反応をするものが多い.本稿では,そのようなロボットに対し同調傾向の考え方を導入し,コミュニケーション活性時に最も強く同調する基本周波数を直前のユーザの発話音声の基本周波数と同調させることによる心理的・生理的ストレス緩和作用への影響を,評価実験を通して検証した.その結果,応答音声の基本周波数をユーザの発話音声の基本周波数に同調させた方が,得られる疲労の緩和と活気の向上作用,α波の含有率増進作用が有意に高いことを確認した.逆に,応答音声の基本周波数をユーザの発話音声の基本周波数とは無関係にランダムに調整させた方が,混乱の緩和作用が有意に低いことを確認した.したがって,応答音声の基本周波数は,ランダムに調整するのではなく,発話音声の基本周波数に同調するよう調整した方が,心理的・生理的ストレス緩和作用を引き出すことができると言える.
著者
林 里奈 加藤 昇平
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-81, 2017 (Released:2017-02-24)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

Interest in pet robots and virtual pets is currently increasing along with the pet boom. Pet robots and virtual pets have been found to be therapeutic. However, what characteristics of pet robots and virtual pets are therapeutically effective have yet to be clarified. In this study, we carried out experiments to compare the therapeutic effects between pet robots and virtual pets in terms of physical embodiment from psychological and physiological aspects. Psychological evaluation results showed that the reduction in the tension score and increase in the vigor score with pet robots were significantly higher than those with virtual pets. Physiological evaluation results showed that the increase in the percentage of alpha waves with pet robots was significantly higher than that with virtual pets. These results suggest that physical interaction is an element for reducing mental strain and improving vitality.
著者
小林 由佳 吉澤 重克 金子 誠二 清水 敏克
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.158-164, 2016 (Released:2016-08-18)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

現在,消毒剤として広く使用されている次亜塩素酸ナトリウムに比して,人体への影響が少なく,有機物存在下でも殺菌効果が期待できる亜塩素酸水について,Escherichia coli (E. coli)の殺菌効果とネコカリチウイルス(feline calicivirus: FCV)の不活化効果およびその濃度と効果との関係を検証した.  亜塩素酸水は有機物としてのウシ血清アルブミン(bovine serum albumin: BSA)存在下でも,殺菌・不活化効果があり,この時の遊離塩素濃度と殺菌・不活化効果に高い相関性が認められた.  さらに,亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムを,有機物としてのBSAと接触させ,接触前後の遊離塩素濃度の推移並びに溶液に対するE. coliの殺菌効果およびFCVの不活化効果を検討した.  亜塩素酸水のBSA接触後の遊離塩素濃度は,30分以上の接触時間でほぼ一定となり,残存遊離塩素は40~70%であった.高濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液でもBSAと30分間接触後の遊離塩素は激減した.  亜塩素酸水はBSA接触後,E. coliおよびFCVに対する有効な殺菌効果およびウイルス不活化効果が確認されたが,次亜塩素酸ナトリウムではそれらが認められなかった.  亜塩素酸水は次亜塩素酸ナトリウムと比較して有機物との共存下における遊離塩素濃度が高く,有機物存在下でも消毒効果が期待できる薬剤であると考えられた.