著者
小出 哲士 北川 章夫 若林 真一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では,ディープサブミクロンVLSIチップのレイアウト自動設計に注目し,ディープサブミクロンVLSIチップの実用化と共に顕著になってきた回路のパフォーマンスの考慮,ハード・ソフトマクロブロックの考慮,及び設計時間の短縮,等の問題を解決するための以下の新しいレイアウト設計手法を開発した.1.パフォーマンスを考慮した回路分割手法の開発回路のパフォーマンスを最適化するために,論理合成後に行われる回路分割において,回路のパス遅延を陽に考慮した回路分割手法を開発した.2.パフォーマンスを考慮したフロアプランニング手法の開発ハード・ソフトマクロを取り扱うフロアプランニングにおいて,バッファ挿入と配線幅調整を考慮した概略配線とフロアプランニングを実用的な計算時間で同時に求める手法を開発した.3.パフォーマンスを考慮した配置手法の開発タイミングを考慮したクラスタリングと新しい配置モデル(アメーバモデル)に基づくタイミングドリブン配置手法を開発した.4.パフォーマンスを考慮した配線手法の開発6層以上の配線層に対して,配線幅とバッファ挿入を考慮したスタイナ木生成アルゴリズムを用いて,与えられたタイミング制約を満たす概略配線経路を階層的に求める手法を提案した.5.パフォーマンスを考慮した階層的バッファブロックプランニング手法の開発チップ領域をグローバルビンに分割し,タイミングを考慮したバッファブロックプランニングを階層的に行う手法を提案した.6.パフォーマンスドリブンレイアトに対する適応的遺伝的アルゴリズムの適用エリート度に基づく適応的遺伝的アルゴリズムを提案し,レイアウト設計手法に適用した.また,高速化のためのLSI化を行い,パフォーマンスドリブンレイアウト手法の数10倍の高速実行の見通しを得た.
著者
米山 忠克 藤原 徹 林 浩昭
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

マメ科植物では篩管を移行する物質が窒素固定する根粒数を決めていること、これにはhar1遺伝子が関与していることを示している。しかし根粒数を制御する物質は未だ不明である。本研究で用いた植物ステロイドホルモンであるbrassinosteroidsは植物の成長において様々なはたらきを行なうだけでなく、最近は病害ストレス応答に関与し、病害抵抗反応をシステミック(全身的)に誘導することが報告されている。このbrassinosteroidsの最も生理活性の強いbrassinolideのダイズ野生株(エンレイ)および根粒超着生ミュータント(En6500)の地上部への処理と、brassinosteroidsの合成阻害剤のbrassinozoleをエンレイの葉部と培地から処理をして、葉部の成長と根粒の着生を調査した。Brassinolideの葉への処理はEn6500の根粒数を23-62%に低下させたが、エンレイでは根粒数は変化しなかった。Brassinolideの処理によって、節間は伸長した。葉にBrassinozoleの処理を続けるとエンレイの根粒数が増加した。また培地へのbrassinozoleの処理は節間を短くし、根粒数を増加させた。このような結果から葉部の,brassinosteroidsが篩管を通じてシステミックに根粒着生を変化させることが始めて明らかとなった。イネ篩管液からメタルの鉄、亜鉛、カドミウム、ニッケル、銅、モリブデンなどを検出した。とくにカドミウムと亜鉛については遊離のイオンでなく、大部分がリガンドと結合していていることを明らかにした。篩管内鉄またはその結合物質は鉄のシグナルとなっていると予想された。本年度から日仏共同研究「植物の炭素、窒素同化のシグナリングと代謝ネットワークの分子基盤とその応用」(代表 長谷俊治、Suzuki Akira)の日本側の研究協力者となった。ここでは代謝とそれを制御するシグナリングを研究することとした。また12月8〜9日と大阪大学蛋白研究所で開催された「植物代謝のネットワークとシグナリングの分子基盤とその応用」セミナーで「植物成長とC/N移行:^<15>Nと^<13>Cによる追跡」と題して本萌芽研究のテーマの長距離シグナリングメタボライトの存在とその重要性について講演した。
著者
小林 正彦 真浦 正徳 前川 秀彰 藤原 晴彦 島田 順 黄色 俊一
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1990

1.精細胞の移植について、飼育条件による有核精子と無核精子の割合の変化を調べた。その結果、低温暗催青した非休眠性幼虫では無核精子の割合が休眠性幼虫に比べて多いことが明らかになり、現在使用しているB系統に二化性の遺伝子を導入し低温暗催青することにより、より効率のよいドニーの系統をえられることが判明した。2.カイコの分散型反復配列BMCI多重遺伝子族をベクターとし、クロラムフェニコールアセチル化酵素遺伝子をマーカーとし、熱ショック蛋白質遺伝子のプロモーターをもつプラスミドpBmhscatを構築し、カイコの培養細胞にリン酸カルシュウム共沈法により導入した。その結果、比較的効率よくゲノムDNAと組換えを起こしていることが明らかになった。これを精細胞に応用し、組換え精細胞および組換え体カイコが得られる高い可能性が示唆された。3.カイコの前胸腺刺激ホルモン遺伝子と休眠ホルモン-PBAN遺伝子について多型を検索し、それぞれ遺伝子座位を決定した。カイコの前胸腺刺激ホルモン遺伝子は第22連関群の2.7に占座し、精細胞移植法によりホモ致死個体が救出されたskuと同一の連関に属し、移植の指標に使えることが明かになった。4.異種間細胞の移植のため、エリサンの精巣をカイコに移植し移植適性を調べた。その結果、移植された精巣は体液中では消化されるが、精細胞の移植では細胞が健在であることが明らかになった。5.種間雑種を作り出すため、カイコの培用細胞とマウスの培養細胞の融合条件を検索した。その結果、400v/cmの至適の条件では効率よく融合細胞が得られることが明らかになった。6.遺伝子導入と細胞融合に用る電気細胞穿孔法の精原細胞への影響を調べた結果、300v/cm以下では精細胞まで分化し移植が可能であった。
著者
小林 英樹
出版者
群馬大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、以下のことに取り組んだ。1.「映画化(する)」の「化」など、漢語を構成する言語単位の造語機能について分析を行った。その成果を、小林英樹(2006)「漢字の造語機能」(『朝倉漢字講座2 漢字のはたらき』)として、まとめることができた。2.「助けることを表す漢語サ変動詞」の分析に取り掛かった。その結果、以下のようなことが明らかになった。(1)通常は、危険なところから安全なところに移せば(救出すれば)、助けたことになるが、救出しても、助けたことにならない場合(手遅れのケース)もある。(大島署や地元消防団員らに5日午前9時50分に救出され、病院に運ばれたが、すでに死亡していた。(朝日新聞1993年7月5日))(2)助けることから許すことに移行しつつある「救済(する)」がある。(恩赦は平成に入ってから「大喪恩赦」(89年)と「即位の礼恩赦」(90年)の2回あり、いずれも政令恩赦として行われ、選挙違反者が大量に救済された。(朝日新聞1993年5月6日))以上のようなことを、小林英樹(2006)「漢語サ変動詞の意味・用法の記述的研究-「救助(する)」、「救出(する)」などをめぐって-」(『日本語文法の新地平1形態・叙述内容編』)として、まとめることができた。3.「建てることを表す漢語サ変動詞」の分析に取り掛かった。その結果、以下のようなことが明らかになった。(1)「建築(する)」は、モノ名詞として使うことができるが、「建設(する)」、「建造(する)」、「建立(する)」は、モノ名詞として使うことができない。(古い{建築/*建設/*建造/*建立}の保存に熱心だ。)(2)内項になるものの範囲は、「建設(する)」の方が「建築(する)」よりも広い。(新庁舎を{建設/建築}する。ヨルダンとの連合国家を{建設/*建築}する。)以上のようなことを、小林英樹(2007)「漢語サ変動詞の意味・用法の記述的研究-「建築(する)」、「建設(する)」などをめぐって-」(『語学と文学』43)として、まとめることができた。
著者
小林 茂雄
出版者
武蔵工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は、前年度に実施した岐阜県白川村の平瀬地区における照明実験の結果を分析すると共に、平瀬地区における屋外照明の実施計画をまとめた。すなわち、既存のポール灯による街路照明ではなく、街路に隣接する空地や建物壁面などの照明を配置した低輝度分散型の照明計画である。防犯性と周辺への見通しを高めると共に、消費エネルギー量を現状よりも小さくするという提案であり、研究成果を基にした光環境整備まで結び付けることができた。さらに横浜市中区の山手西洋館において、場所の認知を促すと共に、歩行者の安心感を高め、消費エネルギーが高くならないようなライトアップの手法を検討し、2007年12月に実施した。照明方法としては、地域の象徴となる建物ファサードの中で、場所の認知につながる部位を抽出し、そこに光を集中させることと、人の気配を醸し出すような光をファサードにつくるということである。一部の街路灯を消灯し、筆者らが提案する低輝度分散型の街路照明も実験的に提示した。地域住民へのアンケート調査を基に照明を計画し、実施後にそれらの効果を検証した。以上の様に本研究では、異なる二つの地域を対象とし、各々の街の特性に合せた照明計画を実験的に提示し、その防犯効果、歩行者への安心感に与える効果、見通し、場所の認知への貢献度、などを検証した。そして何れの提案に対しても、現状の街路照明よりも、光束量が約1/4となり、消費エネルギーを削減できることを示した。
著者
中林 真佐男 乾 展子
出版者
一般社団法人大学英語教育学会
雑誌
JACET全国大会要綱
巻号頁・発行日
vol.43, pp.83-84, 2004-09-01

一般的にmotivationは教育概論において「動機づけ」と訳されているが、「動物の行動を喚起し、ある目標へ方向づけ、維持する課程」と定義されている。この「動機づけ」を児童生徒に対して如何に図るかは授業展開上の重要課題である。佐藤(2003)は「学習の動機づけには、競争や賞罰などの外発的動機づけと学習自体に興味や面白さを感じさせる内発的動機づけがある。学習意欲を高めるためにはこのうち内発的動機づけが重要であるが、児童生徒の興味や面白さに個人差があり、また教育価値をともなわないこともあるので、常に内発的動機づけを重くみることは望ましくない。」と指摘している。関西外国語大学短期大学部の約半数以上の学生は、海外留学、4年制大学(他大学を含む)への編入や専門学校への進学を希望している。編入の審査にあたってTOEFLスコアも参考にされるので、学生の関心が極めて高い。また、1年生の成績も条件となるために、編入という内発的動機づけがあるので学習態度は良好であり意欲的にクラスに参加している。果たして、編入希望学生(以下編入)と就職希望学生(以下その他)との間に、英語学習において動機づけの差はあるのか興味深い課題である。英語の四技能を習得する「コンプリヘンシブ・イングリッシュ」を受講する64名の短大生を被験者として、TOEFLではなく使用テキストの「TOEIC模擬ミニテスト」を使い編入とその他に分けてmotivation learning(動機づけ学習)の成果を調査した。2003年度前期末にpre-testを実施し、約5ヶ月後の後期末にpost-testを行った。それぞれ模擬ミニテスト(1)と(2)を使ったが、問題数は同じで内容は違うものであった。この間に、編入希望の多い2クラスには「TOEIC頻出英単語」(250語)のテストを実施したが、就職希望の多いクラスには実施しなかった(統制群)。編入・その他のTOEICスコアを比較し、同じ授業を受けていても編入という動機づけと目標のある学生はその他の学生よりも成績が向上すると考えられる。また、TOEICスコア向上というtask-based learningの結果にも注目される。仮説として、「編入希望学生は短大から大学へ進むという動機づけがあるので、就職希望学生よりもTOEICスコアが高く、全般的に成績が向上する」ことを掲げた。今回は3クラスだけの予備的な調査であったが、編入という目標からMotivation Learningは如何にして学習効果を高め、成績向上に資するかを検証して行く。
著者
新庄 文明 川崎 浩二 林田 秀明 吉田 治志 久保 至誠 久保田 一見
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

N県下の歯科保健に関する地域格差や課題を明らかにするため、4つの調査と分析を行った。(1)受療調査:全歯科診療所における平成16年7月第2火曜日の受診者全数17,117人(女性57%)の年齢区分は小学生相当年齢に最初のピークがあり、55-64歳が最大であった。訪問診療は1.2%を占めたが、全受診者の25%が受診した県庁所在市19地区のうち3地区、および別の1市が全訪問診療の75%を占めており、これらの地区で訪問診療が全診療に占める割合は、11%、2.4%、1.3%、3%と、特定の地区で集中的に実施されていた。(2)歯科医師の活動調査:県歯科医師会全会員を対象とする保健活動の実情調査では、回収数25%の時点で訪問診療実施経験なしが22%、52%は訪問診療のみを実施、26%が居宅療養管理指導、摂食機能療法などを併せて実施していた。(3)幼児の生活とう蝕の関連:3歳児う蝕有病者率を市町村別にみると離島、および島原半島南部が有病率が高く、また、「近隣に歯科医院がある」、「できるだけ遅くまで甘味食を与えない」という回答者の多い地区では、う蝕有病者率が低かった。(3)離島住民の口腔保健:平成14年〜16年に離島で歯科健診を実施した1343人の約4割が未処置う蝕、15%が2本以上の未処置う蝕を有し、年齢差はなかった。65歳以上の3割以上が義歯を必要としつつ義歯を使用せず、歯が原因で不快な思いをしたことのある人の割合は歯数が少ないほど多かった。(4)児童相談所健診:N県下2箇所の児童相談所において、平成16年5月下旬以降の被虐待児を含む一次保護対象者の口腔診断査を行い、10月までの対象者70名の41%に未処置歯あり、20%に痛い歯があり、14%は「歯で困った時、我慢する」と回答した。以上の結果より、離島や歯科医療の希薄な地域、保健習慣不良、被虐待児など重点的に取り組む対象者がうかびあがり、訪問診療などの実施状況にも地域格差のあることが明らかとなった。
著者
勝村 哲也 古勝 隆一 木島 史雄 金文 京 松原 孝俊 矢木 毅 小林 博行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

朝鮮渡来漢籍の調査を行うのが目的であるが、今回は特に対島の宗家が所蔵し、厳原の長崎県立対島民族資料館に寄托されている漢籍と朝鮮版漢籍の調査をおこなった。その結果これらの典籍は、17世紀の中葉約50年間の間に渡来したものであり、ことにこの時期に朝鮮で出版された漢籍が集中的かつ良好に保存されている、極めてめずらしいケースであることが判明した。続いて建仁寺の両足院に保存されている対島府中の以酊庵(いていあん)関係文書(朝鮮との外交文書)・地図と南禅寺金地院文書(以酊庵に輪番として派遣された五山僧の記録)の全貌を把え、全文書を撮影した。これは研究者にとって極めて貴重な基礎資料となるものである。続いてカリフォルニア大学バークレイ校の東アジア図書館で調査し、旧三井文庫(新町三井)等わが国から当地に流出した資料約3000点を見出した。折りよく在外研究にめぐまれた九州大学の松原孝俊教授に紹介し、同教授によって調査が進められている。その結果も本研究に反映しうる。次にこうした資料をウェブによって公開利用に供するためのシステムを開発した。現在島根県立大学で試験的に運用しているウェブ・リトリーバル・システムがそれであって、このシステムによって、内外の諸機関のデータベースと相互に検索を行い、ウェブ上で検討に付することが可能になった。これも研究による大きな成果である。そのURLは以下である。http://ekanji.u-shimane.ac.jp/webusers/jsp/xmlweb/databases.jsphttp://nohara.u-shimane.ac.jp/dicl 204/dic-index.html
著者
大橋 優子 亀屋 隆志 小林 剛
出版者
Japan Society on Water Environment
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.533-539, 2008-09-10
被引用文献数
1

Soil contamination by toxic anions has become a serious problem, because of their persistence for a longtime and their diffusion into underground water. In this study, the adsorption equilibria for three hazardous anions of As(V), Se(IV), and Cr(VI) were investigated in a wide concentration range for four types of soilunder the condition of coexisting of competitive anions. The adsorption amount of toxic anions was altered by 20∼40 fold depending on the type of soil, Ando soil, Brown Forest soil >> Glay Upland soil> Terrestrial Rego soil. Metal anion adsorption was hindered by coexisting anions, particularly hydroxide ion, and competitive adsorption could be quantitatively expressed using the multiple isotherm equation proposed in this study. From the quantitative investigation analysis, the effect of the concentration change in liquid phase did not depend on the type of soil, but could be approximated by a constant for each anion. On the basis of experimental results, the behavior of the toxic metal anions in contaminated soils could be estimated by examining the adsorption isotherms for the soils and its pH dependence.
著者
新井 清 東海林 健二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1510-1511, 1988-09-12

物体の識別に関する一手法を提案する。生産工程における部品の組み立てや検査などでは,3次元物体の識別やその姿勢の決定に対する要望がある。幾何学的な物体の場合は,濃淡画像を処理して得られる頂点や辺などが利用できるが一般曲面体の場合には難しい。また,任意の姿勢で置かれた物体への適用も難しい。そこで,3次元物体データと2次元断面データとのマッチングに問題を置き換える。すでに物体形状のデータは得られていて,新たに物体のある部分を切断して得られる断面の輪郭線データが与えられた場合,その輪郭線が物体のどの部分に一致するかがわかれば輪郭線が得られたときの傾きで物体の姿勢を判断できる。また,一致する部分の有無により物体の識別も可能である。今回は,物体と断面輪郭線との照合にDPマッチング法を適用し,その結果について報告する。
著者
林 義正 鍋島 久浩
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 工学部 (ISSN:05636787)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.187-195, 1996

New technologies, acquired for race cars through rigorous pursuit of the three most important performance criteria of an automobile, are subsequently applied their ways to the actual production. Running performance of a battery powered electric vehicle was investigated based on informations associated with high performance endurance race vehicles. By utilizing newly developed circuit driving simulation program, the electric racing cars performance on the LeMans 24-hour endurance race was predicted : such race circuit requires vehicles to withstand durability equivalent to 500,000 km run on ordinary road. The layout of the electric race vehicle was also designed on the structural study of the race cars to achieve the performance goal. As a result, it was found that the electric vehicle, even with a disadvantage of heavy battery weight, has an equal running performance compared to gasoline engine powered race cars. Also, the electric vehicle's efficiency of energy conversion from crude oil was found to be 50% higher than the gasoline engine cars.
著者
川島 隆幸 狩野 直和 小林 潤司 後藤 敬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、斬新な特定位置占拠型配位子の設計と、それらを活用した高配位典型元素化合物の創製を目的に行われた。まず、電子・立体効果の両面で安定化能力にすぐれた三座配位子の実現を目指し、三方両錐構造の二つのアピカル位と一つのエクアトリアル位を占拠するように独自に設計・開発した、新規な平面型三座配位子の応用を検討した。次に、配位座の完全固定化による高配位状態の安定化を指向し、全てのエクアトリアル位と一つのアピカル位を占拠しうる剛直な四座配位子を開発し、その高配位リン化合物および高配位14族元素化合物の合成への応用と、四座配位子のアピカル炭素原子を他の典型元素へ置き換えた新配位子の開発を試みた。続いて、デンドリマー型置換基の開発を行い、これを3個導入することにより、フレキシブルなエクアトリアル位占拠型置換基として機能し得るかどうかを検討した。さらに、ジチオカルボキシラト配位子およびカルボキシラト配位子を二座配位子として活用した6配位ケイ素化合物の構築について検討した。これらの検討の結果、熱的に安定な4配位1,2-ヨードキセタンの酸化剤としての応用、三つの酸素原子がエクアトリアル位を、炭素原子が一つのアピカル位を占めたカルバホスファトランやカルバシラトラン、および5配位ケイ素原子あるいは7配位ケイ素原子同士が連結したジシランの合成に成功した。加えて、これらの関連化合物、リンとアルミニウムからなるホスファアラトラン、オレフィン重合活性を示すカチオン性シラノラトジルコニウム錯体、および電子供与能の最も高いアミノ(イリド)カルベンの創製にも成功した。このように独自に開発した配位子を活用して、従来の配位子では安定化し得なかった新規な有機高配位典型元素化合物を創製し、その構造、結合様式および反応性を明らかにするとともに、有機元素化学の発展に貢献する新構造に基づいた新しい知見を得ることができた。
著者
齋藤 秀司 小林 亮一 松本 耕二 藤原 一宏 金銅 誠之 佐藤 周友 斎藤 博 向井 茂 石井 志保子 黒川 信重 藤田 隆夫 中山 能力 辻 元
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

当該研究は(I)高次元類体論および(II)代数的サイクルの研究のふたつの大きな流れからなる。(I)高次元類体論は高木-Artinにより確立された古典的類体論の高次元化とその応用を目指している。この理論の目指すところは数論的多様体のアーベル被覆を代数的K理論を用いて統制することで、幾何学的類体論とも言える。整数環上有限型スキームにたいする高次元類体論は当該研究以前に加藤和也氏との一連の共同研究により完全な形で完成することに成功した。高次元類体論はその後もρ進Hodge理論などの数論幾何学の様々な理論を取り入れつつ展開し、世界的なレベルで研究が続けられている。当該研究の高次元類体論における成果として、整数論においてよく知られた基本的定理であるAlbert-Brauer-Hasse-Noetherの定理の高次元化に関する結果がある。(II)主要な目標は"代数的サイクルを周期積分により統制する"という問題に取り組むことである。この問題の起源は19世紀の一変数複素関数論の金字塔ともいえるAbelの定理である。当該研究の目指すところはAbelの定理の高次元化である。これは"高次元多様体X上の余次元γの代数的サイクルたちのなす群を有理同値で割った群、Chow群CH^γ(X)の構造をHodge理論的に解明する"問題であると言える。この問題への第一歩として、Griffithsは1960年代後半Abel-Jacobi写像を周期積分を用いて定義し、CH^γ(X)を複素トーラスにより統制しようと試みた。しかし1968年MumfordがCH^γ(X)はγ【greater than or equal】2の場合に一般には複素トーラスといった既知の幾何学的構造により統制不可能なほど巨大な構造をもっており、とくにAbel-Jacobi写像の核は自明でないことを示した。このような状況にたいし当該研究はBloch-Beilinsonによる混合モチーフの哲学的指導原理に従い、GriffithsのAbel-Jacobi写像を一般化する高次Abel-Jacobi写像の理論を構成し、GriffithsのAbel-Jacobi写像では捉えきれない様々な代数的サイクルをこれを使って捉えることに成功した。この結果により高次Abel-Jacobi写像がAbelの定理の高次元化の問題にたいする重要なステップであることが示された。当該研究はさらに発展しつつあり、Blochの高次Chow群、Beilinson予想、対数的トレリ問題、などの様様な問題への応用を得ることにも成功している。
著者
片田 範子 舟島 なをみ 鈴木 千衣 筒井 真優美 及川 郁子 常葉 恵子 平林 優子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

本研究は、現在の小児看護の実態を把握し、入院する小児に必要な看護ケアシステムを将来に向けて考察する目的で3年間に渡り行われた。1.混合病棟でケアされている小児の実態と質問紙の作成(平成2年度)東京近郊の病院の混合病棟での小児看護を質的に参加観察法や聞き取り調査を用いて検討し、その結果を踏まえて質問紙の作成を行った。2.小児の入院状況と看護婦の援助の必要性の質問紙調査(平成3年度)質問紙調査は、全国300床以上の総合病院から回答を得られた434病院で、小児専門病棟および成人との混合病棟の双方に入院している子どもを持つ親、看護婦(病棟婦長、看護部長を含む)、混合病棟の成人患者を対象に行われた。平成3年度に調査を実施し、平成4年にかけて分析を行った。分析結果は多岐に渡って得られ、平成4年には学会発表を行った。母親と看護婦の期待することのずれや、付き添っている者の疲労などの問題が存在し、これからの看護に望まれることが浮き彫りになった。また、小児をケアする看護婦の多くが、親との関りかた、成長発達に沿った援助、精神的支援などの領域で相談する人が欲しいと思っていた。3.小児リエゾンの導入と評価(平成4年度)「個々の小児の成長発達に合った看護の実践上の問題を中心に、小児を看護する看護婦に小児リエゾン的かかわりを持ちその評価を行う」ことを今回の導入の目的とし、平成4年には協力の得られた4病院で小児を看護している看護婦32名を対象にリエゾン・コンサルテーションを行った。来談の理由の主なものは「患児の生活や精神面の看護」、「小児看護をする自分について」、「家族の看護」についてと、事前調査と同様の結果であった。継続的にリエゾンシステムを活用し、看護婦が自分達の行っていることを定期的に見直し、解決の糸口を日常とは異なった面から検討する機会をもつことの意義が示された。
著者
小林 繁樹 佐藤 章 古口 徳雄 水流 京子 和田 政則 宮田 昭宏 中村 宏 渡辺 義郎 八木下 敏志行
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.13-18, 2004 (Released:2007-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
6 7

Indication of early treatment remains controversial for patients in poor clinical condition (Hunt & Kosnik Grade 4 or 5) after subarachnoid hemorrhage (SAH). Since 1997, we have adopted endovascular treatment using Guglielmi detachable coil (GDC) as a treatment option for these patients. In this study, we compared clinical courses of the cases treated in 1990-1996 to those treated in 1997-2002 to evaluate the efficacy of changes in treatment strategy. Between 1990 and 2002, 130 cases with SAH in Grade 4 and 5 underwent angiography as candidates of early aggressive treatment in our hospital. For the 63 cases in 1990-96 (Group 1), treatment options were early and intensively delayed craniotomy surgery and conservative management, while for the 67 cases in 1997-2002 (Group 2), GDC embolization at acute stage was added to these 3 treatment options. We compared the 2 groups of patients in terms of clinical courses and outcomes, assessed with Glasgow Outcome Scale Score (GOS) at discharge. The percentage of the patients in which aneurysm was occluded at acute stage increased from 67% in Group 1 to 87% in Group 2 for Grade 4 and from 33% to 52% for Grade 5. In Group 2, 44% of Grade 4 and 83% of Grade 5 patients were treated by GDC embolization. The outcomes of the cases in both Grade 4 and 5 were better in Group 2 than in Group 1. That is, for Grade 4 cases, the percentage of Good Recovery (GR) significantly increased from 7% in Group 1 to 27% in Group 2. And for Grade 5 cases, good outcome (GR or MD) increased from 5% in Group 1 to 18% in Group 2. Two patients recovered completely from Grade 5 in Group 2, both of which were treated with GDC while none in Group 1 recovered completely from Grade 5. The incidence of symptomatic vasospasm was not changed between Group 1 (20%) and Group 2 (16%). The introduction of GDC embolization extended the indication of early treatment for severe SAH patients because it was less invasive and, as a consequence, improved the outcome of those patients.
著者
大林 正博 井出 雅弘 久保木 富房
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.591-598, 1997-12-01
被引用文献数
6

アレキシシミアを伴う書痙患者に対して, 5年余り(200回余り)のフォーカシングによる面接を行った。面接第30回くらいまでの話題の大半は, 右手の違和感など症状に関するものであった。しかし, 「日常の問題が出ないこと」の指摘などの直面化をしたり, 面接140回頃よりコーネルによる方法を取り入れたこともあり, しだいにアレキシシミアとしての印象は薄らぎ, さまざまな「気がかり」なことに触れたり, 神経症的な葛藤や不安を表現するようになった。一方, 書痙症状は徐々に軽快し, 去勢不安とも取れる事柄を語るようになった第170回頃よりほとんど完全に消失した。フォーカシングは心身症に対しても試みる価値がある治療技法であると思われた。
著者
小林 碧
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

まず、先行研究に沿った行動観察による、スーパーコロニーの独立性の判定をおこなうため、「アリ個体」対「アリ個体」の攻撃性行動実験を行った。その結果、スーパーコロニーA、B,およびDの3つのスーパーコロニー間での排他的行動が確認され、独立が立証された。さらに、巣間をアリが自由に出入りできるスーパーコロニー内でも、巣仲間同士では栄養交換など協力的行動が観察されたが、非巣仲間間ではそのような協力的行動は見られなかった。アルゼンチンアリの先行研究中、スーパーコロニー内の巣仲間と非巣仲間に対する行動の差を報告した論文は1報のみで、その行動は触角で相手の身体をなでる行動であった。協力行動が見られた本研究の行動実験結果は、アリの巣仲間識別が、スーパーコロニーを形成するアルゼンチンアリにおいても行われていることを決定付けるものである。また、電子顕微鏡を用いたアルゼンチンアリの触角の観察から、sensilla basiconica様の感覚子が発見された。このsensilla basiconicaはクロオオアリ、およびエゾアカヤマアリにおいて、仲間識別感覚子として同定されている。この型の感覚子は1触角当たり約70個あることが判明した。この数はエゾアカヤマアリ(約120個、本研究から)やクロオオアリ(約180個、先行研究から)と比較すると少ないが、3種共、触角の先端部分に集中分布していた。さらに本研究では、「アリ個体」対「CHCを塗布したガラスビーズ」の行動実験を行った。巣仲間識別に用いられていると考えられるCHCを、アルゼンチンアリ100個体等量から2倍希釈した10段階の量をそれぞれ塗布したガラスビーズに接触したアリの行動観察から、CHCの量と行動変化の関係を明らかにした。その結果、アルゼンチンアリの忌避行動がCHC量に依存して変化することが明らかになった。この知見を元に大量の炭化水素を用いた新規の忌避剤の開発の可能性が認められ、特許の申請を行った。