著者
前川 功一 小瀧 光博 矢野 順治 椿 康和 宣名眞 勇 北岡 孝義 高林 喜久生
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

3年間に渡たる研究実績は以下の通りである。研究の分野、内容、論文番号、分担者を以下に列記する。文中の番号は、本報告書の項目11「研究発表」に挙げられた論文に付された番号である。(1)理論的研究・単位根の検定方法の提案に関する論文:(論文1,2:前川、久松)・和分過程I(1)に伴う変数を含む回帰モデルの推定・検定問題に関する論文:(論文3,4:前川)非正規性のもとでの回帰モデルの推測に関する論文(論文5:前川)・季節的周期性のある時系列に於けるI(1)変数と構造変化の問題に関する論文(論文6:前川)ヨハンセンの共和分検定に関する論文(論文15:小滝)・ブ-ストラップ法と経済時系列に関する論文(論文16,17:福地)(2)応用的研究・和分共和分分析の金融時系列への応用に関する論文(論文7,8:北岡)・ARCHモデル、共和分モデルなどの時系列モデルの在庫投資理論への応用研究に関する論文(論文9,10:宣名真)・マクロ経済の実証分析への時系列モデルの応用に関する論文(論文13,14:矢野)(3)データベースの研究・経済データのデータベース化に関する研究(論文11,12:椿)
著者
半田 直史 小林 一三
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

微生物ゲノムに修復されないDNA二本鎖切断が残されると細胞死を起こす。そのため大腸菌から高等生物まで、DNAの二本鎖切断に対して相同組換え機構などの手段を備えている。大腸菌がゲノムにコードするDNA切断酵素としてI型の制限酵素があるが、この酵素は特定のDNA塩基配列を認識してもそこでDNAを切断しないでDNAをたぐり、別の酵素分子に邂逅した所でDNAを切断する。私たちは、この不思議な現象が正常なDNA複製をモニターし、異常があれば複製フォークを切断して、ゲノム、あるいは細胞の生死をコントロールする事を示唆する実験結果を得た(Nucleic Acids Res印刷中)。II型制限酵素が、その遺伝子を失った細菌のゲノムを切断して殺す「分離後宿主殺し」に関して、その細胞死への抵抗手段として、細菌から高等生物まで広く保存されている相同組換え経路(RecF経路)が重要であることを示した(Microbiology印刷中)。さらに、多くのタンパク質が同時に働くことが遺伝学的な解析から知られていた、この大腸菌のRecF経路による二本鎖DNA切断を修復を試験管内再構成実験で初めて成功した(Genes Dev印刷中)。また、RecBCD酵素によってプロセスされたDNAを引き継ぐRecAタンパク質については、RecAタンパク質と蛍光タンパク質(GFP)との融合タンパク質を精製し、その生化学的特徴を詳細に解析した。実は野生型のRecAタンパク質にGFPを融合させると酵素機能は消失する。そこで私は、これまで研究から活性が向上していることが知られている変異RecAタンパク質にGFPを融合することで、活性を維持したまま蛍光RecAタンパク質を得ることに成功し、これを1分子解析系に導入して、これまでに報告されている野生型RecAタンパク質の挙動と比較することができた(論文投稿中)。
著者
梶田 将司 太田 芳博 若松 進 林 能成 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.38, pp.65-70, 2007-05-10
被引用文献数
4

現在,我々は,巨大地震などの大規模災害時において,大学構成員の安否確認を信憑性高くかつ迅速に行うためのシステム開発を行っている.特に,災害発生直後の人命救助等を目的とした安否確認ではなく,講義の再開など,大学における教育研究活動等の事業活動の再開を判断するための安否情報の取得を目指している.そのための必要な要件としては,(1)ユーザ認証を必須とすることで信憑性の高い安否情報の収集が可能であること,(2)使用する情報システムの稼働が災害時においても保証されること,(3)災害時にしか使用しないシステムではなく,継続的にいつでも利用できるシステムであること,(4)学務などの他の情報サービスとの連携も可能であること,が重要であると考えている.そこで,我々は,情報・サービスの統合的な提供を目指し構築している名古屋大学ポータルを利用した安否確認システムを構築し,2006年10月の地震防災訓練から試験運用を開始した.本報告では,構築した安否確認システムについて述べるとともに,安否確認訓練を通じて得られた知見・経験を述べる.This paper describes a Survivor Confirmation and Management Services through Nagoya University Portal (MyNU), which is intended to confirm who is alive after a major disaster crisis like a large-scale earthquake, and manages the data for recovery planning. In the area of central Japan, a periodical large-scale earthquake with a magnitude of 8 could happen anytime within 10 years, and a huge damages including from 9,200 to 4,500 deaths is estimated in the area. After initial search and rescue activities, it is crucial for Nagoya University to make a recovery plan that determines when and how our teaching, learning and research activities are going to be resumed. Getting the latest and reliable status from individuals like faculty, staff and students is the base line for the recovery planning. In our proto system development, we realized that (1) survivors can input their latest status using PC-based Web browser and Cellular phone-based Web browser with LDAP based-user authentication through HTTPS, (2) administrative staff can manage the latest status and make the list in Excel format, (3) MyNU servers are load-balanced between Nagoya and Kyoto by DNS Round Robin to attain fault tolerant in a wide area.
著者
林 思敏
出版者
東京外国語大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

台湾総督府の官房外事課・調査課の設置、再編、調査活動、そして対岸領事打合会議の実態を考察するとともに、総督府の外郭団体としての南洋協会、南洋協会台湾支部と台湾南方協会を取り上げて検討した。まず、外交関係の事項と南支・南洋の調査に取り組む官房外事課の復活(1935年9月)およびその後の拡大は、台湾総督府による南方調査の拡充・深化を示している。官房外事課は1938年に官房外務部へ、さらに1940年には外事部へと昇格するが、それによる組織の拡大や、分掌事項の細分化、また外務省出身の外事課長の起用などからは、台湾総督府の南支・南洋の経営への自信と自負心が見られる。しかし同時に、外務省・軍部との間の摩擦を最小限にとどめることに努力している側面も読み取れる。また、領事を総督府の嘱託にしたり、あるいは兼任させたことや、対岸領事打合会議を開催したことは台湾総督府の内外の情報ネットワークの構築において非常に重要な役割を果たした。ただし、それに対する外務省の評価は必ずしも高くなかった。南洋協会においては田健治郎総督と内田嘉吉民政長官が、総督府の首脳部として、その創立発起人、会頭、副会頭などの重役を務めた。また、台湾総督府から持続的かつ多額な補助金の給付を受け、かつ民政長官または総務長官が台湾支部長を兼任し、南方関係の講演会、語学の講習会や図書刊行などを行なった。そこからは、台湾総督府の南進政策における南洋協会の占める位置の重要性が確認できる。また、台湾南方協会は、南方関係の資料・情報の収集、南方講習会・展覧会・講演会の開催、南方進出者の助成、就職斡旋、南洋人の招致指導などにも積極的に取り組んだ。そのほか、同協会によって設置されたものとしては財団法人南方資料館がある。ここには南方関係の図書が多く集められたが、台湾総督府の官営色も濃かった。要するに、台湾総督府は外務省との関係をうまく維持しようとしつつも、自らの意志に基づき、南進の準備を経営していたのである。しかしながら、昭和期の「国策ノ基準」の決定、日中戦争の勃発、「東亜新秩序」の発表、そして「大東亜共栄圏」構想などが、日本の南進政策を大きく転換させることになった。そして、日本政府の南進政策が、基本的には台湾総督府の南方研究を基盤の上で行なわれていくことになる。同時に、戦争遂行のため、台湾総督府の南進政策が次第に「国策」に組み込まれたことによって、外務省・軍部の関与が次第に強力になり、南進における台湾総督府の自主性と独自性が喪失していくことになったのである。以上の研究は台湾総督府の南進関係の部局と外郭団体についてまとめたものである。
著者
小林 繁
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、障害児・者の学習文化活動を保障していくための課題と方向性を探っていくことを意図して、全国の先進事例や先行研究の調査とともに、全国の市町村自治体での取り組み状況についてのアンケート調査を実施した。そこでは、この間の生涯学習施策の進展に伴って、障害をもつ人の学習・文化保障の取り組みがどの程度進んでいるかを具体的に把握、分析する課題意識のもとに考察を行った。まず先進事例としては、東京を中心に行われている障害者青年学級(教室)、障害をもつ人を対象とした講座および届けるという発想にもとついたアウトリーチサービスの取り組み、大学で行われているオープンカレッジ、社会教育施設での対応、などについての調査見学を行った。また、全国調査の結果からは、まず学校週5日制対応の事業については、圧倒的に多くの市町村ではその対応がなされていない状況が明らかとなり、障害をもつ児童が地域で生き生きと学習文化事業に参加していく取り組みが求められていることを提起した。また、障害をもつ人が参加できるような配慮をしている事業を実施している自治体が回答した自治体総数の30%であり、依然として課題が大きいことがあらためて確認された。その意味で、教育を受ける権利を保障する責務を負う教育行政、とりわけ社会教育行政の役割と課題が浮き彫りにされたと同時に、とりわけスタッフやボランティアといった人的な面とプログラムなどのソフトの面からの学習支援のあり方を先進事例の取り組みから学んでいく必要性を強調した。そうした点をふまえ、最後にまとめとして、以下の視点の重要性を提起した。(1)学習権保障の視点(2)ノーマライゼーションとポジティブアクションの視点(3)社会教育施設・機関の役割
著者
小林 淳子 森鍵 祐子 大竹 まり子 鈴木 育子 叶谷 由佳 細谷 たき子 赤間 明子
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

出産後の母親の喫煙予防に資する基礎資料を得るために,母子手帳交付に来所した妊婦をコホートとして母子手帳受領時,妊娠末期,出産後の3回縦断的に調査した。その結果母子手帳受領時,出産後ともに喫煙には出産経験有,身近な喫煙者有が関連し,母子手帳受領時にはさらに若年齢が関連した。妊娠を契機に禁煙した妊婦は79.2%,その内出産後の再喫煙率は15.8%であった。妊娠が判明しても喫煙を継続した妊婦5名中4名(80.0%)が出産後は禁煙した。また,妊娠初期の禁煙支援として「意識の高揚」,「自己の再評価」を活用する妥当性が示唆された。
著者
小林 好宏
出版者
山口大学東亜経済学会
雑誌
東亞経濟研究 (ISSN:09116303)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.19-50, 1963-10-31

一、市場価格は、市場の競争形態によって異なる。二、日本においてはアメリカに較ベて、競争的市場、寡占的競争市場などが、いわゆる独占的市場と同時に広範に存在しており、したがって価格体系も一層複雑である。三、日本においては大企業とならんで弱小企業が広範に存在しており、その生起と淘汰のプロセスを通じて大企業の拡張がなされる。これは市場が大企業のみから成る場合に比し、大企業それ自身の拡張を強める。四、日本においては、特に新製品生産部門、あるいは成長産業と言われる分野で、マーケットシェアー獲得の競争が行なわれ、量産によるコストダウンと相俟って、少数企業によって、市場が支配されているにも拘わらず、価格が低下している。五、日本とアメリカの価格動向を比較すると、日本では卸し売り物価は短期的に変動するが長期的には安定しているのに対し、消費者物価は長期的に上昇している。アメリカでは、全体として価格は下方硬直的であり、長期的に上昇傾向にある。六、日本とアメリカの価格動向で最も特徴的なのは、資本財物価と消費財物価の相対的関係であり、日本では両者の相対価格は安定、乃至消費財価格の上昇で特徴づけられるのに対し、アメリカでは、資本財価格の相対的騰貴がいちぢるしい、これは一九二九年以来特に明瞭にあらわれている。更に近年は財政支出に関わる物価の騰貴率が激しい。七、日本の価格変動を需要要因とコスト要因からのみみると、需要要因に大きく支配されており、賃金及び原料によるコストプッシュはあまりみられない。八、アメリカにおいては、鉄鋼、電力、燃料等の主要原料がきわめて高価格であり、これが原料のコストプッシュをもたらす主要因となっている。九、主要原料の高価格は、これら部門における管理価格による高価格決定に原因がある。十、物価の動きに関しては、需給面のみならず、通貨供給と生産の関係が重要な役割を演じている。日本において、通貨の増大率と生産の増大率とを比較すると、通貨の増大率の方がより大である。このことから、これまで日本ではオーヴァーローンによって生産を剌戟して来、それがインフレ傾向をもたらして来た面があると言いうる。十一、日本とアメリカの価格体系が、それぞれ資本蓄積にどのように作用しているかをみると、アメリカでは、資本財部門の相対価格の騰貴が、資本財部門を含む全産業のコスト高をもたらしている。これに対して日本では、公的部門の価格が資本蓄積を促進するように作用しており、一部産業における独占的高価格にも拘わらず、原料のコストプッシュの影響はアメリカのように強ぐない。十二、日本においては、国家が企業の資本蓄積を促進させ、生産を拡大させるように働らくのに対し、アメリカでは、むしろ国家が財政支出を通じ、高価格で買入れることにより、市場を創出するように作用する。十三、アメリカにおける資本財価格の相対的騰貴は、実質消費を高め、貯蓄を抑える。これはケインズ的な立場からすれば、不況の防止になるようにみえる。けれどもここから高蓄積をもととする経済の高成長はもたらされない。日本は全体的傾向としては丁度これと逆であり、高貯蓄、高蓄積であった。問題はその貯蓄を吸収するに充分な投資があるかどうかであり、日本においては強い投資意欲に支えられ、高貯蓄率にもとづく高成長が実現されて来た。十四、資本財価格に関して重要なことは、それが他産業における費用にはねかえってくるこ上である。資本財価格の騰貴は、一部は資本財部門内部の循環的関係を通じ、また一部は消費財部門との取引を通じて、全体としてコストの圧迫をもたらす要因となる。資本財価格の騰貴は、マクロ的には、好況の指標のように見做されて来たが、ミクロ的に個別企業の立場でみると、コストの圧迫として作用する。この問題は、プライスの側面だけではなく、コストの側面からも、すなわち費用-価格関係として把握されねばならない。
著者
大嶋 彰 新関 伸也 神林 恒道 梅澤 啓一 松岡 宏明 泉谷 淑夫 赤木 里香子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

全国小・中学校の図画工作及び美術科における鑑賞学習の実態調査を行い、その結果を集計して『図画工作科・美術科における鑑賞学習指導についての調査報告書』を作成した。それによって、現在の学校における美術教育の問題点、指導者の鑑賞学習に対する意識、鑑賞学習の内容・方法・評価、教員養成における大学教育カリキュラムの現状と問題点が明らかになった。また、アンケートの「自由記述」では、教師の授業に対する様々な悩みや本音を読み取ることができ、理論と実践のすき間を埋める基本的な資料となった。以上の報告書をもとにして、研究分担者が各自の課題に基づき研究を進め、各学会において発表や投稿論文としてまとめることができた。その様々な研究は、図画工作や美術における鑑賞学習のカリキュラム作成をする上で必要とされる学校教育の側面はもとより、生涯学習や幼児教育、書道教育などの広い視点から進められた。また、日本の鑑賞教育だけではなく東アジアにおける鑑賞教育の実情把握と研究交流の視点から、韓国の研究者を招き「鑑賞」を中心に据えたシンポジウムを開催した。そこでは、日本の鑑賞教育の歴史的経緯や学校教育の実態などを報告しながら、両国に共通する課題や相違点を明らかにすることができた。一方、鑑賞学習のカリキュラムモデル開発のために、小・中学校を中心に鑑賞学習の事例収集及び分析を行い、それに基づきカリキュラムモデルの構造化を試みた。そのモデル化は、鑑賞学習の実践事例数をさらに増やした上で分析を行い、妥当性を検証する必要がある。今後の研究課題として、鑑賞学習を通して育てるべき能力や「総合的な学習」や「特色ある学校づくり」と結びついた具体的な学校教育における「鑑賞学習のカリキュラムモデル」の開発が必要である。
著者
井上 洋一 加島 勝 小林 牧 鈴木 みどり 白井 克也 神辺 知加 鷲塚 麻季 藤田 千織 鬼頭 智美 遠藤 楽子 田沢 裕賀 高梨 真行
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

アンケート調査に基づき抽出した国内外の主な博物館・美術館等における教育・普及事業の現地調査を通し、博物館教育・普及事業の現状と課題を明確化させた。また、国内外の博物館関係者らとの連携により、国の違いによる伝統と文化の多様性の意義を確認するとともに、そこから日本の伝統文化に関する先駆的教育・普及理論のあるべき姿を提示した。さらに、新たな古美術鑑賞法や実践的な博物館教育・普及プログラムを制作・実施した。
著者
加藤 忠史 垣内 千尋 林 朗子 笠原 和起 窪田 美恵 福家 聡 岩本 和也 高田 篤 石渡 みずほ 宮内 妙子 亀谷 瑞枝 磯野 蕗子 小森 敦子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

XBP1を持たない神経細胞では、BDNFによるGABA神経細胞マーカーの発現増加が減弱していた。また、XBP1の標的遺伝子であるWFS1のノックアウトマウスは、情動関連行動の異常を示し、変異Polg1トランスジェニック(Tg)マウスと掛けあわせると、Tgマウスの表現型を悪化させた。Polg1マウス脳内で、局所的に変異mtDNAが蓄積している部位を同定した。
著者
小林 雅実
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.270-279, 1991-06-28
被引用文献数
3 1

ニフェジピンの炎症組織におよぼす影響を検索した。60匹のウィスター系ラットの背部に滅菌綿球を挿入してcotton pellet肉芽腫を形成し,24時間後よりニフェジピン投与(100mg/kg)を開始し,投与期間別に次の4群に区分した。1,2,4週間投与(1,2,4週群)および,4週間のニフェジピン前投与を行った後に綿球を挿入し,術後さらに4週間投与(前投与群)とし,各群についてコントロールは同匹数とした。実験期間終了後,屠殺,肉芽腫を摘出し,湿重量,タンパク質,ハイドロキシプロリンの定量ならびに組織学的検索を行ったところ,次の結果を得た。すなわち,肉芽腫の湿重量,タンパク質量は1週間目に増加し,その後経時的,または薬剤投与による変化はなかったが,ハイドロキシプロリン量は経時的にも,薬剤投与によっても増加する傾向があり,前投与により,さらに増加が認られた。また,組織学的所見では,著明な炎症性細胞浸潤と肉芽組織の増生がみられ,膠原線維は経時的に増加し,ニフェジピン投与によって束状の線維が増加する傾向が認られた。
著者
宇井 忠英 隅田 まり 大学合同観測班地質班 荒牧 重雄 大島 治 鎌田 桂子 小林 武彦 小屋口 剛博 佐藤 博明 中川 光弘 中田 節也 藤井 敏嗣 藤縄 明彦 古山 勝彦 三宅 康幸 横瀬 久芳 渡辺 一徳
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.45-52, 1993-07-01
被引用文献数
2

Small-scale pyroclastic flows due to the collapse of the lava dome have been frequently generated during the 1991-93 eruption of Unzen Volcano. We have recorded video footages which show the generation of pyroclastic flows during January-March 1992. Two types of phenomena have been observed : deformation of the lava dome due to flowage ; and a sudden discharge of gas and ash through fractures and peeling-off of rock fragments from the surface of cooling lava blocks. Pyroclastic flows were generated only in places on the lava dome where these precursory phenomena were frequently observed.

1 0 0 0 OA モレルの家系

著者
林田 治男
出版者
大阪産業大学
雑誌
大阪産業大学経済論集 (ISSN:13451448)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.71-102, 2009-02

Generally speaking, the family environment is an important factor in explaining the development of an engineer's ability. In this article I attempt to formulate the family tree of Mr. Edmund Morel, who was the first Engineer-in-Chief of the Imperial Railways of Japan. His paternal grandfather was a wine merchant at Piccadilly, London, and his father and two of his paternal uncles succeeded the business. On the other hand, his maternal grandfather was a well-known solicitor at Golden Square, London. Two of his maternal uncles were brilliant lawyers, especially the eldest one was the first Chief Justice of the Supreme Court of Victoria and conferred a knighthood. One was a publisher of popular magazines and kept company with Charles Dickens. And one was a respectable surgeon. All the uncles except publisher moved to Australia and gained the social eminences there. Morel was able to study at King's College, London. I contend that he was stimulated and assisted intellectually by his relatives, and it played critical role on his career including engineering practice.
著者
片山 英雄 林 喜美子
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

研究の目的看護婦養成においてロールプレイは患者の心情の共感的受容という「理念」を「行動的に理解」させることができる優れた教授法であると一般に言われている.これを終末期老人患者の援助場面へ適用し,その効果を実証することを目的とした.研究の実施と結果1.臨床実習で学生が実際に体験した,終末期患者の援助の事例を収集した.学生の報告の中より終末期肝臓癌患者の援助に苦心した事例を選定した.これをもとにロールプレイの紙上シミュレーションの設計を試みた.その要点は,もし終末期の患者から「もうすぐ死ぬのでは?」と話しかけられたら,担当看護婦としてどう答えるか考えて記述させるものである.そして,学生の回答を共感的理解受容を基準として4段階に評価するように計画した.2.終末期老人患者の援助場面のロールプレイを,学生の実際に上演させた.その前後に紙上シミュレーションを実施して効果の確認をした.その結果,著しい向上が確認できた.すなわち,上演前でが「そんな弱気を言ってはいけませんよ」と否定したり,「元気を出して頑張りましょう」と励ましたりするなどの応答が中心であったが,上演後では「もうダメだと感じられているのですね.本当に大変ですね」など理解・受容を示す者がほとどになり学生の意識の変化が確認できた.3.これらの研究成果は今後の学生指導にも活用するとともに,第3回国際保健医療行動科学会会議,第9回日本健康心理学会などで発表する予定である.
著者
弓 削繁 美濃部 重克 小林 幸夫 榊原 千鶴 小助川 元太
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

戦国末期は文化が中央から地方へ、公家から武家・町人等へと拡散し、次第に貴族的なものから世俗的なものへと変容を遂げていく時期にあたっているが、本研究は古河公方の重鎮一色直朝(月庵)が編纂・著述した『月庵酔醒記』の注釈・典拠研究に基づいて、この過渡期の文化継承のありようを具体的に明らかにしたものである。注釈・典拠研究の成果は3冊の注釈書(うち1冊は準備段階のもの)に、また注釈・典拠研究から見えてくる文化継承上の諸問題に関する研究成果は1冊の研究書に結実している。
著者
川島 啓吾 橘 誠 山岸 順一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.496, pp.151-156, 2005-12-15

本論文では, 多空間上の確率分布(MSD)に基づくHMMを用いた音声の感情・発話様式の識別について検討している.MSD-HMMにより音声のスペクトル情報と基本周波数(F0)の同時モデル化を行い, 複数の話者の平静調音声で学習されたユニバーサルバックグラウンドモデル(UBM)を目標話者・スタイルの少量の文章によりモデル適応し, 話者及びスタイルの同時適応を行ったモデルを用いて識別を行っている.まずMSD-HMMを用いて特徴量にF0を含めることで識別率が改善することを示し, 次に, 適応時の初期モデルとしてUBMを用いる場合と, 目標話者の読上げ音声から作成した話者依存モデルを使用する場合の比較を行い, UBMを用いて話者とスタイルの同時適応を行った場合においても, 話者依存モデルと同等の性能が得られることを示す.最後に, ナレーション経験のない話者の音声を用いた評価実験を行った結果を示す.
著者
南部 昌敏 浦野 弘 三橋 功一 小林 稔 井上 久祥 城間 祥子
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

知識伝達型、問題解決型、省察型の研修スタイルを必要に応じて組み合わせた「協働と省察の継続と積み上げによる校内教員研修標準モデル」を構築し、実践した結果、教員の授業力と児童の学力の向上及び学習習慣の習得が明らかとなった。校内教員研修の効果は、全ての教員の行動変容として表れ(レベル3)、教職員一丸となって学校組織全体の自律的な取り組みも実現した(レベル4)。また、ニーズに応じた多様な集合型研修を行った結果、どの研修でもワークショップ型研修は好意的に受け止められ、授業力の向上に向けた改善点の明確化に寄与したことが確かめられた。
著者
小林 研介
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(S)
巻号頁・発行日
2007

独自に開発した高感度電流雑音測定系を用いることによって、電子干渉計、量子ドット、量子細線というエンタングルメント生成と検出の舞台となる半導体ナノ構造における量子雑音測定を行った。その結果、量子系におけるゆらぎの定理の初の検証実験や、核スピン偏極集団の生成などの成果を得た。本研究によって、高精度の電流雑音測定がエンタングルメント検出および非平衡輸送現象のプローブとして必須であることが確立した。
著者
林 薫 Shichijo Akehisa Mifune Kumato Matsuo Sachiko Wada Yoshito Mogi Motoyoshi Itch Tatsuya
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.214-224, 1973-12

Serial surveys on the ecology of Japanese encephalitis virus in Nagasaki area were made during from 1969 to 1971. In total, 11,229 hibernated female mosquitoes of Culex tritaeniorhynchus were caught in early spring every year for virus isolation, however it was unsuccessful. The significant increase of hemagglutination inhibition antibody possessing rate in the sera of slaughtered pigs in early spring was not found in these three years. Virus isolations from the vector mosquitoes in epidemic season were made from 1st to 26th of August in 1969, from 19th of July to 16th of August in 1970 and from 13th to 27th of July in 1971, respectively. Although the isolation efficiencies were not remarkably different at the highest level in a certain limited period in epidemic season during the years 1964 to 1971, the periods for JE virus isolation from the vector mosquitoes became shorter in the years from 1968 to 1971 than from 1964 to 1967. It was considered as one of the reasons that the number of the vector mosquitoes was smaller during the epizootic from 1968 to 1971 than from 1964 to 1967. Subsequently, it was noted that the encephalitis case sbecame to decrease in number in recent years.1969年,1970年及び1971年の3年間に越年コガタアカイエカ11,229個体,65プールについて哺乳マウス脳内接種法でウイルスの分離を試みたが,成績は陰性であった.流行期における蚊からのウイルスの分離は1969年は,8月1日から8月26日まで,1970年は,7月19日から8月6日まで,1971年は7月13日から7月27日までの期間であった.各年の捕集蚊からの日脳ウイルスの分離効率は最も高いときは1969年3.6,1970年4.8,1971年4.4であって,1968年以前の流行盛期のそれと大差がない.以上の事実は,最近3年間の野外でのコガタアカイエカのウイルス汚染が流行期の或る一時期には1968年以前と同じくらいに行われていることを示している.これに反して,蚊からのウイルスの分離期間が異常に短かくなっていることは,コガタアカイエカの発生,消長が最近3年間では著しく減少していることに,その一つの要因を求めることが出来る.これと平行して.患者数も減少し,1969年19名,1970年17名,1971年3名の届出患者があったにすぎない.