著者
守上 祐樹 藤森 明 久米井 真衣 灰原 博子 岡田 志緒子 溝渕 憲子 坂井 誠 中西 健
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.187-190, 2016 (Released:2016-02-28)
参考文献数
6
被引用文献数
1

血流量 (QB) とTMPの関係を明らかにする目的で, 血液透析 (HD) および前希釈オンライン血液透析濾過 (OHDF) の際, 血液側入口圧 (PBi), 血液側出口圧 (PBo), 透析液側入口圧 (PDi), 透析液側出口圧 (PDo) の4点の圧を測定した. 透析液流量は500mL/分とし, 血液流量 (QB) を100mL/分から250mL/分まで変化させTMPの変動を観察した. 5種類の計算式でTMPを算出し比較した. TMPの値は計算法によって大きく異なった. QBを上昇させた場合, HD条件ではすべての計算法でTMPは低下した. 一方, 前希釈OHDFではPBiを測定した計算法でTMPは上昇, その他の計算法では低下した. QBを上昇させると血液側の圧損失が増大するため, PBiを測定しなければ計算上のTMPの誤差が大きくなるものと考えられた. QB上昇の際, HDでは剪断速度の上昇のためTMPは低下し, 前希釈OHDFではQBの上昇により希釈率が低下したためTMPが上昇したと考えられた.
著者
中森 俊宏 北川 さゆり
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.25-36, 2009 (Released:2016-01-18)
参考文献数
33
被引用文献数
1

大豆は,日本人にとってなくてはならない食材であり,タンパク質,レシチン,オリゴ糖,イソフラボンなどに富む優れた機能性は,今や世界の人々の健康や食生活に大きく寄与しようとしている。調整大豆ペプチドは大豆タンパク質の優れたアミノ酸バランスを有し吸収性に優れた素材である。この特徴を生かした栄養ドリンクなどが開発されており,少し前には健康情報テレビ番組によりブームとなった。一方,最近市場が拡大している新ジャンルと呼ばれる酒類の原材料表示をみると大豆ペプチドと表示されたものがあり,アルコール発酵を円滑に行うための素材としても注目されている。本稿では,大豆ペプチドの製法から,その物理学的特性,栄養学的特性,発酵食品への利用について解説していただいた。
著者
岡崎 千聖 逢沢 峰昭 森嶋 佳織 福沢 朋子 大久保 達弘
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.116-123, 2018-08-01 (Released:2018-10-01)
参考文献数
56

群馬県では県北部のみなかみ町において2010年に初めてナラ枯れが発生した。このような飛び地的被害を起こしたカシノナガキクイムシ個体群の由来について,隣接県から近年自然または人為的に移入した,遠方から人為的に移入した,在来由来の三つの仮説が考えられた。もし,移入個体群であれば遺伝的多様性の低下や遺伝的に遠い系統がみられると予想される。本研究ではこれらの仮説を遺伝解析に基づいて検証した。みなかみ町およびナラ枯れの起きている近隣6県において,カシノナガキクイムシ試料を採集し,核リボソームDNA,ミトコンドリアDNAおよび核マイクロサテライト(SSR)を用いて遺伝解析を行った。核リボソームDNAおよび核SSRの遺伝構造解析の結果,群馬個体群は福島や新潟と同じ日本海型の北東日本タイプに属したことから,南西日本から人為的に移入したものではないと考えられた。また,ミトコンドリアDNAと核SSRを用いて各個体群の遺伝的多様性を調べた結果,群馬個体群の遺伝的多様性は低くはなく,他個体群と違いはなかった。よって,群馬個体群は近年の移入由来ではなく,在来由来と考えられた。
著者
山森 光陽
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.445-455, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
36
被引用文献数
2 4

本研究の目的は, 学級規模の大小によって児童の過去の学力と後続の学力との関係に違いが見られるかを検討することである。対象児童を小学校2年生, 対象教科を国語とし, 全国の公立小学校のうち単式学級が2以上ある学校に属する児童を母集団とした児童数の大きさに応じた確率比例抽出により抽出された調査対象校のうち, 国語の少人数指導を実施した学校9校を外した48校を分析対象とした。調査対象校の児童に対して調査期間中2回(7月と12月)の学力検査を実施し, 2回目の学力検査の正答数を目的変数, 1回目の学力検査の正答数と学級規模を説明変数とした階層的線形モデルによる分析を行った。その結果, 過去の学力が平均程度であった児童で比較すると, 小規模学級に在籍した児童の方が後続の学力が高いことが示唆された。
著者
森本 忠興
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.41-46, 2012-03-20 (Released:2014-10-30)
参考文献数
5

本邦では,マンモグラフィ検診受診率は二十数%と低く,乳癌死亡は増加している。一方,欧米では,早くからマンモグラフィ検診が導入され,受診率70~80%に及び,1980年代後半以降から乳癌死亡率の低下がみられている。本邦と欧米のマンモグラフィ検診受診率の差は,本邦の乳癌検診の進め方にあったと考えられる。本稿では,本邦の乳癌検診の歴史のなかで,1991年2月に日本乳癌検診学会が設立された経緯,発展状況,今後の課題等について述べた。今後,本邦では,受診率向上,マンモグラフィのアナログからデジタル化移行,ソフトコピー診断(モニター診断),40歳代のデンスブレストに対する超音波検診,MRI 画像診断の進歩等,多くの課題がある。本学会が2010年に任意団体からNPO 法人格を得たことを契機に,本学会のさらなる発展を期待したい。
著者
守屋 慎次 森田 利広 稲井 幸治 清水 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.8, pp.1022-1029, 1991-08-15
被引用文献数
7

本論文の目的は次の三つである (1)「ストロークエディタ」という新しい種類のエディタを提唱し 実現したプロトタイプシステムについて述べることストロークエディタ上において入・出力し編集されるデータは利用者が書(描)いた筆跡であり この筆跡をエディタ内において表現するデータ型はストローク(点列)であるこのエディタの目的は 筆跡をそのままの姿でコンピュータに入力し 保存したり編存したり送信することであるこのエディタがその本質において必要としているハードウェアは 表示平面と入力平面とが一体となったいわば紙のようなコンピュータと スタイラスペンだけである(2)ストロークエディタでとられた対話の方式「直接指示・操作方式」を提唱してその性質を導き この方式の重要性を示すこと対話の方式を特徴づける上で また 使い易くする上で この方式が非常に重要であることを示す導出される性質の代表例として この方式により仮想物(例えばカーソノレ)が実物(例えばペン先)化されること 順次入力に必要な記号(カーソルや空白など)を利用者が意識する必要がなくなること そしてこの方式の必要十分条件がある(3)利用者へ機械を近づける方法を示すこと方法の主なものは 人が作業する場(本論文では筆削をするタブレット入力面)をそのまま受け入れる機械の場(本論文では液晶出力面) を作り上げることである
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.483, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

2018年10月号の特集タイトルは「オープン化の新たな視座」です。主に学術雑誌論文を対象としてきたオープンアクセスに加え,近年は研究データのオープン化も議論の対象となり,オープンサイエンスへと広がりを見せています。また,行政資料や行政の持つデータのオープン化は,国か地方公共団体かを問わず進められています。企業においては,これらのオープンになった情報を活用するだけにとどまらず,自らが持つデータをオープンにすることで,イノベーションの創出を目指す動きも生まれています。このように,一口に「オープン」と言っても様々な流れがあり,オープン化に対する考えや取り組み方が異なります。多様な視点からオープン化の流れを見つめるべく,本特集では異なる立場の方々からご寄稿いただきました。企業活動の中でオープンデータがどのように活用できるのか,そのメリットと課題について,株式会社日立コンサルティングの岡山将也氏,岩崎一正氏に考察いただきました。研究データのオープン化に関しては,社会科学分野のデータアーカイブである「SSJデータアーカイブ」の取り組みをご紹介いただくとともに,日本の社会科学分野における研究データのオープン化とその課題を,東京大学社会科学研究所の三輪哲先生,佐藤香先生に論じていただきました。行政資料のオープン化がどのように実現されるのかを知る事例として,神奈川県立図書館の白石智彦氏に「神奈川県行政資料アーカイブ」をご紹介いただきました。専門機関におけるオープンアクセスの実態調査を行った事例として,国立研究開発法人国立環境研究所の尾鷲瑞穂氏,野崎久美子氏,張替香織氏,村上章人氏より,同研究所の取り組みをご紹介いただきました。国際的な学術出版社であるシュプリンガー・ネイチャーにおけるオープンサイエンスに対する取り組みを,同社の小林眞代氏よりご紹介いただきました。本特集が,「オープン化」の新たな風を感じる機会となることを願っています。(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),渋谷亮介,寺島久美子,南山泰之)
著者
西田 彩子 大久保 三四朗 大森 照夫 木下 光博 酒本 裕明 杉山 典正 都築 涼香 法宗 布美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.119-128, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

本研究では,ITベンチャー企業が知育玩具にAR(拡張現実)技術を適用したAR知育玩具について,新規事業を創出すると仮定し,情報収集と調査・分析を通じて事業立案の方策を検討した。AR及び知育玩具の各々の市場が拡大傾向にあること,両者を組合せた場合に相乗効果が見込まれることから,AR知育玩具の有望性が確認された。さらに,トピックモデル分析を用いて,全体を概観するマクロ分析からセミマクロ分析,さらにはミクロ分析へと展開する新たな手法を試みた。また,ブログを対象としたニーズ分析等を行なった。これらの分析から得られた要素をもとに,「積み木を用いたTangible user interface型の幼児向け英語学習玩具」を提案した。
著者
浜口 哲一 青木 雄司 石崎 晶子 小口 岳史 梶井 公美子 小池 文人 鈴木 仁 樋口 公平 丸山 一子 三輪 徳子 森上 義孝
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.297-307, 2010-11-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
16
被引用文献数
2

神奈川県茅ヶ崎市において、指標種を用いた環境評価調査を行った。この調査は、望ましい自然環境を想定しそれを指標する動植物種の分布調査に基づいて評価を行ったこと、調査区域の区分や指標種の選定などの計画立案から現地調査にいたるまで市民の参画があったことに特徴がある。まず市民による議論をもとに里山(森林、草地、水辺)や海岸など、住民の心情や生物多様性保全の観点から望ましい自然環境を決め、それらに対応する合計163種の指標種(高等植物、昆虫、脊椎動物)を決めた。集水域に対応し、また人間が徒歩で歩き回る範囲程度の空間スケールである76の小区域(平均0.47km^2)において、一定の努力量の上限のもとで最も発見できそうな地点を優先して探索する方法で指標種のマッピングを行った。小区域ごとの出現種数をもとに小区域単位の評価マップを作成したほか、詳細な地点情報を用いて保全上最も重要なコア地域を明らかにすることを試みた。
著者
工藤 貴徳 森山 貴子 柿崎 善史 葛西 伸彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.316-321, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
12
被引用文献数
1

糖尿病患者における薬物療法の導入は,時として重症低血糖を引き起こす.今回,特に医療機関における処置を必要とした低血糖発症の原因を明らかにするために,2009年10月から2010年9月の1年間に当院救急外来に低血糖で搬送された51例(複数回搬送された患者を含む),うち2型糖尿病患者33名の臨床的背景について検討した.HbA1c(以下,HbA1cはJDS値で表記)<6.5 %群は≥6.5 %群に比べて,平均年齢が有意に高値(78.8±3.9 vs 70.3±11.2歳),スルホニル尿素(SU)薬の使用が有意に高率だった(47.1 vs 13.3 %).搬送後,入院となった患者は帰宅できた患者に比べて平均年齢が77.5±8.5歳と有意に高値(p<0.05)であった.治療内容については,入院患者は帰宅患者に比べて,SU薬の使用が52.6 %と有意に高率(p<0.01)であった. SU薬は臨床で広く処方されているが,高齢者ではSU薬による厳格な血糖管理が低血糖を引き起こす可能性を高める.そのため,臨床の場では薬物療法,とくにSU薬による低血糖の危険性に留意して,常にその危険性と対処法を患者に指導する姿勢が重要と考えられた.
著者
森岡 美帆 久保田 賢 中山 健夫
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.272-277, 2014 (Released:2014-06-02)
参考文献数
8

本報告は、高齢者施設に勤務する管理栄養士・栄養士が、栄養ケア・マネジメントにおけるデータベース作成に要するパソコンスキルを学ぶために行われた研修会の成果を述べたものである。研修会のプログラムを開発するに当たって、まず栄養ケア・マネジメントのデータベース作成に必須と考えられる10のパソコンスキルを抽出。そのプログラムを用いて、高齢者施設勤務の管理栄養士・栄養士を対象にパソコンスキルアップ研修会を実施した。研修会後に、パソコンスキルの習得度、習得したパソコンスキルの業務への活用度、フォローアップ研修の希望などを調査した。12施設から14人の管理栄養士・栄養士が研修会に参加した。データベース作成に必要な10スキルの既習得者はファイルコピーが最多(3人)であり、シリアル値、PHONETIC関数、リストから選択は0人であった。研修直後の調査では、ファイルのコピー(12人)以外の9スキルを全員(14人)が理解したと回答した。研修後、業務に生かしたいと回答したスキルは、基本情報の入力に関わるスキル(シリアル値、DATEDIF関数・TODAY関数、PHONETIC関数)で、参加者14人中10人と最も多かった。3週間後の追跡調査で9施設がデータベースを作成し始めていた。研修前の栄養管理ソフトの使用の有無と、研修後の新たなデータベース作成には関連は無かった。データベースを作成し始めた9施設を含む10施設がフォローアップ研修を希望した。以上から栄養ケア・マネジメントにおけるデータベース作成のための、パソコンスキルを習得するのに研修会は有用であることが示唆された。
著者
森 健太郎 和田 孝次郎 大谷 直樹 長田 秀夫 戸村 哲 山本 拓史 中尾 保秋
出版者
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
雑誌
脳卒中の外科 (ISSN:09145508)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.116-121, 2014 (Released:2014-06-26)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Basilar artery and internal carotid paraclinoid aneurysms are still surgically challenging. We performed 31 clipping surgeries (basilar tip aneurysm 6, basilar artery-superior cerebellar artery aneurysm 8, and internal carotid aneurysm 17) via the extradural temporopolar approach. After the frontotemporal craniotomy, the meningo-orbital band was incised and the dura propria of the temporal lobe was peeled from the lateral wall of the cavernous sinus. The anterior clinoid process was removed extradurally. The distal dural ring and falciform ligament were incised for mobilization of the internal carotid artery and optic nerve. The temporal lobe was retracted posteriorly with the dura mater. The aneurysm clipping was performed through the relatively wide operative trajectory over the opened cavernous sinus. Postoperative outcome was modified Rankin Scale (mRS) 0 in 28 patients and mRS in three patients with visual deficits. No temporal lobe contusion occurred. The extradural temporopolar approach is a useful skull base technique for deeply situated aneurysms.
著者
森田 章夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

「無国籍船舶」に対する規定を置く条約の先例として、海賊問題を中心とする研究が成果となった。特に、普遍的管轄権の根拠が、「海上交通(往来)の一般的安全」の保護であることを精密に実証した。この過程で、この管轄権行使の根拠として、(1)「授権」(authority)不存在要件説、(2)海賊は、いずれの国家の規制にも服さない海の「無法者」ないし「法外者」(outlaw)であることを根拠とする学説があり、前者については、国連海洋法条約上、「私有の船舶」要件の問題であり、後者については、普遍的管轄「権」を規範的には肯定できないことが明かとなった。
著者
杉本 和弘 大佐古 紀雄 田中 正弘 鳥居 朋子 林 隆之 福留 東土 高森 智嗣 川那部 隆司 高 益民
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、各国の大学質保証における機関レベルの内部質保証システムの構造と機能を国際比較の観点から考察し、我が国の大学が内部質保証システムをいかに再構築し効果的運用すべきかを明らかにするため、(1)先行研究の整理・分析、(2)国内外の大学・質保証機関への訪問調査、(3)教育マネジメントに関する国際セミナーの開催を行った。その結果、大学の内部質保証システムを構築し機能させるために、全学レベルで学位プログラムを中心としたデータに基づく教育開発・教育改善が一体的に機能した質保証システムの整備を進め、さらに学内外にそのプロセスが明示されるようにすることの重要性が明らかとなった。
著者
澁谷 容子 中條 壮大 金 洙列 森 信人 間瀬 肇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_217-I_222, 2016 (Released:2016-11-15)
参考文献数
9
被引用文献数
2

地球温暖化による様々な沿岸外力の変化(海面上昇や波浪特性の変化,台風特性の変化など)に伴う様々な影響評価が行われている.本研究では,第二室戸台風を基準として台風の将来変化に伴う大阪湾を対象とした高潮災害の感度評価を行い,その再現期間を推定した.台風経路を変化させ,最悪経路の算出を行った後,最悪経路および台風強度の増加による高潮偏差と浸水範囲の算定を行った.さらに,確率台風モデルを用いて,最大クラス群の台風の再現期間を推定した.その結果,第二室戸台風が大阪港にとって最も危険な経路を通過した場合,第二室戸台風より高潮偏差が1.3 m高く,その経路の再現期間は21年であることが示された.また,最悪経路を通り,将来台風の強度が増大した場合,淀川流域以外で浸水し,さらに海面上昇が加わると,大阪市一帯も浸水する結果が得られた.
著者
森藤 元 安細 康介 渡辺 大 吉浦 裕 瀬戸 洋一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.61, pp.43-48, 2001-09-21
被引用文献数
2

デジタルカメラを用いて撮影された写真は, 撮影後に編集されたか否かの判定が困難であるために証拠として採用しにくい。また, 不正な複製や部分使用も容易である。本稿ではデジタル署名により改ざん検知を可能とし, 電子透かしにより権利者を特定可能とすることで証拠写真として採用可能な写真を撮影できるデジタルカメラシステムについて述べる。また, 機能を実装したデジタルカメラを試作することで, 本システムの妥当性についても述べる。