著者
市橋 秀友 渡辺 俊彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.429-437, 1990-08-15
被引用文献数
91

学習型のファジィ制御の一つとして簡略推論を用いた, 最急降下法と逐次学習に基づく制御方式について述べる.これは非線形な逆ダイナミックスモデル(逆系)をファジィモデルとして逐次的に同定することによって出力(制御入力)を理想出力に近づけようとするものである.簡略化によってファジィ推論の数式モデルが多重線形関数で表されることから排他的論理和などのパリティビットの学習や2次, 3次の高次関数の逐次学習にも有効であることを示す.また学習アルゴリズムの収束性を示すとともにファジィパーティションの段階的な細分化を用いた学習則を提案する.これは区分的な多重線形関数で非線形関数を近似する学習方法であり, 区分的な2次, 3次の高次関数で近似することもできる.学習型のファジィ制御の一例としてロボットマニピュレータの制御を取り上げ, ニューラルネットワークモデルを用いる場合とのシミュレーションによる比較結果を報告する.
著者
前田 浩人 曽川 一幸 林 加織 石毛 崇之 阿部 抄織 砂川 知宏 谷川 滋子 金岩 篤司 三品 美夏 渡辺 俊文 古畑 勝則
出版者
日本獣医腎泌尿器学会
雑誌
日本獣医腎泌尿器学会誌 (ISSN:18832652)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.50-54, 2018 (Released:2018-05-11)
参考文献数
14

ネコの下部尿路疾患の2-10%の症例において細菌感染が認められる。MALDI-BioTyper Systemを応用し、ネコの尿における直接菌種同定を試み、時間の短縮について検討を行った。2015年8月10日から2016年3月31日の間に前田獣医科医院に受診し、細菌性膀胱炎と診されたネコ43匹の尿を検体とした。MALDI-BioTyper Systemによる細菌の同定は、グラム陰性菌で92.0%、グラム陽性球菌で37.5%であり、検体採取後30分で同定可能であった。本法は、尿中細菌同定分析を短時間で同定が可能な方法である。
著者
渡辺 俊 中村 良三 渡辺 仁史
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.403, pp.97-104, 1989-09-30

The paper describes methods of estimating traffic planning for sightseeing, and sample study at Kanazawa city. In order to do the estimation two models are proposed. One is the mathematical model to find out the proper scale of the parking lot in the city area, using time series quantity data of traffic cars. The proper scale is defined by the maximum number of the time series sums of general traffic cars and sightseeing ones and capacity of crossings on the accessing routes to the city area. The other is the computer simulation model to forecast traffic jams. Fundamental framework of this is based on the Object-Oriented Event-Driven Simulation. In this model, in addition to deal with general traffic cars and sightseeing one individually, they are represented in the independent object. And it is characteristic of the model to use space network data directory instead of the block diagram like GPSS and make it possible to cope with changes of traffic planning automatically.
著者
幡生 あすか 原田 雅史 高橋 由武 渡辺 俊輔 山下 典之 伊藤 世士洋 岡本 晃典 高木 達也
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
情報化学討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.P22-P22, 2011

画像診断の分野で,診断の迅速化および医師の診断支援を目的に,健常者と患者の画像データを統計的に比較する手法が考案されてきた。しかし複数の疾患の可能性を比較,検討し,予測するためには,健常者と患者の判別だけでなく,疾患同士の比較,判別が必要である。そこで,脳血流画像の座標点を脳の機能区分に分け,分類に必要な区分を選択し,サポートベクターマシンによるアルツハイマー病とパーキンソン病の分類に取り組んだ。
著者
渡辺 康徳 渡辺 俊行 龍 有二 赤司 泰義 川上 司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.62, no.495, pp.21-29, 1997-05-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The purpose of this study is to analyze indoor thermal environment of a highly insulated airtight house in seasonal hot-humid area. In this paper, shelter performance, indoor thermal environment, and energy consumption of a highly insulated airtight house installed with central ventilation system and ordinary houses were investigated in Kitakyushu. The major conclusions of this measurement are as follows. l)This house is excellent in heat insulating and airtightness compared with the ordinary houses. The heat loss coefficient per floor area of the house is 2.53 W/(m^2・K) and equivalent leakage area per floor area of the house is 0.94 cm^2/m^2 measured by the pressrization method. (0.56 cm^2/m^2 by the depressurization method) 2)There is a room for improvement in the indoor thermal environment on air-conditioning during the summer, because this house had no consideration for solar shading and there are some problems about the position of thermosensor for air-conditioning and the balance of the air-flow below the floor level. 3)It is efficient to use the ventilation system installed with a sensible and latent heat exchanger at a highly insulated airtight house diring both summer and winter.
著者
大谷 恒史 渡辺 俊雄 藤原 靖弘
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.77-84, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
31
被引用文献数
1

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は骨関節炎や関節リウマチに対して汎用される薬剤であるが,有害事象として胃・十二指腸潰瘍などの上部消化管傷害の頻度が高い.さらに近年カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡の出現によって,NSAIDsが胃・十二指腸だけでなく小腸傷害を高頻度に惹起することがわかってきた.NSAID起因性小腸傷害の予防策として選択的COX-2阻害剤の使用が挙げられるが,短期の使用では抑制効果を有するものの長期使用では抑制効果が消失する.また疾患修飾性抗リウマチ薬などの抗リウマチ薬はNSAIDsと併用することによって,小腸傷害の発生頻度が高くなると考えられている.一方で抗TNF-α抗体療法を施行されている関節リウマチ患者においては,NSAID起因性傷害が軽微であることが判明している.さらに臨床上重要な点として,胃酸非依存的傷害であるNSAID起因性小腸傷害に対してプロトンポンプ阻害剤は無効であるばかりか,傷害を増悪させる可能性が示唆されている.NSAID起因性小腸傷害に対して有効性が期待される薬剤としては粘膜防御因子製剤やプロスタグランジン製剤があるが,さらに我々は抗TNF-α抗体療法,プロバイオティクスやコルヒチンが新たな治療薬の候補となりうると考えている.今後これらの新たな知見を踏まえたNSAID起因性消化管傷害に対する治療戦略の確立が必要である.
著者
渡辺 俊一 居林 昌宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.439-444, 1993-10-25 (Released:2019-09-01)
参考文献数
4

THE KAWLOON WAL WELLED CITY, A HONG KONG'S ONCE MOST NOTORIOUS SLUM NOW WAITING FOR DEMOLITION, USED TO BE CHARACTERIZED BY HIGH DENSITY LIVING (18,000 PERSONS PER HECTARE), HIGH RISE STRUCTURES (14 FLOORS WITHOUT ELEVATORS) AND INTRICATE INTERLOCKS OF BUILDING SPACES AND OF INNER CORRIDORS. THE AUTHORS, BASED UPON THEIR INVESTIGATION, CLARIFY THE SPATIAL STRUCTURE OF THE SLUM AND HOW IT WAS CREATED UNDER THE LACK OF LAND USE CONTROLS. THROUGH THIS UNIQUE “EXPERIMENTAL” SITUATION OF “NO CONTROL,” THEY RECONSIDER SOME BASIC PRINCIPLES UNDERLYING CONTROL TECHNIQUES OF OUR MODERN PLANNING SYSTEM.
著者
藤原 靖弘 村木 基子 木幡 幸恵 杉森 聖司 山上 博一 谷川 徹也 渡辺 憲治 渡辺 俊雄 富永 和作 荒川 哲男
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.3523-3528, 2011 (Released:2012-01-06)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は31歳,女性,6年前より嚥下困難・食物のつまり感を自覚し,他院で内視鏡など検査するも異常を指摘されなかった.症状が徐々に増悪するため紹介受診.上部消化管内視鏡検査では食道胃接合部に一致して著明な狭窄を認めたが,明らかな腫瘍や粘膜不整を認めず,超音波内視鏡では主に粘膜層の肥厚を認めた.食道生検にて食道粘膜内に著明な好酸球浸潤とmicroabscess形成を認め,好酸球性食道炎と診断した.フルチカゾン嚥下療法により症状および内視鏡像・組織学的改善を認めた.好酸球性食道炎は本邦では稀な疾患であるが,典型的な症状と特徴的な内視鏡像より食道生検を施行することが早期診断に重要である.
著者
柿原 知 佐々木 愼 寺井 恵美 渡辺 俊之
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1457-1461, 2014-12-31 (Released:2015-04-02)
参考文献数
14

症例は65歳,男性。間欠的な腹痛と発熱を認め,腹痛が徐々に増悪したため当院救急搬送された。来院時の血液生化学検査で白血球とCRPが上昇しており,腹部造影CT検査でS状結腸に50mm長の緩やかに弯曲する細径の高輝度領域と腸管外ガスを認めた。魚骨によるS状結腸穿孔を疑い,緊急手術を施行した。術中所見ではS状結腸腸間膜側から魚骨が突出しており,後腹膜も一部損傷していた。S状結腸部分切除とS状結腸にて人工肛門造設術(ハルトマン手術)を施行した。摘出した魚骨の長さは57mmであった。誤嚥された異物のほとんどは自然排泄されるため,消化管穿孔や穿通により腹膜炎を発症することや,腹腔内膿瘍を形成する確率はまれであると報告がある。異物の割合は日本人では食生活の影響などから魚骨が50%近くを占める。今回のように50mm超える魚骨が誤嚥の認識なく,穿孔による症状で発見された症例は極めてまれである。
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。
著者
渡辺 俊三 田崎 博一 北條 敬 小泉 明 佐藤 時治郎 J. B. Baron F. Lhermitte
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.328-333, 1982 (Released:2006-08-11)
参考文献数
23

Musicians and nonmusicians were tested in the recognitions of four kinds of dichotically presented music stimuli : recorded tones, chords, rhythms and melodies. Nonmusicians were 18 subjects (A), who worked in fireman's agency in Paris, France, whose ages ranged from 18 to 28 years (average : 20.2 years) and whose years of musical experiences ranged from 0 to 5. Musicians were 8 students in musical college (Conservatoire national supérieur de Musique de Paris): 5 right-handed (B) and 3 left-handed persons (C), whose ages ranged from 18 to 25 years (average : 21.8 years), whose years of musical experiences ranged from 10 to 18 (average: 12.8 years).    1) In the tone test, the mean score for right and left ears were nearly the same for both A and B.    2) The chord test revealed a significant left ear superiority for A, and the tendency of the higher score in left ear was seen for B.    3) In the rhythm test, the score for the right ear had a tendency to be higher than the one for the left ear, both in A and B.    4) In the melody test, the score showed a tendency of left ear superiority for A, but the tendency of right ear superiority was seen for B.    Bever and Chiarello (1974) found a right ear reference in the detection of musical stimuli when they used musicians as subjects. Johnson made the dichotic listening task involving violin for musicians and nonmusicians. The musicians demonstrated a right ear superiority, while the nonmusicians performed better with the left ear. He interpreted that musicians mainly used the left hemisphere to process musical stimuli, while nonmusicians used the right hemisphere.    The results of Bever and Chiarello, and Johnson nearly agree with the results of our musical dichotic listening test for nonmusicians and musicians in France as well as the results of our former studies for pupils of chorus club in elementary school, stdents of philharmonic club in senior high school and students in musical college in Japan.
著者
小野 満也 小山 恒男 山口 博 佐藤 博司 寺島 重信 渡辺 俊一
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1155-1158, 1994-08-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

当院血液透析患者90例, CAPD患者14例, 計104例に対して上部消化管内視鏡を施行し, 当院人間ドック受診者の内視鏡所見6,623例を正常コントロール群として比較した. 透析患者80例に107の病変がみられ, 特に胃粘膜点状出血が19.2%と多く, 透析患者に特異的な所見と思われた. 胃癌は5例に認められた. 血液透析患者の正常群22例と点状出血群20例の比較では, 年齢, 透析歴, 透析前血清カルシウム値, 透析前血中β2ミクログロブリン値, KT/V, 動脈硬化度に差はみられなかったが, ステロイド・NSAID投与の有無では点状出血群が有意に高率であり, 点状出血へのプロスタグランジン抑制の関与が考えられた.
著者
渡辺 俊三 豊嶋 秋彦 大場 昭一 飯塚 稔 植本 雅治 森山 成彬 小泉 明 一之瀬 正興 寺田 光徳 RICHARDOT Dominique 大西 守 浜田 秀伯 藤谷 興一
出版者
弘前大学
雑誌
弘前醫學 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.167-175, 1984-03

フランスP市の日本人小・中学校児童の外国文化への適応について検討を加えた.対象は日本人学校児童122名(男71,女51)であった.今回のアンケート調査は32項目よりなり,外国文化への適応の評価と印象,外国語能力の自己評価,日本とフランスの関係についての評価などよりなる. このアンケートを統計数理学的方法で検討を加えた.結果は,外国文化への適応の評価は概ね比較的良好であった. さらに,適応への重要な因子として,外国語の能力があげられ,外国語学習への積極的態度が観察された.
著者
渡辺 俊之 秋口 一郎 八木 秀雄 秋口 一郎 高山 吉弘
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.158-163, 2002 (Released:2011-07-05)
参考文献数
20

レンズ核は淡蒼球と被殻からなるが、この両者のみに限局した病変では、言語障害は軽度または一過性である。言語障害が遷延するのは、病変が、前頭葉の深部白質に進展して非流暢性の失語像を呈する場合、後方の側頭葉深部白質に及んで理解障害を伴う流暢性失語像となる場合、あるいは病変が双方の白質を含んで全失語をきたす場合である。一方、レンズ核の外方には、外包、前障、最外包および島皮質が位置する。これらの脳組織が言語機能においていかなる役割を担っているかについては、近代失語症学の黎明期から議論されてきたが、限局性の病変例がまれなこともあって、一致した見解は得られていない。なかでも、島およびその皮質下の損傷で伝導失語をきたすというDamasio and Damasio(1980)の主張は、失語症関連の文献において頻繁に引用され、影響力が大きいしかし、我々の経験した島損傷例では、伝導失語を含め遷延する言語障害は認めなかった。ただし、語想起の障害がみられたことから、島およびその皮質下の組織が遂行機能に関与することが示唆される。
著者
富永 和作 越智 正博 谷川 徹也 渡辺 俊雄 藤原 靖弘 押谷 伸英 荒川 哲男
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.783-790, 2009-07-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1

目的:脳腸相関に鑑みたfunctional dyspepsia(FD)の病態生理として,日常ストレスが関与し,その認知は自律神経系や各種メディエーターを介して,運動機能をはじめとする消化管機能に影響を及ぼし,消化器症状を誘発することが推察される.そこで,ストレス負荷が与える消化管運動機能への影響と,自律神経機能の関与,その治療効果について検討した.方法:8週齢Wistar系雄性ラットに5日間の水浸ストレス負荷を与え,体重,相対臓器重量および血中カテコラミンなど,胃排出能を測定した.FD患者にストレス負荷度を問診し,24時間心拍変動解析を行った.高周波成分(HF:0.15〜0.40Hz)は副交感神経機能を,低周波成分(LF:0.04〜0.15Hz)との比LF/HFは交感神経機能の指標とした.(1)24時間全体,(2)覚醒時,睡眠時の比較,(3)食事負荷,(4)自律神経刺激前後での変動および回復度,(5)ディスペプシア症状程度と相関性について検討した.成績:1)ストレス負荷は,体重・相対胸腺重量を有意に低下させたが,副腎重量は有意に増加した.2)血漿ACTH,コルチコステロン,アドレナリン,ノルアドレナリンは増加し,胃排出時間は短期負荷では遅延し,長期負荷では充進した.3)ストレス負荷24時間では,総グレリンおよびデスアシルグレリンの増加を認め,その後の低下と同時期にアシルグレリンの増加を認めた.4)FD群では,24時間平均での副交感神経機能の有意な低下を認め,相対的交感神経系の亢進状態を示した.5)食後30〜60分の副交感神経系ならびに食後90分以降の交感神経系の変動が,FD群では約半数に認められなかった.6)自律神経作動薬での自律神経系アンバランスと消化器症状の改善効果が認められた.結論:FD症例ではストレス負荷による自律神経系の変動と胃機能不全が存在し,外的刺激に対する修正機能の脆弱性が示唆された.自律神経調節薬の有効性が示された.