著者
渡辺 浩
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
no.73, pp.103-120, 1970 (Released:2016-07-05)
著者
加藤 恭郎 渡辺 孝 前田 哲生 垣本 佳士
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.745-751, 2011

わが国においてスターチ腹膜炎についての認識は低く,パウダーフリーの手術用手袋の普及も進んでいない.今回,虫垂切除後にスターチ腹膜炎を発症し,その後の経過を長期に観察しえた1例を経験したので報告する.症例は16歳女性で,1994年,虫垂炎に対し虫垂切除を行った.術後9日目から小腸通過障害をおこし,12日目に腹腔鏡下癒着剥離術を行った.黄色混濁腹水と腹膜小結節を認めた.腹水の培養は陰性であった.術後発熱と高い炎症反応が続いた.CTで腹水の貯留と腸間膜の肥厚を認めた.手袋のパウダーでの皮内反応が陽性であった.スターチ腹膜炎と判断しステロイド投与を行ったところ炎症反応は低下し,腹水も消失した.その後も小腸通過障害,複数回の腹痛があったがいずれも保存的に軽快した.スターチ腹膜炎が長期にわたり患者のQOLを悪化させた可能性があった.今後パウダーフリーの手術用手袋を普及させる必要があると思われた.
著者
五井 龍彦 田中 裕久 中島 健一 渡辺 浩二
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.58, no.678, pp.203-209, 2010 (Released:2010-07-26)
参考文献数
6
被引用文献数
4 3

A half-toroidal traction drive CVT has a feature of small spin at traction pitch in whole speed ratio range of 1:4, which suits to transmit high rotational speed with minimum temperature increase of traction surface. Research activity on traction drive CVT has commenced in 1996 for applying it to an aircraft 24,000rpm constant-speed generator instead of a hydro-static transmission. This paper shows fundamental design of 90kW traction drive integrated drive generator, ``T-IDG", and stability analysis on a sensor-less electro-hydraulic speed control servo-mechanism by bond graphs. The performance test of T-IDG mounted on a test bench and an actual jet engine proved that the control system using sensor-less servomechanism can keep the generator speed within MIL-STD-704E allowable limit against steep changes of speed and load.
著者
渡辺 進 石田 弘 大槻 桂右
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A0497, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】慢性腰痛症患者では、疼痛や疼痛に対する不安のために身体活動量が低下し、体力も低下するという報告がみられる。体力低下は患者の社会生活への復帰にとって大きな問題となるので、リハビリテーションの視点からも関心が高い。それに対して、腰痛症患者の体力維持のための有酸素運動についての報告が増えてきた。しかしながら、有酸素運動は腰部の骨・関節や筋への過度の負担をもたらし腰痛の悪化や再発のリスクもともなう。にもかかわらず、有酸素運動時における体幹の筋活動に関する報告は少ない。本研究の目的は、有酸素運動によく使用される自転車エルゴメーター駆動時および歩行時の体幹の筋活動に関する基礎的データを提供することである。【対象と方法】対象は腰痛症の病歴のない健康な男性11名(平均年齢21.7±2.5歳)であった。全員に実験について十分な説明を行い、同意を得た後に実施した。表面電極を3cmの間隔で右腹直筋、右外腹斜筋、右腰部(L3)脊柱起立筋に貼付した。測定と解析にはNORAXON社製筋電計を用いた。始めに最大随意収縮(MVC)を行わせ筋活動の正規化のための基準とした。次に自由歩行を行わせ5歩分を記録した。最後に自転車エルゴメーター(キャトアイ社製)を駆動させた。サドル高は下死点で膝屈曲30度となるように設定した。体幹前傾角度は約85度とした。25Wから開始し順に50W、75W、100Wと負荷を30秒ずつ漸増し、その間の筋活動を記録した。得られたデータは整流し、平均活動電位をMVCで正規化した(%MVC)。歩行時とエルゴメーター各負荷時の%MVCを一元配置分散分析で統計処理した(p<0.05)。【結果】腹直筋について、歩行時5.2±4.2%、エルゴメーター負荷25W時5.7±5.3%、50W時5.7±4.9%、75W時6.2±5.7%、100W時6.5±5.6%であった。いずれの間にも有意差はなかった。外腹斜筋について、歩行時33.3±19.0%、25W時27.8±14.5%、50W時28.9±15.0%、75W時30.3±14.2%、100W時32.7±16.0%であった。いずれの間にも有意差はなかった。脊柱起立筋について、歩行時12.1±3.6%、25W時7.3±2.6%、50W時8.8±3.2%、75W時10.5±4.3%、100W時11.7±4.7%であった。歩行時と25W時、歩行時と50W時および25W時と100W時の間に有意差がみられた。【考察】エルゴメーター駆動時の腹直筋活動は歩行時と大差なく約6%MVCであった。腹直筋は腹部前面の筋のため、両下肢の交互運動の影響が少ないものと思われる。外腹斜筋も各運動の比較では同様の傾向であったが、約30%MVCと比較的高値を示した。外腹斜筋は腹部側面の筋のため、両下肢の交互運動時の体幹固定のために比較的高い活動を求められるためと考えられる。脊柱起立筋は歩行時と比較してエルゴメーター駆動時には低値を示し、負荷の増加に応じて漸増した。両下肢の交互運動時に脊柱を後方から安定させるために漸増したものと思われる。
著者
桑原 優美 渡辺 則生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.244-254, 2008-04-15
参考文献数
14
被引用文献数
1

本論文の目的は,長期の金融時系列のトレンドを分析するために,高木-菅野のファジィシステムを基にファジィトレンドモデルを提案することにある.従来の金融時系列モデルでは,時系列の分散のモデル化に関心が集中し,期待値は一定値あるいは特殊な構造をもつものと仮定されてきた.しかし,長期の時系列の場合これらの仮定は妥当ではない.ファジィトレンドモデルは時系列の変動する期待値のモデル化を可能にする.本論文では,ファジィトレンドモデルの同定法を提案し,その有効性をシミュレーションによって検討した.さらに実際の金融時系列である東証株価指数 TOPIX適用し,ファジィトレンドモデルによってトレンドに関するあらたな分析が可能になることを示した.
著者
谷本 丈夫 豊田 武司 渡辺 富夫 飯田 滋生 苅住 昇 千葉 春美
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
no.369, pp.1-61, 1995-03

本研究は,熱帯・亜熱帯地域における造林技術,小笠原諸島の固有種と景観の保護,保全技術の確立に必要な基礎的情報を得ることを目的に,1971年に小笠原諸島父島に設定された林業試験場(現森林総合研究所)小笠原試験地において植生区分及び遷移,群落構造などについて固定試験地を中心に調査・解析を行った。父島における立地環境からみた自然植生は,海岸植生,山地風衝型植生など五つの型に分けられ,これらに加え導入種であるリュウキュウマツ,ギンネム林などの人為植生を併せて10型の植生型が認められた。小笠原試験地の植生は山地緩斜地型が多く,山地風衝型植生は少ない。防風林に取りまかれた畑地跡には,乾燥する尾根を中心に天然更新したリュウキュウマツ林が多く,人為的要素の強い群落が特徴的であった。マツノザイセンチュウ病によるマツ枯れは,これらの景観を一変させ,ウラジロエノキなどの陽樹,ヒメツバキ,キバンジロウなど母樹の多い樹種の侵入,タマシダなどの林床植生を繁茂させ,新たな種の侵入を阻害していた。マツ類は畑地放棄跡など新たに侵入定着できる立地環境が少なく,小規模な崩壊地などで生育するものと思われた。同じく導入種であるギンネムは,一度植栽されると容易には遷移が進行せず,林分が維持され分布の拡大は少なかったが,アカギは適潤地の林冠疎開地に容易に侵入していた。一方,母樹から遠い畑地の放棄地には,いまだにつる植物や草本に覆われているなど,遷移の進行に及ぼす母樹の位置,種子の散布力,結実量などの役割が評価できる資料が得られた。小笠原の自然植生は,戦中,戦後と急速な入為的影響を受け,特殊な立地環境とあいまって植物社会の成立過程が複雑であり,その維持と復元には積極的な更新補助手段を加えることが必要であることが示唆され,小笠原試験地の継続調査で得られる成果はその基礎的情報として重要な役割を果たす。
著者
渡辺 祐子 早川 潔 植野 洋志
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_61-107_69, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

乳酸菌による茶葉中でのγ-アミノ酪酸(GABA)の生産を目的に,新たにGABA生産性の高い菌を検索すると共に,乳酸菌の茶葉中での生育条件とGABA生産及び緑茶カテキンの変化について検討した。その結果,GABA生産性の高い乳酸菌L.brevis L12を得ることができた。さらに,L. brevis L12を10%茶懸濁液中で25°C,4日間培養することにより,ギャバロン茶とほぼ同量のGABAを含む新しい茶を作ることが可能になった。しかし,乳酸菌の生育向上の為グルコースを添加した場合,GABAは生成しなかった。GABAの豊富な茶葉生産時,茶葉中のグルタミン酸から理論変換量以上のGABAが得られた。原因として,茶葉中のグルタミン酸のアミド誘導体がグルタミン酸を経てGABAとなっている可能性が示唆された。
著者
川嵜 幹生 鈴木 和将 磯部 友護 渡辺 洋一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.27, 2015 (Released:2015-10-19)

不燃ごみとして捨てられる使用済み化粧品や医薬品についての処理処分に関わる課題について、本学会誌及び昨年度の研究発表会にて報告した。その主な要点は、①自治体が示している不燃ごみの出し方は、資源の出し方とは異なり、「中身を出し、軽くすすぐ」といった記述がない②化粧品、医薬品等の出し方に関する説明が少ない③使い切っていない化粧品や医薬品等が不燃ごみに混入しており、そのまま破砕され埋立処分されている④種類によっては、焼却灰より有機汚濁負荷能力が高いものもある等である。しかし、これまでの検討においては、不燃ごみ中に含まれている化粧品、医薬品等の量に関する調査は実施していなかった。そこで、不燃ごみ中に含まれている化粧品、医薬品等のピックアップ調査を行い、混入量に対する知見が得られたため報告する。
著者
新谷 勝広 猪股 雅人 富田 晃 渡辺 晃樹
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
no.13, pp.49-56, 2014 (Released:2016-01-20)

1990年代後半より県内のモモ栽培地域でモモ樹が衰弱もしくは枯死してしまう障害の発生が見られるようになった。そこで,現地における発生実態および障害の特徴を把握し,その経緯に基づいた再現試験および防止対策試験を行った。現地実態調査から,枯死障害の発生に,圃場や品種の違いとの明白な関係は認められなかった。一方,剪定を中心とする樹体管理,特に冬季剪定おける強剪定との関係が最も高かった。再現試験においても,強剪定した樹に衰弱樹や枯死樹が多く発生し,現地実態調査で観察された枯死障害の症状と同様の症状が確認された。このことから,冬季の強剪定が枯死障害の発生に大きく関与しており,剪定切り口からの枯れ込みが養水分の通導を妨げ,枯死の引き金になっている可能性が示唆された。また、防止対策試験では,厳寒期後の3月に剪定を行う方法が障害の発生を防止するうえで最も有効であることが明らかとなった。
著者
入山 八江 稲村 雪子 渡辺 優奈 川村 美和子 久志田 順子 牧野 令子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.511-523, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
26

日本は世界に類を見ない速さで高齢化が進み「超高齢社会」を迎えている。本研究の目的は、訪問栄養指導が在宅高齢者のQOL、BMI、疾病の改善に及ぼす効果を検証し、さらに、介護度や依頼元別の依頼内容の違いや特徴の実態を明らかにすることである。対象は2012~2020年の8年間に訪問栄養指導を受けた211人。栄養介入は、初回にアセスメントを行い最終回で評価した。主観的情報のQOLは、記録から事象を6カテゴリーに分類し、分析した。また、客観的情報が事前事後でそろう79人については、目的別に低栄養を回避し体重増加を目指す群、適正体重を維持する群、肥満の改善を目指す群の3群に分け分析した。その結果、増加群、減少群は共に体重に有意な改善が見られ、群間差が認められた。QOLの向上には、栄養と調理、行動変容が要因として有意に関連していた。訪問栄養指導の効果は、QOL、BMI、疾病の改善に有効であることが示唆され、介護度別、依頼元別に依頼内容の特徴が認められた。
著者
渡辺 隆司
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-13, 2007 (Released:2007-01-31)
参考文献数
92
被引用文献数
13 9

バイオリファイナリーとは,バイオマスから燃料,エネルギー源,化学品を化学産業,エネルギー産業として体系的に生産することであり,20世紀に発達した石油化学工業を,根本的に変える新しいコンセプトである。原料となるバイオマスは,植物の光合成による二酸化炭素の固定化によって作られるため,地球温暖化と資源枯渇問題の切り札になると期待されている。近年,バイオマス由来のエタノールやその他の有用化学品の生産に関する研究が急展開しており,米国エネルギー省(DOE)ではバイオリファイナリーの核となる基幹化合物(プラットフォーム化学品)を12種選定し,新しい化学産業の創成に向けた研究開発が活発に行われている。ここでは,バイオリファイナリーのプラットフォーム創成に向けた動きと,リグノセルロース変換のための白色腐朽菌を利用した生物的前処理法を紹介する。