著者
高山 成子 菊池 美香 半田 陽子 磯見 智恵 麻生 佳愛 吉川 日和子 高柳 智子
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

4〜8月に、倉敷市の老人保健施設で、入浴拒否4事例、俳徊2事例、収集癖2事例を調査した。その結果、累積事例は、入浴拒否13、俳徊10、収集癖7で、総計30となり、目標であった各問題行動別8事例、延べ24事例を達成できた。分析結果は以下のとおりである。1.入浴調査:(1)拒否の理由は、数回の調査によってほぼ同一で、本人にとり意味のある理由と考えられた。(2)軽度認知症は風邪等納得できる理由、中等度は失見当識による「金がない」等の理由であった。(3)攻撃性は80%が「脱衣時」「お湯をかけられた」で起こっていた。(4)脱衣時の攻撃性は、無理に引っ張る、脱がせるで生じていた。2.徘徊調査:(1)俳徊目的は4タイプに分類され、各人2〜5タイプを有し、バラエテイに富む生活の現われと考えられた。(2)俳徊時の気持は肯定的と否定的があり、介入の必要性の判断として有効であった。(3)「集中する」「精神的安寧をもつ」「他者と関わる」「生理的欲求を満たす」で俳徊を中止した。3.収集癖調査:(1)収集物品は「今の生活に必要な」「大事なもの」であった。(2)物品の所有認識は、認知症重傷度と関連していた。(3)物品管理は「自分で保管できる場所」で、認知症が重度になるにつれ身近となっていた。(4)返却は、納得すれば返し、無理に取られそうになると興奮していた。分析結果を、9月に第36回日本看護学会で2題(入浴、収集癖)、国際アルツハイマー協会国際会議2題(入浴、俳徊)発表した。また、本学学術雑誌に、2論文(俳徊、収集癖)投稿した。本研究最終目標は、分析結果より介入方法を策定し、実践的介入を行なうことであった。が、分析過程で、認知症レペルによる違いがあるなどで調査事例追加が必要であったこと、介入方法は、十分な分析が必要であったことにより、計画を変更した。結果として、2月に研究代表者が入浴1事例に対し、1回目部分的介入、2回目研究代表者のみの介入を実施した。
著者
藤井 良知 阿部 敏明 田島 剛 寺嶋 周 目黒 英典 森 淳夫 佐藤 肇 新納 憲司 砂川 慶介 横田 隆夫 秋田 博伸 岩田 敏 佐藤 吉壮 豊永 義清 石原 俊秀 佐野 友昭 中村 弘典 岩井 直一 中村 はるひ 宮津 光伸 渡辺 祐美 久野 邦義 神谷 齊 北村 賢司 庵原 俊昭 桜井 實 東 英一 伊藤 正寛 三河 春樹 久保田 優 百井 亨 細井 進 中戸 秀和 西村 忠史 杉田 久美子 青木 繁幸 高木 道生 小林 陽之助 東野 博彦 木野 稔 小林 裕 春田 恒和 黒木 茂一 大倉 完悦 岡田 隆滋 古川 正強 黒田 泰弘 武田 英二 伊藤 道徳 松田 博 石川 純一 貴田 嘉一 村瀬 光春 倉繁 隆信 森田 秀雄 森澤 豊 浜田 文彦 辻 芳郎 横尾 哲也 林 克敏 冨増 邦夫 木戸 利彦 上原 豊 森 淳子 森 剛一 内田 哲也 大塚 祐一 本廣 孝 半田 祥一 山田 秀二 沖 眞一郎 吉永 陽一郎 荒巻 雅史 織田 慶子 阪田 保隆 加藤 裕久 山下 文雄 今井 昌一 鈴木 和重 岡林 小由理 金子 真也 市川 光太郎 曽田 浩子 清水 透子 長田 陽一 木葉 万里江 石橋 紳作 高橋 耕一 杉山 安見児 三宅 巧 荒木 久昭 垣迫 三夫 前野 泰樹 下飛田 毅 高岸 智也 松隈 義則 平田 知滋 田中 信夫 永山 清高 安岡 盟 林 真夫 天本 正乃 津村 直幹 小野 栄一郎 神薗 慎太郎 中嶋 英輔 永光 信一郎 野正 貴予 松尾 勇作 樋口 恵美 長井 健祐 末吉 圭子 橋本 信男 弓削 健 久保田 薫 川上 晃 渡辺 順子 藤澤 卓爾 西山 亨 岩永 理香子 牛島 高介 山川 良一 山村 純一 富永 薫 臺 俊一 安藤 寛 久田 直樹 藤本 保 元山 浩貴 丸岡 隆之 伊達 是志 杉村 徹 西依 淳 朝木野 由紀 山田 克彦 是松 聖悟 早川 広史 佐々木 宏和 木村 光一 山田 孝
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.921-941, 1995-07-01
被引用文献数
19
著者
東田 陽博 星 直人 橋井 美奈子 横山 茂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

細胞内のCaをセカンドメッセンジャーとするCaシグナリングは、数多くの受容体の下流に存在する重要な信号伝達機構の一つである。最近、リアノジン感受性の細胞内Caプールを開く細胞内リガンドはサイクリックADPリボース(cADPR)であると考えられるようになってきた。この数年、我々はcADPRがIP3のようなセカンドメッセンジャーであるとするこの仮説を検証してきた。そしてNADからcADPRを産生する膜酵素が受容体によりコントロールされていることをムスカリン受容体を大量発現するNG108-15細胞(J.B.C.,1997)とβアドレナリン受容体を持つ心臓心室筋(J.B.C.,1999)を用いて始めて証明することができた。アメフラシのADPリボシルシクラーゼと相同性を持つことで知られるCD38をノックアウトしたマウスで測定したところ、ADPリボシールシウラーゼが全く測定できなかった。この結果は我々の予測と異なり、CD38以外に酵素活性を持つ、タンパク質が存在しないことを示している。そこで研究として、次の仮定を確かめるために研究を転開した。すなわちパーキンソン病脳におけるcADPリボースの役割を明確にするため、ラット脳線状体でのADPリボシルシクラーゼ活性を測定した。ドーパミン添加によりシクラーゼ活性が上昇することをはじめて見出し、現在この活性上昇のメカニズムを追求している。また、脳可塑性に重要な役割を果たす代謝型グルタミン酸受容体のADPリボシルシクラーゼヘのカップリングを研究し、興味あるサブタイプごとに異なる特異的な反応を見出した。
著者
神田 陽一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

装置の小型化や光学デバイスのために、薄膜電極が用いられる。特に光学用途には、インジウム等のレアアースを用いて真空プロセスで作成されるのが主流である。しかしプロセスコストや資源枯渇の問題から、薄膜電極の新しい構造および製造法の開発が望まれている。本研究のねらいは、均一薄膜に代わり、微細気泡を利用することにより、気泡間に存在する液膜を利用して、透明な細線網目構造電極を開発することである。すなわち気泡が形成する六角構造の薄い液膜部を金属ナノ粒子ゾルとし、バルク伝導が可能な細線を形成するとともに、気泡部分の光透過性により、透明な導電膜を形成することである。気液二相をマイクロキャピラリー中で混合し、バルク流路に放出すると、一般には球状や六角状の気泡が形成し、流速の低下と相まって規則的に配列する。このバルク流路をガラス基板で作成しておけば、気泡が規則的にガラス基板上に配列する。本年度は、マイクロ流路法で気泡の生成条件を明らかにし、気泡径が流速にのみ依存すること、ガス流の剪断力が液滴形成のタイミングを決定すること等が明らかになった。気液比が理論限界値1:9を超えても、セル圧入時にガスが圧縮されるため気泡生成が可能で、その場合は最初から六方構造の気泡が生成する可能性があることがわかった。しかし、安定な気泡形成には、低めのガス量で操作することが望ましい。この場合、気泡形成後に減圧することにより徐々に気液比を上昇させ、安定な六方構造を形成することが可能である。金ナノ粒子を混合して、上記と同様の操作を行った。生成したネットワーク構造を凍結乾燥し、焼成したところ、導電性を確認した(光透過率60%)。なお、減圧により六方構造の形成を試みたものは、光透過率は80%以上を確保したが、導電性は認められなかった。これは絶対的な金量の不足に起因する。
著者
大木 幹生 片野 克紀 三塚 恵嗣 沼崎 隼一 涌井 智寛 加藤木 和夫 池田 陽祐 畠山 正行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.31, pp.49-56, 2009-03-11
被引用文献数
7

われわれの研究グループでは,以前よりプログラムの生成・取得を容易にするための一貫した記述言語とその環境である OOJ の研究を行ってきた.しかし,研究開始当初はいくつかの問題の障害から OOJ 構築の第一段階として,分析,設計,実装の三段階に分けて開発 (三言語独立方式) を進めてきた.その結果,分析段階からプログラムの生成までの一貫した記述例を得る事が出来たため,三言語独立した方式において OOJ のある程度の成果を得たと言える.しかしながら,それと同時に記述内容の一貫相似性に関して問題が浮上してきたため,この問題に対処するべく研究の段階を進め,一貫相似性問題に対処した三言語独立方式の OOJ の提案を行うと共にその開発を行った.その結果,三言語独立の方式に依っても一貫相似性のある記述やプログラムを得る事を立証した.We have been developing the Ob ject-oriented (OO) description language OOJ. The OOJ is a language to realize the Ob ject-oriented, Integrally Consistent Similarity in the various simulations with high similarity. The OOJ is, however, difficult to be developed in the sin- gleton language formalism. Then, we have developed the series of three kinds description languages, say the OONJ, ODDJ, OPDJ in stead of the OOJ. In the present paper, then, we have implemented these three languages, and validated the similarity among these descrip- tion languages by making use of the same description examples throughout the OONJ, the ODDJ, the OPDJ, and finally the Java program. Throughout the results, we have confirmed the integrally consistent similarity. In the future work, we will try to develop the singleton description language OOJ to verify the above described similarity.
著者
恵多谷 雅弘 下田 陽久 坂田 俊文
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

砂漠下に埋もれたエジプト王朝時代遺跡を対象として、乾燥した砂漠地域における遺跡探査での衛星SARの有効性の検証を行った。具体的には、JERS-1とSIR-CのLバンドHH偏波のSARによりその存在が確認されているサッカラ(Saqqara)の未発掘遺跡SiteNo.29およびSiteNo.39をテストサイトとして、入射角、観測方向の異なるALOS/PALSAR(LバンドHH偏波)画像から、両遺跡の検出におけるSARの観測パラメータの影響を検討した。また、PALSARの観測日と連動し、テストサイト地点を主体に土壌水分率を計測することで、地表の誘電的性質がSARの後方散乱係数に与える影響を調査した。その結果、オフナディア角35度のJERS-1/SARで発見されたSiteNo.29に関しては、上昇軌道(Ascending)、2偏波(HH/HV)、オフナディア角34.3度の観測モードで撮影されたPALSARで同定できる可能性が認められた。大入射角(オフナディア角61.5度)のSIR-Cで発見されたSiteNo.39に関しては、オフナディア角50.8度のPALSARで検出を試みたが、PALSARのセンサ特性に起因する問題から、同遺跡発見における入射角の影響については結論に至っていない。その一方で、SARの観測方向が両遺跡発見に影響している可能性は少ないとの結論が得られた。SARの後方散乱係数と土壌水分率の関係に関しては、PALSARの観測画像と同観測日に計測した土壌水分率データを比較検討した。計測された土壌水分率は最大で8.3%、最低は0.0%であり、SiteNo.29、SiteNo.39地点における後方散乱係数と地表の土壌水分率の間に特徴的な関係は見られなかったことから、両遺跡発見において地表の土壌水分率が影響した可能性は少ないと考えられ、この見解は2時期のJERS-1/SARの比較検討結果とも一致していた。
著者
真下 節 柴田 政彦 井上 隆弥 阪上 学 中江 文 松田 陽一 住谷 昌彦 喜多 伸一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

神経障害性疼痛モデルマウスでは疼痛出現後しばらくしてうつなどの情動異常が発症するが、うつ行動の発現にはα2Aアドレノ受容体が深く関与していることを明らかにした。さらに、モルヒネ耐性マウスではデクスメデトミジンの鎮痛効果が増強し、後根神経節のα2A、α2Cアドレノ受容体mRNAの発現増加がみられた。また、神経障害性疼痛モデルラットでは、セロトニン2C受容体のRNA編集が起こり、受容体作動薬の疼痛軽減効果が増強された
著者
相澤 宏幸 錦織 大樹 平川 大貴 相馬 亮一 園田 陽介 龍岡 文夫
出版者
Japan Chapter of International Geosynthetics Society
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.77-82, 2007
被引用文献数
1

RC橋台と橋桁を一体化したインテグラル橋梁(一体橋梁)は、経済的・構造的な弱点となる支承部及び伸縮装置がない。一方、大気温変動に伴う橋桁の熱伸縮により壁面工に強制繰返し水平変位が生じて、背面盛土に過大な沈下と土圧増加が生じる。このため、壁面工に構造的損傷が生じる虞が生じ、壁面工下端が前方に押し出される可能性が、あるいは壁面工が杭支持されていれば杭頭部が損傷する虞が出てくる。この問題を解決するために、「壁面工に定着したジオシンセティックス面状補強材で補強した盛土と一体橋梁を組み合わせたGRS一体橋梁(Geosynthetic-Reinforced Soil Integral Bridge; GRS Integral Bridge)」を提案している。室内模型実験を行い、壁面工上端に強制繰返し水平変位を与えた。(1)壁面工下端の水平及び鉛直方向の自由度を高めて壁面工の転倒+下端滑動モードが生じる場合と、(2)強固な杭基礎がある場合を想定して壁面工下端をヒンジ固定して転倒モードが生じる場合を検討した。背面盛土が無補強、あるいは補強しても補強材が壁面工に非定着の場合では、(1)の載荷モードでは、壁面工下端が主働方向に押し出されて盛土に過大な沈下が生じた。(2)の載荷モードでは、盛土の沈下は若干抑制されたが、残留土圧が非常に大きくなり、壁面工及び杭頭部が損傷する可能性が生じた。一方、補強材を壁面工に定着させた場合では、(1)と(2)のモードの何れでも、盛土の残留沈下は殆ど生ぜず、土圧は上昇しても構造系は非常に高い安定性を示した。
著者
河上 栄一 筒井 敏彦 山田 陽一 山内 亮
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.303-308, 1984-06-01
被引用文献数
6

雑犬について陰睾発生率を調べた後, 発情雌犬に対する性行動を観察し, さらに相手法により精液採取を行い, 射精能および精液性状について検討した。調査した2,365頭の雄大の陰睾発生率は 1.2%(29頭) で, いずれも片側性で左右発生率に大きな差はみられず, 8頭が腹腔内, 21頭が鼠径部陰睾であった。これら陰睾犬では, 性欲が弱く, 射精能を調べた19頭中8頭では射精が認められなかった。また,正常犬の精液性状と比較し, これら陰睾犬の総精液量・総精子数は, それぞれ平均7.2ml, 1.2×10^8で, 精子活力はやや低く, 総奇形率・未熟精子出現率は平均20.2%, 19.4%と高く, 精液性状は全般的に不良であった。
著者
平田 陽一 松倉 健志 田島 敬史 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.69, pp.137-144, 2000-07-26
被引用文献数
5

従来のWeb検索における適合フィードバックでは,ユーザがサンプルページの内容を見て評価し,その評価をもとに再検索または検索結果の再構成を行なう.その際,ページの評価は「良い」または「悪い」の2種類であった.そのため,従来の適合フィードバックの手法は,「良い」と評価されたページに類似したページを獲得するのには有効だが,ユーザの要求が「この話題についてのより詳しいページが欲しい」などのように複雑になると,十分にユーザの意図を汲み取ることが難しく,うまく機能しないことがあった.そこで,本研究では,単に「良い」または「悪い」の二元論的な評価に基づいて,サンプルページに類似するページを集めるのではなくて,サンプルページと実際に欲しいページの違いを評価として与えることによって,そのような差異を持つページを探してくれるような,意味的な適合フィードバック機構を提案する.ページ間の差異としては,各ページ中の単語数や,お互いのページ内の単語の共起度を用いて,ページ間の情報量や話題の広がりの相対的な差を測定する.In conventional relevance feedback for Web query systems, the user evaluates some sample pages, and then based on that evaluation, the original query is revised, or the query results are reorganized. In that evaluation, sample pages are classified as good or bad. This approach is effective to find pages similar to the pages evaluated as good. In some cases, however, the users want to specify their requirements more specifically, such as, "I want pages discussing this topic in more detail." In the usual relevance feedback, the users cannot express such requirements in the evaluation. In this paper, we propose a framework where the users can express such requirements, which we call semantic relevance feedback. In our framework, the users specify the difference between a sample page and pages they want. We estimate the difference between pages based on the amount of information and the extent of the topic in each page. We measure the former by the number of word occurrences, and measure the latter by the ratio of cooccurrence of words in pages.
著者
内田 陽子 上山 真美 富沢 順 石川 徹
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.207-212, 2006-08-01

【背景・目的】現在,寝たきり患者などの移動の際にバスタオルを使用している所が多い.本研究の目的は,バスタオルにかわる患者仰向け体位からの移動兼療養用ウールボアマットを開発し,その評価を行うこととした.【対象と方法】10人の健康学生を対象にバスタオルとウールボアマットの強度・耐性と体圧,主観的評価を行った.【結果】ウールボアのほうがバスタオルよりも長さ・幅方向で高い強度を示し,伸び率も高かった.また,何も敷かない場合とウールボアマットを敷いた場合では,右踵部と左肘関節部において後者の方が体圧は低かった(p<0.05〜0.01).また,バスタオルとウールボアマットの比較でも後者のほうが左肘関節で低い値が得られた(p<0.05).被験者はウールボアのほうが肌さわり,寝心地,暖かさの面でよいと評価し,首の安定感,身体の痛み等もよいという者が多かった.また,看護者側も持ちやすいという評価をしていた.反面,ウールボアのほうが滑りやすいという意見もあった.【結語】移動用兼療養においてはバスタオルよりウールボアマットのほうが適している.
著者
寺沢 良夫 福田 陽一 鈴木 康義 森田 昌良 加藤 正和 鈴木 騏一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.85-92, 1992-01-20
被引用文献数
7 2

1987年4月から1991年3月までの4年間で, 当院健診センターにおける腹部超音波検査受診者は延人数19,933人で, このうち腎細胞癌と診断し, 手術した症例は16人であった.超音波検査での腎細胞癌の検出率は, 0.08% (1,245人に1人の割合) であった.男女比は15:1, 左右比は9:7, 年齢は38〜64歳 (平均50.8歳) であった.摘出腫瘍径は, UICCのTNM分類でT_1が7人 (44%), T_2が9人 (56%), 最小腫瘍径は1.2×1.3cmで, 小腎細胞癌が多く, 全例生存している.腎細胞癌の早期診断には健診センターにおける腹部超音波検査が最も有効な検査法と考えられた.
著者
寺沢 良夫 福田 陽一 鈴木 康義 森田 昌良 加藤 正和 鈴木 騏一 今井 恵子 高橋 寿 鈴木 富夫 関野 宏
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2137-2145, 1993-12-20
被引用文献数
6

1985年4月から1992年9月までの7年6ヵ月において,当院での血液透析症例1,556人に,腹部超音波検査(US)を行い,腎癌を36人(41胃癌)診断し,手術で組織学的に確認した.血液透析症例の腎癌の検出率は2.3%(43人に1人の割合)で,健常人発生の胃癌(当院健診センターで延27,933人のUS検査のうち22人の腎癌,0.079%)の29倍高頻度発生であった.36人の内訳は,萎縮腎発生15人,ACDK (acquired cystic disease of the kidney)発生18人,腎移植後の固有腎発生3人で,ACDKの8人が1側腎多発,5人が両側腎多発であった.腎癌の診断率はUS100%,CT68%,血管造影55%で血液透析症例における腎癌の診断にはUSが最も優れた検査法であった.
著者
駒田 陽子 廣瀬 一浩 白川 修一郎
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.87-94, 2002
被引用文献数
2

妊娠随伴睡眠障害は睡眠障害国際分類によれば,妊娠中に生じる不眠あるいは過眠と定義され,一般に過眠で始まり重度の不眠へ進展することが多いとされる.本研究では,妊婦の睡眠習慣,睡眠健康や睡眠障害の可能性についての実態を把握することを目的として,研究内容を十分に説明し同意の得られた,妊娠初期,中期,末期の妊婦364名(29.7±4.2歳)および同一地域に居住する非妊婦194名(34.0±4.2歳)を対象とした探索的調査を行った.睡眠習慣に関しては,就床時刻には妊婦と非妊婦で差はみられなかったが,起床時刻は妊婦の方が,どの妊娠期においても非妊婦に比べて有意に遅延していた.また睡眠時間も同様に妊婦で有意に延長していた.睡眠健康に関しては,妊婦は睡眠維持が悪化しており入眠困難性を有していた.むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害の可能性のある者は妊娠中期で発生頻度が9.0%と高かったが,海外での報告と比べかなりの低値であった.睡眠時歯ぎしりは妊娠初期で発生頻度が高く,夜間下肢こむらがえりは妊娠各期で発生頻度が対照群に比して高かった.悪阻の症状が重度の者は睡眠維持,入眠困難性,起床困難性が悪化していた.本研究から,心理的不安の強い妊娠初期に,悪阻などにより睡眠が障害され,また妊娠期を通じてむずむず脚症候群や周期性四肢運動障害など入眠を障害する睡眠随伴疾患が発生している可能性のあることが判明した.
著者
石田 陽介
出版者
金沢美術工芸大学
雑誌
金沢美術工芸大学紀要 (ISSN:09146164)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.4-5, 2008

塑造の制作は、まず粘土を用いて原型を作り、そこから石膏などで雌型を取り、その雌型に石膏や合成樹脂などでキャステイングして作品に仕上げるのが通例である。私自身も長年合成樹脂による成型(FRP)で多くの作品を手掛けてきた。この方法は軽くて丈夫で、慣れれば簡便な技法ではあるが、イミテーション的な感覚がつきまとい、制作(過程)と作品(結果)との間に少なからぬ違和感が生じる。そこで、近年はテラコッタ技法を用いて過程と結果が少しでも近付くように努力している。テラコッタの技法においても、雌型を取りそこに粘土を張り込んで像を作る方法(型押し)と、原型自体を分割し中をくり抜いていく方法がある。前者は粘土の厚みが一定になり、焼成の成功率も高く、万一焼成に失敗しても再度像を作り直すことができるが、制作時の粘土のタッチなどは甘くなる。後者は作り直しがきかないのでリスクはあるが、制作時の痕跡を直接感じ取ることができる。また焼成方法についても、電気窯やガス窯などで温度を管理しながら焼けば成功率は高くなるが、きれいに焼き上がり過ぎるため面白みという点では少なく感じる。一方「野焼き」では温度の管理が難しく、作品を損ねるリスクを伴うが、粘土の滋味のようなものが生まれる。今回紹介する作品は雌型を用いてはいるが、素材感をできる限り活かすために、原型自体をくり抜いてから再度型に押しつけるという方法をとり、焼成は「野焼き」によって行った。この野焼きは「縄文土器づくり教室」での体験をベースに自分なりにアレンジしたもので、特別な道具を用いず、できるだけシンプルなかたちで行うよう心掛けた。