著者
安部 正真 藤村 彰夫
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.185-190, 2011-06-25
被引用文献数
2

小惑星探査機はやぶさが地球に帰還し,回収されたカプセルの中から発見された粒子がイトカワ起源であると判断された.その全容はまだ明らかではないが,最大100μm超の粒子も確認され,10μm以上の粒子も1000粒以上あると予想される.キュレーション設備では,サンプルの取出しを行い,その一部を初期分析チームに分配し,初期記載を行うための初期分析が開始された.本稿では,サンプルコンテナ開封後の作業と,初期分析開始に至るまでの経緯について報告する.
著者
藤村 玲子 佐藤 嘉則 難波 謙二 太田 寛行
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.211-218, 2011-07-30
参考文献数
29
被引用文献数
2

森林をはじめとする植物-土壌生態系では、光合成による一次生産と微生物による有機物分解のバランスが成り立ち、豊かな生物相が維持されている。しかし、火山噴火というイベントはこの生態系を壊してリセットしてしまう。新たに生じた火山灰などの火山砕屑物や溶岩に住み始める生物は、肉眼では見えない微生物である。本稿では、三宅島2000年噴火火山灰堆積物に住みつく微生物について、2003年から6年間にわたって調査してきた結果を紹介する。まず、調査初年時に採取した火山灰堆積物の細菌密度の測定結果では、すでに1gあたり10^8の高いレベルに達していた。直接試料から抽出したDNAの16SリボソーマルRNA遺伝子を解析した結果は、Leptospirillum ferroxidansやAcidithiobacillus ferrooxidansといった独立栄養性の鉄酸化細菌が優占する細菌群集構造を示した。供試火山灰堆積物にはCO_2吸収活性があり、十分に高いニトロゲナーゼ活性も検出されており、これらの活性は鉄酸化細菌に由来することが推察された。2009年の調査においても、三宅島雄山上部の火山灰堆積物は酸性状態に維持され、鉄酸化細菌の優占が続き、化学合成無機独立栄養代謝が中心の微生物生態系であることが示唆された。以上の結果をもとに、火山灰堆積物に形成される微生物生態系のエネルギー代謝と初成土壌への有機・無機物質の蓄積について推察する。
著者
渡邉 和男 河瀬 真琴 マシウス ピーター 西川 芳昭 松井 健一 阿部 健一 香坂 玲 阿部 健一 香坂 玲 院多本 華夫 渡邊 高志 磯崎 博司 藤村 達人 箕輪 真理 木村 武史 王 碧昭 伊藤 太一 帳 振亜
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

農業食糧及び薬用遺伝資源の多様性について、国境を超越して生存する少数民族に関わり農家保全の実地・実験調査を実施した。ミャンマー北部、ミャンマー、タイとラオスの国境地帯について山間部を主体に研究を実施した。過剰開発や貨幣経済の浸透、さらに不均衡な情報の供給と啓蒙の欠如で、在来の植物遺伝資源が絶滅危惧になっていることやその伝統的文化に支援された知見が急速に失われてきていることがわかった。モノグラフや公的機関の報告書として情報発信した。
著者
藤村 考
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.119, pp.57-62, 2008-06-23
被引用文献数
1

BLOGRANGER TGは、大規模タグクラウド・インタフェースを有する新しいブログナビゲーションシステムである。タグクラウドの背景画像として地形図を導入し、タグ間の関連を直感的に把握できるようにした。本システムは、直近の5週間の約1500万の日本のブログ記事を分析し、約5000の有益なタグを自動抽出している。タグクラウドは毎週更新され、ブログ界全体の最新の構造を俯瞰することを可能にした。本稿では、BLOGRANGER TGの開発の経緯と目的、そして実現されている技術の概要について述べる。
著者
岩本 和之 oオブーカン カウ 徳高 平蔵 藤村 喜久郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.98, no.674, pp.31-37, 1999-03-19

AES(オージェ電子分光分析), XPS(X線光電子分光)そしてXRD(X線回折)のような化学スペクトルデータを多次元の情報として考えることができる. それらデータを, SOM(自己組織化マップ)とMST(最小結合木構造)の方法を使って2次元平面に写像した. MST法によって結合されたユニットは, 合金組成の0-100%の間で注意深く観察された. そしてMST結合の全てをOR結合で選び出した. そして, クラスタ化された結果は, SOM法での結果を視覚的に分類したものと比較した.
著者
藤村 一行 内田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1279-1288, 2009-08-01
被引用文献数
4 4

映像中の物体のトラッキングは,その物体のフレーム間の移動量の最適推定問題として定式化される.本論文では,その大局的最適解を得るために,動的計画法(DP)を用いたトラッキング手法を提案する.従来,幅優先探索の一種として扱われていたDP最適化では,画像のサイズやパラメータの増加により,探索幅が非常に大きくなり計算量が増加するという問題がある.これに対し本論文ではDPの解析的解法をトラッキング問題に適用する.これは,最適化の評価に用いられる局所的な誤差関数を二次関数近似することで,DPによる最適化過程に微分による最適化を導入した手法である.幅優先探索なしに解析的にかつ高速に最適解を得ることができ,トラッキング問題には特に有効といえる.本論文では,本手法の定式化と実験結果を示す.
著者
杉坂 政典 藤村 貞夫 中村 政俊 原 正佳 李 桂張 LEE Ju-jang
出版者
大分大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

本研究を実施するには、まず移動ビ-クルのハードウェアがすでに開発されていることが必要不可欠である。幸いにして、株式会社九電工との共同研究により500万円の研究費の提供を受け、移動ビ-クルのハードウェアの設計・試作を行った。その移動ビ-クルは、車体長150cm、車体幅60cm、車輪外側間長80cm、前輪中心から後輪中心間長110cmであり、車輪外径は26.1cmである。その移動ビ-クルは前輪がステッピングモータで駆動され、後輪がDCモータで駆動されるようになっている。また、前輪前方車体に底面から高さ40cmの高さにCCDビデオカメラが搭載されており、そのカメラの可動範囲は左右120度、上下60度であり、ステッピングモータ2個で駆動されている。車体には後輪駆動DCモータ、12V電池2個、DC/ACコンバータ、PC9821、DCモータドライバー、ステッピングモータドライバ3個が置かれている。前輪の可動角度は左右30度であり、後輪の駆動モータが一回転すると2.7cm移動する。CCDビデオカメラはカメラコントローラと共に画像取込ボードSuperCVIを経由してパソコンに接続されている。同様に、CCDビデオカメラの上下左右ステッピングモータと前輪、後輪駆動モータはそれぞれのモータドライバと共にI/OボードPIO-32/32(98K)を経由してパソコンに接続されている。パソコンへの電力は、バッテリ-から供給される直流をDC/ACインバータSI-500Aを介して交流に変換して供給されている。以上がハードウェアの概要である。本移動ビ-クルを屋内外で走行させるためには、種々の走行ソフトウェアの開発が必要である。CCDビデオカメラが一つのカラー画像を取り込む時間は1/60秒であり、車体前方の画像が取り込まれる。この画像データを処理することにより種々の自立走行が可能になる。屋内外での自立走行に必要なデータを得るためには以下のような技術を開発しなければならない。(1)走行フロアあるいは道路上の白線や黄線あるいはガードフェンスなどを抽出するソフトウェア(2)人工神経回路技術により、移動ビ-クル前面の対象物体を認識することができるソフトウェア(3)前輪のステアリング角度と後輪のスピードの両方を同時に制御するソフトウェア(4)移動ビ-クルが停止中、対象物体を追尾することができるソフトウェア(5)その他、種々の機能を持たせるためのソフトウェア本研究では黄線を抽出し、その黄線に沿って角度とスピードの両方をファジイ制御器を用いて制御し、ある一定時刻毎に車体前方に赤色の対象物を探し、もしその対象物があれば停止し、なければ黄線がなくなるところまで走行するプログラムを開発した。そのプログラムでは0.9秒のサンプリング間隔で制御を行っている。走行速度は0.5m/秒から1.8m/秒の間の速度で走行する。ファジイ制御器の入力としてカメラ中心から対象物体の重心のx方向、y方向の距離をとり、出力として前輪のステアリング角度及び後輪のスピードを考えた。全部で28個のファジイ制御則を考えた。CCDカメラは前方約1.2mの画像を取り込む。移動ビ-クルは20秒間走行してから赤色の対象物体を探し、もしあれば停止し、なければ走行する。本プログラムを用いて屋内及び屋外で走行停止実験を行った。その実験では良好な結果が得られた。現在この走行を滑らかに行うことができるようプログラムを修正している。一方、対象物体の認識に関しては、対象物体の形状のモーメント不変量を7個計算し、それを人工神経回路の入力として対象物体の種類を出力して人工神経回路で学習し、その人工神経回路を用いて対象物体が何であるかを判別するプログラムを開発している。このプログラムは加工食料品の等級判別に開発されたものであり、ハードウェアが移動ビ-クルのハードウェアと異なるため、このプログラムを無修正で用いることができない。したがって、移動ビ-クルのCCDカメラに適用できるように、すでに開発した対象物体識別プログラムを書き直す作業を、今後行う予定である。
著者
池田 健吾 黒田 英夫 藤村 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

近年ワープロの普及により,一般の人でも整った活字体文字で文書を作成することが一般的になっている.しかし,一方で,画一的な活字体が個人的な手紙などに使われることに対して,個性がないなどの理由により敬遠される傾向がある.そこには,より人間的な文字を使いたいという要求がある.そこで我々は人の特徴を取り入れた書体の自動生成を目指している.そのなかで漢字のストロークから文字の特徴を正確に取り出すために,正確な芯線を取り出す必要がある.今回我々はヒゲの少ない輪郭線追跡細線化法を提案する.
著者
奥 俊夫 土岐 昭男 小山 重郎 藤村 建彦
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.331-336, 1979-01-31

北日本における1972年のアワヨトウ第1世代の多発は,被害分布,成虫誘殺調査,広域の気流条件,飛来源となり得る地方での成虫出現期等から判断して,温帯低気圧の移動に伴う連続風により中国江蘇省方面から6月12日夜間に成虫群が飛来したことに起因すると結論された。
著者
川中 翔 宮田 章裕 東中 竜一郎 星出 高秀 藤村 考
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

レビュー記事を用いてブランド間の競合関係を分析する手法を提案する.提案手法は,要因語出現分布の類似度を用いてブランド間の競合度を計算する.なお,本稿では,消費行動実施の決断にポジティブな影響を与えた事象や状態,条件を要因と定義し,個別の要因を抽象的に表現する語を要因語と定義する.提案手法はブランドペア毎に,Belkの消費者場面フレームワークに基づく5つの異なる競合度を計算する.
著者
小林 淳子 赤間 明子 大竹 まり子 鈴木 育子 叶谷 由佳 藤村 由希子 右田 周平
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成17年度は,妊娠を契機に禁煙した、あるいは喫煙を継続した女性喫煙者の「たばこに対する思い」を因子探索的に分析した。その結果,出産後まで禁煙を継続した女性では「子どものため,自分のため,他の人のために喫煙はやめるべき」という規範的意職と,「出産後のいたずら喫煙,育児の負担がなければ喫煙しない」という将来の再喫煙を避けるための対策の因子が抽出された。一方,再喫煙した女性では「また吸ってしまうかもしれない」という再喫煙の予感,「止めたいが止められない」という禁煙困難,「禁煙は考えていない」という無関心の因子が抽出された。「子どもと喫煙」に関するラベル数の割合が,禁煙継統群は喫煙再開群よりも明らかに高く,PRECEDEPROCEEDモデルの「実現要因」である喫煙環塊への対策に加えて,「前提要因」である「喫煙による子どもへの影響の認知」を高めるために,「強化要因」である医療関係者の役割の璽要性が示唆された。平成18年度は,地域における禁煙サポート源として看護職者が機能するために,看護職者よる禁煙・防煙支援の実態と関連要因を解明を目的とする質問紙調査を実施した。Y県内の55施設,所属する看護職1414名を分析対象とした。その結果、禁煙・防煙支援が業務としての位置づけられている407名(28.8%)、禁煙・防煙支援の経験あり267名(18.9%)と低率であり、禁煙支援・防煙支援の困難は189名(70.8%)が感じていた。同時に、禁煙・防煙支援の講習会の参加は250名(17.7%)に留まった。業務の位置づけがある群で支援経験ありは38.3%,位置づけが無い群では11.0%,しかし位置づけがあっても支援経験なしが61.7%を占めた。禁煙支援の自己効力感は100点満点で平均14.4(±12.3)点と低かった。以上の結果から,看護職者は禁煙支援・防煙支援を業務として位置づけられていても実施していない割合が高く,支援の自己効力感が低い点が課題であることが明らかとなった。
著者
後藤 達彦 江川 鍛 小川 博久 土用下 尚外 福田 浩幸 犬塚 博章 舘 忠裕 藤村 直也 安形 保則 ニラウラ マダン 安田 和人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.65-68, 2010-05-06

有機金属気相成長法によりSi基板上に成長した厚膜CdTe単結晶層を用いた、大面積X線・γ線画像検出器の開発を目的として研究を行っている。これまで検出器の製作では、Si基板上のCdTe成長層に部分的な剥離や、多結晶化、電気特性の不均一等が発生する場合があり、これらの防止とその改善が課題であった。これらの問題はCdTe成長に先立って実施する、Si基板の成長前処理(GaAs処理)に原因があると考えられるのでその改善を図った。GaAs処理の改善後、CdTe成長層の剥離は防止でき、Si基板上全面で高品質の単結晶CdTe層が成長可能となった。p-CdTe/n-CdTe/n+-Si構造の成長層をダイシングし、ダイオードアレイを試作した。その結果、ダイシング時にもCdTe層の剥離は発生せず、CdTeとSiの結合状態も改善されていることが分かった。またアレイ内のダイオードについて電流-電圧特性を測定したところ、場所によらず均一なダイオード特性を確認できた。

1 0 0 0 IR 人工心臓

著者
服部 淳 石原 昭 山口 繁 藤村 光夫 市川 博 堺 裕 藤倉 一郎 飯田 良直 乃木 道夫 三浦 勇 佐野 鎌田郎 臼田 多佳夫 外山 香澄
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.151-151, 1963-04-25

第118回東京女子医科大学学会例会 昭和38年2月22日(金) 東京女子医大病院第一臨床講堂
著者
大森 保 藤村 弘行
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

サンゴ礁における炭酸系変動の時系列観測により、瀬底島サンゴ群集は二酸化炭素濃度=945ppmvに達すると石灰化速度がゼロになること、および、アラゴナイト飽和度が1(平衡状態)となる結果が得られた。IPCC報告書の数値予測モデルによれば、早ければ21世紀末以降に、大気中の二酸化炭素濃度が950ppmvレベルに達し、アラゴナイト質骨格を形成する海洋生物の生存が極度に脅かされ、サンゴ礁生態系激変の可能性が示唆される。サンゴ飼育水槽実験により、光ストレス・農薬・有害化学物質ストレスに対する代謝応答(光合成・石灰化)、枝状サンゴの骨格形成における量元素(Sr, Mg, U)の取り込み応答、稚サンゴの骨格形成の応答等について解明した。さらに、サンゴの骨格形成における基質タンパク質の効果について解明した。